JP3546956B2 - 印刷機械のエア吸着式刷版取付装置 - Google Patents
印刷機械のエア吸着式刷版取付装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷機械に関し、詳しくは枚葉印刷機械の版胴に刷版をセットする装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1に従来の枚葉印刷機械の要部を示す。このような従来の枚葉印刷機械においては、版胴に刷版を取り付けるには、版胴に版万力によって刷版の端部を咥え、張りボルトによって版胴にセットするようにしている。1は版胴、2は咥え万力、3は咥え尻万力、5は刷版、7は張りボルトである。
【0003】
版胴1の外周に巻回した刷版5の一方の端部を、版胴1の凹部に配置されている咥え万力2によって押さえ込み、他方の端部を咥え尻万力3によって押さえ込む構造である。咥え万力2および咥え尻万力3には張りボルト7がそれぞれ設けられており、二つの張りボルト7を操作回転させて刷版1の位置を調整する。このように従来の枚葉印刷機械の刷版取付装置においては、刷版1を取り付けるには、咥え万力2、咥え尻万力3、二つの張りボルト7を操作して取り付けるようなっている。このように、枚葉印刷機械の刷版取付操作にはかなりの手間がかかる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年の印刷業界の趨勢として、一つの刷版によって印刷が行われる印刷物の部数が減少し、従って単位時間内の刷版の交換回数が増加する傾向にあり、刷版交換に要する作業時間ロスが問題となっている。また、版材にかかるコストも大きなものであり、この節減の必要性も課題となっている。本発明はこのような従来の問題点を解消した枚葉印刷機械のエア吸着式刷版取付装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題は本発明によれば、版胴に備える咥え万力により、版胴外周面に巻回した刷版の一方の端部である第1の端部を保持させるとともに、他方の端部である第2の端部の保持には咥え万力を用いず、版胴外周面には複数の吸引孔を設け、版胴内エアを吸引することにより刷版を版胴外周面に密着させて取り付け、前記版胴外周面の複数の吸引孔は、版胴外周の刷版取付面全体に分布させて設け、その分布状態は、前記第1の端部寄りよりも前記第2の端部寄りに多くの吸引孔を設けるようにしたことで解決される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は枚葉印刷機械の刷版取付装置において、版胴を気密に構成し、外周面に吸引孔を設けた版胴内のエアを吸引することで版胴外周に刷版を取り付けるようにしたものである。
【0007】
刷版の一方の第1の端部は従来同様、咥え万力を用いて版胴に取り付ける。他方の第2の端部は咥え尻万力を用いず、前記の吸着作用によって取り付ける。
【0008】
版胴外周に設ける吸引孔は複数形成するが、その分布は刷版を咥え万力を用いて版胴に取り付けた側の第1の端部とは逆の第2の端部寄りだけに設けてもよく、あるいは、版胴に取り付けた側の第1の端部とは逆の第2の端部寄りに多く設け、中間には適度の間隔をおいて設けるようにしてもよい。
【0009】
本発明においては、刷版の一方の第1の端部は咥え万力を用いて版胴に取り付け、他方の第2の端部は咥え尻万力を用いず、吸着作用によって取り付けるので、版胴に対する刷版の相対位置誤差である見当違いが発生した場合の見当直しのために、ベース板を刷版と版胴間に介在させる。ベース板の一端は刷版の一端を保持する咥え万力を利用して保持し、他端は咥え尻万力によって保持する。このようにすることによって、両万力に備える位置調整手段を操作し、ベース板を移動させ、ベース板に重ねた刷版の見当直しを行うことができる。
【0010】
このように、刷版を咥え万力のみでセットすることができ、従来必要であった咥え尻万力への刷版の取り付け作業が不要となり、刷版を交換する作業が大幅に効率よく行えるようになる。
【0011】
また、咥え万力のみの使用で、咥え尻万力を使用しないので、従来の装置よりも刷版の長さが短くなり、従って版材を節減することができ、版材に要するコストを切り下げる効果もある。
【0012】
【実施例】
図2は本発明における枚葉印刷機械の版胴に刷版を取り付ける要部の説明的な側面図である。図1の従来例と同様の部分には同様の符号を付してある。1は版胴であり、その外周面には版胴1の軸方向に連続させて形成した溝状の凹部12が設けられ、この凹部12内に版胴1の外周面に対し刷版5等を取り付ける装置である咥え万力2が配置される。また、咥え万力2と所定角度間隔をおいて、咥え万力2に対向する装置である咥え尻万力3が、凹部12と同様の凹部13内に配置されている。4は刷版5の下面と重ねて版胴1に巻回するベース板であり、一方の端部は咥え万力2に保持され、他方の端部は咥え尻万力3によって保持される。保持状態の詳細は後述する。5は前記の刷版であり、前記ベース板4の上面に重ねて取り付け、一方の第1の端部5aを咥え万力2によって保持する。保持状態の詳細は後述する。他方の第2の端部5bは保持せず、後述のエア吸引手段によって版胴1に取り付けられる。
【0013】
版胴1の外周面には吸引孔6が複数形成される。本実施例では、複数の吸引孔6の分布は、刷版5の一方の第1の端部5b寄りに多く、他方の第2の端部5a寄りに少なく設けており、図2で明らかなように複数の吸引孔6のうち、吸引孔6a、6bは集中して刷版5の一方の第1の端部5b寄りに形成してあり、それに続いて適度の間隔を設けて吸引孔6c、6d、6eが順次形成してある。なお、各吸引孔6は図面上では断面1箇所のみを図示してあるが、版胴1の軸方向に向け複数が並んで配置されていると理解されたい。
【0014】
1sは相互に連結する版胴1の内部空洞部であって、複数の吸引孔6はすべてこれに接続されていて、図示しない真空ポンプ等によって空洞部1s内のエアを吸引することで、各吸引孔6を経てエアが吸引される。
【0015】
図3は咥え万力2と、その周辺を説明する拡大図である。咥え万力2は、万力台22、フタ23、支点用ピン24、取付ボルト25、作動用ピン27、スプリング28からなり、万力台22を基台として図示しない手段によって版胴1の凹部12内に取り付けられており、万力台22には支点用ピン24を介してフタ23がシーソー状の回動可に、前記万力台22とは所定間隔を設けて配置されている。フタ23の回動は支点用ピン24の頭部下面の球面24aを軸として、フタ23の上面の凹部の球面23aとの間の摺動によって行われる。27はフタ23を回動運動させる作動用ピンであり、断面円形の一部を切り欠いてカム面27aを備えるカム状とし、カム機能を有するようにしてあり、これを万力台22の上面に形成した断面が半円形状の凹部22a内で回動させることによって、突出部分がフタ23の下面に当接し、前記フタ23が回動運動を行う。28はフタ23の下面と万力台22の上面との間に架装した、フタ23を常時時計方向へ回動付勢するスプリングである。なお、以上は咥え万力2について記述したが、咥え尻万力3に関する構造も向きが逆なだけで、他は同様であるので、その記述は省略する。
【0016】
ベース板4はその一端を直角に折り曲げ、取り付け部4aを形成、この部分を万力台22の側面に設けたネジ孔に対しスプリング鋼板29を介して取付ボルト25により取り付ける。ベース板4の、版胴1を巻回した他端側は、咥え尻万力3によって保持される。
【0017】
図4及び図5により、咥え万力2により刷版5を保持する構造を説明する。なお、両図においては、複雑化を避けるためベース板4を省略してある。
【0018】
図4は咥え万力2のフタ23が閉じて刷版5が咥えられ保持されている状態を、また、図5は保持される前あるいは後の、フタ23が開いた状態を示す。
【0019】
図5においては、作動用ピン27のカム面27aは水平状態にあるのでフタ23はスプリング28の付勢力により支点用ピン24を軸として時計方向に回動し、図のようにフタ23の左端が開いた状態となっている。この状態において刷版5の第1の端部5aを版胴1面を摺動させて間隙に差込み、作動用ピン27の所定部位にカンザシ棒30を差し込んで用いて作動用ピン27を90度回転させる。
【0020】
その結果、図4のように作動用ピン27のカム面27aは垂直状態となりフタ23はスプリング28の付勢力に抗して支点用ピン24を軸として反時計方向に回動し、図のようにフタ23の左端を閉じ、刷版5の第1の端部5aを万力台22の上面との間で挟持して保持する。なお、ベース板4の一端を咥え尻万力3によって保持する手段も以上に記述したものと同様である。
【0021】
このようにベース板4と刷版5とを版胴1の外周面に取り付け、図示しない真空ポンプ等によって版胴1内の内部空洞部1sのエアを抜くことによって刷版5はベース板4とともに版胴1の外周面に吸着されて密着し、確実に取り付けることができる。また、前記したように、版胴1の外周面の複数の吸引孔6は、刷版5がその端部5aを咥え万力2によって保持されている側である第1の端部5a寄りよりも、逆の第2の端部5bの、咥え尻万力3で保持されていない端部寄りに多く形成してあるので、確実な保持状態が得られる。
【0022】
ベース板4と刷版5との版胴1に対する相対位置(見当違いを直す)は、咥え万力2及び咥え尻万力3にそれぞれ備える張りボルト7を操作することによって調整することができる。咥え万力2側を例とすれば、張りボルト7は咥え万力2の万力台22に設けたネジ孔に螺合するとともに一端を版胴1の凹部12に係合させてあり、これを回転させる操作により咥え万力2全体が例えば図3の左右いずれかの方向に移動するようになっている。咥え尻万力3についても同様である。
従って、ベース板4と刷版5とを版胴1の外周面に取り付けた後、咥え万力2及び咥え尻万力3にそれぞれ備えるこの張りボルト7を操作することによって、ベース板4とともに刷版5が移動し、見当の直しを行うことができる。
【0023】
刷版5を交換するには、前記した手順に従って刷版5の取り外しと取り付けとの作業を行えばよく、通常は、ベース板4は交換の必要はない。
【0024】
なお、前記の実施例では、版胴1の外周面の複数の吸引孔6の分布は、刷版5の一方の第2の端部5b寄りに多く、他方の第1の端部5a寄りに少なく設け、図2のように複数の吸引孔6のうち、吸引孔6a、6bは集中して刷版5の一方の第2の端部5b寄りに形成し、それに続いて適度の間隔を設けて吸引孔6c、6d、6eを順次形成するように構成したが、この例に限定されるものではなく、刷版5の一方の端部5b寄りにさらに多くの吸引孔を設けてもよく、また、場合によっては中間の吸引孔をもっと増やしても、あるいは減らしてもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、刷版を咥え万力のみでセットすることができ、従来必要であった咥え尻万力への取り付け作業は不要となり、刷版を交換する作業が従来に比し大幅に効率よく行えるようになる。
【0026】
また、刷版の取り付けには、咥え万力のみ使用し、咥え尻万力を使用しないので、従来の装置よりも刷版の長さが短くなり、従って版材を節減することができ、版材に要するコストを切り下げる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の版胴と刷版取付装置の要部の断面図である。
【図2】本発明の一実施例の版胴と刷版取付装置の要部の断面図である。
【図3】刷版取付装置の要部の拡大図である。
【図4】刷版取付装置の要部の動作拡大図である。
【図5】刷版取付装置の要部の動作拡大図である。
【符号の説明】
1 版胴
1s 内部空洞部
2 咥え万力
3 咥え尻万力
4 ベース板
5 刷版
5a 第1の端部
5b 第2の端部
6、6a〜6e 吸引孔
7 張りボルト(位置調整手段)
Claims (1)
- 版胴に備える咥え万力により、版胴外周面に巻回した刷版の一方の端部である第 1 の端部を保持させるとともに、他方の端部である第 2 の端部の保持には咥え万力を用いず、
版胴外周面には複数の吸引孔を設け、版胴内エアを吸引することにより刷版を版胴外周面に密着させて取り付け、
前記版胴外周面の複数の吸引孔は、版胴外周の刷版取付面全体に分布させて設け、その分布状態は、前記第 1 の端部寄りよりも前記第 2 の端部寄りに、より多くの吸引孔を設けるようにしたことを特徴とする印刷機械のエア吸着式刷版取付装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001049802A JP3546956B2 (ja) | 2001-02-26 | 2001-02-26 | 印刷機械のエア吸着式刷版取付装置 |
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