JP3545317B2 - 食器洗い機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は食器洗い機に関し、更に詳しくは、食器洗い機における制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
食器洗い機は、食器類を収容した洗浄室に給水源から水を供給し、この洗浄室の底部に貯留した水を洗浄ポンプにより洗浄ノズルへ送り、洗浄ノズルから食器類に水を噴射することにより食器類の洗浄及びすすぎを行う構成を備えている。
【0003】
このような食器洗い機では、洗い運転や乾燥運転を遂行するために必要な各駆動部、例えば洗浄用ポンプ、給水バルブ、ヒータ、ブロアモータなどの動作は、CPUを含むマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略す)により統括的に制御される。より正確に言えば、マイコンに格納されている制御プログラムをCPUで実行することにより、各駆動部を制御するための制御信号が得られるようになっている。
【0004】
このような制御プログラムの実行の過程では、例えば、運転時間、温度制御目標値等各種パラメータが利用される。これらパラメータはその食器洗い機の構造や構造部品の材質などに依存していることが多く、例えば同一メーカが製造しているものであっても、機種毎にパラメータを変更する必要があることが殆どである。つまり、運転の実行手順などを定めた制御プログラムの基本は同一であったとしても、パラメータは機種に応じて異なったものとしなければならない。
【0005】
通常、制御プログラムはマイコンに内蔵されたROMに格納され、安価なマイコンではROMのデータはマイコンの製造工程で同時に作成される。したがって、パラメータの相違する制御プログラムを搭載したマイコンはそれぞれ別物であり互換性はない。そのため、機種毎に異なる種類のマイコンを用意する必要があり、量産性に不利であるからコストが高いものとなる。
【0006】
このような課題に対し、各機種に共通に利用可能な制御プログラムと機種毎に相違するパラメータとを分離し、マイコンにはその制御プログラムのみを格納し、パラメータはマイコンとは別体の記憶素子(例えばEEPROM)に格納し、マイコンと該記憶素子とを通信可能に結線するという方法がある。例えば電源投入時に、マイコンは記憶素子からデータを読み込んで内部のRAMに一時的に保存し、このパラメータを利用しつつ制御プログラムを実行することにより所定の制御を遂行する。このような方法によれば、マイコンは各機種に共通に利用することができ、機種毎に異なるパラメータを記憶させた記憶素子を用意すればよい。上記記憶素子はマイコンよりも遙かに単価が安く、しかもマイコン自体も量産効果によってコストの削減が期待できる。このような手法は、例えば一部の洗濯機などの電気機器に採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この手法の欠点は、何らかの原因でマイコンと記憶素子との間の通信に不具合が生じてデータの転送が行えなくなった場合に、制御プログラムを実行することができなくなる点にある。勿論、このような不具合は頻繁に発生するものではなく、その多くは、電気基板の断線、接触不良などであると想定できるから、一種の故障とみなすことができ、その結果、その製品が動作しなくなることは許容し得る、つまり修理が必要であるとしても不都合はあまりない。
【0008】
ところが、上述したような通信異常の結果、運転動作以外であって、本来ならば正常に遂行されるべき異常検知動作が行えなくなり、安全性を損なったり、ユーザの財産に損害を与えたりすることは避けなければならない。食器洗い機に関して言えば、洗浄庫底部に貯留された水を加熱するためにヒータが設けられており、温度センサによる検知温度をマイコンにフィードバックすることにより所定温度以上に加熱が行われないような異常加熱防止策を採っているが、例えば上記不具合によって、このような異常防止動作まで停止してしまうことは望ましくない。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、異なる機種に対してマイコンを共通に使用可能とすることによりコスト削減が可能になるとともに、マイコンと記憶素子との間の通信異常時にも異常対策動作が確実に実行されるような食器洗い機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段、及び発明の実施の形態】
上記課題を解決するために成された本発明は、機枠内部に形成された洗浄庫の底部に水を貯留し、その水をポンプにより吸引してノズルから洗浄庫内に噴出させることにより、該洗浄庫内部に収容された食器類を洗浄する食器洗い機であって、各部の動作を制御するための制御プログラムを格納したマイクロコンピュータと、このマイクロコンピュータとは別体であってマイクロコンピュータと電気的に接続され、前記各部の動作に必要なパラメータを記憶した記憶素子とを有し、前記マイクロコンピュータは前記記憶素子から前記パラメータを読み込んで内部に一時的に記憶し、このパラメータを利用しつつ制御プログラムを実行することにより各種動作を行うものにおいて、前記マイクロコンピュータは、
a)前記パラメータに含まれる異常検知動作及び/又は異常対策動作に関連した第1のデータに相当する第2のデータを保持しておく記憶手段と、
b)前記記憶素子との間の通信の異常を検知する通信異常検知手段と、
c)通信異常が検知されなかった場合には前記第1のデータを利用する一方、通信異常が検知された場合には前記第2のデータを利用することにより、異常検知動作及び/又は異常対策動作を遂行する異常時処理手段と、
を備えることを特徴としている。
【0011】
本発明に係る食器洗い機では、制御プログラムと、その制御プログラムを実行する際に用いられる各種数値等を表すパラメータとは、マイクロコンピュータとそれとは別体(別のIC)の記憶素子とに分離して格納されるものの、そのパラメータの中で異常検知動作や異常対策動作に関連した第1のデータに相当する第2のデータは、マイクロコンピュータの記憶手段に保持される。ここで、「第1のデータに相当する第2のデータ」とは、第1のデータと第2のデータとが共に、異常検知動作や異常対策動作の上で同じ意味付けを持つデータであるということであって、両者が同一の値である場合も異なる値である場合もあり得る。両者は、後述のような或る条件の下に適切に設定される。
【0012】
通信異常検知手段は、マイクロコンピュータが記憶素子からパラメータを読み込む際に又は読み込み動作を行った直後に、通信の異常があったか否か、換言すれば、読み込まれたパラメータが信頼に足るものであるか否かを判定する。通信異常が検知されなかった場合には、読み込まれたパラメータは信頼し得るものであるから、異常時処理手段は、読み込んだパラメータの一部である第1のデータを用いて、異常検知動作及び/又は異常対策動作を遂行する。一方、通信異常が検知された場合には、読み込まれたパラメータの信頼性は乏しいから、予め記憶手段に保持されている第2のデータを利用することにより、異常検知動作及び/又は異常対策動作を遂行する。
【0013】
具体的には、第2のデータは、種々の条件に応じて相違する第1のデータを考慮して、異常検知動作及び/又は異常対策動作の際の安全や余裕を見込んだものとすることが好ましい。ここで、種々の条件とは、例えば、当該食器洗い機の構造、構造物・部品の材質などの相違、規格の変更などに対応したものであり、更に言えば、機種の相違に対応して相違し得るものである。したがって、値の異なる複数の第1のデータが想定し得る場合には、その中で安全性等の観点から最も厳しい値を選択し、その値を第2のデータとするか、或いは更に余裕を見込んだ値を第2のデータとするのがよい。
【0014】
また、上記異常時処理手段は、例えば、洗浄庫内の貯留水又は空気を加熱するためのヒータの加熱異常を検知するものであり、前記第1及び第2のデータはその異常検知の温度に対応するものとすることができる。
【0015】
また、上記異常時処理手段は、洗浄庫内に貯留された水の水位の異常を検知するとともにその対策を行うものであり、前記第1及び第2のデータは洗浄庫に貯留した水を機外へ排出するための排水ポンプの排水能力に対応するものとすることもできる。
【0016】
また、本発明に係る食器洗い機では、この食器洗い機に商用電源を供給するための電源プラグが電源コンセントに挿入されると、前記マイクロコンピュータ及び記憶素子に通電が行われ、その通電開始の直後に該マイクロコンピュータは記憶素子からのパラメータの読み込みを実行する構成とすることができる。
【0017】
この構成では、パラメータの読み込みの際又は読み込み直後に通信異常検知手段により通信異常が検知されると、そのあと電源スイッチがオンされた時点で異常報知手段により異常の報知を行うようにするとよい。これにより、ユーザに迅速に異常を警告し、電源スイッチをオフする等の適切な処置を促すことができる。
【0018】
更にまた、そのような異常報知のあと、電源スイッチが一旦オフされ再度オンされたならば、前記マイクロコンピュータは記憶素子からのパラメータの読み込みを再度実行する構成とすると一層好ましい。先にパラメータの読み込みを実行した際に、外部雑音などの一時的な通信障害により通信異常であった場合、再度、パラメータの読み込みを行うときには通信が正常である確率がきわめて高い。したがって、この構成によれば、再度読み込んだ信頼性の高いパラメータを用いて運転動作を行うことができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明に係る食器洗い機によれば、電気配線の断線・接触不良などのハードウエアの不具合やサージなどの雑音の混入により、記憶素子からマイクロコンピュータへのデータの送信が正常に行われず、各種運転動作に必要なパラメータがマイクロコンピュータの内部に用意できなかった場合でも、予め記憶手段に格納されているパラメータを用いて、少なくとも異常検知動作や異常対策動作のみは実行することができる。したがって、ユーザに身体的被害或いは物的被害を与えるような異常の発生を回避することができ、高い安全性、信頼性を維持することができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の一実施例による食器洗い機を図面を参照して説明する。
図1は、本実施例による食器洗い機の縦断面図である。この食器洗い機は、例えば台所のシンクの側方の狭いスペースに設置が可能であるように、奥行が小さな薄型構造となっている。
【0021】
機枠1の内部には乾燥室を兼用する洗浄庫2が配設され、洗浄庫2の前面開口には、その上端及び下端でそれぞれ軸支される上部ドア3及び下部ドア4が、図1中の矢印A及びBの方向に回動しつつ開放するように取り付けられている。洗浄庫2の底部には、上面に複数の吐水口6が形成された回転自在のアーム5が設けられている。この食器洗い機では洗浄庫2の幅が奥行よりも大きいため、1本のアームだけでは洗浄庫2内の両側方部まで水が行き渡らない。そこで、回転時に上記アーム5と干渉しない位置に並んで、図示しない他のアームが設けられている。洗浄庫2の底部には貯水槽7が連通して配設されており、貯水槽7の側方には循環口8及び排水口9が設けられている。更に、貯水槽7には、食器類から流れ落ちた残菜類を捕集するためのフィルタ10が着脱自在に設けられている。
【0022】
洗浄庫2の側方には図示しない給水口が配設されており、給水バルブが開かれると、外部の水道栓等から供給された水が給水口を通して洗浄庫2内に注がれる。また、洗浄庫2に連通してフロートを備えた水位検知室が設けられており、洗浄庫2内に注水された水はその水位検知室にも流れ込み、フロートの上下動により、洗いやすすぎを行うための正常水位や過剰な量の水が貯留されている場合の異常水位の検知が行えるようになっている。
【0023】
洗浄庫2の底面下方には洗浄兼排水ポンプ11が配置されている。洗浄兼排水ポンプ11は、その内部に洗浄用インペラと排水用インペラとを同軸に有しており、洗浄用インペラを備えた洗浄ポンプ室の吸入口111は循環口8に接続され、吐水口112は水平方向に延在して配設された通水路12を介してアーム5内の水路(及び図示しない他のアーム内の水路)に連通している。また、排水用インペラを備えた排水ポンプ室の吸入口は排水口9に接続され、吐水口は図示しない排水ホースを介して機外に連通している。洗浄兼排水ポンプ11のポンプモータが正転方向に回転駆動されると、洗浄用インペラの作用により、循環口8を通して貯水槽7から吸い込んだ水をアーム5へと圧送する。一方、排水時には、ポンプモータは逆転方向に回転駆動され、排水用インペラの作用により、排水口9を通して貯水槽7から吸い込んだ水を排水ホースを通して機外へと排出する。
【0024】
なお、図1には現れないものの、洗浄庫2の底部(貯留水位よりも低い位置)には、洗浄庫2内に貯留された水を温めるとともに乾燥時には洗浄庫2内の空気を加熱するためのループ状のシーズヒータが配設されている。更にまた、洗浄庫2の底部の洗浄兼排水ポンプ11の横にはブロアモータにより回転駆動される送風ブロアが配設されており、送風ブロアが回転されると、機枠1の底面に形成された吸気口から吸い込まれた外気が洗浄庫2内へと導入される。
【0025】
図2は、本実施例による食器洗い機の要部の電気系構成図である。制御の中心にはマイコン20が据えられ、そのマイコン20との間で通信可能に、電気的にデータ消去可能なROMであるEEPROM21が接続されている。マイコン20には、負荷駆動回路22を介してポンプモータ15、給水バルブ16、ヒータ17及びブロアモータ18が接続され、また、入力キー回路24、LED表示回路25、温度センサ26、異常水位検知スイッチ27、オートパワーオフ回路23も接続されている。
【0026】
機外の電源コンセントを介して接続される商用交流電源28は、電源スイッチ30の一方の端子と、ポンプモータ15と、第1電源回路29とに接続されている。この第1電源回路29は、マイコン20、EEPROM21、負荷駆動回路22及び異常水位検知スイッチ27に直流電源電流を供給する。したがって、電源スイッチ30のオン/オフに関係なく、これら各部には常に電源電流が供給されるようになっている。電源スイッチ30の他方の端子はドアスイッチ31の一方の端子に接続され、ドアスイッチ31の他方の端子には給水バルブ16、ヒータ17及びブロアモータ18が接続されている。したがって、これら各部には、電源スイッチ30及びドアスイッチ31が共にオンしたときだけ、商用交流電源電流が供給されるようになっている。
【0027】
電源スイッチ30及びドアスイッチ31のオン/オフは、それぞれ電源スイッチ検知回路32及びドアスイッチ検知回路33により検知されてマイコン20に入力される。また、電源スイッチ30がオンされると第2電源回路34に電源電流が供給され、これにより第1電源回路29及び商用交流電源28から直接的に電源電流が供給される部分以外の各部(例えば入力キー回路24、LED表示回路25など)に電源電流が供給される。なお、図2中ではこの電源線は記載を省略している。
【0028】
マイコン20は、CPU201、RAM202、ROM203などを含んで構成されており、ROM203には運転動作等の各種の制御を実行するための制御プログラム204と異常検知及び異常対策用の共通データ205とが格納されている。一方、EEPROM21には、異常検知及び異常対策動作を含む運転動作の各種制御の際に必要なパラメータ(例えば洗浄運転時間、排水時間、乾燥運転時間、洗浄兼排水ポンプ11のオン/オフ駆動時間、水温の制御値など)が格納されている。
【0029】
本食器洗い機は、マイコン20のROM2O3に格納されている制御プログラム204とEEPROM21に格納されているパラメータとを組み合わせることによって、所望の運転動作が可能になる。本来、EEPROM21に格納されているパラメータもマイコン20のROM2O3に予め格納しておくことが可能ではあるが、このように制御プログラム204とパラメータとを分離させることにより次のような利点がある。
【0030】
すなわち、或るメーカから市販される食器洗い機は、複数機種であることが普通である。これらは容量(洗える食器の数)や設置形態(例えば卓上設置タイプや流し台へのビルトインタイプなど)等が相違しているが、基本的な運転動作の手順(つまり運転動作のための制御プログラム)は同一であることが多い。ただ、構造の差異に応じて上記パラメータは変更する必要がある。そのため、制御プログラムとパラメータとの両方をマイコンに格納しておく構成では、各機種毎に異なるマイコンを用意する必要がある。これに対し、本食器洗い機のように、制御プログラムとパラメータとを分離しておけば、各機種に同一のマイコンを使用し、EEPROMだけを機種毎に用意すればよい。EEPROMはマイコンよりもコストが格段に低く、しかもマイコンを共通化することにより量産によるコスト低減も期待できる。
【0031】
本食器洗い機では、電源供給が可能となった時点において、EEPROM21のデータをマイコン20のRAM202に取り込む。そのあと、始めて全ての運転動作が可能となる。ところが、例えばEEPROM21のICと電気基板のパッドとの接触不良、マイコン20とEEPROM21とを接続する電気配線パターンの断線、或いは、サージ等の特殊な外部雑音の影響等によって、マイコン20とEEPROM21との間の通信が正常に行われないことが稀にある。このような通信異常が生じた場合、上述したように正常な運転動作を遂行することはできないが、運転時以外でも起こり得る種々の異常検知及び対策に関しては、確実に行えるようにしている。
【0032】
このための特徴的な処理について次に説明する。図3〜図5は、主としてマイコン20とEEPROM21と間での通信処理に関する動作を示すフローチャートである。
【0033】
ユーザにより電源プラグが電源コンセントに挿入される、つまり商用交流電源28が接続されると(ステップS1)、第1電源回路29よりマイコン20及びEEPROM21に通電され、これらが起動する。まず、マイコン20はEEPROM21に対して通信要求信号を送り、これに応じてEEPROM21は内部に保持しているデータを順次送信する。送信されたデータは、マイコン20のRAM202の所定領域に順次格納される(ステップS2)。このデータには、全てのデータが正しく送信された否かをチェックするためのエラー検出データが付加されており、マイコン20は全てのデータの取り込みを完了したあとに、このエラー検出データを用いてデータ取り込みの成否を判定する(ステップS3)。判定の結果、データ取り込みが成功である場合にはフラグFを「1」、データ取り込みが失敗である場合にはフラグFを「0」に設定する。なお、通信異常を検出するためには、エラー検出データ以外に各種方法を利用できる。
【0034】
データ取り込みの成否が判定されたあと、マイコン20は電源スイッチ受付待機モードに移行する(ステップS4)。マイコン20が電源スイッチ受付待機モードにあるとき、入力キー回路24やLED表示回路25には通電されていないから、LED表示回路25の表示器は全て消灯し、スタートキー241を含む全ての入力キーは受け付け不能な状態を維持する。また、負荷駆動回路22に接続された各部の動作は後述の特殊な場合を除いて停止している。
【0035】
上記電源スイッチ受付待機モードへの移行と同時に、マイコン20は異常検知処理を開始する(ステップS5)。この異常検知処理では、必要に応じて異常検知用パラメータが利用されるが、フラグFが「0」である場合、つまり上記データ取り込みが失敗である場合には、予め内蔵されている共通データ205が利用され、フラグFが「1」である場合、つまり上記データ取り込みが成功である場合には、RAM202に格納されたデータが利用される。なお、一旦、異常検知処理が開始されると、後述のように再度のデータ取り込みを実行している間を除いて、電源プラグが抜かれるまで異常検知処理は継続される。
【0036】
異常検知処理としては、例えば異常水位検知処理がある。すなわち、異常水位検知スイッチ27のオン動作を随時監視し、もし異常水位検知スイッチ27がオンしたならば、例えば給水バルブ16の閉鎖不良等により洗浄庫2内への注水が停止しない状態になっていると判断する。そこで、負荷駆動回路22を介してポンプモータ15が排水ポンプとして機能するように作動させ、洗浄庫2内の貯留水を機外へと排出する。これにより、たとえ電源スイッチ30がオンされる以前であっても、洗浄庫2から機外へ水が溢れ出ることを未然に防止できる。
【0037】
電源スイッチ受付待機モード中には、マイコン20は電源スイッチ検知回路32により、電源スイッチ30がオンされたか否かを繰り返しチェックする(ステップS6)。ユーザが電源スイッチ30をオンすると、これを検知したマイコン20はフラグFが「1」であるか否かを判定する(ステップS7)。フラグFが「1」でない場合にはデータ取り込み異常であるから、ユーザの注意を喚起するために、マイコン20は所定の異常報知を行う(ステップS8)。具体的には、例えばLED表示回路25に特殊な表示を行うとともに、図示しない異常報知用ブザーを鳴動させる。このときには、運転動作に必要なパラメータがRAM202に格納されていないから、通常の運転を実行することはできない。そのため、入力キー回路24のキー操作は受け付けないが、上記異常検知処理は継続して行う。
【0038】
このように電源スイッチ30がオンされたあとに特に重要となる異常検知処理の一つとして、温度センサ26を利用した異常温度検知処理がある。図6は、本食器洗い機における異常温度検知処理のフローチャートである。
【0039】
異常温度検知処理では、マイコン20はまず温度センサ26により温度Tを検知する(ステップS20)。温度センサ26はサーミスタであって、洗浄庫2の下部を形成する洗浄タンクに密着して設けられている。マイコン20は、検知温度Tが許容温度T1以上であるか否かを判定する(ステップS21)。ここで、許容温度T1は後述のような条件により変化し得る値である。検知温度Tが許容温度T1未満である場合には、そのままこのルーチンを終了する。一方、検知温度Tが許容温度T1以上である場合には、過熱によるヒータ17の断線、洗浄庫2やその他部品の変形・破損などの恐れがある。そこで、所定の異常報知(上記データ取り込み異常を知らせる異常報知とは識別可能であることが好ましい)を行ったあとに(ステップS22)、オートパワーオフ回路23を作動させて、電源スイッチ30のオフ操作を待つことなく電源を自動的に遮断する(ステップS23)。
【0040】
この異常温度検知処理について、具体的な数値を挙げて更に説明する。図7は食器洗い機における許容温度T1を説明するための図である。この種の食器洗い機では、洗浄庫2を構成する洗浄タンクは、機種によって、ステンレス製のものと合成樹脂(例えばポリプロピレン系樹脂)製のものとがある。後者は前者よりも耐熱温度が低いので、後者を採用した機種では、異常温度検知のための許容温度T1を低めに設定しておく必要がある。
【0041】
そこで、例えば、合成樹脂製の洗浄タンクを採用した機種では、許容温度T1を75℃としたデータをEEPROM21Bに格納しておき(図7(B)参照)、ステンレス製の洗浄タンクを採用した機種では、許容温度T1を85℃としたデータをEEPROM21に格納しておく(図7(A)参照)。一方、マイコン20のROM203には、上記2機種を含めてこのマイコン20を用いる複数機種の中で最も低い許容温度、又は更に安全を見込んでより低く設定した許容温度を共通データ205として格納しておく。例えば、この例では、共通データ205の許容温度T1は60℃としておく(図7(A)及び(B)参照)。
【0042】
いま、上記実施例の食器洗い機の洗浄タンクがステンレス製であるとすると、EEPROM21内の許容温度T1は85℃、マイコン20のROM203内の共通データ205の許容温度T1は60℃である。すなわち、上記ステップS21の処理では、上述したようにEEPROM21からのデータ取り込みが失敗であった場合には許容温度T1として60℃が、データ取り込みが成功であった場合には許容温度T1として85℃が用いられることになる。したがって、たとえデータ取り込みが失敗であったとしても、その洗浄タンクに規定されている上限温度(つまり85℃)よりも必ず低い温度で異常検知が作動するから、安全性が保証される。勿論、洗浄タンクが樹脂製であるような機種でも、同様に安全性が保証される。
【0043】
図3のフローチャートで言えば、ステップS7でフラグFが「1」でないと判断された(つまりステップS8へと進む)場合には、許容温度T1として共通データ205の60℃が用いられ、フラグFが「1」であると判断された(つまり図5のステップS14へと進む)場合には、許容温度T1としてRAM202に一時的に格納された85℃が用いられる。
【0044】
上述したようなデータ取り込み異常報知は、電源スイッチ30がオフされるまで継続する。異常に気が付いたユーザが電源スイッチ30をオフすると(ステップS9で「Y」)、再び電源スイッチ受付待機モードとなる(ステップS10)。このときに、ユーザにより再び電源スイッチ30がオンされると(ステップS11で「Y」)、マイコン20はEEPROM21からのデータの取り込みを再度試みる。すなわち、EEPROM21に対して通信要求信号を送り、これに応じてEEPROM21から送信されてくるデータを順次RAM202に格納する(ステップS12)。
【0045】
そして、上記ステップS5と同様のステップS13の処理により、データ取り込みの成否を判定し、それに応じてフラグFを書き換える。もし、先のステップS2でのデータ取り込みの際に突発的な雑音等の影響によって取り込みに失敗したのであれば、このステップS13におけるデータ取り込みが成功する可能性が高い。勿論、基板等、ハードウエアの不具合である場合には、再度データ取り込み試行しても結果は同じであると考えられる。そして、このようにデータ取り込みを行ったあとには、ステップS7へと戻りフラグFの判定を行う。
【0046】
ステップS7でフラグFが「1」である場合には、データ取り込みに成功しているから、マイコン20は通常の運転待機モードに移行する(ステップS14)。運転待機モードでは、LED表示回路25には標準運転コースを示す表示が点灯し、入力キー回路24のスタートキー241などの受付けが可能となる。スタートキー241が押されると(ステップS15で「Y」)、これを検知したマイコン20はその時点で選択されている所定の運転コースを実行する(ステップS16)。このときの運転動作の制御には、RAM202に一時的に格納されたパラメータが用いられる。
【0047】
運転動作は、洗い→すすぎ→乾燥と順次進行する。このような運転の途中でも、上述したような各種の異常検知動作が並行して行われている。而して、所定の運転コースが終了すると、マイコン20は図示せぬブザーを鳴動させて運転の終了を報知するとともに、オートパワーオフ回路23を作動させて電源スイッチ30を切断する(ステップS17)。これにより、電源スイッチ待機モードへと戻る。
【0048】
本食器洗い機では、電源スイッチ30のオン/オフに拘わらず、マイコン20には通電されており(勿論、通常動作時と全く同様である必要はなくスリープモードなどでもよい)、RAM202はデータを保持している。したがって、電源プラグがコンセントに挿入された直後に一旦データの取り込みを行いさえすれば、電源プラグが引き抜かれるまで、RAM202に保持したパラメータを用いて運転動作の制御が行える。
【0049】
勿論、電源スイッチがオンされたときに始めてマイコン及びEEPROMへ通電が行われるような構成でも、上記と同様の手法を採ることができる。その場合、電源スイッチがオンされたならば、マイコンがEEPROMからのデータの取り込みを開始するという制御を行えばよい。
【0050】
また、上記実施例は単に一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜修正や変更を行うことができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である食器洗い機の略縦断面図。
【図2】本実施例による食器洗い機の要部の電気系構成図。
【図3】本実施例による食器洗い機におけるマイコンとEEPROMと間での通信処理に関する動作を示すフローチャート。
【図4】本実施例による食器洗い機におけるマイコンとEEPROMと間での通信処理に関する動作を示すフローチャート。
【図5】本実施例による食器洗い機におけるマイコンとEEPROMと間での通信処理に関する動作を示すフローチャート。
【図6】本実施例による食器洗い機における異常温度検知処理のフローチャート。
【図7】本実施例による食器洗い機における異常検知のためのデータの一例を示す図。
【符号の説明】
15…ポンプモータ
16…給水バルブ
17…ヒータ
18…ブロアモータ
20…マイコン
201…CPU
202…RAM
203…ROM
204…制御プログラム
205…共通データ
21、21A、21B…EEPROM
22…負荷駆動回路
23…オートパワーオフ回路
24…入力キー回路
241…スタートキー
25…LED表示回路
26…温度センサ
27…異常水位検知スイッチ
28…商用交流電源
29…第1電源回路
30…電源スイッチ
31…ドアスイッチ
32…電源スイッチ検知回路
33…ドアスイッチ検知回路
34…第2電源回路
Claims (7)
- 機枠内部に形成された洗浄庫の底部に水を貯留し、その水をポンプにより吸引してノズルから洗浄庫内に噴出させることにより、該洗浄庫内部に収容された食器類を洗浄する食器洗い機であって、各部の動作を制御するための制御プログラムを格納したマイクロコンピュータと、このマイクロコンピュータとは別体であってマイクロコンピュータと電気的に接続され、前記各部の動作に必要なパラメータを記憶した記憶素子とを有し、前記マイクロコンピュータは前記記憶素子から前記パラメータを読み込んで内部に一時的に記憶し、このパラメータを利用しつつ制御プログラムを実行することにより各種動作を行うものにおいて、前記マイクロコンピュータは、
a)前記パラメータに含まれる異常検知動作及び/又は異常対策動作に関連した第1のデータに相当する第2のデータを保持しておく記憶手段と、
b)前記記憶素子との間の通信の異常を検知する通信異常検知手段と、
c)通信異常が検知されなかった場合には前記第1のデータを利用する一方、通信異常が検知された場合には前記第2のデータを利用することにより、異常検知動作及び/又は異常対策動作を遂行する異常時処理手段と、
を備えることを特徴とする食器洗い機。 - 前記第2のデータは、種々の条件に応じて相違する第1のデータを考慮して、異常検知動作及び/又は異常対策動作の際の安全や余裕を見込んだものであることを特徴とする請求項1に記載の食器洗い機。
- 前記異常時処理手段は、洗浄庫内の貯留水又は空気を加熱するためのヒータの加熱異常を検知するものであり、前記第1及び第2のデータはその異常検知の温度に対応したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の食器洗い機。
- 前記異常時処理手段は、洗浄庫内に貯留された水の水位の異常を検知するとともにその対策を行うものであり、前記第1及び第2のデータは洗浄庫に貯留した水を機外へ排出するための排水ポンプの排水能力に対応したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の食器洗い機。
- 当該食器洗い機に商用電源を供給するための電源プラグが電源コンセントに挿入されると、前記マイクロコンピュータ及び記憶素子に通電が行われ、その通電開始の直後に該マイクロコンピュータは記憶素子からのパラメータの読み込みを実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の食器洗い機。
- 前記通信異常検知手段により通信異常が検知されると、電源スイッチがオンされた時点で異常の報知を行う異常報知手段を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の食器洗い機。
- 前記異常報知手段による異常報知のあと、前記電源スイッチが一旦オフされ再度オンされたならば、前記マイクロコンピュータは記憶素子からのパラメータの読み込みを再度実行することを特徴とする請求項6に記載の食器洗い機。
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