JPH1146492A - 永久磁石モータのセンサレス駆動回路 - Google Patents

永久磁石モータのセンサレス駆動回路

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JPH1146492A
JPH1146492A JP9199066A JP19906697A JPH1146492A JP H1146492 A JPH1146492 A JP H1146492A JP 9199066 A JP9199066 A JP 9199066A JP 19906697 A JP19906697 A JP 19906697A JP H1146492 A JPH1146492 A JP H1146492A
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permanent magnet
magnet motor
current
armature
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JP9199066A
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Inventor
Hisayoshi Ota
久義 太田
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Aichi Electric Co Ltd
Original Assignee
Aichi Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電機子電流に基づいて転流タイミングを決定
することができる安価な永久磁石モータのセンサレス駆
動回路を提供すること。 【解決手段】 スイッチSWが待機端子にある状態で、
直流電源50が投入されると、ロータプリセット回路5
が作動し、単相モータ51の回転子が所定の位置に保持
される。この状態からスイッチSWを運転端子に切り替
えると、ロータプリセット回路5が停止する一方、始動
補償回路6が作動する。これにより、電流検出回路3、
帰還回路4及びインバータ回路2によって、始動トルク
を発生させるために充分な電機子電流が各コイルL1,
L2に通電され、単相モータ51が徐々に回転を始め
る。そして、コンデンサC2の端子間電圧が0.6ボル
トに達すると、トランジスタQ4がオンして、帰還回路
4の抵抗値が減少し、電流検出回路3の帰還量が多くな
る。これにより、転流周期が短くなり、単相モータ51
が徐々に高速回転を始め、やがて略定速回転に至る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、ホール素子など
の位置検知素子を用いることなく、永久磁石モータを回
転することができる永久磁石モータのセンサレス駆動回
路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 従来、この種の永久磁石モータ、例え
ば、ブラシレスモータをホール素子などの位置検知素子
を用いることなく駆動するセンサレス駆動回路では、回
転駆動中のモータの電機子巻線に生じる速度起電力と界
磁の位置との相関に着目して、該速度起電力によりモー
タの転流タイミングを決定していた。特公平7−632
32号公報には、この速度起電力に基づいて、特に、単
相のブラシレスモータをセンサレスで駆動するモータ駆
動回路が記載されている。
【0003】しかしながら、転流タイミングを決定する
ための速度起電力は、モータの電機子巻線電圧を利用し
て検出せざるを得ないので、特に、単相モータでは18
0度通電を行うことができなかった。このため単相モー
タでは、始動時に回転子に対して大きなトルクを与える
ことができず、始動後短時間のうちに該モータを高速回
転させることができなかった。また、単相モータに限ら
ず、高負荷トルク時には、通電切替に伴う電機子電流の
還流作用による転流スパイク電圧が増大するので、検出
される速度起電力情報に大きな誤差が生じてしまい、そ
の結果、界磁磁極位置の推定に大きなズレが生じて、転
流タイミングを適切に決定することができなかった。
【0004】そこで、本願出願人は、特開平9−375
86号に記載するブラシレスモータのセンサレス駆動回
路を発明した。かかるモータ駆動回路は、モータ各相の
電機子電流波形に着目して、各相の通電領域にあらわれ
る2つの顕著な電流増加領域のうち第2の電流増加領域
を検出して、これを転流タイミングと決定し、転流制御
を行うものである。よって、このモータ駆動回路では、
速度起電力によらず、電機子電流に基づいて転流タイミ
ングを決定しているので、単相モータであっても180
度通電を行うことができ、また、高負荷トルク時でも適
切に転流タイミングを決定することができるという優れ
た点を備えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、かか
るモータ駆動回路では、上記第2の電流増加領域を、モ
ータの電機子電流の瞬時値が電機子電流の平均値の所定
倍(例えば1.2倍)になったことを目安として検出し
ている。よって、第2の電流増加領域の検出のために
は、電機子電流を平均化する回路と、その平均化された
電機子電流を所定倍に増幅する回路とが必要になり、回
路コストが上昇してしまうという問題点があった。
【0006】本発明は上述した問題点を解決するために
なされたものであり、電機子電流に基づいて転流タイミ
ングを決定することができる安価な永久磁石モータのセ
ンサレス駆動回路を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】 この目的を達成するた
めに請求項1記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回
路は、永久磁石モータの電機子に交番電圧を通電するイ
ンバータ回路と、そのインバータ回路により転流を行わ
せて、前記永久磁石モータを回転させる制御回路とを備
えており、前記制御回路は、前記永久磁石モータの電機
子に流れる電機子電流の急増領域を検出して、前記イン
バータ回路に転流を行わせるものである。即ち、この請
求項1記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路で
は、電機子電流の急増領域の現出を転流タイミングとし
て、永久磁石モータの転流が行われる。
【0008】請求項2記載の永久磁石モータのセンサレ
ス駆動回路は、請求項1記載の駆動回路において、前記
制御回路は、前記永久磁石モータの電機子に流れる電機
子電流を電圧に変換して検出する電流検出回路と、その
電流検出回路により検出された前記電機子電流の電圧を
前記インバータ回路に帰還する帰還回路とを備えてい
る。
【0009】請求項3記載の永久磁石モータのセンサレ
ス駆動回路は、請求項1又は2に記載の駆動回路におい
て、前記インバータ回路は、前記永久磁石モータの電機
子を利用して無安定マルチバイブレータ動作を行うもの
である。
【0010】請求項4記載の永久磁石モータのセンサレ
ス駆動回路は、請求項1から3のいずれかに記載の駆動
回路において、前記永久磁石モータは単相モータで構成
されるとともに、その単相モータの運転待機時に回転子
を所定の位置に保持するロータプリセット回路を備えて
いる。この請求項4記載の永久磁石モータのセンサレス
駆動回路によれば、請求項1から3のいずれかに記載の
駆動回路と同様に作用する上、永久磁石モータの運転待
機時には、ロータプリセット回路によって、回転子が所
定の位置に保持されている。よって、永久磁石モータが
単相モータで構成されていても、所定の方向へ確実に始
動することができる。
【0011】請求項5記載の永久磁石モータのセンサレ
ス駆動回路は、請求項4記載の駆動回路において、前記
ロータプリセット回路は、前記インバータ回路の通電デ
ューティ比を不均等にして前記単相モータに直流電流成
分を流すことにより、回転子を所定の位置に保持するも
のである。
【0012】請求項6記載の永久磁石モータのセンサレ
ス駆動回路は、請求項5記載の駆動回路において、前記
ロータプリセット回路は、前記帰還回路の帰還条件を変
化させて、前記インバータ回路の通電デューティ比を不
均等にするものである。
【0013】請求項7記載の永久磁石モータのセンサレ
ス駆動回路は、請求項1から6のいずれかに記載の駆動
回路において、前記制御回路による転流周期を、前記永
久磁石モータの始動時には、その永久磁石モータが始動
トルクを発生させるために充分に長くする一方、その永
久磁石モータの始動後所定条件下では、前記転流周期を
短くする始動補償回路を備えている。この請求項7記載
の永久磁石モータのセンサレス駆動回路によれば、請求
項1から6のいずれかに記載の駆動回路と同様に作用す
る上、永久磁石モータの始動時には、始動補償回路によ
って転流周期が充分に長くされ、始動トルクを発生させ
るために充分な電機子電流が流されるので、該モータが
的確に始動される。一方、始動後は、始動補償回路によ
って、かかる転流周期が所定条件下で短くされるので、
該モータが安定して高速回転される。
【0014】請求項8記載の永久磁石モータのセンサレ
ス駆動回路は、請求項7記載の駆動回路において、前記
始動補償回路は、前記永久磁石モータの始動時には前記
帰還回路の帰還量を小さくする一方、前記永久磁石モー
タの始動後には前記帰還回路の帰還量を大きくして、前
記永久磁石モータの始動時と始動後とで前記制御回路に
よる転流周期を長短させるものである。
【0015】請求項9記載の永久磁石モータのセンサレ
ス駆動回路は、請求項7又は8に記載の駆動回路におい
て、前記始動補償回路は、前記永久磁石モータの始動
後、その永久磁石モータの電機子に流れる電機子電流を
蓄積する電流蓄積回路と、その電流蓄積回路の蓄積量が
所定値以上となった場合に、前記制御回路の転流周期を
長い周期から短い周期に切り替える切替回路とを備えて
いる。
【0016】請求項10記載の永久磁石モータのセンサ
レス駆動回路は、請求項9記載の駆動回路において、前
記始動補償回路は、前記永久磁石モータの停止にともな
って前記電流蓄積回路に蓄積された電機子電流を急速に
放電する放電回路を備えている。この請求項10記載の
永久磁石モータのセンサレス駆動回路によれば、請求項
9記載の駆動回路と同様に作用する上、放電回路によ
り、電流蓄積回路は永久磁石モータの停止にともなって
急速に初期状態に戻される。よって、該モータの停止
後、これを直ちに始動しても、始動補償回路が確実に作
動され、該モータが的確に始動される。
【0017】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の好ましい実施例
について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発
明の一実施例である永久磁石モータのセンサレス駆動回
路1の回路図である。
【0018】本実施例のモータ駆動回路1により駆動さ
れる永久磁石モータ51は、永久磁石51aの界磁を回
転子とし、電機子巻線51bを固定子とした、表面磁石
形、特に、スケルトン形の単相ブラシレスモータであ
る。図2は、かかる単相モータ51の概略的な構成図で
ある。図2に示すように、モータ51の固定子には、ノ
ッチ51cが2箇所に設けられており、このノッチ51
cにより、無通電状態においては、界磁回転子51aの
磁束軸Xが電機子巻線51bの磁束軸Yと一致するロッ
ク位置から、偏角θを保つ2箇所の位置(図2の位置、
および、図2の界磁回転子51aのN極とS極とが逆に
なった位置)に停止されるように構成されている。
【0019】電機子巻線51bは、固定子のみに巻装さ
れた一組の中間子付巻線(センタタップ巻線)より構成
され、2つの端子a,bと中間端子cとの計3つの端子
を備えている。また、その巻線仕上げは、2本の導線を
束ねて同時に巻く、いわゆる「バイファイラ巻き」によ
り行われている。なお、界磁を固定子に電機子巻線を回
転子にしたスリップリング付きモータや、埋め込み磁石
形のモータに、この駆動回路1を用いても良い。また、
単相モータの場合には、中間タップがあれば良く、必ず
しもバイファイラ巻きである必要は無い。
【0020】図1に示すように、モータ駆動回路1は、
主に、インバータ回路2と、電流検出回路3と、帰還回
路4と、ロータプリセット回路5と、始動補償回路6と
を備えている。このモータ駆動回路1には、10〜30
ボルトの直流電圧を出力可能な直流電源50が接続さ
れ、そのプラス側入力端Pは、ダイオードD7のアノー
ドに接続されている。ダイオードD7は、モータ51の
転流動作時に発生する逆起電力による還流電流が直流電
源50へ流れ込むのを防止するためのものである。ダイ
オードD7のカソードは、かかる還流電流の充電用のコ
ンデンサC1(50V、100μF)のプラス側端子に
接続され、そのコンデンサC1のマイナス側端子は、直
流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。還
流電流をコンデンサC1に充電することにより、モータ
駆動回路1から外部へ発振される電磁ノイズ(ElectroM
agnetic Interference)の量の減少を図るとともに、直
流電源50と端子PN間の配線抵抗での電力損失の低減
及び還流電流の再利用による電力利用率の向上(効率改
善)を図っている。
【0021】ダイオードD7のカソードは、また、単相
ブラシレスモータ51の中間端子cに接続され、その単
相モータ51の端子a,bは、インバータ回路2に接続
されている。インバータ回路2は、無安定マルチバイブ
レータ動作(自励発振動作)を行って、単相モータ51
の各コイルL1(c−a巻線),L2(c−b巻線)
に、交互に直流電圧を印加するための回路である。この
インバータ回路2は、高耐圧のNPN形パワートランジ
スタQ1,Q2と、電流還流用のダンパダイオードD
1,D2と、10kΩの抵抗R1,R2とを備えてい
る。
【0022】インバータ回路2の両トランジスタQ1,
Q2のコレクタ端子は、単相モータ51の両端子a,b
にそれぞれ接続されるとともに、抵抗R1,R2を介し
て、それぞれ他方のトランジスタQ2,Q1のベース端
子に交叉接続されている。この接続により、一方のトラ
ンジスタのオンにより他方のトランジスタがオフされ、
かつ、そのオンオフが繰り返されるという、無安定マル
チバイブレータ動作(いわゆる自励発振動作)が行われ
る。また、両トランジスタQ1,Q2のコレクタ・エミ
ッタ端子間には、ダイオードD1,D2がアノード端子
をエミッタ端子側にしてそれぞれ接続されており、これ
らダイオードD1,D2により、単相モータ51の転流
動作時に発生する逆起電力エネルギーが還流電流として
還流される。
【0023】ここで、図3を参照して、インバータ回路
2の無安定マルチバイブレータ動作について説明する。
図3は、負荷時における各電流電圧波形を示した図であ
り、その電圧基準はトランジスタQ1,Q2のエミッタ
端子の点Aとしている。
【0024】直流電源50の投入により、例えば、トラ
ンジスタQ1がオンし、トランジスタQ2がオフとなっ
たとする。すると、コイルL1を介して電流が流れ(3
1)、トランジスタQ1のコレクタ電流が増加する(3
2)。やがてコレクタ電流がトランジスタQ1のベース
電流と電流増幅率とで定まる飽和電流値に達すると(3
3)、トランジスタQ1のコレクタ電流の増加率が低下
し、トランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間電圧が上
昇し始める(34)。トランジスタQ1のコレクタ電圧
がエミッタ端子を基準にして0.6ボルト付近に達する
と、抵抗R1を介して、トランジスタQ2にベース電流
が流れ始め、トランジスタQ2がオンを開始する(3
5)。このトランジスタQ2のオンの開始に伴って、ト
ランジスタQ2のコレクタ電圧が低下し(36)、抵抗
R2を介してトランジスタQ1に供給されるベース電流
が減少する。このベース電流の減少とともに、トランジ
スタQ1の飽和電流値も減少するので、トランジスタQ
1のコレクタ電流が更に減少する(37)。これによ
り、トランジスタQ1のコレクタ電圧が更に上昇し(3
8)、トランジスタQ2のベース電流を増加させて、ト
ランジスタQ2のオンを加速する(39)。一方、トラ
ンジスタQ2のオンにより、トランジスタQ2のコレク
タ電圧が低下し(39)、トランジスタQ1のベース電
流が更に減少して、トランジスタQ1のオフが加速され
る。このように、急速に、トランジスタQ1がオフ、ト
ランジスタQ2がオンの状態に変化する。
【0025】トランジスタQ2がオン、トランジスタQ
1がオフとなった後は、トランジスタQ2のコレクタ電
流が飽和電流値に達するまで、かかる状態を維持する。
そして、トランジスタQ2のコレクタ電流が飽和電流値
に達すると、上記とは逆に、トランジスタQ1のオン、
トランジスタQ2のオフが急速に行われ、その状態が変
化する。このように、トランジスタQ1,Q2のオンオ
フ動作が繰り返され、その結果、インバータ回路2は
「無安定マルチバイブレータ動作」(自励発振動作)を
行うのである。なお、図4は、無負荷時における各電流
電圧波形を示した図であるが、インバータ回路2は無負
荷時においても同様に、「無安定マルチバイブレータ動
作」(自励発振動作)を行うのである。図4の電圧基準
も、図3と同様に、トランジスタQ1,Q2のエミッタ
端子の点Aとしている。
【0026】インバータ回路2の両トランジスタQ1,
Q2のエミッタ端子と、直流電源50のマイナス側入力
端Nとの間には、電流検出回路3が設けられている。電
流検出回路3は、2Ω(4W)のシャント抵抗Rsによ
り構成され、インバータ回路2を介して、単相モータ5
1の電機子巻線L1,L2に流れる電流(以下「電機子
電流」という)を、シャント抵抗Rsに流れるシャント
電流として検出し、電圧に変換するための回路である。
この電圧変換されたシャント電流は、帰還回路4によっ
てインバータ回路2へフィードバック(帰還)され、前
記した無安定マルチバイブレータ動作の発振周期を決定
する。
【0027】帰還回路4は、電流検出回路3によって検
出され電圧に変換されたシャント電流(電機子電流)
を、インバータ回路2へフィードバックする回路であ
り、2つのダイオードD3,D4と、2.2kΩの抵抗
R3と、10kΩの抵抗R4とを備えている。抵抗R
3,R4は直列に接続され、抵抗R4側の一端は電流検
出回路3の出力端であるシャント抵抗Rsの一端に接続
され、抵抗R3側の他端は両ダイオードD3,D4のカ
ソードに接続されている。また、ダイオードD3,D4
のアノードは、インバータ回路2の両トランジスタQ
1,Q2のベース端子にそれぞれ接続されている。
【0028】この帰還回路4は、電流検出回路3、及
び、ベース抵抗R1,R2とトランジスタQ1,Q2と
の電流増幅率の相互作用を利用して、電機子電流の急増
領域を検出し、その急増領域でインバータ回路2による
転流が行われるようにしている。電機子電流は、回転子
51aが固定子に最も吸着される位置、即ち回転子51
aの磁場ベクトルと、電機子巻線51bへの通電により
生じる磁場ベクトルとが整列する位置(モータの発生ト
ルクがゼロとなる位置)で急増する。これは、回転子5
1aが該位置に達することにより、発電電圧がほぼ
「0」となるからである。よって、かかる急増領域の現
出を転流タイミングとして決定することにより、単相モ
ータ51を的確に同期駆動(回転)することができるの
である。
【0029】具体的には、シャント抵抗Rsの電圧降下
を、インバータ回路2の各トランジスタQ1,Q2のベ
ース端子へフィードバック(帰還)するのである。する
と、電機子電流の急増領域では、シャント抵抗Rsの電
圧降下が大きくなるので、その分、ベース電流が帰還回
路4側へ流れて少なくなり、コレクタ電流の飽和電流値
が小さくなる。よって、その際、流れているコレクタ電
流が飽和電流値と一致すると、両トランジスタQ1,Q
2のオンオフ状態が切り替えられ、転流動作が行われる
のである。
【0030】なお、かかる転流周期(タイミング)、即
ち、上記したインバータ回路2の発振周期は、この帰還
回路4の抵抗値により変化させることができる。具体的
には、帰還回路4の抵抗値を小さくするとインバータ回
路2の発振周期が短くなり(発振周波数が大きくな
り)、抵抗値を大きくすると発振周期が長くなる(発振
周波数が小さくなる)のである。帰還回路4の抵抗値を
小さくすることにより、トランジスタQ1,Q2のベー
ス端子への帰還量が多くなるので、電機子電流の急増を
僅かに検出した場合にも、転流動作が行われるからであ
る。
【0031】ロータプリセット回路5は、単相モータ5
1の停止時(待機時)に、微小量の直流電流成分を流し
て、回転子51aを所定の位置(例えば、図2に示す位
置)に保持しておくための回路である。具体的には、単
相モータ51の一方のコイルL1に通電する時間と、他
方のコイルL2に通電する時間との比率(デューティ
比)をアンバランスとして、単相モータ51に直流電流
成分を流している。かかる直流電流成分は、帰還回路4
とロータプリセット回路5との合成抵抗値(並列抵抗
値)をトランジスタQ1,Q2の各オン時に大小させ、
インバータ回路2の発振周期を長短させることにより生
成している。
【0032】このように、ロータプリセット回路5によ
って回転子51aが所定の位置に保持されるので、始動
時にインバータ回路2のいずれのトランジスタQ1,Q
2からオンされても、単相モータ51を必ず所定の方向
へ回転させることができるのである。例えば、ロータプ
リセット回路5によって、始動前の回転子51aが図2
に示す位置に保持されていると、単相モータ51は必ず
左方向へ回転する。
【0033】このロータプリセット回路5は、インバー
タ回路2のトランジスタQ2のコレクタ端子に接続され
た抵抗R5(32kΩ)を備え、その抵抗R5の一端
は、10kΩの抵抗R6の一端とトランジスタQ3のベ
ース端子とに接続されている。トランジスタQ3のコレ
クタ端子は1kΩの可変抵抗VR1の摺動子に接続さ
れ、可変抵抗VR1の一端は帰還回路4のダイオードD
3,D4のカソードに接続されている。また、可変抵抗
VR1の他端は、抵抗R6の他端と、トランジスタQ3
のエミッタ端子と、スイッチSWの「待機」端子とに接
続され、スイッチSWのコモン端子は、帰還回路4と同
様に、電流検出回路3の出力端および直流電源50のマ
イナス側入力端Nに接続されている。
【0034】ロータプリセット回路5は、直流電源50
が投入された状態で、スイッチSWを「運転」端子から
「待機」端子へ切り替えることにより作動する。即ち、
スイッチSWを「待機」端子に切り替えると、帰還回路
4の抵抗R3,R4に可変抵抗VR1及びトランジスタ
Q3のエミッタ端子が並列接続されて合成抵抗値が減少
するとともに、かかる合成抵抗値は、インバータ回路2
のトランジスタQ1のオン時とQ2のオン時とで大小す
るので、トランジスタQ1のオン時とQ2のオン時とで
インバータ回路2の発振周期が長短し、その結果、単相
モータ51へ直流電流成分が流れるのである。
【0035】具体的には、トランジスタQ1がオフ、Q
2がオンの場合、トランジスタQ3はオフするので、帰
還回路4の合成抵抗値は0.92kΩ(=VR1(R3
+R4)/(VR1+R3+R4))となる。一方、ト
ランジスタQ1がオン、Q2がオフの場合、トランジス
タQ3はオンするので、可変抵抗VR1の抵抗値が減少
する。例えば、可変抵抗VR1の摺動子が半分の位置に
ある場合には、可変抵抗VR1の抵抗値は0.5kΩと
なるので、帰還回路4とロータプリセット回路5との合
成抵抗値は0.48kΩとなる。前記した通り、インバ
ータ回路2の発振周期は、帰還回路4とロータプリセッ
ト回路5との合成抵抗値が大きいほど長く、小さいほど
短いので、トランジスタQ1のオン時間はQ2のオン時
間に比べて短くなる。よって、その差分の微小量の直流
電流成分が単相モータ51に流され、その直流電流成分
によって、単相モータ51の回転子51aが所定の位置
に保持されるのである。
【0036】なお、アンバランスとするデューティ比
は、直流電流成分が20%(60%対40%)〜50%
(75%対25%)の範囲となるように設定することが
好ましい。また、回転子51aを保持する所定の位置と
しては、回転子51aの磁束軸が固定子に設けられた2
つのノッチ51cを結ぶ線と直交する位置よりやや水平
側に傾いた位置が好適である。即ち、直流電源50をオ
フからオンにした場合に、回転子51aの磁束軸がやや
水平側に回転するような挙動を示すように設定するのが
良い。回転子51aは直流電源50のオフ後、かかる位
置に保持され易く構成されているからである。
【0037】始動補償回路6は、単相モータ51の始動
時に、充分な始動トルクを発生させるために必要な電機
子電流を流して、単相モータ51の始動動作を確実なら
しめるための回路である。このため始動補償回路6は、
単相モータ51の始動時と始動後とで帰還回路4の抵抗
値を大小させ、始動時には転流周期を長くして、単相モ
ータ51へ充分な電機子電流を流し、一方、始動後には
転流周期を短くして、単相モータ51を高速回転させる
ようにしている。
【0038】始動補償回路6は、トランジスタQ1,Q
2のエミッタ端子およびシャント抵抗Rsの入力端にア
ノードが接続されたダイオードD5を備え、そのダイオ
ードD5のカソードは27kΩの抵抗R7の一端に接続
されている。抵抗R7の他端は、トランジスタQ4のベ
ース端子と、ダイオードD6のアノードと、コンデンサ
C2(220μF,10V)のプラス側端子と、47k
Ωのブリーダ抵抗R8の一端とに接続されている。トラ
ンジスタQ4のコレクタ端子は帰還回路4の2つの抵抗
R3,R4間に接続され、またエミッタ端子は、コンデ
ンサC2のマイナス側端子および抵抗R8の他端ととも
に、シャント抵抗Rsの出力端と直流電源50のマイナ
ス側入力端Nとに接続されている。更に、ダイオードD
6のカソードは、スイッチSWの「待機」端子に接続さ
れている。
【0039】この始動補償回路6は、コンデンサC2に
所定量の電荷が蓄積されて、その端子間電圧が略0.6
ボルトに達するまで、トランジスタQ4のオフを維持
し、帰還回路4の抵抗値を12.2kΩ(抵抗R3,R
4)という大きな値に保ち、単相モータ51の始動時の
転流周期を長くしている。これにより、単相モータ51
の始動後、コンデンサC2の端子間電圧が略0.6ボル
トに達するまでの間、単相モータ51の各コイルL1,
L2へ、始動トルクを発生させるために充分な電機子電
流を流すことができる。
【0040】図5は、かかる始動補償回路6の動作説明
図である。図5に示すように、ロータプリセット回路5
のスイッチSWが「待機」端子にある場合には(6
1)、コンデンサC2の端子間電圧は0.6ボルト未満
となって(62)、トランジスタQ4はオフしている
(63)。スイッチSWが「待機」端子から「運転」端
子に切り替えられると(64)、可変抵抗VR1が帰還
回路4から切り離され、帰還回路4の抵抗値が1kΩ弱
(前述)から12.2kΩに大きくなる。これにより、
インバータ回路2の発振周期が長くなり、単相モータ5
1の転流周期が長くなって、各コイルL1,L2に始動
トルクを発生させるために充分な電機子電流が流され
る。各コイルL1,L2に流れる電機子電流は、そのま
まシャント抵抗Rsを流れるシャント電流となる(6
5)。このシャント電流により、シャント抵抗Rsの両
端電圧が、マイナス側入力端Nを基準として、略0.6
ボルト以上になると(ダイオードD5の電圧降下分以上
になると)、コンデンサC2への充電が開始され、その
端子間電圧が徐々に上昇する(66)。コンデンサC2
の端子間電圧が略0.6ボルトに達すると(67)、ト
ランジスタQ4がオンし(68)、帰還回路4の抵抗値
が、12.2kΩ(抵抗R3,R4)から2.2kΩ
(抵抗R4)に減少する。帰還回路4の抵抗値が減少す
ると、インバータ回路2の発振周期が短くなり、単相モ
ータ51の転流周期が短くされ(69)、単相モータ5
1が徐々に高速回転を始める。
【0041】このように、始動補償回路6は、コンデン
サC2の端子間電圧が略0.6ボルトに達するまでの
間、単相モータ51の転流周期を長くして、各コイルL
1,L2へ始動トルクを発生させるために充分な電機子
電流を流し、単相モータ51を確実に始動するようにし
ている。しかも、コンデンサC2への充電は、シャント
電流(電機子電流)に基づいて行われるので、その端子
間電圧が略0.6ボルトに達するまでの時間は、固定さ
れた時間とはならず、モータの種類や直流電源50の電
圧に応じて変化する時間となる。よって、モータの始動
に適切な時間だけ、転流周期を長くした始動モードを維
持することができる。
【0042】なお、スイッチSWが「運転」端子から
「待機」端子に切り替えられると、ダイオードD6を介
して、コンデンサC2のプラス側端子が直流電源50の
マイナス側入力端Nに接続されるので、コンデンサC2
に蓄積された電荷が急速に放電される。よって、コンデ
ンサC2は瞬時のうちに初期状態に戻されるので、再
度、スイッチSWを「運転」端子に切り替えても、始動
補償回路6を確実に作動することができる。また、トラ
ンジスタQ4は、そのコレクタ端子からベース端子へ漏
れ電流を生じるが、かかる漏れ電流はブリーダ抵抗R8
によりバイパスされるので、始動補償回路6を正常に作
動することができる。
【0043】次に、上記のように構成されたモータ駆動
回路1の動作を説明する。スイッチSWを「待機」端子
にした状態で直流電源50が投入(接続)されると、待
機モードとなって、ロータプリセット回路5が作動す
る。具体的には、可変抵抗VR1の摺動子位置により定
まる帰還回路4とロータプリセット回路5との合成抵抗
値に基づいて、インバータ回路2の各トランジスタQ
1,Q2が不均等(アンバランス)なデューティ比でオ
ンオフされる。このアンバランスなオンオフにより、単
相モータ51に直流電流成分が流され、回転子51aが
所定の位置(例えば、図2の位置)に保持される。
【0044】なお、待機モードでは、帰還回路4とロー
タプリセット回路5との合成抵抗値は1kΩ弱と小さい
ので、転流周期は非常に短く、電機子電流は微小量とな
っている。よって、待機モードでの通電により、単相モ
ータ51が回転や振動を起こしたり、騒音を発生するこ
とはない。
【0045】待機モードからスイッチSWを「運転」端
子に切り替えると、始動モードとなる。即ち、スイッチ
SWを「運転」端子に切り替えることにより、ロータプ
リセット回路5が帰還回路4から切り離され、その動作
を停止する。一方、始動補償回路6は、スイッチSWが
「待機」端子にある場合には、コンデンサC2の充電が
ダイオードD6によって阻止される停止状態にあるが、
かかる状態からスイッチSWを「運転」端子に切り替え
ることにより、始動モードとなって、始動補償回路6が
作動し、コンデンサC2の充電が開始される。
【0046】始動モードでは、帰還回路4の抵抗値が1
2.2kΩ(抵抗R3,R4)と大きくされ、その分、
転流周期が長くなって、単相モータ51の各コイルL
1,L2に始動トルクを発生させるために充分な電機子
電流が流される。よって、単相モータ51は徐々に始動
を開始する。
【0047】なお、単相モータ51の回転子51aは、
待機モードにおいて所定の位置に保持されているので、
トランジスタQ1,Q2のいずれからオンが始まって
も、必ず一定の方向に回転する。具体的には、待機モー
ドにおいて、回転子51aが図2の位置に保持されてい
る場合には必ず左方向へ回転する。単相モータ51は、
通電第1波または第2波のうち、回転子51aの磁場ベ
クトルと反発する方向の磁場が与えられる通電(図2に
おいて、磁場ベクトルが左から右方向へ向かう通電)に
より、回転を開始するからである。
【0048】始動モードの継続に伴って、コンデンサC
2が徐々に充電される。かかる充電により、コンデンサ
C2の端子間電圧が略0.6ボルトに達すると、トラン
ジスタQ4がオンして、始動モードから定常モードへと
移行する。定常モードでは、トランジスタQ4のオンに
より帰還回路4の抵抗値が2.2kΩ(抵抗R3)と小
さくなるので、インバータ回路2の発振周期が短くなっ
て、転流周期が短くなる。よって、単相モータ51は徐
々に高速回転を始め、やがて略定速回転となる。この状
態で直流電源50の投入が続けられることにより、単相
モータ51は略定速回転を継続する。なお、略定速時の
回転速度は、コイルL1,L2に印加される直流電源5
0の電圧に比例する。即ち、直流電源50の電圧が高い
ほど高速で回転し、低いほど低速で回転する。よって、
直流電源50の電圧値により、略定速時の回転速度を制
御することができる。
【0049】定常モード(または始動モード)での運転
中に、スイッチSWが「運転」端子から「待機」端子に
切り替えられると、待機モードへ移行する。即ち、始動
補償回路6のコンデンサC2がダイオードD6により急
速に放電され、トランジスタQ4がオフされるととも
に、ロータプリセット回路5が作動し、単相モータ51
へ直流電流成分が流されて、回転子51aを所定の位置
へ保持するホールディングトルクが加えられる。よっ
て、単相モータ51は徐々に回転を緩め、回転子51a
を所定の位置にして停止する。
【0050】この状態で直流電源50がオフされても、
回転子51aは所定の位置又はその近傍にある。よっ
て、次に直流電源50がオン(接続)された場合に、短
時間のうちに回転子51aを所定の位置へ保持すること
ができる。回転子51aが所定の位置へ保持された後
は、単相モータ51をいつでも始動することができるの
で、単相モータ51を待機モードにしてから直流電源5
0をオフすることにより、次の単相モータ51の始動ま
での時間を短縮することができる。
【0051】上記のように、本実施例のモータ駆動回路
1によれば、電流検出回路3と帰還回路4とにより、電
機子電流の急増領域を検出して、その検出を転流タイミ
ングとして転流動作を行わせている。よって、速度起電
力によらず、電機子電流に基づいて転流タイミングを決
定することができるので、単相モータ51であっても1
80度通電を行うことができ、その始動性を向上するこ
とができる。即ち、始動から短時間のうちに高速回転す
ることができるのである。また、電機子電流に基づいて
転流タイミングを決定することにより、重負荷時でも、
転流に伴う過大なスパイク電圧の影響を受けることな
く、的確にモータを駆動(回転)することができるので
ある。
【0052】更に、転流タイミングの決定に電機子電流
の急増領域を用いているので、電機子電流を平均化する
回路や、その平均化された電機子電流を所定倍に増幅す
る回路が不要となり、回路コストを低減することができ
る。しかも、インバータ回路2は無安定マルチバイブレ
ータ動作を行うシンプルな回路で構成されるとともに、
ロータプリセット回路5や始動補償回路6は、インバー
タ回路2、電流検出回路3、帰還回路4の各回路と有効
に結合して共同動作するように構成されているので、各
回路が単独で動作するように構成されている場合に比べ
て、モータ駆動回路1のコストを大幅に低減することが
できる。
【0053】次に、図6及び図7を参照して、第2およ
び第3実施例について説明する。第2および第3実施例
のモータ駆動回路20,30は、前記した第1実施例の
モータ駆動回路1のロータプリセット回路5を変形した
ものである。以下、第1実施例と同一の部分には同一の
符号を付し、その説明は省略する。
【0054】図6に示すように、第2実施例のロータプ
リセット回路25は、トランジスタQ2のコレクタ端子
に接続された抵抗R5(32kΩ)を備え、その抵抗R
5の一端は、10kΩの抵抗R6の一端とトランジスタ
Q3のベース端子とに接続されている。トランジスタQ
3のコレクタ端子は5kΩの可変抵抗VR2の一端に接
続され、その可変抵抗VR2の他端は、1kΩの抵抗R
20の一端と帰還回路4のダイオードD3,D4のカソ
ードとに接続されている。抵抗R20の他端は、抵抗R
6の他端と、トランジスタQ3のエミッタ端子と、スイ
ッチSWの「待機」端子とに接続され、スイッチSWの
コモン端子は、帰還回路4と同様に、電流検出回路3の
出力端および直流電源50のマイナス側入力端Nに接続
されている。
【0055】このロータプリセット回路25によれば、
帰還回路4の抵抗値(帰還回路4とロータプリセット回
路25との合成抵抗値を含む)は、トランジスタQ1が
オン、Q2がオフの場合、トランジスタQ3はオンする
ので、12.2kΩの抵抗(抵抗R3,R4の合成)
と、1kΩの抵抗R20と、可変抵抗VR2で設定され
る抵抗とを並列接続した合成抵抗値となる。一方、トラ
ンジスタQ1がオフ、Q2がオンの場合、トランジスタ
Q3はオフするので、その場合の帰還回路4の抵抗値
は、12.2kΩの抵抗(抵抗R3,R4の合成)と、
1kΩの抵抗R20とを並列接続した合成抵抗値とな
る。よって、トランジスタQ1のオン時と、Q2のオン
時とで、帰還回路4の抵抗値を大小することができる。
従って、スイッチSWを「待機」端子にした待機モード
において、単相モータ51に微小量の直流電流成分を流
し、単相モータ51の回転子51aを所定の位置に保持
することができるのである。
【0056】図7に示すように、第3実施例のロータプ
リセット回路35a,35bの一方35aは、トランジ
スタQ1のコレクタ端子に接続された10kΩの抵抗R
31を備え、その抵抗R31の一端は、10kΩの抵抗
R32の一端とトランジスタQ31のベース端子とに接
続されている。トランジスタQ31のコレクタ端子は1
kΩの抵抗R33の一端に接続され、その抵抗R33の
他端は、トランジスタQ1のベース端子にアノードが接
続されたダイオードD31のカソードに接続されてい
る。また、トランジスタQ31のエミッタ端子は、抵抗
R32の他端に接続されている。
【0057】他方のロータプリセット回路35bは、ト
ランジスタQ2のコレクタ端子に接続された10kΩの
抵抗R34を備え、その抵抗R34の一端は、10kΩ
の抵抗R35の一端とトランジスタQ32のベース端子
とに接続されている。トランジスタQ32のコレクタ端
子は1kΩの可変抵抗VR3の一端に接続され、その可
変抵抗VR3の他端は、トランジスタQ2のベース端子
にアノードが接続されたダイオードD32のカソードに
接続されている。また、トランジスタQ32のエミッタ
端子は、抵抗R35の他端に接続されるとともに、前記
した一方のロータプリセット回路35aのトランジスタ
Q31のエミッタ端子と、スイッチSWの「待機」端子
とに接続されている。スイッチSWのコモン端子は、帰
還回路4と同様に、電流検出回路3の出力端および直流
電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。
【0058】このロータプリセット回路35a,35b
では、可変抵抗VR3の値を調整することにより、待機
モードにおける各コイルL1,L2へのアンバランスな
通電デューティ比が決定される。即ち、トランジスタQ
1がオン、Q2がオフの場合、トランジスタQ31はオ
フ、Q32はオンするので、その場合の帰還回路4の抵
抗値(帰還回路4とロータプリセット回路35a,35
bとの合成抵抗値を含む)は、12.2kΩの抵抗(抵
抗R3,R4の合成)と、可変抵抗VR3で設定される
抵抗とを並列接続した合成抵抗値となる。一方、トラン
ジスタQ1がオフ、Q2がオンの場合、トランジスタQ
31はオン、Q32はオフするので、その場合の帰還回
路4の抵抗値は、12.2kΩの抵抗(抵抗R3,R4
の合成)と、1kΩの抵抗R33とを並列接続した合成
抵抗値となる。よって、トランジスタQ1のオン時と、
Q2のオン時とで、可変抵抗VR3の値に応じて、帰還
回路4の抵抗値を大小することができる。従って、待機
モードにおいて、単相モータ51に微小量の直流電流成
分を流し、単相モータ51の回転子51aを所定の位置
に保持することができるのである。
【0059】以上、実施例に基づき本発明を説明した
が、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではな
く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形
が可能であることは容易に推察できるものである。
【0060】例えば、本実施例では、永久磁石モータと
して、単相モータ51を用いて説明した。しかし、モー
タ駆動回路1,20,30に変更を加えることにより、
本発明を多相モータに用いることもできる。即ち、電機
子電流の急増領域に基づいて転流動作を行わせるモータ
駆動回路は、必ずしも単相モータに限られないのであ
る。なお、本発明を多相モータに用いる場合には、ロー
タプリセット回路5,25,35a,35bは不要とな
るので、これを削除し、その分、多相化に伴う回路コス
トの増加の抑制を図ることができる。
【0061】
【発明の効果】 請求項1から3のいずれかに記載の永
久磁石モータのセンサレス駆動回路によれば、永久磁石
モータの電機子に流れる電機子電流の急増領域が検出さ
れ、その電機子電流の急増領域の現出を転流タイミング
として、永久磁石モータの転流が行われる。よって、速
度起電力によらず、電機子電流に基づいて転流タイミン
グを決定することができるという効果がある。また、転
流タイミングの決定に際し、電機子電流を平均化する回
路や、その平均化された電機子電流を所定倍に増幅する
回路が不要となるので、回路コストを低減することがで
きるという効果もある。
【0062】請求項4から6のいずれかに記載の永久磁
石モータのセンサレス駆動回路によれば、請求項1から
3のいずれかに記載の駆動回路の奏する効果に加え、モ
ータの運転待機時には、回転子が所定の位置に保持され
ているので、単相モータであっても、所定の方向へ確実
に始動することができるという効果がある。
【0063】請求項7から10のいずれかに記載の永久
磁石モータのセンサレス駆動回路によれば、請求項1か
ら6のいずれかに記載の駆動回路の奏する効果に加え、
永久磁石モータの始動時には、転流周期が充分に長くさ
れ、始動トルクを発生させるために充分な電機子電流が
流されるので、該モータを的確に始動することができる
という効果がある。一方、始動後は、かかる転流周期が
所定条件下で短くされるので、該モータを安定して高速
回転することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例における永久磁石モータ
のセンサレス駆動回路の回路図である。
【図2】 本実施例のスケルトン形の単相ブラシレスモ
ータの概略的な構成図である。
【図3】 負荷時における各部の電流電圧波形を示した
図である。
【図4】 無負荷時における各部の電流電圧波形を示し
た図である。
【図5】 始動補償回路の動作説明図である。
【図6】 第2実施例における永久磁石モータのセンサ
レス駆動回路の回路図である。
【図7】 第3実施例における永久磁石モータのセンサ
レス駆動回路の回路図である。
【符号の説明】
1,20,30 モータ駆動回路(永久磁石モータ
のセンサレス駆動回路) 2 インバータ回路 3 電流検出回路(制御回路の一部) 4 帰還回路(制御回路の一部) 5,25,35a,35b ロータプリセット回路 6 始動補償回路 51 単相ブラシレスモータ(永久磁石
モータ) 51a 界磁回転子(回転子) 51b 電機子巻線(電機子) C2 コンデンサ(電流蓄積回路) D6 ダイオード(放電回路) L1,L2 コイル(電機子) Q4 トランジスタ(切替回路)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 永久磁石モータの電機子に交番電圧を通
    電するインバータ回路と、そのインバータ回路により転
    流を行わせて、前記永久磁石モータを回転させる制御回
    路とを備えた永久磁石モータのセンサレス駆動回路にお
    いて、 前記制御回路は、前記永久磁石モータの電機子に流れる
    電機子電流の急増領域を検出して、前記インバータ回路
    に転流を行わせることを特徴とする永久磁石モータのセ
    ンサレス駆動回路。
  2. 【請求項2】 前記制御回路は、前記永久磁石モータの
    電機子に流れる電機子電流を電圧に変換して検出する電
    流検出回路と、 その電流検出回路により検出された前記電機子電流の電
    圧を前記インバータ回路に帰還する帰還回路とを備えて
    いることを特徴とする請求項1記載の永久磁石モータの
    センサレス駆動回路。
  3. 【請求項3】 前記インバータ回路は、前記永久磁石モ
    ータの電機子を利用して無安定マルチバイブレータ動作
    を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の永久磁
    石モータのセンサレス駆動回路。
  4. 【請求項4】 前記永久磁石モータは単相モータで構成
    されるとともに、 その単相モータの運転待機時に回転子を所定の位置に保
    持するロータプリセット回路を備えていることを特徴と
    する請求項1から3のいずれかに記載の永久磁石モータ
    のセンサレス駆動回路。
  5. 【請求項5】 前記ロータプリセット回路は、前記イン
    バータ回路の通電デューティ比を不均等にして前記単相
    モータに直流電流成分を流すことにより、回転子を所定
    の位置に保持することを特徴とする請求項4記載の永久
    磁石モータのセンサレス駆動回路。
  6. 【請求項6】 前記ロータプリセット回路は、前記帰還
    回路の帰還条件を変化させて、前記インバータ回路の通
    電デューティ比を不均等にすることを特徴とする請求項
    5記載の永久磁石モータのセンサレス駆動回路。
  7. 【請求項7】 前記制御回路による転流周期を、前記永
    久磁石モータの始動時には、その永久磁石モータが始動
    トルクを発生させるために充分に長くする一方、その永
    久磁石モータの始動後所定条件下では、前記転流周期を
    短くする始動補償回路を備えていることを特徴とする請
    求項1から6のいずれかに記載の永久磁石モータのセン
    サレス駆動回路。
  8. 【請求項8】 前記始動補償回路は、前記永久磁石モー
    タの始動時には前記帰還回路の帰還量を小さくする一
    方、前記永久磁石モータの始動後には前記帰還回路の帰
    還量を大きくして、前記永久磁石モータの始動時と始動
    後とで前記制御回路による転流周期を長短させることを
    特徴とする請求項7記載の永久磁石モータのセンサレス
    駆動回路。
  9. 【請求項9】 前記始動補償回路は、前記永久磁石モー
    タの始動後、その永久磁石モータの電機子に流れる電機
    子電流を蓄積する電流蓄積回路と、 その電流蓄積回路の蓄積量が所定値以上となった場合
    に、前記制御回路の転流周期を長い周期から短い周期に
    切り替える切替回路とを備えていることを特徴とする請
    求項7又は8に記載の永久磁石モータのセンサレス駆動
    回路。
  10. 【請求項10】 前記始動補償回路は、前記永久磁石モ
    ータの停止にともなって前記電流蓄積回路に蓄積された
    電機子電流を急速に放電する放電回路を備えていること
    を特徴とする請求項9記載の永久磁石モータのセンサレ
    ス駆動回路。
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Cited By (4)

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