JP3545426B2 - 化粧用組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は化粧用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
皮膚のいちばん表面にあたる表皮は、角質層、透明層、か粒層、有きょく層および基底層の五層からなる重層偏平上皮で、厚さは0.1〜0.3mmである。基底層で生成した表皮細胞が皮膚の表面へ押し上げられていく間に、細胞内に硬質タンパク(ケラチン質)が生じ、ケラチン質は次第に細胞内に満ちてきて、ついに乾燥して生命を失った角質細胞となる。この間に約2週間を要し、さらにその2週間後に角質細胞はフケや垢となって表皮から剥離する。すなわち、新生した表皮細胞は約4週間で表皮から離脱する。
【0003】
健康で美しい皮膚とは(1)適度の潤いをもち、みずみずしく、柔軟で弾力性がある、(2)適度の艶と張りがある、(3)血色がよく、いきいきとした皮膚と考えられる。皮膚の健康を維持するために、皮膚腺からは絶えず水分(汗)、油分(皮脂)が分泌され、角質層の水分を10〜20%に保つように努めている。化粧品の一つの役割としては、角質層に適度の水分と油分を補い、皮膚の状態を整えることである。
【0004】
健康で美しい皮膚を維持するための化粧用組成物として、下記成分を配合したものが知られている。皮膚の角質層の水分保持に役立つ成分を総称してモイスチャライザー(moisturizer)といい、保湿剤(humectants)とエモリエント剤(emollients)に分けられる。保湿剤としては、表皮角質層に水分を保留せしめ保湿、柔軟性を保つもの、たとえば、グリセリン、プロピレングリコール(PG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ソルビトール、さらにNMF(natural moisturizing factor)の成分としても知られているdl−ピロリドンカルボン酸塩、最近真皮成分としてクローズアップしてきたヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、コラーゲンなどがある。
【0005】
従来の化粧用組成物は、上記のように保湿性の化学物質や、真皮に含有されているアミノ酸類、酸性ムコ多糖類が単独であるいは配合しているにすぎない。本来、表皮細胞と同様のタンパク質によって保湿性を付与することが、生理上望ましいと考えられる。ちなみにコラーゲンは、表皮角質層のタンパク質とは異なり含硫成分の極めて希薄なタンパク質である。一方、これまでケラチンタンパク質を化粧用組成物として、積極的に利用したケースは極めて少ない。通常、ケラチンタンパク質は市販されておらず、また化粧用組成物として、利用できる物性に加工することは極めて困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表皮角質層とほぼ同様のタンパク質を含有し、皮膚の角質層に水分や保湿成分を補給し、皮膚の状態を整える作用に優れた化粧用組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、獣毛を20〜35%の過酸化水素による酸化分解処理に付して得られる可溶化因子であって、正常ヒト表皮角化細胞の培養系において該細胞に対して毒性を示さない可溶化因子を含有する化粧用組成物に関する。
【0008】
本発明に使用し得る獣毛は典型的には羊毛であり、その他アルパカ、モヘヤ、アンゴラ、カシミヤ等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
獣毛は動物の表皮細胞が分化して形成されるもので、主成分は不溶性のケラチンタンパク質である。そのために、獣毛を化粧剤として使用するには、まず羊毛の可溶化を行なう必要がある。
【0010】
獣毛の生理活性を失活させない可溶化処理法としては、弱アルカリ性液状媒体中において比較的高濃度の酸化剤を用いる酸化分解法(特許出願中、特願平2−248456号)、獣毛の主成分であるケラチンを加水分解する各種の蛋白質分解酵素を用いる酵素法およびメルカプトエタノールやメルカプトエチルアミン等を用いる還元法等が例示されるが、本発明においては、可溶化物の安定性、容易に固体として再生できること、工業的スケールで処理できること等の関点から特に好ましい過酸化水素を用いる酸化分解法を採用する。この酸化分解法ついてはさらに詳述する。
【0011】
酸化分解法に使用する液体媒体としては水やアルコール類(例えば、メタノール、エタノールおよびプロパノール等)が一般的であり、これらは所望により2種以上併用してもよい。
【0012】
これらの液体媒体の弱アルカリ領域へのpH調整剤としては、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アミン類およびアルカリ金属炭酸塩等が例示され、これらは使用する液体媒体の種類等に応じて適宜選定すればよい。
【0013】
酸化剤として用いる過酸化水素は他の過酸化物、例えば、過酢酸や過蟻酸等に比べて安価で、取扱い易く、獣毛の可溶化後の後処理が容易で、可溶化物中に有害成分を残存させない等の理由から特に有利である。
【0014】
過酸化水素の濃度は通常は20%以上、好ましくは25〜35%である。
【0015】
獣毛の可溶化は、使用する過酸化水素の濃度および溶解媒体の種類等によって左右されるが、可溶化時間は一般に約0.1〜1.0時間である。例えば、35%過酸化水素水とアンモニアを用いてpHを約8に調整した処理水を使用する場合には、獣毛を浸漬すると約100℃近くまで自然に昇温し、1時間以内に可溶化は完了し、未溶解物はほとんど残存しない。
【0016】
上記の可溶化処理によって調製される獣毛の可溶化因子は、原料獣毛とほぼ同様のアミノ酸組成を有する分子量約1000〜約2,000,000のペプチドである。
【0017】
なお、獣毛の可溶化処理によって、獣毛に含まれるシスチンが分解もしくはシステイン酸等のシスチン誘導体に変化することがあるが、可溶化因子の生理活性はこれらの生成物の影響は受けない。
【0018】
上記の可溶化処理によって得られる分子量約1000〜2,000,000のペプチド[主成分は分子量数千〜数十万のペプチドである]から成る可溶化因子はそのまま使用してもよいが、製造工程等で混入する不純物や処理剤等も除去するために、さらに分離精製処理に付した後、使用に供すればよい。分離精製法としては、当該分野で常用されている手段、例えば、溶媒による分画、塩析、pH処理および各種クロマトグラフィー等を適宜利用すればよい。この場合、目的に応じて特定の成分を分離して使用してもよい。
【0019】
可溶化された獣毛は、目的とする化粧製品の種類にあわせて、都合のよい状態でタンパク質として再生することができる。例えば、基礎化粧品として利用される化粧水の場合、タンパク質の溶解性が重要となる。上記獣毛タンパク質溶液に酸を添加してゲル化させエタノールと混合して得られる再生タンパク質(乾燥して粉末)は、かなり可溶性である。したがって、化粧水の組成物として適している。一方、収れん性化粧水の配合成分である亜鉛あるいはクエン酸を用いると、酸化分解により可溶化された獣毛タンパク質を回収することができる。したがって、収れん性化粧水および粉末パック剤の組成物としても利用することができる。なお、本発明においては、上記の獣毛の可溶化因子の少なくとも一部を、常法に従って化学的に変性した可溶化因子を使用してもよい。例えば、獣毛の可溶化因子の無水コハク酸によるスクシニル化またはエピクロルヒドリンやエチレンオキシド等によるヒドロキシル化によって親水基を導入し、該可溶化因子の水溶性を向上させてもよい。
【0020】
本発明の化粧用組成物は、獣毛の可溶化因子の他に、化粧用組成物に通常用いられるアルコール、保湿剤、可溶化剤、香料、防腐剤、その他の成分を含み、精製水にて調製することにより得られる。
【0021】
獣毛の可溶化因子の配合量は、化粧用組成物の全重量に対して、0.1〜5.0重量%である。
【0022】
アルコールとしてはエタノール、イソプロパノール等が挙げられ、その配合量は化粧用組成物の全重量に対して0〜30重量%が好ましい。
【0023】
保湿剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール(200、400、1000、1500、4000)、多価アルコール、糖類、アミノ酸類等が挙げられ、その配合量は化粧用組成物の全重量に対して0〜15重量%が好ましい。
【0024】
可溶化剤としては、HLBの高い界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられ、その配合量は化粧用組成物の全重量に対して0〜3.0重量%が好ましい。
【0025】
香料、防腐剤の配合量は適量でよい。
【0026】
その他の成分としては、エモリエント剤(オレイルアルコール等)、着色料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、収れん剤(パラフェノールスルホン酸亜鉛等)等が挙げられる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中「%」は「重量%」を示す。
【0028】
製造例
羊毛100gに35%過酸化水素水500mlを加え、アンモニア水にてpHを8.3に調整した。これを室温で1時間放置し羊毛が可溶化されたのを確認後、酢酸でpHをさげた。この液にアルコールを加え一晩放置した。次いで、上清を捨て、沈澱として回収された羊毛タンパク質をアルコールで更に洗浄した。最後にアセトンで洗浄し風乾した。この操作により約70gの極淡黄色、無味無臭の粉末(羊毛の可溶化因子)が得られた。
【0029】
得られた可溶化因子について種々のpHの緩衝液およびアルコールに対する溶解性を調べた。表1に示すように、この方法で得られた可溶化因子はpH7〜9、特にpH8以上でよく溶解した。また、50%以下のアルコールでも良く溶解した。
【0030】
【表1】
Figure 0003545426
【0031】
次いで本因子のアミノ酸組成を分析した。原料の羊毛と得られた可溶化因子を比較したところ、シスチン以外のアミノ酸については両者に大きな差は認められなかった(表2参照)。可溶化因子は、酸化分解の過程でシスチンが酸化されて生成するシステイン酸を含んでいた。
【0032】
【表2】
Figure 0003545426
【0033】
実施例1および比較例1
製造例と同様にして得られた羊毛タンパク質の粉末を用いて下記の処方で化粧水組成物を調製した。
タンパク粉末 2.0%
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸
エステル(20E.O.) 2.0%
オレイルアルコール 0.1%
エタノール 10.0%
香料 0.1%
着色料、酸化防止剤 適宜
(精製水にて全量を100mlとした。)
上記化粧水を皮膚に施したところ、皮膚を柔軟に水分を保有させしっとりさせた。タンパク粉末の代わりにポリエチレングリコール1000を用いた化粧水(比較例1)を調製し、上記化粧水と比較したところ、上記本発明法による化粧水では6時間後でも効果が残っていたにもかかわらず、ポリエチレングリコール1000使用のものは効果がほとんど残っていなかった。
【0034】
実施例2および比較例2
実施例1と同様に羊毛を可溶化した。次いでクエン酸20g/1000ml水溶液と混合した。2時間放置後、上清を捨て沈澱として回収された羊毛タンパク質をさらに上記クエン酸水溶液で洗浄した。その後、減圧乾燥して約60gの淡黄色粉末が得られた。この粉末を用いて下記処方で化粧水組成物を調製した。
タンパク粉末 3.0%
グリセリン 1.0%
エタノール 15.0%
香料 0.2%
可溶化剤 1.0%
(精製水にて全量を100mlとした。)
上記化粧水は皮膚に適用したところ、皮膚を快くひきしめ収れん性が認められた。実施例2の処方からタンパク粉末を除いた組成物(比較例2)を調製し、実施例2の化粧水と比較したところ、収れん性は認められなかった。
【0035】
実施例3
実施例2と同じタンパク粉末を用いて下記の組成物を調製した。
タンパク粉末 2.0%
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.1%
ソルビット 2.0%
グリセリン 2.0%
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.) 1.0%
香料 0.1%
エタノール 15.0%
防腐剤 適量
(精製水にて全量を100mlとした。)
上記化粧水は収れん性を示すとともに、日焼け後の皮膚を正常に回復する効果が認められた。即ち、日焼け後、上記化粧水を3日間塗布した場合とそうでない場合を比較したところ、化粧水を塗布した場合では3日後にひきしまった潤いのある状態に回復したが、塗布しない場合では3日後でも十分には回復しなかった。
【0036】
実施例4および比較例3
実施例1と同じタンパク粉末を用いて下記の化粧水を調製した。
タンパク粉末 0.5%
グリセリン 2.0%
プロピレングリコール 2.0%
オレイルアルコール 0.1%
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸
エステル(20E.O.) 1.5%
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(20E.O.) 0.3%
エタノール 10.0%
香料 0.1%
防腐剤・紫外線吸収剤 適量
(精製水にて全量を100mlとした。)
上記処方からタンパク粉末を除いた化粧水(比較例3)を調製し、実施例4の化粧水と比較したところ、肌あれした手では、いずれも柔軟化効果が認められた。しかし、タンパク粉末を加えた場合は肌に艶が出てしっとりとしたのに対し、加えない場合には肌の潤いと艶は十分には回復しなかった。
【0037】
実施例5および比較例4
下記のクリームを実施例1で用いたタンパク粉末で調製した。
タンパク粉末 2%
ステアリン酸 1%
ステアリルアルコール 5%
還元ラノリン 2%
スクワラン 5%
オクチルドデカノール 6%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(25E.O.) 3%
親油性モノステアリン酸グリセリン 2%
プロピレングリコール 5%
精製水 68%
香料・防腐剤・酸化防止剤 適量
上記処方からタンパク粉末を除いたクリーム(比較例4)を調製し、実施例5のクリームと比較したところ、タンパク粉末を加えたクリームはタンパク粉末を含まないものに比べて保湿効果が大であった。
【0038】
実施例6
倉敷紡績(株)製造のニュートラルレッドバイオアッセイにて、実施例1および実施例2で用いたタンパク粉末の毒性(細胞毒性)を検定した。いずれのタンパク粉末も毒性は示さなかった。なお、検定法の概要を以下に示す。
【0039】
1) 96穴プレートの準備
2次培養の正常ヒト表皮角化細胞をトリプシンで剥離した後、トリプシン中和液でトリプシン活性を止め、細胞を集める。細胞を遠心分離し、KGM(表皮角化細胞増殖培地)に再分散し、セルカウントする。所定量の細胞を96穴プレートのウエルに植え込む。プレートを3日間、37℃、5%CO2、飽和水蒸気のインキュベーターにて培養する。
【0040】
2) テスト試薬の投入
コントロールウエルには新鮮なK−GMを加え、他のウエルにはK−GMで種々に希釈したテスト試薬を加える。プレートをさらに2日間インキュベートする。
【0041】
3) ニュートラルレッド(3−アミノ−7−ジメチルアミノ−2−メチルフェナジンハイドロクロライド、M.W.288.8)の摂取
ニュートラルレッドのK−GM溶液を各ウエルに加える。プレートを3時間インキュベートする。この時に生きた表皮角化細胞のリソソームにニュートラルレッドが蓄積される。テスト試薬によりリソソーム膜や原形質膜の損傷した細胞は、ニュートラルレッドを取り込めない。
【0042】
4) 洗浄・固定、染料抽出、エンドポイント法による測定
染料液を捨て、ホルマリン・塩化カルシウム水溶液で短時間固定し取り込まれなかった染色液を除くと同時にプレートへの角化細胞の吸着を高める。次にウエルを酢酸・エタノール混合液で処理し、取り込まれたニュートラルレッドを抽出する。次に各ウエルについて生細胞の数に比例した吸光度を540nmの波長でマイクロプレートリーダーにて測定する。無処理のコントロールでのニュートラルレッドの取り込み量に対するテスト試薬での取り込み量の百分率を計算しNR50を求める(NR50はコントロール培養に対して処理細胞培養によるニュートラルレッド取り込み量が50%に減少するときのテスト試薬の濃度)。
【0043】
実施例7
獣毛の可溶化因子2.5gを水50mlに懸濁し、30℃で撹拌下、無水コハク酸1gを1時間おきに4回添加しスクシニル化を行なった。尚、反応液のpHは1NNaOHを添加することにより、6〜9に保った。反応終了後、凍結乾燥することにより、スクシニル化された獣毛の可溶化因子を白色粉末として8.41g得た。
スクシニル化度は反応液の1部をサンプリングし、ニンヒドリン比色法で遊離アミノ基量を定量することにより、測定した。結果を以下の表3に示す。
【0044】
【表3】
Figure 0003545426
【0045】
上記の可溶化因子およびスクシニル化物の水に対する溶解度を以下の表4に示す。表4から明らかなように、スクシニル化によって溶解性は著しく向上する。
【0046】
【表4】
Figure 0003545426
【0047】
また、上記の可溶化因子およびスクシニル化物の界面活性力を測定し、結果を以下の表5に示す。界面活性力の評価は、スクシニル化物0.1%(w/v)水溶液3mlと大豆油1mlとを試験官へ入れ、ラボディスパーザにて乳化させ(12,000rpm、1分間)、該乳化液100μlをSDS0.1%水溶液5mlで希釈した後、濁度(660nmの吸光度)を測定することによっておこなった。
【0048】
【表5】
Figure 0003545426
【0049】
実施例8
実施例1で調製した化粧水組成物中のタンパク粉末および可溶化剤のかわりに実施例7で調製したスクシニル化物を用い、下記処方で化粧水組成物を調製した。
スクシニル化物 3.0%
オレイルアルコール 0.1%
エタノール 10.0%
香料 0.1%
着色料、酸化防止剤 適宜
(精製水にて全量を100mlとした。)
上記化粧水の調製は、作業性、分散性が実施例1のものより良く又、皮膚に適用したところ、皮膚を柔軟に水分を保有させ、しっとりさせた。
【0050】
実施例9
実施例5で調製したクリーム中のタンパク粉末および可溶化剤親油性モノステアリン酸グリセリンのかわりに実施例7で調製したスクシニル化物を用い下記処方でクリームを調製した。
スクシニル化物 3.0%
ステアリン酸 1.0%
ステアリルアルコール 5.0%
還元ラノリン 2.0%
スクワラン 5.0%
オクチルドデカノール 6.0%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(25E.O.) 0.5%
プロピレングリコール 5.0%
精製水 72.0%
香料、防腐剤、酸化防止剤 適宜
上記クリームの調製は、分散性が実施例5のものに比べて良く、乳化安定性と保湿効果もともに向上していた。
【0051】
実施例10
スクシニル化物 5.0%
ステアリン酸 1.0%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(25E.O.) 0.1%
精製水 93.0%
香料、防腐剤、酸化防止剤 適宜
上記組成の乳化組成物を調製し、加圧下(3〜5kg/cm2)、液化ガス(LPG)と混合した。同混合物を直径5mmの穴から噴出させ、発泡させた。この泡を毛髪に適用したところ、速やかに消泡し、毛髪になじみやすく、べたつきのない、しっとりとした毛髪に整髪された。
【0052】
【発明の効果】
本発明の獣毛の可溶化因子を含有する化粧用組成物は、皮膚の角質層に水分や保湿成分を補給し、皮膚の状態を整える作用に優れており、また、表皮細胞と同様のタンパク質を配合しているので生理上望ましいと考えられる。
また、エモリエント剤として代表的なラノリンは獣毛、特に羊毛と生態学上、近密な関係にあるので、本発明の化粧用組成物に含まれる羊毛タンパク質とエモリエント剤とは極めて自然に適合することができる。
更に、羊毛タンパク質は表皮細胞の増殖を促進し、この作用により皮膚を常に若々しく保つ効果がある。
なお、本タンパク質はドレイズ試験代替法であるニュートラルレッドバイオアッセイ(倉敷紡績株式会社から市販されているテストキットを使用)による検定からも明らかなように毒性を示さず極めて安全性の高いものである。

Claims (4)

  1. 獣毛を20〜35%の過酸化水素による酸化分解処理に付して得られる可溶化因子(分子量約1000〜約2,000,000のペプチド)であって、正常ヒト表皮角化細胞の培養系において該細胞に対して毒性を示さない可溶化因子を含有する化粧用組成物。
  2. 獣毛が羊毛である請求項1記載の化粧用組成物。
  3. 請求項1または2記載の可溶化因子の少なくとも一部を化学的に変性した可溶化因子を含有する化粧用組成物。
  4. 親水基を導入した可溶化因子を含有する請求項3記載の化粧用組成物。
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