JP3545231B2 - 単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単相スケルトン形の単相ブラシレスモータの改良に係り、特に、回転子の起動時において、前記回転子自体が外的要因により回動している状態での起動を阻止する機能を具備した単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のブラシレスDCモータの駆動回路であって、ホール素子などの位置検知素子を用いることのないセンサレス駆動回路では、回転駆動中のモータの電機子巻線に生じる速度起電力と界磁の位置の相関に着目して、該速度起電力によりモータの転流タイミングを決定していた。特公平7−63232号公報には、この速度起電力に基づいて単相ブラシレスモータを駆動する駆動回路が記載されている。
【0003】
図8に示すように、特公平7−63232号公報に記載される駆動回路においては、いわゆるスケルトン形の単相ブラシレスモータ100を備えており、界磁としてのロータ101と、電機子としてのステータ102とを備えている。又、モータ100の停止時に、ロータ101の磁極の磁束軸X’がステータ102の磁極の磁束軸Y’と一致して停止しないように(いわゆるロック位置でロータ101が停止しないように)、弱磁界の永久磁石103の磁極(S極)が、その磁束軸Z’をステータ102の磁束軸Y’と直交するようにして、ロータ101の磁極と対向して配置されている。これによりステータ102のコイル104への通電を停止すると、ロータ101は磁束軸X’,Y’が重なるロック位置から角θだけ回動した位置に停止するように構成されている。
【0004】
この駆動回路では、モータ100を所望の方向へ的確に起動させるため、起動前にロータ101を所定の初期位置へセットするようにしている。図9を参照して、ロータ101を右方向へ回転させる場合の動作について説明する。
【0005】
モータ100の停止状態では、ロータ101は、永久磁石103の影響により、図9(a)又は(a)’の位置に停止している。この状態から、図9(b)及び(b)’に示すように、所望の回転方向(右方向)とは逆の左方向への回転を生じさせる向きにステータ102へ断続的な通電を行う。図9(b)及び(b)’のいずれの場合にも、ロータ101は、この断続的な通電により左方向へ回動し、図9(c)に示すように、ロータ101の磁束軸X’とステータ102の磁束軸Y’とが一致する位置で停止する。その後、前記断続的な通電を停止すると、ロータ101と永久磁石103との間に吸引力および反発力が作用して、ロータ101は、図9(d)に示す所定の位置に移動し、やがて停止する。これにより、モータ100の起動前におけるロータ101の初期位置へのセットが完了する。
【0006】
ロータ101の初期位置へのセット完了後、図9(e)に示すように、所望の右方向への回転を生じさせるようにステータ102への通電を行うと、ロータ101が右方向へ的確に回転を開始する。なお、ロータ101を左方向へ回転する場合は、ステータ102への通電を、前記図9(b),(b)’,(c)及び(e)の場合とは逆方向に行うことにより達成される。
【0007】
このように特公平7−63232号公報記載の駆動回路においては、ロータ101の停止位置に関わらず、ホール素子などの位置検知素子を用いることなく、センサレスで単相ブラシレスモータ100を所望の方向へ的確に起動することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9(c)の状態からステータ102の通電を停止して、図9(d)の状態へ移行する場合、ロータ101の振動は容易に収まらず、ロータ101が初期位置にセットされた状態で停止するまでには相当の時間を要していた。前記ロータ101の振動が停止するまでの時間は、モータ100のイナーシャなどにより一概に断定できないが、長いものにあっては数10秒かかる場合もあった。一方、ロータ101の振動中にモータ100を再始動すると、振動状況によっては、即ち、ロータ101がその初期位置より大きくずれたりした場合、モータ100が逆回転してしまうこともあった。
【0009】
又、モータ100の転流タイミングを決定するための速度起電力は、モータ100の電機子巻線電圧を利用して検出していたので、特に、単相ブラシレスモータでは180度通電を行うことができなかった。このため、単相ブラシレスモータでは、始動時にロータ101に対して大きなトルクを与えることができず、始動後短時間のうちに前記ロータ101を高速回転させることができなかった。又、単相ブラシレスモータに限らず、高負荷トルク時には、通電切替に伴う電機子電流の還流作用による転流スパイク電圧が増大するので、検出される速度起電力情報に大きな誤差が生じてしまい、その結果、界磁磁極位置の推定に大きなズレが生じて、転流タイミングを適切に決定することができなかった。
【0010】
そこで、本願出願人は、特開平9−37586号に記載するブラシレスモータのセンサレス駆動回路を発明した。かかるモータのセンサレス駆動回路においては、モータ各相の電機子電流波形に着目して、各相の通電領域にあらわれる2つの顕著な電流増加領域のうち第2の電流増加領域を検出して、これを転流タイミングと決定し、転流制御を行うものである。よって、このモータのセンサレス駆動回路では、速度起電力によらず、電機子電流に基づいて転流タイミングを決定しているので、単相モータであっても180度通電を行うことができ、また、高負荷トルク時でも適切に転流タイミングを決定することができるという優れた点を備えている。
【0011】
しかし、前記のセンサレス駆動回路では、上記第2の電流増加領域を、モータの電機子電流の瞬時値が電機子電流の平均値の所定倍(例えば1.2倍)になったことを目安として検出している。よって、第2の電流増加領域の検出のためには、電機子電流を平均化する回路と、その平均化された電機子電流を所定倍に増幅する回路とが必要となり、駆動回路自体のコストが上昇してしまうという問題があった。
【0012】
又、前記のセンサレス駆動回路においては、モータを例えば、送風機等の負荷に取付けた場合、送風機自体の駆動回路は、外的要因に関係なく起動を停止しているにもかかわらず、ロータ自体が回転するようなとき、即ち、例えば、送風機のファンが外部から自然に流入する外気の風圧によって非自発的に回動した場合(この現象を以下外乱という)、ロータはその起動時における初期位置が移動してずれてしまい(界磁磁極位置に大きなズレが生じる)、前記モータ自体の転流タイミングを適切に決定することができず、前記外乱によって転流タイミングが適切でない状態で電機子巻線に通電を行うことになるため、ロータの起動失敗、あるいは、ロータが逆方向に加速回転したりするという問題があった。
【0013】
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、外的要因である自然風等によって生ずる外乱の影響で待機状態にある回転子が回動してその初期位置が変化した場合、前記外乱によって回転子が回動したことを適確に検出してセンサレス駆動回路を確実に停止させるようにした、単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路装置は、単相ブラシレスモータは、上部側に一対の切込部を形成した回転子挿入孔を有し、下部側には分離可能な鉄心部材を介してセンタタップを有する電機子巻線を巻装した固定子鉄心と、前記回転子挿入孔に回転自在に設けた永久磁石からなる回転子とによって構成し、前記単相ブラシレスモータを駆動制御するセンサレス駆動回路装置は、電機子巻線に交番電圧を通電するインバータ回路と、電機子巻線に流れる電流を検出しこの電流を電圧に変換する電流検出回路と、前記電流検出回路にて検出され電圧に変換された電機子電流をインバータ回路にフィードバックして該インバータ回路の転流周期を前記電機子電流に応じて可変する帰還回路と、単相ブラシレスモータの運転待機時回転子が所定の始動位置から外的要因により非自発的に回動した場合電機子巻線に断続通電を行って回転子を所定の始動位置まで回動して保持させるロータプリセット回路と、前記回転子が所定の始動位置から非自発的に回動した場合前記ロータプリセット回路からの発信周波数の変化をバンドパスフィルタ回路により前記発信周波数の基準値に対してその利得が変化することを検出する手段を備えて回転子が所定の始動位置から非自発的に回動したことを検出する回動検出回路と、単相ブラシレスモータの始動時所定の始動トルクを発生させる電機子電流を電機子巻線に一定時間通電させて単相ブラシレスモータを始動させる始動補償回路とを具備して構成したことを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路装置は、請求項1記載のセンサレス駆動回路装置において、前記回動検出回路を、前記ロータプリセット回路の発振周波数の変化を、オンパルス幅変化として基準となるオンパルス幅と比較し、かつ、前記比較したオンパルス幅の周波数に対応してその利得が変化することを検出する手段を具備して構成したことを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路装置は、請求項1記載のセンサレス駆動回路装置において、前記回動検出回路を、バンドパスフィルタ回路と、前記バンドパスフィルタ回路の出力インピーダンスを低下させるためのオペアンプと、前記オペアンプの出力を周波数情報の電圧値として保持するピークホールド回路と、前記ピークホールドした電圧値と基準電圧とを比較する比較器と、更に、前記比較器からの出力を反転してスイッチに待機指令信号を出力する論理反転回路とによって構成したことを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路装置は、請求項1記載のセンサレス駆動回路装置において、前記回動検出回路を、バンドパスフィルタ回路と、前記バンドパスフィルタ回路の出力インピーダンスを低下させる電界効果トランジスタと、前記電界効果トランジスタの出力を周波数情報の電圧値として保持するピークホールド回路と、前記ピークホールドした電圧値とツエナーダイオードの基準電圧とを比較し、ピークホールドした電圧値が基準電圧を上回ったとき、ツエナーダイオードからの出力を反転してスイッチに待機指令信号を出力する論理反転回路とによって構成したことを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路装置は、請求項1記載のセンサレス駆動回路装置において、前記回動検出回路を、バンドパスフィルタ回路と、バンドパスフィルタ回路の出力をノコギリ波に変換し、かつ、そのピーク値をパルス幅に比例して変化させるノコギリ波整形回路と、前記バンドパスフィルタ回路の出力インピーダンスを低下させるオペアンプと、前記オペアンプの出力を周波数情報の電圧値として保持するピークホールド回路と、前記ピークホールドした電圧値と基準電圧とを比較する比較器と、更に、前記比較器からの出力を反転してスイッチに待機指令信号を出力する論理反転回路とによって構成したことを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路装置は、請求項1記載のセンサレス駆動回路装置において、前記回動検出回路を、バンドパスフィルタ回路と、バンドパスフィルタ回路の出力をノコギリ波に変換し、かつ、そのピーク値をパルス幅に比例して変化させるノコギリ波整形回路と、出力インピーダンスを低下させる電界効果トランジスタと、前記電界効果トランジスタの出力を周波数情報の電圧値として保持するピークホールド回路と、前記ピークホールドした電圧値とツエナーダイオードの基準電圧とを比較し、ピークホールドした電圧値が基準電圧を上回ったとき、ツエナーダイオードからの出力を反転してスイッチに待機指令信号を出力する論理反転回路とによって構成したことを特徴とする。
【0020】
本発明においては、単相ブラシレスモータの起動時にその制御回路を構成するセンサレス駆動回路装置に、回転子が単相ブラシレスモータの始動時(起動時)に所定の回転位置に保持されていない場合、これを検出するための回動検出回路を具備していることにより、自然風の流入等による外的要因(外乱)によって回転子が始動時前に所定位置から回動していることを確実に認識することができるので、単相ブラシレスモータの起動時、外乱により回転子が回動している場合、あるいは、回動したことによって、回転子自体が起動に失敗したり、回転子が逆方向に回転することにより生ずる弊害を確実に回避することができ、単相ブラシレスモータを駆動源とする電気機器の安全性を確実に確保することが可能となり、至便である。
【0021】
しかも、前記回動検出回路は、外乱が生じていた場合は、前記回転子が回動したことを示す情報によって作動する停止手段によって、インバータ回路が駆動するのを停止させる信号を送出し、前記インバータ回路の作動を確実に阻止するようにしたので、外乱によって回転子が回動している間、あるいは、回動したときは単相ブラシレスモータの起動を適確に阻止することが可能となり、利便である。
【0022】
又、前記回動検出回路は、特別な制御回路を構成することなく、既存の技術を組合せて構成するようにしたので、回路構成は複雑化することなく簡素化でき、かつ、狭隘なスペースを有効利用して設けることができるため、単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路を小型に、しかも、経済的に製造することが可能となった。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を単相ブラシレスモータ(以下、単相モータと称する)に実施した例を図1ないし図4によって説明する。図1において、単相モータ1は、図の上部側に回転子2を回転自在に挿入するための回転子挿入孔3を有し、図の下部側には、分離可能な鉄心部材4を介して電機子巻線5を巻装した固定子鉄心6と、永久磁石からなる前記回転子2とからなり、固定子鉄心6は一般的な電磁鋼板を打抜き、所定の積厚に積層することにより形成し、又、回転子2は、例えば磁性粉末を合成樹脂粉末と混合し、これを射出成型手段等により射出形成した、プラスチックマグネットロータ(以下、単に回転子と称する)を具備して、スケルトン形の単相モータ1を構成するものである。
【0024】
そして、前記固定子鉄心6には、図1に示すように、回転子挿入孔3の外側において、回転子挿入孔3の周縁に約180°の角度間隔を保って、一対の平面形状がU字状をなす切欠部7a,7bが、前記回転子挿入孔3と連通することなく狭隘な隘路(磁路)A,Bを有して形成されている。前記隘路A,Bを形成するのは、電機子巻線5が磁化されていないときに固定子鉄心6に流れる磁束(回転子2により生じる)を前記隘路A,Bに集中させ、回転子2に所要の磁極を形成させるためのものであり、固定子鉄心6に流れる磁束は、隘路A,Bにおいて均等に割り振りされて流れることにより、回転子2の起動時における位置決めの動作に貢献するものである。
【0025】
又、前記固定子鉄心6の回転子挿入孔3の周縁には、図1で示すように、前記切欠部7a,7bから約90°の角度間隔を保って回転子挿入孔3と連通可能となした一対の切込部8a,8bが、互いに相対向した状態で約60°の角度範囲を保って弧状に形成されている。この切込部8a,8bは固定子鉄心6に流れる磁束が、前記切込部8a,8bの存在による磁気抵抗の増加により流れが抑制され、回転子2の磁化が最も弱体化しているN極とS極との境界部分aが、前記切込部8a,8bの中間点の位置で停止することが可能となる。
【0026】
前記固定子鉄心6にU字状の切欠部7a,7bと弧状の切込部8a,8bをそれぞれ形成した場合、回転子2を始動位置に導いたり、所定位置で停止させることができる点は、公知の有限要素法の磁場解析によるコギングトルク解析によって確認することができた。特に、切欠部7a,7bの存在は、回転子2をその停止位置から始動位置近くまで微動させることが可能となり、これが回転子2の回転方向を導き出す上で大いに貢献しているものと思われる。
【0027】
前記の点を更に詳述すると、固定子鉄心6は電機子巻線5への通電により鉄心部材4が直流磁化されると、固定子鉄心6に、例えば図1において右方向(時計方向)に沿って磁束が流れる。この結果、回転子2の磁極は固定子鉄心6に流れる磁束に対して整列しやすい方向に位置を変える(回転)ことになるが、これを、即ち、回転子2の回転を急激に行うと、回転子2自体がどの方向に回転するのか不明となる。このため、固定子鉄心6の鉄心部材4を、比較的高い周波数で交流磁化させ、かつ、直流成分を上乗せすることにより、固定子鉄心6を少しだけ直流磁化させる。
【0028】
前記のようにすると、回転子2は徐々に磁束が整列する方向に移動(回転)し、回転子2のN,S極の境界部分aが、例えば、切欠部7aと切込部8aとの中間位置に近づくように回転しながら停止する。そして、停止した位置が回転子2の始動位置となる。即ち、回転子2の磁極の位置を確定するものである。以上の一連の動作を単相モータ1の起動時における回転子2の位置決め動作(プリセット動作)と言い、これらの動作は有限要素法の磁場解析によるトルク解析によって確認することができた。
【0029】
なお、本発明において、前記回転子2は電機子巻線5の無通電状態では、回転子2の磁束軸Xが固定子鉄心6の磁束軸Yと一致するロック位置から、偏角θを保つ2箇所の位置(図1の位置、および、図1の回転子2のN極とS極とが逆になった位置)に停止されるように構成されている。
【0030】
又、電機子巻線5は、例えば、固定子鉄心6の鉄心部材4のみに巻装された一組の中間子付巻線(センタタップ巻線)により構成され、2つの端子e,fと中間端子gとの計3つの端子を備えている。また、その巻線仕上げは、2本の導線を束ねて同時に巻く、いわゆる「バイファイラ巻き」により行われている。なお、単相モータの場合には、中間タップがあれば良く、必ずしもバイファイラ巻きである必要は無い。
【0031】
次に、本発明の単相モータ1を駆動制御するセンサレス駆動回路装置について説明する。図2において、前記センサレス駆動回路装置(以下単にモータ駆動回路という)11は、大別すると、インバータ回路12と、電流検出回路13と、帰還回路14と、ロータプリセット回路15と、始動補償回路16と、回動検出回路17とを備えて概略構成されている。このモータ駆動回路11には、10〜30ボルトの直流電圧を出力可能な直流電源50が接続され、そのプラス側入力端Pは、ダイオードD1のアノードに接続されている。このダイオードD1は、単相モータ1の転流動作時に発生する逆起電力による還流電流が直流電源50に流れ込むのを防止する。又、ダイオードD1のカソードは、前記還流電流を充電するコンデンサC1(50V、100μF)のプラス側端子に接続され、そのコンデンサC1のマイナス側端子は、直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。なお、還流電流をコンデンサC1に充電することは、モータ駆動回路11から外部に発振される電磁ノイズ(ElectroMagnetic Interference)の量の減少を図るとともに、直流電源50と端子PN間の配線抵抗での電力損失の低減及び還流電流の再利用による電力利用率(効率)の向上を図るためのものである。
【0032】
前記ダイオードD1のカソードは、単相モータ1の中間端子gに接続され、単相モータ1の端子e,fは、インバータ回路12に接続されている。インバータ回路12は、無安定マルチバイブレータ動作(自励発振動作)を行って、単相モータ1の各コイルL1(g−e巻線),L2(g−f巻線)に、交互に直流電圧を印加するための回路である。このインバータ回路12は、高耐圧のNPN形パワートランジスタQ1,Q2と、10kΩの抵抗R1,R2、ダイオードD2,D3とを備えて構成されている。
【0033】
前記インバータ回路12の両トランジスタQ1,Q2のコレクタ端子は、単相モータ1の両端子e,fにそれぞれ接続されるとともに、抵抗R1,R2を介して、それぞれ他方のトランジスタQ2,Q1のベース端子に交叉接続されている。この接続により、一方のトランジスタのオンにより他方のトランジスタがオフされ、かつ、そのオン・オフが繰り返されるという、無安定マルチバイブレータ動作(いわゆる自励発振動作)が行われる。また、両トランジスタQ1,Q2のコレクタ・エミッタ端子間には、ダイオードD2,D3がアノード端子をエミッタ端子側にしてそれぞれ接続されており、これらダイオードD2,D3により、単相モータ1の転流動作時に発生する逆起電力エネルギーが還流電流として還流される。
【0034】
ここで、前記インバータ回路12の無安定マルチバイブレータ動作について説明する。図2において、直流電源50の投入により、例えば、トランジスタQ1 がオンし、トランジスタQ2がオフしたとすると、コイルL1を介して電流が流れ、トランジスタQ1のコレクタ電流が増加する。やがてコレクタ電流がトランジスタQ1のベース電流と電流増幅率とで定まる飽和電流値に達すると、トランジスタQ1のコレクタ電流の増加率が低下し、トランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間電圧が上昇し始める。トランジスタQ1のコレクタ電圧がエミッタ端子を基準にして0.6V付近に達すると、抵抗R1を介して、トランジスタQ2にベース電流が流れ始めトランジスタQ2がオンする。このトランジスタQ2のオンに伴って、トランジスタQ2のコレクタ電圧が低下し、抵抗R2を介してトランジスタQ1 に供給されるベース電流が減少する。このベース電流の減少とともに、トランジスタQ1の飽和電流値も減少するので、トランジスタQ1のコレクタ電流が更に減少する。これにより、トランジスタQ1のコレクタ電圧が更に上昇し、トランジスタQ2のベース電流を増加させて、トランジスタQ2のオンを加速する。一方、トランジスタQ2のオンにより、トランジスタQ2のコレクタ電圧が低下し、トランジスタQ1のベース電流が更に減少して、トランジスタQ1のオフが加速される。このように、急速に、トランジスタQ1がオフ、トランジスタQ2がオンの状態に変化する。
【0035】
トランジスタQ2がオン、トランジスタQ1がオフとなった後は、トランジスタQ2のコレクタ電流が飽和電流値に達するまでその状態を維持する。そして、トランジスタQ2のコレクタ電流が飽和電流値に達すると、上記とは逆に、トランジスタQ1のオン、トランジスタQ2のオフが急速に行われ、その状態が変化する。このように、トランジスタQ1,Q2のオン・オフ動作が繰り返され、その結果、インバータ回路12は「無安定マルチバイブレータ動作」(自励発振動作)を行うのである。
【0036】
インバータ回路12の両トランジスタQ1,Q2のエミッタ端子と、直流電源50のマイナス側入力端Nとの間には、電流検出回路13が設けられている。電流検出回路13は、2Ω(4W)のシャント抵抗Rsにより構成され、インバータ回路12を介して単相モータ1のコイルL1,L2に流れる電流(以下「電機子電流」という)を、シャント抵抗Rsに流れるシャント電流として検出し、電圧に変換するための回路である。この電圧変換されたシャント電流は、後述する帰還回路14によってインバータ回路12へフィードバック(帰還)され、前記した無安定マルチバイブレータ動作の発振周期を決定する。
【0037】
前記帰還回路14は、電流検出回路13によって検出され電圧に変換されたシャント電流(電機子電流)を、インバータ回路12へフィードバックする回路であり、2つのダイオードD4,D5と、2.2kΩの抵抗R3と10kΩの抵抗R4 とからなり、前記抵抗R3,R4は直列に接続され、抵抗R4側の一端はシャント抵抗Rsの電圧を増幅した電流検出回路13の出力端に接続され、抵抗R3側の他端はダイオードD4,D5のカソードに接続されている。又、ダイオードD4,D5の各アノードは、インバータ回路12の各トランジスタQ1,Q2のベース端子にそれぞれ接続されている。
【0038】
この帰還回路14は、電流検出回路13、及び、抵抗R1,R2とトランジスタQ1,Q2との電流増幅率の相互作用を利用して、電機子電流の急増領域を検出し、その急増領域でインバータ回路12による転流が行われるようにしている。電機子電流は、回転子2が固定子鉄心6に最も吸着される位置、即ち、回転子2の磁場ベクトルと、電機子巻線5への通電により生じる磁場ベクトルとが整列する位置(モータの発生トルクがゼロとなる位置)で急増する。これは、回転子2が前記位置に達することにより、発電電圧がほぼ「0」となるからである。従って、前記急増領域の現出を転流タイミングとして決定することにより、単相モータ1を適確に同期駆動(回転)することが可能となる。
【0039】
具体的には、シャント抵抗Rsの電圧降下を、インバータ回路12の各トランジスタQ1,Q2のベース端子へフィードバック(帰還)させるのである。すると、電機子電流の急増領域では、シャント抵抗Rsの電圧降下が大きくなる結果、その分、ベース電流が帰還回路14側へ流れて少なくなり、コレクタ電流の飽和電流値が小さくなるものの、その際、流れているコレクタ電流が飽和電流値と一致すると、両トランジスタQ1,Q2のオン・オフ状態が切替えられ、転流動作が円滑に行われる。
【0040】
なお、かかる転流周期(タイミング)、即ち、上記したインバータ回路12の発振周期は、この帰還回路14の抵抗値により変化させることができる。具体的には、帰還回路14の抵抗値を小さくすると、インバータ回路12の発振周期が短くなり(発振周波数が大きくなり)、抵抗値を大きくすると発振周期が長くなる(発振周波数が小さくなる)のである。帰還回路14の抵抗値を小さくすることにより、トランジスタQ1,Q2のベース端子への帰還量が多くなるので、電機子電流の急増を僅かに検出した場合でも、転流動作を確実に行わせることができる。
【0041】
次に、ロータプリセット回路15は、単相モータ1の停止時(待機時)に、微少量の直流電流成分を流して、回転子2を所定の停止位置(例えば、図3(a)に示す位置)に保持しておくための回路である。即ち、単相モータ1の一方のコイルL1に通電する時間と、他方のコイルL2に通電する時間との比率(デューティ比)をアンバランスとして、単相モータ1に直流電流成分を通電する。この直流電流成分は、帰還回路14とロータプリセット回路15との合成抵抗値(並列抵抗値)をトランジスタQ1,Q2の各オン時に大小させるとともに、インバータ回路12の発振周期を長短させることにより生成する。
【0042】
このように、前記ロータプリセット回路15によって回転子2が所定の停止位置に保持されるので、単相モータ1の始動時にインバータ回路12のいずれのトランジスタQ1,Q2がオンしても、単相モータ1を必ず所定の方向へ回転させることができるのである。例えば、ロータプリセット回路15によって、始動前の回転子2が図3の(a)に示す位置に保持されていると、単相モータ1は必ず左方向へ回転する。
【0043】
このロータプリセット回路15は、インバータ回路12のトランジスタQ2 のコレクタ端子に接続された抵抗R5(32kΩ)を備え、その抵抗R5の一端は、10kΩの抵抗R6の一端とトランジスタQ3のベース端子とに接続されている。一方、トランジスタQ3のコレクタ端子は1kΩの可変抵抗VRの摺動子に接線され、前記可変抵抗VRの一端はダイオードD6のカソードに接続され、ダイオードD6のアノードは帰還回路14のダイオードD4,D5のカソードに接続されている。又、可変抵抗VRの他端は、抵抗R6の他端と、トランジスタQ3のエミッタ端子と、スイッチSWの「待機」端子とに接続され、スイッチSWのコモン端子は、帰還回路14と同様に、電流検出回路13の出力端および直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。
【0044】
ロータプリセット回路15は、直流電源50が投入された状態で、スイッチSWを「運転」端子から「待機」端子へ切り替えることにより作動する。即ち、スイッチSWを「待機」端子に切り替えると、帰還回路14の抵抗R3,R4に可変抵抗VR及びトランジスタQ3のエミッタ端子が並列接続されて合成抵抗値が減少するとともに、かかる合成抵抗値は、インバータ回路12のトランジスタQ1 のオン時とQ2のオン時とで大小するので、トランジスタQ1のオン時とQ2のオン時とでインバータ回路12の発振周期が長短し、その結果、単相モータ1へ直流電流成分が流れる。
【0045】
具体的には、トランジスタQ1がオフ、Q2がオンの場合、トランジスタQ3はオフし、帰還回路14の合成抵抗値は0.92kΩ(VR(R3+R4)/(VR+R3+R4))となる。逆に、トランジスタQ1がオン、Q2がオフした場合、トランジスタQ3はオンし、可変抵抗VRの抵抗値が減少する。例えば、可変抵抗VRの摺動子が半分の位置にある場合には、可変抵抗VRの抵抗値は0.5kΩとなるので、帰還回路14とロータプリセット回路15との合成抵抗値は0.48kΩとなる。前記した通り、インバータ回路12の発振周期は、帰還回路14とロータプリセット回路15との合成抵抗値が大きいほど長く、小さいほど短いので、トランジスタQ1のオン時間はQ2のオン時間に比べて短くなる。従って、その差分の微小量の直流電流成分が単相モータ1に流され、その直流電流成分によって、単相モータ1の回転子2が所定の位置に保持されるのである。
【0046】
なお、アンバランスとするデューティ比は、直流電流成分が20%(60%対40%)〜50%(75%対25%)の範囲となるように設定することが一般的に好ましい。又、回転子2を保持する所定の位置としては、回転子2の磁束軸Xが固定子鉄心6に設けられた2つの切欠部7a,7bを結ぶ線と直交する位置よりやや水平側に傾いた位置が好適である(図1,3(a)参照)。即ち、直流電源50をオフからオンした場合に、回転子2の磁束軸Xがやや水平側に回転するような挙動を示す位置に設定するのが好ましい。即ち、回転子2は直流電源50のオフ後、前記位置に保持され易く構成されているからである。
【0047】
なお、前記ダイオードD6は、スイッチSWが「待機」位置側に存在する場合だけ、帰還回路14の抵抗値が減少するようにし、逆に、スイッチSWが「運転」位置側にある場合に単相モータ1の電圧が、抵抗R5,R6を経て可変抵抗VRから抵抗R3側に漏れ電流が流れ込まないようにするものである。
【0048】
つづいて、始動補償回路16は、単相モータ1の始動時に、充分な始動トルクを発生させる上で必要な電機子電流を流して、単相モータ1の始動動作を確実に行うための回路である。従って、この始動補償回路16は、単相モータ1の始動時と始動後において帰還回路14の抵抗値を大小させ、始動時には転流周期を長くして、単相モータ1へ充分な電機子電流を流し、始動後は前記転流周期を短くして単相モータ1を高速回転させるようにしている。
【0049】
始動補償回路16は、トランジスタQ1,Q2のエミッタ端子および電流検出回路13の入力端にアノードが接続されたダイオードD7を備え、そのダイオードD7のカソードは27kΩの抵抗R7の一端に接続されている。一方、抵抗R7の他端は、トランジスタQ4のベース端子と、ダイオードD8のアノードとコンデンサC2(220μF,10V)のプラス側端子と、47kΩのブリーダ抵抗R8の一端とに接続されている。前記トランジスタQ4のコレクタ端子は帰還回路14の2つの抵抗R3,R4間に接続され、エミッタ端子は、コンデンサC2のマイナス側端子および抵抗R8の他端とともに、電流検出回路13の出力端と直流電源50のマイナス側入力端Nとにそれぞれ接続されている。更に、ダイオードD8 のカソードは、スイッチSWの「待機」端子に接続されている。
【0050】
この始動補償回路16は、コンデンサC2に所定量の電荷が蓄積されて、その端子間電圧が約0.6Vに達するまで、トランジスタQ4のオフを維持し、帰還回路14の抵抗値を12.2kΩ(抵抗R3,R4)という大きな値に保ち、単相モータ1の始動時における転流周期を長くしている。これにより、単相モータ1の始動後、コンデンサC2の端子間電圧が約0.6Vに達するまでの間、単相モータ1の各コイルL1,L2へ、始動トルクを発生させるために充分な電機子電流を流すことが可能となる。
【0051】
前記始動補償回路16は、ロータプリセット回路15のスイッチSWが「待機」端子側にあるときは、コンデンサC2の端子間電圧は0.6V未満となっておりトランジスタQ4はオフしている。一方、スイッチSWが「待機」端子から「運転」端子側に切り替えられると可変抵抗VRが帰還回路14から切り離され、帰還回路14の抵抗値が1kΩ弱から12.2kΩと急激に大きくなる。これにより、インバータ回路12の発振周期が長くなり、単相モータ1の転流周期が長くなって、各コイルL1,L2には始動トルクを発生させるために充分な電機子電流が流される。各コイルL1,L2に流れる電機子電流は、そのままシャント抵抗Rsを流れるシャント電流となり、シャント抵抗Rsの両端電圧が、マイナス側入力端Nを基準として、約0.6V以上になると(ダイオードD8の電圧降下分以上になると)、コンデンサC2への充電が開始され、前記コンデンサC2の端子間電圧が徐々に上昇して約0.6Vに達すると、トランジスタQ4がオンして、帰還回路14の抵抗値が、12.2kΩ(抵抗R3,R4)から2.2kΩ(抵抗R3)に減少する。帰還回路14の抵抗値が減少すると、インバータ回路12の発振周期が前記とは逆に短くなり、単相モータ1の転流周期が短くなって単相モータ1が徐々に高速回転を始める。
【0052】
このように、始動補償回路16は、コンデンサC2の端子間電圧が約0.6Vに達するまでの間、単相モータ1の転流周期を長くして、各コイルL1,L2へ始動トルクを発生させるために充分な電機子電流を流し、単相モータ1を確実に始動するようにしている。しかも、コンデンサC2への充電は、シャント電流(電機子電流)に基づいて行われるので、その端子間電圧が約0.6Vに達するまでの時間は、固定された時間とはならず、モータの種類や直流電源50の電圧に応じて変化する時間となる。よって、モータの始動に適切な時間だけ、転流周期を長くした始動モードを維持することができる。
【0053】
なお、スイッチSWを「運転」端子から「待機」端子に切り替えると、ダイオードD7を介してコンデンサC2のプラス側端子が直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されるので、コンデンサC2に蓄積された電荷が急速に放電される。従って、コンデンサC2は瞬時のうちに初期状態に戻されるため、再度、スイッチSWを「運転」端子に切り替えても、始動補償回路16を確実に作動させることができる。又、その際トランジスタQ4は、そのコレクタ端子からベース端子へ漏れ電流を生じるが、かかる漏れ電流はブリーダ抵抗R8によりバイパスされるので、始動補償回路16を正常に作動させることができる。
【0054】
次に、図2において、17は単相モータ1の運転停止中に回転子自体が外気の流入等による外的要因によって非自発的に回動した場合、これを検出するための回動検出回路を示し、例えば、単相モータ1を図示しない送風機に組込み、この単相モータ1の回転子軸に送風ファンを取付けて送風機を構成し、この送風機の始動時単相モータ1に取付けたファンが外気の流入による外的要因により非自発的に回動している場合を「外乱」といい、この外乱が発生しているとき、あるいは、外乱の発生によって回転子が非自発的に回動した場合に単相モータ1を起動すると、回転子2は所定の回転位置からずれているため、転流タイミングが適切に行い得ず、起動に失敗(回転子2が起動しなかったり、逆回転する場合)することがある。前記回動検出回路17は前記外乱現象が生じたとき、この外乱を検出する。この検出により、例えスイッチSWを「待機」から「運転」に切り替えたとしてもモータ駆動回路11は起動することなく停止状態を維持し、単相モータ1の起動失敗に伴い、単相モータ1を使用する機器に、単相モータ1の誤起動等によって生ずる弊害誘発を阻止するようにしたものである。
【0055】
前記回動検出回路17の原理は、単相モータ1の待機時において、回転子2の位置を変化させると、回転子2の位置に合せて固定子鉄心6と回転子2との間でのギャップの変化(切込部8a,8bの存在によって生じる)に対応して、ロータプリセット回路15の発振周波数が変化するのを利用して検出することにある。即ち、ロータプリセット回路15で安定して停止しているときの回転子2の位置における発振周波数に対し、回転子2が安定している位置(始動位置)から、例えば、90°ずらした(回動した)とき発振周波数が若干高くなるのを検出することにより、外乱が発生したのか、否かを判定するものである。
【0056】
前記図2に示す回動検出回路17は、大別するとバンドパスフィルタ回路17aと、ピークホールド回路17bと、論理反転回路17cとによって概略構成されている。バンドパスフィルタ回路17aは、抵抗R9,コンデンサC3からなるローパスフィルタと、コンデンサC4と抵抗R10とからなるハイパスフィルタとを組合せて構成されており、このバンドパスフィルタ回路17aの入力端(抵抗R9)は単相モータ1と接続され、出力端(コンデンサC4と抵抗R10の接続点)は、ダイオードD9のカソードとオペアンプ(演算増幅器)O1の非反転入力端に接続されている。ダイオードD9のアノードはバンドパスフィルタ回路17aのコンデンサC3,抵抗R10の一方端とともに直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。
【0057】
ピークホールド回路17bはダイオードD10,コンデンサC5,抵抗R11とからなり、ダイオードD10のカソードはコンデンサC5,抵抗R11の一方端とともに比較器H1の非反転入力端に接続され、前記コンデンサC5,抵抗R11の他方端は直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。なお、前記比較器H1 の反転入力端は抵抗R12,可変抵抗VR1 ,コンデンサC6の一方端に接続されている。又、抵抗R12の他方端とオペアンプO1,比較器H1の+電源側は、単相モータ1の中間端子gに接続され、前記オペアンプO1,比較器H1の−電源側と可変抵抗VR1,コンデンサC6の他方端は直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。C7はオペアンプO1と比較器H1の電源間(+,−)に接続したノイズ対策用のコンデンサである。
【0058】
論理反転回路17cは、トランジスタQ5,抵抗R13,R14とからなり、抵抗R13の一方は比較器H1の出力端に接続され、この抵抗R13の他方端と抵抗R14の一方はともにトランジスタQ5のベースに接続されている。一方、トランジスタQ5のエミッタと抵抗R14の他方端は直流電源50のマイナス側入力端Nに接続され、コレクタはスイッチSWの「待機」端子に接続されている。
【0059】
次に、上記のように構成されたモータ駆動回路11の動作を説明する。スイッチSWを「待機」端子にした状態で直流電源50が投入(接続)されると、待機モードとなって、ロータプリセット回路15が作動する。具体的には、可変抵抗VRの摺動子位置により定まる帰還回路14とロータプリセット回路15との合成抵抗値に基づいて、インバータ回路12の各トランジスタQ1,Q2が不均等(アンバランス)なデューティ比でオン・オフされる。このアンバランスなオン・オフにより、単相モータ1に直流電流成分が流され、回転子2が所定の位置(例えば、図3(f)の位置)に保持される。
【0060】
なお、待機モードでは、帰還回路14とロータプリセット回路15との合成抵抗値は1kΩ弱と小さいので、転流周期は非常に短く、電機子電流は微小量となっている。よって、待機モードでの通電により、単相モータ1が回転や振動を起こしたり、騒音を発生することはない。
【0061】
次に、前記待機モード時において回転子2を始動モード(運転開始)位置に移動させて所望の方向に的確に起動させる場合について説明する。図3において、回転子2を左方向に回動する場合について説明すると、回転子2の停止状態では、回転子2はその永久磁石の影響(磁束)により図3(a)の位置で停止している。この状態で、単相モータ1の電機子巻線5に回転子2を所定の回転方向への回転を生じさせる向きに断続的に通電する。
【0062】
前記断続的な通電により固定子鉄心6に図3(a)に1点鎖線で示すように磁束が流れ、回転子2は図3(a),(b)で示すように左方向(矢印方向)に回転し、回転子2の磁束軸Xと固定子鉄心6の磁束軸Yとが一致した位置(図3(b))で一旦停止しようとする。しかし、直流成分の断続通電により固定子鉄心6の回転子挿入孔3には、180°の角度間隔を保って弧状の切込部8a,8bが形成されており、この部位において、切込部8a,8bと回転子2との間で切込部8a,8bの存在によりギャップが生じている関係上、固定子鉄心6に流れる磁束の磁気抵抗が増大して回転子2の磁化が弱まることによりコギングトルクが作用する。
【0063】
一方、前記回転子2は断続通電の続行に伴い、固定子鉄心6に設けた切欠部7a,7bの存在により、この部位(隘路A,B)に固定子鉄心6,回転子2の磁束が集中し、前記隘路A,Bの部位に磁極が生じたような現象が発生して、回転子2を図3(c),(e)で示すように、徐々に磁束が整列する方向に、即ち、特定方向(左方向)への回転を続行させる。そして、回転子2が例えば、180°回転した時点で前記断続的な通電を停止すると、前記回転子2は図3(e)で示すように、N極とS極との境界部分aが切込部8a,8bの位置に達すると、前記コギングトルクが良好に作用して前記図3(a)の位置から図3(e)を経て(f)で示すように、回転子2の境界部分aが切欠部7a,7bと切込部8a,8bとの中間位置に傾いて(回動)回転子2は停止し、この位置(図3(f))で回転子2の極性が確定される。この動作を起動時における位置決め動作(プリセット動作)という。なお、回転子2が図3(f)で示すように、境界部分aが切欠部7a,7bと切込部8a,8bとの中間位置で停止することは、有限要素法の磁場解析によるトルク解析によって確認することができた。
【0064】
以上により、単相モータ1の回転子2における初期位置(始動位置)のセットを完了する。この場合、即ち、回転子2のN極とS極の境界部分aが切込部8a,8bと切欠部7a,7bとの中間位置に達すると、回転子2が停止するという現象は、周知の有限要素法の磁場解析によるトルク解析によって確認することができた。又、固定子鉄心6に切欠部7a,7bを形成することにより、この部位の隘路A,Bに磁束の集中によって磁極が存在(現出)することは、回転子2の特定(所定)方向への回転方向性を導き出すのに大いに貢献していると考えられる。
【0065】
このように、固定子鉄心6にU字状の切欠部7a,7bと弧状の切込部8a,8bを形成することにより、これら切欠部7a,7bと切込部8a,8bとにより、固定子鉄心6に鉄心の飽和現象とリラクタンス特性を生起させ、これにより、鉄心の磁気的方向性を生成させ、これにより、回転子2がそのスタート時(起動時)に少しぐらい逆転したとしても、瞬時に正常な回転方向にて回転させることが可能となる。
【0066】
前記のようにして、単相モータ1における回転子2の始動位置を設定したら、スイッチSWを待機モードから「運転」端子に切り替えると、始動モードとなる。即ち、スイッチSWを「運転」端子に切り替えることにより、ロータプリセット回路15が帰還回路14から切り離され、その動作を停止する。一方、始動補償回路16は、スイッチSWが「待機」端子にある場合には、コンデンサC2の充電がダイオードD8によって阻止される停止状態にあるが、この状態からスイッチSWを「運転」端子に切り替えることにより、始動モードとなって、始動補償回路16が作動し、コンデンサC2の充電が開始される。
【0067】
始動モードでは、帰還回路14の抵抗値が12.2kΩ(抵抗R3,R4)と大きくなり、その分、転流周期が長くなって、単相モータ1の各コイルL1,L2 に始動トルクを発生させるために充分な電機子電流が流される。よって、単相モータ1は徐々に始動を開始する。
【0068】
なお、単相モータ1の回転子2は、待機モードにおいて所定の位置に保持されているので、トランジスタQ1,Q2のいづれからオンが始まっても、必ず一定の方向に回転する。具体的には、待機モードにおいて、回転子2が図3(f)の位置に保持されている場合には必ず左方向へ回転する。単相モータ1は、通電第1波または第2波のうち、回転子2の磁場ベクトルと反発する方向の磁場が与えられる通電(図3(f)において、磁場ベクトルが右から左方向へ向かう通電)により、回転を開始するからである。
【0069】
始動モードの継続に伴って、コンデンサC2が徐々に充電される。かかる充電により、コンデンサC2の端子間電圧が略0.6Vに達すると、トランジスタQ4がオンして、始動モードから定常モードへと移行する。定常モードでは、トランジスタQ4のオンにより帰還回路14の抵抗値が2.2kΩ(抵抗R3)と小さくなるので、インバータ回路12の発振周期が短くなって、転流周期が短くなる。よって、単相モータ1は徐々に高速回転を始め、やがて略定速回転となる。この状態で、直流電源50の投入が続けられることにより、単相モータ1はほぼ定速回転を継続する。なお、ほぼ定速時の回転速度は、コイルL1,L2に印加される直流電源50の電圧に比例する。即ち、直流電源50の電圧が高いほど高速で回転し、低いほど低速で回転する。よって、直流電源50の電圧値により、ほぼ定速時の回転速度を制御することができる。
【0070】
定常モード(または始動モード)での運転中に、スイッチSWが「運転」端子から「待機」端子に切り替えられると、待機モードへ移行する。即ち、始動補償回路16のコンデンサC2がダイオードD8により急速に放電され、トランジスタQ4がオフされるとともに、ロータプリセット回路15が作動し、単相モータ1へ直流電流成分が流されて、回転子2を所定の位置へ保持するホールディングトルクが加えられる。よって、単相モータ1は徐々に回転を緩め、回転子2を所定の位置にして停止する。
【0071】
この状態で直流電源50がオフされても、回転子2は所定の位置又はその近傍にある。よって、次に直流電源50がオン(接続)された場合に、短時間のうちに回転子2を所定の位置へ保持することができる。回転子2が所定の位置へ保持された後は、単相モータ1をいつでも始動することができるので、単相モータ1を待機モードにしてから直流電源50をオフすることにより、次の単相モータ1の始動までの時間を短縮することができる。
【0072】
前記のように、本実施例のモータ駆動回路11によれば、電流検出回路13と帰還回路14とにより、電機子電流の急増領域を検出して、その検出を転流タイミングとして転流動作を行わせている。よって、速度起電力によらず、電機子電流に基づいて転流タイミングを決定することができるので、単相モータ1であっても180度通電を行うことができ、その始動性を向上することができる。即ち、始動から短時間のうちに高速回転することができるのである。また、電機子電流に基づいて転流タイミングを決定することにより、重負荷時でも、転流に伴う過大なスパイク電圧の影響を受けることなく、的確にモータを駆動(回転)することができるのである。
【0073】
更に、転流タイミングの決定に電機子電流の急増領域を用いているので、電機子電流を平均化する回路や、その平均化された電機子電流を所定倍に増幅する回路が不要となり、回路コストを低減することができる。しかも、インバータ回路12は無安定マルチバイブレータ動作を行うシンプルな回路で構成されるとともに、ロータプリセット回路15や始動補償回路16は、インバータ回路12、電流検出回路13、帰還回路14の各回路と有効に結合して共同動作するように構成されているので、各回路が単独で動作するように構成されている場合に比べて、モータ駆動回路11のコストを大幅に低減することができる。
【0074】
次に、図2に示すモータ駆動回路11における回動検出回路17の動作について説明する。本発明における外乱を検出するための基本概念は、例えば、バンドパスフィルタを用いて周波数が変化すると利得が変化することを利用して外乱の検出を行うことにある。この場合、回路のコストを考慮するために、例えば、ローパスフィルタのC(コンデンサ)R(抵抗)によるパッシブフィルタを構成し、例えば、図4に示すフィルタの特性図において、ポール(極)は16Hzに設定し、スロープ(S)は、−6dB/Octとした。そして、基準値となる周波数は100Hzを超えた地点に設定するようにした。
【0075】
又、外乱に対する定義は、特に拘るものではないが、本発明において表現する外乱については、例えば、一般に電気用語で用いられている自動制御系の制御状態を乱すような外的作用と同じように、単相モータ1の回転子2が、その非回転時において、前記回転子2に取付けた図示しない回転羽根が、例えば、外力(風圧等の外的要因)を受けて非自発的に回転(回動)する現象を事例として説明する。
【0076】
そして、前記回動検出回路17は、例えば、ロータプリセット回路15の通常時(単相モータ1の運転停止時(待機時))の発振周波数を100Hzとし、回転子2が例えば90°回動した時点での前記ロータプリセット回路15の発振周波数が166Hzとなる場合に、バンドパスフィルタ回路17aの一方を構成する抵抗R9とコンデンサC3からなるローパスフィルタのカットオフ周波数を16Hzに設定し、この場合、回転子2の回動によりロータプリセット回路15の周波数が100Hzより高くなると図4に示すように、バンドパスフィルタ回路17aからの出力が減るように設定する。前記出力はコンデンサC4と抵抗R10からなるハイパスフィルタにより前記16Hz以下の直流分を除去し、かつ、オペアンプO1でその出力インピーダンスを低下させることにより、ロータプリセット回路15の周波数の情報を電圧値に変換する。この電圧値はピークホールド回路17bによってピークホールドし、この電圧値は、抵抗R12、可変抵抗VR1,コンデンサC6によって生成される基準電圧(周波数が120Hz相当の電圧)を比較器H1により比較し、外乱が生じている場合、あるいは、外乱によって回転子2が非自発的に回動したとき(周波数が120Hz以上)は、前記比較器H1 からの出力を反転させて出力する論理反転回路17cのトランジスタQ5 をオンさせ、このオン信号をスイッチSWに送出して前記スイッチSWを待機状態に維持する。
【0077】
即ち、スイッチSWを仮に運転状態に切り換えたとしてもインバータ回路12が起動するのを確実に防ぎ、単相モータ1が回転子2の回転位置が不安定な状態で起動するのを良好に阻止し、単相モータ1を駆動源とする電気機器の不用意な運転による弊害発生を一掃可能とした。
【0078】
次に、前記回動検出回路17の第2実施例を図5に示す。図5に示す第2実施例の回動検出回路20と、前記第1実施例で説明した回動検出回路17との相違点は、第2実施例の場合、バンドパスフィルタ回路20aとピークホールド回路20bとの間に、オペアンプO1に代えて電界効果トランジスタ(以下FETと称する)Q6を接続し、又、ピークホールド回路20bと論理反転回路20cとの間には、比較器H1に代えて抵抗R20,ツエナーダイオードD11を接続して構成したもので、バンドパスフィルタ回路20aと、ピークホールド回路20b,論理反転回路20cの各構成の詳細については、前記第1実施例で説明した各回路17a〜17c構成と同じであるので説明は省略する。
【0079】
前記回動検出回路20においても、例えば、ロータプリセット回路15の通常の発振周波数を100Hzとし、回転子2が例えば90°回動した時点での前記ロータプリセット回路15の発振周波数が166Hzとなる場合に、バンドパスフィルタ回路20aの一方を構成する抵抗R9とコンデンサC3からなるローパスフィルタのカットオフ周波数を16Hzに設定し、この場合、回転子2の回動によりロータプリセット回路15の周波数が100Hzより高くなると図4に示すように、出力が減るように設定する。前記出力はコンデンサC4と抵抗R10からなるハイパスフィルタにより前記16Hz以下の直流分が除去され、かつ、FETQ6にて出力インピーダンスを低下させた状態で、ピークホールド回路20bによりロータプリセット回路15の周波数に相当する情報を電圧値としてピークホールドする。
【0080】
前記ピークホールドした電圧値は、ツエナーダイオードD11にて事前に設定される基準電圧(周波数が120Hz相当の電圧)以上の場合、前記ツエナーダイオードD11が通電され、論理反転回路20cに電流が流れてトランジスタQ5 がオンし、このオン信号をスイッチSWに送出し、前記スイッチSWを待機状態の位置に保持させるものである。そして、この第2実施例においては、第1実施例で示す比較器H1の基準電圧を設定するための抵抗R12,可変抵抗VR1,コンデンサC6が不要となる結果、第2実施例に示す回動検出回路20は、簡素な回路構成で安価に製作できる利点がある。
【0081】
つづいて、図6に本発明の第3実施例としての回動検出回路30を示す。この回動検出回路30は、図6で示すように、大別するとハイパスフィルタ回路30aと、ノコギリ波整形回路30bと、第1実施例で示すピークホールド回路17bと同様のピークホールド回路30cと、更に、同じく論理反転回路30dとによって構成されている。この第3実施例においては、第1,第2実施例で説明した周波数の変化により外乱を検出する手段と、更にオンパルス幅が変化することにより外乱を検出する手段とを組合せて構成したものである。
【0082】
最初に、コンデンサC4,抵抗R10からなるハイパスフィルタ回路30aの一方は単相モータ1に接続され、他方となる出力端(コンデンサC4と抵抗R10の接続点)はノコギリ波整形回路30bの抵抗R15に接続される。そして、前記ノコギリ波整形回路30bは、前記抵抗R15をベースに接続したトランジスタQ7 と、このトランジスタQ7のコレクタに接続した抵抗R17,コンデンサC8と、トランジスタQ7のエミッタに接続した抵抗R16とによって構成されている。前記ノコギリ波整形回路30bの出力端(抵抗R17とコンデンサC8の接続点)は、ダイオードD9のカソードを介してオペアンプO2の非反転入力端に接続される。一方、オペアンプO2の反転入力端は、第1実施例で説明したピークホールド回路17bと同様のピークホールド回路30cと接続されている。
【0083】
前記ノコギリ波整形回路30bを構成する抵抗R16,R17,トランジスタQ7 のエミッタと、ハイパスフィルタ回路30aの抵抗R10の他方端と、更にダイオードD9のアノードは、それぞれ直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。前記ピークホールド回路30cの出力端は比較器H2の非反転入力端に接続されており、この比較器H2の反転入力端は抵抗R12,可変抵抗VR1,コンデンサC6に接続されている。又、前記オペアンプO2,比較器H2の+電源側と、抵抗R12の一方は単相モータ1の中間端子gに接続され、オペアンプO2,比較器H2の−電源側と可変抵抗VR1,コンデンサC6の他方端はそれぞれ直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。更に、オペアンプO2,比較器H2の両電源(+,−)間にはノイズ対策用のコンデンサC7が接続されている。なお、比較器H2の出力端と接続する論理反転回路30dは、第1,第2実施例で説明した構成と同一であるため説明は省略する。
【0084】
この第3実施例に示す回動検出回路30は、周波数の変化とオンパルス幅が変化することに着目して構成したもので、例えば、ロータプリセット回路15の通常の発振周波数を100Hzとし、回転子2が例えば90°回動した時点での前記ロータプリセット回路15の発振周波数が166Hzとなる場合に、コンデンサC4と抵抗R10からなるハイパスフィルタ30aのカットオフ周波数を16Hzに設定する。次に前記16Hzより低い周波数となる直流分を前記ハイパスフィルタ回路30aによって除去したのち、ノコギリ波整形回路30bを構成するトランジスタQ7によってハイパスフィルタ回路30aからの出力を統一した矩形波に整形し、この矩形波を更にコンデンサC8と抵抗R17からなるCR積分回路によりノコギリ波に変換し、このノコギリ波のピーク値がパルス幅に比例して変化するようにする。ノコギリ波整形回路30bからの出力信号は、オペアンプO2の非反転入力端に入力され、その出力端から出力されるインピーダンスを低下させて、ピークホールド回路30cに周波数の情報が電圧値として入力され保持される。このピークホールドされた電圧値は、抵抗R12,VR1とコンデンサC6によって生成された基準電圧(周波数が120Hz相当になる電圧)と、比較器H2により比較されて、外乱現象が生じておれば比較器H2の出力端からの出力信号が論理反転回路30dに出力され、この論理反転回路30dを作動させて、スイッチSWにこのスイッチSWを待機状態に維持する信号を出力する。
【0085】
図7は本発明の回動検出回路40の第4実施例を示すもので、第3実施例で説明した回動検出回路30と異なる点は、ハイパスフィルタ40aとピークホールド回路40bとの間にオペアンプO2(図6参照)に代えて、トランジスタQ8 とFETQ9を具備し、ピークホールド回路40bと論理反転回路40cとの間には、比較器H2(図6参照)に代えてツエナーダイオードD12を具備して構成した点にあり、周波数の変化とオンパルス幅が変化することにより外乱を検出するようにした点は、第3実施例と同様である。
【0086】
次に、第4実施例における回路構成について説明すると、コンデンサC4,抵抗R10からなるハイパスフィルタ回路40aの一方を単相モータ1に接続し、他方端となるハイパスフィルタ回路40aの出力端は抵抗R18,R19の接続点を介してトランジスタQ8のベースに接続されている。前記トランジスタQ8のコレクタは抵抗R17とコンデンサC8からなるCR積分回路と、ダイオードD9のカソードを経てFETQ9のゲート入力端に接続されている。
【0087】
前記抵抗R19,R17の一端とトランジスタQ8のエミッタとダイオードD9 のアノードは、直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。FETQ9のソースはダイオードD10のアノードと抵抗R11に接続されている。又、前記ダイオードD10のカソードは、コンデンサC5と抵抗R20の一方とツエナーダイオードD12のカソードに接続されている。コンデンサC5と抵抗R11,R20の他方端は直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。FETQ9のドレインは、コンデンサC8の他端とともに単相モータ1の中間端子g側に接続されている。
【0088】
前記ツエナーダイオードD12のアノードは抵抗R13に接続され、抵抗R13のもう一端はトランジスタQ5のベースと抵抗R14に接続されている。抵抗R14の他端とトランジスタQ5のエミッタは、直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。更に、トランジスタQ5のコレクタはスイッチSWの「待機」端子と接続されている。
【0089】
この第4実施例に示す回動検出回路40は、周波数の変化とオンパルス幅が変化することに着目して構成したもので、例えば、ロータプリセット回路15の通常の発振周波数を100Hzとし、回転子2が例えば90°回動した時点での前記ロータプリセット回路15の発振周波数が166Hzとなる場合に、コンデンサC4と抵抗R10からなるハイパスフィルタ回路40aのカットオフ周波数を16Hzに設定する。次に前記ハイパスフィルタ回路40aにより16Hzより低い周波数の直流分の除去したのち、トランジスタQ8によってハイパスフィルタ40aの出力を統一した矩形波に整形し、この矩形波を更にコンデンサC8と抵抗R17からなるCR積分回路によりノコギリ波に変換し、このノコギリ波のピーク値がパルス幅に比例して変化するようにする。
【0090】
前記CR積分回路から出力される信号は、FETQ9のゲートに入力され、そのソースフォロアで出力インピーダンスを低下させてから次のダイオードD10とコンデンサC5と抵抗R11で構成されるピークホールド回路40bにより周波数情報が電圧値としてピークホールドされる。この電圧値は、ツエナーダイオードD12によって生成された基準電圧(周波数が120Hz相当になる電圧)以上である場合、論理反転回路40cに電流が流れ、前記論理反転回路40cが作動してスイッチSWを待機状態に維持するものである。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路においては、単相ブラシレスモータの電機子巻線に流れる電機子電流の急増領域が検出され、その電機子電流の急増領域の現出を転流タイミングとして単相ブラシレスモータの転流を行うように構成したので、回転子の回転位置の決定が、速度起電力に頼ることなく、電機子電流に基づいて転流タイミングを決定することができるという効果がある。
【0092】
しかも、前記転流タイミングの決定に際し、電機子電流を平均化する回路、前記平均化された電機子電流を所定倍に増幅する回路が不要となる結果、この種単相ブラシレスモータの回路コストを著しく低減することが可能となる。
【0093】
又、本発明は、通常の状態においては単相ブラシレスモータを事前に設定した回転方向に回すことは容易である反面、自然風等外的要因により、単相ブラシレスモータの起動前(待機時)に回転子が回動してその回転位置(スタート位置)が変化している場合、この状態で通電を開始すると回転子が逆方向に回転したり、起動ができなくなるという問題が生じていたが、本発明はセンサレス駆動回路に外的要因によって回転子の位置がずれた場合、回転子の位置がずれていることを事前に検出して回転子の起動を阻止する回動検出回路が具備させてあるので、外的要因により電動機がその起動に失敗するという問題を確実に解消することができる。しかも、外的要因の発生時は電動機の起動を自動停止させ、外的要因が解消すれば直ちに起動させることができるので、電動機を駆動源とする機器が電動機の起動失敗によって生じる弊害を確実に回避することができる。
【0094】
更に、前記外的要因により回転子が回動したことを検出する回動検出回路は、既存の技術を組合せることにより、簡易に構成することができるため、単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路は特別に大型化することなく、小型・軽量に、かつ、安価に製造することが可能となり利便である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセンサレス駆動回路装置によって駆動するスケルトン形の単相ブラシレスモータの概略的構成図である。
【図2】本発明の第1実施例として示す単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置の回路図である。
【図3】本発明のセンサレス駆動回路装置により始動する回転子の回転位置決め状況を順次説明するための説明図である。
【図4】本発明のセンサレス駆動回路装置に具備した回動検出回路の1例として用いるバンドパスフィルタの特性要因図である。
【図5】本発明の第2実施例として示す単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置の回路図である。
【図6】本発明の第3実施例として示す単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置の回路図である。
【図7】本発明の第4実施例として示す単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置の回路図である。
【図8】従来の単相ブラシレスモータを示す概略的な構成図である。
【図9】従来の単相ブラシレスモータの動作状況を順次説明するための説明図である。【符号の説明】
1 単相ブラシレスモータ
2 回転子
3 回転子挿入孔
5 電機子巻線
6 固定子鉄心
11 センサレス駆動回路装置
12 インバータ回路
13 電流検出回路
14 帰還回路
15 ロータプリセット回路
16 始動補償回路
17,20,30,40 回動検出回路
17a,20a バンドパスフィルタ回路
30a,40a ハイパスフィルタ回路
17b,20b,30c,40b ピークホールド回路
30b ノコギリ波整形回路
17c,20c,30d,40c 論理反転回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、単相スケルトン形の単相ブラシレスモータの改良に係り、特に、回転子の起動時において、前記回転子自体が外的要因により回動している状態での起動を阻止する機能を具備した単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のブラシレスDCモータの駆動回路であって、ホール素子などの位置検知素子を用いることのないセンサレス駆動回路では、回転駆動中のモータの電機子巻線に生じる速度起電力と界磁の位置の相関に着目して、該速度起電力によりモータの転流タイミングを決定していた。特公平7−63232号公報には、この速度起電力に基づいて単相ブラシレスモータを駆動する駆動回路が記載されている。
【0003】
図8に示すように、特公平7−63232号公報に記載される駆動回路においては、いわゆるスケルトン形の単相ブラシレスモータ100を備えており、界磁としてのロータ101と、電機子としてのステータ102とを備えている。又、モータ100の停止時に、ロータ101の磁極の磁束軸X’がステータ102の磁極の磁束軸Y’と一致して停止しないように(いわゆるロック位置でロータ101が停止しないように)、弱磁界の永久磁石103の磁極(S極)が、その磁束軸Z’をステータ102の磁束軸Y’と直交するようにして、ロータ101の磁極と対向して配置されている。これによりステータ102のコイル104への通電を停止すると、ロータ101は磁束軸X’,Y’が重なるロック位置から角θだけ回動した位置に停止するように構成されている。
【0004】
この駆動回路では、モータ100を所望の方向へ的確に起動させるため、起動前にロータ101を所定の初期位置へセットするようにしている。図9を参照して、ロータ101を右方向へ回転させる場合の動作について説明する。
【0005】
モータ100の停止状態では、ロータ101は、永久磁石103の影響により、図9(a)又は(a)’の位置に停止している。この状態から、図9(b)及び(b)’に示すように、所望の回転方向(右方向)とは逆の左方向への回転を生じさせる向きにステータ102へ断続的な通電を行う。図9(b)及び(b)’のいずれの場合にも、ロータ101は、この断続的な通電により左方向へ回動し、図9(c)に示すように、ロータ101の磁束軸X’とステータ102の磁束軸Y’とが一致する位置で停止する。その後、前記断続的な通電を停止すると、ロータ101と永久磁石103との間に吸引力および反発力が作用して、ロータ101は、図9(d)に示す所定の位置に移動し、やがて停止する。これにより、モータ100の起動前におけるロータ101の初期位置へのセットが完了する。
【0006】
ロータ101の初期位置へのセット完了後、図9(e)に示すように、所望の右方向への回転を生じさせるようにステータ102への通電を行うと、ロータ101が右方向へ的確に回転を開始する。なお、ロータ101を左方向へ回転する場合は、ステータ102への通電を、前記図9(b),(b)’,(c)及び(e)の場合とは逆方向に行うことにより達成される。
【0007】
このように特公平7−63232号公報記載の駆動回路においては、ロータ101の停止位置に関わらず、ホール素子などの位置検知素子を用いることなく、センサレスで単相ブラシレスモータ100を所望の方向へ的確に起動することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9(c)の状態からステータ102の通電を停止して、図9(d)の状態へ移行する場合、ロータ101の振動は容易に収まらず、ロータ101が初期位置にセットされた状態で停止するまでには相当の時間を要していた。前記ロータ101の振動が停止するまでの時間は、モータ100のイナーシャなどにより一概に断定できないが、長いものにあっては数10秒かかる場合もあった。一方、ロータ101の振動中にモータ100を再始動すると、振動状況によっては、即ち、ロータ101がその初期位置より大きくずれたりした場合、モータ100が逆回転してしまうこともあった。
【0009】
又、モータ100の転流タイミングを決定するための速度起電力は、モータ100の電機子巻線電圧を利用して検出していたので、特に、単相ブラシレスモータでは180度通電を行うことができなかった。このため、単相ブラシレスモータでは、始動時にロータ101に対して大きなトルクを与えることができず、始動後短時間のうちに前記ロータ101を高速回転させることができなかった。又、単相ブラシレスモータに限らず、高負荷トルク時には、通電切替に伴う電機子電流の還流作用による転流スパイク電圧が増大するので、検出される速度起電力情報に大きな誤差が生じてしまい、その結果、界磁磁極位置の推定に大きなズレが生じて、転流タイミングを適切に決定することができなかった。
【0010】
そこで、本願出願人は、特開平9−37586号に記載するブラシレスモータのセンサレス駆動回路を発明した。かかるモータのセンサレス駆動回路においては、モータ各相の電機子電流波形に着目して、各相の通電領域にあらわれる2つの顕著な電流増加領域のうち第2の電流増加領域を検出して、これを転流タイミングと決定し、転流制御を行うものである。よって、このモータのセンサレス駆動回路では、速度起電力によらず、電機子電流に基づいて転流タイミングを決定しているので、単相モータであっても180度通電を行うことができ、また、高負荷トルク時でも適切に転流タイミングを決定することができるという優れた点を備えている。
【0011】
しかし、前記のセンサレス駆動回路では、上記第2の電流増加領域を、モータの電機子電流の瞬時値が電機子電流の平均値の所定倍(例えば1.2倍)になったことを目安として検出している。よって、第2の電流増加領域の検出のためには、電機子電流を平均化する回路と、その平均化された電機子電流を所定倍に増幅する回路とが必要となり、駆動回路自体のコストが上昇してしまうという問題があった。
【0012】
又、前記のセンサレス駆動回路においては、モータを例えば、送風機等の負荷に取付けた場合、送風機自体の駆動回路は、外的要因に関係なく起動を停止しているにもかかわらず、ロータ自体が回転するようなとき、即ち、例えば、送風機のファンが外部から自然に流入する外気の風圧によって非自発的に回動した場合(この現象を以下外乱という)、ロータはその起動時における初期位置が移動してずれてしまい(界磁磁極位置に大きなズレが生じる)、前記モータ自体の転流タイミングを適切に決定することができず、前記外乱によって転流タイミングが適切でない状態で電機子巻線に通電を行うことになるため、ロータの起動失敗、あるいは、ロータが逆方向に加速回転したりするという問題があった。
【0013】
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、外的要因である自然風等によって生ずる外乱の影響で待機状態にある回転子が回動してその初期位置が変化した場合、前記外乱によって回転子が回動したことを適確に検出してセンサレス駆動回路を確実に停止させるようにした、単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路装置は、単相ブラシレスモータは、上部側に一対の切込部を形成した回転子挿入孔を有し、下部側には分離可能な鉄心部材を介してセンタタップを有する電機子巻線を巻装した固定子鉄心と、前記回転子挿入孔に回転自在に設けた永久磁石からなる回転子とによって構成し、前記単相ブラシレスモータを駆動制御するセンサレス駆動回路装置は、電機子巻線に交番電圧を通電するインバータ回路と、電機子巻線に流れる電流を検出しこの電流を電圧に変換する電流検出回路と、前記電流検出回路にて検出され電圧に変換された電機子電流をインバータ回路にフィードバックして該インバータ回路の転流周期を前記電機子電流に応じて可変する帰還回路と、単相ブラシレスモータの運転待機時回転子が所定の始動位置から外的要因により非自発的に回動した場合電機子巻線に断続通電を行って回転子を所定の始動位置まで回動して保持させるロータプリセット回路と、前記回転子が所定の始動位置から非自発的に回動した場合前記ロータプリセット回路からの発信周波数の変化をバンドパスフィルタ回路により前記発信周波数の基準値に対してその利得が変化することを検出する手段を備えて回転子が所定の始動位置から非自発的に回動したことを検出する回動検出回路と、単相ブラシレスモータの始動時所定の始動トルクを発生させる電機子電流を電機子巻線に一定時間通電させて単相ブラシレスモータを始動させる始動補償回路とを具備して構成したことを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路装置は、請求項1記載のセンサレス駆動回路装置において、前記回動検出回路を、前記ロータプリセット回路の発振周波数の変化を、オンパルス幅変化として基準となるオンパルス幅と比較し、かつ、前記比較したオンパルス幅の周波数に対応してその利得が変化することを検出する手段を具備して構成したことを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路装置は、請求項1記載のセンサレス駆動回路装置において、前記回動検出回路を、バンドパスフィルタ回路と、前記バンドパスフィルタ回路の出力インピーダンスを低下させるためのオペアンプと、前記オペアンプの出力を周波数情報の電圧値として保持するピークホールド回路と、前記ピークホールドした電圧値と基準電圧とを比較する比較器と、更に、前記比較器からの出力を反転してスイッチに待機指令信号を出力する論理反転回路とによって構成したことを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路装置は、請求項1記載のセンサレス駆動回路装置において、前記回動検出回路を、バンドパスフィルタ回路と、前記バンドパスフィルタ回路の出力インピーダンスを低下させる電界効果トランジスタと、前記電界効果トランジスタの出力を周波数情報の電圧値として保持するピークホールド回路と、前記ピークホールドした電圧値とツエナーダイオードの基準電圧とを比較し、ピークホールドした電圧値が基準電圧を上回ったとき、ツエナーダイオードからの出力を反転してスイッチに待機指令信号を出力する論理反転回路とによって構成したことを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路装置は、請求項1記載のセンサレス駆動回路装置において、前記回動検出回路を、バンドパスフィルタ回路と、バンドパスフィルタ回路の出力をノコギリ波に変換し、かつ、そのピーク値をパルス幅に比例して変化させるノコギリ波整形回路と、前記バンドパスフィルタ回路の出力インピーダンスを低下させるオペアンプと、前記オペアンプの出力を周波数情報の電圧値として保持するピークホールド回路と、前記ピークホールドした電圧値と基準電圧とを比較する比較器と、更に、前記比較器からの出力を反転してスイッチに待機指令信号を出力する論理反転回路とによって構成したことを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路装置は、請求項1記載のセンサレス駆動回路装置において、前記回動検出回路を、バンドパスフィルタ回路と、バンドパスフィルタ回路の出力をノコギリ波に変換し、かつ、そのピーク値をパルス幅に比例して変化させるノコギリ波整形回路と、出力インピーダンスを低下させる電界効果トランジスタと、前記電界効果トランジスタの出力を周波数情報の電圧値として保持するピークホールド回路と、前記ピークホールドした電圧値とツエナーダイオードの基準電圧とを比較し、ピークホールドした電圧値が基準電圧を上回ったとき、ツエナーダイオードからの出力を反転してスイッチに待機指令信号を出力する論理反転回路とによって構成したことを特徴とする。
【0020】
本発明においては、単相ブラシレスモータの起動時にその制御回路を構成するセンサレス駆動回路装置に、回転子が単相ブラシレスモータの始動時(起動時)に所定の回転位置に保持されていない場合、これを検出するための回動検出回路を具備していることにより、自然風の流入等による外的要因(外乱)によって回転子が始動時前に所定位置から回動していることを確実に認識することができるので、単相ブラシレスモータの起動時、外乱により回転子が回動している場合、あるいは、回動したことによって、回転子自体が起動に失敗したり、回転子が逆方向に回転することにより生ずる弊害を確実に回避することができ、単相ブラシレスモータを駆動源とする電気機器の安全性を確実に確保することが可能となり、至便である。
【0021】
しかも、前記回動検出回路は、外乱が生じていた場合は、前記回転子が回動したことを示す情報によって作動する停止手段によって、インバータ回路が駆動するのを停止させる信号を送出し、前記インバータ回路の作動を確実に阻止するようにしたので、外乱によって回転子が回動している間、あるいは、回動したときは単相ブラシレスモータの起動を適確に阻止することが可能となり、利便である。
【0022】
又、前記回動検出回路は、特別な制御回路を構成することなく、既存の技術を組合せて構成するようにしたので、回路構成は複雑化することなく簡素化でき、かつ、狭隘なスペースを有効利用して設けることができるため、単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路を小型に、しかも、経済的に製造することが可能となった。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を単相ブラシレスモータ(以下、単相モータと称する)に実施した例を図1ないし図4によって説明する。図1において、単相モータ1は、図の上部側に回転子2を回転自在に挿入するための回転子挿入孔3を有し、図の下部側には、分離可能な鉄心部材4を介して電機子巻線5を巻装した固定子鉄心6と、永久磁石からなる前記回転子2とからなり、固定子鉄心6は一般的な電磁鋼板を打抜き、所定の積厚に積層することにより形成し、又、回転子2は、例えば磁性粉末を合成樹脂粉末と混合し、これを射出成型手段等により射出形成した、プラスチックマグネットロータ(以下、単に回転子と称する)を具備して、スケルトン形の単相モータ1を構成するものである。
【0024】
そして、前記固定子鉄心6には、図1に示すように、回転子挿入孔3の外側において、回転子挿入孔3の周縁に約180°の角度間隔を保って、一対の平面形状がU字状をなす切欠部7a,7bが、前記回転子挿入孔3と連通することなく狭隘な隘路(磁路)A,Bを有して形成されている。前記隘路A,Bを形成するのは、電機子巻線5が磁化されていないときに固定子鉄心6に流れる磁束(回転子2により生じる)を前記隘路A,Bに集中させ、回転子2に所要の磁極を形成させるためのものであり、固定子鉄心6に流れる磁束は、隘路A,Bにおいて均等に割り振りされて流れることにより、回転子2の起動時における位置決めの動作に貢献するものである。
【0025】
又、前記固定子鉄心6の回転子挿入孔3の周縁には、図1で示すように、前記切欠部7a,7bから約90°の角度間隔を保って回転子挿入孔3と連通可能となした一対の切込部8a,8bが、互いに相対向した状態で約60°の角度範囲を保って弧状に形成されている。この切込部8a,8bは固定子鉄心6に流れる磁束が、前記切込部8a,8bの存在による磁気抵抗の増加により流れが抑制され、回転子2の磁化が最も弱体化しているN極とS極との境界部分aが、前記切込部8a,8bの中間点の位置で停止することが可能となる。
【0026】
前記固定子鉄心6にU字状の切欠部7a,7bと弧状の切込部8a,8bをそれぞれ形成した場合、回転子2を始動位置に導いたり、所定位置で停止させることができる点は、公知の有限要素法の磁場解析によるコギングトルク解析によって確認することができた。特に、切欠部7a,7bの存在は、回転子2をその停止位置から始動位置近くまで微動させることが可能となり、これが回転子2の回転方向を導き出す上で大いに貢献しているものと思われる。
【0027】
前記の点を更に詳述すると、固定子鉄心6は電機子巻線5への通電により鉄心部材4が直流磁化されると、固定子鉄心6に、例えば図1において右方向(時計方向)に沿って磁束が流れる。この結果、回転子2の磁極は固定子鉄心6に流れる磁束に対して整列しやすい方向に位置を変える(回転)ことになるが、これを、即ち、回転子2の回転を急激に行うと、回転子2自体がどの方向に回転するのか不明となる。このため、固定子鉄心6の鉄心部材4を、比較的高い周波数で交流磁化させ、かつ、直流成分を上乗せすることにより、固定子鉄心6を少しだけ直流磁化させる。
【0028】
前記のようにすると、回転子2は徐々に磁束が整列する方向に移動(回転)し、回転子2のN,S極の境界部分aが、例えば、切欠部7aと切込部8aとの中間位置に近づくように回転しながら停止する。そして、停止した位置が回転子2の始動位置となる。即ち、回転子2の磁極の位置を確定するものである。以上の一連の動作を単相モータ1の起動時における回転子2の位置決め動作(プリセット動作)と言い、これらの動作は有限要素法の磁場解析によるトルク解析によって確認することができた。
【0029】
なお、本発明において、前記回転子2は電機子巻線5の無通電状態では、回転子2の磁束軸Xが固定子鉄心6の磁束軸Yと一致するロック位置から、偏角θを保つ2箇所の位置(図1の位置、および、図1の回転子2のN極とS極とが逆になった位置)に停止されるように構成されている。
【0030】
又、電機子巻線5は、例えば、固定子鉄心6の鉄心部材4のみに巻装された一組の中間子付巻線(センタタップ巻線)により構成され、2つの端子e,fと中間端子gとの計3つの端子を備えている。また、その巻線仕上げは、2本の導線を束ねて同時に巻く、いわゆる「バイファイラ巻き」により行われている。なお、単相モータの場合には、中間タップがあれば良く、必ずしもバイファイラ巻きである必要は無い。
【0031】
次に、本発明の単相モータ1を駆動制御するセンサレス駆動回路装置について説明する。図2において、前記センサレス駆動回路装置(以下単にモータ駆動回路という)11は、大別すると、インバータ回路12と、電流検出回路13と、帰還回路14と、ロータプリセット回路15と、始動補償回路16と、回動検出回路17とを備えて概略構成されている。このモータ駆動回路11には、10〜30ボルトの直流電圧を出力可能な直流電源50が接続され、そのプラス側入力端Pは、ダイオードD1のアノードに接続されている。このダイオードD1は、単相モータ1の転流動作時に発生する逆起電力による還流電流が直流電源50に流れ込むのを防止する。又、ダイオードD1のカソードは、前記還流電流を充電するコンデンサC1(50V、100μF)のプラス側端子に接続され、そのコンデンサC1のマイナス側端子は、直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。なお、還流電流をコンデンサC1に充電することは、モータ駆動回路11から外部に発振される電磁ノイズ(ElectroMagnetic Interference)の量の減少を図るとともに、直流電源50と端子PN間の配線抵抗での電力損失の低減及び還流電流の再利用による電力利用率(効率)の向上を図るためのものである。
【0032】
前記ダイオードD1のカソードは、単相モータ1の中間端子gに接続され、単相モータ1の端子e,fは、インバータ回路12に接続されている。インバータ回路12は、無安定マルチバイブレータ動作(自励発振動作)を行って、単相モータ1の各コイルL1(g−e巻線),L2(g−f巻線)に、交互に直流電圧を印加するための回路である。このインバータ回路12は、高耐圧のNPN形パワートランジスタQ1,Q2と、10kΩの抵抗R1,R2、ダイオードD2,D3とを備えて構成されている。
【0033】
前記インバータ回路12の両トランジスタQ1,Q2のコレクタ端子は、単相モータ1の両端子e,fにそれぞれ接続されるとともに、抵抗R1,R2を介して、それぞれ他方のトランジスタQ2,Q1のベース端子に交叉接続されている。この接続により、一方のトランジスタのオンにより他方のトランジスタがオフされ、かつ、そのオン・オフが繰り返されるという、無安定マルチバイブレータ動作(いわゆる自励発振動作)が行われる。また、両トランジスタQ1,Q2のコレクタ・エミッタ端子間には、ダイオードD2,D3がアノード端子をエミッタ端子側にしてそれぞれ接続されており、これらダイオードD2,D3により、単相モータ1の転流動作時に発生する逆起電力エネルギーが還流電流として還流される。
【0034】
ここで、前記インバータ回路12の無安定マルチバイブレータ動作について説明する。図2において、直流電源50の投入により、例えば、トランジスタQ1 がオンし、トランジスタQ2がオフしたとすると、コイルL1を介して電流が流れ、トランジスタQ1のコレクタ電流が増加する。やがてコレクタ電流がトランジスタQ1のベース電流と電流増幅率とで定まる飽和電流値に達すると、トランジスタQ1のコレクタ電流の増加率が低下し、トランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間電圧が上昇し始める。トランジスタQ1のコレクタ電圧がエミッタ端子を基準にして0.6V付近に達すると、抵抗R1を介して、トランジスタQ2にベース電流が流れ始めトランジスタQ2がオンする。このトランジスタQ2のオンに伴って、トランジスタQ2のコレクタ電圧が低下し、抵抗R2を介してトランジスタQ1 に供給されるベース電流が減少する。このベース電流の減少とともに、トランジスタQ1の飽和電流値も減少するので、トランジスタQ1のコレクタ電流が更に減少する。これにより、トランジスタQ1のコレクタ電圧が更に上昇し、トランジスタQ2のベース電流を増加させて、トランジスタQ2のオンを加速する。一方、トランジスタQ2のオンにより、トランジスタQ2のコレクタ電圧が低下し、トランジスタQ1のベース電流が更に減少して、トランジスタQ1のオフが加速される。このように、急速に、トランジスタQ1がオフ、トランジスタQ2がオンの状態に変化する。
【0035】
トランジスタQ2がオン、トランジスタQ1がオフとなった後は、トランジスタQ2のコレクタ電流が飽和電流値に達するまでその状態を維持する。そして、トランジスタQ2のコレクタ電流が飽和電流値に達すると、上記とは逆に、トランジスタQ1のオン、トランジスタQ2のオフが急速に行われ、その状態が変化する。このように、トランジスタQ1,Q2のオン・オフ動作が繰り返され、その結果、インバータ回路12は「無安定マルチバイブレータ動作」(自励発振動作)を行うのである。
【0036】
インバータ回路12の両トランジスタQ1,Q2のエミッタ端子と、直流電源50のマイナス側入力端Nとの間には、電流検出回路13が設けられている。電流検出回路13は、2Ω(4W)のシャント抵抗Rsにより構成され、インバータ回路12を介して単相モータ1のコイルL1,L2に流れる電流(以下「電機子電流」という)を、シャント抵抗Rsに流れるシャント電流として検出し、電圧に変換するための回路である。この電圧変換されたシャント電流は、後述する帰還回路14によってインバータ回路12へフィードバック(帰還)され、前記した無安定マルチバイブレータ動作の発振周期を決定する。
【0037】
前記帰還回路14は、電流検出回路13によって検出され電圧に変換されたシャント電流(電機子電流)を、インバータ回路12へフィードバックする回路であり、2つのダイオードD4,D5と、2.2kΩの抵抗R3と10kΩの抵抗R4 とからなり、前記抵抗R3,R4は直列に接続され、抵抗R4側の一端はシャント抵抗Rsの電圧を増幅した電流検出回路13の出力端に接続され、抵抗R3側の他端はダイオードD4,D5のカソードに接続されている。又、ダイオードD4,D5の各アノードは、インバータ回路12の各トランジスタQ1,Q2のベース端子にそれぞれ接続されている。
【0038】
この帰還回路14は、電流検出回路13、及び、抵抗R1,R2とトランジスタQ1,Q2との電流増幅率の相互作用を利用して、電機子電流の急増領域を検出し、その急増領域でインバータ回路12による転流が行われるようにしている。電機子電流は、回転子2が固定子鉄心6に最も吸着される位置、即ち、回転子2の磁場ベクトルと、電機子巻線5への通電により生じる磁場ベクトルとが整列する位置(モータの発生トルクがゼロとなる位置)で急増する。これは、回転子2が前記位置に達することにより、発電電圧がほぼ「0」となるからである。従って、前記急増領域の現出を転流タイミングとして決定することにより、単相モータ1を適確に同期駆動(回転)することが可能となる。
【0039】
具体的には、シャント抵抗Rsの電圧降下を、インバータ回路12の各トランジスタQ1,Q2のベース端子へフィードバック(帰還)させるのである。すると、電機子電流の急増領域では、シャント抵抗Rsの電圧降下が大きくなる結果、その分、ベース電流が帰還回路14側へ流れて少なくなり、コレクタ電流の飽和電流値が小さくなるものの、その際、流れているコレクタ電流が飽和電流値と一致すると、両トランジスタQ1,Q2のオン・オフ状態が切替えられ、転流動作が円滑に行われる。
【0040】
なお、かかる転流周期(タイミング)、即ち、上記したインバータ回路12の発振周期は、この帰還回路14の抵抗値により変化させることができる。具体的には、帰還回路14の抵抗値を小さくすると、インバータ回路12の発振周期が短くなり(発振周波数が大きくなり)、抵抗値を大きくすると発振周期が長くなる(発振周波数が小さくなる)のである。帰還回路14の抵抗値を小さくすることにより、トランジスタQ1,Q2のベース端子への帰還量が多くなるので、電機子電流の急増を僅かに検出した場合でも、転流動作を確実に行わせることができる。
【0041】
次に、ロータプリセット回路15は、単相モータ1の停止時(待機時)に、微少量の直流電流成分を流して、回転子2を所定の停止位置(例えば、図3(a)に示す位置)に保持しておくための回路である。即ち、単相モータ1の一方のコイルL1に通電する時間と、他方のコイルL2に通電する時間との比率(デューティ比)をアンバランスとして、単相モータ1に直流電流成分を通電する。この直流電流成分は、帰還回路14とロータプリセット回路15との合成抵抗値(並列抵抗値)をトランジスタQ1,Q2の各オン時に大小させるとともに、インバータ回路12の発振周期を長短させることにより生成する。
【0042】
このように、前記ロータプリセット回路15によって回転子2が所定の停止位置に保持されるので、単相モータ1の始動時にインバータ回路12のいずれのトランジスタQ1,Q2がオンしても、単相モータ1を必ず所定の方向へ回転させることができるのである。例えば、ロータプリセット回路15によって、始動前の回転子2が図3の(a)に示す位置に保持されていると、単相モータ1は必ず左方向へ回転する。
【0043】
このロータプリセット回路15は、インバータ回路12のトランジスタQ2 のコレクタ端子に接続された抵抗R5(32kΩ)を備え、その抵抗R5の一端は、10kΩの抵抗R6の一端とトランジスタQ3のベース端子とに接続されている。一方、トランジスタQ3のコレクタ端子は1kΩの可変抵抗VRの摺動子に接線され、前記可変抵抗VRの一端はダイオードD6のカソードに接続され、ダイオードD6のアノードは帰還回路14のダイオードD4,D5のカソードに接続されている。又、可変抵抗VRの他端は、抵抗R6の他端と、トランジスタQ3のエミッタ端子と、スイッチSWの「待機」端子とに接続され、スイッチSWのコモン端子は、帰還回路14と同様に、電流検出回路13の出力端および直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。
【0044】
ロータプリセット回路15は、直流電源50が投入された状態で、スイッチSWを「運転」端子から「待機」端子へ切り替えることにより作動する。即ち、スイッチSWを「待機」端子に切り替えると、帰還回路14の抵抗R3,R4に可変抵抗VR及びトランジスタQ3のエミッタ端子が並列接続されて合成抵抗値が減少するとともに、かかる合成抵抗値は、インバータ回路12のトランジスタQ1 のオン時とQ2のオン時とで大小するので、トランジスタQ1のオン時とQ2のオン時とでインバータ回路12の発振周期が長短し、その結果、単相モータ1へ直流電流成分が流れる。
【0045】
具体的には、トランジスタQ1がオフ、Q2がオンの場合、トランジスタQ3はオフし、帰還回路14の合成抵抗値は0.92kΩ(VR(R3+R4)/(VR+R3+R4))となる。逆に、トランジスタQ1がオン、Q2がオフした場合、トランジスタQ3はオンし、可変抵抗VRの抵抗値が減少する。例えば、可変抵抗VRの摺動子が半分の位置にある場合には、可変抵抗VRの抵抗値は0.5kΩとなるので、帰還回路14とロータプリセット回路15との合成抵抗値は0.48kΩとなる。前記した通り、インバータ回路12の発振周期は、帰還回路14とロータプリセット回路15との合成抵抗値が大きいほど長く、小さいほど短いので、トランジスタQ1のオン時間はQ2のオン時間に比べて短くなる。従って、その差分の微小量の直流電流成分が単相モータ1に流され、その直流電流成分によって、単相モータ1の回転子2が所定の位置に保持されるのである。
【0046】
なお、アンバランスとするデューティ比は、直流電流成分が20%(60%対40%)〜50%(75%対25%)の範囲となるように設定することが一般的に好ましい。又、回転子2を保持する所定の位置としては、回転子2の磁束軸Xが固定子鉄心6に設けられた2つの切欠部7a,7bを結ぶ線と直交する位置よりやや水平側に傾いた位置が好適である(図1,3(a)参照)。即ち、直流電源50をオフからオンした場合に、回転子2の磁束軸Xがやや水平側に回転するような挙動を示す位置に設定するのが好ましい。即ち、回転子2は直流電源50のオフ後、前記位置に保持され易く構成されているからである。
【0047】
なお、前記ダイオードD6は、スイッチSWが「待機」位置側に存在する場合だけ、帰還回路14の抵抗値が減少するようにし、逆に、スイッチSWが「運転」位置側にある場合に単相モータ1の電圧が、抵抗R5,R6を経て可変抵抗VRから抵抗R3側に漏れ電流が流れ込まないようにするものである。
【0048】
つづいて、始動補償回路16は、単相モータ1の始動時に、充分な始動トルクを発生させる上で必要な電機子電流を流して、単相モータ1の始動動作を確実に行うための回路である。従って、この始動補償回路16は、単相モータ1の始動時と始動後において帰還回路14の抵抗値を大小させ、始動時には転流周期を長くして、単相モータ1へ充分な電機子電流を流し、始動後は前記転流周期を短くして単相モータ1を高速回転させるようにしている。
【0049】
始動補償回路16は、トランジスタQ1,Q2のエミッタ端子および電流検出回路13の入力端にアノードが接続されたダイオードD7を備え、そのダイオードD7のカソードは27kΩの抵抗R7の一端に接続されている。一方、抵抗R7の他端は、トランジスタQ4のベース端子と、ダイオードD8のアノードとコンデンサC2(220μF,10V)のプラス側端子と、47kΩのブリーダ抵抗R8の一端とに接続されている。前記トランジスタQ4のコレクタ端子は帰還回路14の2つの抵抗R3,R4間に接続され、エミッタ端子は、コンデンサC2のマイナス側端子および抵抗R8の他端とともに、電流検出回路13の出力端と直流電源50のマイナス側入力端Nとにそれぞれ接続されている。更に、ダイオードD8 のカソードは、スイッチSWの「待機」端子に接続されている。
【0050】
この始動補償回路16は、コンデンサC2に所定量の電荷が蓄積されて、その端子間電圧が約0.6Vに達するまで、トランジスタQ4のオフを維持し、帰還回路14の抵抗値を12.2kΩ(抵抗R3,R4)という大きな値に保ち、単相モータ1の始動時における転流周期を長くしている。これにより、単相モータ1の始動後、コンデンサC2の端子間電圧が約0.6Vに達するまでの間、単相モータ1の各コイルL1,L2へ、始動トルクを発生させるために充分な電機子電流を流すことが可能となる。
【0051】
前記始動補償回路16は、ロータプリセット回路15のスイッチSWが「待機」端子側にあるときは、コンデンサC2の端子間電圧は0.6V未満となっておりトランジスタQ4はオフしている。一方、スイッチSWが「待機」端子から「運転」端子側に切り替えられると可変抵抗VRが帰還回路14から切り離され、帰還回路14の抵抗値が1kΩ弱から12.2kΩと急激に大きくなる。これにより、インバータ回路12の発振周期が長くなり、単相モータ1の転流周期が長くなって、各コイルL1,L2には始動トルクを発生させるために充分な電機子電流が流される。各コイルL1,L2に流れる電機子電流は、そのままシャント抵抗Rsを流れるシャント電流となり、シャント抵抗Rsの両端電圧が、マイナス側入力端Nを基準として、約0.6V以上になると(ダイオードD8の電圧降下分以上になると)、コンデンサC2への充電が開始され、前記コンデンサC2の端子間電圧が徐々に上昇して約0.6Vに達すると、トランジスタQ4がオンして、帰還回路14の抵抗値が、12.2kΩ(抵抗R3,R4)から2.2kΩ(抵抗R3)に減少する。帰還回路14の抵抗値が減少すると、インバータ回路12の発振周期が前記とは逆に短くなり、単相モータ1の転流周期が短くなって単相モータ1が徐々に高速回転を始める。
【0052】
このように、始動補償回路16は、コンデンサC2の端子間電圧が約0.6Vに達するまでの間、単相モータ1の転流周期を長くして、各コイルL1,L2へ始動トルクを発生させるために充分な電機子電流を流し、単相モータ1を確実に始動するようにしている。しかも、コンデンサC2への充電は、シャント電流(電機子電流)に基づいて行われるので、その端子間電圧が約0.6Vに達するまでの時間は、固定された時間とはならず、モータの種類や直流電源50の電圧に応じて変化する時間となる。よって、モータの始動に適切な時間だけ、転流周期を長くした始動モードを維持することができる。
【0053】
なお、スイッチSWを「運転」端子から「待機」端子に切り替えると、ダイオードD7を介してコンデンサC2のプラス側端子が直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されるので、コンデンサC2に蓄積された電荷が急速に放電される。従って、コンデンサC2は瞬時のうちに初期状態に戻されるため、再度、スイッチSWを「運転」端子に切り替えても、始動補償回路16を確実に作動させることができる。又、その際トランジスタQ4は、そのコレクタ端子からベース端子へ漏れ電流を生じるが、かかる漏れ電流はブリーダ抵抗R8によりバイパスされるので、始動補償回路16を正常に作動させることができる。
【0054】
次に、図2において、17は単相モータ1の運転停止中に回転子自体が外気の流入等による外的要因によって非自発的に回動した場合、これを検出するための回動検出回路を示し、例えば、単相モータ1を図示しない送風機に組込み、この単相モータ1の回転子軸に送風ファンを取付けて送風機を構成し、この送風機の始動時単相モータ1に取付けたファンが外気の流入による外的要因により非自発的に回動している場合を「外乱」といい、この外乱が発生しているとき、あるいは、外乱の発生によって回転子が非自発的に回動した場合に単相モータ1を起動すると、回転子2は所定の回転位置からずれているため、転流タイミングが適切に行い得ず、起動に失敗(回転子2が起動しなかったり、逆回転する場合)することがある。前記回動検出回路17は前記外乱現象が生じたとき、この外乱を検出する。この検出により、例えスイッチSWを「待機」から「運転」に切り替えたとしてもモータ駆動回路11は起動することなく停止状態を維持し、単相モータ1の起動失敗に伴い、単相モータ1を使用する機器に、単相モータ1の誤起動等によって生ずる弊害誘発を阻止するようにしたものである。
【0055】
前記回動検出回路17の原理は、単相モータ1の待機時において、回転子2の位置を変化させると、回転子2の位置に合せて固定子鉄心6と回転子2との間でのギャップの変化(切込部8a,8bの存在によって生じる)に対応して、ロータプリセット回路15の発振周波数が変化するのを利用して検出することにある。即ち、ロータプリセット回路15で安定して停止しているときの回転子2の位置における発振周波数に対し、回転子2が安定している位置(始動位置)から、例えば、90°ずらした(回動した)とき発振周波数が若干高くなるのを検出することにより、外乱が発生したのか、否かを判定するものである。
【0056】
前記図2に示す回動検出回路17は、大別するとバンドパスフィルタ回路17aと、ピークホールド回路17bと、論理反転回路17cとによって概略構成されている。バンドパスフィルタ回路17aは、抵抗R9,コンデンサC3からなるローパスフィルタと、コンデンサC4と抵抗R10とからなるハイパスフィルタとを組合せて構成されており、このバンドパスフィルタ回路17aの入力端(抵抗R9)は単相モータ1と接続され、出力端(コンデンサC4と抵抗R10の接続点)は、ダイオードD9のカソードとオペアンプ(演算増幅器)O1の非反転入力端に接続されている。ダイオードD9のアノードはバンドパスフィルタ回路17aのコンデンサC3,抵抗R10の一方端とともに直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。
【0057】
ピークホールド回路17bはダイオードD10,コンデンサC5,抵抗R11とからなり、ダイオードD10のカソードはコンデンサC5,抵抗R11の一方端とともに比較器H1の非反転入力端に接続され、前記コンデンサC5,抵抗R11の他方端は直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。なお、前記比較器H1 の反転入力端は抵抗R12,可変抵抗VR1 ,コンデンサC6の一方端に接続されている。又、抵抗R12の他方端とオペアンプO1,比較器H1の+電源側は、単相モータ1の中間端子gに接続され、前記オペアンプO1,比較器H1の−電源側と可変抵抗VR1,コンデンサC6の他方端は直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。C7はオペアンプO1と比較器H1の電源間(+,−)に接続したノイズ対策用のコンデンサである。
【0058】
論理反転回路17cは、トランジスタQ5,抵抗R13,R14とからなり、抵抗R13の一方は比較器H1の出力端に接続され、この抵抗R13の他方端と抵抗R14の一方はともにトランジスタQ5のベースに接続されている。一方、トランジスタQ5のエミッタと抵抗R14の他方端は直流電源50のマイナス側入力端Nに接続され、コレクタはスイッチSWの「待機」端子に接続されている。
【0059】
次に、上記のように構成されたモータ駆動回路11の動作を説明する。スイッチSWを「待機」端子にした状態で直流電源50が投入(接続)されると、待機モードとなって、ロータプリセット回路15が作動する。具体的には、可変抵抗VRの摺動子位置により定まる帰還回路14とロータプリセット回路15との合成抵抗値に基づいて、インバータ回路12の各トランジスタQ1,Q2が不均等(アンバランス)なデューティ比でオン・オフされる。このアンバランスなオン・オフにより、単相モータ1に直流電流成分が流され、回転子2が所定の位置(例えば、図3(f)の位置)に保持される。
【0060】
なお、待機モードでは、帰還回路14とロータプリセット回路15との合成抵抗値は1kΩ弱と小さいので、転流周期は非常に短く、電機子電流は微小量となっている。よって、待機モードでの通電により、単相モータ1が回転や振動を起こしたり、騒音を発生することはない。
【0061】
次に、前記待機モード時において回転子2を始動モード(運転開始)位置に移動させて所望の方向に的確に起動させる場合について説明する。図3において、回転子2を左方向に回動する場合について説明すると、回転子2の停止状態では、回転子2はその永久磁石の影響(磁束)により図3(a)の位置で停止している。この状態で、単相モータ1の電機子巻線5に回転子2を所定の回転方向への回転を生じさせる向きに断続的に通電する。
【0062】
前記断続的な通電により固定子鉄心6に図3(a)に1点鎖線で示すように磁束が流れ、回転子2は図3(a),(b)で示すように左方向(矢印方向)に回転し、回転子2の磁束軸Xと固定子鉄心6の磁束軸Yとが一致した位置(図3(b))で一旦停止しようとする。しかし、直流成分の断続通電により固定子鉄心6の回転子挿入孔3には、180°の角度間隔を保って弧状の切込部8a,8bが形成されており、この部位において、切込部8a,8bと回転子2との間で切込部8a,8bの存在によりギャップが生じている関係上、固定子鉄心6に流れる磁束の磁気抵抗が増大して回転子2の磁化が弱まることによりコギングトルクが作用する。
【0063】
一方、前記回転子2は断続通電の続行に伴い、固定子鉄心6に設けた切欠部7a,7bの存在により、この部位(隘路A,B)に固定子鉄心6,回転子2の磁束が集中し、前記隘路A,Bの部位に磁極が生じたような現象が発生して、回転子2を図3(c),(e)で示すように、徐々に磁束が整列する方向に、即ち、特定方向(左方向)への回転を続行させる。そして、回転子2が例えば、180°回転した時点で前記断続的な通電を停止すると、前記回転子2は図3(e)で示すように、N極とS極との境界部分aが切込部8a,8bの位置に達すると、前記コギングトルクが良好に作用して前記図3(a)の位置から図3(e)を経て(f)で示すように、回転子2の境界部分aが切欠部7a,7bと切込部8a,8bとの中間位置に傾いて(回動)回転子2は停止し、この位置(図3(f))で回転子2の極性が確定される。この動作を起動時における位置決め動作(プリセット動作)という。なお、回転子2が図3(f)で示すように、境界部分aが切欠部7a,7bと切込部8a,8bとの中間位置で停止することは、有限要素法の磁場解析によるトルク解析によって確認することができた。
【0064】
以上により、単相モータ1の回転子2における初期位置(始動位置)のセットを完了する。この場合、即ち、回転子2のN極とS極の境界部分aが切込部8a,8bと切欠部7a,7bとの中間位置に達すると、回転子2が停止するという現象は、周知の有限要素法の磁場解析によるトルク解析によって確認することができた。又、固定子鉄心6に切欠部7a,7bを形成することにより、この部位の隘路A,Bに磁束の集中によって磁極が存在(現出)することは、回転子2の特定(所定)方向への回転方向性を導き出すのに大いに貢献していると考えられる。
【0065】
このように、固定子鉄心6にU字状の切欠部7a,7bと弧状の切込部8a,8bを形成することにより、これら切欠部7a,7bと切込部8a,8bとにより、固定子鉄心6に鉄心の飽和現象とリラクタンス特性を生起させ、これにより、鉄心の磁気的方向性を生成させ、これにより、回転子2がそのスタート時(起動時)に少しぐらい逆転したとしても、瞬時に正常な回転方向にて回転させることが可能となる。
【0066】
前記のようにして、単相モータ1における回転子2の始動位置を設定したら、スイッチSWを待機モードから「運転」端子に切り替えると、始動モードとなる。即ち、スイッチSWを「運転」端子に切り替えることにより、ロータプリセット回路15が帰還回路14から切り離され、その動作を停止する。一方、始動補償回路16は、スイッチSWが「待機」端子にある場合には、コンデンサC2の充電がダイオードD8によって阻止される停止状態にあるが、この状態からスイッチSWを「運転」端子に切り替えることにより、始動モードとなって、始動補償回路16が作動し、コンデンサC2の充電が開始される。
【0067】
始動モードでは、帰還回路14の抵抗値が12.2kΩ(抵抗R3,R4)と大きくなり、その分、転流周期が長くなって、単相モータ1の各コイルL1,L2 に始動トルクを発生させるために充分な電機子電流が流される。よって、単相モータ1は徐々に始動を開始する。
【0068】
なお、単相モータ1の回転子2は、待機モードにおいて所定の位置に保持されているので、トランジスタQ1,Q2のいづれからオンが始まっても、必ず一定の方向に回転する。具体的には、待機モードにおいて、回転子2が図3(f)の位置に保持されている場合には必ず左方向へ回転する。単相モータ1は、通電第1波または第2波のうち、回転子2の磁場ベクトルと反発する方向の磁場が与えられる通電(図3(f)において、磁場ベクトルが右から左方向へ向かう通電)により、回転を開始するからである。
【0069】
始動モードの継続に伴って、コンデンサC2が徐々に充電される。かかる充電により、コンデンサC2の端子間電圧が略0.6Vに達すると、トランジスタQ4がオンして、始動モードから定常モードへと移行する。定常モードでは、トランジスタQ4のオンにより帰還回路14の抵抗値が2.2kΩ(抵抗R3)と小さくなるので、インバータ回路12の発振周期が短くなって、転流周期が短くなる。よって、単相モータ1は徐々に高速回転を始め、やがて略定速回転となる。この状態で、直流電源50の投入が続けられることにより、単相モータ1はほぼ定速回転を継続する。なお、ほぼ定速時の回転速度は、コイルL1,L2に印加される直流電源50の電圧に比例する。即ち、直流電源50の電圧が高いほど高速で回転し、低いほど低速で回転する。よって、直流電源50の電圧値により、ほぼ定速時の回転速度を制御することができる。
【0070】
定常モード(または始動モード)での運転中に、スイッチSWが「運転」端子から「待機」端子に切り替えられると、待機モードへ移行する。即ち、始動補償回路16のコンデンサC2がダイオードD8により急速に放電され、トランジスタQ4がオフされるとともに、ロータプリセット回路15が作動し、単相モータ1へ直流電流成分が流されて、回転子2を所定の位置へ保持するホールディングトルクが加えられる。よって、単相モータ1は徐々に回転を緩め、回転子2を所定の位置にして停止する。
【0071】
この状態で直流電源50がオフされても、回転子2は所定の位置又はその近傍にある。よって、次に直流電源50がオン(接続)された場合に、短時間のうちに回転子2を所定の位置へ保持することができる。回転子2が所定の位置へ保持された後は、単相モータ1をいつでも始動することができるので、単相モータ1を待機モードにしてから直流電源50をオフすることにより、次の単相モータ1の始動までの時間を短縮することができる。
【0072】
前記のように、本実施例のモータ駆動回路11によれば、電流検出回路13と帰還回路14とにより、電機子電流の急増領域を検出して、その検出を転流タイミングとして転流動作を行わせている。よって、速度起電力によらず、電機子電流に基づいて転流タイミングを決定することができるので、単相モータ1であっても180度通電を行うことができ、その始動性を向上することができる。即ち、始動から短時間のうちに高速回転することができるのである。また、電機子電流に基づいて転流タイミングを決定することにより、重負荷時でも、転流に伴う過大なスパイク電圧の影響を受けることなく、的確にモータを駆動(回転)することができるのである。
【0073】
更に、転流タイミングの決定に電機子電流の急増領域を用いているので、電機子電流を平均化する回路や、その平均化された電機子電流を所定倍に増幅する回路が不要となり、回路コストを低減することができる。しかも、インバータ回路12は無安定マルチバイブレータ動作を行うシンプルな回路で構成されるとともに、ロータプリセット回路15や始動補償回路16は、インバータ回路12、電流検出回路13、帰還回路14の各回路と有効に結合して共同動作するように構成されているので、各回路が単独で動作するように構成されている場合に比べて、モータ駆動回路11のコストを大幅に低減することができる。
【0074】
次に、図2に示すモータ駆動回路11における回動検出回路17の動作について説明する。本発明における外乱を検出するための基本概念は、例えば、バンドパスフィルタを用いて周波数が変化すると利得が変化することを利用して外乱の検出を行うことにある。この場合、回路のコストを考慮するために、例えば、ローパスフィルタのC(コンデンサ)R(抵抗)によるパッシブフィルタを構成し、例えば、図4に示すフィルタの特性図において、ポール(極)は16Hzに設定し、スロープ(S)は、−6dB/Octとした。そして、基準値となる周波数は100Hzを超えた地点に設定するようにした。
【0075】
又、外乱に対する定義は、特に拘るものではないが、本発明において表現する外乱については、例えば、一般に電気用語で用いられている自動制御系の制御状態を乱すような外的作用と同じように、単相モータ1の回転子2が、その非回転時において、前記回転子2に取付けた図示しない回転羽根が、例えば、外力(風圧等の外的要因)を受けて非自発的に回転(回動)する現象を事例として説明する。
【0076】
そして、前記回動検出回路17は、例えば、ロータプリセット回路15の通常時(単相モータ1の運転停止時(待機時))の発振周波数を100Hzとし、回転子2が例えば90°回動した時点での前記ロータプリセット回路15の発振周波数が166Hzとなる場合に、バンドパスフィルタ回路17aの一方を構成する抵抗R9とコンデンサC3からなるローパスフィルタのカットオフ周波数を16Hzに設定し、この場合、回転子2の回動によりロータプリセット回路15の周波数が100Hzより高くなると図4に示すように、バンドパスフィルタ回路17aからの出力が減るように設定する。前記出力はコンデンサC4と抵抗R10からなるハイパスフィルタにより前記16Hz以下の直流分を除去し、かつ、オペアンプO1でその出力インピーダンスを低下させることにより、ロータプリセット回路15の周波数の情報を電圧値に変換する。この電圧値はピークホールド回路17bによってピークホールドし、この電圧値は、抵抗R12、可変抵抗VR1,コンデンサC6によって生成される基準電圧(周波数が120Hz相当の電圧)を比較器H1により比較し、外乱が生じている場合、あるいは、外乱によって回転子2が非自発的に回動したとき(周波数が120Hz以上)は、前記比較器H1 からの出力を反転させて出力する論理反転回路17cのトランジスタQ5 をオンさせ、このオン信号をスイッチSWに送出して前記スイッチSWを待機状態に維持する。
【0077】
即ち、スイッチSWを仮に運転状態に切り換えたとしてもインバータ回路12が起動するのを確実に防ぎ、単相モータ1が回転子2の回転位置が不安定な状態で起動するのを良好に阻止し、単相モータ1を駆動源とする電気機器の不用意な運転による弊害発生を一掃可能とした。
【0078】
次に、前記回動検出回路17の第2実施例を図5に示す。図5に示す第2実施例の回動検出回路20と、前記第1実施例で説明した回動検出回路17との相違点は、第2実施例の場合、バンドパスフィルタ回路20aとピークホールド回路20bとの間に、オペアンプO1に代えて電界効果トランジスタ(以下FETと称する)Q6を接続し、又、ピークホールド回路20bと論理反転回路20cとの間には、比較器H1に代えて抵抗R20,ツエナーダイオードD11を接続して構成したもので、バンドパスフィルタ回路20aと、ピークホールド回路20b,論理反転回路20cの各構成の詳細については、前記第1実施例で説明した各回路17a〜17c構成と同じであるので説明は省略する。
【0079】
前記回動検出回路20においても、例えば、ロータプリセット回路15の通常の発振周波数を100Hzとし、回転子2が例えば90°回動した時点での前記ロータプリセット回路15の発振周波数が166Hzとなる場合に、バンドパスフィルタ回路20aの一方を構成する抵抗R9とコンデンサC3からなるローパスフィルタのカットオフ周波数を16Hzに設定し、この場合、回転子2の回動によりロータプリセット回路15の周波数が100Hzより高くなると図4に示すように、出力が減るように設定する。前記出力はコンデンサC4と抵抗R10からなるハイパスフィルタにより前記16Hz以下の直流分が除去され、かつ、FETQ6にて出力インピーダンスを低下させた状態で、ピークホールド回路20bによりロータプリセット回路15の周波数に相当する情報を電圧値としてピークホールドする。
【0080】
前記ピークホールドした電圧値は、ツエナーダイオードD11にて事前に設定される基準電圧(周波数が120Hz相当の電圧)以上の場合、前記ツエナーダイオードD11が通電され、論理反転回路20cに電流が流れてトランジスタQ5 がオンし、このオン信号をスイッチSWに送出し、前記スイッチSWを待機状態の位置に保持させるものである。そして、この第2実施例においては、第1実施例で示す比較器H1の基準電圧を設定するための抵抗R12,可変抵抗VR1,コンデンサC6が不要となる結果、第2実施例に示す回動検出回路20は、簡素な回路構成で安価に製作できる利点がある。
【0081】
つづいて、図6に本発明の第3実施例としての回動検出回路30を示す。この回動検出回路30は、図6で示すように、大別するとハイパスフィルタ回路30aと、ノコギリ波整形回路30bと、第1実施例で示すピークホールド回路17bと同様のピークホールド回路30cと、更に、同じく論理反転回路30dとによって構成されている。この第3実施例においては、第1,第2実施例で説明した周波数の変化により外乱を検出する手段と、更にオンパルス幅が変化することにより外乱を検出する手段とを組合せて構成したものである。
【0082】
最初に、コンデンサC4,抵抗R10からなるハイパスフィルタ回路30aの一方は単相モータ1に接続され、他方となる出力端(コンデンサC4と抵抗R10の接続点)はノコギリ波整形回路30bの抵抗R15に接続される。そして、前記ノコギリ波整形回路30bは、前記抵抗R15をベースに接続したトランジスタQ7 と、このトランジスタQ7のコレクタに接続した抵抗R17,コンデンサC8と、トランジスタQ7のエミッタに接続した抵抗R16とによって構成されている。前記ノコギリ波整形回路30bの出力端(抵抗R17とコンデンサC8の接続点)は、ダイオードD9のカソードを介してオペアンプO2の非反転入力端に接続される。一方、オペアンプO2の反転入力端は、第1実施例で説明したピークホールド回路17bと同様のピークホールド回路30cと接続されている。
【0083】
前記ノコギリ波整形回路30bを構成する抵抗R16,R17,トランジスタQ7 のエミッタと、ハイパスフィルタ回路30aの抵抗R10の他方端と、更にダイオードD9のアノードは、それぞれ直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。前記ピークホールド回路30cの出力端は比較器H2の非反転入力端に接続されており、この比較器H2の反転入力端は抵抗R12,可変抵抗VR1,コンデンサC6に接続されている。又、前記オペアンプO2,比較器H2の+電源側と、抵抗R12の一方は単相モータ1の中間端子gに接続され、オペアンプO2,比較器H2の−電源側と可変抵抗VR1,コンデンサC6の他方端はそれぞれ直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。更に、オペアンプO2,比較器H2の両電源(+,−)間にはノイズ対策用のコンデンサC7が接続されている。なお、比較器H2の出力端と接続する論理反転回路30dは、第1,第2実施例で説明した構成と同一であるため説明は省略する。
【0084】
この第3実施例に示す回動検出回路30は、周波数の変化とオンパルス幅が変化することに着目して構成したもので、例えば、ロータプリセット回路15の通常の発振周波数を100Hzとし、回転子2が例えば90°回動した時点での前記ロータプリセット回路15の発振周波数が166Hzとなる場合に、コンデンサC4と抵抗R10からなるハイパスフィルタ30aのカットオフ周波数を16Hzに設定する。次に前記16Hzより低い周波数となる直流分を前記ハイパスフィルタ回路30aによって除去したのち、ノコギリ波整形回路30bを構成するトランジスタQ7によってハイパスフィルタ回路30aからの出力を統一した矩形波に整形し、この矩形波を更にコンデンサC8と抵抗R17からなるCR積分回路によりノコギリ波に変換し、このノコギリ波のピーク値がパルス幅に比例して変化するようにする。ノコギリ波整形回路30bからの出力信号は、オペアンプO2の非反転入力端に入力され、その出力端から出力されるインピーダンスを低下させて、ピークホールド回路30cに周波数の情報が電圧値として入力され保持される。このピークホールドされた電圧値は、抵抗R12,VR1とコンデンサC6によって生成された基準電圧(周波数が120Hz相当になる電圧)と、比較器H2により比較されて、外乱現象が生じておれば比較器H2の出力端からの出力信号が論理反転回路30dに出力され、この論理反転回路30dを作動させて、スイッチSWにこのスイッチSWを待機状態に維持する信号を出力する。
【0085】
図7は本発明の回動検出回路40の第4実施例を示すもので、第3実施例で説明した回動検出回路30と異なる点は、ハイパスフィルタ40aとピークホールド回路40bとの間にオペアンプO2(図6参照)に代えて、トランジスタQ8 とFETQ9を具備し、ピークホールド回路40bと論理反転回路40cとの間には、比較器H2(図6参照)に代えてツエナーダイオードD12を具備して構成した点にあり、周波数の変化とオンパルス幅が変化することにより外乱を検出するようにした点は、第3実施例と同様である。
【0086】
次に、第4実施例における回路構成について説明すると、コンデンサC4,抵抗R10からなるハイパスフィルタ回路40aの一方を単相モータ1に接続し、他方端となるハイパスフィルタ回路40aの出力端は抵抗R18,R19の接続点を介してトランジスタQ8のベースに接続されている。前記トランジスタQ8のコレクタは抵抗R17とコンデンサC8からなるCR積分回路と、ダイオードD9のカソードを経てFETQ9のゲート入力端に接続されている。
【0087】
前記抵抗R19,R17の一端とトランジスタQ8のエミッタとダイオードD9 のアノードは、直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。FETQ9のソースはダイオードD10のアノードと抵抗R11に接続されている。又、前記ダイオードD10のカソードは、コンデンサC5と抵抗R20の一方とツエナーダイオードD12のカソードに接続されている。コンデンサC5と抵抗R11,R20の他方端は直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。FETQ9のドレインは、コンデンサC8の他端とともに単相モータ1の中間端子g側に接続されている。
【0088】
前記ツエナーダイオードD12のアノードは抵抗R13に接続され、抵抗R13のもう一端はトランジスタQ5のベースと抵抗R14に接続されている。抵抗R14の他端とトランジスタQ5のエミッタは、直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。更に、トランジスタQ5のコレクタはスイッチSWの「待機」端子と接続されている。
【0089】
この第4実施例に示す回動検出回路40は、周波数の変化とオンパルス幅が変化することに着目して構成したもので、例えば、ロータプリセット回路15の通常の発振周波数を100Hzとし、回転子2が例えば90°回動した時点での前記ロータプリセット回路15の発振周波数が166Hzとなる場合に、コンデンサC4と抵抗R10からなるハイパスフィルタ回路40aのカットオフ周波数を16Hzに設定する。次に前記ハイパスフィルタ回路40aにより16Hzより低い周波数の直流分の除去したのち、トランジスタQ8によってハイパスフィルタ40aの出力を統一した矩形波に整形し、この矩形波を更にコンデンサC8と抵抗R17からなるCR積分回路によりノコギリ波に変換し、このノコギリ波のピーク値がパルス幅に比例して変化するようにする。
【0090】
前記CR積分回路から出力される信号は、FETQ9のゲートに入力され、そのソースフォロアで出力インピーダンスを低下させてから次のダイオードD10とコンデンサC5と抵抗R11で構成されるピークホールド回路40bにより周波数情報が電圧値としてピークホールドされる。この電圧値は、ツエナーダイオードD12によって生成された基準電圧(周波数が120Hz相当になる電圧)以上である場合、論理反転回路40cに電流が流れ、前記論理反転回路40cが作動してスイッチSWを待機状態に維持するものである。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路においては、単相ブラシレスモータの電機子巻線に流れる電機子電流の急増領域が検出され、その電機子電流の急増領域の現出を転流タイミングとして単相ブラシレスモータの転流を行うように構成したので、回転子の回転位置の決定が、速度起電力に頼ることなく、電機子電流に基づいて転流タイミングを決定することができるという効果がある。
【0092】
しかも、前記転流タイミングの決定に際し、電機子電流を平均化する回路、前記平均化された電機子電流を所定倍に増幅する回路が不要となる結果、この種単相ブラシレスモータの回路コストを著しく低減することが可能となる。
【0093】
又、本発明は、通常の状態においては単相ブラシレスモータを事前に設定した回転方向に回すことは容易である反面、自然風等外的要因により、単相ブラシレスモータの起動前(待機時)に回転子が回動してその回転位置(スタート位置)が変化している場合、この状態で通電を開始すると回転子が逆方向に回転したり、起動ができなくなるという問題が生じていたが、本発明はセンサレス駆動回路に外的要因によって回転子の位置がずれた場合、回転子の位置がずれていることを事前に検出して回転子の起動を阻止する回動検出回路が具備させてあるので、外的要因により電動機がその起動に失敗するという問題を確実に解消することができる。しかも、外的要因の発生時は電動機の起動を自動停止させ、外的要因が解消すれば直ちに起動させることができるので、電動機を駆動源とする機器が電動機の起動失敗によって生じる弊害を確実に回避することができる。
【0094】
更に、前記外的要因により回転子が回動したことを検出する回動検出回路は、既存の技術を組合せることにより、簡易に構成することができるため、単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路は特別に大型化することなく、小型・軽量に、かつ、安価に製造することが可能となり利便である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセンサレス駆動回路装置によって駆動するスケルトン形の単相ブラシレスモータの概略的構成図である。
【図2】本発明の第1実施例として示す単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置の回路図である。
【図3】本発明のセンサレス駆動回路装置により始動する回転子の回転位置決め状況を順次説明するための説明図である。
【図4】本発明のセンサレス駆動回路装置に具備した回動検出回路の1例として用いるバンドパスフィルタの特性要因図である。
【図5】本発明の第2実施例として示す単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置の回路図である。
【図6】本発明の第3実施例として示す単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置の回路図である。
【図7】本発明の第4実施例として示す単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置の回路図である。
【図8】従来の単相ブラシレスモータを示す概略的な構成図である。
【図9】従来の単相ブラシレスモータの動作状況を順次説明するための説明図である。【符号の説明】
1 単相ブラシレスモータ
2 回転子
3 回転子挿入孔
5 電機子巻線
6 固定子鉄心
11 センサレス駆動回路装置
12 インバータ回路
13 電流検出回路
14 帰還回路
15 ロータプリセット回路
16 始動補償回路
17,20,30,40 回動検出回路
17a,20a バンドパスフィルタ回路
30a,40a ハイパスフィルタ回路
17b,20b,30c,40b ピークホールド回路
30b ノコギリ波整形回路
17c,20c,30d,40c 論理反転回路
Claims (6)
- 単相ブラシレスモータは、上部側に一対の切込部を形成した回転子挿入孔を有し、下部側には分離可能な鉄心部材を介してセンタタップを有する電機子巻線を巻装した固定子鉄心と、前記回転子挿入孔に回転自在に設けた永久磁石からなる回転子とによって構成し、前記単相ブラシレスモータを駆動制御するセンサレス駆動回路装置は、電機子巻線に交番電圧を通電するインバータ回路と、電機子巻線に流れる電流を検出しこの電流を電圧に変換する電流検出回路と、前記電流検出回路にて検出され電圧に変換された電機子電流をインバータ回路にフィードバックして該インバータ回路の転流周期を前記電機子電流に応じて可変する帰還回路と、単相ブラシレスモータの運転待機時回転子が所定の始動位置から外的要因により非自発的に回動した場合電機子巻線に断続通電を行って回転子を所定の始動位置まで回動して保持させるロータプリセット回路と、前記回転子が所定の始動位置から非自発的に回動した場合前記ロータプリセット回路からの発信周波数の変化をバンドパスフィルタ回路により前記発信周波数の基準値に対してその利得が変化することを検出する手段を備えて回転子が所定の始動位置から非自発的に回動したことを検出する回動検出回路と、単相ブラシレスモータの始動時所定の始動トルクを発生させる電機子電流を電機子巻線に一定時間通電させて単相ブラシレスモータを始動させる始動補償回路とを具備して構成したことを特徴とする単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置。
- 前記回動検出回路は、前記ロータプリセット回路の発振周波数の変化を、オンパルス幅変化として基準となるオンパルス幅と比較し、かつ、前記比較したオンパルス幅の周波数に対応してその利得が変化することを検出する手段を具備して構成したことを特徴とする請求項1記載の単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置。
- 前記回動検出回路は、バンドパスフィルタ回路と、前記バンドパスフィルタ回路の出力インピーダンスを低下させるためのオペアンプと、前記オペアンプの出力を周波数情報の電圧値として保持するピークホールド回路と、前記ピークホールドした電圧値と基準電圧とを比較する比較器と、更に、前記比較器からの出力を反転してスイッチに待機指令信号を出力する論理反転回路とによって構成したことを特徴とする請求項1記載の単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置。
- 前記回動検出回路は、バンドパスフィルタ回路と、前記バンドパスフィルタ回路の出力インピーダンスを低下させる電界効果トランジスタと、前記電界効果トランジスタの出力を周波数情報の電圧値として保持するピークホールド回路と、前記ピークホールドした電圧値とツエナーダイオードの基準電圧とを比較し、ピークホールドした電圧値が基準電圧を上回ったとき、ツエナーダイオードからの出力を反転してスイッチに待機指令信号を出力する論理反転回路とによって構成したことを特徴とする請求項1記載の単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置。
- 前記回動検出回路は、バンドパスフィルタ回路と、バンドパスフィルタ回路の出力をノコギリ波に変換し、かつ、そのピーク値をパルス幅に比例して変化させるノコギリ波整形回路と、前記バンドパスフィルタ回路の出力インピーダンスを低下させるオペアンプと、前記オペアンプの出力を周波数情報の電圧値として保持するピークホールド回路と、前記ピークホールドした電圧値と基準電圧とを比較する比較器と、更に、前記比較器からの出力を反転してスイッチに待機指令信号を出力する論理反転回路とによって構成したことを特徴とする請求項1記載の単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置。
- 前記回動検出回路は、バンドパスフィルタ回路と、バンドパスフィルタ回路の出力をノコギリ波に変換し、かつ、そのピーク値をパルス幅に比例して変化させるノコギリ波整形回路と、出力インピーダンスを低下させる電界効果トランジスタと、前記電界効果トランジスタの出力を周波数情報の電圧値として保持するピークホールド回路と、前記ピークホールドした電圧値とツエナーダイオードの基準電圧とを比較し、ピーク ホールドした電圧値が基準電圧を上回ったとき、ツエナーダイオードからの出力を反転してスイッチに待機指令信号を出力する論理反転回路とによって構成したことを特徴とする請求項1記載の単相ブラシレスモータのセンサレス駆動回路装置。
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