JP3548695B2 - シリコンウエハの温度調節装置用熱伝導板 - Google Patents

シリコンウエハの温度調節装置用熱伝導板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウエハを加熱または冷却してそれを所定の温度に調節する温度調節装置用の熱伝導板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
サーモモジュール(ペルチェ素子)等を使用して、フェースプレート上に載置したシリコンウエハを加熱または冷却する温度調節装置は、従来から多用されている。
上記装置におけるフェースプレートは、高熱伝導性が要求され、一般的には、アルミニウム系の材料が用いられているが、さらに熱伝導性の向上が望まれている。この熱伝導性の向上は、昇降温時間の短縮ばかりでなく、プレート表面の温度分布をなくして、表面温度を均一化するためにも有効なものである。
【0003】
このような熱伝導性の向上のためには、フェースプレートとして銅系の材料を用いることが考えられる。しかしながら、銅はフェースプレートとしての強度、特に曲げ強度において問題があり、例えば、装置への組付け時におけるビスの締結によってプレートが曲がり、表面の高い平面度を確保できなくなる可能性がある。そして、この平面度が低下すると、シリコンウエハとプレートとの間のプロキシミティギャップが場所によって変化し、それによって温度分布が発生することになる。このような曲げ強度の低下を抑止するためには、フェースプレートを厚くするのが有効であるが、それに伴って熱容量が増大し、昇降温時間の増大、昇降温のための電力の増加等の問題が生じてくる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の技術的課題は、基本的には、上記フェースプレート材料として銅を用いることにより該プレートの熱伝導性を高め、昇降温時間の短縮、温度分布の低下による表面温度の均一化を図ることにある。
本発明のさらに具体的な技術的課題は、フェースプレート材料として曲げ強度の小さい銅を用いながら、その厚さを増大させることなく曲げ強度を高め、これにより熱容量の増大を抑制して、この点でも昇降温時間を短縮できるようにし、生産性の向上、省電力化を達成することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の温度調節装置用熱伝導板は、シリコンウエハを所定の温度に加熱または冷却する温度調節装置のフェースプレートとして、温度調節部とシリコンウエハとの間で熱の伝導を行う熱伝導板であって、銅板の内部に補強材を鋳込むことにより構成し、その補強材を、銅よりも大きい曲げ強度を有する材料により形成され、内部に表裏面の銅材を相互に繋ぐための多くの隙間を有するものとしたことを特徴とするものである。
上記補強材は、多くの隙間を介して結合された枠状部材により、あるいは、板状部材に多数の孔からなる隙間を設けることにより構成することができる。
【0006】
上記構成を有する熱伝導板は、その素材として銅を用いているので熱伝導性が高められ、昇降温時間の短縮、温度分布の低下による表面温度の均一化を図ることができ、一方、銅を用いることにより生じる曲げ強度の低下は、内部に鋳込んだ補強材によって高められるので、熱伝導板自体の厚さを増大させることなく曲げ強度を高め、熱容量の増大を抑制して、この点でも昇降温時間を短縮することができ、生産性の向上、省電力化を図ることができる。
また、補強材を内部に鋳込んだ銅板は、該補強材の内部に設けた多くの隙間を通して表裏面の銅材が相互に繋がっていて、その部分を通して熱がよく伝導するので、銅に比べて熱伝導性が低い補強材を鋳込んでいても、熱伝導性が低下することはない。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明の熱伝導板を組み付けるシリコンウエハの温度調節装置を例示している。図1は、シリコンウエハを所定の温度に加熱する加熱装置において、熱伝導板1を加熱プレート(フェースプレート)として使用する場合を示すもので、ヒータ押え3によって電気ヒータ2を保持することにより構成した温度調節部上に、上記熱伝導板1を配置している。また、図2は、シリコンウエハを所定の温度に冷却する冷却装置において、熱伝導板1を冷却プレート(フェースプレート)として使用する場合を示すもので、放熱板5上に複数のサーモモジュール(ペルチェ素子)4を配設することにより構成した温度調節部上に、上記熱伝導板1を配置している。
【0008】
本発明の熱伝導板は、これらの図に例示するように、温度調節部と熱伝導板1上に載置したシリコンウエハとの間で熱の伝導を行い、そのシリコンウエハを所定の温度に加熱または冷却するものであり、そのため、温度調節装置自体の構成は、ここに例示したものなどに限定されるものではない。
【0009】
図3及び図4は、上記熱伝導板1の構成を例示するもので、銅板10の内部に補強材11を鋳込むことにより構成している。この補強材11は、銅よりも大きい曲げ強度を有する材料により形成され、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、合金鋼等の鉄系材料、あるいは、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、ジルコニア等のセラミックス材料が適している。勿論、これらは例示であって、これら以外の材料を用いることもできる。
【0010】
上記熱伝導板1における補強材11は、内部に表裏面の銅材を相互に繋ぐための多くの隙間を有するもので、さらに具体的には、多くの隙間12aを介して結合された枠状部材12により構成している。各枠状部材12は、補強という機能を十分に発揮させるために、相互に高強度に結合されていることが望まれるが、各枠状部材12自体の曲げ強度により熱伝導板を十分に補強できるのであれば、上記高強度の結合の必要はない。
【0011】
図5乃至図8の各A,Bは、上記図3及び図4に示す補強材11に代えて銅板内に鋳込むことができる補強材21を例示している。これらの補強材21は、板状部材22内に表裏面の銅材を相互に繋ぐための多数の孔からなる隙間を設けることにより構成したものであり、図5のA,Bに示す補強材21では、板状部材22内に多数の三角形状の孔からなる隙間22aを設けることにより構成し、図6のA,Bに示す補強材21では、板状部材22内に多数の四角形状の孔からなる隙間22bを設けることにより構成し、図7のA,Bに示す補強材21では、板状部材22内に多数の六角形状の孔からなる隙間22cを設けることにより構成し、また、図8のA,Bに示す補強材21では、円形の板状部材22内に多数の大小の円形孔からなる隙間22dを設けることにより構成している。
【0012】
なお、上記隙間22a〜22dの形状は、図示の例に限るものではなく、孔を開設した板状部材により熱伝導板の必要な補強を行うことができ、且つ孔によって形成された隙間をとおして表裏面の銅材を相互に繋ぐことにより所要の熱伝導性が確保できるのであれば、任意の形状とすることができる。
また、ここでは、板状部材22に各種形状の多数の孔を開設することによって補強材21を形成する旨を説明したが、上記図5乃至図7に示すような形状の補強材21は、図3及び図4によって説明したような枠状部材12を一つの平面内に配置し、それらの各交点を相互に接合することによっても構成することができる。
【0013】
上記構成を有する熱伝導板1は、銅板の内部に多くの隙間12a,22aを持つ補強材を鋳込んでいるので、それらの隙間12a,22aを通して表裏面の銅材が相互に繋がり、その部分を通して熱がよく伝導するので、銅に比べて熱伝導性が低い補強材11,21を鋳込んでいても、全体として熱伝導性が低下することはなく、実質的に熱伝導板の全体を銅により形成した場合と同等の高熱伝導性を得ることができる。この熱伝導性の改善は、熱伝導板1の昇降温時間の短縮、温度分布の低下による表面温度の均一化を図るために有効なものである。
【0014】
一方、上記枠状部材12や板状部材22の素材として銅を用いることにより、それらの曲げ強度が低下することになるが、内部に鋳込んだ補強材11,21によってその曲げ強度が高められるので、装置への組付け時におけるビスの締結等によって熱伝導板1が曲がるようなことがなく、表面の高い平面度を確保することが可能になり、それによって、シリコンウエハとプレートとの間のプロキシミティギャップが場所により変化して、温度分布が発生するのを抑止することができる。
【0015】
また、上記補強材の鋳込みにより、高強度化のために銅板の厚さを増大させる必要がなくなり、銅板を可及的に薄くしながら曲げ強度を高めることができ、そのため、熱伝導板1の質量を小さくして、熱容量(質量×比熱)の増大を抑制することができる。特に、この熱容量を小さくすると、熱伝導板1の速い加熱、速い冷却が可能になるため、昇降温時間が短縮されて生産性を向上させることができ、また、その昇降温時に使用する電力も低減され、省エネルギを達成することができる。
【0016】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明によれば、シリコンウエハの温度調節装置におけるフェースプレート材料として銅を用いることにより、その熱伝導性を高め、昇降温時間の短縮、温度分布の低下による表面温度の均一化を図ることができ、また、上述のようにフェースプレート材料として曲げ強度の小さい銅を用いながら、補強材の鋳込みにより、その全体的な厚さを増大させることなく、曲げ強度を高め、これにより熱容量の増大を抑制して、この点でも昇降温時間を短縮できるようにし、生産性の向上、省電力化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱伝導板を組み付けるシリコンウエハの温度調節装置の一例(加熱装置)を示す説明図である。
【図2】本発明の熱伝導板を組み付けるシリコンウエハの温度調節装置の一例(冷却装置)を示す説明図である。
【図3】本発明の熱伝導板の一実施例を示す平断面図である。
【図4】上記実施例の縦断面図である。
【図5】A及びBは、銅板に鋳込む補強材の一例を示す平面図及び断面図である。
【図6】A及びBは、同補強材の他の一例を示す平面図及び断面図である。
【図7】A及びBは、補強材のさらに他の一例を示す平面図及び断面図である。
【図8】A及びBは、補強材のさらに他の一例を示す平面図及び断面図である。
【符号の説明】
1 熱伝導板
10 銅板
11 補強材
12 枠状部材
12a 隙間
21 補強材
22 板状部材
22a〜22d 隙間

Claims (3)

  1. シリコンウエハを所定の温度に加熱または冷却する温度調節装置のフェースプレートとして、温度調節部とシリコンウエハとの間で熱の伝導を行う熱伝導板であって、
    銅板の内部に補強材を鋳込むことにより構成し、その補強材を、銅よりも大きい曲げ強度を有する材料により形成され、内部に表裏面の銅材を相互に繋ぐための多くの隙間を有するものとした、
    ことを特徴とするシリコンウエハの温度調節装置用熱伝導板。
  2. 補強材を、多くの隙間を介して結合された枠状部材により構成したことを特徴とする請求項1に記載のシリコンウエハの温度調節装置用熱伝導板。
  3. 補強材を、板状部材に多数の孔からなる隙間を設けることにより構成したことを特徴とする請求項1に記載のシリコンウエハの温度調節装置用熱伝導板。
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