JPH08217783A - ショ糖脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

ショ糖脂肪酸エステルの製造方法

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JPH08217783A
JPH08217783A JP7028495A JP2849595A JPH08217783A JP H08217783 A JPH08217783 A JP H08217783A JP 7028495 A JP7028495 A JP 7028495A JP 2849595 A JP2849595 A JP 2849595A JP H08217783 A JPH08217783 A JP H08217783A
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ketal
fatty acid
lipase
acid
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JP7028495A
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English (en)
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Enu Boorufuson Ebugenii
エヌ. ボォルフソン エブゲニー
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ショ糖ケタールの水酸基のエステル化を触媒
する活性を有する酵素を用いて、ショ糖脂肪酸エステ
ル、特に親水性乳化剤として耐酸性、耐塩性、可溶性に
優れるショ糖脂肪酸モノエステルを効率よく製造するシ
ョ糖脂肪酸エステルの製造方法を提供する。 【構成】 ショ糖をケタール化してショ糖ケタールを生
成させ、得られたショ糖ケタールと脂肪酸に、ショ糖ケ
タールの水酸基のエステル化を触媒する酵素を作用させ
てショ糖ケタール脂肪酸エステルを生成させ、前記ショ
糖ケタール脂肪酸エステルのケタール部分(moiety)を
加水分解してショ糖脂肪酸エステルを生成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ショ糖脂肪酸エステル
の製造方法に関し、詳しくは、ショ糖脂肪酸エステル、
特に親水性乳化剤として耐酸性、耐塩性、可溶性に優れ
るショ糖脂肪酸モノエステルを効率よく製造するショ糖
脂肪酸エステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ショ糖と食用油脂由来の脂肪酸をエステ
ル結合させたショ糖脂肪酸エステルは、その安全性から
可食性の乳化剤として従来より食品用途に広く用いら
れ、また、皮膚や目に対しての刺激性がないことから、
医薬品や化粧品用途にも用いられている。この様に、シ
ョ糖脂肪酸エステルは、優れた分解性と安全性のため、
環境汚染問題もなく、非常に有用な乳化剤として各分野
で使用されることが多くなってきている。
【0003】ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と脂肪酸
のエステル結合度により、親水性から親油性まで広い範
囲の乳化剤として使用されるが、特に、ショ糖脂肪酸の
モノエステルは、耐酸性、耐塩性、可溶化力に優れた高
親水性乳化剤として、需要が大きい。したがって、限定
的にエステル化されたショ糖脂肪酸エステルを製造する
方法が望まれている。
【0004】一方、ブドウ糖をケタール化して得られた
ブドウ糖ケタールと脂肪酸にリパーゼを作用させて、ブ
ドウ糖脂肪酸エステルを得る方法が知られている(Enzy
me Microb. Technol., 1991, vol.13, October)。ま
た、ショ糖の化学的なケタール化も知られている。しか
し、上記方法によるエステル化は位置選択的なものでは
なく、モノエステル含量の高い糖脂肪酸エステルの製造
にそのまま利用できるものではなかった。また、ショ糖
ケタールの酵素的エステル化も知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、ショ糖ケタールの水酸基のエス
テル化を触媒する活性を有する酵素を用いて、ショ糖脂
肪酸エステル、特に親水性乳化剤として耐酸性、耐塩
性、可溶性に優れるショ糖脂肪酸モノエステルを効率よ
く製造するショ糖脂肪酸エステルの製造方法を提供する
ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を行った結果、ショ糖ケタール
を酵素的にエステル化してショ糖脂肪酸エステルを得る
ことができることを見出し、さらにショ糖ケタールの
6’位の水酸基を選択的にエステル化するリパーゼを見
出し、本発明を完成させた。
【0007】すなわち本発明は、下記工程を含むショ糖
脂肪酸エステルの製造方法である。 (a)ショ糖をケタール化してショ糖ケタールを生成さ
せ、(b)得られたショ糖ケタールと脂肪酸に、ショ糖
ケタールの水酸基のエステル化を触媒する酵素を作用さ
せてショ糖ケタール脂肪酸エステルを生成させ、(c)
前記ショ糖ケタール脂肪酸エステルのケタール部分(mo
iety)を加水分解してショ糖脂肪酸エステルを生成させ
る。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
ショ糖脂肪酸エステルの製造方法では、まずショ糖のケ
タールを合成する。ショ糖ケタールの合成については、
一般によく知られており、本発明においても通常の方法
でショ糖ケタールを合成することができる。 例えば、
ショ糖ケタールとして、4,6−O−イソプロピリデン
スクロース、2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデ
ンスクロース、4,6−O−ベンジリデンスクロース、
4,6−O−シクロヘキシリデンスクロース等を挙げる
ことができる。その具体的製造方法を4,6−O−イソ
プロピリデンスクロースを例にして、以下の化学反応式
に基づいて説明する。
【0009】
【化1】
【0010】ショ糖(1)をモレキュラーシーブペレッ
ト含有の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド中に加え、
これに更に2−メトキシプロペンを加え、p−トルエン
スルフォン酸の存在下、70℃で、40分間程度の撹拌
を行う。得られた混合液を冷却し、炭酸ナトリウムを加
えて溶液のpHを中性に調整した後、濾過して得られた
濾液から溶媒を除去する。得られた粗製物を、溶出溶媒
としてクロロホルム:メタノール=6:1を用いてシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーにかけて精製し、4,
6−O−イソプロピリデンスクロース(2)を得る。こ
の様にして得られたショ糖ケタールは、4位、6位の水
酸基の水素原子がイソプロピリデン基に置換された構造
を有する。
【0011】また、同様にして上記反応液に加える2−
メトキシプロペンの量を調整することにより化2に示す
2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロース
の様に2位、1'位及び4位、6位の水酸基の水素原子
がイソプロピリデン基に置換されたショ糖ケタールを得
ることができる。
【0012】
【化2】
【0013】更に、上記反応と同様にして化3で表され
る4,6−O−ベンジリデンスクロース、化4で表され
る4,6−O−シクロヘキシリデンスクロース等を製造
することができるが、これらにおいても4位、6位の水
酸基の水素原子がそれぞれベンジリデン基、シクロヘキ
シリデン基に置換された構造のショ糖ケタールである。
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】この様に本発明に用いるショ糖ケタールと
しては、ショ糖の4位、6位の水酸基がケタール化され
たショ糖ケタール、または、1'位、2位、4位及び6
位の水酸基がケタール化されたショ糖ケタールが好まし
い。
【0017】本発明においては、上記の様にして得られ
るショ糖ケタールの1種又は2種以上と各種脂肪酸に、
ショ糖ケタールの水酸基のエステル化を触媒する酵素を
作用させてショ糖ケタール脂肪酸エステルを生成させ、
次いでこの化合物のケタール部分を加水分解により水酸
基に戻すことでショ糖脂肪酸エステルを生成させる。
【0018】ここで、本発明に用いるショ糖ケタールの
水酸基のエステル化を触媒する酵素であるが、ショ糖ケ
タールの特定位置の水酸基のエステル化を選択的に触媒
してショ糖ケタール脂肪酸モノエステルを生成させるよ
うな酵素が好ましく、更にショ糖ケタールの6'位の水
酸基のエステル化を選択的に触媒する活性を有する酵素
であることがより好ましい。また、この様な触媒活性を
有する酵素として、本発明においてはリパーゼを用いる
ことが好ましい。この様に、本発明のショ糖脂肪酸エス
テルの製造方法において、上記ショ糖ケタールの6'位
の水酸基のエステル化を選択的に触媒する活性を有する
酵素、好ましくはリパーゼを用いることにより、ショ糖
の6'位の水酸基のみが脂肪酸とエステル結合した6'−
O−アシルスクロース(ショ糖モノ脂肪酸エステル)を
効率よく製造することができる。
【0019】上記ショ糖ケタールの6'位の水酸基のエ
ステル化を選択的に触媒する活性を有するリパーゼとし
ては、特に制限されるものではないが、例えば、ムコー
ル・ミーヘイ(Mucor miehei)、クロモバクテリウム・
ビスコサム(Chromobacterium viscosum)、フミコーラ
・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、シュードモナ
ス・スペーシーズ(Pseudomonas spp.)、シュードモナ
ス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、
シュードモナス・PS(Pseudomonas PS)、キャンディ
ダ・アンタークティカ(Candida antarctica)等の微生
物に由来するリパーゼ、ブタ膵臓リパーゼ等を好ましく
挙げることができるが、これらの内でもムコール・ミー
ヘイ由来のリパーゼ、クロモバクテリウム・ビスコサム
由来のリパーゼ、キャンディダ・アンタークティカ由来
のリパーゼ等が本発明においてはより好ましく用いられ
る。
【0020】上記リパーゼは、一般に入手可能な上記各
起源微生物あるいは動物組織から通常の方法で製造する
ことが可能であり、これを本発明に用いてもよいが、リ
パーゼとして精製されて市販されているものも多いの
で、これら市販品を本発明に用いることも可能である。
【0021】この様なリパーゼの市販品として、ムコー
ル・ミーヘイ由来のリパーゼとしては、ノボ・ノルディ
スク社製のリポザイム(Lipozyme)IM60(49BI
U/g)が、キャンディダ・アンタークティカ由来のリ
パーゼとしては、ノボ・ノルディスク社製のノボザイム
(Novozyme)435等が挙げられる。
【0022】更に、市販のリパーゼを加工して、例え
ば、クロモバクテリウム・ビスコサムリパーゼについて
は、バイオキャタリスト社製のリパーゼを精製し固定化
したもの等を本発明に用いることも可能である。
【0023】上述のショ糖ケタールからショ糖脂肪酸エ
ステルを製造する本発明の方法について、ショ糖ケター
ルとして2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンス
クロースを用い、ショ糖ケタールの水酸基のエステル化
を触媒する酵素としてショ糖ケタールの6'位の水酸基
のエステル化を選択的に触媒する活性を有するリパーゼ
を用いた場合を例にして、以下の化学反応式に基づいて
具体的に説明する。
【0024】
【化5】
【0025】2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデ
ンスクロース(3)と脂肪酸(化5においてはミリスチ
ン酸)に、このショ糖ケタールの6'位の水酸基のエス
テル化を選択的に触媒する活性を有するリパーゼ及び必
要に応じて少量の揮発性溶媒、例えば、トルエンを加
え、20〜95℃、10分〜7日間程度のインキュベー
ションを行う。
【0026】上記で得られた混合物をエタノールに溶解
してリパーゼを回収し、この溶液を塩基性アルミナパッ
ドで濾過して未反応の脂肪酸を除去する。濾液よりロー
タリーエバポレーター等を用いてエタノールを除去し、
得られた粗製物をジエチルエーテル水溶液(1:10w
/v程度)に溶解させ、これに、塩化ナトリウムと炭酸
カリウムを含有する水溶液を加え、未反応の2,1':
4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロースを除去す
る。得られた溶液を乾燥し、6'−O−ミリストイル−
2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロース
(4)を得る。
【0027】これを酢酸エチル:トリフルオロ酢酸:水
(95:3:2v/v程度)の混合液中に溶解して60
℃で8時間程度の撹拌を行い、イソプロピリデン基の加
水分解を行う。この溶液を氷冷し、6'−O−ミリスト
イルスクロース粗製物を沈殿物として得、これを濾過に
より取り出す。必要に応じて、濾液から、水を蒸発さ
せ、残ったトリフルオロ酢酸をエーテルと共沸して除去
し、溶液中に残った目的物質を回収する。この様にして
得られた粗製物を必要に応じてシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶出溶媒、例えば、クロロホルム:メタ
ノール=20:1→5:1)で精製し、6'−O−ミリ
ストイルスクロース(5)を得る。
【0028】上記製造方法で得られるショ糖脂肪酸エス
テル(ミリストイルスクロース)の大部分は、ショ糖の
6'位の水酸基のみがミリスチン酸とエステル結合した
6'−O−ミリストイルスクロース(ショ糖モノ脂肪酸
エステル)であり、その収率は約70〜95%と高い。
【0029】上記本発明のショ糖脂肪酸エステルの製造
において、用いる脂肪酸としては、特に制限されない
が、各種界面活性剤の原料として用いられる脂肪酸、例
えば、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミトオレイン
酸、エルシン酸、ベヘニン酸、エライジン酸等を挙げる
ことができる。本発明では、これら脂肪酸のうちでもカ
プロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸等が好ましく用いられる。
【0030】また、ショ糖ケタールと脂肪酸のエステル
化反応の際に必要に応じて用いる溶媒であるが、反応の
初期の段階で原料混合物を均一にする目的で用いられる
ものであり、有機溶媒、特に揮発性のものが好ましく、
例えば、t−アミルアルコール、トルエン、シクロヘキ
サン、3−オクタノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノ
ン、2−ヘキサノン、t−ブチルアセテート、2−オク
タノン、2−メトキシエチルエーテル、トリエチレング
リコールジメチルエーテル、2−ペンタノン、3−ペン
タノン、2−ブタノン、t−ブチルメチルケトン等を挙
げることができる。また、これらの溶媒は、エステル化
反応の進行と共に自由に揮発できる条件下で、例えば、
開放状態であるいは真空ポンプで吸引しながら、用いら
れることが好ましい。
【0031】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。まず、シ
ョ糖脂肪酸エステル製造のための中間物質となるショ糖
ケタールの製造例について説明する。
【0032】
【製造例1】 4,6−O−イソプロピリデンスクロー
ス ショ糖(8.55g、25mmol)をモレキュラーシ
ーブペレット(タイプ3A)含有の乾燥N,N−ジメチ
ルホルムアミド100mL中に加え、これに更に2−メ
トキシプロペン(3.2mL、32.5mmol)を加
え、p−トルエンスルフォン酸(25mg)の存在下、
70℃で、40分間撹拌した。得られた混合液を冷却
し、炭酸ナトリウムを加えて溶液のpHを中性に調整し
た後、濾過して得られた濾液から溶媒を除去した。得ら
れた粗製物を、溶出溶媒としてクロロホルム:メタノー
ル=6:1を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにかけて精製し、3.2gの4,6−O−イソプロピ
リデンスクロースを収率34%で得た。この様にして得
られた4,6−O−イソプロピリデンスクロースについ
てNMR測定を行った。結果を以下に示す。
【0033】<NMR測定結果>1 H NMR(CD3OD)δppm : 1.37、1.
49(6H、2s、7−CH3、8−CH3)、3.50
−4.20(13H、ショ糖環プロトン)、5.35
(1H、d、J1.2=4.0Hz、1−H)13 C NMR(CD3OD)δppm : 19.3、2
9.5(C−8、C−9)、62.9、63.2、6
3.7(C−1'、C−6'、C−6)、65.4(C−
4)、71.9、73.8、73.8、75.1、7
8.8(C−3'、C−4'、C−2、C−3、C−
5)、83.8(C−5')、94.2(C−1)、1
00.8(C−7)、105.3(C−2')
【0034】
【製造例2】 2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリ
デンスクロース 上記製造例1の2−メトキシプロペンの量を12mL
(125mmol)にした以外は、製造例1と同様の操
作を行い2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンス
クロース粗製物を得た。得られた粗製物を、溶出溶媒と
してクロロホルム:メタノール=8:1を用いてシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにかけて精製し、3.8
gの2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロ
ースを収率36%で得た。この様にして得られた2,
1':4,6−O−イソプロピリデンスクロースについて
NMR測定を行った。結果を以下に示す。
【0035】<NMR測定結果>1 H NMR(CD3OD)δppm : 1.37、1.
47、1.50(12H、3s、8−CH3、9−C
3、8'−CH3、9'−CH3)、3.2−4.2(1
3H、m、ショ糖環プロトン)、6.16(1H、d、
1.2=3.6Hz、1−H)13 C NMR(CD3OD)δppm : 19.3、2
9.5(C−8、C−9)、24.3、25.5(C−
8'、C−9')、63.2、64.3、67.1(C−
1'、C−6'、C−6)、64.6(C−4)、70.
9、74.7、75.1、75.6、79.8(C−
3'、C−4'、C−2、C−3、C−5)、84.2
(C−5')、92.4(C−1)、100.9(C−
7)、102.8(C−7')、104.7(C−2')
【0036】
【製造例3】 4,6−O−ベンジリデンスクロース ショ糖(8.55g、25mmol)をモレキュラーシ
ーブペレット(タイプ3A)含有の乾燥N,N−ジメチ
ルホルムアミド100mL中に加え、これに更にベンズ
アルデヒドジメチルアセタール(17.1mL、0.1
14mol)を加え、p−トルエンスルフォン酸(10
0mg)の存在下、35℃で、1時間撹拌した。得られ
た混合液を冷却し、炭酸ナトリウムを加えて溶液のpH
を中性に調整した後、濾過して得られた濾液から溶媒を
除去した。得られた粗製物を、溶出溶媒としてクロロホ
ルム:メタノール=7:1を用いてシリカゲルカラムク
ロマトグラフィーにかけて精製し、3.4gの4,6−
O−ベンジリデンスクロースを収率32%で得た。この
様にして得られた4,6−O−ベンジリデンスクロース
についてNMR測定を行った。結果を以下に示す。
【0037】<NMR測定結果>1 H NMR(CD3OD)δppm : 3.3−4.3
(13H、ショ糖環プロトン)、5.41(1H、br
d、1−H)、5.56(1H、s、7−H)、7.2
0−7.70(5H、芳香族プロトン)13 C NMR(CD3OD)δppm : 63.0、6
3.8、69.7(C−1'、C−6'、C−6)、6
4.5(C−4)、71.6、73.8、75.2、7
8.9、82.7(C−3'、C−4'、C−2、C−
3、C−5)、83.8(C−5')、94.2(C−
1)、103.0(C−7)、105.3(C−
2')、127.0、127.5、129.0、12
9.9(芳香族炭素原子)、139.2(C−8)
【0038】
【製造例4】 4,6−O−シクロヘキシリデンスクロ
ース ショ糖(8.55g、25mmol)をモレキュラーシ
ーブペレット(タイプ3A)含有の乾燥N,N−ジメチ
ルホルムアミド100mL中に加え、これに更にシクロ
ヘキサノンジメチルアセタール(16.4g、0.11
4mol)を加え、p−トルエンスルフォン酸(100
mg)の存在下、40℃で、1時間撹拌した。得られた
混合液を冷却し、炭酸ナトリウムを加えて溶液のpHを
中性に調整した後、濾過して得られた濾液から溶媒を除
去した。得られた粗製物を、溶出溶媒としてクロロホル
ム:メタノール=7:1を用いてシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーにかけて精製し、3.3gの4,6−O
−シクロヘキシリデンスクロースを収率31%で得た。
この様にして得られた4,6−O−シクロヘキシリデン
スクロースについてNMR測定を行った。結果を以下に
に示す。
【0039】<NMR測定結果>1 H NMR((CD32SO)δppm : 1.35−
1.85(10H、シクロヘキサン環プロトン)、3.
30−5.30(20H、ショ糖環プロトン)13 C NMR((CD32SO)δppm : 22.
3、22.6、25.5、27.6、37.9(C−8
〜C−12)、61.3、61.3、62.1(C−
1'、C−6'、C−6)、63.9(C−4)、70.
0、72.5、73.2、74.1、76.9(C−
3'、C−4'、C−2、C−3、C−5)、82.7
(C−5')、92.6(C−1)、99.0(C−
7)、104.3(C−2') 次に、上記製造例で得られた4種類のショ糖ケタールを
用いて、ショ糖脂肪酸エステルを製造した。
【0040】
【実施例1】ショ糖ケタール0.065mmolとミリ
スチン酸15mg(0.065mmol)と6種類のリ
パーゼ(リパーゼ1:ムコール・ミエヘイリパーゼ(ノ
ボ・ノルディスク社製、リポザイム(Lipozyme)IM6
0)、リパーゼ2:クロモバクテリウム・ビスコサムリ
パーゼ(バイオキャタリスト社製のリパーゼを精製し固
定化したもの)、リパーゼ3:フミコーラ・ラヌギノサ
リパーゼ(バイオキャタリスト社製)、リパーゼ4:シ
ュードモナス・スペーシーズリパーゼ(ベーリンガー社
製、リポプロテイン(Lipoprotein))、リパーゼ5:
シュードモナス・フルオレッセンスリパーゼ(バイオキ
ャタリスト社製)、リパーゼ6:シュードモナス・PS
リパーゼ(アマノ社製))の1種の10mgを表1〜4
に示す各種溶剤(100μL)の存在下、75℃で4日
間、インキュベートした。このインキュベーションを上
記6種類のリパーゼを用いて行った。
【0041】インキュベート終了後、得られた混合物を
エタノールに溶解してリパーゼを回収し、この溶液を塩
基性アルミナパッドで濾過して未反応のミリスチン酸を
除去した。濾液よりロータリーエバポレーターでエタノ
ールを除去し、得られた粗製物をジエチルエーテル水溶
液(1:10w/v)に溶解させた。これに、塩化ナト
リウムと炭酸カリウムをそれぞれ0.3M濃度で含有す
る水溶液を加え、未反応の原料ショ糖ケタールを抽出に
より除去した。得られた溶液に硫酸マグネシウムを加え
て乾燥した後、濾過し、濾液を蒸発乾固して6'−O−
ミリストイルショ糖ケタール粗製物を得た。
【0042】得られた6'−O−ミリストイルショ糖ケ
タールからショ糖ミリスチン酸エステルを得るために、
上記粗製物を酢酸エチル:トリフルオロ酢酸:水=9
5:3:2v/v溶液中に溶解して60℃で8時間の撹
拌を行い、イソプロピリデン基、ベンジリデン基、又は
シクロヘキシリデン基の加水分解を行った。この溶液を
氷冷し、沈殿物(6'−O−ミリストイルスクロース粗
製物)を得、これを濾過により取り出した。濾液から、
蒸発成分を除去し、更に残ったトリフルオロ酢酸をエー
テルと共沸して除去し、溶液中に残った6'−O−ミリ
ストイルスクロースを回収した。
【0043】精製は、展開溶媒としてクロロホルム:メ
タノール=5:1(v/v)を用いて、薄層クロマトグ
ラフィー処理により行った。収量の測定は、ガスクロマ
トグラフィー及び高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)分析によった。HPLC分析では、光散乱質量検出
器を用い、溶出溶媒としては、原料のショ糖ケタールが
4,6−O−イソプロピリデンスクロース、2,1':4,
6−ジ−O−イソプロピリデンスクロースの時にはアセ
トニトリル:メタノール=85:15を、また、4,6
−O−ベンジリデンスクロース、4,6−O−シクロヘ
キシリデンスクロースの時にはメタノールを用いた。
【0044】また、比較のため表1〜4に示す3種の比
較例リパーゼ(リパーゼ7:アスペルギルス・ニガー
(Aspergillus niger)リパーゼ(バイオキャタリスト
社製)、リパーゼ8:去勢豚膵臓リパーゼ(フルカ社
製)、リパーゼ9:ペニシリウム・ロックフォルティー
(Penicillium roquefortii)リパーゼ(フルカ社製)
を用いて、上記と同様の処理を行い、ショ糖脂肪酸エス
テルの製造を試みた。
【0045】上記実験において、実施例6種類のリパー
ゼ及び比較例3種類のリパーゼと各有機溶媒を組み合わ
せた反応により得られた6'−O−ミリストイルスクロ
ースの収量を以下の基準により比較した。
【0046】<評価基準> 0 : 6'−O−ミリストイルスクロースはほとんど得
られない 1 : 最低量の6'−O−ミリストイルスクロースが得
られた 2 : 少量の6'−O−ミリストイルスクロースが得ら
れた 3 : 相当量の6'−O−ミリストイルスクロースが得
られた 結果をショ糖ケタールとして4,6−O−イソプロピリ
デンスクロースを用いた場合については表1に、2,
1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロースを用
いた場合については表2に、4,6−O−ベンジリデン
スクロースを用いた場合については表3に、4,6−O
−シクロヘキシリデンスクロースを用いた場合について
は表4に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】この結果より、アスペルギルス・ニガーリ
パーゼ、ホグ・パンクレアティックリパーゼ、ペニシリ
ウム・ロクエフォルティーリパーゼを用いた場合には、
ショ糖脂肪酸モノエステルを全く製造できないのに比
べ、ムコール・ミエヘイリパーゼ、クロモバクテリウム
・ビスコサムリパーゼ、フミコーラ・ラヌギノサリパー
ゼ、シュードモナス・スペーシーズリパーゼ、シュード
モナス・フルオレッセンスリパーゼ、シュードモナス・
PSリパーゼ等のリパーゼを用いた場合には、どのショ
糖ケタールを原料としても、ショ糖脂肪酸モノエステル
を製造することができ、更に、ムコール・ミエヘイリパ
ーゼ、クロモバクテリウム・ビスコサムリパーゼでは、
効率のよい製造ができることがわかった。
【0052】
【実施例2】上記実施例1で用いたリパーゼ1及びリパ
ーゼ2を用いて得られる6'−O−ミリストイルスクロ
ースの収率を求める実験を行った。
【0053】上記製造例1〜4で得られたショ糖ケター
ルの1種0.065mmolとミリスチン酸15mg
(0.065mmol)の混合液に上記リパーゼ1又は
リパーゼ2の10mgと表5に示す有機溶剤(100μ
L)を加え、75℃で4日間インキュベートした。
【0054】インキュベート終了後、上記実施例1と同
様にして、反応液よりリパーゼ、未反応のミリスチン
酸、ショ糖ケタールを除去し、6'−O−ミリストイル
ショ糖ケタール粗製物を得た。更に、この6'−O−ミ
リストイルショ糖ケタール粗製物を実施例1と同様に処
理して、イソプロピリデン基、ベンジリデン基、又はシ
クロヘキシリデン基の加水分解を行い、6'−O−ミリ
ストイルスクロース粗製物を得た。
【0055】上記で得られた6'−O−ミリストイルス
クロース粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶出溶媒、クロロホルム:メタノール=20:1→
5:1)で精製し、6'−O−ミリストイルスクロース
を単離した。また、高速液体クロマトグラフィーの分析
結果より6'−O−ミリストイルスクロースの収率を求
めた。結果を表5に示す。
【0056】
【表5】
【0057】この結果より、用いるケタール化合物、溶
媒、リパーゼの種類により得られるショ糖脂肪酸モノエ
ステルの収率は多少異なるものの、本発明の製造方法で
は、総じて効率よくショ糖脂肪酸モノエステルを製造で
きるといえる。
【0058】
【実施例3】原料としてショ糖ケタールと脂肪酸、触媒
としてリパーゼを用い、揮発性有機溶剤を添加しない状
態で、エステル化反応実験を行った。
【0059】上記製造例1〜4で得られたショ糖ケター
ルの1種0.065mmolとミリスチン酸0.065
mmol(モル比1:1)の混合液に上記リパーゼ1又
はリパーゼ2の10mgを加え、有機溶剤なしで75℃
4日間のインキュベーションを行った。また、上記反応
において原料物質の混和性を促進することを目的とし
て、ミリスチン酸の量を2倍(0.13mmol(モル
比1:2))にして上記と同様のインキュベーションを
行った。更に、等モルのショ糖ケタールとミリスチン酸
を揮発性の有機溶剤(t−ブチルメチルケトン、100
μL)存在下で同様にインキュベートした。
【0060】インキュベート終了後、上記実施例1と同
様にして、反応液よりリパーゼ、未反応のミリスチン
酸、ショ糖ケタールを除去し、6'−O−ミリストイル
ショ糖ケタール粗製物を得た。更に、この6'−O−ミ
リストイルショ糖ケタール粗製物を実施例1と同様に処
理して、イソプロピリデン基、ベンジリデン基、又はシ
クロヘキシリデン基の加水分解を行い、6'−O−ミリ
ストイルスクロース粗製物を得た。
【0061】上記で得られた6'−O−ミリストイルス
クロース粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶出溶媒、クロロホルム:メタノール=20:1→
5:1)で精製し、6'−O−ミリストイルスクロース
を単離した。また、高速液体クロマトグラフィーの分析
結果より6'−O−ミリストイルスクロースの収率を求
めた。結果を表6に示す。
【0062】
【表6】
【0063】この結果から、エステル化の際に有機溶媒
を添加しない場合でも、溶媒を添加した場合と同様の結
果が得られることがわかった。
【0064】
【実施例4】原料ショ糖ケタールとして、2,1’:
4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロース粗製物と
その精製物(純度100%)を用いた実験を行った。
【0065】2,1’:4,6−ジ−O−イソプロピリ
デンスクロース精製物(純度100%、0.065mm
ol)と表7に示す各種脂肪酸(0.065mmol)
及びリパーゼ1(10mg)を用いて、又は4,6−ジ
−O−イソプロピリデンスクロースを30%以上含有す
る2,1’:4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロ
ース粗製物(0.065mmol)と表7に示す各種脂
肪酸(0.065mmol)及びキャンディダ・アンタ
ルクティカリパーゼ(リパーゼ10、ノボ・ノルディス
ク社製ノボザイム435、10mg)を用いて、各種シ
ョ糖脂肪酸モノエステルを製造した。インキュベート条
件は、有機溶剤なしで75℃4日間であった。
【0066】インキュベート終了後、上記実施例1と同
様にして、反応液よりリパーゼ、未反応のミリスチン
酸、ショ糖ケタールを除去し、6'−O−アシルショ糖
ケタール粗製物を得た。この様にして得られた6'−O
−アシルショ糖ケタール粗製物のうち6'−O−ラウロ
イルショ糖ケタール粗製物、6'−O−ミリストイルシ
ョ糖ケタール粗製物については実施例1と同様に処理し
て、イソプロピリデン基、ベンジリデン基、又はシクロ
ヘキシリデン基の加水分解を行い、6'−O−アシルス
クロース粗製物とした。また、6'−O−アシルショ糖
ケタール粗製物が6'−O−パルミトイルショ糖ケター
ル粗製物又は6'−O−ステアロイルショ糖ケタール粗
製物である場合には、これら粗製物をアセトニトリル:
水:テトラフルオロホウ酸=500:5.5:0.5v
/v溶液中に溶解して室温で8時間の撹拌を行い、イソ
プロピリデン基、ベンジリデン基、又はシクロヘキシリ
デン基の加水分解をい、6'−O−アシルスクロース粗
製物とした。
【0067】この様にして得られた6'−O−アシルス
クロース粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶出溶媒、クロロホルム:メタノール=20:1→
5:1)で精製し、6'−O−アシルスクロースを単離
した。また、高速液体クロマトグラフィーの分析結果よ
り6'−O−アシルスクロースの収率を求めた。結果を
表7に示す。
【0068】
【表7】
【0069】この結果から、本発明のショ糖脂肪酸エス
テルの製造方法においては、原料ケタール化合物は、2
種類のケタール化合物の混合物を用いた場合であっても
精製されたものを用いた場合と同様に、高収率でショ糖
脂肪酸モノエステルを得ることが明らかである。
【0070】次に、リパーゼとしてキャンディダ・アン
タルクティカリパーゼ(リパーゼ10、ノボ・ノルディ
スク社製ノボザイム435)を、ケタール化合物として
上記製造例2で得られた2,1':4,6−ジ−O−イソ
プロピリデンスクロースの粗製物(以下、2,1':4,
6−ジ−O−イソプロピリデンスクロースシロップ原液
という。)を用いてショ糖脂肪酸を製造した実施例を説
明する。
【0071】
【実施例5】 6'−O−カプロイルスクロース 2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロース
シロップ原液24.53gとカプロン酸10.05g
に、リパーゼとして1.25gのノボザイム435(ノ
ボ・ノルディスク社製)を加え、75℃で48時間イン
キュベートした。得られた混合物をエタノールに溶解し
てリパーゼを回収し、こ溶液を塩基性アルミナパッドで
濾過して未反応のカプロン酸を除去した。濾液よりロー
タリーエバポレーターでエタノールを除去し、得られた
粗製物をジエチルエーテル水溶液(1:10w/v)に
溶解させた。これに、塩化ナトリウムと炭酸カリウムを
それぞれ0.3M濃度で含有する水溶液を加え、未反応
の2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロー
スを抽出により除去した。得られた溶液に硫酸マグネシ
ウムを加えて乾燥した後、濾過し、濾液を蒸発乾固して
6'−O−カプロイル−2,1':4,6−ジ−O−イソプ
ロピリデンスクロース粗製物を得た。
【0072】得られた6'−O−カプロイル−2,1':
4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロースからショ
糖カプロン酸エステルを得るために、上記粗製物(1
9.5g)を酢酸エチル:トリフルオロ酢酸:水=9
5:3:2v/v溶液195mL中に溶解して60℃で
8時間の撹拌を行い、イソプロピリデン基の加水分解を
行った。この溶液から蒸発成分を除去し、更に残ったト
リフルオロ酢酸をエーテルと共沸して除去し、ガスクロ
マトグラフィー分析で純度80%の6'−O−カプロイ
ルスクロース16.2gを得た。
【0073】これを更にシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(溶出溶媒、クロロホルム:メタノール=20:
1→5:1)で精製し、ガスクロマトグラフィー分析で
95%を越える純度の6'−O−カプロイルスクロース
を得た。また、得られた6'−O−カプロイルスクロー
スの構造決定は、後記表8に示す高解像度FAB−MS
(高速原子衝撃マススペクトル)及び1H及び13CNM
R(13CNMRのみを表9に示す)の測定結果による。
【0074】
【実施例6】 6'−O−ラウロイルスクロース 2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロース
シロップ原液24.68gとラウリン酸11.74g
に、リパーゼとして1.25gのノボザイム435(ノ
ボ・ノルディスク社製)を加え、75℃で48時間イン
キュベートした。得られた混合物をエタノールに溶解し
てリパーゼを回収し、この溶液を塩基性アルミナパッド
で濾過して未反応のラウリン酸を除去した。濾液よりロ
ータリーエバポレーターでエタノールを除去し、得られ
た粗製物をジエチルエーテル水溶液(1:10w/v)
に溶解させた。これに、塩化ナトリウムと炭酸カリウム
をそれぞれ0.3M濃度で含有する水溶液を加え、未反
応の2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロ
ースを抽出により除去した。得られた溶液に硫酸マグネ
シウムを加えて乾燥した後、濾過し、濾液を蒸発乾固し
て6'−O−ラウロイル−2,1':4,6−ジ−O−イソ
プロピリデンスクロース粗製物を得た。
【0075】得られた6'−O−ラウロイル−2,1':
4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロースからショ
糖ラウリン酸エステルを得るために、上記粗製物(1
9.25g)を酢酸エチル:トリフルオロ酢酸:水=9
5:3:2v/v溶液193mL中に溶解して60℃で
8時間の撹拌を行い、イソプロピリデン基の加水分解を
行った。この溶液を氷冷し、沈殿物(8.47g(6'
−O−ラウロイルスクロース粗製物))を得、これを濾
過により取り出した。濾液から、蒸発成分を除去し、更
に残ったトリフルオロ酢酸をエーテルと共沸して除去
し、溶液中に残った目的物質を回収した。また、上記沈
殿物は、ガスクロマトグラフィー分析により80%を越
す6'−O−ラウロイルスクロースを含有することがわ
かった。
【0076】これを更にシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(溶出溶媒、クロロホルム:メタノール=20:
1→5:1)で精製し、ガスクロマトグラフィー分析で
97%を越える純度の6'−O−ラウロイルスクロース
を得た。また、得られた6'−O−ラウロイルスクロー
スの構造決定は、後記表8に示す高解像度FAB−MS
1H及び13CNMR(13CNMRのみを表9に示す)
の測定結果による。
【0077】
【実施例7】 6'−O−ミリストイルスクロース 2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロース
シロップ原液24.19gとミリスチン酸13.00g
に、リパーゼとして2.00gのノボザイム435(ノ
ボ・ノルディスク社製)及び25mLのトルエンを加
え、トルエンが自由に蒸発できるような状態で75℃、
48時間のインキュベーションを行った。得られた混合
物をエタノールに溶解してリパーゼを回収し、この溶液
を塩基性アルミナパッドで濾過して未反応のミリスチン
酸を除去した。濾液よりロータリーエバポレーターでエ
タノールを除去し、得られた粗製物をジエチルエーテル
水溶液(1:10w/v)に溶解させた。これに、塩化
ナトリウムと炭酸カリウムをそれぞれ0.3M濃度で含
有する水溶液を加え、未反応の2,1':4,6−ジ−O
−イソプロピリデンスクロースを抽出により除去した。
得られた溶液に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、
濾過し、濾液を蒸発乾固して6'−O−ミリストイル−
2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロース
粗製物を得た。
【0078】得られた6'−O−ミリストイル−2,
1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロースから
ショ糖ミリスチン酸エステルを得るために、上記粗製物
(15.14g)を酢酸エチル:トリフルオロ酢酸:水
=95:3:2v/v溶液150mL中に溶解して60
℃で8時間の撹拌を行い、イソプロピリデン基の加水分
解を行った。この溶液を氷冷し、沈殿物(8.48g
(6'−O−ミリストイルスクロース粗製物))を得、
これを濾過により取り出した。濾液から、蒸発成分を除
去し、更に残ったトリフルオロ酢酸をエーテルと共沸し
て除去し、溶液中に残った目的物質を回収した。また、
上記沈殿物は、ガスクロマトグラフィー分析により85
%を越す6'−O−ミリストイルスクロースを含有する
ことがわかった。
【0079】これを更にシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(溶出溶媒、クロロホルム:メタノール=20:
1→5:1)で精製し、ガスクロマトグラフィー分析で
90%を越える純度の6'−O−ミリストイルスクロー
スを得た。また、得られた6'−O−ミリストイルスク
ロースの構造決定は、後記表8に示す高解像度FAB−
MSと1H及び13CNMR(13CNMRのみを表9に示
す)の測定結果による。
【0080】
【実施例8】 6'−O−パルミトイルスクロース 2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロース
シロップ原液24.04gとパルミチン酸14.63g
に、リパーゼとして2.00gのノボザイム435(ノ
ボ・ノルディスク社製)及び25mLのトルエンを加
え、トルエンが自由に蒸発できるような状態で75℃、
48時間のインキュベーションを行った。得られた混合
物をエタノールに溶解してリパーゼを回収し、この溶液
を塩基性アルミナパッドで濾過して未反応のパルミチン
酸を除去した。濾液よりロータリーエバポレーターでエ
タノールを除去し、得られた粗製物をジエチルエーテル
水溶液(1:10w/v)に溶解させた。これに、塩化
ナトリウムと炭酸カリウムをそれぞれ0.3M濃度で含
有する水溶液を加え、未反応の2,1':4,6−ジ−O
−イソプロピリデンスクロースを抽出により除去した。
得られた溶液に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、
濾過し、濾液を蒸発乾固して6'−O−パルミトイル−
2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロース
粗製物を得た。
【0081】得られた6'−O−パルミトイル−2,
1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロースから
ショ糖パルミチン酸エステルを得るために、上記粗製物
(12.86g)をアセトニトリル:水:テトラフルオ
ロホウ酸=500:5.5:0.5v/v溶液130m
L中に溶解して室温で8時間の撹拌を行い、イソプロピ
リデン基の加水分解を行った。この溶液を氷冷し、沈殿
物(9.38g(6'−O−パルミトイルスクロース粗
製物))を得、これを濾過により取り出した。得られた
沈殿物は、ガスクロマトグラフィー分析により70%を
越す6'−O−パルミトイルスクロースを含有すること
がわかった。
【0082】これを更にシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(溶出溶媒、クロロホルム:メタノール=20:
1→5:1)で精製し、ガスクロマトグラフィー分析で
85%を越える純度の6'−O−パルミトイルスクロー
スを得た。また、得られた6'−O−パルミトイルスク
ロースの構造決定は、後記表8に示す高解像度FAB−
MSと1H及び13CNMR(13CNMRのみを表9に示
す)の測定結果による。
【0083】
【実施例9】 6'−O−ステアロイルスクロース 2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロース
シロップ原液20.66gとステアリン酸13.80g
に、リパーゼとして1.70gのノボザイム435(ノ
ボ・ノルディスク社製)及び21mLのトルエンを加
え、トルエンが自由に蒸発できるような状態で75℃、
48時間のインキュベーションを行った。得られた混合
物をエタノールに溶解してリパーゼを回収し、この溶液
を塩基性アルミナパッドで濾過して未反応のステアリン
酸を除去した。濾液よりロータリーエバポレーターでエ
タノールを除去し、得られた粗製物をジエチルエーテル
水溶液(1:10w/v)に溶解させた。これに、塩化
ナトリウムと炭酸カリウムをそれぞれ0.3M濃度で含
有する水溶液を加え、未反応の2,1':4,6−ジ−O
−イソプロピリデンスクロースを抽出により除去した。
得られた溶液に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、
濾過し、濾液を蒸発乾固して6'−O−ステアロイル−
2,1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロース
粗製物を得た。
【0084】得られた6'−O−ステアロイル−2,
1':4,6−ジ−O−イソプロピリデンスクロースから
ショ糖ステアリン酸エステルを得るために、上記粗製物
(12.24g)をアセトニトリル:水:テトラフルオ
ロホウ酸=500:5.5:0.5v/v溶液120m
L中に溶解して室温で8時間の撹拌を行い、イソプロピ
リデン基の加水分解を行った。この溶液を氷冷し、沈殿
物(9.91g(6'−O−ステアロイルスクロース粗
製物))を得、これを濾過により取り出した。得られた
沈殿物は、ガスクロマトグラフィー分析により70%を
越す6'−O−ステアロイルスクロースを含有すること
がわかった。
【0085】これを更にシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(溶出溶媒、クロロホルム:メタノール=20:
1→5:1)で精製し、ガスクロマトグラフィー分析で
98%を越える純度の6'−O−ステアロイルスクロー
スを得た。また、得られた6'−O−ステアロイルスク
ロースの構造決定は、後記表8に示す高解像度FAB−
MSと1H及び13CNMR(13CNMRのみを表9に示
す)の測定結果による。
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
【0088】
【発明の効果】本発明のショ糖脂肪酸エステルの製造方
法によれば、ショ糖ケタールと脂肪酸に、水酸基のエス
テル化を触媒する活性を有する酵素を用いてエステル化
することで、ショ糖脂肪酸エステル、特に親水性乳化剤
として耐酸性、耐塩性、可溶性に優れるショ糖脂肪酸モ
ノエステルを効率よく製造することが可能である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程を含むショ糖脂肪酸エステルの
    製造方法。 (a)ショ糖をケタール化してショ糖ケタールを生成さ
    せ、(b)得られたショ糖ケタールと脂肪酸に、ショ糖
    ケタールの水酸基のエステル化を触媒する酵素を作用さ
    せてショ糖ケタール脂肪酸エステルを生成させ、(c)
    前記ショ糖ケタール脂肪酸エステルのケタール部分(mo
    iety)を加水分解してショ糖脂肪酸エステルを生成させ
    る。
  2. 【請求項2】 ショ糖のケタール化が、主として、ショ
    糖の4位及び6位、または1'位、2位、4位及び6位
    の水酸基のケタール化である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記酵素が、ショ糖ケタールの6’位の
    水酸基のエステル化を選択的に触媒する活性を有する請
    求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記酵素がリパーゼである請求項3記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 リパーゼが、ムコール・ミーヘイ(Muco
    r miehei)、クロモバクテリウム・ビスコサム(Chromo
    bacterium viscosum)、キャンディダ・アンタークティ
    カ(Candida antarctica)から選ばれる微生物に由来す
    るリパーゼである請求項4の方法。
  6. 【請求項6】 脂肪酸が、カプロン酸、ラウリル酸、ミ
    リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸から選ばれる
    ことを特徴とする請求項1の方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008511309A (ja) * 2004-09-03 2008-04-17 ポリ・インドウストリア・キミカ・ソチエタ・ペル・アチオニ 酵素エステル交換反応によるミコフェノール酸モフェチルの調製方法
JP2010233566A (ja) * 2009-03-12 2010-10-21 Nisshin Oillio Group Ltd 糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法
JP2013208087A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Nippon Starch Chemical Co Ltd 酵素法による糖脂肪酸エステルの合成方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP4880604B2 (ja) * 2004-09-03 2012-02-22 ポリ・インドウストリア・キミカ・ソチエタ・ペル・アチオニ 酵素エステル交換反応によるミコフェノール酸モフェチルの調製方法
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