JP3546244B2 - 連続鋳造機のロール間隔制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造機にて溶融金属を連続鋳造する際に鋳型から引き抜かれた鋳片をガイドするために配置されるガイドロールのロール間隔を制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スラブ鋳片等を連続鋳造する連続鋳造機には、図4に示すように、鋳型51から引き抜かれ、内部に未凝固層を有する鋳片52をガイドするための複数のガイドロール54が、鋳型51の直下から約30〜40mの長さにわたって鋳片52を挟んでその両側に配置されており、鋳片52はこのように対向するガイドロール54の間隙を通って引き抜かれる。その間に、引き抜き方向に隣り合うガイドロール54の各ロール間に配置された多数のスプレーノズル(図示せず)から噴霧される冷却水により、鋳片52は冷却されて中心部まで凝固し、連続鋳造鋳片となる。ここで、鋳片52を挟んで対向する一対のガイドロール54の相互間の間隙をロール間隔と称している。
【0003】
即ち、鋳型から引き抜かれ、内部に未凝固層を有する鋳片はスプレーノズルから噴霧される冷却水によって冷却され、引き抜き方向下流になるほど凝固部分が多くなり、鋳片の厚み方向に収縮する。従って、このような鋳片の収縮に伴い、ガイドロールのロール間隔を調整することが必要になる。そのため、図5に示すように、鋳型から引き抜かれた鋳片に対するガイドロールのロール間隔値は、引き抜き方向下流になるほど収縮に対応して狭くなっている。更に、鋳片の中心偏析を軽減するために、図5に示すように、鋳片の最終凝固部付近では凝固層の温度低下による収縮量よりもロール間隔の狭小化の勾配を大きくして、鋳片に対して圧下(軽圧下と云う)を行なう場合もある。
【0004】
このように、ガイドロールのロール間隔は鋳造される鋳片の品質を左右するので、ロール間隔の調整並びに保守は連続鋳造の操業において極めて重要な操業条件となっている。そして、30〜40mの長さにまで及ぶガイドロールのロール間隔の調整並びに保守を容易にするために、通常、複数のガイドロールを1つのフレームで保持させたロールセグメント構造を採用し、各ロールセグメント毎にロール間隔の調整並びに保守を行っている場合が多い。
【0005】
ロール間隔の調整装置として、例えば実公昭62−45807号公報(以下「先行技術1」と記す)には、図6に示すようなガイドロール間隔調整用装置が開示されている。この装置では、複数のガイドロール54をロールチョック59を介して保持した一対のフレーム55,55′からなるロールセグメント53のフレーム55,55′を貫通させてタイロッド56を配置し、このタイロッド56に設置されているウオームジャッキ57をモーター58にて駆動させ、フレーム55とフレーム55′との間の間隔調整が行われる。鋳造中においては、ウオームジャッキ57はセルフロックされ、未凝固層を有する鋳片52のバルジング力に対抗している。
【0006】
又、特開2000−79457号公報(以下「先行技術2」と記す)には、図7に示すように、複数のガイドロール54をロールチョック59を介して保持した一対のフレーム55,55′の片側に、そのシリンダーロッド61を片側のフレーム55と連結させて複数の液圧シリンダー60を設け、フレーム55が鋳片52から受ける反力を検知しながら液圧ポンプ62にて液圧シリンダー60を駆動してフレーム55を移動させ、ロールセグメント53に配置されたガイドロール54の間隔調整を行う装置が開示されている。この装置においては液圧シリンダー60によりフレーム55の位置を定めているので、鋳造中にもフレーム55の位置はロックされることがなく、従って、鋳造中にも任意にガイドロール54の間隔を調整することができる。但し、液圧シリンダー60によりフレーム55の位置を定めているので、フレーム55が鋳片52から受ける反力と同一の圧力で液圧シリンダー60を常に駆動させている必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先行技術1では、鋳造中においてウオームジャッキはセルフロックされ、鋳片のバルジング力に対抗しているために、鋳造中にロール間隔を調整することはできない。ガイドロールのロール間隔は、図5に示した如く、鋳片の冷却による収縮、更には、凝固末期における鋳片に対する軽圧下量を考慮して決定される。従って、鋳片の引き抜き速度が変化した場合には、冷却による鋳片の収縮量が変化し、更には最終凝固位置が変化するため、ガイドロールのロール間隔を変更する必要があるが、先行技術1ではこれに対処することができない。
【0008】
先行技術2では、鋳造中でもロール間隔の変更が可能であるが、鋳造中に鋳片から受ける反力は変化するので、この反力に追従して液圧シリンダーを駆動させる必要があり、常に一定のロール間隔を維持することは極めて困難となる。又、鋳片から受ける反力に追従させるには極めて微妙な制御が必要になることから、保全性にも問題があり、現実的でない。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、連続鋳造機で鋳片を鋳造中に、鋳片の引き抜き速度が変化した場合でもその変化にあわせてガイドロールのロール間隔を精度良く変更することができるロール間隔制御装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明による連続鋳造機のロール間隔制御装置は、それぞれ支持部材に保持され、鋳型から引き抜かれた鋳片を挟んでその両側に対向して配置されたガイドロールのロール間隔制御装置であって、対向する前記支持部材の間隔を調整するための伸縮可能なウオームジャッキ構造のスペーサーと、このスペーサーに前記支持部材を押し当ててガイドロールの間隔を定める押し付け手段と、鋳片の引き抜き速度に対応してロール間隔を設定するロール間隔設定器と、を具備し、前記スペーサーには、前記押し付け手段による押し付け力により、その長さが伸縮しないセルフロック機能が備えられ、当該スペーサーの伸縮時には、前記押し付け手段の押し付け力を鋳片のバルジング力よりも小さくならない範囲でバルジング力と同等程度まで低下させることによってスペーサーのセルフロック機能を解除し、スペーサーの伸縮終了後には前記押し付け手段の押し付け力を復帰させることによって前記セルフロック機能を復帰させる機構を有し、前記ロール間隔設定器の信号により前記スペーサーを鋳造中に伸縮させてガイドロールの間隔を制御することを特徴とするものである。
【0011】
又、第2の発明による連続鋳造機のロール間隔制御装置は、第1の発明において、更に、前記スペーサーの伸縮量を検出する検出器と、この検出器の信号に基づき前記スペーサーの伸縮量を制御する伸縮量調整器とを具備していることを特徴とするものである。
【0012】
本発明により、連続鋳造機で鋳片を鋳造中に鋳片の引き抜き速度が変化した場合でも、その変化にあわせてガイドロールのロール間隔を精度良く且つ迅速に変更することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態を示す図であって、本発明によるロール間隔制御装置を備えたガイドロール設備を鋳片側面から見た概略図、図2は、図1のX−X’矢視による概略図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、このガイドロール設備では、鋳片1を挟んで対向する一対のガイドロール3,3がロールチョック17を介して支持部材としてのフレーム4及びフレーム4′に取り付けられている。フレーム4は、鋳片1に対して所定位置となるように基礎架台18に固定して取り付けられ、一方、フレーム4′は、基礎架台18に固定されたガイド19,19に挟まれており、ガイド19,19内を鋳片1の表面に対して垂直方向には移動することが可能であるが、その他の方向には実質的に移動しないようになっている。
【0015】
このような構成のガイドロール設備に対して、本発明によるロール間隔制御装置が以下のようにして配置されている。
【0016】
即ち、フレーム4及びフレーム4′の両端部には、フレーム4及びフレーム4′に挟まれてスペーサー6,6が配置されている。スペーサー6によりフレーム4とフレーム4′との間隔、換言すれば対向する一対のガイドロール3,3の間隔が定められるようになっている。スペーサー6はウオームジャッキ構造となっており、スペーサー6と連結するモーター7の駆動によりその長さ(L)が伸縮可能となっている。モーター7には、スペーサー6の長さ(L)を制御するために設けられた伸縮量調整器9の信号が入力され、モーター7は伸縮量調整器9の信号により駆動するようになっている。又、スペーサー6にはスペーサー6の伸縮量を検出する検出器8が設置され、検出器8による検出信号は伸縮量調整器9に入力されている。即ち、スペーサー6の長さ(L)は、検出器8による検出信号に基づき伸縮量調整器9によりフィードバック制御されるようになっている。
【0017】
ところで、鋳片1の品質面上からロール間隔は0.5mm以内の精密な管理が必要であり、スペーサー6をその長さ(L)が精度良く制御されるウオームジャッキ構造とすることにより、この条件を満たすことができる。又、スペーサー6をウオームジャッキ構造とすることにより、スペーサー6には、後述する液圧シリンダー12の押し付け力が付加されている場合にはスペーサー6の長さ(L)が伸縮しないセルフロック機能が備わり、たとえ鋳片1のバルジング力が働いてもスペーサー6は伸縮せず、ロール間隔値は一定値に保持される。この点からもロール間隔値の精度を高めることができる。このような理由から、スペーサー6はウオームジャッキ構造とすることが好ましい。
【0018】
伸縮量調整器9には、鋳片引き抜き速度に対応してロール間隔を設定するロール間隔設定器10からの出力信号が入力され、又、ロール間隔設定器10には、鋳片1の引き抜き速度を計測する引き抜き速度計11からの出力信号が入力されるようになっている。鋳片引き抜き速度は、鋳片1を引き抜くためのピンチロールの回転速度や鋳片1に接触させた測定ロールにより求めることができる。
【0019】
一方、フレーム4′の鋳片1側とは反対側に、押し付け手段として液圧シリンダー12が固定金具21を介してガイド19に固定されて配置されている。液圧シリンダー12は液圧シリンダー12と接続して設置された液圧モーター15により駆動されるようになっている。この液圧モーター15には、液圧シリンダー12の押し付け力を制御するための液圧調整器16の出力信号が入力されている。液圧調整器16の出力信号により液圧モーター15を駆動させ、液圧シリンダー12のシリンダーロッド13でフレーム4′をスペーサー6に所定の押し付け力で押し付け、フレーム4とフレーム4′との間隔、即ちガイドロール3のロール間隔が定められるようになっている。又、液圧シリンダー12には、押し付け力を検出する検出器14が設置されており、検出器14の測定信号は液圧調整器16に入力されている。即ち、液圧シリンダー12による押し付け力は、検出器14による検出信号に基づき液圧調整器16によりフィードバック制御されるようになっている。
【0020】
鋳片1が中心部まで凝固していない範囲の鋳片1を支持するガイドロール3には、常に鋳片1内の未凝固層によるバルジング力が働いている。このバルジング力は溶鋼静圧によって生じるために鋳片1の引き抜き方向下流ほど大きくなり、各ガイドロール3の位置におけるバルジング力は鋳片1内の未凝固層のヘッド高さから算出することができる。このバルジング力によりロール間隔が設定した所定値よりも広くならないようにするため、液圧シリンダー12による押し付け力は、例えば1本の液圧シリンダー当たりバルジングによる荷重よりも数トンから数十トン以上大きな力に設定すれば良い。
【0021】
一方、ガイドロール設備が鋳片1から受ける反力により損傷しないようにするため、液圧シリンダー12の押し付け力の上限値を調整する。即ち、設備損傷を受けるほど高い反力になった場合には、ガイドロール3が待避するように液圧シリンダー12の押し付け力を調整する。ガイドロール3が損傷を受けるような荷重、即ちガイドロール3の耐荷重は、特にロールチョック17のベアリングの耐荷重若しくはガイドロール3自体の耐荷重によって決まるため、その具体的な数値は個々の連続鋳造機の仕様に応じて決定されるが、例えば、一般的なスラブ連続鋳造機の場合の耐荷重は、1つのガイドロール当たり60〜140トン程度であり、本実施の形態ではガイドロール3を2本の液圧シリンダー12で駆動させるので、液圧シリンダー12の押し付け力の最大値をその1/2未満としておけば良い。
【0022】
このように、液圧シリンダー12の押し付け力はバルジングによる荷重よりも数トンから数十トン以上大きく且つガイドロール3の耐荷重よりも小さい範囲内とすれば良い。この押し付け力は予め液圧調整器16に入力されており、液圧シリンダー12の押し付け力は検出器14及び液圧調整器16により設定値に制御されている。
【0023】
このような構成のロール間隔制御装置を備えたガイドロール設備において、鋳造中、ガイドロール3のロール間隔は次のようにして制御される。即ち、スペーサー6の長さ(L)を所定値とし、液圧シリンダー12によりフレーム4′を所定の押し付け力で押し付け、鋳片引き抜き速度に見合ったロール間隔で鋳造中に、鋳片引き抜き速度が変更になった際には、先ず、引き抜き速度計11によって計測された引き抜き速度がロール間隔設定器10に入力される。ロール間隔設定器10は、予め設定されている引き抜き速度とロール間隔値との関係から、入力された引き抜き速度に基づいて当該ガイドロール3のロール間隔値を新たに設定し、新たに設定したロール間隔値を伸縮量調整器9に出力する。
【0024】
ロール間隔値を入力した伸縮量調整器9は、ロール間隔値が新たに設定されたロール間隔値となるようにモーター7を駆動させてスペーサー6を伸縮させる。検出器8はスペーサー6の伸縮量を検出し、その検出信号を伸縮量調整器9に送信して、設定されたロール間隔値になるようにスペーサー6の長さ(L)を正確に調整する。スペーサー6の長さ(L)が所定値になったなら、即ち、ロール間隔が設定された値になったならば、伸縮量調整器9は「ロール間隔変更完了」の信号をロール間隔設定器10に送信する。
【0025】
一方、ロール間隔設定器10は、新たに設定したロール間隔値を伸縮量調整器9に出力すると同時に、液圧調整器16に「ロール間隔変更中」の信号を出力する。
【0026】
前述したように、ウオームジャッキ構造のスペーサー6は鋳造中には液圧シリンダー12による押し付け力を受けており、セルフロックされた状態になっている。従って、この状態ではモーター7を駆動してもスペーサー6は伸縮しないので、液圧調整器16はロール間隔設定器10から「ロール間隔変更中」の信号を入力したならば、液圧シリンダー12の押し付け力が鋳片1のバルジング力よりも小さくならない範囲でバルジング力と同等程度まで低下するように、液圧ポンプ15の運転を調整する。液圧シリンダー12の押し付け力を低下させることで、スペーサー6のウオームジャッキはセルフロックが解除され伸縮可能となる。
【0027】
そして、ロール間隔の変更が完了したなら、液圧調整器16はロール間隔設定器10から「ロール間隔変更完了」の信号を受け、液圧シリンダー12の押し付け力を元の高い状態に復帰させる。この場合、液圧シリンダー12の押し付け力がバルジング力と同等程度まで低下しない間は、スペーサー6の伸縮が開始されないような制御装置を設置しておけば良い。
【0028】
次に、第2の実施の形態について説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態を示す図であって、本発明によるロール間隔制御装置を備えたガイドロール設備を鋳片側面から見た概略図である。
【0029】
図3に示すように、このガイドロール設備は、複数個のガイドロール3が支持部材としてのフレーム5及びフレーム5′にロールチョック17を介して取り付けられたロールセグメント2で構成され、フレーム5とフレーム5′との間で鋳片1を挟むようになっている。フレーム5とフレーム5′との対向する相互の位置にずれを生じさせなくするために、フレーム5に固定して取り付けた4本のロッド20がフレーム5′を貫通している。フレーム5は鋳片1に対して所定位置となるように基礎架台(図示せず)に固定して取り付けられており、一方、フレーム5′はロッド20の軸芯方向には移動可能ではあるが、その他の方向には実質的に移動できないようになっている。
【0030】
このような構成のガイドロール設備に対して、本発明によるロール間隔制御装置が以下のようにして配置されている。即ち、フレーム5及びフレーム5′の鋳片引き抜き方向の前後と鋳片幅方向の左右に合計4つのスペーサー6が設置されている。即ち、対向するフレーム5及びフレーム5′の間隙の四隅に設置された4つのスペーサー6によりフレーム5とフレーム5′との間隔、換言すれば対向する複数対のガイドロール3,3の間隔が定められるようになっている。そして、フレーム5′の鋳片1側とは反対側に、合計4本の液圧シリンダー12が固定金具21を介してロッド20に固定されて配置されており、液圧シリンダー12のシリンダーロッド13でフレーム5′をスペーサー6に所定の押し付け力で押し付け、フレーム5とフレーム5′との間隔、即ちガイドロール3のロール間隔が定められるようになっている。ロール間隔制御装置のその他の構造は、図1に示す第1の実施の形態のロール間隔制御装置と同一構造となっており、同一の部分は同一符号により示し、その説明は省略する。
【0031】
このような構成のロール間隔制御装置を備えたガイドロール設備におけるガイドロール3のロール間隔制御は、上記の第1の実施の形態で説明した方法に準じて実施する。但し、この場合には、ロールセグメント2の鋳片1の入り側と出側の2箇所についてロール間隔を独立に設定し且つ変更する必要があるため、ロール間隔設定器10にはロールセグメント2の鋳片1の入り側と出側の2箇所について、そのデータを予め設定する必要があり、一方、伸縮量調整器9はロールセグメント2の鋳片1の入り側と出側の2箇所について独立して制御することが可能な機能を有する必要がある。又、ロールセグメント2が受ける鋳片2の反力も、1つのセグメント2内に配置されるガイドロール3が増加するために第1の実施の形態の場合とは異なってくる。一般的なスラブ連続鋳造機の場合の耐荷重は、1つのセグメント当たり300〜700トン程度であり、本実施の形態では1つのロールセグメント2を4本の液圧シリンダー12で駆動させるので、液圧シリンダー12の押し付け力の最大値をその1/4未満としておけば良い。
【0032】
以上説明したように、本発明によるガイドロール3のロール間隔制御装置を用いることにより、ガイドロール3に鋳片1によるバルジング力が働いている場合でも、ガイドロール3のロール間隔を0.5mm以内の精度で変更することができる。そして鋳造中にはロール間隔をセルフロックすることができるので、鋳片1のバルジング力が変動しても設定されたロール間隔を維持させることができる。更に、ガイドロール3が損傷を受けるような異常に高い反力が働いた場合にも設備破損を生じることなく対処することができる。その結果、鋳片引き抜き速度が変更されても、その引き抜き速度に見合ったロール間隔に変更することができるので、その表面及び内部共に優れた品質の鋳片1を安定して鋳造することができる。
【0033】
尚、本発明は上記説明に限るものではなく種々の変更が可能である。例えば、第1の実施の形態においてフレーム4′は必ずしも必要ではなく、シリンダーロッド13とロールチョック17とを接続して設け、液圧シリンダー12によりガイドロール3を直接昇降するようにしても良い。又、スペーサー6が対向するフレーム4,4′の双方に接触しているが、スペーサー6の一つの端をガイド19で支持し、他の端がフレーム4′に接触するようにしても良い。更に、フレーム4,4′とスペーサー6とが直接接触せず、その間に他の剛体を挟み、間接的に接触させても良い。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、鋳片によるバルジング力がガイドロールに働いている場合でも、ガイドロールのロール間隔を鋳片引き抜き速度に応じて精度良く変更することができ、その結果、どのような鋳片引き抜き速度であっても、その引き抜き速度に見合ったロール間隔に迅速に変更することが可能となり、表面性状及び内部性状に優れた鋳片を安定して鋳造することが達成され、工業上有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】図1のX−X’矢視による概略図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す図である。
【図4】連続鋳造機のガイドロールの配置を示す図である。
【図5】鋳片引き抜き方向のロール間隔値の変化例を示す図である。
【図6】従来のロール間隔調整用装置を示す概略図である。
【図7】従来のロール間隔調整用装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 鋳片
2 ロールセグメント
3 ガイドロール
4 フレーム
5 フレーム
6 スペーサー
7 モーター
8 検出器
9 伸縮量調整器
10 ロール間隔設定器
11 引き抜き速度計
12 液圧シリンダー
13 シリンダーロッド
14 検出器
15 液圧モーター
16 液圧調整器
17 ロールチョック
18 基礎架台
19 ガイド
20 ロッド
21 固定金具
Claims (2)
- それぞれ支持部材に保持され、鋳型から引き抜かれた鋳片を挟んでその両側に対向して配置されたガイドロールのロール間隔制御装置であって、対向する前記支持部材の間隔を調整するための伸縮可能なウオームジャッキ構造のスペーサーと、このスペーサーに前記支持部材を押し当ててガイドロールの間隔を定める押し付け手段と、鋳片の引き抜き速度に対応してロール間隔を設定するロール間隔設定器と、を具備し、前記スペーサーには、前記押し付け手段による押し付け力により、その長さが伸縮しないセルフロック機能が備えられ、当該スペーサーの伸縮時には、前記押し付け手段の押し付け力を鋳片のバルジング力よりも小さくならない範囲でバルジング力と同等程度まで低下させることによってスペーサーのセルフロック機能を解除し、スペーサーの伸縮終了後には前記押し付け手段の押し付け力を復帰させることによって前記セルフロック機能を復帰させる機構を有し、前記ロール間隔設定器の信号により前記スペーサーを鋳造中に伸縮させてガイドロールの間隔を制御することを特徴とする、連続鋳造機のロール間隔制御装置。
- 更に、前記スペーサーの伸縮量を検出する検出器と、この検出器の信号に基づき前記スペーサーの伸縮量を制御する伸縮量調整器とを具備していることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機のロール間隔制御装置。
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