JP3548223B2 - 画像処理方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は画像処理方法及び装置に関し、特に、画像入出力部の性能によらない色表現を実現するためにカラーマッチング処理を行うカラーマネジメントシステムを適用した画像処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、画像処理装置を構成する画像入出力部で固有である色表現特性を補正し、画像入出力部の性能によらない色表現を可能とするカラーマネジメントシステム(Color Management System)を採用した画像処理装置が提案されている。このような画像処理装置においては、例えばスキャナやスチルビデオ等、どのような画像入力部から入力した画像データでも、CRTや液晶ディスプレイ等のどのような表示部、又はプリンタ、印刷機等のどのような画像出力部に対して出力を行う際に、その画像が持つ本来の色再現性を保ったままでの出力が可能となる。
【0003】
上述した従来の画像処理装置におけるカラーマネジメントシステムとは、画像入出力部の色再現能力情報に従って画像データに色空間圧縮処理を施すことにより、色再現性を制御する機能である。画像入出力部の色再現能力情報とは、画像入出力部毎の色再現特性を示す情報であり、画像入力部及び画像出力部を選択することにより、一義的に決定される。該色再現能力情報は、画像処理装置内の所定の処理部に格納される。
【0004】
また、色空間圧縮処理とは、画像データの本来の色情報を、色再現範囲の狭い画像出力部の色再現特性に合わせるための処理(以下、「カラーマッチング処理」と称する)である。従来の画像処理装置におけるカラーマッチング処理では、彩度保存圧縮法や色相保存圧縮法等、種々の方法が存在し、選択可能であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の画像処理装置におけるカラーマッチング処理では、選択可能な複数の方法のうち、処理対象である画像データの種類(イメージデータ、コンピュータグラフィックス等)や、使用されている色数、色あい等によって、最適なカラーマッチング処理方法が異なる。そのため、操作者は複数のカラーマッチング処理を切り替えてそれぞれ実行した後に、処理後の画像を表示部上に表示し、かつ画像出力部から出力して逐一比較することにより、最適なカラーマッチング処理方法を決定する必要があった。
【0006】
従って、最適なカラーマッチング処理方法を選択するために操作者は煩雑な作業を余儀なくされ、時間的な無駄が生ずるばかりでなく、記録用紙等の消耗品を余分に消費してしまっていた。そして、操作者の視覚に頼って最適なカラーマッチング処理方法を選択するため、作業時の照明の条件や操作者の個人差等によって、選択基準が曖昧となっていしまっていた。
【0007】
また、画像のなかで特に優先してカラーマッチング処理を行いたい色範囲が存在した場合にも、同様に選択基準が曖昧であった。
【0008】
また、カラーマッチング処理方法を選択する別の方法として、対象画像全体についての各カラーマッチング処理前後の画像の色差の最大値や分散を比較し、カラーマッチング方法を選択する方法もある。しかしながらこの選択方法においては、優先してカラーマッチング処理を行いたい色範囲が存在した場合においても、優先したい色範囲も他の色範囲と同じ重みで扱われてしまうため、操作者の所望する最適なカラーマッチング処理は行えなかった。
【0009】
従って従来の画像処理装置においては、最適なカラーマッチング処理方法を選択するために、結局は操作者の視覚に頼らざるを得ず、全てのカラーマッチング処理方法を実際に一度行う必要があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、上述した課題を解決するために、以下の構成を備える。
【0011】
即ち、カラーマッチング処理方法を選択する処理方法選択手段と、前記処理方法選択手段により選択されたカラーマッチング処理方法を評価する評価方法を決定する評価方法決定手段と、画像データに対して前記処理方法選択手段により選択されたカラーマッチング処理を施すカラーマッチング処理手段と、前記カラーマッチング処理手段でカラーマッチング処理を施された画像データを前記評価方法決定手段で決定された評価方法で評価した結果に基づいてカラーマッチング処理方法を決定する処理方法決定手段とを有することを特徴とする。
【0012】
例えば、前記評価方法はカラーマッチング処理前後の画像の色差の平均値に基づいて評価することを特徴とする。
【0013】
また例えば、前記評価方法はカラーマッチング処理前後の画像の最大色差に基づいて評価することを特徴とする。
【0014】
また例えば、前記評価方法はカラーマッチング処理前後の画像の分散に基づいて評価することを特徴とする。
【0015】
更に、各種情報を表示することにより報知可能な表示手段と、選択指示入力を行う指示入力手段と、少なくとも2つのカラーマッチング処理方法を保持する保持手段とを有し、前記処理方法選択手段は前記保持手段に保持された処理方法を前記表示手段に表示して前記指示入力手段から選択指示入力を行うことにより選択を行うことを特徴とする。
【0016】
更に、前記保持手段は少なくとも2つのカラーマッチング処理評価方法を保持し、前記評価方法決定手段は前記保持手段に保持された評価方法を前記表示手段に表示して前記指示入力手段から選択指示入力を行うことにより評価方法を決定することを特徴とする。
【0017】
更に、注目色を選択する注目色選択手段を含み、前記処理方法決定手段は前記注目色選択手段により選択された注目色に対してのみカラーマッチング処理を施してカラーマッチング処理方法を決定することを特徴とする。
【0018】
更に、各種情報を表示することにより報知可能な表示手段と、選択指示入力を行う指示入力手段とを有し、前記注目色選択手段は前記画像データに使用されている色情報を前記表示手段に表示して前記指示入力手段から選択指示入力を行うことにより選択を行うことを特徴とする。
【0019】
更に、少なくとも1つの画像データを保持する画像データ保持手段と、前記画像データ保持手段に保持された画像データから1つの画像データを選択する画像データ選択手段とを有し、前記カラーマッチング処理手段は前記画像データ選択手段により選択された画像データに対してカラーマッチング処理を施すことを特徴とする。
【0020】
更に、各種情報を表示することにより報知可能な表示手段と、選択指示入力を行う指示入力手段とを有し、前記画像データ選択手段は前記画像データ保持手段に保持された画像データを前記表示手段に表示して前記指示入力手段から選択指示入力を行うことにより選択を行うことを特徴とする。
【0021】
また例えば、前記カラーマッチング処理手段は画像データ中に使用されている各色に対してカラーマッチング処理を施して処理前後の各色の情報を得る色変換情報取得手段と、処理前の画像データの色情報を前記色変換情報取得手段で得られた処理後の色情報に置換することによりカラーマッチング処理を行う色情報置換手段とを含み、前記色情報置換手段は前記処理方法決定手段により決定されたカラーマッチング処理方法を用いることを特徴とする。
【0022】
【作用】
以上の構成により、画像データに対して最適なカラーマッチング処理方法を決定することができる画像処理装置を提供する。
【0023】
更に、操作者が一度カラーマッチング処理方法の候補及びその選択方法を選択することにより、後は操作者が介在すること無く、最適なカラーマッチング処理を施した画像データを出力する画像処理装置を提供する。
【0024】
更に、注目色を選択させることにより、注目色に最適なカラーマッチング処理方法を簡単に選択することができる画像処理装置を提供する。
【0025】
更に、種々の選択処理の際に複数の候補を表示することにより、一定の基準を満たした選択ができるばかりでなく、操作性においても優れた画像処理装置を提供することができるという特有の作用効果が得られる。
【0026】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明に係る一実施例を詳細に説明する。
【0027】
<第1実施例>
図1は、本実施例の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【0028】
図1において、201はCPU等の制御部であり、データや命令の演算、判断、制御を行い、本実施例の画像処理装置における大部分の処理を制御する。尚、制御部201には処理プログラム等を格納したROMや、作業領域となるRAM等が含まれている。202はキーボードやマウス等の入力装置であり、操作者が画像処理装置に対してコマンド等の入力を行う。203はメモリやハードディスク等の記憶部であり、本実施例において後述する色再現能力情報やカラーマッチング処理方法等もここに格納される。204はCRTや液晶ディスプレイ等の表示部であり、即時的に画像を表示するが、次の表示が行われた場合には以前の表示を失ってしまう。205はスキャナやスチルビデオカメラ等の画像入力部であり、本実施例でカラーマッチング対象となる画像データを入力する。206はプリンタやイメージセッタ等の画像出力部であり、本実施例では記録用紙やフィルム等の記録媒体に対して画像を最終的に出力する。207はカラーマッチング処理部であり、本実施例におけるカラーマッチング処理を制御する。
【0029】
本実施例において表示部204は、あくまでも一時的に画像を表示して、操作者が確認するために備えられているものとし、画像出力部206とは異なり画像を最終的に出力するためのものではない。
【0030】
上述した構成をなす本実施例の画像処理装置において、そのカラーマッチング処理について以下詳細に説明する。尚、画像出力装置206としてカラープリンタが接続・選択されており、また、記憶部203にはCM1,CM2,CM3,CM4の4種類を含む複数のカラーマッチング処理方法が格納されているものとする。この時、画像出力部206の色再現特性を示す色再現能力情報に従えば、記憶部203に格納されているCM1,CM2,CM3,CM4の4種類の方法によるカラーマッチング処理が実行可能であるとする。
【0031】
図2は、本実施例におけるカラーマッチング処理を示すフローチャートである。図2において、まずステップS101で最終的に画像出力部206に出力させる画像データを画像入力部205から入力する。そしてステップS102で入力した画像データを表示部204に表示する。
【0032】
次にステップS103において、操作者は表示部204に表示された画像を確認して、該画像に対してカラーマッチング処理を行うか否かを入力部202から適当な入力を行うことにより、判断する。ステップS103において、カラーマッチング処理を行うと判断されると処理はステップS104に進む。一方、カラーマッチング処理を行わないと判断されると、処理はステップS115に進み、画像データは画像出力部206にそのまま出力される。
【0033】
ステップS104においては、記憶部203に予め登録されている複数のカラーマッチング処理方法のうち、画像出力部206の色再現能力情報に基づいて有効となる方法のみを抽出し、その一覧を表示部204に表示する。即ち、本実施例においてはCM1,CM2,CM3,CM4の4通りのカラーマッチング処理方法が、表示部204に一覧表示される。尚、画像出力部206の色再現能力情報も予め記憶部203に格納されている。
【0034】
そしてステップS105において、表示されたカラーマッチング処理方法の一覧から、操作者は画像に適用するカラーマッチング処理方法を目的に応じて少なくとも1つ選択する。例えば、原色をできるだけ忠実に再現したいのであれば、原色保存方式のカラーマッチング方式を候補として選択する。本実施例では、CM1、CM2、CM3の3通りの方法が選択されたとする。選択されたCM1,CM2,CM3のカラーマッチング処理方法は、カラーマッチング処理方法の選択候補として記憶部203に保管される。
【0035】
そして処理はステップS106に進み、ステップS105で選択された少なくとも1つのカラーマッチング処理方法から最終的に1つの方法を選択するための評価方法が、表示部204に一覧表示される。尚、この評価方法も予め記憶部203に格納されている。そしてステップS107で操作者は表示された評価方法一覧を参照して、入力部202より適切な評価方法を1つ決定する。そして、決定されたカラーマッチング処理方法の評価方法は、記憶装置203に格納される。
【0036】
本実施例におけるカラーマッチング処理方法の評価方法としては、例えば、「CIELAB表色空間におけるカラーマッチング処理前後の画像の色差の平均値が最小となる方法」や、「同色差の最大値が最小となる方法」や、また、「同色差の分散が最小となる方法」等が考えられる。本実施例においては、ステップS107で「CIELAB表色空間での処理前後の画像の色差の最大値が最小となるカラーマッチング方法を選択する」という評価方法が決定されたものとする。
【0037】
続いて処理はステップS108に進み、ステップS101で入力された画像データが複数であった場合、操作者がカラーマッチング処理を行う対象となる画像を最終的に入力部202より選択・確認・決定する。
【0038】
尚、ステップS108で選択される画像データは上述した様にステップS101で入力された画像データに限らず、記憶部203に格納されたRGB色空間上の画像データであれば良く、例えば表示部204にそれぞれ表示して操作者が選択できるようにしても良い。また、本実施例において予め記憶部203に格納されたRGB色空間上の画像データに対してカラーマッチング処理を行うのであれば、上述したS101における画像データ入力処理は行わなくてもよい。
【0039】
次にステップS109では、カラーマッチング処理方法を選択するのにさきだって、そのための前準備処理を行う。例えば、本実施例においてはステップS107で決定されたように、「CIELAB表色空間での処理前後の画像の色差の最大値が最小となるカラーマッチング方法を選択する」という評価方法を採用した。この評価処理の際に、画像中に同じ色が存在していた場合そのまま単純に全ての画素について処理前後の画素の色差を計算すると、同じ計算を何度も行うことになってしまう。この無駄を避けるため、ステップS109において、原画像データに含まれている色のヒストグラム C(r,g,b)を生成して記憶部203上に保存する。このヒストグラム C(r,g,b)により、画像中にどの色が使用されているかを即座に調べることができる。尚、(r,g,b)は色座標で示された色を示す。
【0040】
但し、ステップS109における前準備処理は、ステップS107で選択された評価方法によっては必要でない場合も想定できる。もちろん、そのような場合にはステップS109の処理は行わない。
【0041】
そしてステップS110において、ステップS105で選択した少なくとも1つのカラーマッチング処理方法(CM1,CM2,CM3)のうち、未実行であるものを1つ、例えばCM1を選択し、CM1方法を用いてカラーマッチング処理部207でカラーマッチング処理を実行する。この時、ステップS109で生成したヒストグラム C(r,g,b)から画像中で使用されている色(r,g,b) を判断して、その色についてカラーマッチング処理を実行して、カラーマッチング処理後の色(r',g',b')を得る。ここで、カラーマッチング処理による変換をfとすると、処理後の色(r',g',b')は以下の様に表わせる。
【0042】
(r',g',b')=f(r,g,b)
カラーマッチング処理後の色(r',g',b')は、元の色(r,g,b)と対応させて記憶部203に格納する。また、記憶部203に格納されているカラーマッチング処理方法の候補一覧に、CM1についてカラーマッチング処理を実行したことを例えばフラグ等を用いて記録する。
【0043】
次にステップS111に進み、ステップS109で生成したヒストグラムC(r,g,b) から判断される画像中で使用されている色(r,g,b) と、ステップS110で得られたカラーマッチング処理後の色(r',g',b')により、ステップS107で決定した評価方法により、カラーマッチング処理方法CM1の評価を行う。カラーマッチング処理前後の画素のCIELAB表色空間での色差の最大値をEmax とすると、Emax は以下の式で表わされる。
【0044】
Emax = max(ΔE(r,g,b))
但し、C(r,g,b)>0 であるような(r,g,b) について、
ΔE(r,g,b)={(l(r',g',b')-l(r,g,b))^2 +(a(r',g',b')-a(r,g,b))^2 +(b(r',g',b')-b(r,g,b))^2 }^(1/2)
(m^n は、mのn乗を示す)
r,g,b:原画像の色座標
r',g',b':r,g,bをカラーマッチング処理を施した後の色座標
l(r,g,b),a(r,g,b),b(r,g,b):(r,g,b)に対するRGB表色空間からCIELAB表色空間への変換関数
上述したようにして求められた色差の最大値Emax は、記憶部203に格納されているカラーマッチング処理方法の候補一覧に、CM1についての評価値として記録する。
【0045】
次にステップS112に進み、ステップS105で選択したカラーマッチング処理方法(CM1,CM2,CM3)の全てについて、ステップS110及びステップS111におけるカラーマッチング処理の評価が終了しているかを、記録部203に格納されたカラーマッチング処理方法の候補一覧より判断する。例えば、CM2,CM3についてカラーマッチング処理が未評価であれば、処理はステップS110へ戻り、今度はCM2について上述した処理を繰り返す。
【0046】
一方、ステップS112において全てのカラーマッチング処理方法について評価が終了したと判断されると、処理はステップS113に進む。ステップS113においては、ステップS111で求められた各カラーマッチング処理方法における色差の最大値Emax を比較して、Emax が最も小さいカラーマッチング処理方法を最適であるとして選択する。
【0047】
そしてステップS114において、原画像データの各色(r,g,b) をステップS110で記憶部203に格納されたカラーマッチング処理後の色(r',g',b')のうち、ステップS113で選択された最適なカラーマッチング処理方法に対応するものに置き替える。この処理により、原画像データに対して、実質的に最適なカラーマッチング処理を施したのと同様の画像データを得ることができる。
【0048】
そしてステップS115において画像出力部206に、ステップS114で得られたカラーマッチング処理済みの画像データを最適な画像データとして出力する。
【0049】
尚、ステップS105におけるカラーマッチング処理方法の選択、及びステップS107における最適なカラーマッチング処理方法の評価方法の選択、及びステップS108における対象画像データの確定処理の実行順序は、この例に限定されるものではなく、どのような順番で行ってもよい。例えば、メニュー等を表示して操作者に各処理を選択させることによって、処理順序を任意としてもよい。
【0050】
また、ステップS105においてカラーマッチング処理方法を操作者が1つしか選択しなかった場合には、無条件にその方法を用いてカラーマッチング処理を施し、画像データを出力する。
【0051】
以上説明したように本実施例によれば、操作者が一度カラーマッチング処理方法の候補及びその選択方法を選択することにより、後は操作者が介在すること無く、最適なカラーマッチング処理を施した画像データを出力することができる。
【0052】
従って、最適なカラーマッチング処理方法を選択するための時間及びコストが削減できるばかりでなく、操作者の主観による判断を無くすことができる。
【0053】
<第2実施例>
以下、本発明に係る第2実施例について、詳細に説明する。第2実施例においては、カラーマッチング処理を行う際に、特に優先して処理したい色範囲が存在している場合について説明を行う。
【0054】
第2実施例における画像処理装置の構成は上述した第1実施例の図1に示す構成と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
次に、第2実施例の画像処理装置におけるカラーマッチング処理について以下詳細に説明するが、画像出力装置206としてカラープリンタが接続・選択されており、また、記憶部203にはCM1,CM2,CM3,CM4の4種類を含む複数のカラーマッチング処理方法が格納されているものとする。この時、画像出力部206の色再現特性を示す色再現能力情報に従えば、記憶部203に格納されているCM1,CM2,CM3,CM4の4種類の方法によるカラーマッチング処理が実行可能であるとする。
【0056】
第2実施例においては、図3に示す画像をカラーマッチング処理の対象画像として、説明する。図3は、RGB空間(0≦R≦255,0≦G≦255,0≦B≦255)で示される色座標データを持つ画像データであり、樹木を背景とする人物が描写されている。
【0057】
図4は、第2実施例におけるカラーマッチング処理方法の選択処理を示すフローチャートである。
【0058】
図4において、まずステップS301で操作者がカラーマッチング処理の対象となる画像を入力部202からの入力により特定する。第2実施例においては、図3に示す画像データを特定したとする。そしてステップS302に進み、ステップS301で特定された図3に示す画像データについて、使用されている色
(r,g,b)(0≦r≦255,0≦g≦255,0≦b≦255)及びその使用頻度c(r,g,b)を求め、記憶部203に格納する。
【0059】
次にステップS303において、操作者はカラーマッチング処理を行う際に特に優先して処理を行いたい色を注目色として選択する。画像データで使用されている色の情報は、既にステップS302で記憶部203に格納されているため、この使用色情報及び使用頻度情報を表示部204に表示する。また、使用色数が多い場合には、使用頻度の高い色が狭い色空間内に固まる現象が起こるため、色空間上で使用頻度がピークとなる色を求めて、表示装置204に付加情報として表示する。例えば、使用色数が256色を越えるような場合には、使用色の中から使用頻度分布のピークとなる色、又はその近傍の色の情報 p(r,g,b)を付加情報として表示する。尚、ピーク色情報 p(r,g,b)は、その値が「1」の時にピークであることを示し、「0」でピークでないことを示す。
【0060】
ここで、図5に表示部204における表示例を示す。図5の(a)は、XYZ表色系色度図にプロットされた対象画像(図3)中に使用されている色範囲を示す図である。また、図5の(b)は、XYZ表色系色度図にプロットされた対象画像(図3)中に使用されている色の使用頻度を示す図である。また、図5の(c)は、XYZ表色系色度図にプロットされた対象画像(図3)中に使用されている色の使用頻度ピークを示す図である。
【0061】
ステップS303においては、図5に示すような色情報を参照して、カラーマッチング処理の際の注目色を入力部202より選択する。図3に示す画像データであれば、人及び樹木が描写されているため肌色及び緑色の部分の色の使用頻度が高く、同時にピークを持っている。従って、操作者は肌色及び緑色のピークの中から、注目色を複数選択する。そして、選択された注目色情報 s(r,g,b)は、記憶部203に格納される。尚、注目色情報 s(r,g,b)は、上述したピーク色情報 p(r,g,b)に対応しており、その値が「1」の時に注目色であることを示し、「0」で注目色でないことを示す。また、ステップS303で、選択する注目色が1色であってももちろん構わない。
【0062】
尚、ステップS303における注目色の選択の際には、例えば使用頻度上位数色や、使用頻度ピークの上位数色を所定数選択する方法や、同時に注目色の選択/解除を行う方法も用意しても良い。また、表示部204における使用色情報等を表示方法も、操作者が注目色を選択することができれば、操作性を考慮してどのような表示形式で表示しても良い。
【0063】
次に処理はステップS304に進み、カラーマッチング処理方法を最終的に選択・決定するための選択方法を選択する。第2実施例におけるカラーマッチング処理方法の選択方法としては、上述した第1実施例と同様に、「CIELAB表色空間におけるカラーマッチング処理前後の画像の色差の平均値が最小となる方法」や、「同色差の最大値が最小となる方法」や、また、「同色差の分散が最小となる方法」等がまず考えられる。第2実施例においては、「CIELAB表色空間での処理前後の画像の色差の平均値が最小となるカラーマッチング処理方法を選択する」という選択方法がまず決定されたものとする。
【0064】
すると、色差の平均値を求めねばならないが、この平均値の求める方法、即ち、どのような重みづけ w(r,g,b)で平均値を算出するかも選択する。色差の平均値の算出方法としては、例えば「均等な重み付けによる算出」や、「使用頻度による重み付けによる算出」や、「任意の重み付けによる算出」等がある。第2実施例では、「肌色を注目色とした重み付けによる算出」(任意の重み付け)を選択したものとする。そして、選択された選択方法は、記憶部203に格納される。
【0065】
尚、ステップS304における選択は、複数の選択肢を表示装置204に表示し、その中から操作者が入力装置202より選択入力を行うことにより、また、必要に応じて何らかの値を入力することにより、実行される。
【0066】
続いて処理はステップS305に進み、カラーマッチング処理方法の候補を選択する。
【0067】
ステップS305においては、記憶部203に予め登録されている複数のカラーマッチング処理方法のうち、画像出力部206の色再現能力情報に基づいて有効となる方法のみを抽出し、その一覧を表示部204に表示する。即ち、本実施例においてはCM1,CM2,CM3,CM4の4通りのカラーマッチング処理方法が、表示部204に一覧表示される。尚、画像出力部206の色再現能力情報も予め記憶部203に格納されている。
【0068】
そしてステップS305において、表示されたカラーマッチング処理方法の一覧から、操作者は画像に適用するカラーマッチング処理方法を目的に応じて少なくとも1つ選択する。例えば、原色をできるだけ忠実に再現したいのであれば、原色保存方式のカラーマッチング方式を候補として選択する。本実施例では、CM1、CM2、CM3の3通りの方法が選択されたとする。選択されたCM1,CM2,CM3のカラーマッチング処理方法は、カラーマッチング処理方法の選択候補として記憶部203に保管される。
【0069】
そして処理はステップS306に進み、まずステップS303で選択した注目色に対して、ステップS305で選択した各カラーマッチング処理方法(CM1,CM2,CM3)をカラーマッチング処理部207においてステップS302で求めた使用色(r,g,b)と使用頻度c(r,g,b)を用いて実行し、そしてステップS304で設定した選択方法(カラーマッチング処理前後のCIELAB空間での色差を求め、肌色に重みづけを行った平均値が最小となるものを選択する方法)を用いて、各カラーマッチング処理方法の評価を行う。即ち、各カラーマッチング処理方法についての色差の平均値Ev を計算する。尚、ステップS303、S304、S305の各ステップで注目する色、選択方法、カラーマッチング処理方法の選択が行われていない場合には、それぞれ省略時の設定を予め決定しておき、その設定を用いて評価値を計算する。
【0070】
ここで、色差の平均値をEv は、
,色差の平均値をとる際の重み付けをw(r,g,b)とすると、Ev
は以下の式で表わされる。
【0071】
Ev=Σ(s(r,g,b)・w(r,g,b)・c(r,g,b)・ΔE(r,g,b))/Σ(s(r,g,b)・c(r,g,b))
但し、ΔE(r,g,b)={(l(r',g',b')-l(r,g,b))^2 +(a(r',g',b')-a(r,g,b))^2 +(b(r',g',b')-b(r,g,b))^2 }^(1/2)
(m^n は、mのn乗を示す)
r,g,b:原画像の色座標
r',g',b':r,g,bをカラーマッチング処理を施した後の色座標
l(r,g,b),a(r,g,b),b(r,g,b):(r,g,b)に対するRGB表色空間からCIELAB表色空間への変換関数
w(r,g,b): 色差の重み付け情報関数
s(r,g,b): 選択色情報関数
c(r,g,b): 使用色の使用頻度
【0072】
次にステップS307において、ステップS306で得られた各カラーマッチング処理方法に応じた色差の平均値Ev はその値の小さい順、即ち、評価値の良い順に並べ替えて、表示部204に表示するか、又は画像出力部206に出力する。
【0073】
尚、ステップS303,S304,S305については、その処理順序は上述した例に限定されるものではなく、例えば表示部204にメニュー等を表示して操作者が入力部202より任意に選択することにより、処理順序を変更してもよく、または処理を省略することも可能である。
【0074】
以上説明したように、第2実施例では図4に示すフローチャートに基づいてカラーマッチング方法を簡単に選択可能となる。第2実施例では、このようにカラーマッチング処理方法を選択した後、自動的にカラーマッチング処理を行って出力してもよいし、また、操作者の指示を待ってから、カラーマッチング処理を行ってもよい。
【0075】
以上説明したように第2実施例によれば、操作者が一度カラーマッチング処理の注目色及び選択方法及びカラーマッチング処理方法の選択方法式を選択することにより、後は操作者が介在すること無く、客観的に注目色に最適なカラーマッチング処理方法が選択できる。
【0076】
従って、最適なカラーマッチング処理方法を選択するための時間及びコストが削減できるばかりでなく、操作者の主観による判断を無くすことができる。
【0077】
尚、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても1つの機器から成る装置に適用しても良い。また、本発明は、システム或は装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用できることは言うまでもない。
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、操作者が一度カラーマッチング処理方法の候補及びその選択方法を選択することにより、後は操作者が介在すること無く、最適なカラーマッチング処理を施した画像データを出力することができる。
【0078】
更に、注目色を選択させることにより、注目色に最適なカラーマッチング処理方法を簡単に選択することができる。
【0079】
更に、種々の選択処理の際に複数の候補を表示することにより、一定の基準を満たした選択ができるばかりでなく、操作性においても優れた画像処理装置を提供することができる。
【0080】
従って、最適なカラーマッチング処理方法を選択するための時間及びコストが削減できるばかりでなく、操作者の主観による判断を無くし、客観的に最適なカラーマッチング処理を施すことができる。
【0081】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例の画像処理装置の構成を示す図である。
【図2】本実施例におけるカラーマッチング処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る第2実施例におけるカラーマッチング処理対象の画像の例を示す図である。
【図4】第2実施例におけるカラーマッチング処理方法の選択処理を示すフローチャートである。
【図5】第2実施例における画像中で使用されている色情報を示す図である。
【符号の説明】
201 制御部
202 入力部
203 記憶部
204 表示部
205 画像入力部
206 画像出力部
207 カラーマッチング部

Claims (22)

  1. カラーマッチング処理方法によって処理された画像データを評価する評価方法を決定する評価方法決定工程と、
    画像データに対してカラーマッチング処理を施すカラーマッチング処理工程と、
    前記カラーマッチング処理工程でカラーマッチング処理を施された画像データを前記評価方法決定工程で決定された評価方法で評価した結果に基づいてカラーマッチング処理方法を決定する処理方法決定工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
  2. 前記評価方法はカラーマッチング処理前後の画像の色差の平均値に基づいて評価することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  3. 前記評価方法はカラーマッチング処理前後の画像の最大色差に基づいて評価することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  4. 前記評価方法はカラーマッチング処理前後の画像の分散に基づいて評価することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  5. 少なくとも2つのカラーマッチング処理方法を保持し、
    前記処理方法選択工程は前記保持された処理方法を表示して操作者が選択することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  6. 少なくとも2つのカラーマッチング処理評価方法を保持し、
    前記評価方法決定工程は前記保持された評価方法を表示して操作者が選択することにより評価方法を決定することを特徴とする請求項5記載の画像処理方法。
  7. 注目色を選択する注目色選択工程を更に含み、
    前記処理方法決定工程は前記注目色選択工程により選択された注目色に対してのみカラーマッチング処理を施してカラーマッチング処理方法を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  8. 前記注目色選択工程は前記画像データに使用されている色情報を表示して操作者が選択することを特徴とする請求項7記載の画像処理方法。
  9. 保持された画像データから1つの画像データを選択する画像データ選択工程とを更に有し、
    前記カラーマッチング処理工程は前記画像データ選択工程により選択された画像データに対してカラーマッチング処理を施すことを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  10. 前記画像データ選択工程は前記保持された画像データを表示して操作者が選択することを特徴とする請求項9記載の画像処理方法。
  11. 前記カラーマッチング処理工程は画像データ中に使用されている各色に対してカラーマッチング処理を施して処理前後の各色の情報を得る色変換情報取得工程と、
    処理前の画像データの色情報を前記色変換情報取得工程で得られた処理後の色情報に置換することによりカラーマッチング処理を行う色情報置換工程とを含み、
    前記色情報置換工程は前記処理方法決定工程により決定されたカラーマッチング処理方法を用いることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  12. カラーマッチング処理方法を選択する処理方法選択手段と、
    前記処理方法選択手段により選択されたカラーマッチング処理方法を評価する評価方法を決定する評価方法決定手段と、
    画像データに対して前記処理方法選択手段により選択されたカラーマッチング処理を施すカラーマッチング処理手段と、
    前記カラーマッチング処理手段でカラーマッチング処理を施された画像データを前記評価方法決定手段で決定された評価方法で評価した結果に基づいてカラーマッチング処理方法を決定する処理方法決定手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
  13. 前記評価方法はカラーマッチング処理前後の画像の色差の平均値に基づいて評価することを特徴とする請求項12記載の画像処理装置。
  14. 前記評価方法はカラーマッチング処理前後の画像の最大色差に基づいて評価することを特徴とする請求項12記載の画像処理装置。
  15. 前記評価方法はカラーマッチング処理前後の画像の分散に基づいて評価することを特徴とする請求項12記載の画像処理装置。
  16. 各種情報を表示することにより報知可能な表示手段と、
    選択指示入力を行う指示入力手段と、
    少なくとも2つのカラーマッチング処理方法を保持する保持手段とを更に有し、
    前記処理方法選択手段は前記保持手段に保持された処理方法を前記表示手段に表示して前記指示入力手段から選択指示入力を行うことにより選択を行うことを特徴とする請求項12記載の画像処理装置。
  17. 前記保持手段は少なくとも2つのカラーマッチング処理評価方法を更に保持し、
    前記評価方法決定手段は前記保持手段に保持された評価方法を前記表示手段に表示して前記指示入力手段から選択指示入力を行うことにより評価方法を決定することを特徴とする請求項16記載の画像処理装置。
  18. 注目色を選択する注目色選択手段を更に含み、
    前記処理方法決定手段は前記注目色選択手段により選択された注目色に対してのみカラーマッチング処理を施してカラーマッチング処理方法を決定することを特徴とする請求項12記載の画像処理装置。
  19. 各種情報を表示することにより報知可能な表示手段と、
    選択指示入力を行う指示入力手段とを更に有し、
    前記注目色選択手段は前記画像データに使用されている色情報を前記表示手段に表示して前記指示入力手段から選択指示入力を行うことにより選択を行うことを特徴とする請求項18記載の画像処理装置。
  20. 少なくとも1つの画像データを保持する画像データ保持手段と、
    前記画像データ保持手段に保持された画像データから1つの画像データを選択する画像データ選択手段とを更に有し、
    前記カラーマッチング処理手段は前記画像データ選択手段により選択された画像データに対してカラーマッチング処理を施すことを特徴とする請求項12記載の画像処理装置。
  21. 各種情報を表示することにより報知可能な表示手段と、
    選択指示入力を行う指示入力手段とを更に有し、
    前記画像データ選択手段は前記画像データ保持手段に保持された画像データを前記表示手段に表示して前記指示入力手段から選択指示入力を行うことにより選択を行うことを特徴とする請求項20記載の画像処理装置。
  22. 前記カラーマッチング処理手段は画像データ中に使用されている各色に対してカラーマッチング処理を施して処理前後の各色の情報を得る色変換情報取得手段と、
    処理前の画像データの色情報を前記色変換情報取得手段で得られた処理後の色情報に置換することによりカラーマッチング処理を行う色情報置換手段とを含み、
    前記色情報置換手段は前記処理方法決定手段により決定されたカラーマッチング処理方法を用いることを特徴とする請求項12記載の画像処理装置。
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