JP3546531B2 - 便器洗浄タンク用排水弁の構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、便器洗浄タンク用の排水弁の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の便器洗浄タンクに用いる排水弁の中には、便器洗浄タンク内に溜めた給水を便器に対して排水する際に、タンク内に無駄な水が残るのを防止するために、上記排水弁に対して排水時における閉弁作動を遅延させる機能を具備せしめたものがある(実開昭64−31171号)。
【0003】
図6にて示す様に、従来の便器洗浄タンク用排水弁aは、便器洗浄タンク100の底部に設けた排水口部材101の上に制御槽102を接続し、該制御槽102の中芯部にオーバーフロー管103を挿通して昇降自在に支持している。上記オーバーフロー管103は下部外周に挟持片110を周設し、該挟持片110により弁体104を挟持し、この弁体104を上記排水口部材101に形成した排水弁座101’に対して上方から開閉自在に着座してある。上記オーバーフロー管103の外周部からはフロートストッパー111を介してフロート体105を設け、このフロート体105を制御槽102の内部に設けた貯水室106内に収納し、同室106内において浮き沈み可能に構成してある。
上記オーバーフロー管103の上端部には、取付片107を介して便器洗浄タンク100の排水レバー(図示せず)に連絡する鎖108が連結され、上記排水レバーの操作によりオーバーフロー管103が引き上げられて排水口部材101から便器へ向けて給水が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した排水弁aは、排水口部材101、オーバーフロー管103、フロート体105の各構成部品がそれぞれ複数の部材を組み合わせて構成している為に、部品点数が多くなる。例えば、オーバーフロー管103等は、上下2つの部材を接着固定して一本に接続すると共に、上端部外周に鎖108を取付る取付片107を接着固定して構成し、さらに該管の下部外周に弁体104を挟持する挟持片110を接着固定している。
また、上記各部材101.103.105が螺合による締付けにより便器洗浄タンク100に装着したり、接着により複数の部材同士を組み付けて1部材として構成する構造であるために、メンテナンスの際などに分解することができず、修理を行う時にも故障の原因となっている一部の部品を交換することが不可能であった。また、接着部の接着が不完全な場合などは、その部分から水漏れを生じる可能性もあった。
【0005】
本発明の目的は、上記した如き便器洗浄タンク用排水弁に対して、部品点数の削減と構造の簡素化を実現し得る構造を提供し、コストダウンとメンテナンス性の向上を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、便器洗浄タンク内において上下動自在に支持せしめたオーバーフロー管と、該オーバーフロー管の外周に設けた弁体と、該弁体を上方から着座せしめるように上記便器洗浄タンク内の底部に設けた弁座と、上記便器洗浄タンク内における底面から所定高さに取り付け支持し、上記弁体の上記弁座への着座を遅延せしめる制御孔を開設した制御槽と、同制御槽内に上部が開口する形で形成した貯水室と、該貯水室において浮き沈み自在に収納し、上記オーバーフロー管と共動するフロートとを具備して成る便器洗浄タンク用排水弁において、前記オーバーフロー管と制御槽とフロートとの相互を着脱可能に組み付け、更に上記制御槽に係止部を設け、該係止部を、便器洗浄タンクの底面から立ち上げて適度な弾性を具有せしめた係止体に対し上方から着脱可能に掛止して成るものである。
【0007】
請求項2記載の便器洗浄タンク用排水弁の構造によれば、上記制御槽の係止部を、上記制御槽の下端部に一体成形した。
【0008】
請求項3記載の便器洗浄タンク用排水弁の構造によれば、上記係止体を、爪片と、該爪片の下方に所定の間隙を介して配設したストッパ片とから構成したものである。
請求項4記載の便器洗浄タンク用排水弁の構造によれば、上記爪片とストッパ片とを上記係止体に一体成形した。
【0009】
請求項5記載の便器洗浄タンク用排水弁の構造によれば、上記係止体の爪片とストッパ片とをそれぞれ別体に形成すると共に、これらを便器洗浄タンク内の底面から立ち上げて形成した。
請求項6記載の便器洗浄タンク用排水弁の構造によれば、便器洗浄タンクを合成樹脂にて構成し、該便器洗浄タンクに爪片とストッパ片とを一体成形した。
【0010】
請求項7記載の便器洗浄タンク用排水弁の構造によれば、オーバーフロー管の下部外周に上記弁体を挟持する鍔片と挟持片とを一体成形すると共に、同オーバーフロー管の上端部に排水操作用の操作ロッドを係止するロッド係止部を一体成形して成る。
【0011】
【作用】
以上の手段によれば、オーバーフロー管は、便器洗浄タンク内において垂直状態にて上下昇降自在に支持される。上記オーバーフロー管の外周に設けた弁体は、便器洗浄タンクの底部に設けた弁座に対して上方から着座し、オーバーフロー管の上下動により開弁および閉弁する。
上記オーバーフロー管と、フロート体とは共動する関係にある。上記フロートは、便器洗浄タンク内の底面から所定の高さに取り付け支持した制御槽内の貯水室に収納されており、同貯水室内における水位の変動により、同貯水室内において浮き沈みする。上記フロートの浮力はオーバーフロー管および弁体を上昇させ、開弁状態を維持するだけの浮力を有する。
【0012】
上記貯水室の底面壁には制御小孔が開設してあり、上記弁体が開弁した後、貯水室内に残る水が上記制御小孔から一定の時間をかけて便器洗浄タンク内の底部に排水される。制御小孔からの排水によって貯水室内における水位は低下し、これに伴って貯水室内に浮くフロートの位置も徐々に低下する。
そして、便器洗浄タンク内の水が殆ど排水された時点でオーバーフロー管下部の弁体が弁座に着座して閉弁状態となる。
また、上記制御槽に係止部を設ける一方、便器洗浄タンク内の底面には、適度な弾性を具備する係止体が立ち上げてある。そして、上記制御槽の係止部をタンクの底面から立ち上がる係止体を弾性的に係止することにより、制御槽がタンク内底面から所定の高さに取り付け支持される。また、上記係止体を制御槽の係止部から弾性的に離脱させることにより、制御槽を取り外すことができる。
【0013】
請求項2記載の排水弁構造においては、上記制御槽の係止部を同制御槽の下端部に一体成形される。
請求項3記載の排水弁構造においては、上記係止体が、爪片と、ストッパ片とから構成されており、制御槽の係止部を上記ストッパ片に当接させた状態で、爪片を弾性的に係止することにより、制御槽自体がタンク内における所定の高さに取り付け支持される。また、上記爪片を弾性変形させて制御槽の係止部から離脱させることにより、制御槽を取り外すことができる。
【0014】
請求項4記載の排水弁構造においては、係止体を構成する爪片と、ストッパ片とが一体成形される。
請求項5記載の排水弁構造においては、上記爪片とストッパ片とがそれぞれ別体に成形され、これらが便器洗浄タンクの底面から別々に立ち上がっている。
請求項6記載の排水弁構造においては、上記爪片とストッパ片とが合成樹脂にて成形した便器洗浄タンクの底面にて一体成形されている。
【0015】
請求項7記載の排水弁構造は、オーバーフロー管の下部外周に鍔片と挟持片とが一体成形され、これらの間に弁体が挟持される。又、上記オーバーフロー管の上端部にはロッド係止部が一体成形してあり、このロッド係止部に排水操作用の操作ロッドが係止される。上記操作ロッドが操作されることにより、ロッド係止部を介してオーバーフロー管が引き上げられ、開弁状態となる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1及び図2にて示す便器洗浄タンク装置Aは、洋式便器fの背部に設置するタイプのものであり、陶器からなる化粧タンクb1の内部に実際の容器となる樹脂製の内部タンクb2を内設して構成してある。
【0017】
化粧タンクb1は、便器fの背部に設置される内部タンクb2を上からカバーするものであり、便器f背部の接続口f1に対して上から被せて設置してある。
上記化粧タンクb1の内部に収納される内部タンクb2は、上部が開口する略箱形の容器であり、便器fの背部上に設置してある。また、内部タンクb2はタンク内底面壁の中央部に排水口b3を開設し、該排水口b3の下端部を下面へ向けて突出させ、便器fの給水口f2に接続してある。
上記内部タンクb2の内部には排水弁aと、ボールタップ給水栓cを内設してある。
【0018】
ボールタップ給水栓cは、本体c1を内部タンクb2の上部側壁に取付支持し、同内部タンクb2の外側に突出する一次側接続口c4に対し、便器fを貫通させて配管した給水管dを接続することにより、給水源に連絡せしめてある。また、ボールタップ給水栓c本体c1の二次側接続口c5には吐出口c6を接続し、上記給水栓cから吐水された水が内部タンクb2の底部に向けて吐水されるようになっている。
【0019】
上記ボールタップ給水栓cは、本体c1の内部にダイヤフラム弁(図示せず)を内設してあり、該ダイヤフラム弁の開閉を制御する揺動アームc2を本体c1から延出し、その先端に浮き子c3を設けて構成してある。
よって、排水に伴って内部タンクb2内の水位が下がると、上記浮き子c3が降下し、本体c1内のダイヤフラム弁が開弁して吐水が開始される。また、ボールタップ給水栓cからの吐水により内部タンクb2内の水位が満水付近まで上昇すると、浮き子c3の上昇により本体c1内のダイヤフラム弁が閉弁し、行われていた吐水が停止する。
【0020】
上記内部タンクb2内の底面中央部には排水口b3が開設され、この排水口b3の直上に排水弁aを設けてある。
排水弁aは、上記排水口b3の上端に形成した排水弁座b4に対して上方から着座する弁体1と、該弁体1を取付支持するオーバーフロー管2と、該オーバーフロー管2を排水口b3の直上にて上下動自在に支持する制御槽3と、この制御槽3の内部に形成した貯水室3a内に収納するフロート体4とから構成してある。
【0021】
上記制御槽3は、フロート体4のフロート40を収納する円筒形の容器であり、合成樹脂により一体成形し、後述するストッパ片5aと爪片5bを介して、上記排水口b3直上における所定の高さにて取付支持してある。
【0022】
制御槽3は、円筒形の外筒31と、上記オーバーフロー管2を挿通させる内筒32とを同芯させて配置すると共に、この内外両筒32,31を底面壁により一体に連絡することにより、制御槽3の内部に上面が開口する円形の貯水室3aを形成してある。また、上記貯水室3aの底面には制御小孔33を開設し、この制御小孔33から貯水室3a内の水が所定の時間をかけて排水されるように構成してある。
また、上記外筒31の下端部外周には平面視四角形の係止片35を一体に突出形成し、該係止片35の四隅部分に後述する爪片5bを掛止する係止孔34を開設してある。
【0023】
上記制御槽3の内筒32の内部にはオーバーフロー管2が垂直に貫挿してある。
オーバーフロー管2は、内部タンクb2内において垂直に立つ管状体であり、合成樹脂を用いて一体成形してある。上記オーバーフロー管2は、制御槽3の内筒32の内部に対して上下摺動自在に挿通し、その下端口を内部タンクb2の底面壁の中央部に開設した排水口b3内に嵌挿してある。
上記オーバーフロー管2の下部外周には鍔片21を一体に周設し、該鍔片21と挟持片22との間にゴムもしくは軟質合成樹脂から成る円板上の弁体1をはめ込んで上記両部材21,22により挟持してある。上記弁体1は、内部タンクb2の排水口b3の排水弁座b4に対して上方から着座し、上記オーバーフロー管2の引き上げにより開弁する。
【0024】
オーバーフロー管2の上端部には、排水操作を行う操作ロッドeの屈曲部e1を係止する係止部23を設けてある。
係止部23は、オーバーフロー管2の上端口からさらに上方へ突出する略コ形の片であり、オーバーフロー管2と一体に成形してある。上記掛止部23とオーバーフロー管2上端口との間には環状部が形成され、この環状部に便器洗浄タンクの操作ロッドe屈曲部e1を側方から挿入してある。
【0025】
図1および図2にて示す様に、操作ロッドeは、内部タンクb2の両側壁管に水平に架設した状態で回動可能に支持し、その中央部をくの字に屈曲させて屈曲部e1を突出形成してある。上記操作ロッドeは、一端部直角に屈曲させ、化粧タンクb1の側面に取りつけた操作レバーe2に接続してあり、上記操作レバーe2を回動させることにより、中央に屈曲する屈曲部e1が上下方向に回動し、この回動により、係止部23およびオーバーフロー管2が引き上げられて弁体1が開弁するように構成してある(図1)。
【0026】
従来の排水弁においては、操作ロッドの先端部を連結する部材をオーバーフロー管2の上端部に取付け、この連結部材と操作ロッドの先端部とを鎖により連結する構造を採用していた。しかし、上記したように、操作ロッドeの屈曲部e1を係止する係止部23を、オーバーフロー管2の先端部に対して一体に成形することによれば、部品点数を削減すると共に、メンテナンス性を向上することができる。
また、図3にて示すように、上記オーバーフロー管2の上部寄りの外周面には2個のピン24を対向させて設けると共に、同ピン24の下に段差部25を周設し、フロート体4の取付部を構成してある。
【0027】
フロート体4は、制御槽3の貯水室3a内に収納するフロート40を具備している。
フロート40は、制御槽3の内筒32の外周に遊嵌合する中筒部41と、制御槽3の外筒31の内側に遊嵌合する外筒部42とを同芯させて配置すると共に、上記外筒部42と中筒部41の間に形成される空間の上部口を上壁面43により閉塞して構成してある。上記したように構成したフロート40の空気室4aは下面が開口しているが、同空気室4aは上面が閉塞する容器状に形成されるため、水が溜められた制御槽3の貯水室3a内に上方から挿入すると、フロート40の内部に密室が形成され、必要な浮力を発生せしめることができる。
【0028】
上記フロート40の中筒部41の上端部にはリング状の取付部44を一体成形してある。
取付部44は、フロート40を上記オーバーフロー管2の外周部に対して取付固定するためのものであり、オーバーフロー管2の取付部の外周に摺動自在な範囲でぴったりと嵌合する内径に形成してある。
取付部44の外周面には、オーバーフロー管2外周のピン24を掛止する略L形の掛止溝45を対向させて切欠してある。両掛止溝45は、フロート体4の中筒部41の上部に開設した切欠口46から上方へ伸びた後、円周方向へ水平に屈曲するよう略L形に形成し、その最奥部にピン24をきつく嵌合して抜け止めする抜止め部45aを形成してある。
【0029】
上記した如く構成したフロート体4をオーバーフロー管2に対して取付固定する際には、中筒部41をオーバーフロー管2の上端から嵌装し、オーバーフロー管2の外周に突出する2個のピン24を中筒部41の取付部44の掛止溝45内に嵌合した後、取付部44を円周方向に回して、ピン24を掛止溝45最奥部の抜止め部45aに掛止する。
これにより、フロート体4は、上記したピン24と掛止溝45との掛止関係で、上下および円周方向の動きが禁止され、オーパーフロー管2に対して確実に取付固定される。
また、オーバーフロー管2と制御槽3とフロート体4の三者の組み付けに際しては、制御槽3の貯水室3a内にフロート体4を遊嵌合した状態を保持し、上記状態の制御槽3の中心部に下方からオーバーフロー管2を挿通させ、同オーバーフロー管2に対してフロート体4を上述した取り付け要領にて取り付け固定することにより、上記三者の組み付けが完了する。そして、組み付けされた制御槽3の内部タンクb2への取り付け支持は、制御槽3下端部に設けた係止片35を内部タンクb2の底面から突出させた係止体5に対して係止することにより行う(図3)。
【0030】
以上の如く構成した排水弁の制御槽3は、内部タンクb2の底面壁から突出する係止体5により所定の高さに取り付け支持されている。
上記係止体5は、4本のストッパ片5aと、4本の爪片5bとにより構成されている。
ストッパ片5aは、内部タンクb2の排水口b3周りの底面壁から突出する棒状体であり、内部タンクb2の底面壁から一体に突出している。上記ストッパ片5aは、所定の高さ、即ち制御タンク3の取付高さと対応させてあり、同ストッパ片5aの上端に制御槽3下端部外周に突出させた係止片35を載せることにより、同内部タンクb2における貯水室3aの底面が、内部タンクb2内の底面から所定の高さに位置するように構成してある。上記ストッパ片5aは制御槽3の係止片35四隅部分に対応させるため、排水口b3の周囲4箇所に設けてある。
【0031】
また、各爪片5bは、上記した各ストッパ片5aの隣にそれぞれ配置し、ストッパ片5aと同様に内部タンクb2の底面壁から一体に突出形成してある。また、爪片5bの上端部には、爪部51が形成してある。爪部51は、外側へ向けて形成され、制御槽3の外筒31下端部に設けた係止片35の係止孔34に掛止する。
前記したように、制御槽3の外筒31の下端部外周には平面視四角形の係止片35を設け、その四隅に係止孔34を開設してある。上記した各係止孔34には爪片5bの先端を下から挿入し、爪部51を上記係止片35の上面に掛止する。よって、制御槽3の係止片35の四隅は、ぞれぞれストッパ片5aの上端と爪片5bの爪部51により上下から挟持される。これにより、制御槽3は内部タンクb2の底面から所定の高さにて取付支持される。
【0032】
上記爪片5bは適度に弾性変形し、爪部51上部を排水口b3側へ向けて押し込むことにより、上記爪部51が係止孔34から外れるように構成してあるため、手でもって上記爪部51の掛止を外すことにより、制御槽3を簡単に脱着することができる。
また、上記した如く構成した排水弁aにおいては、オーバーフロー管2、制御槽3、フロート体4を全て一体成形すると共に、接着やねじ止めを使用せずに着脱可能な係合構造により連結してあるので、部品点数を大幅に削減することができると共に、各部材の組み立てや分解を工具を使用することなく簡単に行うことができ、メンテナンスや修理の作業性を向上することもできる。
【0033】
以上のように構成した便器洗浄タンクAにおいては、操作レバーe2を操作して操作ロッドeを回動させると、同操作ロッドeの屈曲部e1が係止部23を介してオーバーフロー管2およびフロート体4を引き上げ、排水口b3の上端に形成した排水弁座b4に着座していた弁体1を開弁する。
排水弁aが開弁して内部タンクb2内の水が便器fに対して排水されると、同内部タンクb2内における水位が急速に低下する。内部タンクb2内の水位が低下しても、排水直後において、制御槽3の貯水室3a内には水が残り、満水状態を維持している。よって、上記貯水室3a内に収納されるフロート40には浮力が生じ、この浮力により引き上げられたオーバーフロー管2は上昇して全開位置にて保持される。
【0034】
排水口b3からの排水が進行して、内部タンクb2内の水位が制御槽3上端面よりも下に下がると、貯水室3a内に残る水が上記制御小孔33から排水され始め、同貯水室3a内における水位の低下と共に、フロート40およびオーバーフロー管2が降下し、一定時間後に弁体1が排水口b3の排水弁座b4に着座して閉弁される。
【0035】
一方、上記したように排水が開始されて内部タンクb2内の水位が下がった時点で、ボールタップ給水栓cの浮き子が降下して、同給水栓cから吐水が開始される。そして、上記したように排水終了時に弁体1が排水口b3を閉鎖した直後から次の給水として内部タンクb2内に貯水され、タンクb2内は再び満水状態を維持する。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように、便器洗浄タンク用の排水弁を構成するオーバーフロー管と、制御槽と、フロートとの相互を着脱可能に組み付けて成るものであるから、排水弁の分解、若しくは組み付け作業を容易に行うことができ、その結果、メンテナンスや修理の作業効率を向上することができる。
しかも、制御槽に係止部を設け、該係止部を便器洗浄タンクの底面から立ち上げた係止体に対して上方から着脱可能に掛止してなるものであるから、上記した係止部に対して適度な弾性を有する係止体を掛止することにより、上記制御槽を便器洗浄タンク内の所定高さに取り付け支持することができ、また、上記係止体を弾性変形させて係止部から離脱させることにより、制御槽を簡単に取り外すことができる。
【0037】
請求項2記載の排水弁構造は、制御槽の係止部を同制御槽の下端部に一体成形したものであるから、制御槽の成形と同時に上記係止部を一体成形することが可能となり、製造コストのダウンを図ると共に、制御槽に対して係止部材を取り付ける作業を省くことができる。
【0038】
請求項3記載の排水弁構造は、係止体を、爪片とストッパ片とから構成したものであるから、制御槽の係止部を上記ストッパ片に上から当接した状態で爪片を弾性的に掛止することにより、制御槽を便器洗浄タンク内における所定の高さに、簡単且つ正確に取りつけ支持することができる。
【0039】
請求項4記載の排水弁構造は、爪片とストッパ片とを一体成形することにより係止体を構成したものであるから、爪片とストッパ片とのそれぞれの構成を簡素化することができ、また、部品点数の削減によりコストダウンを図ることができる。
【0040】
請求項5記載の排水弁構造は、係止体の爪片とストッパ片とを別体に形成し、これらを便器洗浄タンクの底面から立ち上げて形成したものであるから、制御槽を便器洗浄タンク内における所定の高さに、正確且つ強固に取り付け支持することができる。
【0041】
請求項6記載の排水弁構造は、便器洗浄タンクを合成樹脂により成形すると共に、該タンクの底面に爪片とストッパ片とを一体成形したものであるから、上記爪片とストッパ片とを便器洗浄タンクと同時に一度に成形することができ、コストダウンを図ると共に、爪片とストッパ片の組み付け作業の手間を省くことができる。
【0042】
請求項7記載の排水弁構造は、弁体を挟持する鍔片と挟持片、及び排水操作用の操作ロッドを係止するロッド係止部をオーバーフロー管の下部呼び上端部にそれぞれ一体成形したものであるから、オーバーフロー管に付属する鍔片、挟持片、ロッド係止部の各部材をオーバーフロー管の成形と共に一体成形することが可能となり、部品のコストダウンを図ると共に、上記各部材の組み付け作業を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した排水弁を具備する便器洗浄タンク装置を示す縦断面図。
【図2】同タンクの横断平面図。
【図3】排水弁の分解斜視図。
【図4】図1におけるIV-IV 線断面図。
【図5】図4におけるV-V 線断面図。
【図6】従来の便器洗浄タンク用排水弁を示す縦断面図。
【符号の説明】
a 排水弁
b2 内部タンク
f 便器
1 弁体
2 オーバーフロー管
3 制御槽
3a 貯水室
4 フロート体
5 係止体
5a ストッパ片
5b 爪片
24 ピン
21 鍔片
22 挟持片
23 係止部
40 フロート
44 取付部
45 掛止溝
51 爪部
Claims (7)
- 便器洗浄タンク内において上下動自在に支持せしめたオーバーフロー管と、該オーバーフロー管の外周に設けた弁体と、該弁体を上方から着座せしめるように上記便器洗浄タンク内の底部に設けた弁座と、上記便器洗浄タンク内における底面から所定高さに取り付け支持し、上記弁体の上記弁座への着座を遅延せしめる制御孔を開設した制御槽と、同制御槽内に上部が開口する形で形成した貯水室と、該貯水室において浮き沈み自在に収納し、上記オーバーフロー管と共動するフロートとを具備して成る便器洗浄タンク用排水弁において、前記オーバーフロー管と制御槽とフロートとの相互を着脱可能に組み付け、更に上記制御槽に係止部を設け、該係止部を、便器洗浄タンクの底面から立ち上げて適度な弾性を具有せしめた係止体に対し上方から着脱可能に掛止して成る便器洗浄タンク用排水弁の構造。
- 上記制御槽の係止部を、上記制御槽の下端部に一体成形してなる請求項1記載の便器洗浄タンク用排水弁の構造。
- 上記係止体を、爪片と、該爪片の下方に所定の間隙を介して配設したストッパ片とから構成した請求項1記載の便器洗浄タンク用排水弁の構造。
- 上記爪片とストッパ片とを上記係止体に一体成形して成る請求項3記載の便器洗浄用排水弁の構造。
- 上記係止体の爪片とストッパ片とをそれぞれ別体に形成すると共に、これらを便器洗浄タンク内の底面から立ち上げて形成している請求項4記載の便器洗浄タンク用排水弁の構造。
- 便器洗浄タンクを合成樹脂にて構成し、該便器洗浄タンクに爪片とストッパ片とを一体成形している請求項5記載の便器洗浄タンク用排水弁の構造。
- オーバーフロー管の下部外周に上記弁体を挟持する鍔片と挟持片とを一体成形すると共に、同オーバーフロー管の上端部に排水操作用の操作ロッドを係止するロッド係止部を一体成形して成る請求項1乃至6いずれか1項記載の便器洗浄タンク用排水弁の構造。
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JP2009091847A (ja) * | 2007-10-10 | 2009-04-30 | Toto Ltd | 便器洗浄タンク用排水弁 |
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