JP3545034B2 - α−ヒドロキシイソ酪酸エステル類の製造方法 - Google Patents

α−ヒドロキシイソ酪酸エステル類の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アセトンシアンヒドリンからα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類を製造する方法に関し、更に詳しくはアセトンシアンヒドリンを水および硫酸と反応させ、その反応生成物にアルコールを添加してエステル化反応を行いα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類を製造する方法の改良に関するものである。
【0002】
α−ヒドロキシイソ酪酸エステル類は、低毒性溶媒として塗料用、フォトレジスト用、印刷インキ用などに用いられる他、モノマー原料、医農薬原料などに広く用いられる。
【0003】
【従来の技術】
アセトンシアンヒドリンからα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類を製造する方法は従来から種々知られている。例えば、アセトンシアンヒドリンにアルコールおよび濃硫酸を加えて一挙に加水分解ならびにエステル化を行う方法(米国特許明細書第2041820号)、濃硫酸の代わりに塩酸を作用させる方法(米国特許明細書第2245483号)、実質的に無水の状態で塩化水素の存在化にアセトンシアンヒドリンとアルコールを反応させイミデートを形成し、次いで反応生成物に水とアルコールを添加し加熱反応させる方法(欧州特許公報第463676号)などがある。
【0004】
しかしながら、アセトンシアンヒドリン、硫酸及びアルコールを一挙に反応させる方法ではメチルメタクリレート(MMA)の副生が非常に多い欠点があり、塩酸や塩化水素を用いる方法は腐蝕のため特殊な装置材質を必要とするなど工業的製法としては採用し難い。また、アセトンシアンヒドリンには下記の式〔1〕に示すような解離平衡が存在することから、従来の方法では、アセトンシアンヒドリンの解離が生じていることも考えられ、目的物であるα−ヒドロキシイソ酪酸エステルの収率が低下するとともに、有毒物質であるシアン化水素を生成するという問題点もある。
【0005】
【化1】
Figure 0003545034
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来法における問題点を解決すべくなされたもので、その目的は工業的に有利に実施することのできるα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類の製造法を提供することにあり、具体的には原料であるアセトンシアンヒドリンの解離などの副反応を抑制することにより反応における安全性を高め、且つ高収率でα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類を得ることのできる製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記目的を達成すべく鋭意研究の結果、アセトンシアンヒドリンは水の共存下において解離が促進されること、また、アセトンシアンヒドリンの水和反応を行う際、アセトンシアンヒドリンを水と分別して硫酸に添加して反応を行えば、後述の実施例に示されるようにアセトンの副生が少なく、アセトンシアンヒドリンの解離を抑制することができると共に目的生成物であるα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類も高収率で得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて達成されたものである。
【0008】
本発明は、アセトンシアンヒドリンを水および硫酸と反応させ水和反応を行い、その反応生成物にアルコールを添加してエステル化反応を行うことによりα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類を製造する方法において、前記水和反応をアセトンシアンヒドリンと水とを分別して硫酸と混合し反応を行うことを特徴とするα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類の製造方法に関する。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、アセトンシアンヒドリンと水とを分別して硫酸と混合し反応させ水和反応を行う工程と、その反応液にアルコールを添加してエステル化反応を行う工程とから成る。
【0010】
本発明における水和反応の実施に際しては、原料であるアセトンシアンヒドリンと水は予め混合せずに分別して硫酸と混合してから反応を行うことが重要である。具体的には、硫酸にアセトンシアンヒドリンと水とを同時に別々に添加する方法、アセトンシアンヒドリンと硫酸とを予め混合したものに水を添加する方法あるいはアセトンシアンヒドリンと水のそれぞれを分割し、それらを逐次的に硫酸に添加する方法などが用いられる。また、原料の混合に際しては、液の温度が急激に高温にならないように行うのがよい。好ましくは、室温〜約70℃の範囲内の一定温度を保持しながら混合するのがよい。
【0011】
水和反応に用いる硫酸は、工業的に入手容易な純度90〜98%程度のものから選択され、その使用量はアセトンシアンヒドリン1モルに対して0.5〜1.5倍モル、好ましくは0.8〜1.2倍モルの範囲で適宜選択される。
【0012】
また、水の使用量はアセトンシアンヒドリン1モルに対して0.6〜2倍モル、好ましくは0.7〜1.5倍モルの範囲で適宜選択される。なお、この必要水量には硫酸中の含水量も含まれる。水の使用量が、0.6倍モルより少ない場合には水和反応が不充分となったり、系内固結による操作性の悪化を招く恐れがあり、2倍モルより多い場合には反応が加水分解にまで進行してしまうことがある。
【0013】
水和反応の温度は、30〜100℃、好ましくは40〜70℃の範囲で、反応時間は0.5〜8時間、好ましくは1〜5時間の範囲で実施するのがよい。
【0014】
本発明におけるエステル化反応で用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。アルコールの使用量は、アセトンシアンヒドリン1モルに対して等モル以上、好ましくは1〜10倍モルの範囲で適宜選択される。
【0015】
エステル化反応の温度は、50〜180℃、好ましくは60〜160℃の範囲で、エステル化反応時間は1〜12時間、好ましくは1〜8時間の範囲で実施するのがよい。
【0016】
エステル化反応後、反応液からのα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類の取得は、エステル化反応混合物をアンモニア、水酸化ナトリウムなどの塩基で中和した後蒸留する方法、あるいはエステル化反応混合物に更にアルコールを連続的に供給しながら生成物を留出させた後蒸留する方法などにより行うことができるが、精製収率および操作性の両面から、アルコールを連続的に供給しながら生成物を留出させる方法が好ましい。この時、留出に使用するアルコールは、アセトンシアンヒドリン1モルに対して2〜20倍モル、好ましくは3〜12倍モルの範囲で適宜選択される。アルコールは水分30重量%以下の含水品を用いてもよい。また、留出時間は任意であるが、通常1〜10時間、好ましくは2〜7時間である。
【0017】
【実施例】
次に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0018】
実施例1
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び蒸留装置を付した反応器に97%硫酸50.6g(0.5モル)を仕込み、撹拌下室温で水7.5g(0.42モル)およびアセトンシアンヒドリン42.6g(0.5モル)を同時に別々の滴下漏斗より徐々に滴下した。滴下終了後、60℃で2時間反応を続けた。
次にこの反応液にメタノール32.0g(1.0モル)を添加し、65℃で1時間反応させた後、更にメタノール150g(4.7モル)を連続的に供給しながら、同時に生成物を蒸留装置を通して留出させた。この時の反応温度は65℃から最終的には130℃まで連続的に昇温した。その後、留出液を蒸留精製して、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル58.2gを得た。ガスクロマトグラフ分析の結果、純度は99.9%であり、α−ヒドロキシイソ酪酸メチルの収率は98.5%であった。
【0019】
実施例2
実施例1と同様の反応器に97%硫酸50.6g(0.5モル)を仕込み、撹拌下室温でアセトンシアンヒドリン21.3g(0.25モル)を滴下漏斗より徐々に滴下した後、引き続き水3.8g(0.21モル)を別の滴下漏斗より徐々に滴下した。同様の滴下操作をもう一度繰り返した。滴下終了後、実施例1と同様の方法で反応及び蒸留精製を行った。その結果、得られたα−ヒドロキシイソ酪酸メチルは57.6gであり、収率は97.5%であった。
【0020】
実施例3
実施例1と同様の反応器に97%硫酸50.6g(0.5モル)を仕込み、撹拌下室温でアセトンシアンヒドリン42.6g(0.5モル)を滴下漏斗より徐々に滴下した後、引き続き水7.5g(0.42モル)を滴下漏斗より徐々に滴下した。滴下終了後、実施例1と同様の方法で反応及び蒸留精製を行った。その結果、得られたα−ヒドロキシイソ酪酸メチルは54.3gであり、収率は91.9%であった。
なお、上記実施例1〜3は、いずれの場合もアセトンの副生は0.5%以下であった。
【0021】
比較例1
実施例1と同様の反応器に97%硫酸50.6g(0.5モル)および水7.5g(0.42モル)を仕込み、撹拌下室温でアセトンシアンヒドリン42.6g(0.5モル)を滴下漏斗より徐々に滴下した。滴下終了後、実施例1と同様の方法で反応及び蒸留精製を行った。その結果、得られたα−ヒドロキシイソ酪酸メチルは47.2gであり、収率は79.9%であった。また、アセトンが5%副生した。
【0022】
比較例2
実施例1と同様の反応器に97%硫酸50.6g(0.5モル)を仕込み、撹拌下室温でアセトンシアンヒドリン42.6g(0.5モル)および水7.5g(0.42モル)の混合液を滴下漏斗より徐々に滴下した。滴下終了後、実施例1と同様の方法で反応及び蒸留精製を行った。その結果、得られたα−ヒドロキシイソ酪酸メチルは42.5gであり、収率は72.0%であった。また、アセトンが6.1%副生した。
【0023】
比較例3
実施例1と同様の反応器に97%硫酸50.6g(0.5モル)、水7.5g(0.42モル)およびメタノール32.0g(2モル)を仕込み、撹拌下室温でアセトンシアンヒドリン42.6g(0.5モル)を滴下漏斗より徐々に滴下した。滴下終了後、60℃で2時間撹拌を続けた。その後、エステル化工程を省略した以外は実施例1と同様の方法で蒸留精製まで行った。その結果、得られたα−ヒドロキシイソ酪酸メチルは26.8gであり、収率は45.4%であった。また、アセトンが9.4%副生した。
【0024】
実施例4〜6
メタノールの代わりに、エタノール、プロパノールあるいはブタノールを用いた以外は、実施例1と同様に反応及び蒸留精製を行った。その結果を下記に示す。また、いずれの場合もアセトンの副生は0.5%以下であった。
【0025】
Figure 0003545034
【0026】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、反応時に有毒物質であるシアン化水素の生成を抑制することができると共に高収率でα−ヒドロキシイソ酪酸エステルを得ることができる。また、本発明は次のような利点もある。
(1)反応時に有毒物質であるシアン化水素及びその誘導体(ギ酸、ギ酸エステルなど)の生成がないため、安全性が向上する。
(2)アセトンシアンヒドリンの解離が抑制されるため、アセトンシアンヒドリン及びアルコールの原単位が向上する。
(3)副生物が少なく、精製が容易に行える。

Claims (5)

  1. アセトンシアンヒドリンを水および硫酸と反応させ水和反応を行い、その反応生成物にアルコールを添加してエステル化反応を行うことによりα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類を製造する方法において、前記水和反応をアセトンシアンヒドリンと水とを分別して硫酸と混合し反応を行うことを特徴とするα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類の製造方法。
  2. 前記水和反応が、硫酸にアセトンシアンヒドリンと水とを同時に別々に添加する方法である請求項1記載のα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類の製造方法。
  3. 前記水和反応が、アセトンシアンヒドリンと硫酸とを予め混合したものに水を添加する方法である請求項1記載のα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類の製造方法。
  4. 前記水和反応が、アセトンシアンヒドリンと水のそれぞれを分割し、それらを逐次的に硫酸に添加する方法である請求項1記載のα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類の製造方法。
  5. 前記エステル化反応を行ったのち、その反応混合物に連続的にアルコールを供給しながらα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類を留出させる請求項1,2,3または4記載のα−ヒドロキシイソ酪酸エステル類の製造方法。
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