JP3547197B2 - ブロックポリイソシアネート、組成物、及び一液型熱硬化性組成物 - Google Patents
ブロックポリイソシアネート、組成物、及び一液型熱硬化性組成物 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はブロックポリイソシアネート及び一液型熱硬化性組成物、更に詳しくは、低温硬化性が高い上に貯蔵安定性、加熱黄変性にも優れ、しかもブロックポリイソシアネート自身が結晶化しにくい、ブロックポリイソシアネート及びそれを用いた一液型熱硬化性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリウレタン樹脂塗料は非常に優れた耐摩耗性、耐薬品性、耐汚染性を有している上に、脂肪族、または脂環式ジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートを用いたポリウレタン樹脂塗料はさらに耐候性が優れ、その需要は増加する傾向にある。
【0003】
しかしながら、一般にポリウレタン樹脂塗料は二液性であるため、その使用には極めて不便であった。即ち、通常のポリウレタン樹脂塗料はポリオールとポリイソシアネートの二成分からなり、別々に貯蔵し、塗装時に混合する必要がある。また、一旦混合すると塗料は短時間でゲル化し使用できなくなるのが現状である。このことは自動車あるいは弱電気塗装のようなライン塗装を行う分野においては、自動塗装を行うことを極めて困難にしている。また、イソシアネートは水と容易に反応するため、電着塗料の様な水系塗料での使用は不可能である。更に作業終了時の塗装機及び塗装槽の洗浄などを充分に行う必要があるので作業能率は著しく低下する。従来前記の欠点を改善するために、活性なイソシアネート基をすべてブロック剤で封鎖したブロックポリイソシアネートを用いることが提案されている。このブロックポリイソシアネートは、常温ではポリオールと反応しないが、加熱する事によりブロック剤が解離し活性なイソシアネート基が再生されてポリオールと反応し架橋反応が起るので、前記の欠点を改善することが出来る。従って数多くのブロック剤の検討がなされ、例えばフェノール、メチルエチルケトオキシム、などが代表的なブロック剤とされている。
【0004】
しかしながら、これらのブロック剤を用いたブロックポリイソシアネートにおいては、一般に140℃以上の高い焼付け温度が必要である。この様に高温での焼付けを必要とする事は、エネルギー的に不利であるばかりでなく、基材の耐熱性を必要とし、その用途が限定される要因となる。
また、特開平3−17116号公報にはピリジン系のブロックポリイソシアネートが低温焼付け型のブロックポリイソシアネートとして記載されている。しかしこのような低温焼付け型のブロックポリイソシアネートを用いた一液塗料は、低温焼付け可能である一方、貯蔵安定性が劣りその使用には大きな制約となっている。
【0005】
一方、低温焼付け型のブロックポリイソシアネートとして、アセト酢酸エステル、マロン酸ジエステル等の活性メチレン化合物を用いたブロックポリイソシアネートの研究がなされている。例えば、特開昭52−116420号公報にヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されたビュレット型ポリイソシアネートをアセト酢酸エステルでブロックしたブロックポリイソシアネートが記載されている。また、特開昭60−149572号公報にヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されたイソシアヌレート型ポリイソシアネートをアセト酢酸エステルでブロックしたブロックポリイソシアネートが記載されている。しかしアセト酢酸エステルでブロックしたブロックポリイソシアネートを用いると焼付けにより塗膜が著しく黄変し、本来外観を向上させる目的で用いられる塗料の機能を著しく低下させる。また、特開昭57−121065号公報にマロン酸ジエステルでブロックしたブロックポリイソシアネートが記載されている。しかし、マロン酸ジエステルでブロックしたブロックポリイソシアネートは低温で結晶化する傾向を示し、溶液型の塗料として使用する場合、溶剤の選択、低樹脂分にする等の制限があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は低温硬化性が優れる上に貯蔵安定性、加熱黄変性にも優れ、しかもブロックポリイソシアネート自身結晶化しにくい、ブロックポリイソシアネート及びそれを用いた一液型熱硬化性組成物の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリイソシアネートをマロン酸ジエステルとアセト酢酸エステルの両方でブロックしたブロックポリイソシアネートを用いることで上記課題が解決できることを見いだし本発明に至った。
【0008】
即ち、本発明は、脂肪族、及び/または脂環式ジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートをブロック剤でブロックしたブロックポリイソシアネートにおいて、該ポリイソシアネートがヒドロキシル化合物で変性したイソシアヌレート型ポリイソシアネートであり、該ブロック剤が30〜90当量%のマロン酸ジエステルと10〜70当量%のアセト酢酸エステルである事を特徴とするブロックポリイソシアネートであり、該ブロックポリイソシアネートと溶剤として沸点が200℃以下のアルコールを少なくとも成分として含む硬化剤組成物であることが好ましく、該ブロックポリイソシアネート、または該組成物と多価ヒドロキシ化合物を主成分とする一液型熱硬化性組成物であることが好ましい。
【0009】
以下本発明を更に詳しく述べる。
本発明のブロックポリイソシアネート組成物はポリイソシアネートのイソシアネート基をマロン酸ジエステルとアセト酢酸エステルの両方を用いて公知の方法で反応させることによって得られる。
本発明に用いられるポリイソシアネートは脂肪族、及び/または脂環式ジイソシアネートより誘導される。脂肪族ジイソシアネートとしては炭素数4〜30のものが、脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜30のものが好ましく、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと称す)、2,2,4(または2,4,4)−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIと称す)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。中でも耐候性、工業的入手の容易さからHDI、IPDIが好ましい。またこれらは単独で使用しても併用しても良い。
【0010】
本発明に用いられるポリイソシアネートはヒドロキシル化合物で変性したイソシアヌレート型ポリイソシアネートである。ヒドロキシル化合物で変性したイソシアヌレート型ポリイソシアネートをブロックしたブロックポリイソシアネートは耐熱性、耐候性等に優れる上に、更に結晶化しにくく、溶剤系塗料に最適なブロックポリイソシアネートを実現した。
【0011】
ヒドロキシル化合物で変性したイソシアヌレート型ポリイソシアネートは、イソシアヌレート化反応前及び/または反応後にヒドロキシル化合物で変性すなわちウレタン化する事で得られる。
ヒドロキシル化合物による変性をイソシアヌレート化反応前に行う方が主剤との相溶性が高く好ましい。
【0012】
変性に用いられるヒドロキシル化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、フェノール等のモノヒドロキシル化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール等のジヒドロキシル化合物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価ヒドロキシ化合物、アクリルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、脂肪族炭化水素ポリオール類、エポキシ樹脂類、フッ素ポリオール類等のポリオール等がある。
【0013】
脂肪族炭化水素ポリオール類の具体例としては、例えば、末端水酸基化ポリブタジエンやその水素添加物等が挙げられる。またポリエーテルポリオール類としては、例えばグリセリンやプロピレングリコール等の多価アルコールの単独または混合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類、ポリテトラメチレングリコール類、更にアルキレンオキサイドにエチレンジアミン、エタノールアミン類などの多官能化合物を反応させて得られるポリエーテルポリオール類及び、これらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が含まれる。
【0014】
ポリエステルポリオール類としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独または混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール樹脂類及び例えばε−カプロラクトンを多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。
【0015】
エポキシ樹脂類としては、例えばノボラック型、β−メチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリコールエーテル型、脂肪族不飽和化合物のエポキシ型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、ハロゲン化型、レゾルシン型等のエポキシ樹脂類が挙げられる。好ましくは、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類が用いられる。
【0016】
これらヒドロキシル化合物は、単独で使用しても2種以上の併用でもよい。
変性量は、イソシアネート基に対する変性剤の水酸基の量が、0.1〜20当量%が好ましい。より好ましくは0.5〜15当量%、更に好ましくは1〜10当量%である。0.1当量%より少ないとブロックポリイソシアネートとしたときに結晶化しやすくなり好ましくなく、20当量%を越えるとイソシアヌレートの耐熱性の良さが発揮できなくなり好ましくない。
【0017】
ヒドロキシル化合物による変性は、一般に−20〜150℃で行う事ができる。好ましくは0〜100℃である。高温になると副反応を起こす可能性があり、他方あまり低温になると反応速度が小さくなり不利である。
イソシアヌレート化反応は通常触媒が用いられる。ここで用いられる触媒は、一般に塩基性を有するものが好ましく、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや有機弱酸塩、例えば、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや有機弱酸塩、例えば、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸のアルカリ金属塩、及び上記アルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛等の金属塩、例えばヘキサメチレンジシラザン等のアミノシリル機含有化合物等が挙げられる。触媒濃度は、通常、イソシアネート化合物に対して10ppm〜1.0%の範囲から選択される。
【0018】
反応は溶剤の有無に関わらず行うことが出来る。溶剤を用いる場合、イソシアネート基に対して不活性な溶剤を用いる必要がある。
反応温度は、通常20〜160℃、好ましくは40〜130℃である。
反応が目的の収率に達したならば、例えば、スルホン酸、燐酸等により触媒を失活させ、反応を停止する。
【0019】
未反応物と溶剤を除去し、ポリイソシアネートを得る。
マロン酸ジエステルとしては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソプロピル、アセト酢酸ジn−プロピル、メチルマロン酸ジエチル、マロン酸ベンジルメチル、マロン酸ジベンジル、マロン酸ジフェニル等があり、ポリイソシアネートのイソシアネート基に対して30〜90当量%用いられる。好ましくは50〜80当量%である。アセト酢酸エステルとしては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸フェニル等があり、ポリイソシアネートのイソシアネート基に対して10〜70当量%用いられる。好ましくは20〜50当量%である。マロン酸ジエステルが多過ぎるとブロックポリイソシアネートが結晶化し易くなり好ましくなく、逆にアセト酢酸エステルが多過ぎると得られた塗膜の加熱黄変性が悪くなり好ましくない。
【0020】
これら2種のブロック剤以外のブロック剤、例えば、アルコール系、フェノール系、オキシム系、アミン系、酸アミド系、イミダゾール系、ピリジン系、メルカプタン系等のブロック剤がポリイソシアネートのイソシアネート基に対し20当量%以下で使用されても構わない。
2種のブロック剤によるブロック化は、同時に行っても良いし、一方のブロック剤で先にブロックしてから残った遊離イソシアネート基を他方のブロック剤でブロックしても構わない。
【0021】
ブロック化反応は、溶剤の存在の有無に関わらず行うことが出来る。溶剤を用いる場合、イソシアネート基に対して不活性な溶剤を用いる必要がある。
ブロック化反応に際して、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩、金属アルコラート及び3級アミン等を触媒として用いてもよい。
ブロック化反応は、一般に−20〜150℃で行うことが出来るが、好ましくは0〜100℃である。150℃以上では副反応を起こす可能性があり、他方、あまり低温になると反応速度が小さくなり不利である。実質的に活性なイソシアネート基がなくなる様にブロックされることが好ましい。
【0022】
本発明のブロックポリイソシアネートはモノアルコール及び/またはジアルコールとの共存で、貯蔵安定性を改良する事ができる。好ましくはモノアルコールである。上記モノ及びまたはジアルコールの沸点は200℃以下である事が好ましい。より好ましくは80〜180℃であり、更に好ましくは90〜160℃である。沸点が高過ぎると、焼付け時に塗膜から飛散しにくくなり、硬化性を低下させる原因となる。逆に低く過ぎる場合は、ワキ等の原因となる可能性がある。この様な沸点を有するモノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、n−ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。また、ジアルコールとしては例えばエチレングリコール、プロパンジオール等がある。モノ及びまたはジアルコールの添加量は任意に選択する事ができるが、ブロックされたイソシアネート基に対して10〜300当量%が好ましい。より好ましくは20〜200当量%である。
【0023】
本発明における多価ヒドロキシ化合物とは、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有する化合物であり、例えば脂肪族炭化水素ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、エポキシ樹脂類、含フッ素ポリオール類及びアクリルポリオール類等が挙げられる。
脂肪族炭化水素ポリオール類としては、例えば、末端水酸基化ポリブタジエンやその水素添加物等が挙げられる。またポリエーテルポリオール類としては、例えばグリセリンやプロピレングリコール等の多価アルコールの単独または混合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類、ポリテトラメチレングリコール類、更にアルキレンオキサイドにエチレンジアミン、エタノールアミン類などの多官能化合物を反応させて得られるポリエーテルポリオール類及び、これらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が含まれる。
【0024】
ポリエステルポリオール類としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独または混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール樹脂類及び例えばε−カプロラクトンを多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。
【0025】
エポキシ樹脂類としては、例えばノボラック型、β−メチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリコールエーテル型、脂肪族不飽和化合物のエポキシ型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、ハロゲン化型、レゾルシン型等のエポキシ樹脂類及びこれらエポキシ樹脂をアミノ化合物、ポリアミド化合物等で変性した樹脂類等が挙げられる。
【0026】
含フッ素ポリオール類としては、例えば特開昭57−34107号公報、特開昭61−275311号公報等で開示されているフルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等がある。
アクリルポリオール類は、一分子中に1個以上の活性水素を持つ重合性モノマーと、これに共重合可能な他のモノマーを共重合させることによって得られる。例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つアクリル酸エステル類、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つメタクリル酸エステル類、またはグリセリンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類等の群から選ばれた単独または混合物と、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル類、更に必要に応じてアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド、及びスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル等のその他の重合性モノマーの群から選ばれた単独または混合物とを共重合することにより得られる。
【0027】
また、特開平1−261409号公報、特開平3−6273号公報等で例示されている重合性紫外線安定性単量体、例えば4−(メタ)アクリロイルオキシ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン、2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン等を共重合して得られるアクリルポリオール樹脂等も用いることができる。
【0028】
これらのポリオールの中で特に好ましいものは、上記のポリエステルポリオール類、含フッ素ポリオール類、アクリルポリオール類である。
本発明の一液性塗料組成物におけるポリオールは樹脂分水酸基価が10〜300mgKOH/gである。樹脂分水酸基価が10mgKOH/g未満の場合には、イソシアネート成分との反応によるウレタンの架橋密度が減少して、ウレタン結合の機能が発揮できず、樹脂分水酸基価が300mgKOH/gを超えると、逆に架橋密度が増大し、塗膜の機械的物性が低下し、場合によっては水酸基とイソシアネート基が完全に反応せず、好ましくない。
【0029】
本発明におけるブロックポリイソシアネート中のブロックされたイソシアネート基とポリオール中の水酸基との等量比は、必要とする塗膜物性により決定されるが、0.1〜2の範囲から選ばれるのが通常である。
メラミン樹脂を併用することもできる。メラミン樹脂としては、ヘキサメトキシメチロールメラミン、メチル・ブチル化メラミン、ブチル化メラミンなどが例示される。
【0030】
本発明の硬化剤組成物および一液性塗料組成物においては、以下に示すような当該技術分野で常用される原料が使用できる。例えば、キナクリドン系、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ等の無機顔料、その他、炭素系顔料、金属箔状顔料、防錆顔料等の顔料、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、ヒドラジド系等の酸化防止剤、錫系、亜鉛系、アミン系等のウレタン化触媒、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤等の添加剤等。また、成分を混合する際に必要に応じて適当な溶剤、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類などの群から目的及び用途に応じて適宜選択して使用することが出来る。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
【実施例】
実施例及び比較例中の「部」は重量基準である。また、用いた測定方法を以下に示す。
ゲル分率は、硬化塗膜をアセトンに24時間浸漬後の重量残存率(%)で表す。
【0032】
黄変度△bは、デジタル自動測色色差計(スガ試験機(株)製)で測定したb値の焼付け前塗膜のb値との差(増加分)で表す。
(ポリイソシアネートの製造例1)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI100部、1,3−ブタンジオール1.2部を仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃で2時間保持した。その後反応器内温度を60℃に保持し、テトラブチルアンモニウムアセテートを添加、収率が30%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、25℃における粘度が3800mPas、イソシアネート含有量21.0%のポリイソシアネート−Iを得た。
【0033】
(ポリイソシアネートの製造例2)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI100部、トリメチロールプロパン3.3部を仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃で2時間保持した。その後反応器内温度を60℃に保持し、テトラブチルアンモニウムアセテートを添加、収率が45%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去した。25℃における粘度が25000mPas、イソシアネート含有量19.5%のポリイソシアネート−IIを得た。
【0034】
【実施例1】
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、ポリイソシアネート−I100部、キシレン39部を仕込み、マロン酸ジエチル42部、アセト酢酸エチル34部、28%ナトリウムメチラート溶液0.8部の混合物を室温で徐々に添加した。添加終了後、60℃で6時間反応を続けた。その後1−ブタノール14部を添加し、充分撹拌した。樹脂分75%、ブロックされたイソシアネート基の含有量(NCOとして)9.1%のブロックポリイソシアネート溶液を得た。このブロックポリイソシアネート溶液は5℃で2週間貯蔵しても結晶化せず、溶液状態を維持した。
【0035】
【実施例2】
実施例1で得たブロックポリイソシアネート溶液とアクリルポリオール(大日本インキの商品名アクリデッィクA−801、樹脂分水酸基価100mgKOH/g、固形分50%)をブロックされたイソシアネート基と水酸基が当量になるように配合し、これにシンナーとして酢酸エチル/トルエン/酢酸ブチル/キシレン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(重量比=30/30/20/15/5)の混合液を加え、フォードカップ#4で20秒/20℃に調整した。得られた塗料溶液をエアースプレーガンで乾燥膜厚50ミクロンになるように塗装し、100、120、140℃及び160℃に保持されているオーブン中で30分間焼付けた。また、塗料溶液の一部は貯蔵安定性試験用として、密閉した容器に入れ20℃で貯蔵した。評価はゲル化するまでの日数であらわした。得られた結果を表1に示す。
【0036】
【実施例3〜7】
表1で示した配合で、実施例1と同様にしてブロックポリイソシアネート溶液を得た。得られたブロックポリイソシアネート溶液はいずれも、5℃で2週間貯蔵しても結晶化せず、溶液状態を維持した。
これらのブロックポリイソシアネート溶液を実施例2と同様にして塗料化し、塗膜物性測定及び貯蔵安定性試験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0037】
【比較例1】
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、純イソシアヌレート型ポリイソシアネート(ヒドロキシル変性されていないイソシアヌレートタイプ、旭化成工業の商品名TPA−100;樹脂分100%、イソシアネート含有量23%)100部、キシレン41部を仕込み、マロン酸ジエチル61部、アセト酢酸エチル25部、28%ナトリウムメチラート溶液0.8部の混合物を室温で徐々に添加した。添加終了後、60℃で6時間反応を続けた。その後1−ブタノール15部を添加し、充分撹拌した。樹脂分75%、ブロックされたイソシアネート基の含有量(NCOとして)9.4%のブロックポリイソシアネート溶液を得た。このブロックポリイソシアネート溶液は5℃で2週間貯蔵すると結晶化が起こり、もはや流動性を失い、溶液型塗料には適さなかった。
【0038】
【比較例2】
表1で示した配合で、実施例1と同様にしてブロックポリイソシアネート溶液を得た。得られたブロックポリイソシアネート溶液は5℃で2週間貯蔵すると結晶化が起こり、もはや流動性を失い、溶液型塗料には適さなかった。
【0039】
【比較例3】
表1で示した配合で、実施例1と同様にしてブロックポリイソシアネート溶液を得た。得られたブロックポリイソシアネート溶液は、5℃で2週間貯蔵しても結晶化せず、溶液状態を維持した。
このブロックポリイソシアネート溶液を実施例2と同様にして塗料化し、塗膜物性測定及び貯蔵安定性試験を行った。得られた結果を表1に示した。表1に示した様に黄変度が高くなり、好ましくなかった。
【0040】
【比較例4】(オキシム系ブロックポリイソシアネート)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例1で得られたポリイソシアネート−I100部、キシレン34部を仕込み、反応温度が50℃を越えないようにメチルエチルケトオキシムを赤外スペクトルのイソシアネートの特性吸収が消失するまで滴下し、固形分80%、ブロックされたイソシアネート基の含有量(NCOとして)11.7%のオキシム系ブロックポリイソシアネート溶液を得た。
【0041】
このブロックポリイソシアネート溶液とアクリルポリオール(大日本インキの商品名アクリデッィクA−801、樹脂分水酸基価100mgKOH/g、樹脂分50%)をブロックされたイソシアネート基と水酸基が当量になるように配合し、これに触媒としてジブチル錫ジラウレートをブロックポリイソシアネートとアクリルポリオールの樹脂分の和に対し0.5%、及びシンナーとして酢酸エチル/トルエン/酢酸ブチル/キシレン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(重量比=30/30/20/15/5)の混合液を加え、フォードカップ#4で20秒/20℃に調整した。得られた塗料溶液をエアースプレーガンで乾燥膜厚50ミクロンになるように塗装し、100、120、140℃及び160℃に保持されているオーブン中で30分間焼付けた。また、塗料溶液の一部は貯蔵安定性試験用として、密閉した容器に入れ20℃で貯蔵した。評価はゲル化するまでの日数であらわした。得られた結果を表1に示した。表1に示した様に硬化のために高温での加熱を必要とした。
【0042】
【比較例5】(ピリジン系ブロックポリイソシアネート)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例1で得られたポリイソシアネート−I100部、2−ヒドロキシピリジン50部、メチルエチルケトン96部を仕込み、反応温度を50℃として赤外スペクトルのイソシアネートの特性吸収が消失するまで反応を続けた(約8時間)。樹脂分60%、ブロックされたイソシアネート基の含有量(NCOとして)8.5%のピリジン系ブロックポリイソシアネート溶液を得た。
【0043】
このブロックポリイソシアネート溶液を実施例2と同様にして塗料化し、塗膜物性測定及び貯蔵安定性試験を行った。得られた結果を表1に示した。表1に示した様に貯蔵安定性が極端に悪く、一液塗料には適さなかった。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のポリオールとブロックポリイソシアネートで主に構成された無黄変一液型ポリウレタン塗料に比べ低温硬化性が非常に優れ、しかも貯蔵安定性、耐黄変性にも優れている。またブロックポリイソシアネート自身結晶化しにくく溶液状態で安定に存在する事ができ、自動車の上中塗り塗料、耐チッピング塗料、電着塗料、自動車部品用塗料、家電・事務機器等の金属製品等のプレコートメタル・防錆鋼板、建築資材用塗料、プラスチック用塗料、接着剤、接着性付与剤、シーリング剤、等として優れた性能を発揮する。
Claims (5)
- 脂肪族及び/または脂環族ジイソシアネートより誘導されたポリイソシアネートをブロック剤でブロックしたブロックポリイソシアネートにおいて、該ポリイソシアネートがイソシアヌレート化反応前にヒドロキシル化合物で変性したイソシアヌレート型ポリイソシアネートであり、該ブロック剤が30〜90当量%のマロン酸ジエステルと10〜70当量%のアセト酢酸エステルである事を特徴とする5℃で結晶化しないブロックポリイソシアネート。
- ポリイソシアネートが、構成単位としてヘキサメチレンジイソシアネートより誘導される単位を少なくとも一部有する事を特徴とする請求項1記載のブロックポリイソシアネート。
- 請求項1記載のブロックポリイソシアネートと溶剤として沸点が200℃以下のアルコールを少なくとも成分として含む硬化剤組成物。
- 請求項1記載のブロックポリイソシアネートと、多価ヒドロキシ化合物とを主成分とする一液型熱硬化性組成物。
- 請求項3記載の組成物と、多価ヒドロキシ化合物とを主成分とする一液型熱硬化性組成物。
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