JP3545851B2 - カルタミンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サフラワーイエローB色素に酸化還元酵素とアルデヒドを作用させることを特徴とするカルタミンの製造方法に関する。製造されたカルタミンは、食品用色素、化粧品、医薬品などに用いられる。
【0002】
【従来の技術】
ベニバナ(Carthamus tinctorius L.)はキク科の2年草木で、7月中旬にアザミ状の鮮黄色の花をつける。この花弁を摘み取り、乾燥、あるいはすりつぶして発酵させたものは鮮やかな紅色を呈し、紅花(コウカ)として古くから漢方薬や高級染料として珍重されてきている。しかしながら花弁中に含まれている色素としては水溶性の黄色色素(サフラワーイエローA,サフラワーイエローB,サフラワーイエローCの各成分から成る)が約60%と圧倒的に多く、有効に利用されている紅色色素であるカルタミンはわずかに0.4%〜0.6%の含有量でしかない。近年、赤ビートに比べて耐熱性や色調が優れていることから、食品用色素としてベニバナの紅色色素が注目されてきており、その効率的な抽出法とともにさらなる用途の拡大が検討されてきている。
現行の方法では、サフラワーイエローが水溶性であるのに対してカルタミンは難水溶性であることを利用し、花弁から黄色色素を水抽出した残さから紅色を取得する方法が用いられている。しかしながらカルタミン自体の含有量が極めて低いことから、高度に純化された紅色色素カルタミンの価格は高価となり、このことがさらなる用途の拡大を妨げている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ベニバナ花弁中に大量に含まれる黄色色素のうち、最大約50%近くを占めるサフラワーイエローBを酸化還元酵素とアルデヒドを用いてカルタミンに変換し、効率よく紅色色素であるカルタミンを供給する製造方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究に努めた結果、酵素として酸化還元酵素を用い、アルデヒドの存在下、サフラワーイエローB色素に作用させることで紅色色素であるカルタミンが効率よく得られることを知った。
【0005】
本発明は、サフラワーイエローB色素に酸化還元酵素とアルデヒドを作用させることを特徴とするカルタミンの製造方法に関する。
【0006】
更に本発明は、サフラワーイエローB色素を含む水溶液に酸化還元酵素とアルデヒドを添加して反応させる上記カルタミンの製造方法に関する。
【0007】
更に本発明は、サフラワーイエローB色素に酸化還元酵素を加えてサフラワーイエローB色素を加水分解し、ついでアルデヒドを添加して反応させる上記カルタミンの製造方法に関する。
【0008】
更に本発明は、サフラワーイエローB色素を加水分解し、ついでアルデヒドと酸化還元酵素を添加して反応させる上記のカルタミン製造方法に関する。
【0009】
更に本発明は、サフラワーイエローB色素の加水分解生成物にアルデヒドを反応させカルタミン前駆体とし、次いで酸化還元酵素の存在下または空気酸化によりカルタミンとする工程を含むことを特徴とするカルタミンの製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のカルタミンの製造方法では、サフラワーイエローBを含む水溶液に酸化還元酵素、およびアルデヒドを添加してpH3〜11、好ましくはpH4〜9の緩衝液または水中で、約5〜60℃、好ましくは20〜40℃の温度に10分〜1週間、好ましくは3時間〜4日間保持することによって容易にカルタミンを得ることができる。場合によって、この反応液に数分間酸素を通気させてもよい。
この反応は、サフラワーイエローBが加水分解物してカルタミン前駆体となる加水分解物とサフラミンAに分解し,前者がカルタミン前駆体を経てカルタミンとなる下記反応経路が推定される。
【0011】
【化1】
【0012】
サフラワーイエローBの加水分解は、酸化還元酵素を添加して酵素反応を利用することが好ましいが、酵素を添加せずにpH3〜11、温度5〜60℃でサフラワーイエローBを加水分解してもよい。
又、カルタミン前駆体をカルタミンとする場合も、酸化還元酵素が存在すれば反応が早く進行するが、空気酸化を利用してカルタミン前駆体をカルタミンとすることができる。
【0013】
本発明に用いるベニバナは生花でも乾燥花でもよく、さらに「最上紅花」「中国紅花」「岡山1号」「イスラエル」「カリフォルニア」などベニバナの種類に限定されることなく如何なる種類でもよい。本発明に関わるサフラワーイエローB色素の形態は、精製色素、アルコール抽出粗精製色素、生花、乾燥花、花弁破砕物などサフラワーイエローB色素が存在している状態であれば如何なる形態であってもよい。
【0014】
本発明に用いる酵素剤濃度はベニバナ黄色色素(サフラワーイエローB)の量に依存するが、ベニバナ黄色色素(サフラワーイエローB)1gに対して1ユニット〜10万ユニットの酵素量であればよい。
【0015】
本発明に用いる酵素剤としては、CH−OHを供与体とするものや過酸化水素を受容体とするものなどに分類される酸化還元酵素が挙げられるが、これらの分類に限定されるものではない。
【0016】
CH−OHを供与体とする酸化還元酵素としては、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ(補酵素としてNADP+またはNAD+を併用する)、ホモセリンデヒドロゲナーゼ、ブタンジオールデヒドロゲナーゼ、アセトンデヒドロゲナーゼ、グリセロールデヒドロゲナーゼ、プロパンジオールホスフェートデヒドロゲナーゼ、グリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ(補酵素としてNAD+を使用する)、キシルロースリダクターゼ、アラビニトールデヒドロゲナーゼ、イジトールデヒドロゲナーゼ、ガラクチトールデヒドロゲナーゼ、マンニトールホスフェートデヒドロゲナーゼ、イノシトールデヒドロゲナーゼ、グルクロネートリダクターゼ、グルクロノラクトンレダクターゼ、アルドースリダクターゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ、キネートデヒドロゲナーゼ、シキメートデヒドロゲナーゼ、グリオキシレートリダクターゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼ、グリセレートデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシイソブチレートデヒドロゲナーゼ、メバルデートリダクターゼ、ヒドロキシメチルグルタリルリダクターゼ、ヒドロキシアシルデヒドロゲナーゼ、アセトアセチルリダクターゼ、マレートデヒドロゲナーゼ、イソシトレートデヒドロゲナーゼ、ホスフォグルコネートデヒドロゲナーゼ、グルコネートデヒドロゲナーゼ、アラビノースデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、
【0017】
ガラクトースデヒドロゲナーゼ、グルコースホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシコーラネートデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、アリルアルコールデヒドロゲナーゼ、アクトアルデヒドリダクターゼ、リビトールデヒドロゲナーゼ、フラクツロネートリダクターゼ、タガツロネートリダクターゼ、ヒドロキシプロピオネートデヒドロゲナーゼ、タルトロネートセミアルデヒドリダクターゼ、ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ、エストラジオールデヒドロゲナーゼ、テストステロンデヒドロゲナーゼ、ピリドキシンデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシデカノエートデヒドロゲナーゼ、マンニトールデヒドロゲナーゼ、グルコネートデヒドロゲナーゼ、オクタノールデヒドロゲナーゼ、アミノプロパノールデヒドロゲナーゼ、ブタンジオールデヒドロゲナーゼ、ラクトアルデヒドリダクターゼ、ラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、グリオキシレートリダクターゼ、イソプロパノールデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシピルベートリダクターゼ、マレートデヒドロゲナーゼ、ジメチルマレートデヒドロゲナーゼ、イソプロピルマレートデヒドロゲナーゼ、ケトール酸リダクトイソメラーゼ、ヒドロキシカルボキシアジペートデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシメチルグルタリルリダクターゼ、アリールアルコールデヒドロゲナーゼ、オキサログリコレートリダクターゼ、タートレートデヒドロゲナーゼ、グリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ、ホスホグリセレートデヒドロゲナーゼ、ジヨードフェニルピルベートリダクターゼ、ヒドロキシベンジルアルコールデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシファティーアシドデヒドロゲナーゼ、
【0018】
オキソアシルACPリダクターゼ、パルミトイルジヒドロキシアセトンホスフェートリダクターゼ、デヒドロスフィンガニンリダクターゼ、スレオニンデヒドロゲナーゼ、オキソプロリンリダクターゼ、レチノールデヒドロゲナーゼ、パントエートデヒドロゲナーゼ、ピリドキサールデヒドロゲナーゼ、カルニチンデヒドロゲナーゼ、インドールラクテートデヒドロゲナーゼ、イミダゾールラクテートデヒドロゲナーゼ、インダノールデヒドロゲナーゼ、キシロースデヒドロゲナーゼ、アピオースリダクターゼ、リボースデヒドロゲナーゼ、アラビノースデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ガラクトースデヒドロゲナーゼ、アルドースデヒドロゲナーゼ、フコースデヒドロゲナーゼ、ソルボースデヒドロゲナーゼ、フラクトースデヒドロゲナーゼ、デオキシグルコネートデヒドロゲナーゼ、ケトデオキシグルコネートデヒドロゲナーゼ、イドネートデヒドロゲナーゼ、スレオネートデヒドロゲナーゼ、ケトグルコネートデヒドロゲナーゼ、マンニュロネートリダクターゼ、マンノースデヒドロゲナーゼ、ケトラムノースリダクターゼ、デオキシタロースデヒドロゲナーゼ、アセチルグルコースアミンデヒドロゲナーゼ、リビトールホスフェートデヒドロゲナーゼ、マンニトールデヒドロゲナーゼ、ソルビトールホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼ、ピニトールデヒドロゲナーゼ、セクオイトールデヒドロゲナーゼ、ペリリルアルコールデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、エストラジオールデヒドロゲナーゼ、エチオコラノロンデヒドロゲナーゼ、セピアプテリンリダクターゼ、ウレイドグリコレートデヒドロゲナーゼ、ホモイソシトレートデヒドロゲナーゼ、グリセロールデヒドロゲナーゼ、
【0019】
ジヒドロキシブチロールデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシブチリルCoAデヒドロゲナーゼ、アセチレノールピルボイルグルコースアミンリダクターゼ、エリトルロースリダクターゼ、シクロペンタノールデヒドロゲナーゼ、ヘキサデカノールデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシヘキサンカルボネートデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシマロネートデヒドロゲナーゼ、オキソパントイルラクトンリダクターゼ、オキソパントエートリダクターゼ、ヒドロキシメチルコレステノエートデヒドロゲナーゼ、メチレンテトラヒドロホレートリダクターゼ、オキソアジペートリダクターゼ、ラムノースデヒドロゲナーゼ、シクロヘキサンジオールデヒドロゲナーゼ、グリコレートオキシダーゼ、マレートオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アリルアルコールオキシダーゼ、グロノラクトンオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、ソルボースオキシダーゼ、ピリドキシンオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、カテコールオキシダーゼ、ヒドロキシアシドオキシダーゼ、エクジソンオキシダーゼ、コリンオキシダーゼなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
過酸化水素を受容体とする酸化還元酵素としては、NAD+パーオキシダーゼ、NADP+パーオキシダーゼ、ファティーアシドパーオキシダーゼ、シトクロムパーオキシダーゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、ヨードパーオキシダゼ、グルタチオンパーオキシダーゼ、クロリドパーオキシダーゼなどがあるが、これらに限定されるものではない。
さらに、これらの酵素はそれぞれ単独で用いることもできるし、複数の組み合わせで用いることもできる。NAD+やNADP+の補酵素を必要とする酵素剤であっても単独で使用できるし、補酵素を用いれば変換効率を上げることが可能となる。
【0021】
本発明に用いるアルデヒドの量は、サフラワーイエローBの量に依存し、サフラワーイエローB1g当量に対して1/5〜5g当量添加すればよい。
本発明に用いるアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸そのアルキルエステル、グリオキシル酸酸塩化物、グリオキシル酸アミド、グリオキシル酸ニトリル、アルドール、ジメチルプロパナール、ベンズアルデヒドおよびその誘導体、アクリルアルデヒドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明に用いる緩衝液は、0.001〜1モル濃度であればよい。緩衝液としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、酢酸アンモニウム緩衝液、ピロリン酸ナトリウム緩衝液、グリシン−ナトリウム緩衝液、グッドバッファーなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明は、サフラワーイエローBから→酸化還元酵素又は諸条件によりサフラワーイエローBの分解が起こり→この加水分解物にアルデヒドが関与してカルタミン前駆体が生成され→酸化還元酵素または酸化的にカルタミンの生成が促進されるという変換経路で進行すると考えられる。サフラワーイエローBが酵素的に又は化学的に加水分解すると、カルタミン前駆体の生成に使われる分解物とサフラワーイエローAが等モル量生成され、前者はカルタミン前駆体を経て酸化還元酵素の存在下または空気酸化によりカルタミンへと変換されると考えられる。つまり、1gのサフラワーイエローBからカルタミンが理論量として433mg得られることになる。実際のカルタミンの収量は理論量の約90%前後であり、本発明の方法によるとサフラワーイエローBが効率的にカルタミンへと変換される。これらの分析は高速液体クロマトグラフィーによって容易に確認できる。
【0024】
反応終了後、架橋デキストランであるファルマシア社製商品名セファデックスやシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー、セルロース粉末に一旦吸着させて分画する手法などを適宜選択して実施することにより、容易に精製カルタミンを得ることができる。 次に、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に説明する。
【0025】
【実施例1】
高度に純化されたサフラワーイエローB色素30mg、コレステロールオキシターゼ2mg(25ユニット)、グリオキシル酸1.5mgを0.5Mリン酸緩衝液2ミリリットルに溶解させた。25℃、pH6.8の反応条件で撹拌しながら3日間反応させた。反応液は黄色から紅色へと変化した。反応終了後、紅色色素であるカルタミンを安定に固定、吸着させるためにセルロース粉末を加えた。次いで、クエン酸を加えてpHを5〜6に調製し、反応液中のカルタミンをセルロース粉末に完全に吸着させた。このセルロース粉末を濾別し、水洗いして水溶性不純物を除去し、次いでメタノールでカルタミンをセルロースから溶出した。この溶出液を十分に乾燥させカルタミンの精製標品を得た。収量は3.0mgであった。
ここで得られた精製カルタミン標品の赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトル、質量分析および薄層クロマトグラフィーの分析結果は、既知カルタミンのそれと完全に一致した。
【0026】
【実施例2】
紅花「カリフォルニア(黄花種)」の生花より70%エタノール抽出によって得られたベニバナ黄色色素(サフラワーイエローB色素30mgを含む)水溶液に、0.5Mリン酸緩衝液2ミリリットルに溶解させたグルコースオキシダーゼ(Aspergillus niger)1mg(186ユニット)、グリオキシル酸1.5mgを添加した。25℃、pH6.8の反応条件で撹拌しながら3日間反応させた。反応液は黄色から紅色へと変化した。反応終了後、紅色色素であるカルタミンを安定に固定、吸着させるためにセルロース粉末を加えた。次いで、クエン酸を加えてpHを5〜6に調製し、反応液中のカルタミンをセルロース粉末に完全に吸着させた。このセルロース粉末を濾別し、水洗いして水溶性不純物を除去し、次いで80%メタノールでカルタミンをセルロースから溶出した。この溶出液を十分に乾燥させカルタミンの精製標品を得た。収量は5.0mgであった。
ここで得られた精製カルタミン標品の赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトル、質量分析および薄層クロマトグラフィーの分析結果は、既知カルタミンのそれと完全に一致した。
【0027】
【実施例3】
高度に純化されたサフラワーイエローB色素30mgに、0.5Mリン酸緩衝液2ミリリットルに溶解させたグルコースオキシダーゼ(Aspergillus niger)1mg(186ユニット)とパーオキシダーゼ(西洋ワサビ)0.3mg(30ユニット)を加えた。25℃、pH6.8の反応条件で撹拌しながら2日間反応させ、サフラワーイエローBを分解した。次いで、分解液にホルムアルデヒド2.0mgを加え25℃、pH6.8の反応条件で撹拌しながら1日間反応させた。反応液は黄色から紅色へと変化した。反応終了後、紅色色素であるカルタミンを安定に固定、吸着させるためにセルロース粉末を加えた。次いで、クエン酸を加えてpHを5〜6に調製し、反応液中のカルタミンをセルロース粉末に完全に吸着させた。このセルロース粉末を濾別し、水洗いして水溶性不純物を除去し、次いでエタノールでカルタミンをセルロースから溶出した。この溶出液を十分に乾燥させカルタミンの精製標品を得た。収量は7.5mgであった。
ここで得られた精製カルタミン標品の赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトル、質量分析および薄層クロマトグラフィーの分析結果は、既知カルタミンのそれと完全に一致した。
【0028】
【実施例4】
高度に純化されたサフラワーイエローB色素30mgを0.2M酢酸緩衝(pH6.8)2ミリリットルに溶解し、25℃の条件で撹拌しながら2日間反応させ、サフラワーイエローBを分解した。次いで、分解液にグリオキシル酸1.5mg、パーオキシダーゼ(西洋ワサビ)0.3mg(30ユニット)を加えた。25℃、pH6.8の条件で撹拌しながら1日間反応させた。反応液は黄色から紅色へと変化した。反応終了後、紅色色素であるカルタミンを安定に固定、吸着させるためにセルロース粉末を加えた。次いで、クエン酸を加えてpHを5〜6に調製し、反応液中のカルタミンをセルロース粉末に完全に吸着させた。このセルロース粉末を濾別し、水洗いして水溶性不純物を除去し、次いで70%エタノールでカルタミンをセルロースから溶出した。この溶出液を十分に乾燥させカルタミンの精製標品を得た。収量は4.5mgであった。
ここで得られた精製カルタミン標品の赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトル、質量分析および薄層クロマトグラフィーの分析結果は、既知カルタミンのそれと完全に一致した。
【0029】
【実施例5】
高度に純化されたサフラワーイエローB色素30mg、グルコース5mg、グルコースオキシターゼ(Aspergillus niger)1mg(186ユニット)、グリオキシル酸1.5mgパーオキシダーゼ(西洋ワサビ)0.3mg(30ユニット)を0.5Mリン酸緩衝液2ミリリットルに溶解させた。25℃、pH6.8の条件で撹拌しながら3日間反応させた。反応液は黄色から紅色へと変化した。反応終了後、紅色色素であるカルタミンを安定に固定、吸着させるためにセルロース粉末を加えた。次いで、クエン酸を加えてpHを5〜6に調製し、反応液中のカルタミンをセルロース粉末に完全に吸着させた。このセルロース粉末を濾別し、水洗いして水溶性不純物を除去し、次いでエタノールでカルタミンをセルロースから溶出した。この溶出液を十分に乾燥させカルタミンの精製標品を得た。収量は12.3mgで、理論値(13mg)に対する収率は94.6%であった。
ここで得られた精製カルタミン標品の赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトル、質量分析および薄層クロマトグラフィーの分析結果は、既知カルタミンのそれと完全に一致した。
【0030】
【実施例6】
高度に純化されたサフラワーイエローB色素30mg、アルコールデハイドロゲナーゼ(Gluconobacter)1mg(250ユニット)、0.5mM−NAD+、グリオキシル酸1.5mg、パーオキシダーゼ(西洋ワサビ)0.3mg(30ユニット)を60mMピロリン酸ナトリウム緩衝液2ミリリットルに溶解させた。25℃、pH8.5の反応条件で撹拌しながら2日間反応させた。反応液は黄色からオレンジ色へと変化した。反応終了後、紅色色素であるカルタミンを安定に固定、吸着させるためにセルロース粉末を加えた。次いで、クエン酸を加えてpHを5〜6に調製し、反応液中のカルタミンをセルロース粉末に完全に吸着させた。このセルロース粉末を濾別し、水洗いして水溶性不純物を除去し、次いでメタノールでカルタミンをセルロースから溶出した。この溶出液を十分に乾燥させカルタミンの精製標品を得た。収量は11.3mgで、理論値(13にmg)に対する収率は86.9%であった。
ここで得られた精製カルタミン標品の赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトル、質量分析および薄層クロマトグラフィーの分析結果は、既知カルタミンのそれと完全に一致した。
【0031】
【実施例7】
グルコースオキシダーゼ(Aspergillus niger)1g(186000ユニット)、グリオキシル酸1g、パーオキシダーゼ(西洋ワサビ)300mg(30000ユニット)を0.5M酢酸酸緩衝液2リットルに溶解し、それに中国紅花の乾燥花100gを入れた。25℃、pH6.5の反応条件で撹拌しながら3時間反応させた。反応液は黄色から紅色へと変化した。反応終了後、紅色色素であるカルタミンを安定に固定、吸着させるためにセルロース粉末を加えた。次いで、クエン酸を加えてpHを5〜6に調製し、反応液中のカルタミンをセルロース粉末に完全に吸着させた。このセルロース粉末を濾別し、水洗いして水溶性不純物を除去し、次いでメタノールでカルタミンをセルロースから溶出した。この溶出液を十分に乾燥させカルタミンの精製標品を得た。収量は酸化還元酵素添加のものは178mgであった。ここで得られた精製カルタミン標品の赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトル、質量分析および薄層クロマトグラフィーの分析結果は、既知カルタミンのそれと完全に一致した。
【0032】
【実施例8】
最上紅花の生花からメタノール抽出によって得られたベニバナ黄色色素30mg、グルコースオキシダーゼ(Aspergillus niger)1mg(186ユニット)、グリオキシル酸1.5mg、パーオキシダーゼ(西洋ワサビ)0.3mg(30ユニット)を0.5Mトリス−塩酸緩衝液2ミリリットルに溶解させた。25℃、pH6.8の反応条件で撹拌しながら3日間反応させた。反応液は黄色から紅色へと変化した。反応終了後、クエン酸を加えてpHを5〜6に調製し、反応液中のカルタミンを沈殿させ、遠心分離により分別し、0.5%クエン酸により洗浄し、乾燥させカルタミンの精製標品を得た。収量は2.4mgであった。ここで得られた精製カルタミン標品の赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトル、質量分析および薄層クロマトグラフィーの分析結果は、既知カルタミンのそれと完全に一致した。
【0033】
【実施例9】
高度に純化されたサフラワーイエローB色素30mg、コレステロールオキシターゼ2mg(25ユニット)、グリオキシル酸1.5mgを0.5Mリン酸緩衝液2ミリリットルに溶解させた。25℃、pH6.8の反応条件で撹拌しながら3日間反応させた。反応液は黄色から紅色へと変化した。反応終了後、紅色色素であるカルタミンを安定に固定、吸着させるためにセルロース粉末を加えた。次いで、クエン酸を加えてpHを5〜6に調製し、反応液中のカルタミンをセルロース粉末に完全に吸着させた。このセルロース粉末を濾別し、水洗いして水溶性不純物を除去し、次いでメタノールでカルタミンをセルロースから溶出した。この溶出液を十分に乾燥させカルタミンの精製標品を得た。収量は3.0mgであった。
ここで得られた精製カルタミン標品の赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトル、質量分析および薄層クロマトグラフィーの分析結果は、既知カルタミンのそれと完全に一致した。
【0034】
【実施例10】
グルコースオキシダーゼの生産菌であるAspergillus nigerを、中国紅花の乾燥花からエタノール抽出によって得られたベニバナ黄色色素3gとセルロース粉末10gを寒天を除いたポテトデキストロース培地100ミリリットルに植菌し、25℃、pH5〜6にて3日間振とう培養した。培養液は黄色から紅色へと変化した。培養終了後、カルタミンの吸着したセルロース粉末を濾別し、水洗いして水溶性不純物を除去し、炭酸ナトリウム溶液を加えて弱アルカリ性にし、赤色色素であるカルタミンをセルロースから溶出した。次いで、クエン酸を加えてpHを5〜6に調整し、カルタミンを沈殿させ、濾過、精製、乾燥しカルタミンの精製標品を得た。収量は240mgであった。
ここで得られた精製カルタミン標品の赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクトル、質量分析および薄層クロマトグラフィーの分析結果は、既知カルタミンのそれと完全に一致した。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、従来、紅色色素としての有用性が高いにもかかわらず、高価で利用が制限されていたベニバナ色素を、ベニバナ花弁中に大量に含まれるサフラワーイエローBから効果的にカルタミンに変換することができ、より安価に安定に供給することができる。
Claims (9)
- サフラワーイエローB色素に酸化還元酵素とアルデヒドを作用させることを特徴とするカルタミンの製造方法。
- サフラワーイエローB色素を含む水溶液に酸化還元酵素とアルデヒドを添加して反応させる請求項1記載のカルタミンの製造方法。
- サフラワーイエローB色素を含む水溶液に酸化還元酵素を添加してサフラワーイエローB色素を加水分解し、ついでアルデヒドを添加して反応させる請求項1記載のカルタミンの製造方法。
- サフラワーイエローB色素を加水分解し、ついでアルデヒドと酸化還元酵素を添加して反応させる請求項1記載のカルタミンの製造方法。
- 酸化還元酵素がグルコースオキシダーゼである請求項1ないし4いずれか記載のカルタミンの製造方法。
- さらにパーオキシダーゼを添加する請求項5記載のカルタミンの製造方法。
- 酸化還元酵素がアルコールデハイドロゲナーゼとその補酵素であるニコチンアミド-アデニンジヌクレオチド(NAD+) またはニコチンアミド-アデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+) である請求項1ないし4いずれか記載のカルタミンの製造方法。
- サフラワーイエローB色素の加水分解生成物にアルデヒドを反応させカルタミン前駆体とし、次いで酸化還元酵素または空気酸化によりカルタミンとする工程を含むことを特徴とするカルタミンの製造方法。
- アルデヒドがグリオキシル酸もしくはそのアルキルエステルである請求項1ないし8いずれか記載のカルタミンの製造方法。
Priority Applications (9)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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