JP3546368B2 - マグネシア及び/又は焼成ドロマイトを基礎とする粗密なセラミック成形体及びその使用 - Google Patents

マグネシア及び/又は焼成ドロマイトを基礎とする粗密なセラミック成形体及びその使用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、殊にロータリーキルン又は類似の装置を内張りするための、マグネシア及び/又は焼成ドロマイトを基礎とする耐火性の粗密なセラミック成形体に関し、この成形体は、成形体の製造のために使用される成形体全混合物(バッチ)中に、0.5〜1.1のCaO対ZrO2 のモル比でジルコニウム酸カルシウム形成物質を有する>0.3mmの粒子フラクションの粒子を含有する。
【0002】
【従来の技術】
米国特許(US−PS)第4849383号明細書からは、ジルコニウム酸カルシウム形成物質を含有する粒子を、成形体全混合物へ添加する前に既に、ジルコニウム酸カルシウムの形成下に、例によれば1750℃で焼成もしくは焼結させてクリンカーにする、前記のような粗密なセラミック成形体が公知である。次いでこのクリンカーを粉砕し、所望の%比で成形体全混合物中へ入れ、次いでそれから耐火レンガを成形し、引き続き焼成する。先行する焼結工程ゆえに、焼成工程の間に粒子の内部構造は実質的にもはや変化しない。それというのも、粒子の内部でも、耐火レンガのこの領域とその隣接する領域との間でも、実質的にもはや反応が起きないからである。
【0003】
この種の耐火レンガは、ロータリーキルン中へ密に敷設するの際に、ロータリーキルン、殊にセメントロータリーキルンの避けられないオーバリティ(Ovalitaet)に起因する炉ジャケット中の生じる応力に関して、問題(スポーリング等)を必然的に伴うことが明らかになった。
【0004】
ドイツ国特許(DE−PS)第3527789号明細書からは、スピネル形成物質を含有する粗密なセラミック成形体が公知であるが、このスピネル形成物質は、成形体の焼成の際にマイクロ亀裂形成(Mikrorissbildung)をもたらし、そのことによって良好な熱変動安定性を生じるが、この際に、マイクロ亀裂形成及びそれと結びついた構造弛緩(これは焼成工程後に不可逆的に耐火レンガ中に残留する)の間に、常温圧縮強さ(Kaltdruckfestigkeit )は、スピネル形成物質の含有量が増大するにつれ連続的に減少する。このスピネル含有耐火レンガが実際は実績があるにもかかわらず、幾度も使用する場合に焼成工程での常温圧縮強さが減少する結果、同様に、応力抵抗性に関して問題を生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この種の成形体を、改善された応力抵抗性を生じるように更に形成するという課題を基礎とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題は、本発明により、実質的に化学量論比でその混合成分を混合後に個々の粒子を成形し、成形体の製造のために使用される成形体全混合物に、焼成工程の前に、混合粒子として、反応していない状態で添加し、混合粒子中のジルコニウム酸カルシウム形成物質の含有率は、ZrO2 として表わして、成形体全混合物に対して1.5〜19重量%であることによって解決される。
【0007】
本発明によれば、成形体は、特に、式:
SEI=σwd+σw −KDF
により求められる応力感度指数(Spannungsempfindlichkeitsindex)SEIが≦550N/mm2 であり、その際、σwdは熱膨張応力をN/mm2 で表し、σw は許容オーバリティ応力をN/mm2 で表し、KDFはN/mm2 で表される成形体の常温圧縮強さを表し、σwdもしくはσw は次の関係式を満たし;
【0008】
【数2】
Figure 0003546368
【0009】
その際、Ed は動的弾性率をN/mm2 で表し、Dmax はDIN51053(Blatt 1 )による荷重軟化試験(Druckerweichungsversuch )での円筒状試料体の最大膨張を%で表し、T0 は荷重軟化試験において試料体の最大膨張を生じる温度を℃で表し、Kzul.は許容係数を表し、この許容係数は半径2.25m、半径方向への成形体の高さ(レンガ高さ)250mm及び炉ジャケットオーバリティ0.4%を有するロータリーキルンの場合に0.67・10-3を算出するような構成であることを特徴とする。
【0010】
他の慣例の炉直径、レンガ高さ及びオーバリティに関しては、これと僅かに相違する値が生じるにすぎない。
【0011】
本発明によれば、混合粒子が0.3〜4.0mmの粒子フラクションであると定めることもできる。
【0012】
本発明のもう一つの態様は、混合粒子が0.5〜2.0mmの粒子フラクションであると定められている。
【0013】
本発明による成形体は、成形体全混合物中の混合粒子の含有率がZrO2 で表して15重量%までであることでも際立っている。
【0014】
本発明による成形体のもう一つの態様は、混合粒子が、焼成工程の間にジルコニウム酸カルシウムを形成する少なくとも1種のジルコニウム酸カルシウム形成物を、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩及び/又は金属塩として有することを特徴としている。
【0015】
本発明は、本発明による粗密なセラミック成形体を耐火材料として、殊にロータリーキルン又は類似の装置の内張りのために使用することにも関する。
【0016】
本発明は、ジルコニウム酸カルシウム形成物質を有する未反応の形の混合粒子を、成形体全混合物に、焼成工程の前に添加することによって、この応力感度指数が≦550N/mm2 である程度に応力感度指数を明らかに低めることを達成する意外な知識に基づいている。このことは、意外にも、ドイツ国特許(DE−PS)第3527789号明細書による構成におけるのとは明らかに異なり、本発明による混合粒子の場合は、不釣り合いに大きいKDF低下によって特性付けられる構造障害を生じずに、KDFが開放気孔率の典型的な規則性に従うことによって達成される。焼成工程での常温圧縮強さがドイツ国特許(DE−PS)第3527789号明細書による構成とは対照的に安定化されることによって、応力感度指数は、請求項2項に記載の式から明らかなように発明本質的に減少する。
【0017】
本発明により得られた応力感度指数の低下は、本発明により使用される成形体をロータリーキルンの内張りに使用する際に、この種類の技術水準において認められる機械的に条件づけられたスポーリング現象を明らかに減少する。このことによって、技術水準の実質的な問題は、この種類の耐火内張りの耐用時間を明らかに増加しながら解決される。
【0018】
本発明の更なる特徴及び利点は、実施例を詳細に説明する次の記載から明らかになる。
【0019】
この際に、ただ一つの図からなるダイアグラム表示での図面は、クリンカーの形のもしくは混合物としてのCaZrO3 添加物の機能としての、応力感度指数を示す。
【0020】
【実施例】
粗密なセラミック成形体を製造するために、先ず、最大粒子4mm及びフラー曲線(Fuller-Kurve)による粒度分布を有する焼結マグネシアから基本バッチを製造した。この基本バッチに、ジルコニウム酸カルシウムに相当する化学量論比で次の表に相当する酸化ジルコニウム及びチョークを混合及び圧縮することにより製造された平均粒径0.5〜2mmを有する混合粒子を、5〜25重量%の割合で混合した;
Figure 0003546368
混合物に必要量のリグニンスルホン酸塩を加え、≧120MPaの単位圧縮圧で圧縮し、乾燥させ、ジルコニウム酸カルシウムの形成温度より上でありここで示した実施例では1650℃である焼結温度で焼成した。
【0021】
得られた物理的特性は、混合粒子の添加量及び粒子フラクションに依存する。応力感度指数(SEI)は、図面から読みとれるように広い範囲で変化しうる。
【0022】
ケイ酸カルシウム化合物の攻撃に対して高い耐性を有する慣例の温度変動安定性のレンガの種類と比較して、このレンガはSEI値の強烈な減少を示す。
【0023】
本発明による粗密なセラミック成形体の実質的な利点は、応力感受性を著しく最小限に減らすことの他に、レンガの他の成分、特にCaO含有成分との化学的反応が起きえないことである。それというのも、混合粒子はレンガ焼成の際には既に完全にジルコニウム酸カルシウムに反応しきっているからである。マグネシア焼結物の他の成分、例えばCaOはZrO2 の存在によって影響されず、低融点化合物、例えばモンチセライト又はメルウィナイトの形成は妨げられる。
【0024】
実施例によって前記した同様の結果が、安定化されていないZrO2 及び種々異なる安定化度を有するZrO2 並びにCaO形成物から製造される混合粒子を用いても得られる。
【0025】
本発明により製造された成形体もしくは耐火レンガは、著しい熱機械的応力が溶融段階による熱化学的負荷と組合わさって生じる全てのところで有利に使用される。これには、例えばセメント、石灰、ドロマイト及びマグネサイトを製造するためのロータリーキルンの焼結帯もしくは移行帯、並びに鉄−及びNE−金属工業の溶融容器及び処理容器及び連続鋳造用セラミックスも当てはまる。
【0026】
成形体全混合物中の混合粒子の含有量に関する記載は、水酸化物及び/又は塩を使用する場合に、酸化物に対して相当する質量当量に関するということを更に記載しておく。
【0027】
発明の詳細な説明並びに特許請求の範囲で明らかにされた本発明の特徴は、単独で又は任意に組み合わせて、本発明をその種々異なる実施態様で実現するために重要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】これは、クリンカーの形のもしくは混合物としてのCaZrO3 添加物の機能としての、応力感度指数を示す図である。

Claims (7)

  1. 成形体の製造のために使用される成形体全混合物(バッチ)中に、0.5〜1.1のCaO対ZrO2 のモル比でジルコニウム酸カルシウム形成物質を有する>0.3mmの粒子フラクションの粒子を含有する、殊にロータリーキルン又は類似の装置を内張りするための、マグネシア及び/又は焼成ドロマイトを基礎とする耐火性の粗密なセラミック成形体において、実質的に化学量論比でその混合成分を混合後に個々の粒子を成形し、成形体の製造のために使用される成形体全混合物に、焼成工程の前に、混合粒子として、反応していない状態で添加し、混合粒子中のジルコニウム酸カルシウム形成物質の含有率は、ZrO2 として表わして、成形体全混合物に対して1.5〜19重量%であることを特徴とする、粗密なセラミック成形体。
  2. 式:
    SEI=σwd+σw −KDF
    により求められる応力感度指数SEIが≦550N/mm2 であり、その際、σwdは熱膨張応力をN/mm2 で表し、σw は許容オーバリティ応力をN/mm2 で表し、KDFはN/mm2 で表される成形体の常温圧縮強さを表し、σwdもしくはσw は次の関係式を満たし;
    Figure 0003546368
    その際、Ed は動的弾性率をN/mm2 で表し、Dmax はDIN51053による荷重軟化試験での円筒状試料体の最大膨張を%で表し、T0 は荷重軟化試験において試料体の最大膨張を生じる温度を℃で表し、Kzul.は許容係数を表し、この許容係数は半径2.25m、半径方向への成形体の高さ(レンガ高さ)250mm及び炉ジャケットオーバリティ0.4%を有するロータリーキルンの場合に0.67・10-3を算出するような構成であることを特徴とする、請求項1記載の成形体。
  3. 混合粒子が0.3〜0.4mmの粒子フラクションであることを特徴とする、請求項1又は2記載の成形体。
  4. 混合粒子が0.5〜2.0mmの粒子フラクションであることを特徴とする、請求項3記載の成形体。
  5. 成形体全混合物中の混合粒子の含有率がZrO2で表わして15重量%までであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の成形体。
  6. 混合粒子が、焼成工程の間にジルコニウム酸カルシウムを形成する少なくとも1種のジルコニウム酸カルシウム形成体を、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩及び/又は金属塩として有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の成形体。
  7. 殊にロータリーキルン又は類似の装置を内張りするための耐火材料としての、請求項1から6までのいずれか1項記載の粗密なセラミック成形体の使用。
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