JP3546804B2 - Ofdmパケット通信用受信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;OFDM)方式のディジタル無線通信システムに用いるパケット通信用受信装置に関し、特に、送信側装置と受信側装置の間でサンプリングクロック周波数又は搬送波周波数にずれがある場合や、受信信号に位相雑音や熱雑音が付加される場合であっても、伝送効率を低下させずに小さな処理遅延で高精度にOFDM信号を復調する受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
OFDM方式は、高速な信号系列を複数の信号系列に並列化し、複数の低速なサブキャリアを用いて同時に伝送を行うマルチキャリア方式の一種であり、それぞれのサブキャリアが互いに直交するように最密に配置されているのが特徴である。一般に、無線を用いて信号の高速伝送を行う場合には、無線信号の反射や回折により生じるマルチパス伝搬に起因する符号間干渉が伝送品質を著しく劣化させるため大きな問題になる。しかし、OFDM方式のようなマルチキャリア方式では高速伝送を行う場合であっても並列化によりそれぞれのサブキャリアの伝送速度を低くすることができるため、マルチパス伝搬に起因する符号間干渉の影響を低減することができる。また、OFDM方式では送信側で逆高速フーリエ変換を用いて各サブキャリアの周波数多重化をベースバンドで容易に行うことができることに加え、受信側では高速フーリエ変換を用いて受信信号から各サブキャリアの信号を容易に分離することができるため、送受信装置を容易に実現することが可能である。さらにこれを利用して、送信側で逆高速フーリエ変換出力を循環的に拡張した信号をガードインターバルとして各OFDMシンボルに付加して送信し、受信側で各OFDMシンボルの信号系列から符号間干渉の少ない信号部分をFFTウインドウで切り出して高速フーリエ変換を行うことにより、符号間干渉の影響をさらに低減することができる。さらにまた、ガードインターバルを設けることで、受信側で雑音成分の影響等によりシンボルタイミングすなわちFFTウインドウタイミングが多少ずれたとしても、それがガードインターバル内に収まる程度のタイミングのずれであれば、隣接シンボルからの干渉を受けずに信号を復調することができるため、単一キャリア伝送の場合に必要となる高精度なタイミング同期が不必要であるという利点もある。以上のような理由により、OFDM方式は無線を用いた高速信号伝送に適していると言える。
【0003】
従来例のOFDMパケット通信用受信装置について、図43を参照して説明する。なお、この例では図44に示すパケットフォーマットのOFDM信号を送受信する場合を想定している。
【0004】
図43において、アンテナ1で受信されたOFDM信号は、受信回路2に入力される。受信回路2は入力されたOFDM信号に対し、周波数変換、フィルタリング、直交検波およびAD変換等の受信処理を行い複素ベースバンド信号を出力する。なお、クロック周波数誤差の詳細については後述するが、受信回路2にはクロック周波数誤差検出回路8から出力されるクロック周波数誤差情報信号が入力される。受信回路2は、前述の受信処理を行うとともに、このクロック周波数誤差情報信号に基づいてAD変換等に用いるクロック周波数の制御をアナログ部品である発振器に対して行い、クロック周波数ずれの除去を行う。受信回路2から出力された複素ベースバンド信号は同期処理回路3に入力される。同期処理回路3は、入力された複素ベースバンド信号の先頭部分に設定された同期用プリアンブル信号を用いて搬送波周波数誤差およびOFDMシンボルタイミングを検出し、検出した搬送波周波数誤差情報を用いて受信処理後の複素ベースバンド信号に対して搬送波周波数誤差補正処理を行い、搬送波周波数誤差補正処理後の複素ベースバンド信号を出力するとともに、検出したOFDMシンボルタイミング情報信号を出力する。なお、OFDMシンボルタイミングの検出は、続くガードインターバル除去回路4において、複素ベースバンド信号からガードインターバルに相当する信号を除去しフーリエ変換回路5に入力する信号を抽出する処理等のために必要となる。同期処理回路3から出力された搬送波周波数誤差補正処理後の信号およびOFDMシンボルタイミング情報信号はガードインターバル除去回路4に入力される。ガードインターバル除去回路4は、入力されるOFDMシンボルタイミング情報に従い、入力される搬送波周波数誤差補正処理後の信号に対して1OFDMシンボル毎に1OFDMシンボル長からガードインターバルに相当する信号長を差し引いた時間幅をウインドウサイズに持つFFTウインドウをかけることによりガードインターバルに相当する信号を除去し、フーリエ変換回路5に入力する信号を抽出して出力する。ガードインターバル除去回路4から出力されるガードインターバル除去後の信号はフーリエ変換回路5に入力される。フーリエ変換回路5は、入力されるガードインターバル除去後の信号を高速フーリエ変換して各サブキャリアに相当する周波数成分を抽出することにより、各サブキャリア信号をベースバンドで分離してそれぞれ出力する。なお、フーリエ変換回路5は、1OFDMシンボル毎に高速フーリエ変換処理を行い、1OFDMシンボル毎に当該OFDMシンボル内の各サブキャリアの信号を分離して出力する。フーリエ変換回路5から出力される各サブキャリア信号は、同期検波回路7およびチャネル推定回路6に入力されるとともにクロック周波数誤差検出回路8に入力される。クロック周波数誤差検出回路8は、入力される各サブキャリア信号から受信回路2における受信処理時に用いられるサンプリングクロックの周波数誤差に起因する各サブキャリア信号の位相回転を検出し、検出した各サブキャリア信号の位相回転に基づいて送信側装置と受信側装置の間のクロック周波数誤差を演算し、クロック周波数誤差情報を出力する。
【0005】
例えば、変調方式として16QAM変調を採用している場合には、同期検波後の信号は、本来であれば図45に示す位相平面上の16個の基準信号点S1〜S16のいずれかの位置に現れる。しかし、送信側装置と受信側装置との間でサンプリングクロック周波数等にずれが存在する場合には、前述のように同期検波された検波信号に位相回転が生じるため、同期検波回路7から出力される検波信号(例えば、図45のR1、R2)の位置は本来の位置である前述の16個の基準信号点S1〜S16のいずれか1つの基準信号点の位置と一致しなくなる。
【0006】
実際には、クロック周波数誤差検出回路8はまず同一の1OFDMシンボル内の各サブキャリア信号の位相回転量を検出する。例えば、図45に示す入力信号R1が、同期検波回路7が出力する検波信号であった場合、クロック周波数誤差検出回路8は基準信号点S1〜S16の中で位置が入力信号R1に最も近い基準信号点S3を基準とし、基準信号点S3と入力信号R1との位相差φ1を検出する。また、図45に示す入力信号R2が、同期検波回路7が出力する検波信号であった場合、クロック周波数誤差検出回路8は基準信号点S1〜S16の中で位置が入力信号R2に最も近い基準信号点S6を基準とし、基準信号点S6と入力信号R2との位相差φ2を検出する。
【0007】
ここで、送信側装置のサンプリングクロック周波数と受信側装置のサンプリングクロック周波数との間にずれがある場合、すなわち、送受間でクロック周波数誤差がある場合に、フーリエ変換回路5が出力する各サブキャリア信号にどのような位相回転が生じるかについて簡単に説明する。
【0008】
上述のように、ガードインターバル除去回路4では、パケット先頭の同期用プリアンブルを用いて検出したシンボルタイミングを用いてFFTウインドウをかけることにより各OFDMシンボルからガードインターバルに相当する信号を除去するが、送受間でクロック周波数誤差がある場合には、同一パケット内のOFDMシンボルであっても、パケット内のOFDMシンボルの相対的な時間的位置によってOFDMシンボル毎に当該OFDMシンボルのシンボルタイミングとFFTのウインドウタイミングとの間でずれが生じることになる。従って、同期検波を行う際に使用されるチャネル推定結果を検出する時に用いたパケット先頭付近のチャネル推定用プリアンブル信号に相当するOFDMシンボル(チャネル推定用OFDMシンボル)におけるFFTウインドウのタイミングと、それ以外のOFDMシンボルにおけるFFTウインドウのタイミングとの間にずれが生じることになる。送信側装置のサンプリングクロック周波数をfTCLK 、受信側装置のサンプリングクロック周波数をfRCLK 、チャネル推定用OFDMシンボルからt秒経過後に出現するOFDMシンボルのシンボルタイミングのずれをΔtとすると次式が成り立つ。
【0009】
t・fTCLK=(t−Δt)・fRCLK ・・・(1)
【0010】
ここで、サンプリングクロック周波数の規格値に対する送受間のサンプリングクロック周波数のずれの割合をΔxとすると、次式が成り立つ。
【0011】
Δx=(fRCLK−fTCLK)/fCLK ・・・(2)
CLK:送信側装置および受信側装置のサンプリングクロック周波数の規格値
【0012】
前記第(1)式と前記第(2)式より、前述のタイミングずれの量Δtは次式のように表される。
【0013】
Δt=(fCLK/fRCLK)・Δx・t ・・・(3)
【0014】
ここで、fCLK≒fRCLK、すなわちfCLK/fRCLK≒1であることを考慮すると、Δtは次式のように近似できる。
【0015】
Δt≒Δx・t ・・・(4)
【0016】
上式より、送受間でサンプリングクロック周波数にずれがある場合には、サンプリングクロック周波数の規格値に対する送受間のサンプリングクロック周波数のずれの割合および時間の経過に比例したFFTウインドウのタイミングずれが生じることがわかる。
【0017】
このFFTウインドウタイミングのずれは、フーリエ変換回路5におけるフーリエ変換の基本的性質上、サブキャリア周波数によって異なる位相回転となって現れることになる。また、時間の経過に比例してFFTウインドウのタイミングのずれも大きくなるため、時間の経過とともに位相の回転量が増加する。ここで、a(t)をフーリエ変換した結果がA(f)であると仮定すると、a(t+Δt)をフーリエ変換した結果はA(f)・exp(j・2π・f・Δt)と表すことができる。従って、ガードインターバル除去回路4におけるFFTウインドウタイミングがΔt(≒Δx・t、第(4)式参照)だけずれていると、フーリエ変換回路5が出力する各サブキャリア信号には、次式で表される位相回転Δθが付加されることになる。
【0018】
Δθ≒2π・f・t・Δx ・・・(5)
f:チャネルの中心周波数からの当該サブキャリアの周波数オフセット量t:チャネル推定用OFDMシンボルからの当該OFDMシンボルの時間経過量
Δx:サンプリングクロック周波数の規格値に対する送受間のサンプリングクロック周波数のずれの割合
【0019】
すなわち、送受間のサンプリングクロック周波数にずれがある場合、チャネル推定用OFDMシンボルからの当該OFDMシンボルの時間経過量、すなわちチャネル推定時からの当該OFDMシンボルの時間経過量およびチャネルの中心周波数からの当該サブキャリアの周波数オフセット量に比例して増加(あるいは減少)するような位相回転がフーリエ変換回路5から出力される各サブキャリア信号に付加されることになる。
【0020】
クロック周波数誤差検出回路8は、フーリエ変換回路5が出力する各サブキャリア信号から前述のように送受間のサンプリングクロック周波数ずれ、すなわち、送受間のクロック周波数誤差に起因する位相回転を検出した後、前述の第(5)式に基づいてクロック周波数誤差情報を算出して出力する。
【0021】
クロック周波数誤差検出回路8から出力されたクロック周波数誤差情報信号は受信回路2に入力される。受信回路2は、入力されたクロック周波数誤差情報信号に基づいて送受間のクロック周波数誤差を除去するように受信回路2の内部の発振器に対してサンプリングクロック周波数(AD変換器等のサンプリングクロック周波数に相当)の制御を行う。
【0022】
一方、チャネル推定回路6では、入力された各サブキャリア信号のうちパケットの先頭部分にて送信された既知信号であるチャネル推定用プリアンブル信号を用いて当該パケットのOFDM信号が通ってきた伝搬路(チャネル)の状態を推定し、推定されたチャネル推定結果を出力する。マルチパス伝搬による周波数選択性フェージングにより各サブキャリアの信号は互いに異なる振幅位相変動を受けることになるが、チャネル推定用信号は既知信号であるため、伝搬路を通過して受信された各サブキャリア信号と既知の理想信号をサブキャリア毎にそれぞれ比較することにより、各々のサブキャリアの振幅や位相が伝搬路通過時にどのような影響を受けたのかを容易に推定することができる。チャネル推定回路6から出力された各サブキャリアのチャネル推定結果は同期検波回路7に入力されるとともに重み付け回路11に入力される。同期検波回路7は、入力された各サブキャリアのチャネル推定結果を用いて各サブキャリア毎にフェージング等のチャネル特性に起因する振幅変動および位相回転を補正することにより同期検波相当の処理を行い、検波信号を出力する。なお、OFDM方式を用いるような高速なパケット通信システムの場合には、1つのパケットの時間的な長さが短いため、1パケット内では伝搬路特性は一定であるとみなすことができる場合がほとんどである。従って、パケットの先頭部分に設定されたチャネル推定用プリアンブル信号に基づいて推定された各サブキャリアの伝搬路特性を用いて上述のように後続のデータ信号に対して同期検波相当の処理を行うことができる。同期検波回路7から出力された検波信号はパイロット信号位相回転抽出回路10に入力されるとともに位相補正回路9に入力される。
【0023】
パイロット信号位相回転抽出回路10は、同期検波回路7から入力される検波信号に含まれる特定の少なくとも1つのサブキャリアにて送信される既知信号であるパイロット信号に相当する各検波信号から、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転量の情報を1OFDMシンボル毎にそれぞれ抽出する。なお、位相雑音は送信側装置の送信処理部および受信側装置の受信処理部においてアナログ回路の不完全性によって信号の位相成分に対して付加される雑音である。また、残留搬送波周波数誤差は、受信装置の同期処理回路3における搬送波周波数同期処理の際に、受信回路2において付加される熱雑音等の影響によって不完全な搬送波周波数同期処理が行われることによって同期処理回路3の出力信号に残留してしまう周波数誤差である。
【0024】
ここで、残留搬送波周波数および位相雑音がある場合に、同期検波回路7が出力する各検波信号にどのような位相回転が生じるかについて簡単に説明する。残留搬送波周波数誤差がある場合には、同期処理回路3が出力するOFDM信号の全てのサブキャリア信号のサブキャリア周波数に同一の周波数誤差が付加されることになる。従って、チャネル推定時をt=0と定義する場合の各サブキャリア信号の残留搬送波周波数誤差による位相回転量Δψは次式で表される。
【0025】
Δψ≒2π・Δf・t ・・・(6)
Δf:残留搬送波周波数誤差量
t:チャネル推定時からの当該OFDMシンボルの時間経過量
【0026】
上式に示されるように、残留搬送波周波数誤差に起因する各サブキャリアの位相回転量は各サブキャリアで共通であり、また、各サブキャリア信号に対して1OFDMシンボル毎に一定量の位相回転が付加されることになる。一方、受信回路2においてOFDM信号に付加される位相雑音は、一般に、OFDMシンボル間隔と比較して非常にゆっくり変化するため、位相雑音により各OFDM信号に付加される位相回転は1OFDMシンボル期間内で一定であると仮定できる。また、フーリエ変換は線形変換の一種であるため、フーリエ変換回路5への入力信号の全てに同一の位相回転が付加されていれば、フーリエ変換回路5の全ての出力信号に対して入力信号に付加された位相回転と同一の位相回転が付加されることになる。従って、位相雑音によって付加される位相回転量は、残留搬送波周波数誤差の場合と同様に同一OFDMシンボル内の各サブキャリアで同一となる。また、前述のように位相雑音はOFDMシンボル間隔と比較して非常にゆっくり変化するため、隣接するいくつかのOFDMシンボル間の位相雑音による位相回転量の変化は少ない。
【0027】
ところで、同期検波回路7はパケット先頭部に設けられたチャネル推定用OFDMシンボルを用いて得られた各サブキャリアのチャネル推定結果に基づいて同期検波処理を行うため、OFDMシンボル毎に位相回転量が変化するような位相回転に対しては原理上、補正を行うことはできない。従って、同期検波回路7からは、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する各OFDMシンボル内の各サブキャリアに共通した位相回転が付加された検波信号が出力される。
【0028】
前述のパイロット信号位相回転抽出回路10は、同期検波回路7から入力される検波信号に含まれるパイロット信号に相当する各検波信号から、残留搬送波周波数誤差、位相雑音等に起因する位相回転量の情報を1OFDMシンボル毎にそれぞれ抽出する。この各パイロット信号の位相回転情報がパイロット信号位相回転抽出回路10からそれぞれ出力される。パイロット信号位相回転抽出回路10から出力される各パイロット信号の位相回転情報は重み付け回路11に入力される。
【0029】
重み付け回路11は、パイロット信号位相回転抽出回路10から1OFDMシンボル毎に入力される各パイロット信号の位相回転情報に対し、チャネル推定回路6から入力される各サブキャリアのチャネル推定結果に基づいて重み付けを行う。例えば、チャネル推定結果から得られるパイロット信号に相当するサブキャリアの信号レベル情報に基づいて、信号レベルが大きいパイロット信号の位相回転情報には大きな重み付けを行い、信号レベルが小さいパイロット信号の位相回転情報には小さい重み付けを行う。このような重み付けを行うと、後続の回路において信号レベルの小さいパイロット信号の位相回転情報の影響度が小さくなり位相回転検出の信頼性が改善される。また、重み付け後の各パイロット信号の位相回転情報信号の生成は、例えば、入力される各パイロット信号の位相回転量を位相成分とし、入力される各パイロット信号の信号レベル値を振幅成分に持つようなベクトル信号を各パイロット信号についてそれぞれ生成することにより行うことができる。重み付け後の各パイロット信号の位相回転情報信号(前述の例では各パイロット信号に対応する各ベクトル信号)が1OFDMシンボル毎に重み付け回路11から出力される。重み付け回路11から出力される重み付け後の各パイロット信号の位相回転情報信号はシンボル内平均回路12に入力される。
【0030】
シンボル内平均回路12は、重み付け回路11から1OFDMシンボル毎に入力される重み付け後の各パイロット信号の位相回転情報信号に対して1OFDMシンボル内で平均化処理を行う。前述の例では、1OFDMシンボル内の各パイロット信号に対応するベクトル信号をベクトル加算することにより、重み付け後の各パイロット信号の位相回転情報信号を平滑化できる。なお、この場合にはベクトル加算して得られるベクトルの位相が、平滑化された重み付け後の各パイロット信号の位相回転情報を表すことになる。位相雑音や残留搬送波周波数誤差による各サブキャリアの位相回転量は、1OFDMシンボル内ではほぼ同一となる。従って、1OFDMシンボル内で各パイロット信号の位相回転情報信号を平滑化することにより、当該OFDMシンボル中の各サブキャリアの検波信号の、位相雑音および残留搬送波周波数誤差等のような各サブキャリアの位相回転量が1OFDMシンボル内で同一となるような要因に起因する位相回転量を精度良く知ることができる。1OFDMシンボル内で平均化処理された重み付け後の各パイロット信号の位相回転情報信号が1OFDMシンボル毎にシンボル内平均回路12から出力される。シンボル内平均回路12から出力される1OFDMシンボル内で平均化処理された重み付け後の各パイロット信号の位相回転情報信号は移動平均回路13に入力される。
【0031】
移動平均回路13は、1OFDMシンボル毎に入力される1OFDMシンボル内で平均化処理された重み付け後の各パイロット信号の位相回転情報信号に対し、複数シンボルに渡る時間方向の移動平均化処理を行い出力する。この時間方向の移動平均化処理により、受信回路2において信号に付加された熱雑音等の雑音成分を抑圧し低減することができる。移動平均回路13から出力される移動平均後の位相回転情報信号は位相補正回路9に入力される。
【0032】
位相補正回路9は、移動平均回路13から入力される移動平均後の位相回転情報信号を用いて、同期検波回路7から入力される各検波信号に含まれる位相雑音および残留搬送波周波数誤差等のような各サブキャリアの位相回転量が1OFDMシンボル内で同一となるような要因に起因する位相回転を補正する。位相回転補正後の検波信号が位相補正回路9から出力される。位相補正回路9から出力される位相補正後の各検波信号は識別回路14に入力される。
【0033】
識別回路14は、位相補正回路9が出力する位相補正後の各検波信号に含まれるデータ信号に対してシンボル判定を行い、判定結果を出力する。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、受信処理を行う際に用いるサンプリングクロック周波数と送信側装置で用いるサンプリングクロック周波数にずれがある場合、何も補正を行わずに同期検波を行うと各サブキャリア信号の位相回転によって受信側装置において各サブキャリア信号の正しい位相が検出できなくなるため、極めて大きな劣化を生じる。従って、従来の装置では、送受間のクロック周波数誤差を受信側装置におけるフーリエ変換後の各サブキャリア信号から検出し、検出したクロック周波数誤差情報に基づいて受信側の各回路で共通に使用されるサンプリングクロック周波数をアナログ処理によって直接制御することにより送受間のサンプリングクロック周波数誤差の除去を行っていた。ところが、このようなアナログ処理による制御を実現するためには非常に構成の複雑なアナログ処理を含む補正回路を設ける必要があった。また、アナログ処理のため、補正精度を一定以上に高くすることが困難であり、高い伝送品質を得ることができないといった問題や、消費電力の増大といった問題があった。
【0035】
一方、送受間の搬送波周波数にずれがある場合にOFDMパケット信号を同期検波するためには、通常、OFDMパケット信号の先頭に設けられる同期用プリアンブル信号を用いて搬送波周波数誤差を検出し、検出した搬送波周波数誤差情報を用いて受信処理後の複素ベースバンド信号に対して搬送波周波数誤差補正処理を行う。ところが、一般に、周波数変換や直交検波等を行う受信処理部において熱雑音等の雑音成分が受信信号に付加されるため、検出した搬送波周波数誤差情報に検出誤差が生じてしまう。従って、上述のような搬送波周波数誤差補正処理のみでは受信信号に対して高精度な搬送波周波数誤差補正を施すことは困難であり、前述の検出誤差によって受信信号に残留した搬送波周波数誤差、すなわち残留搬送波周波数誤差に起因した各検波信号の位相回転により伝送品質に劣化が生じてしまう。この残留搬送波周波数誤差による伝送品質の劣化を改善するために、従来の装置では、同期検波後に既知信号であるパイロット信号の残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転量を検出して位相回転の補正を行っていた。
【0036】
ところで、この残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転量を高精度に検出するためには、受信処理部で付加される熱雑音の影響を精度良く除去する必要があるため、非常に多数のパイロット信号の位相回転量を検出して平滑化を行わなければならない。
【0037】
しかしながら、一般に、高い周波数利用効率を維持するためには、パイロット信号を伝送するために用いるサブキャリアの数をなるべく少なくする必要があるため、十分な平滑化を行うためには非常に多くのOFDMシンボルに渡って検出した多数のパイロット信号の位相回転量を平滑化処理する必要があった。一般に、このように多シンボルに渡る時間方向の平滑化処理を行うと、大きな処理遅延が生じるためにシステム全体のスループットが低下してしまう問題があった。さらに、従来の装置では、時間方向の平滑化の原理上、パケットの先頭部分のOFDMシンボルについては十分な平滑化を行うことができない。従って、パケットの先頭部分のOFDMシンボルの各検波信号に含まれる残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転を精度良く補正することができないという問題もあった。
【0038】
また、従来の装置では、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する同期検波後の各サブキャリア信号に含まれる位相回転の補正を行う場合には、パイロット信号に相当する同期検波後の信号の位相回転量を検出し、パイロット信号の受信信号レベルに応じた重み付けを行うとともに1個のOFDMシンボル内で平滑化処理を行い、更に、熱雑音の影響を低減させるために複数シンボルに渡って時間方向に移動平均処理を行って各サブキャリアの位相回転を検出し、その検出結果に基づいて同期検波後の各サブキャリア信号の位相回転の補正を行っていた。
【0039】
しかしながら、実際の受信装置では、一般に、受信回路2において受信信号をアナログ処理する際に熱雑音が付加され、受信回路2からは熱雑音に起因する雑音成分が付加された複素ベースバンド信号が出力される。同期処理回路3、ガードインターバル除去回路4およびフーリエ変換回路5は前述の雑音成分を除去あるいは低減する機能を持たないため、受信回路2から出力される複素ベースバンド信号に雑音成分が付加されていると、フーリエ変換回路5が出力するサブキャリア毎の各信号の信号品質は雑音成分の影響によって劣化することになる。一方、チャネル推定回路6はフーリエ変換回路5が出力するサブキャリア毎の各信号のうち、図44に示すパケットの先頭付近の固定長のチャネル推定用プリアンブル信号に相当する信号だけを用いて、受信したOFDM信号が通ってきた伝送路(チャネル)の状態をサブキャリア毎に推定する。システムのスループット特性を向上させるため、一般にパケットのチャネル推定用プリアンブル信号の信号長は短く設定される。従って、フーリエ変換回路5が出力する各サブキャリア信号の信号品質が前述の雑音成分の影響によって劣化すると、チャネル推定回路6における伝送路(チャネル)の状態の推定精度も雑音成分の影響によって低下することになる。チャネル推定回路6におけるチャネルの推定精度が低下した場合、重み付け回路11には精度の低下した各サブキャリアのチャネル推定結果が入力されることになり、重み付け回路11では精度の低い信号レベル情報に基づいて各パイロット信号の位相回転情報に対して重み付けを行うことになる。この低い精度の信号レベル情報に基づいた重み付けによる影響については、原理上、シンボル内平均回路12および移動平均回路13において補正することは不可能である。従って、結果的に位相回転補正回路9において精度の低い位相回転補正が行われることになるため、伝送品質に大きな劣化を生じる。
【0040】
このような熱雑音による伝送路(チャネル)状態の推定精度の低下を回避するため、従来の装置においては、OFDMパケット信号の先頭付近において同一の既知のチャネル推定用プリアンブル信号を複数回送信し、受信側で平均化を行うことにより雑音成分を抑圧して熱雑音の影響を低減する方法や、受信したチャネル推定用プリアンブル信号を周波数方向に移動平均処理することにより雑音成分を抑圧して熱雑音の影響を低減する方法が知られている。しかし、前者には、パケット内の全ての信号に対するチャネル推定用プリアンブル信号の割合が増加するために伝送効率すなわちスループットが低下するという問題がある。また、後者には、周波数方向に移動平均処理を行うことから、各サブキャリア毎の伝送路(チャネル)状態の変動が大きい場合にその変動に追従することができなくなるため、チャネルの推定精度が低下するという問題がある。従って、従来の装置では精度の高い信号レベル情報を用いて重み付けを行うことが困難であり、高い伝送品質を得ることが困難であった。
【0041】
さらに、シンボル内平均回路12から出力される信号の位相成分は、主として位相雑音に起因する位相回転成分、残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転成分および熱雑音に起因する位相回転成分の累積値から構成されている。図43に示した従来のOFDMパケット通信用受信装置の移動平均回路13は、シンボル内平均回路12から出力される信号のうち、熱雑音に起因する位相回転成分を低減し、位相雑音に起因する位相回転成分および残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転成分を精度良く検出することを目的として設けられている。ここで、ある信号に対し一定期間に渡る移動平均処理を行う場合を考えてみる。この場合、移動平均処理を行う期間内の希望信号の変化量が十分に小さいときには、熱雑音等の影響を低減しつつ精度良く希望信号の信号成分を検出することが可能である。しかしながら、移動平均処理を行う期間内の希望信号の変化量が大きい場合には、移動平均処理することによって雑音成分のみならず希望信号の信号成分自体が平滑化されてしまうため、移動平均後の信号成分には移動平均処理に起因する劣化が生じてしまうことになる。実際には、位相雑音に起因する位相回転成分は数OFDMシンボル程度では殆ど変化しない。従って、移動平均処理を行っても位相雑音に起因する位相回転成分には劣化が殆ど生じない。しかしながら、残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転成分の累積値は単調増加(あるいは単調減少)し、また、1個のOFDMシンボル毎の位相回転成分の累積値の増加量は比較的大きいため、移動平均処理を行うとその信号成分には劣化が生じてしまう。従って、移動平均回路13が出力する移動平均後の位相回転情報信号のうちの残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転成分には、残留搬送波周波数誤差量および移動平均期間の時間長に比例した一定の誤差が生じることになる。従って、従来の装置では、位相回転補正回路9において移動平均回路13から出力される移動平均後の位相回転情報信号を用いて各サブキャリア信号の位相回転の補正を行うと、補正後の信号には残留搬送波周波数誤差量および移動平均期間の時間長に応じた劣化が生じる問題があった。
【0042】
本発明は、上述のようなOFDMパケット通信用受信装置において、送信側装置のサンプリングクロック周波数と受信側装置のサンプリングクロック周波数との間にずれが存在する場合であっても伝送品質の劣化を抑制するとともに回路構成の複雑化を回避することを目的としている。また、送受間の搬送波周波数にずれがある場合や位相雑音がある場合であっても小さな処理遅延で高精度にOFDM信号を復調することを目的としている。さらに、受信側装置において受信信号に熱雑音が付加される場合であっても、簡易な回路で伝送効率を低下させずに伝送品質の劣化を抑制することを目的としている。
【0043】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明によるOFDMパケット通信用受信装置は、OFDM信号を受信して所定の受信処理を行う受信手段(102)と、前記受信手段が出力する受信信号に対してタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理を行う同期処理手段(103)と、前記同期処理手段によってタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理された受信信号をフーリエ変換を用いて各サブキャリア毎の信号に分離するフーリエ変換手段(105)と、前記フーリエ変換手段によって分離された各サブキャリア信号を用いてチャネル特性の推定を行うチャネル推定手段(106)と、前記チャネル推定手段によって得られたチャネル特性の推定結果を用いて前記フーリエ変換手段によって分離されたサブキャリア信号に対し同期検波処理を行い検波信号を出力する同期検波手段(107)とを備えるOFDMパケット通信用受信装置において、前記同期検波手段によって出力された検波信号のうち全てあるいは一部の検波信号を用いて送信側と受信側の間のクロック周波数誤差による位相回転量あるいは位相回転累積量を検波信号(R1、R2)の位相と基準信号(S1〜S16)の位相との差により検出し、クロック周波数誤差(fRCLK−fTCLK)による各サブキャリア信号の位相回転情報(Δθ)を生成するクロック周波数誤差推定手段(100)と、前記クロック周波数誤差推定手段から出力されたクロック周波数誤差に応じた情報に基づいて、前記同期検波手段から出力された検波信号に対してクロック周波数誤差による位相回転を補正する位相回転補正手段(109)とを備え、該位相回転補正手段(109)の出力をシンボル毎に識別する。
【0044】
本発明の別の実施例によるOFDMパケット通信用受信装置は、OFDM信号を受信して所定の受信処理を行う受信手段と、前記受信手段が出力する受信信号に対してタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理を行い同期後の信号および搬送波周波数誤差情報を出力する同期処理手段と、前記同期処理手段によってタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理された信号をフーリエ変換を用いて各サブキャリア毎の信号に分離するフーリエ変換手段とを備え、前記フーリエ変換手段によって分離された各サブキャリア信号を用いてチャネル特性の推定を行うチャネル推定手段と、前記チャネル推定手段によって得られたチャネル特性の推定結果を用いて前記フーリエ変換手段によって分離されたサブキャリア信号に対し同期検波処理を行い検波信号を出力する同期検波手段と、前記同期検波手段から出力される検波信号の全てあるいは一部の検波信号の残留搬送波周波数誤差による位相回転量を検出し、残留搬送波周波数誤差情報を生成する残留搬送波周波数誤差推定手段と、前記同期処理手段から出力される搬送波周波数誤差情報と前記残留搬送波周波数誤差推定手段から出力される残留搬送波周波数誤差情報とに基づいて、前記同期検波手段から出力される検波信号のクロック周波数誤差による位相回転量を予測し位相回転情報を生成する位相回転予測手段と、前記位相回転予測手段から出力される位相回転情報に基づいて、前記同期検波手段から出力される検波信号に対しクロック周波数誤差により生じる位相回転を補正する位相回転補正手段とを有する。
【0045】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図1を参照して説明する。この形態は請求項1に対応する。
【0046】
この形態では、請求項1の受信手段、同期処理手段、フーリエ変換手段、チャネル推定手段、同期検波手段、クロック周波数誤差推定手段及び位相回転補正手段は、それぞれ受信回路102、同期処理回路103、フーリエ変換回路105、チャネル推定回路106、同期検波回路107、クロック周波数誤差推定部100及び位相回転補正回路109に対応する。
【0047】
アンテナ101で受信されたOFDM信号は受信回路102に入力される。受信回路102は、入力されるOFDM信号に対して周波数変換、フィルタリング、直交検波、AD変換等の受信処理を施す。この受信処理の結果、受信信号が複素ベースバンド信号として受信回路102から出力される。
【0048】
受信回路102から出力される複素ベースバンド信号は、同期処理回路103に入力される。同期処理回路103は、入力される複素ベースバンド信号に含まれる同期用プリアンブル信号(図44参照)を用いて搬送波周波数誤差及びシンボルタイミングを検出する。そして、受信回路102から入力される複素ベースバンド信号に対して、検出した搬送波周波数誤差の情報を用いて搬送波周波数誤差を補正するための処理を施す。
【0049】
同期処理回路103は、搬送波周波数誤差の補正された複素ベースバンド信号と、検出したシンボルタイミングの情報とを出力する。これらの信号はガードインターバル除去回路104に入力される。なお、シンボルタイミングの検出は、受信したOFDM信号のシンボル間に存在するガードインターバルを除去して各シンボルから有効なデータ成分を抽出するために必要になる。
【0050】
ガードインターバル除去回路104は、同期処理回路103から入力されるシンボルタイミングの情報に従って、入力される複素ベースバンド信号にFFTウインドウ処理を施す。すなわち、複素ベースバンド信号の1OFDMシンボル毎に、FFTウインドウの時間幅の信号成分だけを抽出し、ガードインターバルを除去する。FFTウインドウの時間幅は、1OFDMシンボル長からガードインターバルに相当する信号長を差し引いた時間幅である。
【0051】
ガードインターバル除去回路104によってガードインターバルを除去された複素ベースバンド信号が1OFDMシンボル毎にフーリエ変換回路105に入力される。フーリエ変換回路105は、入力される複素ベースバンド信号に1OFDMシンボル毎に高速フーリエ変換処理を施して、入力信号に含まれる多数のサブキャリアの各信号成分をそれぞれ分離する。
【0052】
フーリエ変換回路105で分離された各サブキャリアの信号は、同期検波回路107及びチャネル推定回路106にそれぞれ入力される。チャネル推定回路106は、入力される各サブキャリアの信号のうち、チャネル推定用プリアンブル信号(図44参照)に相当する信号成分を用いて各サブキャリア信号が通ってきた伝送路(チャネル)の状態をサブキャリア毎に推定し、その推定結果を出力する。
【0053】
チャネル推定回路106から出力されるチャネル推定結果を参照することにより、例えば、各々のサブキャリアの振幅や位相がフェージングによってどのような影響を受けているかを知ることができる。チャネル推定回路106から出力されるチャネル推定結果は、同期検波回路107に入力される。
【0054】
同期検波回路107は、同期検波回路107から入力される複素ベースバンド信号について、チャネル推定回路106から入力されるチャネル推定結果を利用して、サブキャリア毎に、フェージシグ等のチャネル特性に起因する振幅変動及び位相回転を補正することで同期検波に相当する処理を行う。
【0055】
同期検波回路107が出力する検波信号は、位相回転補正回路109及びクロック周波数誤差推定部100にそれぞれ入力される。クロック周波数誤差推定部100は、位相回転検出回路108、クロック周波数誤差予測回路110、位相回転演算回路111で構成されている。
【0056】
例えば、変調方式として16QAM変調を採用している場合には、同期検波後の信号は本来、位相平面上で図45に示す16個の基準信号点S1〜S16のいずれかの位置に現れる。しかし、送信側装置のサンプリングクロック周波数と受信側装置のサンプリングクロック周波数にずれが存在する場合、すなわち、送受間でクロック周波数誤差が存在する場合には、同期検波された検波信号に位相回転が生じるため、同期検波回路107から出力される検波信号(例えば、図45のR1、R2)の位置は本来の位置であるいずれか1つの基準信号点と一致しなくなる。検波信号の位相回転量は、検波信号毎に異なる。
【0057】
クロック周波数誤差推定部100の位相回転検出回路108は、各サブキャリアの検波信号について、それぞれの位相回転量あるいは位相回転累積量を検出する。例えば、図45に示す入力信号R1が同期検波回路107から出力された検波信号であった場合、位相回転検出回路108は基準信号点S1〜S16の中で位置が入力信号R1に最も近い基準信号点S3を基準とし、基準信号点S3と入力信号R1との位相差φ1を検出する。
【0058】
また、図45に示す入力信号R2が同期検波回路107から出力された検波信号であった場合、位相回転検出回路108は基準信号点S1〜S16の中で位置が入力信号R2に最も近い基準信号点S6を基準とし、基準信号点S6と入力信号R2との位相差φ2を検出する。
【0059】
このクロック周波数誤差に起因する位相回転量は、前記第(5)式で表される。従って、クロック周波数誤差による位相回転量(Δθ)(例えば、図45の位相差φ1、φ2)、チャネル推定時からの時間経過量(t)、チャネルの中心周波数からの各サブキャリアの周波数オフセット量(f)はいずれも既知なので、前記第(5)式に基づいてサンプリングクロック周波数の規格値に対する送受間のサンプリングクロック周波数のずれの割合(Δx)を算出することができる。さらに、サンプリングクロック周波数の規格値(fCLK)は既知であるため、サンプリングクロック周波数の規格値に対する送受間のサンプリングクロック周波数のずれの割合(Δx)から、送受間のサンプリングクロック周波数の周波数ずれの量(fRCLK−fTCLK)を算出することもできる。
【0060】
クロック周波数誤差予測回路110は、OFDMシンボル毎に位相回転検出回路108から入力される各検波信号の位相回転量の情報を用いて、前記第(5)式に基づいてサンプリングクロック周波数の規格値に対する送受間のサンプリングクロック周波数のずれの割合すなわちクロック周波数偏差あるいは送受間のサンプリングクロック周波数の周波数ずれの量すなわちクロック周波数誤差を予測演算する。
【0061】
位相回転量演算回路111は、クロック周波数誤差予測回路110が予測演算したクロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差に基づき、同期検波回路107が出力する各検波信号のクロック周波数誤差に起因する位相回転量を検波信号毎に演算する。この位相回転量は、前記第(5)式により求めることができる。
【0062】
位相回転補正回路109は、同期検波回路107から入力される各検波信号に対して、位相回転演算回路111で演算された位相回転量の情報に基づいて、クロック周波数誤差に起因する位相回転を除去するような位相補正処理を行う。
【0063】
位相回転補正回路109によって位相補正された検波信号が識別回路112に入力される。識別回路112は、入力される検波信号のうち、データ信号(図44参照)についてシンボル判定を行い、その判定結果を復調出力として出力する。例えば、16QAM変調の場合には識別回路112は各々の検波信号が図45に示す基準信号点S1〜S16のいずれに該当するかを識別する。この際、各検波信号がいずれの基準信号点に対応するかを識別する前に、位相回転補正回路109によって検波信号毎に前記位相回転量が補正されているため、クロック周波数ずれの影響を受けることなく信号を識別することができる。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0064】
(第2の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図2を参照して説明する。この形態は請求項2に対応する。この形態は第1の実施の形態の変形例である。図2において、第1の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第1の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0065】
図2に示すクロック周波数誤差推定部200には、重み付け回路201、平滑化回路202、位相回転検出回路203、クロック周波数誤差予測回路110及び位相回転演算回路111が備わっている。
【0066】
同期検波回路107から出力される検波信号と、チャネル推定回路106から出力されるサブキャリア毎のチャネル推定結果とが重み付け回路201に入力される。重み付け回路201は、まず同期検波回路107から入力される検波信号の基準信号からの位相回転量の情報を検出し、次にチャネル推定回路106から入力されるチャネル推定結果に基づいて前述の位相回転量の情報に対して重み付けを行う。
【0067】
例えば、チャネル推定結果から得られる各サブキャリアの信号レベル情報に基づいて、信号レベルが大きいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には大きな重み付けを行い、信号レベルが小さいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には小さい重み付けを行う。このような重み付けを行うと、クロック周波数誤差推定手段における信号レベルの小さい信号(劣化した信号)の影響度が小さくなるため、クロック周波数誤差推定の信頼性が改善される。
【0068】
重み付け回路201によって重み付けされた位相回転量情報信号は、平滑化回路202に入力される。平滑化回路202は、重み付け回路201から入力される重み付け後の位相回転量情報信号について、サブキャリア毎に時間軸方向に対する移動平均を計算し、その結果を出力する。すなわち、平滑化回路202は重み付け後の位相回転量情報信号を平滑化する。この平滑化により、受信回路102において信号に付加された熱雑音等による信号品質の劣化を除去することができる。
【0069】
位相回転検出回路203は、重み付け回路201で重み付けされ平滑化回路202で平滑化された位相回転量情報信号を入力し、クロック周波数誤差によって当該検波信号に生じた位相回転の位相回転量(例えば、図45のφ1、φ2)あるいは位相回転累積量を検波信号毎に検出する。
【0070】
クロック周波数誤差予測回路110は、位相回転検出回路203が検出した検波信号毎の位相回転量あるいは位相回転累積量を用いて、前記第(5)式に基づいてクロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差を予測演算する。位相回転演算回路111は、クロック周波数誤差予測回路110が予測演算したクロック周波数誤差に基づいて、同期検波回路107から出力される検波信号のクロック周波数誤差に起因する位相回転量を検波信号毎に演算する。この位相回転量は、前記第(5)式により求めることができる。この演算結果が位相回転補正回路109に印加される。
【0071】
サブキャリア毎に通信品質が異なる場合には、上述のように通信品質が良好なサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報の重みを大きくした信号を処理することによって、フェージング等の影響を抑制することができるため、クロック周波数誤差の検出精度を改善できる。また、時間方向に対して平滑化した位相回転量情報信号を処理することによって、熱雑音等の影響を抑制できるため、さらに高精度にクロック周波数誤差を検出することが可能になる。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0072】
(第3の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図3を参照して説明する。この形態は請求項3に対応する。この形態は第1の実施の形態の変形例である。図3において、第1の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第1の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0073】
図3に示すクロック周波数誤差推定部300には、パイロット信号抽出回路301、位相回転検出回路302、クロック周波数誤差予測回路303及び位相回転演算回路111が備わっている。
【0074】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアに既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0075】
パイロット信号抽出回路301は、同期検波回路107が出力する検波信号を入力し、その検波信号の中からパイロット信号に相当する検波信号の信号成分だけを抽出する。
【0076】
位相回転検出回路302は、パイロット信号抽出回路301が抽出したパイロット信号に相当する検波信号の信号成分だけを入力し、その各検波信号に生じた位相回転の位相回転量あるいは位相回転累積量を、検波信号毎に検出する。
【0077】
パイロット信号は既知信号なので、それに対応する基準信号点も既知である。従って、パイロット信号に相当する検波信号だけを位相回転量の検出対象にする場合には検波信号に対応する特定の基準信号点を識別する必要がなく、信号処理が簡単になる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の本来の基準信号点が誤って識別されるようなことも無いため、位相回転量の検出精度が改善される。
【0078】
クロック周波数誤差予測回路303は、位相回転検出回路302により検出された位相回転量あるいは位相回転累積量を検波信号毎に入力して、クロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差を予測演算する。
【0079】
位相回転演算回路111は、クロック周波数誤差予測回路303が予測演算したクロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差に基づいて、同期検波回路107が出力する各検波信号に生じるクロック周波数誤差に起因する位相回転量を検波信号毎に演算する。この位相回転量は、前記第(5)式により求めることができる。
【0080】
位相回転補正回路109は、同期検波回路107から入力される各検波信号に対して、位相回転演算回路111から入力される位相回転量の情報に基づいて、クロック周波数誤差に起因する位相回転を除去するような位相補正処理を行う。
【0081】
上述のように、OFDM信号の一部のサブキャリアを利用して既知信号であるパイロット信号を伝送する場合には、パイロット信号に相当する検波信号の信号成分からクロック周波数誤差を検出することにより、一部の検波信号だけを用いて効率的にクロック周波数誤差を検出できるので、クロック周波数誤差推定手段の回路構成を単純化できる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の基準信号点が誤って識別されるようなことが無いため、クロック周波数誤差の検出精度が向上する。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を簡易な回路で実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要がなく、消費電力の増加を抑制することができる。
【0082】
(第4の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図4を参照して説明する。この形態は請求項4に対応する。この形態は第1の実施の形態の変形例である。図4において、第1の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第1の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0083】
図4に示すクロック周波数誤差推定部400は、パイロット信号抽出回路401、重み付け回路402、平滑化回路403、位相回転検出回路404、クロック周波数誤差予測回路405及び位相回転演算回路111を備えている。
【0084】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0085】
パイロット信号抽出回路401は、同期検波回路107が出力する検波信号を入力し、その検波信号の中からパイロット信号に相当する検波信号の信号成分だけを抽出する。
【0086】
重み付け回路402は、まず、パイロット信号抽出回路401によって検波信号の中から抽出されたパイロット信号に相当する各検波信号の基準信号からの位相回転量の情報を抽出し、次に、チャネル推定回路106が推定したチャネル推定結果に基づいて前述の位相回転量の情報に対して重み付けを行う。
【0087】
例えば、チャネル推定結果から得られる各サブキャリアの信号レベル情報に基づいて、信号レベルが大きいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には大きな重み付けを行い、信号レベルが小さいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には小さい重み付けを行う。このような重み付けを行うと、クロック周波数誤差推定手段における信号レベルの小さい信号の影響度が小さくなるため、クロック周波数誤差推定の信頼性が改善される。
【0088】
重み付け回路402によって重み付けされた位相回転量情報信号は、平滑化回路403に入力される。平滑化回路403は、重み付け回路402から入力される重み付け後の位相回転量情報信号について、サブキャリア毎に時間軸方向に対する移動平均を計算し、その結果を出力する。すなわち、平滑化回路403は重み付け後の位相回転量情報信号を平滑化する。この平滑化により、受信回路102において信号に付加された熱雑音等による信号品質の劣化を除去することができる。
【0089】
位相回転検出回路404は、重み付け回路402で重み付けされ平滑化回路403で平滑化された位相回転量情報信号を入力し、クロック周波数誤差によって当該検波信号に生じた位相回転の位相回転量(例えば、図45のφ1、φ2)あるいは位相回転累積量をパイロット信号に相当する検波信号毎に検出する。
【0090】
クロック周波数誤差予測回路405は、位相回転検出回路404が検出したパイロット信号に相当する各検波信号の位相回転量あるいは位相回転累積量を用いて、前記第(5)式に基づいてクロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差を予測演算する。位相回転演算回路111は、クロック周波数誤差予測回路405が予測演算したクロック周波数誤差に基づいて、同期検波回路107から出力される検波信号のクロック周波数誤差に起因する位相回転量を検波信号毎に演算する。この位相回転量は、前記第(5)式により求めることができる。この演算結果が位相回転補正回路109に印加される。
【0091】
上述のようにOFDM信号の一部のサブキャリアを利用して既知信号であるパイロット信号を伝送する場合には、パイロット信号に相当する検波信号の信号成分からクロック周波数誤差を検出することにより、一部の検波信号だけを用いて効率的にクロック周波数誤差を検出できるので、クロック周波数誤差推定手段の回路構成を単純化できる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の基準信号点が誤って識別されるようなことが無いため、クロック周波数誤差の検出精度が向上する。
【0092】
さらに、サブキャリア毎に通信品質が異なる場合には、上述のように通信品質が良好なサブキャリアを利用して伝送されたパイロット信号から検出した位相回転量の情報の重みを大きくした信号を処理することによって、フェージング等の影響を抑制することができるため、クロック周波数誤差の検出精度を改善できる。また、時間方向に対して平滑化した位相回転量情報信号を処理することによって、熱雑音等の影響を抑制できるため、さらに高精度にクロック周波数誤差を検出することが可能になる。
【0093】
すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を簡易な回路で実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0094】
(第5の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図5を参照して説明する。この形態は請求項5に対応する。この形態は第1の実施の形態の変形例である。図5において、第1の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第1の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0095】
この形態では、請求項5の受信手段、同期処理手段、フーリエ変換手段、チャネル推定手段、同期検波手段、クロック周波数誤差推定手段及び位相回転補正手段は、それぞれ受信回路102、同期処理回路103、フーリエ変換回路105、チャネル推定回路106、同期検波回路107、クロック周波数誤差推定部500及び位相回転補正回路109に対応する。
【0096】
図5に示すクロック周波数誤差推定部500は、位相回転検出回路501、クロック周波数誤差予測回路502及び位相回転演算回路503を備えている。
【0097】
位相回転検出回路501は、位相回転補正回路109を通過した位相回転補正後の検波信号を入力し、検波信号の位相回転量をOFDMシンボル毎及びサブキャリア毎に検出する。なお、位相回転検出回路501の基本的な動作は、図1の位相回転検出回路108と同様である。
【0098】
クロック周波数誤差予測回路502は、当該シンボル受信時までに位相回転検出回路501から入力された各検波信号の位相回転量の情報を用いて、クロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差を予測演算する。
【0099】
位相回転演算回路503は、クロック周波数誤差予測回路502が予測演算したクロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差の情報を用いて同期検波回路107が出力する検波信号に生じるクロック周波数誤差に起因する位相回転の位相回転量を、検波信号毎に演算して求める。この位相回転量は、前記第(5)式により求めることができる。
【0100】
位相回転補正回路109は、同期検波回路107から入力される各検波信号に対して、位相回転演算回路503から入力される位相回転量の情報に基づいて、クロック周波数誤差に起因する位相回転を除去するような位相補正処理を行う。
【0101】
すなわち、図1のOFDMパケット通信用受信装置においては位相回転補正回路109が補正する前の検波信号から位相回転を検出しているのに対し、図5のOFDMパケット通信用受信装置においては位相回転補正回路109が補正した後の検波信号から位相回転を検出している。
【0102】
従って、第1の実施例と同様に各検波信号がいずれの基準信号点に対応するかを識別する前に検波信号毎に前記位相回転量を補正することにより、クロック周波数ずれの影響を受けることなく信号を識別することができる。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0103】
(第6の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図6を参照して説明する。この形態は請求項6に対応する。この形態は第5の実施の形態の変形例である。図6において、第5の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第5の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0104】
図6に示すクロック周波数誤差推定部600は、重み付け回路601、平滑化回路602、位相回転検出回路603、クロック周波数誤差予測回路502及び位相回転演算回路503を備えている。
【0105】
クロック周波数誤差予測回路502は、当該シンボル受信時までに位相回転検出回路501から入力された各検波信号の位相回転量の情報を用いて、クロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差を予測演算する
【0106】
重み付け回路601は、位相回転補正回路109が出力する位相回転補正後の検波信号を入力し、まず位相回転補正回路109から入力される位相回転補正後の検波信号の基準信号からの位相回転量の情報を検出し、次にチャネル推定回路106が推定したチャネル推定結果に基づいて前述の位相回転量の情報に対して検波信号毎に重み付けを行う。
【0107】
例えば、チャネル推定結果から得られる各サブキャリアの信号レベル情報に基づいて、信号レベルが大きいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には大きな重み付けを行い、信号レベルが小さいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には小さい重み付けを行う。このような重み付けを行うと、クロック周波数誤差推定手段における信号レベルの小さい信号の影響度が小さくなるため、クロック周波数誤差推定の信頼性が改善される。
【0108】
重み付け回路601によって重み付けされた位相回転量情報信号は、平滑化回路602に入力される。平滑化回路602は、重み付け回路601から入力される重み付け後の位相回転量情報信号について、サブキャリア毎に時間軸方向に対する移動平均を計算し、その結果を出力する。すなわち、平滑化回路602は重み付け後の位相回転量情報信号を平滑化する。この平滑化により、受信回路102において信号に付加された熱雑音等による信号品質の劣化を除去することができる。
【0109】
位相回転検出回路603は、重み付け回路601で重み付けされ平滑化回路602で平滑化された位相回転量情報信号を入力し、クロック周波数誤差によって該検波信号に生じた位相回転の位相回転量を検波信号毎に検出する。
【0110】
位相回転検出回路603の検出した各検波信号の位相回転量がクロック周波数誤差予測回路502に印加され、クロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差の予測演算に利用される。
【0111】
サブキャリア毎に通信品質が異なる場合には、上述のように通信品質が良好なサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報の重みを大きくした信号を処理することによって、フェージング等の影響を抑制することができるため、クロック周波数誤差の検出精度を改善できる。また、時間方向に対して平滑化した位相回転量情報信号を処理することによって、熱雑音等の影響を抑制できるため、さらに高精度にクロック周波数誤差を検出することが可能になる。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0112】
(第7の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図7を参照して説明する。この形態は請求項7に対応する。この形態は第5の実施の形態の変形例である。図7において、第5の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第5の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0113】
図7に示すクロック周波数誤差推定部700は、パイロット信号抽出回路701、位相回転検出回路702、クロック周波数誤差予測回路703及び位相回転演算回路503を備えている。
【0114】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアに既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0115】
パイロット信号抽出回路701は、位相回転補正回路109によって位相回転補正された検波信号を入力し、その検波信号の中からパイロット信号に相当する検波信号の信号成分だけを抽出する。
【0116】
位相回転検出回路702は、パイロット信号抽出回路701が抽出したパイロット信号に相当する検波信号の信号成分だけを入力し、その検波信号に生じた位相回転の位相回転量あるいは位相回転累積量を、検波信号毎に検出する。
【0117】
パイロット信号は既知信号なので、それに対応する基準信号点も既知である。従って、パイロット信号に相当する検波信号だけを位相回転量の検出対象にする場合には検波信号に対応する特定の基準信号点を識別する必要がなく、信号処理が簡単になる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の基準信号点が誤って識別されるようなことも無いため、位相回転量の検出精度が改善される。
【0118】
クロック周波数誤差予測回路703は、位相回転検出回路702により検出された位相回転量あるいは位相回転累積量を検波信号毎に入力して、クロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差を予測演算する。
【0119】
各検波信号に生じるクロック周波数誤差に起因する位相回転量を演算するために、クロック周波数誤差予測回路703が予測演算したクロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差の情報が位相回転演算回路503に入力される。
【0120】
上述のように、OFDM信号の一部のサブキャリアを利用して既知信号であるパイロット信号を伝送する場合には、パイロット信号に相当する検波信号の信号成分からクロック周波数誤差を検出することにより、一部の検波信号だけを用いて効率的にクロック周波数誤差を検出できるので、クロック周波数誤差推定手段の回路構成を単純化できる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の基準信号点が誤って識別されるようなことが無いため、クロック周波数誤差の検出精度が向上する。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を簡易な回路で実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0121】
(第8の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図8を参照して説明する。この形態は請求項8に対応する。この形態は第5の実施の形態の変形例である。図8において、第5の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第5の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0122】
図8に示すクロック周波数誤差推定部800は、パイロット信号抽出回路801、重み付け回路802、平滑化回路803、位相回転検出回路804、クロック周波数誤差予測回路805及び位相回転演算回路503に対応する。
【0123】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0124】
パイロット信号抽出回路801は、位相回転補正回路109によって位相回転補正された検波信号を入力し、その検波信号の中からパイロット信号に相当する検波信号の信号成分だけを抽出する。
【0125】
重み付け回路802は、パイロット信号抽出回路801により抽出されたパイロット信号に相当する検波信号を入力し、まず、パイロット信号抽出回路801から入力されるパイロット信号に相当する各検波信号の基準信号からの位相回転量の情報を抽出し、次に、チャネル推定回路106が推定したチャネル推定結果に基づいて前述の位相回転量の情報に対して重み付けを行う。
【0126】
例えば、チャネル推定結果から得られる各サブキャリアの信号レベル情報に基づいて、信号レベルが大きいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には大きな重み付けを行い、信号レベルが小さいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には小さい重み付けを行う。このような重み付けを行うと、クロック周波数誤差推定手段における信号レベルの小さい信号の影響度が小さくなるため、クロック周波数誤差推定の信頼性が改善される。
【0127】
重み付け回路802によって重み付けされた位相回転量情報信号は、平滑化回路803に入力される。平滑化回路803は、重み付け回路802から入力される重み付け後の位相回転量情報信号について、サブキャリア毎に時間軸方向に対する移動平均を計算し、その結果を出力する。すなわち、平滑化回路803は重み付け後の位相回転量情報信号を平滑化する。この平滑化により、受信回路102において信号に付加された熱雑音等による信号品質の劣化を除去することができる。
【0128】
位相回転検出回路804は、重み付け回路802で重み付けされ平滑化回路803で平滑化された位相回転量情報信号を入力し、クロック周波数誤差によって当該検波信号に生じた位相回転の位相回転量を各パイロット信号に相当する検波信号毎に検出する。
【0129】
クロック周波数誤差予測回路805は、位相回転検出回路804が検出した各パイロット信号に相当する各検波信号の位相回転量を用いて、前記第(5)式に基づいてクロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差を予測演算する。
【0130】
各検波信号に生じるクロック周波数誤差に起因する位相回転量を演算するために、クロック周波数誤差予測回路805が予測演算したクロック周波数偏差あるいはクロック周波数誤差の情報が位相回転演算回路503に入力される。
【0131】
上述のようにOFDM信号の一部のサブキャリアを利用して既知信号であるパイロット信号を伝送する場合には、パイロット信号に相当する検波信号の信号成分からクロック周波数誤差を検出することにより、一部の検波信号だけを用いて効率的にクロック周波数誤差を検出できるので、クロック周波数誤差推定手段の回路構成を単純化できる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の基準信号点が誤って識別されるようなことが無いため、クロック周波数誤差の検出精度が向上する。
【0132】
さらに、サブキャリア毎に通信品質が異なる場合には、上述のように通信品質が良好なサブキャリアを利用して伝送されたパイロット信号から検出した位相回転量の情報の重みを大きくした信号を処理することによって、フェージング等の影響を抑制することができるため、クロック周波数誤差の検出精度を改善できる。また、時間方向に対して平滑化した位相回転量情報信号を処理することによって、熱雑音等の影響を抑制できるため、さらに高精度にクロック周波数誤差を検出することが可能になる。
【0133】
すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を簡易な回路で実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0134】
(第9の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図9を参照して説明する。この形態は請求項9に対応する。
【0135】
この形態では、請求項9の受信手段、同期処理手段、フーリエ変換手段、チャネル推定手段、同期検波手段、残留搬送波周波数誤差推定手段、位相回転予測手段及び位相回転補正手段は、それぞれ受信回路102、同期処理回路901、フーリエ変換回路105、チャネル推定回路106、同期検波回路107、残留搬送波周波数誤差検出回路902、位相回転予測回路904及び位相回転補正回路109に対応する。
【0136】
なお、この例では図9のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図9のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。この例では、同一の信号源が出力する信号に基づいて搬送波周波数及びサンプリングクロック周波数の両方を生成しているので、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期している。
【0137】
アンテナ101で受信されたOFDM信号は受信回路102に入力される。受信回路102は、入力されるOFDM信号に対して周波数変換、フィルタリング、直交検波、AD変換等の受信処理を施す。この受信処理の結果、受信信号が複素ベースバンド信号として受信回路102から出力される。
【0138】
受信回路102から出力される複素ベースバンド信号は、同期処理回路901に入力される。同期処理回路901は、入力される複素ベースバンド信号に含まれる同期用プリアンブル信号(図44参照)を用いて搬送波周波数誤差及びシンボルタイミングを検出する。そして、受信回路102から入力される複素ベースバンド信号に対して、検出した搬送波周波数誤差の情報を用いて搬送波周波数誤差を補正するための処理を施す。
【0139】
同期処理回路901は、搬送波周波数誤差の補正された複素ベースバンド信号と、検出したシンボルタイミングの情報と、検出した搬送波周波数誤差の情報とを出力する。これらの信号のうち、複素ベースバンド信号とシンボルタイミング情報はガードインターバル除去回路104に入力される。また、搬送波周波数誤差情報は位相回転予測回路904に入力される。なお、シンボルタイミングの検出は、受信したOFDM信号のシンボル間に存在するガードインターバルを除去して各シンボルから有効なデータ成分を抽出するために必要になる。
【0140】
ガードインターバル除去回路104は、同期処理回路901から入力されるシンボルタイミングの情報に従って、入力される複素ベースバンド信号にFFTウインドウ処理を施す。すなわち、複素ベースバンド信号の1OFDMシンボル毎に、FFTウインドウの時間幅の信号成分だけを抽出し、ガードインターバルを除去する。FFTウインドウの時間幅は、1OFDMシンボル長からガードインターバルに相当する信号長を差し引いた時間幅である。
【0141】
ガードインターバル除去回路104によってガードインターバルを除去された複素ベースバンド信号が1OFDMシンボル毎にフーリエ変換回路105に入力される。フーリエ変換回路105は、入力される複素ベースバンド信号に1OFDMシンボル毎に高速フーリエ変換処理を施して、入力信号に含まれる多数のサブキャリアの各信号成分をそれぞれ分離する。
【0142】
フーリエ変換回路105で分離された各サブキャリアの信号は、同期検波回路107及びチャネル推定回路106にそれぞれ入力される。チャネル推定回路106は、入力される各サブキャリアの信号のうち、チャネル推定用プリアンブル信号(図44参照)に相当する信号成分を用いて各サブキャリア信号が通ってきた伝送路(チャネル)の状態をサブキャリア毎に推定し、その推定結果を出力する。
【0143】
チャネル推定回路106から出力されるチャネル推定結果を参照することにより、例えば、各々のサブキャリアの振幅や位相がフェージングによってどのような影響を受けているかを知ることができる。チャネル推定回路106から出力されるチャネル推定結果は、同期検波回路107に入力される。
【0144】
同期検波回路107は、同期検波回路107から入力される複素ベースバンド信号に対して、チャネル推定回路106から入力されるチャネル推定結果を利用して、サブキャリア毎に、フェージング等のチャネル特性に起因する振幅変動及び位相回転を補正することで同期検波に相当する処理を行う。
【0145】
同期検波回路107が出力する検波信号は、残留搬送波周波数誤差検出回路902及び位相回転補正回路903にそれぞれ入力される。残留搬送波周波数誤差検出回路902は、同期検波回路107から入力される検波信号を用いて、その検波信号に現れる残留搬送波周波数誤差に起因する各検波信号の位相回転を検出することにより、残留搬送波周波数誤差を検出する。
【0146】
例えば、変調方式として16QAM変調を採用している場合には、同期検波後の信号は本来、位相平面上で図45に示す16個の基準信号点S1〜S16のいずれかの位置に現れる。しかし、送信側装置と受信側装置との間で搬送波周波数及びサンプリングクロック周波数にずれが存在する場合には、同期検波後の各検波信号に前記第(5)式および前記第(6)式に示されるような位相回転が生じるため、同期検波回路107から出力される検波信号(例えば、図45のR1、R2)の位置は本来の位置であるいずれか1つの基準信号点と一致しなくなる。
【0147】
搬送波周波数のずれによって生じる位相回転は、前記第(6)式に示されるように当該OFDMシンボルに含まれる全ての検波信号の信号成分に共通に現れる。また、OFDMシンボル間隔は一定であるため、1OFDMシンボル当たりの位相回転量は、残留搬送波周波数誤差量に比例した一定量となる。そこで、残留搬送波周波数誤差検出回路902は、入力される複数のサブキャリア信号に共通に現れる前述の1OFDMシンボル当たりの位相回転量あるいはチャネル推定時から当該OFDMシンボルまでに付加される位相回転累積量を検出することにより、前記第(6)式に基づいて残留搬送波周波数誤差を検出する。
【0148】
実際には、まず同一の1OFDMシンボルについて各々のサブキャリア信号の基準信号点からの位相回転量を検出する。例えは、図45に示す入力信号R1が同期検波回路107から出力された検波信号であった場合、残留搬送波周波数誤差検出回路902は基準信号点S1〜S16の中で位置が入力信号R1に最も近い基準信号点S3を基準とし、基準信号点S3と入力信号R1との位相差φ1を検出する。また、図45に示す入力信号R2が同期検波回路107から出力された検波信号であった場合、残留搬送波周波数誤差検出回路902は基準信号点S1〜S16の中で位置が入力信号R2に最も近い基準信号点S6を基準とし、基準信号点S6と入力信号R2との位相差φ2を検出する。
【0149】
ここで検出される位相回転量には、前記第(6)式に示されるような残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転成分だけでなく、前記第(5)式に示されるようなクロック周波数誤差に起因する位相回転成分も含まれている。そこで、残留搬送波周波数誤差によって生じる全てのサブキャリアに共通な位相回転量を検出するために、残留搬送波周波数誤差検出回路902は同一のOFDMシンボルについて検出された各検波信号の位相回転量を全てのサブキャリアに渡って平均化する。
【0150】
各検波信号のクロック周波数誤差による位相回転量は、前記第(5)式に示されるように、チャネルの中心周波数と当該サブキャリア周波数との間の周波数オフセット量に比例する。このため、全てのサブキャリアの各々の位相回転量を1OFDMシンボル内で単純に平均化すると、周波数軸上でチャネルの中心周波数を跨いで互いに対称な位置にあるサブキャリア同士でクロック周波数誤差による位相回転が打ち消し合うため、残留搬送波周波数誤差に起因する前記第(6)式に示されるような各サブキャリアに共通な位相回転量の情報だけが抽出される。この位相回転量の情報を用いて、前記第(6)式に基づいて残留搬送波周波数誤差の情報が算出される。算出された残留搬送波周波数誤差の情報が残留搬送波周波数誤差検出回路902から出力される。
【0151】
位相回転予測回路904の入力には、同期処理回路901から出力される搬送波周波数誤差の情報と、残留搬送波周波数誤差検出回路902から出力される残留搬送波周波数誤差の情報とが印加される。これらの入力情報に基づいて、位相回転予測回路904はクロック周波数誤差によって生じる位相回転量を検波信号毎にそれぞれ予測する。
【0152】
この実施例では、送信側の装置における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期し、かつ受信側の装置における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期している場合を想定している。このような場合には、サンプリングクロック周波数の規格値に対する送受間のサンプリングクロック周波数のずれの割合(Δx)と、搬送波周波数の規格値に対する送受間の搬送波周波数のずれの割合が等しくなるため、次式が成り立つ。
【0153】
Δx=(fRCLK−fTCLK)/fCLK=Δf/fRF=(fRRF−fTRF)/fRF ・・・(7)
TRF:送信側装置の搬送波周波数
RRF:受信側装置の搬送波周波数
RF:搬送波周波数の規格値
【0154】
従って、前記第(5)式に第(7)式を代入すると、送受間のクロック周波数誤差に起因する各検波信号の位相回転量Δθは、次式のように表される。
【0155】
Δθ≒2π・f・t・(fRRF−fTRF)/fRF ・・・(8)
【0156】
従って、同期処理回路901から入力される搬送波周波数誤差の情報と残留搬送波周波数誤差検出回路902から入力される搬送波周波数誤差の情報を用いて、第(8)式に基づいて送受間のクロック周波数誤差に起因する各検波信号の位相回転量Δθを求めることができる。なお、同期処理回路901から入力される搬送波周波数誤差の情報だけを用いて、第(8)式に基づいて送受間のクロック周波数誤差に起因する各検波信号の位相回転量Δθを求めることもできるが、残留搬送波周波数誤差検出回路902から入力される搬送波周波数誤差の情報を用いることにより、送受間のクロック周波数誤差に起因する各検波信号の位相回転量Δθをより高精度に求めることができる。一方、第(8)式に示されるように、送受間のクロック周波数誤差に起因する各検波信号の位相回転量ΔθはOFDMシンボル毎およびサブキャリア毎に異なる。従って、位相回転予測回路904は、同期処理回路901から出力される搬送波周波数誤差の情報と残留搬送波周波数誤差検出回路902から出力される残留搬送波周波数誤差の情報とにより得られる高精度な搬送波周波数誤差情報を用いて、同期検波回路107から出力される検波信号のそれぞれに生じる送受間のクロック周波数誤差に起因する位相回転量Δθを、第(8)式に基づいて予測演算する。
【0157】
位相回転補正回路903は、位相回転予測回路904が予測演算した検波信号毎の位相回転量Δθの情報に基づいて、同期検波回路107から入力される各検波信号に生じているクロック周波数誤差に起因する位相回転を除去するような位相補正処理を行う。
【0158】
位相回転補正回路903から出力される位相回転補正処理後の検波信号が識別回路112に入力される。識別回路112は、入力される検波信号のうち、データ信号(図44参照)についてシンボル判定を行い、その判定結果を復調出力として出力する。例えば、16QAM変調の場合には識別回路112は各々の検波信号が図45に示す基準信号点S1〜S16のいずれに該当するかを識別する。この際、各検波信号がいずれの基準信号点に対応するかを識別する前に、位相回転補正回路903によって検波信号毎に前記位相回転が高精度に補正されているため、クロック周波数誤差の影響を受けることなく信号を識別することができる。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0159】
(第10の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図10を参照して説明する。この形態は請求項10に対応する。この形態は第9の実施の形態の変形例である。図10において、第9の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第9の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0160】
図10のOFDMパケット通信用受信装置には、重み付け回路1001及び平滑化回路1002が追加されている。残留搬送波周波数誤差検出回路1003の基本的な動作は、前記残留搬送波周波数誤差検出回路902と同じである。
【0161】
なお、この例でも図10のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図10のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。
【0162】
重み付け回路1001の入力には、同期検波回路107から出力される検波信号と、チャネル推定回路106から出力されるチャネル推定結果と、位相回転予測回路904から出力される各検波信号の位相回転量の情報とがそれぞれ印加される。
【0163】
重み付け回路1001は、同期検波回路107が出力する検波信号の全てあるいは一部分(複数)の検波信号を入力する。そして、まずクロック周波数誤差によって各々の検波信号に生じた位相回転を、位相回転予測回路904が出力した当該検波信号の位相回転量の情報を用いて補正し、位相回転補正後の該検波信号の基準信号からの位相回転量の情報を検出する。次に、チャネル推定回路106から入力されるチャネル推定結果に基づいて、前述の基準信号からの位相回転量情報に対して重み付けを行う。
【0164】
例えば、チャネル推定結果から得られる各サブキャリアの信号レベル情報に基づいて、信号レベルが大きいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には大きな重み付けを行い、信号レベルが小さいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には小さい重み付けを行う。このような重み付けを行うと、残留搬送波周波数誤差推定手段における信号レベルの小さい信号(劣化した信号)の影響度が小さくなるため、残留搬送波周波数誤差推定の信頼性が改善される。
【0165】
重み付け回路1001によって重み付けされた位相回転量情報信号は、平滑化回路1002に入力される。平滑化回路1002は、重み付け回路1001から入力される重み付け後の位相回転量情報信号について、サブキャリア毎に時間軸方向に対する移動平均を計算し、その結果を出力する。すなわち、平滑化回路1002は重み付け後の位相回転量情報信号を平滑化する。この平滑化により、受信回路102において信号に付加された熱雑音等による信号品質の劣化を除去することができる。
【0166】
残留搬送波周波数誤差検出回路1003は、重み付け回路1001で重み付けされ平滑化回路1002で平滑化された位相回転量情報信号を入力する。そして、入力された位相回転量情報信号から残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転を検出することにより、前記第(6)式に基づいて残留搬送波周波数誤差を算出する。残留搬送波周波数誤差検出回路1003の基本的な動作は、前記残留搬送波周波数誤差検出回路902と同じであるため、残留搬送波周波数誤差検出回路1003についての詳細な説明は省略する。
【0167】
位相回転予測回路904は、同期処理回路901で検出された搬送波周波数誤差の情報と、残留搬送波周波数誤差検出回路1003で検出された残留搬送波周波数誤差の情報とに基づいて、クロック周波数誤差によって生じる位相回転量を検波信号毎にそれぞれ予測する。
【0168】
サブキャリア毎に通信品質が異なる場合には、上述のように通信品質が良好なサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報の重みを大きくした信号を処理することによって、フェージング等の影響を抑制することができるため、残留搬送波周波数誤差の検出精度を改善できる。また、時間方向に対して平滑化した位相回転量情報信号を処理することによって、熱雑音等の影響を抑制できるため、さらに高精度に残留搬送波周波数誤差を検出することが可能になる。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0169】
(第11の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図11を参照して説明する。この形態は請求項11に対応する。この形態は第9の実施の形態の変形例である。図11において、第9の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第9の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0170】
図11のOFDMパケット通信用受信装置には、パイロット信号抽出回路1101が追加されている。残留搬送波周波数誤差検出回路1102の基本的な動作は、前記残留搬送波周波数誤差検出回路902と同じである。
【0171】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0172】
なお、この例でも図11のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図11のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。
【0173】
パイロット信号抽出回路1101は、同期検波回路107が出力する検波信号を入力し、その検波信号の中からパイロット信号に相当する検波信号の信号成分だけを抽出する。
【0174】
残留搬送波周波数誤差検出回路1102は、パイロット信号抽出回路1101が抽出したパイロット信号に相当する検波信号の信号成分だけを入力し、各検波信号に共通に生じている位相回転量あるいは位相回転累積量を検波信号毎に検出する。
【0175】
パイロット信号は既知信号なので、それに対応する基準信号点(例えば図45のS1〜S16のいずれか1つ)も既知である。従って、パイロット信号に相当する検波信号だけを位相回転量の検出対象にする場合には、検波信号に対応する特定の基準信号点を識別する必要がなく、残留搬送波周波数誤差検出回路1102における信号処理が簡単になる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の本来の基準信号点が誤って識別されるようなことも無いため、位相回転量の検出精度が改善される。
【0176】
残留搬送波周波数誤差検出回路1102は、検出した位相回転量あるいは位相回転累積量を用いて、前記第(6)式に基づいて残留搬送波周波数誤差を求める。残留搬送波周波数誤差検出回路1102の基本的な動作は、前記残留搬送波周波数誤差検出回路902と同じであるため、残留搬送波周波数誤差検出回路1102についての詳細な説明は省略する。残留搬送波周波数誤差検出回路1102から出力される残留搬送波周波数誤差の情報が、位相回転予測回路904に入力される。
【0177】
上述のようにOFDM信号の一部のサブキャリアを利用して既知信号であるパイロット信号を伝送する場合には、パイロット信号に相当する検波信号の信号成分から残留搬送波周波数誤差を検出することにより、一部の検波信号だけを用いて効率的に残留搬送波周波数誤差を検出できるので、残留搬送波周波数誤差推定手段の回路構成を単純化できる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の基準信号点が誤って識別されるようなことが無いため、残留搬送波周波数誤差の検出精度が向上する。
【0178】
すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を簡易な回路で実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0179】
(第12の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図12を参照して説明する。この形態は請求項12に対応する。この形態は第9の実施の形態の変形例である。図12において、第9の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第9の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0180】
図12のOFDMパケット通信用受信装置には、パイロット信号抽出回路1201、重み付け回路1202、平滑化回路1203及び残留搬送波周波数誤差検出回路1204が追加されている。残留搬送波周波数誤差検出回路1204の基本的な動作は、前記残留搬送波周波数誤差検出回路902と同じである。
【0181】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0182】
なお、この例でも図12のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図12のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。
【0183】
パイロット信号抽出回路1201は、同期検波回路107が出力する検波信号を入力し、その検波信号の中からパイロット信号に相当する検波信号の信号成分だけを抽出する。
【0184】
重み付け回路1202には、パイロット信号抽出回路1201によって検波信号の中から抽出されたパイロット信号に相当する各検波信号の信号成分と、チャネル推定回路106から出力されるチャネル推定結果と、位相回転予測回路904から出力される各検波信号の位相回転量の情報とが入力される。重み付け回路1202は、まずクロック周波数誤差によって各々の検波信号に生じた位相回転を、位相回転予測回路904から入力される当該検波信号の位相回転量の情報を用いて補正し、位相回転補正後の該検波信号の基準信号からの位相回転量の情報を検出する。次に、チャネル推定回路106から入力されるチャネル推定結果に基づいて、前述の基準信号からの位相回転量情報に対して重み付けを行う。
【0185】
例えば、チャネル推定結果から得られる各サブキャリアの信号レベル情報に基づいて、信号レベルが大きいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には大きな重み付けを行い、信号レベルが小さいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には小さい重み付けを行う。このような重み付けを行うと、残留搬送波周波数誤差推定手段における信号レベルの小さい信号の影響度が小さくなるため、残留搬送波周波数誤差推定の信頼性が改善される。
【0186】
重み付け回路1202によって重み付けされた位相回転量情報信号は、平滑化回路1203に入力される。平滑化回路1203は、重み付け回路1202から入力される重み付け後の位相回転量情報信号について、サブキャリア毎に時間軸方向に対する移動平均を計算し、その結果を出力する。すなわち、平滑化回路1203は重み付け後の位相回転量情報信号を平滑化する。この平滑化により、受信回路102において信号に付加された熱雑音等による信号品質の劣化を除去することができる。
【0187】
残留搬送波周波数誤差検出回路1204は、重み付け回路1202で重み付けされ平滑化回路1203で平滑化された位相回転量情報信号を入力し、その位相回転量情報信号から残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転を検出することにより、残留搬送波周波数誤差を求める。残留搬送波周波数誤差検出回路1204の基本的な動作は、前記残留搬送波周波数誤差検出回路902と同じであるため、残留搬送波周波数誤差検出回路1204についての詳細な説明は省略する。残留搬送波周波数誤差検出回路1204の求めた残留搬送波周波数誤差の情報が位相回転予測回路904に入力される。
【0188】
上述のようにOFDM信号の一部のサブキャリアを利用して既知信号であるパイロット信号を伝送する場合には、パイロット信号に相当する検波信号の信号成分から残留搬送波周波数誤差を検出することにより、一部の検波信号だけを用いて効率的に残留搬送波周波数誤差を検出できるので、残留搬送波周波数誤差推定手段の回路構成を単純化できる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の基準信号点が誤って識別されるようなことが無いため、残留搬送波周波数誤差の検出精度が向上する。
【0189】
さらに、サブキャリア毎に通信品質が異なる場合には、上述のように通信品質が良好なサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報の重みを大きくした信号を処理することによって、フェージング等の影響を抑制することができるため、残留搬送波周波数誤差の検出精度を改善できる。また、時間方向に対して平滑化した位相回転量情報信号を処理することによって、熱雑音等の影響を抑制できるため、さらに高精度に残留搬送波周波数誤差を検出することが可能になる。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0190】
(第13の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図13を参照して説明する。この形態は請求項13に対応する。この形態は第9の実施の形態の変形例である。図13において、第9の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第9の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0191】
この形態では、請求項13の受信手段、同期処理手段、フーリエ変換手段、チャネル推定手段、同期検波手段、第1の位相回転予測手段、第1の位相回転補正手段、残留搬送波周波数誤差推定手段、第2の位相回転予測手段及び第2の位相回転補正手段は、それぞれ受信回路102、同期処理回路901、フーリエ変換回路105、チャネル推定回路106、同期検波回路107、位相回転予測回路904、位相回転補正回路903、残留搬送波周波数誤差検出回路902、位相回転予測回路904及び位相回転補正回路903に対応する。
【0192】
なお、この例でも図13のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図13のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。
【0193】
図13に示すOFDMパケット通信用受信装置は、独立した2つの位相回転予測回路1301、904と、独立した2つの位相回転補正回路903、1302とを備えている。この形態では、位相回転予測回路1301は、同期処理回路901から入力される搬送波周波数誤差の情報を用いてクロック周波数誤差によって検波信号に生じる位相回転量を検波信号毎にそれぞれ予測する。
【0194】
すなわち、この例では送信側の装置における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期し、かつ受信側の装置における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期しているので、前述のようにクロック周波数のずれによって生じる位相回転量は第(6)式に基づいて搬送波周波数の誤差から求めることができる。位相回転量は検波信号毎に異なるので、それらの各々について位相回転予測回路1301は位相回転量を計算する。
【0195】
位相回転補正回路1302は、同期検波回路107から入力される検波信号に生じるクロック周波数誤差に起因する位相回転を、位相回転予測回路1301の予測した当該検波信号の位相回転量の情報に基づいて検波信号毎にそれぞれ補正する。位相回転が補正された検波信号が、位相回転補正回路1302から出力される。
【0196】
しかしながら、現実には受信回路102において受信信号に付加される雑音成分等の影響により同期処理回路901において搬送波周波数誤差を正しく検出して搬送波周波数誤差を完全に補正することはできないので、同期処理回路901が出力する複素ベースバンド信号には残留搬送波周波数誤差が含まれている。位相回転補正回路1302は同期処理回路901が検出した搬送波周波数誤差の情報に基づいて位相回転予測回路1301の予測した位相回転量を補正するので、位相回転補正回路1302から出力される位相回転補正後の検波信号には、クロック周波数誤差によって生じる位相回転成分のうちの残留搬送波周波数誤差に相当する位相回転成分が残留している。
【0197】
そこで、位相回転補正回路1302が出力する検波信号に残留している位相回転成分、すなわちクロック周波数誤差によって生じる位相回転のうちの残留搬送波周波数誤差に相当する位相回転成分を位相回転補正回路903で補正する。
【0198】
残留搬送波周波数誤差検出回路902は、位相回転補正回路1302で位相回転補正された検波信号を入力し、この検波信号を用いて残留搬送波周波数誤差を検出する。すなわち、検波信号に現れる残留搬送波周波数誤差に起因する各検波信号の位相回転を検出することにより、残留搬送波周波数誤差を検出する。残留搬送波周波数誤差検出回路902の詳細な動作の説明は既に述べているので省略する。
【0199】
位相回転予測回路904は、位相回転補正回路1302が出力する検波信号に残留している前述の位相回転量を、残留搬送波周波数誤差検出回路902で検出された残留搬送波周波数誤差の情報に基づいて、検波信号毎にそれぞれ予測する。
【0200】
この例では、送信側の装置における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期し、かつ受信側の装置における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期しているので、クロック周波数のずれによって生じる位相回転量は、前記第(8)式に基づいて残留搬送波周波数誤差検出回路902から入力される残留搬送波周波数誤差の情報から求めることができる。位相回転量は検波信号毎に異なるので、それらの各々について位相回転予測回路904は位相回転量を計算する。
【0201】
位相回転補正回路903は、位相回転予測回路904が予測した検波信号毎の各位相回転量の情報に基づいて、位相回転補正回路1302から入力される検波信号に生じている位相回転を除去するように位相回転補正処理を行う。この位相回転補正処理によって、送受間のクロック周波数誤差によって生じた位相回転のうち、位相回転補正回路1302で補正しきれなかった残留位相回転が補正される。
【0202】
従って、各検波信号がいずれの基準信号点に対応するかを識別する前に、位相回転補正回路1302および位相回転補正回路903によって検波信号毎にクロック周波数誤差により生じる位相回転が高精度に補正されているため、識別回路112はクロック周波数誤差の影響を受けることなく信号を識別することができる。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0203】
(第14の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図14を参照して説明する。この形態は請求項14に対応する。この形態は第13の実施の形態の変形例である。図14において、第13の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第13の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0204】
図14のOFDMパケット通信用受信装置には、重み付け回路1401及び平滑化回路1402が追加されている。残留搬送波周波数誤差検出回路1403の基本的な動作は、前記残留搬送波周波数誤差検出回路902と同じである。
【0205】
なお、この例でも図14のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図14のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。
【0206】
重み付け回路1401の入力には、位相回転補正回路1302から出力される検波信号と、チャネル推定回路106から出力されるチャネル推定結果と、位相回転予測回路904から出力される各検波信号の位相回転量の情報とがそれぞれ印加される。
【0207】
重み付け回路1401は、位相回転補正回路1302が出力する検波信号の全てあるいは一部分(複数)の検波信号を入力する。そして、まずクロック周波数誤差によって各々の検波信号に生じた位相回転を、位相回転予測回路904から入力された位相回転量の情報を用いて補正し、位相回転補正後の該検波信号の基準信号からの位相回転量の情報を検出する。次に、チャネル推定回路106から入力されるチャネル推定結果に基づいて、前述の基準信号からの位相回転量情報に対して重み付けを行う。
【0208】
例えば、チャネル推定結果から得られる各サブキャリアの信号レベル情報に基づいて、信号レベルが大きいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には大きな重み付けを行い、信号レベルが小さいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には小さい重み付けを行う。このような重み付けを行うと、残留搬送波周波数誤差推定手段における信号レベルの小さい信号(劣化した信号)の影響度が小さくなるため、残留搬送波周波数誤差推定の信頼性が改善される。
【0209】
重み付け回路1401によって重み付けされた位相回転量情報信号は、平滑化回路1402に入力される。平滑化回路1402は、重み付け回路1401から入力される重み付け後の位相回転量情報信号について、サブキャリア毎に時間軸方向に対する移動平均を計算し、その結果を出力する。すなわち、平滑化回路1402は重み付け後の位相回転量情報信号を平滑化する。この平滑化により、受信回路102において信号に付加された熱雑音等による信号品質の劣化を除去することができる。
【0210】
残留搬送波周波数誤差検出回路1403は、重み付け回路1401で重み付けされ平滑化回路1402で平滑化された位相回転量情報信号を入力する。そして、入力された位相回転量情報信号から残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転を検出することにより、残留搬送波周波数誤差を検出する。残留搬送波周波数誤差検出回路1403の基本的な動作は、前記残留搬送波周波数誤差検出回路902と同じであるため、残留搬送波周波数誤差検出回路1403についての詳細な説明は省略する。
【0211】
位相回転予測回路904は、位相回転補正回路1302が出力する検波信号に残留している前述の位相回転量を、残留搬送波周波数誤差検出回路1403で検出された残留搬送波周波数誤差の情報に基づいて、検波信号毎にそれぞれ予測する。
【0212】
サブキャリア毎に通信品質が異なる場合には、上述のように通信品質が良好なサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報の重みを大きくした信号を処理することによって、フェージング等の影響を抑制することができるため、残留搬送波周波数誤差の検出精度を改善できる。また、時間方向に対して平滑化した位相回転量情報信号を処理することによって、熱雑音等の影響を抑制できるため、さらに高精度に残留搬送波周波数誤差を検出することが可能になる。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる
【0213】
(第15の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図15を参照して説明する。この形態は請求項15に対応する。この形態は第13の実施の形態の変形例である。図15において、第13の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第13の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0214】
図15のOFDMパケット通信用受信装置には、パイロット信号抽出回路1501が追加されている。残留搬送波周波数誤差検出回路1502の基本的な動作は、前記残留搬送波周波数誤差検出回路902と同じである。
【0215】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0216】
なお、この例でも図15のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図15のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。
【0217】
パイロット信号抽出回路1501は、位相回転補正回路1302が出力する検波信号を入力し、その検波信号の中からパイロット信号に相当する検波信号の信号成分だけを抽出する。
【0218】
残留搬送波周波数誤差検出回路1502は、パイロット信号抽出回路1501が抽出したパイロット信号に相当する検波信号の信号成分だけを入力し、各検波信号に共通に生じている位相回転量あるいは位相回転累積量を検波信号毎に検出する。
【0219】
パイロット信号は既知信号なので、それに対応する基準信号点(例えば図45のS1〜S16のいずれか1つ)も既知である。従って、パイロット信号に相当する検波信号だけを位相回転量の検出対象にする場合には、検波信号に対応する特定の基準信号点を識別する必要がなく、残留搬送波周波数誤差検出回路1502における信号処理が簡単になる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の本来の基準信号点が誤って識別されるようなことも無いため、位相回転量の検出精度が改善される。
【0220】
残留搬送波周波数誤差検出回路1502は、検出した位相回転量から残留搬送波周波数誤差を求める。残留搬送波周波数誤差検出回路1502の基本的な動作は、前記残留搬送波周波数誤差検出回路902と同じであるため、残留搬送波周波数誤差検出回路1502についての詳細な説明は省略する。残留搬送波周波数誤差検出回路1502がパイロットサブキャリアの信号成分から検出した残留搬送波周波数誤差の情報が、位相回転予測回路904に入力される。
【0221】
上述のようにOFDM信号の一部のサブキャリアを利用して既知信号であるパイロット信号を伝送する場合には、パイロット信号に相当する検波信号の信号成分から残留搬送波周波数誤差を検出することにより、一部の検波信号だけを用いて効率的に残留搬送波周波数誤差を検出できるので、残留搬送波周波数誤差推定手段の回路構成を単純化できる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の基準信号点が誤って識別されるようなことが無いため、残留搬送波周波数誤差の検出精度が向上する。
【0222】
すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を簡易な回路で実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0223】
(第16の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図16を参照して説明する。この形態は請求項16に対応する。この形態は第13の実施の形態の変形例である。図16において、第13の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第13の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0224】
図16のOFDMパケット通信用受信装置には、パイロット信号抽出回路1601、重み付け回路1602、平滑化回路1603及び残留搬送波周波数誤差検出回路1604が追加されている。残留搬送波周波数誤差検出回路1604の基本的な動作は、前記残留搬送波周波数誤差検出回路902と同じである。
【0225】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0226】
なお、この例でも図16のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図16のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。
【0227】
パイロット信号抽出回路1601は、位相回転補正回路1302が出力する検波信号を入力し、その検波信号の中からパイロット信号に相当するサブキャリアの信号成分だけを抽出する。
【0228】
重み付け回路1602の入力には、パイロット信号抽出回路1601から出力されるパイロット信号に相当する検波信号と、チャネル推定回路106から出力されるチャネル推定結果と、位相回転予測回路904から出力される前述のパイロット信号に相当する検波信号の位相回転量の情報とがそれぞれ印加される。
【0229】
重み付け回路1602は、パイロット信号抽出回路1601が出力するパイロット信号に相当する検波信号に対して、まずクロック周波数誤差によって各々の検波信号に生じた位相回転を、位相回転予測回路904から入力される位相回転量の情報に基づいて補正し、位相回転補正後の該検波信号の基準信号からの位相回転量の情報を検出する。次に、チャネル推定回路106から入力されるチャネル推定結果に基づいて、前述の基準信号からの位相回転量情報に対して重み付けを行う。
【0230】
例えば、チャネル推定結果から得られる各サブキャリアの信号レベル情報に基づいて、信号レベルが大きいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には大きな重み付けを行い、信号レベルが小さいサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報には小さい重み付けを行う。このような重み付けを行うと、残留搬送波周波数誤差推定手段における信号レベルの小さい信号(劣化した信号)の影響度が小さくなるため、残留搬送波周波数誤差推定の信頼性が改善される。
【0231】
重み付け回路1602によって重み付けされた位相回転量情報信号は、平滑化回路1603に入力される。平滑化回路1603は、重み付け回路1602から入力される重み付け後の位相回転量情報信号について、サブキャリア毎に時間軸方向に対する移動平均を計算し、その結果を出力する。すなわち、平滑化回路1603は重み付け後の位相回転量情報信号を平滑化する。この平滑化により、受信回路102において信号に付加された熱雑音等による信号品質の劣化を除去することができる。
【0232】
残留搬送波周波数誤差検出回路1604は、重み付け回路1602で重み付けされ、平滑化回路1603で平滑化された位相回転量情報信号を入力し、その位相回転量情報信号から残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転を検出することにより、残留搬送波周波数誤差を求める。残留搬送波周波数誤差検出回路1604の基本的な動作は、前記残留搬送波周波数誤差検出回路902と同じであるため、残留搬送波周波数誤差検出回路1604についての詳細な説明は省略する。
【0233】
残留搬送波周波数誤差検出回路1604の求めた残留搬送波周波数誤差の情報が、位相回転予測回路904に入力される。
【0234】
上述のようにOFDM信号の一部のサブキャリアを利用して既知信号であるパイロット信号を伝送する場合には、パイロット信号に相当する検波信号の信号成分から残留搬送波周波数誤差を検出することにより、一部の検波信号だけを用いて効率的に残留搬送波周波数誤差を検出できるので、残留搬送波周波数誤差推定手段の回路構成を単純化できる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の基準信号点が誤って識別されるようなことが無いため、残留搬送波周波数誤差の検出精度が向上する。
【0235】
さらに、サブキャリア毎に通信品質が異なる場合には、上述のように通信品質が良好なサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量の情報の重みを大きくした信号を処理することによって、フェージング等の影響を抑制することができるため、残留搬送波周波数誤差の検出精度を改善できる。また、時間方向に対して平滑化した位相回転量情報信号を処理することによって、熱雑音等の影響を抑制できるため、さらに高精度に残留搬送波周波数誤差を検出することが可能になる。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0236】
(第17の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図17を参照して説明する。この形態は請求項17に対応する。この形態は第9の実施の形態の変形例である。図17において、第9の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第9の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0237】
図17に示す残留搬送波周波数誤差検出部1700には、位相回転量情報抽出回路1701および共通位相回転検出回路1702が備わっている。
【0238】
なお、この例でも図17のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図17のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。
【0239】
同期検波回路107が出力する検波信号が、位相回転量情報抽出回路1701と位相回転補正回路903に入力されている。位相回転量情報抽出回路1701は、入力される検波信号の全てあるいは一部の検波信号から、図45に示されるような位相平面における基準信号点からの位相の回転量を検出する。位相回転量情報抽出回路1701によって検出された位相回転量情報信号は、共通位相回転検出回路1702に入力される。搬送波周波数のずれによって生じる位相回転は、前記第(6)式に示されるように当該OFDMシンボルに含まれる全ての検波信号の信号成分に共通に現れる。また、OFDMシンボル間隔は一定であるため、1OFDMシンボル当たりの位相回転量は、残留搬送波周波数誤差量に比例した一定量となる。そこで、共通位相回転検出回路1702は、入力された各検波信号の位相回転量の情報から、残留搬送波周波数誤差によって生じる各検波信号に共通した1OFDMシンボルあたりの位相回転量あるいはチャネル推定時から当該OFDMシンボルまでに付加される位相回転累積量を検出し、前記第(6)式に基づいて残留搬送波周波数誤差の情報を算出する。共通位相回転検出回路1702により算出された残留搬送波周波数誤差の情報が位相回転予測回路903に印加される。
【0240】
従って、各検波信号がいずれの基準信号点に対応するかを識別する前に、位相回転補正回路1302および位相回転補正回路903によって検波信号毎にクロック周波数誤差により生じる位相回転が高精度に補正されているため、識別回路112はクロック周波数誤差の影響を受けることなく信号を識別することができる。すなわち、従来の装置では実現が困難であった高精度なクロック周波数同期を実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0241】
(第18の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図18を参照して説明する。この形態は請求項18に対応する。この形態は第1の実施の形態と同様の部分が多く存在する。従って、図18において、第1の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第1の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0242】
フーリエ変換回路105が出力する各サブキャリア信号がチャネル推定回路106、同期検波回路107に入力されるとともに信号レベル情報抽出回路1801に入力されている。信号レベル情報抽出回路1801は、入力された各サブキャリア信号のうち全てあるいは一部のサブキャリア信号からその信号レベルを抽出し、OFDMシンボル毎に出力する。信号レベル情報抽出回路1801からOFDMシンボル毎に出力される信号レベル情報は、信号レベル情報平滑化回路1802に入力される。
【0243】
受信手段による受信処理時に受信信号に熱雑音が付加されると、フーリエ変換手段によって分離される各サブキャリア信号の振幅成分と位相成分の両方に誤差が生じることになる。信号レベル情報抽出回路1801はフーリエ変換回路105によって分離された各サブキャリア信号に基づいて信号レベル情報を抽出するため、受信回路102における受信処理時に受信信号に熱雑音が付加されると、信号レベル情報抽出回路1801によって抽出される信号レベル情報に熱雑音の影響による誤差が生じることになる。そこで、信号レベル情報平滑化回路1802は、信号レベル情報抽出回路1801から入力される信号レベル情報について、サブキャリア毎に時間軸方向に平滑化を行う。この平滑化により、信号レベル情報に含まれている熱雑音等に起因する雑音成分の影響を低減することができる。すなわち、各サブキャリア信号の信号レベル情報を高精度に検出することができる。信号レベル情報平滑化回路1802から出力された平滑化後の高精度な信号レベル情報は、重み付け回路1803に入力される。一方、同期検波回路107から出力された検波信号は、位相回転量情報抽出回路1701と位相回転補正回路1805に入力される。位相回転量情報抽出回路1701は、入力される検波信号の全てあるいは一部の検波信号から、図45に示されるような位相平面における基準信号点からの位相の回転量を検出する。位相回転量情報抽出回路1701によって検出された位相回転量情報信号は、重み付け回路1803に入力される。重み付け回路1803は、信号レベル情報平滑化回路1802から入力される平滑化後の高精度な信号レベル情報に基づいて、位相回転量情報抽出回路1701によって検出された位相回転量情報信号に対して重み付けを行う。例えば、信号レベルが大きいサブキャリアの位相回転量情報信号には大きな重み付けを行い、信号レベルが小さいサブキャリアの位相回転量情報信号には小さな重み付けを行う。また、重み付け後の各位相回転量情報信号の生成は、例えば、入力される位相回転量を位相成分とし、入力される平滑化後の各信号レベルを振幅成分に持つようなベクトル信号を各位相回転量情報信号についてそれぞれ生成することにより行うことができる。重み付け回路1803は、高精度な信号レベル情報に基づいて、入力される位相回転情報に対して重み付けを行うため、精度の高い重み付け処理を行うことができる。重み付け回路1803から出力される重み付け後の位相回転量情報信号は共通位相回転検出回路1804に入力される。搬送波周波数のずれによって生じる位相回転は、前記第(6)式に示されるように当該OFDMシンボルに含まれる全ての検波信号の信号成分に共通に現れる。また、位相雑音によって生じる位相回転も、前述のように当該OFDMシンボルに含まれる全ての検波信号の信号成分に共通に現れる。そこで、共通位相回転検出回路1804は、入力された重み付け後の各検波信号の位相回転量の情報に基づいて、同期検波回路107から出力される検波信号の残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因して当該OFDMシンボルに含まれる各検波信号に共通して生じる位相回転量あるいはチャネル推定時から当該OFDMシンボルまでに付加される位相回転累積量を検出して出力する。すなわち、共通位相回転検出回路1804は、同期検波回路107から出力される各検波信号の、残留搬送波周波数誤差および位相雑音によって生じる位相回転量の情報を出力する。共通位相回転検出回路1804から出力された位相回転量の情報は位相回転補正回路1805に入力される。位相回転補正回路1805は、共通位相回転検出回路1804から入力された位相回転量の情報に基づいて、同期検波回路107から入力される検波信号に含まれている残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転を除去するように位相回転補正処理を行う。
【0244】
本例の装置は、チャネル推定用プリアンブル信号の数を増やすこと無く信号レベル情報の精度を向上させることができるため、残留搬送波周波数誤差および位相雑音によって生じる各検波信号の位相回転を、システムのスループットを低下させること無く高精度に補正することができる。また、周波数方向の移動平均処理を行っていないため、隣接サブキャリア間の伝送路(チャネル)状態の変動が大きい場合であっても高精度に信号レベル情報を検出することが可能であり、前述の位相回転を精度良く補正することができる。
【0245】
(第19の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図19を参照して説明する。この形態は請求項19および請求項20に対応する。この形態は第18の実施の形態の変形例である。図19において、第18の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第18の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0246】
図19に示す位相回転量情報抽出部1900には、パイロット信号抽出回路1902、位相回転検出回路1903および基準信号出力回路1904が備わっており、共通位相回転検出部1901には、シンボル内平均回路1905および時間方向移動平均回路1906が備わっている。
【0247】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0248】
同期検波回路107が出力する各検波信号は、位相回転補正回路1805に入力されるとともにパイロット信号抽出回路1902に入力される。パイロット信号抽出回路1902は、同期検波回路107から入力された検波信号のうちパイロット信号に相当する検波信号を抽出して出力する。パイロット信号抽出回路1902から出力されたパイロット信号に相当する検波信号は位相回転検出回路1903に入力される。一方、基準信号出力回路1904は、パイロット信号抽出回路1902から位相回転検出回路1903に入力されたパイロット信号に相当する検波信号に対応する基準信号(図45参照)を出力する。前述の通り、パイロット信号は既知信号であるため、容易に前述の基準信号を出力することができる。基準信号出力回路1904から出力された基準信号は位相回転検出回路1903に入力される。位相回転検出回路1903は、基準信号出力回路1904から入力された基準信号に基づいて、パイロット信号抽出回路1902から入力されたパイロット信号に相当する検波信号の位相回転量を検出して位相回転量情報信号を出力する。
【0249】
上述のように、パイロット信号に相当する検波信号だけを位相回転量の検出対象にする場合には検波信号に対応する特定の基準信号点を識別する必要がなく、位相回転量情報抽出手段における信号処理が簡単になる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の本来の基準信号点が誤って識別されるようなことも無いため、位相回転量の検出精度が改善される。
【0250】
位相回転検出回路1903から出力された位相回転量情報信号は重み付け回路1803に入力される。重み付け回路1803は、信号レベル情報平滑化回路1802から入力される平滑化後の信号レベル情報に基づいて位相回転検出回路1903から入力される位相回転量情報信号を重み付けして出力する。なお、重み付け回路1803ではパイロット信号に相当する位相回転量情報信号に重み付けを行うので、信号レベル情報抽出回路1801はフーリエ変換回路105が出力するサブキャリア信号のうちのパイロット信号に相当するサブキャリア信号の信号レベルを抽出するものとする。さらに、前述のように、重み付け後の各位相回転量情報信号の生成は、例えば、入力される位相回転量を位相成分とし、入力される平滑化後の各信号レベルを振幅成分に持つようなベクトル信号を各位相回転量情報信号についてそれぞれ生成することにより行うことができる。重み付け回路1803から出力される重み付け後の位相回転量情報信号は、シンボル内平均回路1905に入力される。シンボル内平均回路1905は、重み付け回路1803から1個のOFDMシンボル毎に入力される重み付け後の各パイロット信号の位相回転量情報信号に対して1個のOFDMシンボル内で平均化処理を行う。前述の例では、1OFDMシンボル内の各パイロット信号に対応するベクトル信号のベクトル和を演算することによりベクトル信号の位相成分の平均化処理を行うことができる。位相雑音や残留搬送波周波数誤差による各サブキャリアの位相回転量は、1OFDMシンボル内では各サブキャリアでほぼ一定となる。従って、1個のOFDMシンボル内で各パイロット信号の位相回転情報信号を平均化することにより信号に含まれる雑音成分が抑圧され、当該OFDMシンボル中の各サブキャリア信号の、位相雑音および残留搬送波周波数誤差のような各サブキャリアの位相回転量が1個のOFDMシンボル内で同一となるような要因に起因する位相回転量を精度良く知ることができる。なお、この平均化処理は1個のOFDMシンボル内で行われるため、周波数方向の平均化処理に相当する。1個のOFDMシンボル内で平均化処理された重み付け後の各パイロット信号の位相回転情報信号が1個のOFDMシンボル毎にシンボル内平均回路1905から出力される。シンボル内平均回路1905から出力される1個のOFDMシンボル内で平均化処理された重み付け後の各パイロット信号の位相回転情報信号は時間方向移動平均回路1906に入力される。時間方向移動平均回路1906は、1個のOFDMシンボル毎に入力される1個のOFDMシンボル内で平均化処理された重み付け後の各パイロット信号の位相回転量情報信号に対し、複数信号に渡る時間方向の移動平均処理を行い出力する。この時間方向の移動平均処理により、受信回路102において信号に付加された熱雑音等に起因する信号の雑音成分を、さらに抑圧することができる。時間方向移動平均回路1906から出力される移動平均後の位相回転量情報信号は位相回転補正回路1805に入力される。
【0251】
本例の装置は、パイロット信号に相当する検波信号の信号成分から残留搬送波周波数誤差および位相雑音によって生じる各検波信号の位相回転量を検出することにより、一部の検波信号だけを用いて効率的に前述の位相回転量を検出できるので、共通位相回転検出手段の回路構成を単純化できる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の基準信号点が誤って識別されるようなことが無いため、前述の位相回転量の検出精度が向上する。さらに、重み付け処理された位相回転量情報に対し、周波数方向に平均化処理を行うとともに時間方向にも平均化処理を行うため、位相回転量情報に含まれている雑音成分を効果的に抑圧することができる。すなわち、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差および位相雑音による位相回転に対する高精度な補正処理を、簡易な回路で実現することができる。
【0252】
(第20の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図20を参照して説明する。この形態は請求項19、請求項20および請求項29に対応する。この形態は第19の実施の形態の変形例である。図20において、第19の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第19の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0253】
図20のOFDMパケット通信用受信装置には、信号レベル情報平滑化回路1802の代わりに時間方向移動平均回路2001を備えている。時間方向移動平均回路2001の入力には、信号レベル情報抽出回路1801が出力する1OFDMシンボル毎の各パイロット信号の信号レベル情報が印加される。
【0254】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0255】
時間方向移動平均回路2001は、信号レベル情報抽出回路1801が出力する各パイロット信号の信号レベル情報を各パイロット信号毎に時間方向に移動平均処理を行う。この移動平均処理により、信号レベル情報抽出回路1801が出力する各パイロット信号の信号レベル情報に対する平滑化が行われる。時間方向移動平均回路2001によって移動平均処理が施された各パイロット信号の信号レベル情報は重み付け回路1803に入力される。
【0256】
フェージングによる伝送路(チャネル)の状態が、1パケット内で変化するような場合、各サブキャリア信号の信号レベルは当該サブキャリア信号が属するOFDMシンボルのパケット内の時間的位置によって変化するため、当該OFDMシンボルに隣接する複数のOFDMシンボルを用いてサブキャリア毎に信号レベルを平均化処理すなわち移動平均処理することにより、雑音成分の影響を低減しつつパケット内でのチャネル特性の変動に追従して各サブキャリアの信号レベル情報を検出することが可能となる。すなわち、本例の装置は、パケット内でチャネル特性が変動するような場合であっても高精度に位相回転補正を行うことができる。
【0257】
(第21の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図21を参照して説明する。この形態は請求項19、請求項20および請求項30に対応する。この形態は第19の実施の形態の変形例である。図21において、第19の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第19の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0258】
図21のOFDMパケット通信用受信装置には、信号レベル情報平滑化回路1802の代わりに積分回路2101および除算回路2102を備えている。積分回路2101の入力には、信号レベル情報抽出回路1801が出力する1OFDMシンボル毎の各パイロット信号の信号レベル情報が印加される。
【0259】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0260】
積分回路2101は、信号レベル情報抽出回路1801が出力する各パイロット信号の信号レベル情報を各パイロット信号毎に時間方向に積分する。積分回路2101により積分された各パイロット信号の信号レベル情報は除算回路2102に入力される。除算回路2102は、各パイロット信号の1個のOFDMシンボル当たりの信号レベルを算出するために、積分回路2101が出力する各パイロット信号の信号レベル情報の積分値を、積分回路2101にて積分処理したOFDMシンボル数でそれぞれ除算する。このように各パイロット信号の信号レベルの積分値を利用して各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベルを算出することにより、パケットの後ろにいくほど精度良く熱雑音の成分を除去することが可能となる。除算回路2102によって算出された各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベル情報は重み付け回路1803に入力される。
【0261】
フェージングによる伝送路(チャネル)の状態が、パケット内でほとんど変化しないような場合、各サブキャリア信号の信号レベルは、各サブキャリア信号の信号レベルをサブキャリア毎に積分処理し、その積分値を、積分を行った回数すなわち積分を行ったOFDMシンボル数で除算することにより求めることができる。この場合、パケットの後ろに行くほど積分するOFDMシンボル数が増加するため、平滑化の効果すなわち雑音成分の抑圧効果が向上し、熱雑音の影響を効果的に低減することができる。従って、高精度に各サブキャリア信号の信号レベル情報を検出することができる。すなわち、本例の装置は、パケット内でチャネル特性が1パケット期間内にほとんど変化しないような場合に高精度に位相回転補正を行うことができる。
【0262】
(第22の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図22を参照して説明する。この形態は請求項19、請求項20および請求項31に対応する。この形態は第21の実施の形態の変形例である。図22において、第21の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第21の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0263】
図22のOFDMパケット通信用受信装置には、除算回路2102の代わりにビットシフト回路2201を備えている。ビットシフト回路2201の入力には、積分回路2101が出力する各パイロット信号の信号レベル情報の積分値が印加される。
【0264】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0265】
ビットシフト回路2201は、各パイロット信号の1個のOFDMシンボルあたりの信号レベルを算出するために、積分回路2101にて積分処理したOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表されるときに、積分回路2101から出力された各パイロット信号の信号レベル情報の積分値をNビットのビットシフトにより除算を行う。なお、このビットシフトは、積分回路2101にて積分処理したOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表される時にのみ行い、ビットシフト回路2201の出力を更新する。なお、シンボル数が2で表されないときは前回のビットシフトをしたときの結果をそのまま用いる。また、シンボル数が1の時はビットシフト回路2201は入力された信号をそのまま出力する。このような処理を行うと、パケットの前に行くほどビットシフト回路2201の出力が高い頻度で更新され、パケットの後ろに行くほどその更新頻度は低くなる。しかしながら、前述のように、各パイロット信号の信号レベルの積分値を利用して各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベルを算出することにより、パケットの後ろにいくほど精度良く熱雑音の成分を除去することが可能となる。従って、パケットの後ろの更新頻度を低くしても特性は劣化しない。また、ビットシフトを行うために必要な回路規模は一般に非常に小さいため、回路規模を大幅に低減することができる。ビットシフト回路2201によって算出された各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベル情報は重み付け回路1803に入力される。
【0266】
フェージングによる伝送路(チャネル)の状態が、パケット内でほとんど変化しないような場合、各サブキャリア信号の信号レベルは、各サブキャリア信号の信号レベルをサブキャリア毎に積分処理し、その積分値を、積分を行った回数すなわち積分を行ったOFDMシンボル数で除算することにより求めることができる。この場合、パケットの後ろに行くほど積分するOFDMシンボル数が増加するため、平滑化の効果すなわち雑音成分の抑圧効果が向上し、熱雑音の影響を効果的に低減することができる。従って、高精度に各サブキャリア信号の信号レベル情報を検出することができる。また、各サブキャリア信号の1個のOFDMシンボル当たりの信号レベルを求めるための除算をビットシフトによって実現するため、回路規模の増加を抑制することができる。さらに、ビットシフトは積分処理を行ったOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表されるときにのみ行うため、OFDMシンボル毎の動作が不要であり、また、パケットの後ろに行くほどビットシフト処理の頻度が少なくなるため、消費電力を著しく低減できる。すなわち、本例の装置は、パケット内でチャネル特性が1パケット期間内にほとんど変化しないような場合に、簡易な回路を用いて少ない消費電力で高精度に位相回転補正を行うことができる。
【0267】
(第23の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図23を参照して説明する。この形態は請求項18および請求項38に対応する。この形態は第19の実施の形態の変形例である。図23において、第19の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第19の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0268】
図23に示す共通位相回転検出部2300には、位相回転累積値演算回路2301、シンボル内平均回路2302、時間方向移動平均回路2303、除算回路2304および遅延補正回路2305が備わっている。
【0269】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0270】
重み付け回路1803から出力される重み付け後の各パイロット信号の位相回転量情報信号は、位相回転累積値演算回路2301に入力される。位相回転累積値演算回路2301は、重み付け回路1803から入力される重み付け後の各パイロット信号の位相回転量情報信号を用いてチャネル推定時からの位相雑音および残留搬送波周波数誤差に起因する各パイロット信号の累積の位相回転量を演算する。この累積の位相回転量の演算は、例えば、当該OFDMシンボル処理時に入力された重み付け後の各パイロット信号の位相回転量情報信号とその直前のOFDMシンボルの処理時に入力された重み付け後の各パイロット信号の位相回転情報信号の差分値をひとつのOFDMシンボル毎にそれぞれ積分することによって行うことができる。演算された位相雑音および残留搬送波周波数誤差に起因する各パイロット信号の累積の位相回転量が位相回転累積値演算回路2301から出力される。位相回転累積値演算回路2301から出力される各パイロット信号の累積の位相回転量はシンボル内平均回路2302に入力される。
【0271】
シンボル内平均回路2302は、位相回転累積値演算回路2301からひとつのOFDMシンボル毎に入力される各パイロット信号の累積の位相回転量に対してひとつのOFDMシンボル内で平均化処理を行う。前述の例では、ひとつのOFDMシンボル内の各パイロット信号に対応するベクトル信号をベクトル加算する。位相雑音および残留搬送波周波数誤差による各サブキャリアの位相回転量は、ひとつのOFDMシンボル内では各サブキャリアでほぼ同一となる。従って、その累積値も1OFDMシンボル内では各サブキャリアでほぼ同一となる。従って、ひとつのOFDMシンボル内で各パイロット信号の位相回転の累積値を平均化処理することにより、当該OFDMシンボル中の各サブキャリアの信号に共通な、位相雑音および残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転の累積値を精度良く知ることができる。なお、この平均化処理は1個のOFDMシンボル内で行われるため、周波数方向の平均化処理に相当する。ひとつのOFDMシンボル内で平均化処理された重み付け後の各パイロット信号の位相回転の累積値がひとつのOFDMシンボル毎にシンボル内平均回路2302から出力される。シンボル内平均回路2302から出力される1OFDMシンボル内で平均化処理された重み付け後の各パイロット信号の位相回転の累積値は時間方向移動平均回路2303に入力される。
【0272】
時間方向移動平均回路2303は、ひとつのOFDMシンボル毎に入力される1OFDMシンボル内で平均化処理された位相回転の累積値に対し、複数シンボルに渡る時間方向の移動平均化処理を行い出力する。この時間方向の移動平均化処理により、受信回路102において信号に付加された熱雑音等による信号の劣化を低減することができる。時間方向移動平均回路2303から出力される移動平均後の累積の位相回転量情報は除算回路2304に入力されるとともに遅延補正回路2305に入力される。
【0273】
除算回路2304は、時間方向移動平均回路2303から入力される移動平均後の累積の位相回転量情報に対して位相回転累積値演算回路2301において累積処理したOFDMシンボル数から時間方向移動平均回路2303における移動平均処理により生じる遅延分を差し引いた数で除算を行う。例えば、位相回転累積値演算回路2301において累積処理したOFDMシンボル数が10個のOFDMシンボルであり、時間方向移動平均回路2303において3つのOFDMシンボルの移動平均処理する場合について考えてみる。この場合は、3個のOFDMシンボルの移動平均処理によって1つのOFDMシンボル分の遅延による誤差が生じるため、除算回路2304では9で除算を行うことになる。また、位相雑音に起因する位相回転の累積値はほぼ0となる。従って、この除算によって残留搬送波周波数誤差に起因するひとつのOFDMシンボルあたりの位相回転量が求められる。このように各パイロット信号の位相回転量の累積値を利用して各パイロット信号のひとつのOFDMシンボル当たりの位相回転量を算出することにより、パケットの後ろに行くほど精度良く熱雑音および位相雑音の成分を除去することが可能となる。求められた残留搬送波周波数誤差に起因する1個のOFDMシンボルあたりの位相回転量情報が除算回路2304から出力される。除算回路2304から出力される残留搬送波周波数誤差に起因する1個のOFDMシンボルあたりの位相回転量情報は遅延補正回路2305に入力される。
【0274】
遅延補正回路2305は、除算回路2304から入力される残留搬送波周波数誤差に起因する1個のOFDMシンボルあたりの位相回転量情報を用いて時間方向移動平均回路2303から入力される移動平均後の累積の位相回転量情報に含まれる前述の移動平均処理に起因する遅延によって生じる遅延誤差を補正し、当該OFDMシンボルの各サブキャリア信号に含まれる残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転の累積量を求める。遅延誤差補正後の累積の位相回転情報が遅延補正回路2305から出力される。遅延補正回路2305から出力される遅延誤差補正後の累積の位相回転量情報は位相回転補正回路1805に入力される。
【0275】
位相回転補正回路1805は、遅延補正回路2305から入力される遅延誤差補正後の累積の位相回転量情報を用いて、同期検波回路107から入力される検波信号に含まれる位相雑音および残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転を補正する。 本例の装置は、高精度な信号品質情報に基づいて重み付けされた位相回転量の情報を用いて、残留搬送波周波数誤差および位相雑音によって生じる各検波信号の位相回転の累積量を演算し、これにより得られた演算結果を用いて各検波信号に対して位相回転の補正処理を行うことにより、高精度な位相回転補正処理が実現できる。
【0276】
また、上述の位相回転の累積値に対して周波数方向および時間方向の平均化処理を行うことにより雑音成分を効果的に抑圧できるため、受信処理時に受信信号に熱雑音が付加される場合であっても、残留搬送波周波数誤差および位相雑音によって生じる各検波信号の位相回転の累積量を精度良く検出することができる。
【0277】
さらに、上述の位相回転の累積量を累積を行ったOFDMシンボル数で除算することによって残留搬送波周波数誤差により生じる1OFDMシンボルあたりの位相回転量を高精度に算出し、この算出結果に基づいて時間方向平均化処理時に生じる位相回転累積値検出誤差を除去するので、残留搬送波周波数誤差および位相雑音によって生じる各検波信号の位相回転の累積量をさらに精度良く検出することができる。
【0278】
すなわち、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する各検波信号の位相回転に対する高精度な補正処理を行うことができる。
【0279】
(第24の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図24を参照して説明する。この形態は請求項18、請求項38および請求項39に対応する。この形態は第23の実施の形態の変形例である。図24において、第23の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第23の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0280】
図24のOFDMパケット通信用受信装置には、除算回路2304の代わりにビットシフト回路2401を備えている。ビットシフト回路2401の入力には、時間方向移動平均回路2303が出力する移動平均後の累積の位相回転量情報が印加される。
【0281】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0282】
ビットシフト回路2401は、各パイロット信号の1個のOFDMシンボルあたりの位相回転量を算出するために、時間方向移動平均回路2303が出力する移動平均後の累積の位相回転量情報が2(N:自然数)個分のOFDMシンボル分の位相回転の累積値であるような時に、時間方向移動平均回路2303から出力された移動平均後の累積の位相回転量情報をNビットのビットシフトにより除算を行う。なお、このビットシフトは、時間方向移動平均回路2303が出力する移動平均後の累積の位相回転量情報が2(N:自然数)個分のOFDMシンボル分の位相回転の累積値であるような時にのみ行い、ビットシフト回路2401の出力を更新する。なお、時間方向移動平均回路2303が出力する移動平均後の累積の位相回転量情報が2個分のOFDMシンボル分の位相回転の累積値でないようなときは、前回のビットシフトをしたときの結果をそのまま出力する。また、時間方向移動平均回路2303が出力する移動平均後の累積の位相回転量情報が1個分のOFDMシンボル分の位相回転値であるようなときは、ビットシフト回路2401は入力された信号をそのまま出力する。このような処理を行うと、パケットの前に行くほどビットシフト回路2401の出力が高い頻度で更新され、パケットの後ろに行くほどその更新頻度は低くなる。しかしながら、前述のように、各パイロット信号の位相回転量の累積値を利用して各サブキャリアの1OFDMシンボル当たりの位相回転量を算出することにより、パケットの後ろにいくほど精度良く熱雑音および位相雑音の成分を除去することが可能となる。従って、パケットの後ろの更新頻度を低くしても特性は劣化しない。また、ビットシフトを行うために必要な回路規模は一般に非常に小さいため、回路規模を大幅に低減することができる。ビットシフト回路2401によって算出された各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの平均の位相回転量情報は遅延補正回路2305に入力される。
【0283】
すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差および位相雑音による位相回転に対する高精度な補正処理を、簡易な回路で実現することができる。
【0284】
(第25の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図25を参照して説明する。この形態は請求項18、請求項29、請求項38および請求項39に対応する。この形態は第24の実施の形態の変形例である。図25において、第24の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第24の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0285】
図25のOFDMパケット通信用受信装置には、信号レベル情報平滑化回路1802の代わりに時間方向移動平均回路2501を備えている。時間方向移動平均回路2501の入力には、信号レベル情報抽出回路1801が出力する1OFDMシンボル毎の各パイロット信号の信号レベル情報が印加される。
【0286】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0287】
時間方向移動平均回路2501は、信号レベル情報抽出回路1801が出力する各パイロット信号の信号レベル情報を各パイロット信号毎に時間方向に移動平均処理を行う。この移動平均処理により、信号レベル情報抽出回路1801が出力する各パイロット信号の信号レベル情報に対する平滑化が行われる。時間方向移動平均回路2501によって移動平均処理が施された各パイロット信号の信号レベル情報は重み付け回路1803に入力される。
【0288】
フェージングによる伝送路(チャネル)の状態が、1パケット内で変化するような場合、各サブキャリア信号の信号レベルは当該サブキャリア信号が属するOFDMシンボルのパケット内の時間的位置によって変化するため、当該OFDMシンボルに隣接する複数のOFDMシンボルを用いてサブキャリア毎に信号レベルを平均化処理すなわち移動平均処理することにより、雑音成分の影響を低減しつつパケット内でのチャネル特性の変動に追従して各サブキャリアの信号レベル情報を検出することが可能となる。すなわち、本例の装置は、パケット内でチャネル特性が変動するような場合であっても、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差および位相雑音による位相回転に対する高精度な補正処理を、簡易な回路で実現することができる。
【0289】
(第26の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図26を参照して説明する。この形態は請求項18、請求項30、請求項38および請求項39に対応する。この形態は第24の実施の形態の変形例である。図26において、第24の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第24の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0290】
図26のOFDMパケット通信用受信装置には、信号レベル情報平滑化回路1802の代わりに積分回路2601および除算回路2602を備えている。積分回路2601の入力には、信号レベル情報抽出回路1801が出力する1OFDMシンボル毎の各パイロット信号の信号レベル情報が印加される。
【0291】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0292】
積分回路2601は、信号レベル情報抽出回路1801が出力する各パイロット信号の信号レベル情報を各パイロット信号毎に時間方向に積分する。積分回路2601により積分された各パイロット信号の信号レベル情報は除算回路2602に入力される。除算回路2602は、各パイロット信号の1個のOFDMシンボル当たりの信号レベルを算出するために、積分回路2601が出力する各パイロット信号の信号レベル情報の積分値を、積分回路2601にて積分処理したOFDMシンボル数でそれぞれ除算する。このように各パイロット信号の信号レベルの積分値を利用して各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベルを算出することにより、パケットの後ろにいくほど精度良く熱雑音の成分を除去することが可能となる。除算回路2602によって算出された各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベル情報は重み付け回路1803に入力される。
【0293】
フェージングによる伝送路(チャネル)の状態が、パケット内でほとんど変化しないような場合、各サブキャリア信号の信号レベルは、各サブキャリア信号の信号レベルをサブキャリア毎に積分処理し、その積分値を、積分を行った回数すなわち積分を行ったOFDMシンボル数で除算することにより求めることができる。この場合、パケットの後ろに行くほど積分するOFDMシンボル数が増加するため、平滑化の効果すなわち雑音成分の抑圧効果が向上し、熱雑音の影響を効果的に低減することができる。従って、高精度に各サブキャリア信号の信号レベル情報を検出することができる。すなわち、本例の装置は、パケット内でチャネル特性が1パケット期間内にほとんど変化しないような場合に、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差および位相雑音による位相回転に対する高精度な補正処理を、簡易な回路で実現することができる。
【0294】
(第27の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図27を参照して説明する。この形態は請求項18、請求項31、請求項38および請求項39に対応する。この形態は第26の実施の形態の変形例である。図27において、第26の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第26の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0295】
図27のOFDMパケット通信用受信装置には、除算回路2602の代わりにビットシフト回路2701を備えている。ビットシフト回路2701の入力には、積分回路2601が出力する各パイロット信号の信号レベル情報の積分値が印加される。
【0296】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0297】
ビットシフト回路2701は、各パイロット信号の1個のOFDMシンボルあたりの信号レベルを算出するために、積分回路2601にて積分処理したOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表されるときに、積分回路2601から出力された各パイロット信号の信号レベル情報の積分値をNビットのビットシフトにより除算を行う。なお、このビットシフトは、積分回路2601にて積分処理したOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表される時にのみ行い、ビットシフト回路2701の出力を更新する。なお、シンボル数が2で表されないときは前回のビットシフトをしたときの結果をそのまま用いる。また、シンボル数が1の時はビットシフト回路2701は入力された信号をそのまま出力する。このような処理を行うと、パケットの前に行くほどビットシフト回路2701の出力が高い頻度で更新され、パケットの後ろに行くほどその更新頻度は低くなる。しかしながら、前述のように、各パイロット信号の信号レベルの積分値を利用して各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベルを算出することにより、パケットの後ろにいくほど精度良く熱雑音の成分を除去することが可能となる。従って、パケットの後ろの更新頻度を低くしても特性は劣化しない。また、ビットシフトを行うために必要な回路規模は一般に非常に小さいため、回路規模を大幅に低減することができる。ビットシフト回路2701によって算出された各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベル情報は重み付け回路1803に入力される。
【0298】
フェージングによる伝送路(チャネル)の状態が、パケット内でほとんど変化しないような場合、各サブキャリア信号の信号レベルは、各サブキャリア信号の信号レベルをサブキャリア毎に積分処理し、その積分値を、積分を行った回数すなわち積分を行ったOFDMシンボル数で除算することにより求めることができる。この場合、パケットの後ろに行くほど積分するOFDMシンボル数が増加するため、平滑化の効果すなわち雑音成分の抑圧効果が向上し、熱雑音の影響を効果的に低減することができる。従って、高精度に各サブキャリア信号の信号レベル情報を検出することができる。また、各サブキャリア信号の1個のOFDMシンボル当たりの信号レベルを求めるための除算をビットシフトによって実現するため、回路規模の増加を抑制することができる。さらに、ビットシフトは積分処理を行ったOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表されるときにのみ行うため、OFDMシンボル毎の動作が不要であり、また、パケットの後ろに行くほどビットシフト処理の頻度が少なくなるため、消費電力を著しく低減できる。すなわち、本例の装置は、パケット内でチャネル特性が1パケット期間内にほとんど変化しないような場合に、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差および位相雑音による位相回転に対する高精度な補正処理を、簡易な回路で実現することができる。
【0299】
(第28の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図28を参照して説明する。この形態は請求項18、請求項22、請求項40および請求項41に対応する。この形態は第18の実施の形態の変形例である。図28において、第18の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第18の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0300】
図28に示す位相回転量情報抽出部2800には、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803、硬判定回路2804および位相回転検出回路2805が備わっており、共通位相回転検出部2801には、シンボル内平均回路2806、単位量演算回路2807および位相回転量推定回路2801が備わっている。
【0301】
チャネル推定回路106から出力されたチャネル推定結果は同期検波回路107に入力されるとともに重み係数演算回路2802に入力される。重み係数演算回路2802は、チャネル推定回路106から入力される各サブキャリアのチャネル推定結果に基づいてサブキャリア毎にその通信品質に応じた重み係数を演算して出力する。例えば、各サブキャリアの通信品質を表す尺度としては、各サブキャリア信号の受信信号レベル等が考えられる。これらの受信信号レベルはチャネル推定回路106から入力される各サブキャリアのチャネル推定結果を用いて簡単な演算を行うことによって求めることができる。例えば、各サブキャリアのチャネル推定結果の振幅成分を2乗することにより求めることができる。重み係数演算回路2802から出力されたサブキャリア毎の重み係数は重み付け回路1803に入力される。一方、同期検波回路107から出力された検波信号は特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803に入力されるとともに位相回転補正回路1805に入力される。特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803は、入力された検波信号から予め定められたパケット先頭付近の特定の少なくとも1つのOFDMシンボルに含まれる全てのサブキャリアの検波信号を抽出して出力する。特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803から出力された各検波信号は位相回転検出回路2805に入力されるとともに硬判定回路2804に入力される。硬判定回路2804では、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803から入力された各検波信号のそれぞれに対して硬判定を行い、各判定結果を出力する。硬判定回路2804から出力された各判定結果は位相回転検出回路2805に入力される。位相回転検出回路2805は、硬判定回路2804から入力された各判定結果に基づき、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803から入力された各検波信号のそれぞれに対して残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転量を検出して出力する。例えば、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803によって抽出される検波信号がBPSK変調されている場合には、同期検波後の信号は本来、位相平面上で図46に示す2個の基準信号点S0およびS1のいずれかの位置に現れる。しかし、同期処理回路103の出力する信号に残留搬送波周波数誤差による位相回転がある場合には、同期検波された検波信号のそれぞれに残留搬送波周波数誤差の量に比例した位相回転が生じるため、同期検波回路107から出力される検波信号(例えば図46のR0とR1)の位置は本来の位置であるいずれか1つの基準信号点と一致しなくなる。位相回転検出回路2805は、各サブキャリアの検波信号について、それぞれの位相回転量あるいはそれに相当する信号を検出して出力する。例えば、図46に示す入力信号R0が同期検波回路107から出力された検波信号であった場合、硬判定回路2804は基準信号点S0およびS1の中で位置が入力信号R0に最も近い基準信号点S0を出力することになるため、位相回転検出回路2805は基準信号点S0と入力信号R0との位相差P0を検出して出力する。また、図46に示す入力信号R1が同期検波回路107から出力された検波信号であった場合、硬判定回路2804は基準信号点S0およびS1の中で位置が入力信号R1に最も近い基準信号点S1を出力することになるため、位相回転検出回路2805は基準信号点S1と入力信号R1との位相差P1を検出して出力する。位相回転検出回路2805から出力された各サブキャリアの位相回転量情報信号は重み付け回路1803に入力される。重み付け回路1803は、重み係数演算回路2802から入力された各サブキャリアの重み係数に基づいて位相回転検出回路2805から入力された各サブキャリアの位相回転量情報信号に対して重み付けを行い出力する。この重み付けにより、フェージング等によって情報の信頼度が低下している位相回転量情報を用いることにより生じる悪影響を抑制することができる。重み付け回路1803から出力された重み付け後の各サブキャリアの位相回転量情報信号はシンボル内平均回路2806に入力される。シンボル内平均回路2806は、重み付け回路1803から入力された当該OFDMシンボルの重み付け後の全てのサブキャリアの位相回転量情報信号に対して平均化処理を行うことにより、受信回路102において付加される熱雑音等の影響を抑制し、残留搬送波周波数誤差に起因して生じる各サブキャリアに共通する位相回転量を高精度に算出して出力する。シンボル内平均回路2806から出力された高精度な位相回転量情報信号は単位量演算回路2807に入力される。単位量演算回路2807は、シンボル内平均回路2806から入力された高精度な位相回転量情報信号を用いて、検波信号の残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を演算して出力する。この演算は、例えば、図44に記載のチャネル推定用プリアンブル信号と特定の1OFDMシンボルの間の時間間隔を1OFDMシンボル間隔で除算した値で、シンボル内平均回路2806から入力された高精度な位相回転量情報を除算することにより、簡単に行うことができる。単位量演算回路2807から出力された信号は、位相回転量推定回路2808に入力される。位相回転量推定回路2808は、単位量演算回路2807から入力される検波信号の残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を用いて、前記第(6)式に基づいて同期検波回路107から出力される検波信号に付加されている残留搬送波周波数誤差に起因して生じる位相回転量を推定して位相回転量情報信号を出力する。この位相回転量の推定は、例えば、当該検波信号を含んでいたOFDMシンボルと図44に記載のチャネル推定用プリアンブル信号の間の時間間隔を1OFDMシンボル間隔で除算した値を、単位量演算回路2807から入力された検波信号の残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量に乗算することにより、簡単に行うことができる。位相回転量推定回路2808から出力された各検波信号の位相回転量情報信号は位相回転補正回路1805に入力される。位相回転補正回路1805は、位相回転量推定回路2808から入力された各検波信号の位相回転量情報信号を用いて各検波信号の残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転を補正し、位相回転補正後の検波信号を出力する。
【0302】
すなわち、同期処理手段から出力される信号に残留搬送波周波数誤差が存在する場合、同期検波手段から出力される前述の特定のOFDMシンボルの全てのサブキャリアの検波信号は、前記第(6)式に示されるような残留搬送波周波数誤差の量に応じた量の位相回転によって、位相平面上の基準信号点からずれた位置に現れる。従って、各検波信号と基準信号点とのずれを調べて位相回転量を検出することにより、前記第(6)式に基づいて残留搬送波周波数誤差の量あるいは残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を検出することができる。前述の特定のOFDMシンボルの期間内の全てのサブキャリアの検波信号を利用して検出を行うため、高精度に検出を行うことができる。
【0303】
また、上述したように、基準信号点は前述の各検波信号を硬判定することにより求めることができる。一般に、低速な変調方式によって変調された信号は高速な変調方式によって変調された信号よりも雑音成分に対する耐性が強いため、前述の特定のOFDMシンボルの各々のサブキャリアの検波信号が他の検波信号に比べて低速な変調方式によって変調されている場合(例えば、前述の特定の検波信号がBPSK変調されており、他の検波信号が16QAM変調されているような場合)には、精度良く硬判定を行うことができる。すなわち、精度良く残留搬送波周波数誤差の量あるいは残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を検出することができる。
【0304】
さらに、この検出結果を用いて該特定のOFDMシンボル以外のOFDMシンボルに含まれる検波信号に対する位相回転量を前記第(6)式に基づいて簡単に求めることができるため、該特定のOFDMシンボルがパケットの先頭付近に設定されている場合には、小さな処理遅延でパケット内の各検波信号の位相回転の補正処理を行うことができる。
【0305】
さらにまた、無線通信において一般的な伝搬環境である周波数選択性フェージング環境下においては、サブキャリア毎に通信品質が異なるため、通信品質が良好なサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量信号の重みを大きくした信号を処理することによって、フェージング等の影響を抑制し、残留搬送波周波数誤差の検出精度を改善できる。また、OFDMシンボル内で平滑化した位相回転量信号を処理することによって、熱雑音等の影響を抑制し、残留搬送波周波数誤差の検出精度を改善できる。
【0306】
すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差による位相回転に対する高精度な補正処理を、小さな処理遅延で実現することができる。
【0307】
(第29の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図29を参照して説明する。この形態は請求項18、請求項22、請求項23、請求項40、請求項41および請求項42に対応する。この形態は第28の実施の形態の変形例である。図29において、第28の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第28の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0308】
図29に示す位相回転量情報抽出部2900には、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803、硬判定回路2804および逆変調回路2902が備わっており、共通位相回転検出部2901には、シンボル内ベクトル和演算回路2903、位相検出回路2904、単位量演算回路2807および位相回転量推定回路2801が備わっている。
【0309】
特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803から出力される各検波信号は逆変調回路2902に入力されるとともに硬判定回路2804に入力される。硬判定回路2804から出力された各判定結果は逆変調回路2902に入力される。逆変調回路2902は、硬判定回路2804から入力された各判定結果に基づき、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803から入力された各検波信号のそれぞれに対してベースバンド上で逆変調処理を行い、逆変調後の複素ベクトル信号を出力する。この逆変調処理により、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803から入力された各検波信号から、送信側の変調処理によって付加されていた信号成分が除去される。従って、逆変調後の信号には残留搬送波周波数誤差に起因して生じる位相回転による位相成分と、受信回路102において付加される熱雑音等の成分のみが含まれることになる。逆変調回路2902から出力された逆変調後の各サブキャリアの複素ベクトル信号は重み付け回路1803に入力される。重み付け回路1803は、重み係数演算回路2802から入力された各サブキャリアの重み係数に基づいて逆変調回路2902から入力された逆変調後の各サブキャリアの複素ベクトル信号に対して重み付けを行い出力する。この重み付けは、例えば、重み係数演算回路2802から出力された各サブキャリアの重み係数を、逆変調回路2902から入力された逆変調後の各サブキャリアの複素ベクトル信号の振幅成分とすることにより実現できる。この重み付けにより、フェージング等によって情報の信頼度が低下している位相回転量情報を用いることにより生じる悪影響を抑制することができる。重み付け回路1803から出力された重み付け後の複素ベクトル信号はシンボル内ベクトル和演算回路2903に入力される。シンボル内ベクトル和演算回路2903は、重み付け回路1803から入力された当該OFDMシンボルの重み付け後の全ての複素ベクトル信号のベクトル和を演算する。このベクトル和演算によって、重み付け回路1803から入力された複素ベクトル信号の位相成分の平滑化が実現されることになる。この位相成分の平滑化により、受信回路102において付加される熱雑音等の影響を抑制することができる。つまり、シンボル内ベクトル和演算回路2903から出力される複素ベクトル信号の位相成分は、残留搬送波周波数誤差に起因して生じる各サブキャリアに共通する位相回転量を高精度に表していることになる。シンボル内ベクトル和演算回路2903から出力された複素ベクトル信号は位相検出回路2904に入力される。位相検出回路2904は、シンボル内ベクトル和演算回路2903から入力された複素ベクトル信号の位相成分を検出して位相成分情報信号を出力する。位相検出回路2904から出力された位相成分情報信号は単位量演算回路2807に入力される。
【0310】
すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差による位相回転に対する高精度な補正処理を、小さな処理遅延で実現することができる。
【0311】
(第30の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図30を参照して説明する。この形態は請求項18、請求項22、請求項24、請求項40、請求項41および請求項42に対応する。この形態は第29の実施の形態の変形例である。図30において、第29の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第29の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0312】
図30に示す位相回転量情報抽出部3000には、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803、硬判定回路2804および符号反転制御回路3001が備わっている。
【0313】
なお、図30は残留搬送波周波数誤差による位相回転を検出するために用いる特定の少なくとも1つのOFDMシンボルの各サブキャリア信号が、例えばBPSKやQPSKのように、ある基準信号点から任意の基準信号点への遷移が符号の反転処理のみによって可能であるような変調方式によって変調されている場合の構成例である。
【0314】
特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803の出力信号である各検波信号が、符号反転制御回路3001に入力されるとともに硬判定回路2804に入力されている。符号反転制御回路3001は、入力された各検波信号に対する逆変調処理を、符号反転処理によって実現している。符号反転制御回路3001から出力された符号反転処理後の各複素ベクトル信号は重み付け回路1803に入力される。
【0315】
例えば、BPSKやQPSKのように、ある基準信号点から他の基準信号点への遷移が、符号の反転処理のみによって可能であるような変調方式によって各サブキャリア信号が変調されている場合には、逆変調処理は信号の符号を反転処理することによって実現できるので、逆変調手段の回路構成を単純化することができる。すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差による位相回転に対する高精度な補正処理を、簡易な回路により小さな処理遅延で実現することができる。
【0316】
(第31の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図31を参照して説明する。この形態は請求項26に対応する。この形態は第28の実施の形態の変形例である。図31において、第28の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第28の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0317】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0318】
同期検波回路107から出力される各検波信号は特定シンボル内サブキャリア抽出回路2803、位相回転補正回路1805に入力されるとともにパイロット信号抽出回路3101に入力される。パイロット信号抽出回路3101では、同期検波回路107から入力された各検波信号に含まれるパイロット信号に相当する検波信号を抽出して出力する。パイロット信号抽出回路3101から出力された信号は、位相回転検出回路3102に入力される。一方、基準信号出力回路3103は、パイロット信号抽出回路3101から位相回転検出回路3102に入力されたパイロット信号に相当する検波信号に対応する基準信号を出力する。前述の通り、パイロット信号は既知信号であるため、容易に前述の基準信号を出力することができるのである。基準信号出力回路3103から出力された基準信号は位相回転検出回路3102に入力される。位相回転検出回路3102は、基準信号出力回路3103から入力された基準信号に基づいて、パイロット信号抽出回路3101から入力されたパイロット信号に相当する検波信号の位相回転量を検出して位相回転量情報信号を出力する。位相回転検出回路3102から出力された位相回転量情報信号は共通位相回転検出回路3104に入力される。共通位相回転検出回路3104は、位相回転検出回路3102から入力された位相回転量情報に基づいて、残留搬送波周波数誤差によって生じる各検波信号に共通した1OFDMシンボルあたりの位相回転量を検出し、残留搬送波周波数誤差情報として出力する。共通位相回転検出回路3104から出力される残留搬送波周波数誤差情報は、選択回路3106に入力される。一方、重み付け回路1803から出力された重み付け後の各サブキャリアの位相回転量情報信号が、共通位相回転検出回路3105に入力される。共通位相回転検出回路3105は、重み付け回路1803から入力された重み付け後の位相回転量情報に基づいて、残留搬送波周波数誤差によって生じる各検波信号に共通した1OFDMシンボルあたりの位相回転量を検出し、残留搬送波周波数誤差情報として出力する。共通位相回転検出回路3105から出力される残留搬送波周波数誤差情報は、選択回路3106に入力される。ここで、共通位相回転検出回路3104から出力される残留搬送波周波数誤差情報と共通位相回転検出回路3105から出力される残留搬送波周波数誤差情報の違いについて間単に説明する。共通位相回転検出回路3104から出力される残留搬送波周波数誤差情報はパイロット信号に相当する検波信号を用いて検出した情報であり、共通位相回転検出回路3105から出力される残留搬送波周波数誤差情報は特定のOFDMシンボルに含まれる各検波信号を用いて検出した情報である。当然のことながら、数多くの検波信号を用いて検出された残留搬送波周波数誤差情報のほうが検出精度は高い。本例では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)を用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定しているため、時間の経過に伴い、処理されるパイロット信号に相当する検波信号の数は増えることになるが、特定のOFDMシンボルに含まれる検波信号の数は時間が経過しても一定以上に増えることは無い。仮に、1つのOFDMシンボルに全部で52本のサブキャリアが含まれており、さらに、その52本のサブキャリアのうちの4本がパイロット信号を送信するために用いられていたとする。また、前述の特定のOFDMシンボルの数が1であると仮定すると、13個以上のOFDMシンボルに含まれる52個以上の信号を共通位相回転検出回路3104が処理すれば、共通位相回転検出回路3104が出力する信号の精度は共通位相回転検出回路3105が出力する信号の精度以上の精度になることは明らかである。ただし、共通位相回転検出回路3104が処理するパイロット信号数が52未満であれば、信号の精度は共通位相回転検出回路3105が出力する信号の方が高くなる。
【0319】
選択回路3106は、共通位相回転検出回路3104から入力された残留搬送波周波数誤差情報と、共通位相回転検出回路3105から入力された残留搬送波周波数誤差情報のうち、精度の高い一方の信号を選択して出力する。なお、前述の通り、どちらの信号の精度が高いかについては、例えば、同期検波回路107が処理した各検波信号のOFDMシンボル相当数に応じて簡単に判定することができる。選択回路3106から出力される残留搬送波周波数誤差情報は位相回転量推定回路2808に入力される。
【0320】
すなわち、同期処理手段から出力される信号に残留搬送波周波数誤差が存在する場合、同期検波手段から出力される前述の特定のOFDMシンボルの全てのサブキャリアの検波信号は、前記第(6)式に示されるような残留搬送波周波数誤差の量に応じた各サブキャリアに共通な位相回転によって、位相平面上の基準信号点からずれた位置に現れる。従って、各検波信号と基準信号点とのずれを調べて当該OFDMシンボル期間内の各検波信号に共通な位相回転量を検出することにより、前記第(6)式に基づいて残留搬送波周波数誤差の量あるいは残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を検出することができる。前述の特定のOFDMシンボルの期間内の全てのサブキャリアの検波信号を利用して検出を行うため、高精度に検出を行うことができる。
【0321】
また、上述したように、基準信号点は前述の各検波信号を硬判定することにより求めることができる。一般に、低速な変調方式によって変調された信号は高速な変調方式によって変調された信号よりも雑音成分に対する耐性が強いため、前述の特定のOFDMシンボルの各々のサブキャリアの検波信号が他の検波信号に比べて低速な変調方式によって変調されている場合(例えば、前述の特定の検波信号がBPSK変調されており、他の検波信号が16QAM変調されているような場合)には、精度良く硬判定を行うことができる。すなわち、精度良く残留搬送波周波数誤差の量あるいは残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を検出することができる。
【0322】
さらに、この検出結果を用いて該特定のOFDMシンボル以外のOFDMシンボルに含まれる検波信号に対する位相回転量を前記第(6)式に基づいて簡単に求めることができるため、該特定のOFDMシンボルがパケットの先頭付近に設定されている場合には、小さな処理遅延でパケットの先頭部分から各検波信号の位相回転量を算出することができる。
【0323】
さらにまた、無線通信において一般的な伝搬環境である周波数選択性フェージング環境下においては、サブキャリア毎に通信品質が異なるため、通信品質が良好なサブキャリアの検波信号から検出した位相回転量信号の重みを大きくした信号を処理することによって、フェージング等の影響を抑制し、残留搬送波周波数誤差の検出精度を改善できる。
【0324】
しかしながら、上述のように残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転量を、同期検波手段から出力される特定のOFDMシンボルの期間内の検波信号から検出するだけでは、一定以上の検出精度を得ることができない。一方、前述の特定の検波信号からだけでなく、パケット内の各OFDMシンボルに含まれる既知のパイロット信号の位相回転量をOFDMシンボル毎に検出し、十分に多数のパイロット信号から残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量の平均値を求めることによって、残留搬送波周波数誤差の検出精度を高めることができる。ただし、高い検出精度を得るためには非常に多くのパイロット信号を処理する必要があるため、パケットの先頭付近のOFDMシンボルを処理している期間は、原理上、一定以上の検出精度を得ることができない。特に、1つのOFDMシンボルに含まれるパイロット信号の数はサブキャリア数に比較して非常に少ないため、パケットの先頭付近のいくつかのOFDMシンボルのパイロット信号のみを用いて検出した残留搬送波周波数誤差の検出精度は、前述の特定のOFDMシンボルに含まれるすべてのサブキャリアの検波信号を用いて検出した残留搬送波周波数誤差の検出精度よりも悪くなってしまう。そこで、パケットの先頭付近のOFDMシンボルに含まれる残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転ついては、前述のような特定のOFDMシンボル期間内の全てのサブキャリアの検波信号を用いて検出した位相補正量を用いて補正を行い、後続のOFDMシンボルに含まれる位相回転については、前述のような各OFDMシンボルに含まれる既知のパイロット信号の位相回転量をOFDMシンボル毎に検出して得られる位相補正量を用いて補正を行うことにより、パケット全体に渡って精度の高い位相補正を行うことができる。
【0325】
すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差による位相回転に対する高精度な補正処理を、小さな処理遅延で実現することができる。
【0326】
(第32の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図32を参照して説明する。この形態は請求項26および請求項44に対応する。この形態は第31の実施の形態の変形例である。図32において、第31の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第31の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0327】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0328】
図32に示す共通位相回転検出部3200には、シンボル内平均回路3201および単位量演算回路3202が備わっている。
【0329】
重み付け回路1803から出力された重み付け後の各サブキャリアの位相回転量情報信号はシンボル内平均回路3201に入力される。シンボル内平均回路3201は、重み付け回路1803から入力された当該OFDMシンボルの重み付け後の全てのサブキャリアの位相回転量情報信号に対して平均化処理を行うことにより、受信回路102において付加される熱雑音等の影響を抑制し、残留搬送波周波数誤差に起因して生じる各サブキャリアに共通する位相回転量を高精度に算出して出力する。シンボル内平均回路3201から出力された高精度な位相回転量情報信号は単位量演算回路3202に入力される。単位量演算回路3202は、シンボル内平均回路3201から入力された高精度な位相回転量情報信号を用いて、検波信号の残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を演算して出力する。単位量演算回路3202から出力された信号は、選択回路3106に入力される。
【0330】
上述のように、OFDMシンボル内で平滑化した位相回転量信号を処理することによって、熱雑音等の影響を抑制し、残留搬送波周波数誤差に起因して生じる各サブキャリアに共通する位相回転量の検出精度を改善できる。すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差による位相回転に対する高精度な補正処理を、小さな処理遅延で実現することができる。
【0331】
(第33の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図33を参照して説明する。この形態は請求項26、請求項44、請求項45および請求項49に対応する。この形態は第32の実施の形態の変形例である。図33において、第32の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第32の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0332】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0333】
図33に示す共通位相回転検出部3300には、シンボル内ベクトル和演算回路3302、位相検出回路3303および単位量演算回路3202が備わっている。
【0334】
特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803から出力される各検波信号は逆変調回路3301に入力されるとともに硬判定回路2804に入力される。硬判定回路2804から出力された各判定結果は逆変調回路3301に入力される。逆変調回路3301は、硬判定回路2804から入力された各判定結果に基づき、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803から入力された各検波信号のそれぞれに対してベースバンド上で逆変調処理を行い、逆変調後の複素ベクトル信号を出力する。この逆変調処理により、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803から入力された各検波信号から、送信側の変調処理によって付加されていた信号成分が除去される。従って、逆変調後の信号には残留搬送波周波数誤差に起因して生じる位相回転による位相成分と、受信回路102において付加される熱雑音等の成分のみが含まれることになる。逆変調回路3301から出力された逆変調後の各サブキャリアの複素ベクトル信号は重み付け回路1803に入力される。重み付け回路1803は、重み係数演算回路2802から入力された各サブキャリアの重み係数に基づいて逆変調回路3301から入力された逆変調後の各サブキャリアの複素ベクトル信号に対して重み付けを行い出力する。この重み付けは、例えば、重み係数演算回路2802から出力された各サブキャリアの重み係数を、逆変調回路3301から入力された逆変調後の各サブキャリアの複素ベクトル信号の振幅成分とすることにより実現できる。重み付け回路1803から出力された重み付け後の複素ベクトル信号はシンボル内ベクトル和演算回路3302に入力される。シンボル内ベクトル和演算回路3302は、重み付け回路1803から入力された当該OFDMシンボルの重み付け後の全ての複素ベクトル信号のベクトル和を演算する。このベクトル和演算によって、重み付け回路1803から入力された複素ベクトル信号の位相成分の平滑化が実現されることになる。この位相成分の平滑化により、受信回路102において付加される熱雑音等の影響を抑制することができる。つまり、シンボル内ベクトル和演算回路3302から出力される複素ベクトル信号の位相成分は、残留搬送波周波数誤差に起因して生じる各サブキャリアに共通する位相回転量を高精度に表していることになる。シンボル内ベクトル和演算回路3302から出力された複素ベクトル信号は位相検出回路3303に入力される。位相検出回路3303は、シンボル内ベクトル和演算回路3302から入力された複素ベクトル信号の位相成分を検出して位相成分情報信号を出力する。位相検出回路3303から出力された位相成分情報信号は単位量演算回路3202に入力される。
【0335】
すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差による位相回転に対する高精度な補正処理を、小さな処理遅延で実現することができる。
【0336】
(第34の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図34を参照して説明する。この形態は請求項26、請求項44、請求項46および請求項49に対応する。この形態は第33の実施の形態の変形例である。図34において、第33の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第33の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0337】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0338】
なお、図34は残留搬送波周波数誤差による位相回転を検出するために用いる特定の少なくとも1つのOFDMシンボルの各サブキャリア信号が、例えばBPSKやQPSKのように、ある基準信号点から任意の基準信号点への遷移が符号の反転処理のみによって可能であるような変調方式によって変調されている場合の構成例である。
【0339】
特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803の出力信号である各検波信号が、符号反転制御回路3401に入力されるとともに硬判定回路2804に入力されている。符号反転制御回路3401は、入力された各検波信号に対する逆変調処理を、符号反転処理によって実現している。符号反転制御回路3401から出力された符号反転処理後の各複素ベクトル信号は重み付け回路1803に入力される。
【0340】
例えば、BPSKやQPSKのように、ある基準信号点から他の基準信号点への遷移が、符号の反転処理のみによって可能であるような変調方式によって各サブキャリア信号が変調されている場合には、逆変調処理は信号の符号を反転処理することによって実現できるので、逆変調手段の回路構成を単純化することができる。すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差による位相回転に対する高精度な補正処理を、簡易な回路により小さな処理遅延で実現することができる。
【0341】
(第35の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図35を参照して説明する。この形態は請求項26、請求項34、請求項35、請求項44および請求項47に対応する。この形態は第32の実施の形態の変形例である。図35において、第32の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第32の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0342】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0343】
図35に示す位相累積値演算部3501には、位相差分演算回路3504、遅延回路3505および積分回路3506が備わっており、共通位相回転検出部3500には、シンボル内平均回路3503、位相累積値演算部3501、時間方向移動平均回路3507および除算回路3508が備わっている。
【0344】
位相回転検出回路3102から出力されたパイロット信号に相当する位相回転量情報信号は、重み付け回路3502に入力される。重み付け回路3502は、重み係数演算回路2802から入力された重み係数に基づいて、位相回転検出回路3102から入力された位相回転量情報信号に対して重み付けを行い出力する。この重み付けにより、フェージング等によって情報の信頼度が低下している位相回転量情報信号を用いることにより生じる悪影響を抑制することができる。重み付け回路3502から出力された重み付け後の位相回転量情報信号はシンボル内平均回路3503に入力される。シンボル内平均回路3503は、重み付け回路3502から入力された当該OFDMシンボルの重み付け後の全ての位相回転量情報信号に対して平均化処理を行う。なお、重み付け回路3502が出力する位相回転量情報信号が前述のベクトル信号であるような場合には、ベクトル和を演算することにより位相成分の平均化処理を行うことができる。シンボル内平均回路3503から出力された平均化処理後の位相回転量情報信号は位相差分演算回路3504に入力されるとともに遅延回路3505に入力される。遅延回路3505は、シンボル内平均回路3503から入力された平均化処理後の位相回転量情報信号を1OFDMシンボル期間だけ遅延させて出力する。遅延回路3505によって1OFDMシンボル分だけ遅延した各位相回転量情報信号は、位相差分演算回路3504に入力される。位相差分演算回路3504は、遅延回路3505から入力された1OFDMシンボル分だけ遅延した各位相回転量情報信号に対するシンボル内平均回路3503から入力された位相回転量情報信号の位相差を検出して位相差分信号を1OFDMシンボル毎に出力する。位相差分演算回路3504から出力された位相差分信号は、積分回路3506に入力される。積分回路3506は、位相差分演算回路3504から入力された位相差分信号を積分処理することにより、残留搬送波周波数誤差および位相雑音による累積位相回転量を算出して出力する。この累積位相回転量は、同期検波回路107から出力された当該OFDMシンボル中の各検波信号に含まれる残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因して生じた累積の位相回転量である。積分回路3506から出力された累積位相回転量信号は、時間方向移動平均回路3507に入力される。時間方向移動平均回路3507は、積分回路3506から入力された累積位相回転量を複数OFDMシンボルに渡って時間方向に移動平均処理を行い出力する。この移動平均処理によって、受信回路102において付加される熱雑音等の影響を抑制することができる。時間方向移動平均回路3507から出力された移動平均処理後の累積位相回転量信号は、除算回路3508に入力される。除算回路3508では、時間方向移動平均回路3507から入力された移動平均処理後の累積位相回転量を、積分回路3506で積分を行ったOFDMシンボル数と時間方向移動平均回路3507で移動平均処理を行ったOFDMシンボル数に応じた値で除算することにより、残留搬送波周波数誤差に起因して生じた各検波信号の1OFDMシンボルあたりの位相回転量を精度良く求めることができる。例えば、積分回路3506で10OFDMシンボル分の積分処理を行い、後続の時間方向移動平均回路3507で3OFDMシンボル分の移動平均処理を行ったと仮定すると、この3OFDMシンボル分の移動平均処理によって必然的に1OFDMシンボル分の遅延が生じる。従って、除算回路3508は、入力された値を9で除算して1OFDMシンボルあたりの位相回転量を算出することになる。この積分回路3506において、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803で処理されるOFDMシンボルの数よりも十分に多い信号数の積分処理が行われていれば、除算回路3508は単位量演算回路3202から出力される信号よりも高い精度で残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を求めることができる。除算回路3508から出力された残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量信号は、選択回路3106に入力される。
【0345】
上述のように、高精度な信号品質情報に基づいて重み付けされた位相回転量の情報に対して1シンボル内で平均化処理を行うことにより、位相回転量の情報に含まれている雑音成分を抑圧することができるので、残留搬送波周波数誤差よって検波信号に生じる各サブキャリア共通の位相回転量を精度良く求めることができる。また、残留搬送波周波数誤差よって検波信号に生じる各サブキャリア共通の位相回転量の累積値を演算して累積を行ったOFDMシンボル数で除算することにより、残留搬送波周波数誤差により生じる1OFDMシンボルあたりの位相回転量を高精度に算出することができる。さらに、前述の除算を行う前に、位相回転量の累積値に対して時間方向の移動平均処理を行うことにより熱雑音の影響を効果的に低減するため、残留搬送波周波数誤差により生じる1OFDMシンボルあたりの位相回転量の検出精度を改善することができる。
【0346】
すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差による位相回転に対する高精度な補正処理を、小さな処理遅延で実現することができる。
【0347】
(第36の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図36を参照して説明する。この形態は請求項26、請求項34、請求項35、請求項44、請求項45、請求項47および請求項49に対応する。この形態は第35の実施の形態の変形例である。図36において、第35の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第35の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0348】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0349】
図36に示す共通位相回転検出部3600には、シンボル内ベクトル和演算回路3602、位相検出回路3603および単位量演算回路3604が備わっている。
【0350】
特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803から出力される各検波信号は逆変調回路3601に入力されるとともに硬判定回路2804に入力される。硬判定回路2804から出力された各判定結果は逆変調回路3601に入力される。逆変調回路3601は、硬判定回路2804から入力された各判定結果に基づき、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803から入力された各検波信号のそれぞれに対してベースバンド上で逆変調処理を行い、逆変調後の複素ベクトル信号を出力する。この逆変調処理により、特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803から入力された各検波信号から、送信側の変調処理によって付加されていた信号成分が除去される。従って、逆変調後の信号には残留搬送波周波数誤差に起因して生じる位相回転による位相成分と、受信回路102において付加される熱雑音等の成分のみが含まれることになる。逆変調回路3601から出力された逆変調後の各サブキャリアの複素ベクトル信号は重み付け回路1803に入力される。重み付け回路1803は、重み係数演算回路2802から入力された各サブキャリアの重み係数に基づいて逆変調回路3601から入力された逆変調後の各サブキャリアの複素ベクトル信号に対して重み付けを行い出力する。この重み付けは、例えば、重み係数演算回路2802から出力された各サブキャリアの重み係数を、逆変調回路3601から入力された逆変調後の各サブキャリアの複素ベクトル信号の振幅成分とすることにより実現できる。重み付け回路1803から出力された重み付け後の複素ベクトル信号はシンボル内ベクトル和演算回路3602に入力される。シンボル内ベクトル和演算回路3602は、重み付け回路1803から入力された当該OFDMシンボルの重み付け後の全ての複素ベクトル信号のベクトル和を演算する。このベクトル和演算によって、重み付け回路1803から入力された複素ベクトル信号の位相成分の平滑化が実現されることになる。この位相成分の平滑化により、受信回路102において付加される熱雑音等の影響を抑制することができる。つまり、シンボル内ベクトル和演算回路3602から出力される複素ベクトル信号の位相成分は、残留搬送波周波数誤差に起因して生じる各サブキャリアに共通する位相回転量を高精度に表していることになる。シンボル内ベクトル和演算回路3602から出力された複素ベクトル信号は位相検出回路3603に入力される。位相検出回路3603は、シンボル内ベクトル和演算回路3602から入力された複素ベクトル信号の位相成分を検出して位相成分情報信号を出力する。位相検出回路3603から出力された位相成分情報信号は単位量演算回路3604に入力される。
【0351】
すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差による位相回転に対する高精度な補正処理を、小さな処理遅延で実現することができる。
【0352】
(第37の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図37を参照して説明する。この形態は請求項26、請求項34、請求項35、請求項44、請求項46、請求項47および請求項49に対応する。この形態は第36の実施の形態の変形例である。図37において、第36の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第36の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0353】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0354】
なお、図37は残留搬送波周波数誤差による位相回転を検出するために用いる特定の少なくとも1つのOFDMシンボルの各サブキャリア信号が、例えばBPSKやQPSKのように、ある基準信号点から任意の基準信号点への遷移が符号の反転処理のみによって可能であるような変調方式によって変調されている場合の構成例である。
【0355】
特定シンボル内サブキャリア信号抽出回路2803の出力信号である各検波信号が、符号反転制御回路3701に入力されるとともに硬判定回路2804に入力されている。符号反転制御回路3701は、入力された各検波信号に対する逆変調処理を、符号反転処理によって実現している。符号反転制御回路3701から出力された符号反転処理後の各複素ベクトル信号は重み付け回路1803に入力される。
【0356】
例えば、BPSKやQPSKのように、ある基準信号点から他の基準信号点への遷移が、符号の反転処理のみによって可能であるような変調方式によって各サブキャリア信号が変調されている場合には、逆変調処理は信号の符号を反転処理することによって実現できるので、逆変調手段の回路構成を単純化することができる。すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差による位相回転に対する高精度な補正処理を、簡易な回路により小さな処理遅延で実現することができる。
【0357】
(第38の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図38を参照して説明する。この形態は請求項17、請求項20、請求項25、請求項32、請求項33および請求項43に対応する。この形態は第17の実施の形態の変形例である。図38において、第17の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第17の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0358】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0359】
なお、この例でも図38のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図38のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。
【0360】
図38に示す位相回転量情報抽出部3800には、パイロット信号抽出回路3803、位相回転検出回路3804および基準信号出力回路3805が備わっており、共通位相回転検出部3801には、シンボル内平均回路3808、位相回転累積値演算回路3809、時間方向移動平均回路3810、除算回路3811および遅延補正回路3812が備わっている。
【0361】
チャネル推定回路106から出力されたチャネル推定結果は同期検波回路107に入力されるとともに重み係数演算回路3802に入力される。重み係数演算回路3802は、チャネル推定回路106から入力される各サブキャリアのチャネル推定結果に基づいてサブキャリア毎にその通信品質に応じた重み係数を演算して出力する。例えば、各サブキャリアの通信品質を表す尺度としては、前述のような各サブキャリア信号の受信信号レベル等が考えられる。重み係数演算回路3802から出力されたサブキャリア毎の重み係数は重み付け回路3807に入力される。
【0362】
一方、同期検波回路107から出力される各検波信号は、位相回転補正回路3815に入力されるとともにパイロット信号抽出回路3803に入力される。パイロット信号抽出回路3803は、同期検波回路107から入力された検波信号のうちパイロット信号に相当する検波信号を抽出して出力する。パイロット信号抽出回路3803から出力されたパイロット信号に相当する検波信号は位相回転検出回路3804に入力される。一方、基準信号出力回路3805は、パイロット信号抽出回路3803から位相回転検出回路3804に入力されたパイロット信号に相当する検波信号に対応する基準信号を出力する。前述の通り、パイロット信号は既知信号であるため、容易に前述の基準信号を出力することができるのである。基準信号出力回路3805から出力された基準信号は位相回転検出回路3804に入力される。位相回転検出回路3804は、基準信号出力回路3805から入力された基準信号に基づいて、パイロット信号抽出回路3803から入力されたパイロット信号に相当する検波信号の位相回転量を検出して位相回転量情報信号を出力する。位相回転検出回路3803から出力された位相回転量情報信号はクロック周波数誤差低減回路3806に入力される。また、位相回転予測回路903から出力されるクロック周波数誤差に起因するパイロット信号に相当する各サブキャリアの位相回転情報もクロック周波数誤差低減回路3906に入力される。クロック周波数誤差低減回路3806は、位相回転予測回路903から入力されるクロック周波数誤差に起因する各サブキャリアの位相回転情報に基づいて位相回転検出回路3804から入力される位相回転量情報信号に含まれるクロック周波数誤差による位相回転を除去する。クロック周波数誤差低減回路3806から出力されるクロック周波数誤差による位相回転除去後の位相回転量情報信号は重み付け回路3807に入力される。重み付け回路3807は、重み係数演算回路3802から入力された各サブキャリアの重み係数に基づいてクロック周波数誤差低減回路3806から入力されたクロック周波数誤差による位相回転除去後の位相回転量情報信号に対して重み付けを行い出力する。この重み付けにより、フェージング等によって情報の信頼度が低下している位相回転量情報を用いることにより生じる悪影響を抑制することができる。重み付け回路3807から出力された重み付け後の各サブキャリアの位相回転量情報信号はシンボル内平均回路3808に入力される。シンボル内平均回路3808は、重み付け回路3807から入力された当該OFDMシンボルの重み付け後のパイロット信号に相当する位相回転量情報信号に対して平均化処理を行うことにより、受信回路102において付加される熱雑音等の影響を抑制し、残留搬送波周波数誤差に起因して生じる当該OFDMシンボル内の各サブキャリアに共通する位相回転量を高精度に算出して出力する。なお、この平均化処理は1個のOFDMシンボル内で行われるため、周波数方向の平均化処理に相当する。シンボル内平均回路3808から出力された高精度な位相回転量情報信号は位相回転累積値演算回路3809に入力される。位相回転累積値演算回路3809は、シンボル内平均回路3808から入力される高精度な位相回転量情報信号を用いてチャネル推定時からの位相雑音および残留搬送波周波数誤差に起因する各パイロット信号の累積の位相回転量を演算する。この累積の位相回転量の演算は、例えば、当該OFDMシンボル処理時に入力された高精度な位相回転量情報信号とその直前のOFDMシンボルの処理時に入力された高精度な位相回転量情報信号の差分値をひとつのOFDMシンボル毎にそれぞれ積分することによって行うことができる。演算された位相雑音および残留搬送波周波数誤差に起因する各パイロット信号の累積の位相回転量が位相回転累積値演算回路3809から出力される。位相回転累積値演算回路3809から出力されるパイロット信号の累積の位相回転量は時間方向移動平均回路3810に入力される。時間方向移動平均回路3810は、1OFDMシンボル毎に入力される位相雑音および残留搬送波周波数誤差に起因する各パイロット信号の累積の位相回転量に対し、複数シンボルに渡る時間方向の移動平均化処理を行い出力する。この時間方向の移動平均化処理により、受信回路102において信号に付加された熱雑音等による信号の劣化を低減することができる。時間方向移動平均回路3810から出力される移動平均後の累積の位相回転量情報は除算回路3811に入力されるとともに遅延補正回路3812に入力される。
【0363】
除算回路3811は、時間方向移動平均回路3810から入力される移動平均後の累積の位相回転量情報に対して位相回転累積値演算回路3809において累積処理したOFDMシンボル数から時間方向移動平均回路3810における移動平均処理により生じる遅延分を差し引いた数で除算を行う。例えば、位相回転累積値演算回路3809において累積処理したOFDMシンボル数が10個のOFDMシンボルであり、時間方向移動平均回路3810において3つのOFDMシンボルの移動平均処理を行う場合について考えてみる。この場合は、3個のOFDMシンボルの移動平均処理によって1つのOFDMシンボル分の遅延による誤差が生じるため、除算回路3811では9で除算を行うことになる。また、位相雑音に起因する位相回転の累積値は明らかに0となる。従って、この除算によって残留搬送波周波数誤差に起因するひとつのOFDMシンボルあたりの位相回転量が求められる。このように各パイロット信号の位相回転量の累積値を利用して各パイロット信号のひとつのOFDMシンボル当たりの位相回転量を算出することにより、パケットの後ろに行くほど精度良く熱雑音および位相雑音の成分を除去することが可能となる。求められた残留搬送波周波数誤差に起因する1個のOFDMシンボルあたりの位相回転量情報が除算回路3811から出力される。除算回路3811から出力される残留搬送波周波数誤差に起因する1個のOFDMシンボルあたりの位相回転量情報は遅延補正回路3812に入力されるとともに位相回転予測回路903に入力される。
【0364】
遅延補正回路381には、除算回路3811から入力される残留搬送波周波数誤差に起因する1個のOFDMシンボルあたりの位相回転量情報を用いて時間方向移動平均回路3810から入力される移動平均後の累積の位相回転量情報に含まれる前述の移動平均処理に起因する遅延によって生じる遅延誤差を補正し、当該OFDMシンボルの各サブキャリア信号に含まれる残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転の累積量を求める。遅延誤差補正後の累積の位相回転情報が遅延補正回路3812から出力される。遅延補正回路3812から出力される遅延誤差補正後の累積の位相回転量情報は加算回路3814に入力される。
【0365】
一方、位相回転予測回路903から出力されるクロック周波数誤差に起因する位相回転の情報がクロック周波数誤差低減回路3806に入力されるとともに加算回路3814に入力される。加算回路3814は、遅延補正回路3812から入力される残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転の累積量と、位相回転予測回路903から入力されるクロック周波数誤差に起因する位相回転情報を加算することにより、クロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転情報を出力する。加算回路3814から出力されるクロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転情報は位相回転補正回路3815に入力される。位相回転補正回路3815は、加算回路3814から入力されるクロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転情報に基づいて、同期検波回路107から入力される各検波信号に含まれるクロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転の補正を行う。位相回転補正回路3815から出力される位相回転補正後の各検波信号は識別回路112に入力される。
【0366】
上述のように、OFDM信号の一部のサブキャリアを利用して既知信号であるパイロット信号を伝送する場合には、パイロット信号に相当する検波信号の信号成分から残留搬送波周波数誤差を検出することにより、一部の検波信号だけを用いて効率的に残留搬送波周波数誤差を検出できるので、共通位相回転検出手段の回路構成を単純化できる。また、検波信号に大きな雑音成分が付加されている場合であっても、当該検波信号の基準信号点が誤って識別されるようなことが無いため、残留搬送波周波数誤差の検出精度が向上する。
【0367】
また、位相回転量情報抽出手段が出力する検波信号の位相回転量の情報に含まれているクロック周波数誤差に起因するサブキャリア毎に異なる位相回転成分の除去を行うとともに、サブキャリア毎の通信品質に応じた重み付けを行うことによって、共通位相回転検出手段における各サブキャリア共通の位相回転量の検出精度が向上する。
【0368】
さらに、重み付けされた検波信号の位相回転量の情報に対して周波数方向に平均化処理を行うため、位相回転量の情報の精度が向上する。さらにまた、この高精度な位相回転量の情報を用いて、残留搬送波周波数誤差および位相雑音によって生じる各検波信号の位相回転の累積量を演算し、得られた演算結果を用いて各検波信号に対して位相回転の補正処理を行うため、高精度な位相回転補正処理が実現できる。
【0369】
また、上述の位相回転の累積値に対して時間方向の平均化処理を行うことにより雑音成分を効果的に抑圧できるため、受信処理時に受信信号に熱雑音が付加される場合であっても、残留搬送波周波数誤差および位相雑音によって生じる各検波信号の位相回転の累積量を精度良く検出することができる。
【0370】
さらに、上述の位相回転の累積量を累積を行ったOFDMシンボル数で除算することによって残留搬送波周波数誤差により生じる1OFDMシンボルあたりの位相回転量を高精度に算出し、この算出結果に基づいて時間方向移動平均処理時に生じる位相回転累積値検出誤差を除去するので、残留搬送波周波数誤差および位相雑音によって生じる各検波信号の位相回転の累積量をさらに精度良く検出することができる。
【0371】
さらにまた、上述のようにして高精度に検出した残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量の情報を用いて、クロック周波数誤差によって各検波信号に生じる位相回転を予測演算するので、精度良くクロック周波数誤差によって各検波信号に生じる位相回転を求めることができる。
【0372】
すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であったクロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する各検波信号の位相回転に対する高精度な補正処理を行うことができる。
【0373】
(第39の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図39を参照して説明する。この形態は請求項17、請求項20、請求項25、請求項28、請求項31、請求項32、請求項33、請求項35、請求項37および請求項43に対応する。この形態は第38の実施の形態の変形例である。図39において、第38の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第38の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0374】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0375】
なお、この例でも図39のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図39のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。
【0376】
図39に示す位相累積値演算部3901には、位相差分演算回路3906、遅延回路3907および積分回路3908が備わっており、共通位相回転検出部3900には、シンボル内平均回路3808、位相回転累積値演算部3901、時間方向移動平均回路3810、ビットシフト回路3909および遅延補正回路3812が備わっている。
【0377】
フーリエ変換回路105が出力する各サブキャリア信号がチャネル推定回路106、同期検波回路107に入力されるとともに信号レベル情報抽出回路3903に入力されている。信号レベル情報抽出回路3903では、入力された各サブキャリア信号のうち全てあるいは一部のサブキャリア信号から、その信号レベルを抽出して出力する。信号レベル情報抽出回路3903から出力されたサブキャリア信号の信号レベル情報は、積分回路3904に入力される。積分回路3904は、信号レベル情報抽出回路3903が出力する各パイロット信号の信号レベル情報を各パイロット信号毎に時間方向に積分する。積分回路3904により積分された各パイロット信号の信号レベル情報はビットシフト回路3905に入力される。
【0378】
ビットシフト回路3905は、各パイロット信号の1個のOFDMシンボルあたりの信号レベルを算出するために、積分回路3904にて積分処理したOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表されるときに、積分回路3904から出力された各パイロット信号の信号レベル情報の積分値をNビットのビットシフトにより除算を行う。なお、このビットシフトは、積分回路3904にて積分処理したOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表される時にのみ行い、ビットシフト回路3905の出力を更新する。なお、シンボル数が2で表されないときは前回のビットシフトをしたときの結果をそのまま用いる。また、シンボル数が1の時はビットシフト回路3905は入力された信号をそのまま出力する。このような処理を行うと、パケットの前に行くほどビットシフト回路3905の出力が高い頻度で更新され、パケットの後ろに行くほどその更新頻度は低くなる。しかしながら、前述のように、各パイロット信号の信号レベルの積分値を利用して各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベルを算出することにより、パケットの後ろにいくほど精度良く熱雑音の成分を除去することが可能となる。従って、パケットの後ろの更新頻度を低くしても特性は劣化しない。また、ビットシフトを行うために必要な回路規模は一般に非常に小さいため、回路規模を大幅に低減することができる。ビットシフト回路3905によって算出された各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベル情報は重み付け回路3807に入力される。
【0379】
一方、シンボル内平均回路3808から出力される平均化処理後の高精度な位相回転量情報信号は位相差分演算回路3906に入力されるとともに遅延回路3907に入力される。遅延回路3907は、シンボル内平均回路3808から入力された平均化処理後の位相回転量情報信号を1OFDMシンボル期間だけ遅延させて出力する。遅延回路3907によって1OFDMシンボル分だけ遅延した各位相回転量情報信号は、位相差分演算回路3906に入力される。位相差分演算回路3906は、遅延回路3907から入力された1OFDMシンボル分だけ遅延した各位相回転量情報信号に対するシンボル内平均回路3808から入力された位相回転量情報信号の位相差を検出して位相差分信号を1OFDMシンボル毎に出力する。位相差分演算回路3906から出力された位相差分信号は、積分回路3908に入力される。積分回路3908は、位相差分演算回路3906から入力された位相差分信号を積分処理することにより、残留搬送波周波数誤差および位相雑音による累積位相回転量を算出して出力する。この累積位相回転量は、同期検波回路107から出力された当該OFDMシンボル中の各検波信号に含まれる残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因して生じた累積の位相回転量である。積分回路3908から出力された累積位相回転量信号は、時間方向移動平均回路3810に入力される。一方、時間方向移動平均回路3810から出力される移動平均後の累積の位相回転量情報はビットシフト回路3909に入力されるとともに遅延補正回路3812に入力される。
【0380】
ビットシフト回路3909は、時間方向移動平均回路3810から入力される移動平均後の累積の位相回転量情報に対して位相回転累積値演算部3901において累積処理したOFDMシンボル数から時間方向移動平均回路3810における移動平均処理により生じる遅延分を差し引いた数が2(N:自然数)で表されるときに、時間方向移動平均回路3810から入力される移動平均後の累積の位相回転量情報をNビットのビットシフトにより除算を行う。なお、このビットシフトは位相回転累積値演算部3901において累積処理したOFDMシンボル数から時間方向移動平均回路3810における移動平均処理により生じる遅延分を差し引いた数が2(N:自然数)で表されるときにのみ行い、ビットシフト回路3909の出力を更新する。なお、前述の数が2で表されないときは前回のビットシフトをしたときの結果をそのまま用いる。また、前述の数が1の時はビットシフト回路3909は入力された信号をそのまま出力する。ビットシフト回路3909から出力される残留搬送波周波数誤差に起因する1個のOFDMシンボルあたりの位相回転量情報は遅延補正回路3812に入力される。
【0381】
フェージングによる伝送路(チャネル)の状態が、パケット内でほとんど変化しないような場合、各サブキャリア信号の信号レベルは、各サブキャリア信号の信号レベルをサブキャリア毎に積分処理し、その積分値を、積分を行った回数すなわち積分を行ったOFDMシンボル数で除算することにより求めることができる。この場合、パケットの後ろに行くほど積分するOFDMシンボル数が増加するため、平滑化の効果すなわち雑音成分の抑圧効果が向上し、熱雑音の影響を効果的に低減することができる。従って、高精度に各サブキャリア信号の信号レベル情報を検出することができる。また、各サブキャリア信号の1個のOFDMシンボル当たりの信号レベルを求めるための除算をビットシフトによって実現するため、回路規模の増加を抑制することができる。さらに、ビットシフトは積分処理を行ったOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表されるときにのみ行うため、OFDMシンボル毎の動作が不要であり、また、パケットの後ろに行くほどビットシフト処理の頻度が少なくなるため、消費電力を著しく低減できる。すなわち、本例の装置は、パケット内でチャネル特性が1パケット期間内にほとんど変化しないような場合に、従来の装置では実現が困難であったクロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する各検波信号の位相回転に対する高精度な補正処理を、簡易な回路を用いて少ない消費電力で行うことができる。
【0382】
(第40の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図40を参照して説明する。この形態は請求項26、請求項27、請求項34、請求項35、請求項44、請求項46、請求項47、請求項48、請求項49および請求項50に対応する。この形態は第37の実施の形態の変形例である。図40において、第37の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第37の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0383】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0384】
なお、この例でも図40のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図40のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。
【0385】
なお、図40は残留搬送波周波数誤差による位相回転を検出するために用いる特定の少なくとも1つのOFDMシンボルの各サブキャリア信号が、例えばBPSKやQPSKのように、ある基準信号点から任意の基準信号点への遷移が符号の反転処理のみによって可能であるような変調方式によって変調されている場合の構成例である。
【0386】
図40に示す共通位相回転検出部4004にはシンボル内平均回路3503、位相累積値演算部3501、時間方向移動平均回路3507およびビットシフト回路4011が備わっている。
【0387】
同期処理回路4006は入力された複素ベースバンド信号の同期用プリアンブル信号を用いて搬送波周波数誤差およびシンボルタイミングを検出し、検出した搬送波周波数誤差情報を用いて受信処理後の複素ベースバンド信号に対して搬送波周波数誤差補正処理を行い出力するとともに、検出したシンボルタイミング情報信号および搬送波周波数誤差情報を出力する。同期処理回路4006から出力された搬送波周波数誤差補正処理後の信号およびシンボルタイミング情報信号はガードインターバル除去回路104に入力される。また、同期処理回路4006から出力された搬送波周波数誤差情報は位相回転予測回路4013に入力される。
【0388】
フーリエ変換回路105が出力する各サブキャリア信号がチャネル推定回路106、同期検波回路107に入力されるとともに信号レベル情報抽出回路4007に入力されている。信号レベル情報抽出回路4007では、入力された各サブキャリア信号のうち全てあるいは一部のサブキャリア信号から、その信号レベルを抽出して出力する。信号レベル情報抽出回路4007から出力されたサブキャリア信号の信号レベル情報は、積分回路4008に入力される。積分回路4008は、信号レベル情報抽出回路4007が出力する各パイロット信号の信号レベル情報を各パイロット信号毎に時間方向に積分する。積分回路4008により積分された各パイロット信号の信号レベル情報はビットシフト回路4009に入力される。
【0389】
ビットシフト回路4009は、各パイロット信号の1個のOFDMシンボルあたりの信号レベルを算出するために、積分回路4008にて積分処理したOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表されるときに、積分回路4008から出力された各パイロット信号の信号レベル情報の積分値をNビットのビットシフトにより除算を行う。なお、このビットシフトは、積分回路4008にて積分処理したOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表される時にのみ行い、ビットシフト回路4009の出力を更新する。なお、シンボル数が2で表されないときは前回のビットシフトをしたときの結果をそのまま用いる。また、シンボル数が1の時はビットシフト回路4009は入力された信号をそのまま出力する。このような処理を行うと、パケットの前に行くほどビットシフト回路4009の出力が高い頻度で更新され、パケットの後ろに行くほどその更新頻度は低くなる。しかしながら、前述のように、各パイロット信号の信号レベルの積分値を利用して各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベルを算出することにより、パケットの後ろにいくほど精度良く熱雑音の成分を除去することが可能となる。従って、パケットの後ろの更新頻度を低くしても特性は劣化しない。また、ビットシフトを行うために必要な回路規模は一般に非常に小さいため、回路規模を大幅に低減することができる。ビットシフト回路4009によって算出された各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベル情報は重み付け回路1803に入力されるとともに重み付け回路3502に入力される。
【0390】
一方、位相回転検出回路3102から出力される位相回転量情報信号はクロック周波数誤差低減回路4010に入力される。また、位相回転予測回路4013から出力されるクロック周波数誤差に起因するパイロット信号に相当する各サブキャリアの位相回転情報もクロック周波数誤差低減回路4010に入力される。クロック周波数誤差低減回路4010は、位相回転予測回路4013から入力されるクロック周波数誤差に起因する各サブキャリアの位相回転情報に基づいて位相回転検出回路3102から入力される位相回転量情報信号に含まれるクロック周波数誤差による位相回転を除去する。クロック周波数誤差低減回路4010から出力されるクロック周波数誤差による位相回転除去後の位相回転量情報信号は重み付け回路3502に入力される。重み付け回路3502は、ビットシフト回路4009から入力される各パイロット信号の1OFDMシンボル当たりの信号レベル情報に基づいてクロック周波数誤差低減回路4010から入力されたクロック周波数誤差による位相回転除去後の位相回転量情報信号に対して重み付けを行い出力する。この重み付けにより、フェージング等によって情報の信頼度が低下している位相回転量情報を用いることにより生じる悪影響を抑制することができる。重み付け回路3502から出力された重み付け後の各サブキャリアの位相回転量情報信号はシンボル内平均回路3503に入力される。
【0391】
一方、時間方向移動平均回路3507から出力される移動平均後の累積の位相回転量情報はビットシフト回路4011に入力されるとともに遅延補正回路4012に入力される。
【0392】
ビットシフト回路4011は、時間方向移動平均回路3507から入力される移動平均後の累積の位相回転量情報に対して位相回転累積値演算部3501において累積処理したOFDMシンボル数から時間方向移動平均回路3507における移動平均処理により生じる遅延分を差し引いた数が2(N:自然数)で表されるときに、時間方向移動平均回路3507から入力される移動平均後の累積の位相回転量情報をNビットのビットシフトにより除算を行う。なお、このビットシフトは位相回転累積値演算部3501において累積処理したOFDMシンボル数から時間方向移動平均回路3507における移動平均処理により生じる遅延分を差し引いた数が2(N:自然数)で表されるときにのみ行い、ビットシフト回路4011の出力を更新する。なお、前述の数が2で表されないときは前回のビットシフトをしたときの結果をそのまま用いる。また、前述の数が1の時はビットシフト回路4011は入力された信号をそのまま出力する。ビットシフト回路4011から出力される残留搬送波周波数誤差に起因する1個のOFDMシンボルあたりの位相回転量情報は遅延補正回路4012に入力される。
【0393】
遅延補正回路4012は、ビットシフト回路4011から入力される残留搬送波周波数誤差に起因する1個のOFDMシンボルあたりの位相回転量情報を用いて時間方向移動平均回路3507から入力される移動平均後の累積の位相回転量情報に含まれる前述の移動平均処理に起因する遅延によって生じる遅延誤差を補正し、当該OFDMシンボルの各サブキャリア信号に含まれる残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転の累積量を求める。遅延誤差補正後の累積の位相回転情報が遅延補正回路4012から出力される。遅延補正回路4012から出力される遅延誤差補正後の累積の位相回転量情報は加算回路4014に入力される。
【0394】
一方、位相回転予測回路4013は、同期処理回路4006から入力された搬送波周波数誤差情報および選択回路3106から入力された残留搬送波周波数誤差情報を用いてクロック周波数誤差に起因する位相回転の情報を予測演算し、予測演算された位相回転情報を出力する。位相回転予測回路4013から出力されるクロック周波数誤差に起因する位相回転の情報がクロック周波数誤差低減回路4010に入力されるとともに加算回路4014に入力される。加算回路4014は、遅延補正回路4012から入力される残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転の累積量と、位相回転予測回路4013から入力されるクロック周波数誤差に起因する位相回転情報を加算することにより、クロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転情報を出力する。加算回路4014から出力されるクロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転情報は位相回転補正回路4015に入力される。位相回転補正回路4015は、加算回路4014から入力されるクロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転情報に基づいて、同期検波回路107から入力される各検波信号に含まれるクロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する位相回転の補正を行う。位相回転補正回路4015から出力される位相回転補正後の各検波信号は識別回路112に入力される。
【0395】
フェージングによる伝送路(チャネル)の状態が、パケット内でほとんど変化しないような場合、各サブキャリア信号の信号レベルは、各サブキャリア信号の信号レベルをサブキャリア毎に積分処理し、その積分値を、積分を行った回数すなわち積分を行ったOFDMシンボル数で除算することにより求めることができる。この場合、パケットの後ろに行くほど積分するOFDMシンボル数が増加するため、平滑化の効果すなわち雑音成分の抑圧効果が向上し、熱雑音の影響を効果的に低減することができる。従って、高精度に各サブキャリア信号の信号レベル情報を検出することができる。また、各サブキャリア信号の1個のOFDMシンボル当たりの信号レベルを求めるための除算をビットシフトによって実現するため、回路規模の増加を抑制することができる。さらに、ビットシフトは積分処理を行ったOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表されるときにのみ行うため、OFDMシンボル毎の動作が不要であり、また、パケットの後ろに行くほどビットシフト処理の頻度が少なくなるため、消費電力を著しく低減できる。
【0396】
また、位相回転検出回路が出力するパイロット信号の位相回転量の情報に含まれているクロック周波数誤差に起因するサブキャリア毎に異なる位相回転成分の除去を行うとともに、サブキャリア毎の通信品質に応じた重み付けを行うことによって、第二の共通位相回転検出手段における各サブキャリア共通の位相回転量の検出精度が向上する。
【0397】
さらに、時間方向移動平均手段から出力される位相回転の累積量を累積を行ったOFDMシンボル数で除算処理することによって残留搬送波周波数誤差により生じる1OFDMシンボルあたりの位相回転量を高精度に算出し、この算出結果に基づいて時間方向移動平均処理時に生じる位相回転累積値検出誤差を除去するので、残留搬送波周波数誤差および位相雑音によって生じる各検波信号の位相回転累積量の検出精度が向上する。
【0398】
さらにまた、残留搬送波周波数誤差により生じる1OFDMシンボルあたりの位相回転量を算出する際の除算処理をビットシフトによって実現するため、回路規模の増加を抑制することができる。さらに、ビットシフトは累積処理を行ったOFDMシンボル数が2(N:自然数)で表されるときにのみ行うため、OFDMシンボル毎の動作が不要であり、また、パケットの後ろに行くほどビットシフト処理の頻度が少なくなるため、消費電力を著しく低減できる。
【0399】
また、上述のようにして高精度に検出した残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量の情報を用いて、クロック周波数誤差によって各検波信号に生じる位相回転を予測演算するので、精度良くクロック周波数誤差によって各検波信号に生じる位相回転を求めることができる。
【0400】
すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であったクロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差および位相雑音に起因する各検波信号の位相回転に対する高精度な補正処理を、簡易な回路を用いて少ない消費電力で行うことができる。
【0401】
(第41の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図41を参照して説明する。この形態は請求項26、請求項44、請求項46、請求項47、請求項49および請求項51に対応する。この形態は第37の実施の形態の変形例である。図41において、第37の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第37の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0402】
この形態では、受信したOFDM信号に含まれる多数のサブキャリアのうち一部分(複数)のサブキャリアを用いて、既知信号であるパイロット信号を伝送する場合を想定している。
【0403】
なお、図41は残留搬送波周波数誤差による位相回転を検出するために用いる特定の少なくとも1つのOFDMシンボルの各サブキャリア信号が、例えばBPSKやQPSKのように、ある基準信号点から任意の基準信号点への遷移が符号の反転処理のみによって可能であるような変調方式によって変調されている場合の構成例である。
【0404】
図41に示す共通位相回転検出部4100にはシンボル内平均回路3503、位相差分演算回路3504、遅延回路3505および時間方向移動平均回路4101が備わっている。
【0405】
位相差分演算回路3504から出力された位相差分信号は、時間方向移動平均回路4101に入力される。この位相差分信号は、残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を1OFDMシンボル毎に出力した信号になっている。時間方向移動平均回路4101は、位相差分演算回路3504から入力された位相差分信号を複数OFDMシンボルに渡って時間方向に移動平均処理を行い出力する。この移動平均処理によって、受信回路102において付加される熱雑音等の影響を抑制することができ、残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を精度良く得ることができる。時間方向移動平均回路4101から出力された移動平均処理後の残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量信号は、選択回路3106に入力される。
【0406】
すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であった残留搬送波周波数誤差による位相回転に対する高精度な補正処理を実現することができる。
【0407】
(第42の実施の形態)
この形態のOFDMパケット通信用受信装置について、図42を参照して説明する。この形態は請求項17および請求項36に対応する。この形態は第17の実施の形態の変形例である。図42において、第17の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。第17の実施の形態と同一の部分については、以下の説明を省略する。
【0408】
なお、この例でも図42のOFDMパケット通信用受信装置が受信するOFDM信号を送信する送信装置において、搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期していることを想定している。また、図42のOFDMパケット通信用受信装置は、受信側における搬送波周波数とサンプリングクロックの周波数とが同期するように制御する。
【0409】
図42に示す残留搬送波周波数誤差検出部4200には、位相回転量情報抽出回路1701および共通位相回転検出部4201が備わっており、共通位相回転検出部4201には、シンボル内平均回路4202、位相差分演算回路4203、遅延回路4204および時間方向移動平均回路4205が備わっている。
【0410】
位相回転量情報抽出回路1701によって検出された位相回転量情報信号は、シンボル内平均回路4202に入力される。シンボル内平均回路4202は、位相回転量情報抽出回路1701から入力された位相回転量情報信号に対し、1OFDMシンボル内で平均化処理を行う。シンボル平滑化回路4202から出力された平滑化後の位相回転量情報信号は位相差分演算回路4203に入力されるとともに遅延回路4204に入力される。遅延回路4204は、シンボル内平均回路4202から入力された平均化処理後の位相回転量情報信号を1OFDMシンボル期間だけ遅延させて出力する。遅延回路4204によって1OFDMシンボル分だけ遅延した各位相回転量情報信号は、位相差分演算回路4203に入力される。位相差分演算回路4203は、遅延回路4204から入力された1OFDMシンボル分だけ遅延した各位相回転量情報信号に対するシンボル内平均回路4202から入力された位相回転量情報信号の位相差を検出して位相差分信号を1OFDMシンボル毎に出力する。位相差分演算回路4203から出力された位相差分信号は、時間方向移動平均回路4205に入力される。なお、この位相差分信号は、残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を1OFDMシンボル毎に出力した信号になっている。時間方向移動平均回路4205は、位相差分演算回路4203から入力された位相差分信号を複数OFDMシンボルに渡って時間方向に移動平均処理を行い出力する。この移動平均処理によって、受信回路102において付加される熱雑音等の影響を抑制することができ、残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を精度良く得ることができる。時間方向移動平均回路4205から出力された移動平均処理後の残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量信号は、位相回転予測回路903に入力される。
【0411】
すなわち、本例の装置は、従来の装置では実現が困難であったクロック周波数誤差による位相回転に対する高精度な補正処理を実現することができる。また、上述したようなクロック周波数誤差に対する補正処理はディジタル処理によって実現できるので、構成の複雑なアナログ補正回路を設ける必要が無く、消費電力の増加を抑制することができる。
【0412】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、送信側装置のサンプリングクロック周波数と受信側装置のサンプリングクロック周波数との間にずれが存在する場合であっても簡易なディジタル回路によって高精度にOFDM信号を復調することができる。また、送受間の搬送波周波数にずれがある場合や受信信号に位相雑音が付加されている場合であっても簡易な回路によって小さな処理遅延で高精度にOFDM信号を復調することができる。さらに、受信側装置において受信信号に熱雑音が付加される場合であっても、簡易な回路によって伝送効率を低下させずに伝送品質の劣化を抑制することができる。
【0413】
また、チャネル推定結果を利用して重み付けを行いさらに平滑化を行った情報を用いて同期検波後の各サブキャリア信号の位相回転を検出することにより、フェージングや熱雑音等の影響を受けにくくなる。
【0414】
また、既知信号であるパイロット信号を利用してクロック周波数誤差による位相回転量あるいは位相回転累積量を検出することにより、位相回転を検出する回路の構成が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第2の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第3の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第4の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第5の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第6の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第7の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第8の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図9】第9の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】第10の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第11の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図12】第12の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図13】第13の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図14】第14の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図15】第15の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図16】第16の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図17】第17の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図18】第18の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図19】第19の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図20】第20の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図21】第21の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図22】第22の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図23】第23の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図24】第24の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図25】第25の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図26】第26の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図27】第27の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図28】第28の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図29】第29の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図30】第30の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図31】第31の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図32】第32の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図33】第33の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図34】第34の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図35】第35の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図36】第36の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図37】第37の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図38】第38の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図39】第39の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図40】第40の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図41】第41の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図42】第42の実施の形態のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図43】従来のOFDMパケット通信用受信装置の構成を示すブロック図である。
【図44】OFDM信号のパケットフォーマットを示す。
【図45】16QAM変調の場合の信号の例を示すグラフである。
【図46】BPSK変調の場合の信号の例を示すグラフである。
【符号の説明】
100、200、300、400 クロック周波数誤差推定部
101 アンテナ
102 受信回路
103 同期処理回路
104 ガードインターバル除去回路
105 フーリエ変換回路
106 チャネル推定回路
107 同期検波回路
108、203、302、404、501、603 位相回転検出回路
109 位相回転補正回路
110、303、405、502、703 クロック周波数誤差予測回路
111、503 位相回転演算回路
112 識別回路
201、402、601、802 重み付け回路
202、403、602、803 平滑化回路
301、401、701、801 パイロット信号抽出回路
500、600、700、800 クロック周波数誤差推定部
702、804 位相回転検出回路
805 クロック周波数誤差予測回路

Claims (51)

  1. OFDM信号を受信して所定の受信処理を行う受信手段(102)と、前記受信手段が出力する受信信号に対してタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理を行う同期処理手段(103)と、前記同期処理手段によってタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理された受信信号をフーリエ変換を用いて各サブキャリア毎の信号に分離するフーリエ変換手段(105)と、
    前記フーリエ変換手段によって分離された各サブキャリア信号を用いてチャネル特性の推定を行うチャネル推定手段(106)と、
    前記チャネル推定手段によって得られたチャネル特性の推定結果を用いて前記フーリエ変換手段によって分離されたサブキャリア信号に対し同期検波処理を行い検波信号を出力する同期検波手段(107)とを備えるOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記同期検波手段によって出力された検波信号のうち全てあるいは一部の検波信号を用いて送信側と受信側の間のクロック周波数誤差による位相回転量あるいは位相回転累積量を検波信号(R1、R2)の位相と基準信号(S1〜S16)の位相との差により検出し、クロック周波数誤差(fRCLK−fTCLK)による各サブキャリア信号の位相回転情報(Δθ)を生成するクロック周波数誤差推定手段(100)と、
    前記クロック周波数誤差推定手段から出力されたクロック周波数誤差に応じた情報に基づいて、前記同期検波手段から出力された検波信号に対してクロック周波数誤差による位相回転を補正する位相回転補正手段(109)と
    を備え、該位相回転補正手段(109)の出力をシンボル毎に識別することを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  2. 請求項1のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記クロック周波数誤差推定手段が、前記チャネル推定手段によって推定されたチャネル特性から得られる各サブキャリア信号の品質情報に基づいて前記同期検波手段から出力された全てあるいは一部の検波信号の基準信号からの位相回転量情報に対して重み付けするとともに、時間方向に平滑化を行い、重み付けおよび平滑化された該位相回転量情報に基づいてクロック周波数誤差による位相回転量あるいは位相回転累積量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  3. 請求項1のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記クロック周波数誤差推定手段は前記同期検波手段から出力される検波信号に含まれるパイロット信号に相当する信号成分のクロック周波数誤差による位相回転量あるいは位相回転累積量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  4. 請求項1のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記クロック周波数誤差推定手段が、前記チャネル推定手段によって推定されたチャネル特性から得られる各サブキャリア信号の品質情報に基づいて前記同期検波手段から出力される検波信号に含まれるパイロット信号に相当する信号の基準信号からの位相回転量情報に対して重み付けするとともに、時間方向に平滑化を行い、重み付け及び平滑化された該位相回転量情報に基づいてクロック周波数誤差による位相回転量あるいは位相回転累積量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  5. OFDM信号を受信して所定の受信処理を行う受信手段と、前記受信手段が出力する受信信号に対してタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理を行う同期処理手段と、前記同期処理手段によってタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理された受信信号をフーリエ変換を用いて各サブキャリア毎の信号に分離するフーリエ変換手段とを備えるOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記フーリエ変換手段によって分離された各サブキャリア信号を用いてチャネル特性の推定を行うチャネル推定手段と、
    前記チャネル推定手段によって得られたチャネル特性の推定結果に基づき、前記フーリエ変換手段によって分離されたサブキャリア信号に対して同期検波処理を行い検波信号を出力する同期検波手段と、
    前記同期検波手段が出力する検波信号に対してクロック周波数誤差により生じる位相回転を補正する位相回転補正手段と、
    前記位相回転補正手段から出力される位相回転補正後の検波信号のうち全てあるいは一部の信号に基づいてクロック周波数誤差による位相回転量を検出し、クロック周波数誤差による各サブキャリア信号の位相回転情報を生成してこの位相回転情報を前記位相回転補正手段に与えるクロック周波数誤差推定手段と
    を備えたことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  6. 請求項5のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記クロック周波数誤差推定手段が、前記チャネル推定手段によって推定されたチャネル特性から得られる各サブキャリア信号の品質情報に基づいて前記同期検波手段から出力される全てあるいは一部の検波信号の基準信号からの位相回転量情報に対して重み付けするとともに、時間方向に対して平滑化を行い、重み付けおよび平滑化された該位相回転量情報に基づいてクロック周波数誤差による位相回転量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  7. 請求項5に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記クロック周波数誤差推定手段が、前記位相回転補正手段から出力される位相回転補正後の検波信号に含まれるパイロット信号に相当する信号成分に基づいて、クロック周波数誤差による位相回転量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  8. 請求項5のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記クロック周波数誤差推定手段が、前記チャネル推定手段によって推定されたチャネル特性から得られる各サブキャリア信号の品質情報に基づいて、前記位相回転補正手段から出力される位相回転補正後の検波信号に含まれるパイロット信号に相当する信号の基準信号からの位相回転量情報に対して重み付けするとともに、時間方向に対して平滑化を行い、重み付けおよび平滑化された該位相回転量情報に基づいて、クロック周波数誤差による位相回転量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  9. OFDM信号を受信して所定の受信処理を行う受信手段と、前記受信手段が出力する受信信号に対してタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理を行い同期後の信号および搬送波周波数誤差情報を出力する同期処理手段と、前記同期処理手段によってタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理された信号をフーリエ変換を用いて各サブキャリア毎の信号に分離するフーリエ変換手段とを備えたOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記フーリエ変換手段によって分離された各サブキャリア信号を用いてチャネル特性の推定を行うチャネル推定手段と、
    前記チャネル推定手段によって得られたチャネル特性の推定結果を用いて前記フーリエ変換手段によって分離されたサブキャリア信号に対し同期検波処理を行い検波信号を出力する同期検波手段と、
    前記同期検波手段から出力される検波信号の全てあるいは一部の検波信号の残留搬送波周波数誤差による位相回転量を検出し、残留搬送波周波数誤差情報を生成する残留搬送波周波数誤差推定手段と、
    前記同期処理手段から出力される搬送波周波数誤差情報と前記残留搬送波周波数誤差推定手段から出力される残留搬送波周波数誤差情報とに基づいて、前記同期検波手段から出力される検波信号のクロック周波数誤差による位相回転量を予測し位相回転情報を生成する位相回転予測手段と、
    前記位相回転予測手段から出力される位相回転情報に基づいて、前記同期検波手段から出力される検波信号に対しクロック周波数誤差により生じる位相回転を補正する位相回転補正手段と
    を備えたことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  10. 請求項9のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記残留搬送波周波数誤差推定手段が、前記チャネル推定手段によって推定されたチャネル特性から得られる各サブキャリア信号の品質情報に基づいて、前記同期検波手段から出力される全てあるいは一部の検波信号の基準信号点からの位相回転量情報に対して重み付けするとともに、時間方向に平滑化を行い、重み付けおよび平滑化された該位相回転量情報に基づいて残留搬送波周波数誤差による位相回転量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  11. 請求項9のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記残留搬送波周波数誤差推定手段が、前記同期検波手段から出力される検波信号のうちパイロット信号に相当する信号成分に基づいて残留搬送波周波数誤差による位相回転量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  12. 請求項9のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記残留搬送波周波数誤差推定手段が、前記同期検波手段から出力される検波信号のうちパイロット信号に相当する信号の基準信号からの位相回転量情報に対して、前記チャネル推定手段によって推定されたチャネル特性から得られる各サブキャリア信号の品質情報に基づいて重み付けするとともに時間方向に平滑化を行い、重み付けおよび平滑化された該位相回転量情報に基づいて残留搬送波周波数誤差による位相回転量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  13. OFDM信号を受信して所定の受信処理を行う受信手段と、前記受信手段が出力する受信信号に対してタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理を行い同期後の信号および搬送波周波数誤差情報を出力する同期処理手段と、前記同期処理手段によってタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理された信号をフーリエ変換を用いて各サブキャリア毎の信号に分離するフーリエ変換手段とを備えたOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記フーリエ変換手段によって分離された各サブキャリア信号を用いてチャネル特性の推定を行うチャネル推定手段と、
    前記チャネル推定手段から得られるチャネル特性の推定結果を用いて前記フーリエ変換手段により分離されたサブキャリア信号に対し同期検波処理を行い検波信号を出力する同期検波手段と、
    前記同期処理手段から出力される搬送波周波数誤差情報を用いて各サブキャリア信号のクロック周波数誤差による位相回転を予測し位相回転情報を生成する第一の位相回転予測手段と、
    前記第一の位相回転予測手段から出力される位相回転情報を用いて前記同期検波手段から出力される検波信号に対しクロック周波数誤差により生じる位相回転を補正する第一の位相回転補正手段と、
    前記第一の位相回転補正手段から出力される位相回転補正後の信号の全てあるいは一部の検波信号の残留搬送波周波数誤差による位相回転量を検出し残留搬送波周波数誤差情報を生成する残留搬送波周波数誤差推定手段と、
    前記残留搬送波周波数誤差推定手段から出力される残留搬送波周波数誤差情報を用いて前記第一の位相回転補正手段から出力される検波信号のクロック周波数誤差による残留位相回転量を予測し残留位相回転情報を生成する第二の位相回転予測手段と、
    前記第二の位相回転予測手段から出力される残留位相回転情報を用いて前記第一の位相回転補正手段から出力される位相回転補正後の信号に対しクロック周波数誤差により生じる残留位相回転を補正する第二の位相回転補正手段と
    を備えたことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  14. 請求項13のOFDMパケット通信用受信装置において、前記残留搬送波周波数誤差推定手段が、前記チャネル推定手段が推定したチャネル特性から得られる各サブキャリア信号の品質情報に基づいて、前記第一の位相回転補正手段から出力される位相回転補正後の全てあるいは一部の検波信号の基準信号からの位相回転量情報に対して重み付けするとともに、時間方向に平滑化を行い、重み付けおよび平滑化された該位相回転量情報から残留搬送波周波数誤差による位相回転量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  15. 請求項13のOFDMパケット通信用受信装置において、前記残留搬送波周波数誤差推定手段が、前記第一の位相回転補正手段から出力される位相回転補正後の信号のうち、パイロット信号に相当する信号成分に基づいて残留搬送波周波数誤差による位相回転量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  16. 請求項13のOFDMパケット通信用受信装置において、前記残留搬送波周波数誤差推定手段が、前記第一の位相回転補正手段から出力される位相回転補正後の検波信号のうち、パイロット信号に相当する信号の基準信号からの位相回転量情報に対して、前記チャネル推定手段が推定したチャネル特性から得られる各サブキャリア信号の品質情報に基づいて重み付けするとともに、時間方向に検波信号の平滑化を行い、重み付けおよび平滑化された検波信号から残留搬送波周波数誤差による位相回転量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  17. 請求項9あるいは請求項13に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記残留搬送波周波数誤差推定手段が、前記残留搬送波周波数誤差推定手段に入力される検波信号の全てあるいは一部の検波信号から位相回転量情報を抽出する位相回転量情報抽出手段と、
    前記位相回転量情報抽出手段によって抽出される各検波信号の位相回転量情報に基づいて残留搬送波周波数誤差に起因する各サブキャリア信号に共通な位相回転量を検出する共通位相回転検出手段と
    を備えたことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  18. OFDM信号を受信して所定の受信処理を行う受信手段と、前記受信手段が出力する受信信号に対してタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理を行い同期後の信号を出力する同期処理手段と、前記同期処理手段によってタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理された信号をフーリエ変換を用いて各サブキャリア毎の信号に分離するフーリエ変換手段とを備えるOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記フーリエ変換手段によって分離された各サブキャリア信号を用いてチャネル特性の推定を行うチャネル推定手段と、
    前記チャネル推定手段によって得られたチャネル特性の推定結果を用いて前記フーリエ変換手段によって分離されたサブキャリア信号に対し同期検波処理を行い検波信号を出力する同期検波手段と、
    前記同期検波手段から出力される検波信号のうち全てあるいは一部の検波信号から位相回転量情報を抽出する位相回転量情報抽出手段と、
    前記フーリエ変換手段によって分離された各サブキャリア信号のうち全てあるいは一部の検波信号の品質情報を抽出する品質情報抽出手段と、
    前記品質情報抽出手段から得られた各検波信号の品質情報を各サブキャリア毎に時間方向に平滑化を行う品質情報平滑化手段と、
    前記品質情報平滑化手段から得られる各検波信号の時間方向に平滑化された品質情報に基づいて前記位相回転量情報抽出手段から出力される位相回転量情報に対し重み付けを行う重み付け手段と、
    前記重み付け手段によって重み付けされた各検波信号の位相回転量情報に基づいて前記同期検波手段から出力された検波信号の残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転量を推定する共通位相回転検出手段と、
    前記共通位相回転検出手段により推定された位相回転量に基づいて前記同期検波手段から出力される検波信号に対し位相補正を行う位相回転補正手段と
    を設けたことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  19. 請求項18に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記共通位相回転検出手段が、
    前記共通位相回転検出手段に入力される位相回転量情報に対して1OFDMシンボル内で平均化処理を行うシンボル内平均手段と、
    前記シンボル内平均手段によって出力される平均化処理された位相回転量情報を時間方向に移動平均処理する時間方向移動平均手段とから構成されることを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  20. 請求項17あるいは請求項18に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記位相回転量情報抽出手段が、前記位相回転量情報抽出手段に入力される検波信号のうちパイロット信号に相当する検波信号を抽出するパイロット信号抽出手段と、前記パイロット信号抽出手段によって抽出された検波信号に対応する基準信号を出力する基準信号出力手段と、前記基準信号出力手段の出力する基準信号に基づいて前記パイロット信号抽出手段によって出力される検波信号に含まれる位相回転を検出する位相回転検出手段とで構成されることを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  21. 請求項17あるいは請求項18に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記位相回転量情報抽出手段が、前記位相回転量情報抽出手段に入力される検波信号のうちあらかじめ定めた特定のOFDMシンボル内の検波信号を抽出する特定シンボル信号抽出手段と、前記特定シンボル信号抽出手段によって抽出された検波信号に対応する基準信号を出力する基準信号出力手段と、前記基準信号出力手段の出力する基準信号に基づいて前記特定シンボル信号抽出手段によって出力される検波信号に含まれる位相回転を検出する位相回転検出手段とで構成されることを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  22. 請求項21に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記基準信号出力手段が、前記特定シンボル信号抽出手段が抽出する特定のOFDMシンボル内の検波信号を硬判定する硬判定手段で構成されることを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  23. 請求項20および請求項21のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記位相回転検出手段が、逆変調を行うことにより位相回転を検出する逆変調手段で構成されることを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  24. 請求項20および請求項21のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記位相回転検出手段が、前記基準信号出力手段の出力する基準信号に基づいて符号反転制御を行うことにより位相回転を検出する符号反転制御手段で構成されることを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  25. 請求項17に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記チャネル推定手段によって得られた各サブキャリアのチャネル特性の推定結果を用いて各サブキャリア信号の信号品質に応じた重み係数を演算する重み係数演算手段と、
    前記重み係数手段により得られた各サブキャリアの重み係数に基づいて前記位相回転量情報抽出手段により出力される位相回転量情報に重み付けを行う重み付け手段を備え、
    前記共通位相回転検出手段が、前記重み付け手段によって出力される各検波信号の位相回転量情報に基づいて残留搬送波周波数誤差に起因する各サブキャリア信号に共通な位相回転量を検出すること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  26. OFDM信号を受信して所定の受信処理を行う受信手段と、前記受信手段が出力する受信信号に対してタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理を行い同期後の信号および搬送波周波数誤差情報を出力する同期処理手段と、前記同期処理手段によってタイミング同期処理および搬送波周波数同期処理された信号をフーリエ変換を用いて各サブキャリア毎の信号に分離するフーリエ変換手段とを備えたOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記フーリエ変換手段によって分離された各サブキャリア信号を用いてチャネル特性の推定を行うチャネル推定手段と、
    前記チャネル推定手段によって得られた各サブキャリアのチャネル特性の推定結果を用いて前記フーリエ変換手段によって分離されたサブキャリア信号に対しサブキャリア毎に同期検波処理を行い検波信号を出力する同期検波手段と、
    前記同期検波手段によって出力された検波信号からあらかじめ定められる少なくとも1つのOFDMシンボルに含まれる検波信号を抽出し出力する特定シンボル抽出手段と、
    前記特定シンボル抽出手段によって抽出された検波信号を硬判定し判定結果を出力する硬判定手段と、
    前記硬判定手段から出力された硬判定結果に基づいて前記特定シンボル抽出手段から出力された検波信号に含まれる位相回転を検出する第一の位相回転検出手段と、
    前記チャネル推定手段によって得られた各サブキャリアのチャネル特性の推定結果を用いて各サブキャリア信号の信号品質に応じた重み係数を演算する重み係数演算手段と、
    前記重み係数演算手段により得られた各サブキャリアの重み係数に基づいて前記第一の位相回転検出手段によって検出された位相回転量に対し重み付けを行う重み付け手段と、
    前記重み付け手段から出力される位相回転量情報に基づいて残留搬送波周波数誤差に起因する各サブキャリア信号に共通な位相回転量を検出する第一の共通位相回転検出手段と、
    前記同期検波手段によって出力された検波信号からパイロット信号に相当する検波信号を抽出し出力するパイロット信号抽出手段と、
    前記パイロット信号抽出手段によって抽出された検波信号に対応する基準信号を出力する基準信号出力手段と、
    前記基準信号出力手段の出力する基準信号に基づいて前記パイロット信号抽出手段によって出力される検波信号に含まれる位相回転を検出する第二の位相回転検出手段と、
    前記第二の位相回転検出手段から出力される位相回転量情報に基づいて残留搬送波周波数誤差に起因する各サブキャリア信号に共通な位相回転量を検出する第二の共通位相回転検出手段と、
    前記第一の共通位相回転検出手段から出力される各サブキャリア信号に共通な位相回転量と前記第二の共通位相回転検出手段から出力される各サブキャリア信号に共通な位相回転量のうち前記同期検波手段から出力された検波信号のOFDMシンボル相当数に応じてどちらか一方を選択して出力する選択手段と、
    前記選択手段によって選択された位相回転量に基づいて前記同期検波手段から出力された検波信号の残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転量を推定する位相回転量推定手段と、
    前記位相回転推定手段から出力される位相回転情報に基づいて、前記同期検波手段から出力される検波信号の位相回転を補正する位相回転補正手段と
    を備えたことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  27. 請求項26のOFDMパケット通信用受信装置において、送信側装置および受信側装置ともに搬送波周波数とクロック周波数がそれぞれ同期しており、
    前記同期処理手段から出力される搬送波周波数誤差情報と前記選択手段から出力される残留搬送波周波数誤差に起因する位相回転量情報に基づいて前記同期検波手段から出力される検波信号のクロック周波数誤差に起因する位相回転量を予測演算する位相回転予測手段を備え、
    前記位相補正手段が、前記位相回転予測手段から出力される位相回転量に基づいて前記同期検波手段から出力される検波信号の位相回転を補正することを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  28. 請求項25あるいは請求項26あるいは請求項27に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記フーリエ変換手段によって分離された各サブキャリア信号のうち全てあるいは一部の検波信号の品質情報を抽出する品質情報抽出手段と、
    前記品質情報抽出手段から得られた各検波信号の品質情報を各サブキャリア毎に時間方向に平滑化を行う品質情報平滑化手段とを備え、
    前記重み付け手段は前記品質情報平滑化手段から得られる各検波信号の時間方向に平滑化された品質情報に基づいて、入力される位相回転量情報に対し重み付けを行うことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  29. 請求項18および請求項28のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記品質情報平滑化手段が、
    前記品質情報抽出手段によって得られた各検波信号の品質情報をサブキャリア毎に時間方向に移動平均化を行うこと
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  30. 請求項18および請求項28のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記品質情報平滑化手段が、
    前記品質情報抽出手段によって得られた各検波信号の品質情報をそれぞれ時間方向に積分するとともに該積分を行った信号数で除算を行うこと
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  31. 請求項18および請求項28のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記品質情報平滑化手段が、
    前記品質情報抽出手段によって得られた各検波信号の品質情報をそれぞれ時間方向に積分するとともに該積分を行った信号数が2(N:自然数)で表される時にNビットのビットシフトにより除算を行うこと
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  32. 請求項25あるいは請求項28に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記位相回転予測手段によって生成される位相回転情報に基づいて前記位相回転量情報抽出手段が出力する位相回転量情報に含まれるクロック周波数誤差による位相回転の補正を行うクロック周波数誤差低減手段を備え、
    前記重み付け手段が、前記クロック周波数誤差低減手段によって位相回転補正された位相回転量情報対して重み付けを行うことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  33. 請求項17あるいは請求項20に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記共通位相回転検出手段が、
    前記位相回転情報抽出手段によって出力される位相回転量情報に対して1OFDMシンボル内で平均化処理を行うシンボル内平均手段と、
    前記シンボル内平均手段によって平均化処理される位相回転量情報に基づいてチャネル推定時からの位相回転の累積量を演算する位相回転累積値演算手段と、前記位相回転累積値演算手段によって出力される位相回転の累積量を時間方向に移動平均処理する時間方向移動平均手段と、
    前記時間方向移動平均手段によって移動平均処理される位相回転の累積値を該累積を行ったシンボル数から前記時間方向移動平均手段における移動平均処理により生じる遅延シンボル数を差し引いた数で除算を行い残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を演算する除算手段と
    を備えたことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  34. 請求項26あるいは請求項27に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記第二の共通位相回転検出手段が、
    前記第二の位相回転検出手段によって出力される位相回転量情報に対して1OFDMシンボル内で平均化処理を行うシンボル内平均手段と、
    前記シンボル内平均手段によって平均化処理される位相回転量情報に基づいてチャネル推定時からの位相回転の累積量を演算する位相回転累積値演算手段と、前記位相回転累積値演算手段によって出力される位相回転の累積量を時間方向に移動平均処理する時間方向移動平均手段と、
    前記時間方向移動平均手段によって移動平均処理される位相回転の累積値を該累積を行ったシンボル数から前記時間方向移動平均手段における移動平均処理により生じる遅延シンボル数を差し引いた数で除算を行い残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を演算する除算手段と
    を備えたことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  35. 請求項33あるいは請求項34に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記位相回転累積値演算手段が、前記シンボル内平均手段によって平均化処理される位相回転量情報を1OFDMシンボル分遅延させる遅延手段と、
    前記シンボル内平均手段によって平均化処理される位相回転量情報と前記遅延手段によって1OFDMシンボル分遅延した位相回転量情報の差分を演算して1OFDMシンボル毎の位相回転量を演算する位相差分演算手段と、
    前記位相差分演算手段によって得られる1シンボル毎の位相回転量を1OFDMシンボル毎に積分して出力する積分手段と
    で構成されることを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  36. 請求項17に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記共通位相回転検出手段が、
    前記共通位相回転検出手段に入力される位相回転量情報に対して1OFDMシンボル内で平均化処理を行うシンボル内平均手段と、
    前記シンボル内平均手段によって平均化処理される位相回転量情報を1OFDMシンボル分遅延させる遅延手段と、
    前記シンボル内平均手段によって平均化処理される位相回転量情報と前記遅延手段によって1OFDMシンボル分遅延した位相回転量情報の差分を演算して1OFDMシンボル毎の位相回転量を演算する位相差分演算手段と、
    前記位相差分演算手段によって出力される1OFDMシンボル毎の位相回転量を時間方向に移動平均処理する時間方向移動平均手段と
    を備えたことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  37. 請求項33あるいは請求項34に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記除算手段が、
    前記除算手段が除算する数が2(N:自然数)で表される時にNビットのビットシフトにより除算を行うこと
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  38. 請求項18に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記共通位相回転検出手段が、
    前記重み付け手段によって重み付けされる位相回転量情報に基づいてチャネル推定時からの位相回転の累積量を演算する位相回転累積値演算手段と、
    前記位相回転累積値演算手段から出力される位相回転の累積量に対して1OFDMシンボル内で平均化処理を行うシンボル内平均手段と、
    前記シンボル内平均手段から出力される平均化処理された位相回転累積量を時間方向に移動平均処理する時間方向移動平均手段と、
    前記時間方向移動平均手段から出力される移動平均後の位相回転累積量を該累積を行ったシンボル数から前記時間方向移動平均手段における移動平均処理により生じる遅延シンボル数を差し引いた数で除算を行い残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量を算出する除算手段と、
    前記除算手段から出力される残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量に基づいて前記時間方向移動平均手段から出力される移動平均後の位相回転累積量に含まれる時間方向移動平均処理に起因する処理遅延による位相誤差を補正する遅延補正手段と
    から構成されることを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  39. 請求項34あるいは請求項38に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記除算手段が、前記位相回転累積値演算手段が累積を行った信号数が2(N:自然数)で表される時にNビットのビットシフトにより除算を行うこと
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  40. 請求項18に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記共通位相回転検出手段が、
    前記重み付け手段によって重み付けされた位相回転量情報に対して1OFDMシンボル内で平均化処理を行うシンボル内平均手段と、
    前記シンボル内平均手段から出力される平均化処理された位相回転累積量に基づいて残留搬送波周波数誤差による1OFDMシンボルあたりの位相回転量を演算する単位量演算手段と、
    前記単位量演算手段から出力される残留搬送波周波数誤差による1OFDMシンボルあたりの位相回転量に基づいて前記同期検波手段から出力される各検波信号の残留搬送波周波数誤差による位相回転量を推定する位相回転量推定手段と
    から構成されることを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  41. 請求項40に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記チャネル推定手段によって得られた各サブキャリアのチャネル特性の推定結果を用いて各サブキャリア信号の信号品質に応じた重み係数を演算する重み係数演算手段を備え、
    前記重み付け手段が、前記重み係数演算手段により得られた品質情報に基づいて前記位相回転量情報抽出手段から出力される位相回転量情報に対し重み付けを行うこと
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  42. 請求項40あるいは請求項41に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記重み付け手段から出力される信号がベクトル信号である場合に、
    前記シンボル内平均手段が、前記重み付け手段によって重み付けされた位相回転量情報ベクトル信号を1OFDMシンボル内でベクトル和演算することにより位相成分を平均化処理するシンボル内ベクトル和演算手段と、前記シンボル内ベクトル和演算手段から出力されるベクトル和の位相を検出するベクトル位相検出手段とから構成されること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  43. 請求項33に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記除算手段から出力される残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量に基づいて前記時間方向移動平均手段によって移動平均される位相回転の累積値に含まれる時間方向移動平均処理に起因する処理遅延による位相誤差を補正する遅延補正手段と、
    前記遅延手段から出力される遅延補正後の位相回転の累積量と、前記位相回転予測手段から出力されるクロック周波数誤差により生じる位相回転量を加算する加算手段とを備え、
    前記位相回転補正手段が、前記加算手段から入力される出力信号に基づいてクロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差により生じる位相回転を補正することを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  44. 請求項26あるいは請求項27のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記第一の共通位相回転検出手段が、
    前記重み付け手段によって重み付けされた位相回転量情報に対して1OFDMシンボル内で平均化処理を行うシンボル内平均手段と、
    前記シンボル内平均手段から出力される平均化処理された位相回転累積量に基づいて残留搬送波周波数誤差による1OFDMシンボルあたりの位相回転量を演算する単位量演算手段とで構成されることを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  45. 請求項26あるいは請求項27に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記第一の位相回転検出手段が、逆変調を行うことにより位相回転を検出する逆変調手段で構成されることを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  46. 請求項26あるいは請求項27に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記第一の位相回転検出手段が、前記硬判定手段の出力する硬判定結果に基づいて符号反転制御を行うことにより位相回転を検出する符号反転制御手段で構成されることを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  47. 請求項26あるいは請求項27に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記重み係数演算手段により得られた各サブキャリアの重み係数を用いて前記第二の位相回転検出手段によって検出された位相回転量に対し重み付けを行う第二の重み付け手段を備えたことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  48. 請求項47に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記位相回転予測手段によって生成される位相回転情報に基づいて前記第二の位相回転検出手段が出力する位相回転量情報に含まれるクロック周波数誤差による位相回転の補正を行うクロック周波数誤差低減手段を備え、
    前記第二の重み付け手段が、前記クロック周波数誤差低減手段によって位相回転補正された位相回転量情報に重み付けを行うこと
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  49. 請求項26あるいは請求項27に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記重み付け手段から出力される信号がベクトル信号である場合に、
    前記シンボル内平均手段が、前記重み付け手段によって重み付けされた位相回転量情報ベクトル信号を1OFDMシンボル内でベクトル和演算することにより位相成分を平均化処理するシンボル内ベクトル和演算手段と、前記シンボル内ベクトル和演算手段から出力されるベクトル和の位相を検出するベクトル位相検出手段とから構成されること
    を特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  50. 請求項34に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記選択手段から出力される残留搬送波周波数誤差に起因する1OFDMシンボルあたりの位相回転量に基づいて前記時間方向移動平均手段によって移動平均される位相回転の累積値に含まれる時間方向移動平均処理に起因する処理遅延による位相誤差を補正する遅延補正手段と、
    前記遅延手段から出力される遅延補正後の位相回転の累積量と、前記位相回転予測手段から出力されるクロック周波数誤差により生じる位相回転量を加算する加算手段とを備え、
    前記位相回転補正手段が、前記加算手段から入力される出力信号に基づいてクロック周波数誤差、残留搬送波周波数誤差により生じる位相回転を補正することを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
  51. 請求項26あるいは請求項27に記載のOFDMパケット通信用受信装置において、
    前記第二の共通位相回転検出手段が、
    前記第二の共通位相回転検出手段に入力される位相回転量情報に対して1OFDMシンボル内で平均化処理を行うシンボル内平均手段と、
    前記シンボル内平均手段によって平均化処理される位相回転量情報を1OFDMシンボル分遅延させる遅延手段と、
    前記シンボル内平均手段によって平均化処理される位相回転量情報と前記遅延手段によって1OFDMシンボル分遅延した位相回転量情報の差分を演算して1OFDMシンボル毎の位相回転量を演算する位相差分演算手段と、
    前記位相差分演算手段によって出力される1OFDMシンボル毎の位相回転量を時間方向に移動平均処理する時間方向移動平均手段と
    を備えたことを特徴とするOFDMパケット通信用受信装置。
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