JP3548628B2 - 水深計測機能付き電子機器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、水深計測機能付き電子機器における誤った検出を防止する操作手法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水深計測機能付き電子機器において、外装ケースと絶縁した外部端子を設け、この端子と外装ケースとが水を介して電気的に導通することで水に濡れたことを検出し、自動的に水深計測を開始するという提案がされている。
【0003】
また、本出願人はWO94/20886において、水深測定のための水深0m基準計測を一定時間間隔で行ない、前述のような水濡れ検出手段によって水に濡れた時点から水深測定を開始し、さらに所定の水深たとえば1m以上の水深を計測した時点でダイバーが潜水したと認知し、潜水計測状態になることによって、ダイバーの操作の利便性を改善する提案を行った。
【0004】
以下、図3を用いて従来の技術について説明する。
図3において、1は圧力Pに比例した圧力信号Spを出力する圧力センサ、2は圧力センサ1に定電流を流して駆動するセンサ駆動回路、3は水上において大気圧の圧力信号Spを測定して0m基準値となる零基準信号Ddzを出力する零基準計測回路、4は水中において水圧の圧力信号Spを測定して水深値となる水深信号Ddmを出力する水深計測回路、5は1m以上の水深を感知すると水深判断信号Dj1を出力する水深判断回路、6は水又は海水に接触したことを検出する水感知スイッチ部、7は水感知スイッチ部6がオフの場合5分毎に0m基準値計測を行うためのタイミング信号である零基準計測開始信号Dpzを出力し、水感知スイッチ部6がオンの場合1秒毎に水深計測を行うためのタイミング信号である水深計測開始信号Dpdを出力するタイミング回路、10は零基準計測回路3および水深計測回路4からの零基準信号Ddzおよび水深信号Ddmに基づいて水深を演算し水深値Ddptを出力する計測演算処理回路、11は通常は時刻計時回路12からの時刻信号Dtmに基づいた表示信号Ddspを出力し、水深判断信号Dj1が入力されると水深値Ddptに基づいた表示信号Ddspを出力する表示回路、12は時刻を計時し時刻信号Dtmを出力する時刻計時回路、13は前記表示信号Ddspに基づいた表示を行うための液晶表示部、14は時計表示を行うためのモータ駆動回路、15は指針表示回路である。
【0005】
上記回路構成を有する水深計測機能付き電子機器は次のように動作する。
タイミング回路7は水感知スイッチ部6の入力状態を監視し、水感知スイッチ部6がオフすなわちダイバーが水上にいる時、図4のタイミングチャートに示すように5分毎に零基準計測開始信号Dpzをセンサ駆動回路2および零基準計測回路3にそれぞれ供給する。これにより、圧力センサ1は大気圧に基づいた圧力信号Spを零基準計測回路3に供給し、零基準計測回路3は圧力信号Spを増幅および数値化を行い零基準信号Ddzを計測演算処理回路10に供給する。計測演算処理回路10は零基準信号Ddzを0mの基準値として記憶する。水感知スイッチ部6がオンすなわちダイバーが水中にいる時、タイミング回路7は図4のタイミングチャートに示すように1秒毎に水深計測開始信号Dpdをセンサ駆動回路2および水深計測回路4にそれぞれ供給する。これにより、圧力センサ1は大気圧に基づいた圧力信号Spを水深計測回路4に供給し、水深計測回路4は圧力信号Spを増幅および数値化を行い水深信号Ddmを計測演算処理回路10に供給する。計測演算処理回路10は水深信号Ddmを先に求めた零基準信号Ddzと比較し、水深値Ddptを算出し出力する。この時、水深値Ddptが1m以上である場合、水深判断回路5は水深判断信号Dj1を出力し表示回路11を水深信号Ddptに切り替え表示する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、水深測定のための水深0m基準計測を一定時間間隔で行い、つまり地上にいる状態での気圧を5分間隔で計測し、その時点の気圧を水深0mとして取り込んでおき、その後上記の水濡れ検出手段によって水に濡れた時点から前述の水深0m基準値を基に水深計測を行うという手法を水深計測機能付き電子機器に取り入れると、あくまでも水深0m基準となる圧力データが水深測定の基準となることは明らかである。
【0007】
そのためには、できるだけ潜水直前の水深0m基準計測を行なうことで水深測定の精度を上げ、非常に短い間隔で水深0m基準計測することが望まれるが、消費電流の面から不利になる。一方、この間隔を長くすると、たとえば1時間毎にすると次のような問題が生じてしまう。
【0008】
つまり航空機に搭乗している時など数千m以上上空を飛行中は機内が気圧調整されているとはいえ、地上との気圧差は高度相当で約2000mの高度差になる。そのため、上空で水深0m基準計測を行い、地上に降りてきた以降に、つぎの水深0m基準計測の機会が来る前に、汗に濡れるなどの何等かの動作によって、前述のような水濡れ検出手段に水分が濡れた状態を作ることで水深計測がおこなわれる。そのとき、前回の水深0m基準計測の機会との気圧差が所定の水深、たとえば1m以上の水深を計測すると、ダイバーが潜水したものと誤認知した状態になる。このため、潜水計測状態で表示ロックとなってしまい、機能の制限を受けるばかりか、水深計測による消費電流の増加によって、小型電池を主電源にする水深計測機能付き電子機器においては致命的な問題となる。
【0009】
以上の制約により、水深0m基準計測は5〜10分間隔で行われているが、予想を超える大きな気圧の変化があり誤って潜水計測状態となることを完全に避けることはできない。そしてこの誤認知した状態から元の状態に復帰するには、強制的にスイッチを操作して復帰させる提案を行ったが、ダイバーがこれに気づかない場合は最悪の場合電池を使いきってしまう。また、なんらかの方法で元の状態に復帰する場合もダイバーに一時的に混乱を生じさせるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記のような欠点の回避し、正常な使用での水深計測状態と、誤認識による水深計測状態とを正しく判断して水深計測状態から自動的に離脱、あるいは水深計測状態に移行しないよう制御される水深計測機能付き電子時計を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、圧力センサと、該圧力センサによって検出した水圧を基に水深を計測する水深計測回路と、前記水深が所定の水深以上になったことを判断する水深判断手段と、水などに接触したことを検出した時にオンとなる水感知スイッチ部とを備え、前記水感知スイッチ部の状態により前記水深計測回路の動作を制御する水深計測機能付き電子機器において、前記水感知スイッチ部がオンとなることにより前記水深計測回路が動作を開始している状態において、前記水深判断手段により所定の水深以上と判断され、かつ前記水感知スイッチ部が一定時間オフなら、誤認識による水深計測状態と判断して水深計測を中止することを特徴とする。
【0012】
また、水上において大気圧を測定して水深0mの基準値を出力する零基準計測回路を備え、該零基準計測回路の零基準信号と前記水深計測回路の水深信号とを比較することにより水深値を算出することを特徴とする。
また、前記零基準計測回路は地上において一定時間間隔で水深0mの基準値計測を行なうことを特徴とする。
また、前記水深計測回路が動作を開始して以降に前記水感知スイッチ部のオン信号を検出すると水深計測モードへ移行することを特徴とする。
また、時刻を計時し時刻信号を出力する時刻計時回路を設け、前記水深判断手段と前記水感知スイッチ部の出力信号に基づき前記表示手段の表示を水深表示または時刻表示に切り換えることを特徴とする。
【0013】
【実施例】
以下図面に基づいて本発明の実施例を詳述する。
図1は本発明による水深計測機能付き電子機器の全体システムを示すシステム図である。
以下この図を参照して本発明を説明する。図中図3と同一要素には、同一番号を付し説明を省略する。
7は従来のタイミング回路に加え、水深判断信号Dj1の入力により1秒毎の水感知スイッチサンプリング信号Dctを後述する水感知スイッチオンカウント回路8および水感知スイッチオフカウント回路9にそれぞれ供給する。また水感知スイッチオフカウント回路9よりキャンセル信号Dcnが入力されると水深計測開始信号Dpdおよび水感知スイッチサンプリング信号Dctの出力をキャンセルし、再び5分毎に零基準計測開始信号Dpzの出力を開始する。8はタイミング回路7からの水感知スイッチサンプリング信号Dctを供給された後、水感知スイッチ部6がオンしていた場合は表示回路11に水深値Ddptに基づいた水深表示値に切り替えるための水深モード信号Ddvを供給する水感知スイッチオンカウント回路である。9はタイミング回路7からの水感知スイッチサンプリング信号Dctにより水感知スイッチ部6がオフしている回数をカウントし256回カウントするとタイミング回路7および計測演算処理回路10の動作を停止し水深計測を終了させるキャンセル信号Dcnを供給するための水感知スイッチオフカウント回路である。
【0014】
次に上記構成を有する本発明によるセンサ信号処理装置の動作について説明する。
今、図2に示すように、水深0m基準計測が5分間隔で行われている。この間に飛行機等に搭乗したダイバーが、1000m以上の飛行機の降下をした時に、汗ばんだ手等で水感知スイッチ部6を触ってしまった場合、前述したように、0.5秒後に計測演算処理回路10は1m以上の水深値Ddptを水深判断回路5に供給する。この結果、水深判断信号Dj1がタイミング回路7に供給される。すると、この0.5秒後に水感知スイッチサンプル信号Dctがタイミング回路7より出力され、水感知スイッチオンカウント回路8は水感知スイッチ部6の入力状態をチェックし、オフであれば水深モード信号Ddvを出力しない。よって表示回路11は時刻信号Dtmを選択した状態であるので液晶表示部13は時刻を表示したままである。一方、水感知スイッチオフカウント回路9は水感知スイッチ部6のオフの状態をカウントし始める。そして、誤って水深計測モードに移行した場合でも、潜水状態でなければ水感知スイッチ部6はオフのままであるので、水感知スイッチオフカウント回路9は水感知スイッチ部6のオフ状態をカウントし続ける。そして、水感知スイッチ部6のオフ状態を256回カウントしたら、水感知スイッチオフカウント回路9はキャンセル信号Dcnをタイミング回路7に出力する。タイミング回路7は水深計測開始信号Dpdおよび水感知スイッチサンプリング信号Dctの出力を停止する。これにより、水深計測動作をキャンセルするとともに水感知スイッチオンカウント回路8をリセットする。この結果、水深モード信号Ddvの出力を停止し、表示回路11の表示信号Ddspを時刻信号Dtmに切り替え、時刻表示モードに復帰させる。
【0015】
上記説明にあるように、本実施例では水感知スイッチカウント回路8が水感知スイッチ部6の入力オンを1回カウントすると水深計測モードに移行してしまう。これでは誤って水深計モードに移る可能性が高くなる。これを防ぐには水感知スイッチオンカウント回路8のカウント回数を2回、3回と増やしていけば良いが、正常な潜水時に水深計測状態への移行が数秒かかってしまい使い勝手が悪くなってしまう。水感知スイッチオンカウント回路8のカウント回数が1回であれば、0.5秒の遅れのみで水深計測モードに移行が可能となる。
【0016】
【発明の効果】
上記のごとく本発明では、水感知スイッチ部が汗などにより誤って水濡れを検出し、さらに水深判断回路が飛行機の急降下などによる著しい気圧変化により所定の水深値以上を検出して水深計測モードに入ったとしても、水感知スイッチ部の状態を検出し、一定時間オフであれば時刻モードに戻るよう制御されているため、誤って水深計測モードに入っても、無駄な消費電力を使ったり、使用者が混乱したりすることを避けることができる。さらに一定の水深値以上を検出した後すぐに水感知スイッチ部の状態を検出してオフであれば水深計測モードへの移行を避けるようにしているので、ちょっとした水感知スイッチ部による誤入力による水深計測モードへの移行を防ぐことができる。また水感知スイッチオンカウント回路のオンカウント数が1回で水深計測モードに移行するため、実際のダイビングで使用するときも速やかにモード変更がおこなわれる。
よって使用者が本当に水中に潜水している時ダイバーは違和感なく水深計測機能を使用でき、さらに瞬間的な水感知スイッチ部の誤検出の場合水深計測状態への移行を禁止することができる。また、誤って水深計測モードへ移行した場合でもダイバーが特別な操作をすることなく自動的に時刻表示状態へ復帰してくれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の水深計測機能付き電子機器の全体システムを示すシステム図である。
【図2】図1の実施例の水深計測機能付き電子機器の動作タイミングチャートを示したものである。
【図3】従来例の水深計測機能付き電子機器の全体システムを示すシステム図である。
【図4】図3の従来例の水深計測機能付き電子機器の動作タイミングチャートを示したものである。
【符号の説明】
1 圧力センサ
2 センサ駆動回路
3 零m基準計測回路
4 水深計測回路
5 水深判断回路
6 水感知スイッチ部
7 タイミング回路
8 水感知スイッチオンカウント回路
9 水感知スイッチオフカウント回路
10 計測演算処理回路
11 表示回路
12 時刻計時回路
13 液晶表示部
14 モータ駆動回路
15 指針表示部
Claims (5)
- 圧力センサと、
該圧力センサによって検出した水圧を基に水深を計測する水深計測回路と、
前記水深が所定の水深以上になったことを判断する水深判断手段と、
水などに接触したことを検出した時にオンとなる水感知スイッチ部とを備え、
前記水感知スイッチ部の状態により前記水深計測回路の動作を制御する水深計測機能付き電子機器において、
前記水感知スイッチ部がオンとなることにより前記水深計測回路が動作を開始している状態において、前記水深判断手段により所定の水深以上と判断され、かつ前記水感知スイッチ部が一定時間オフなら、誤認識による水深計測状態と判断して水深計測を中止することを特徴とする水深計測機能付き電子機器。 - 水上において大気圧を測定して水深0mの基準値を出力する零基準計測回路を備え、該零基準計測回路の零基準信号と前記水深計測回路の水深信号とを比較することにより水深値を算出することを特徴とする請求項1に記載の水深計測機能付き電子機器。
- 前記零基準計測回路は水上において一定時間間隔で水深0mの基準値計測を行なうことを特徴とする請求項2に記載の水深計測機能付き電子機器。
- 前記水深計測回路が動作を開始して以降に前記水感知スイッチ部のオン信号を検出すると水深計測モードへ移行することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水深計測機能付き電子機器。
- 時刻を計時し時刻信号を出力する時刻計時回路を設け、前記水深判断手段と前記水感知スイッチ部の出力信号に基づき前記表示手段の表示を水深表示または時刻表示に切り換えることを特徴とする請求項4記載の水深計測機能付き電子機器。
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