JP3544704B2 - 水車発電機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、取水口のゲートの開度調整によって取水口から採り入れられる流入量を流量指令に応じたものとして出力調整を行う水力発電機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水力発電所の取水口からの流入量をゲートの開度調整により行う水力発電機の出力調整は、水槽の水位をある値に維持しつつ、水車へ流入量を確保するいわゆる、水調機能を有するものが主に採用されていた。ところが、水調では、水位変動が生じると、流入量が変化して水力発電機の出力も変動してしまうために、最近では取水口から水槽への流入タイミングに合わせた出力指令値に応じた制御も採用されるようになった。
【0003】
図17は、この種の水力発電機の制御系統図である。
【0004】
図中、1は水源である取水口、2は取水口1の下流に位置する発電所であり、制御所3は取水口1の水位調整や発電所2を制御する。
導水路4は取水口1から発電所2へ水を流入させる水路で、下端に水槽(貯水池)5が設けられている。
水槽5は所定量の水を貯える大気開放された槽で、水圧管6から水車室12に連絡している。
【0005】
発電所2の上流に位置する取水口1には、水槽5への流入量を調整する取水口ゲート7、その取水口ゲート7を開閉操作するための駆動用モータ8、ゲート開度信号101を開度指令値に追従させるためのゲート制御装置9が設けられている。
【0006】
このゲート制御装置9へは、図示しない伝送装置を介して制御所3に設置された計算機10から発電所2で必要とする流量に応じた流量指令値信号102が出力される。ゲート制御装置9は、水位計11からの取水口水位検出信号103と予め記憶した開度流量特性によりこの流量指令値信号102に応じたゲート開度目標値を算出し、ゲート開度信号101をその目標値に追従するように駆動用モータ8へ開閉制御信号104を出力する。これにより、取水口ゲート7を通過する流量Qiが流量指令値信号102へ追従される。
【0007】
この流量Qiは、導水路4を経由して所定の時間(流下時間)後に水槽5へ到達する。そこで、制御所3の計算機10は伝送装置を介して、流量指令値信号102をゲート制御装置9へ出力するのと同タイミングで、発電所2に設けた制御装置15へ出力指令信号105を出力する。
【0008】
制御装置15では、出力指令信号105と発電機20に設けられるトランスデューサ16からの実出力信号106とが比較されて実出力信号106が出力指令信号105に追従するように制御信号107をガバナ17へ出力する。ガバナ17はサーボ系18を介してガイドベーン19を開閉させ水車21を回転させて発電機20から目標の実出力を取り出す。なお、112は取水口の各種情報、例えば、ゲート開度信号101、取水口水位検出信号103等を計算機10へ伝送するラインを示している。
【0009】
次に、制御装置15の処理内容の一例を図18を参照して説明する。
【0010】
まず、出力指令信号105が制御装置15へ入力されると、無駄時間処理手段22で次の処理がされる。この無駄時間は水槽5までの流下時間により決定され、無駄時間処理手段22では、一定時間(流下時間)前の出力指令信号105を現時点の出力信号110となるように処理される。この出力指令信号105は現在水槽5へ流入している水に対応するものであるが、この出力信号110と水槽5への流入量は1対1には対応しない。その理由は、出力指令信号105がステップ的に変化するのに対して実際の流量Qiが一定速度で開閉する取水口ゲート7に応じて変化して直線的に変化しないためである。
【0011】
上記理由により、制御装置15では、その流入量の時間的変化に合わせて出力信号111を変化させる指令値変化特性手段23を設ける。
【0012】
すなわち、制御装置15は、図19の特性図に示すように、制御所3の計算機10からの出力指令信号105を無駄時間処理手段22へ入力して無駄時間を施して出力信号110を指令値変化特性手段23へ出力する。指令値変化特性手段23では、図示するように時間的な変化に合わせて変化処理を施して出力信号111を偏差算出手段25へ入力させる。
【0013】
続いて、指令値変化特性手段23からの出力信号111は、制御部24へ入力し、実出力信号106と偏差算出手段25によって比較され、偏差信号が不感帯設定手段26を介してゲイン設定手段27によって所定のゲインが施されて得られる制御信号107がガバナ17へ出力される。
【0014】
これにより、指令値変化特性手段23の出力信号111は、水槽5へ流入する流量相当の値となる。このように、近年、出力指令信号105と実出力信号106の偏差を取り偏差に応じた増減パルスを出力して閉ループ制御を行ういわゆるALR制御が用いられる。
【0015】
次に、主機である水力発電機が複数台ある場合について、図20に示す水力発電機の制御系統図を参照して説明する。
【0016】
この場合には、図17と異なり制御装置30が応水制御部31と発電機20に対応して設けられる水調部32と自動制御部33とからなる。
【0017】
応水制御部31は、計算機10からのゲート開度信号113を取り込み運転台数を決定し必要な起動停止指令を各号機の自動制御部33へ出力する。水調部32は、いわゆる水調機能を有して水位検出信号114と並列している実出力信号106とから水槽5の流入量を安定に維持するように制御する。
【0018】
自動制御部33は各号機に対して必要なシーケンス制御を行い主機を起動並列または解列停止させる。
【0019】
応水制御部31は、図21に示すように、運転台数検出手段34によって取水口1のゲート開度信号113を用いて流入する流量を判断し運転すべき台数を検出する。そして、1台運転の場合は1台運転信号117a、2台運転の場合は2台運転信号117b、3台運転の場合は3台運転信号117cを出力する。
【0020】
運転号機選択手段35では、予め定められた運転順序と運転信号117a,117b,117cと各号機の運転状態信号116a,116b,116cにより運転すべき号機へ起動指令115a,115b,115cを出力する一方、運転すべきでない号機へ停止指令115a,115b,115cを出力する。
【0021】
運転台数検出手段34は、図22に示すように、比較器36,37,38と比較器39,40,41と論理積回路42,43と確認タイマ44,45,46,47,48,49とホールド回路50,51,52等からなっている。
【0022】
まず、比較器36,37,38では、図23に示すゲート開度と取水口流入量との特性を用いると、1台目の主機を起動させて継続運転が可能な流量(Q1k)を確保することができるゲート開度(1台目起動開度)、2台目の主機を起動させて2台継続運転が可能な流量(Q2k)を確保することができるゲート開度(2台目起動開度)、3台目の主機を起動させて全台継続運転が可能な流量(Q3k)を確保することができるゲート開度(3台目起動開度)のそれぞれと実際のゲート開度信号113とが比較され各起動開度以上のとき、それぞれに出力信号120,121,122が出力されるようになっている。
【0023】
また、比較器39,40,41では、1台の主機を停止させて2台継続運転しか可能でない流量(Q3t)となったことを確認するゲート開度(1台停止開度)、2台の主機を停止させて1台継続運転しか可能でない流量(Q2t)となったことを確認するゲート開度(2台停止開度)、全台の主機を停止させて継続運転が不可能な流量(Q1t)となったことを確認するゲート開度(全台停止開度)のそれぞれと実際のゲート開度信号113とが比較されて各停止開度以下のとき、それぞれ出力信号123,124,125が出力されるようになっている。
【0024】
具体的に説明すると、通常運転では、図23に示すゲート開度−取水口流入量特性のうち、取水口基準水位WLstdの曲線が従来用いられ、比較器36,37,38によってそれぞれ1台目の起動が1台目起動流量Q1kに相当するゲート開度G1ks、2台目の起動が2台目起動流量Q2kに相当するゲート開度G2ks、3台目の起動が3台目起動流量Q3kに相当するゲート開度G3ksに従って検出される。
【0025】
また、図23に示す取水口基準水位WLstdの曲線に従って比較器39,40,41によってそれぞれ1台停止が1台停止流量Q3tに相当するゲート開度G3ts、2台停止が2台停止流量Q2tに相当するゲート開度G2ts、全台停止が全台停止流量Q1tに相当するゲート開度G1tsで検出して行われる。
【0026】
すなわち、図22に示すゲート開度信号113が1台目起動開度(G1ks)以上で2台目起動開度(G2ks)以下の場合は比較器36の出力120がONし、比較器37の出力121がOFFする。このため論理積回路42の出力126がONし確認タイマ44が動作を開始し設定時間後に、確認タイマ44の出力128がONしホールド回路50の出力である1台運転信号117aが出力される。
【0027】
なお、確認タイマの設定時間は取水口から水槽5までの流下時間と主機の起動時間により決定する。
【0028】
さらに、ゲート開度信号113が大きくなり、2台目起動開度(G2ks)以上で3台目起動開度(G3ks)以下の場合は比較器37の出力121がONし、比較器38の出力がOFFする。このため論理積回路43の出力127がONし、確認タイマ46が動作を開始し設定時間後に、確認タイマ46の出力129がONしホールド回路51の出力である2台運転信号117bが出力される。
【0029】
さらに、ゲート開度信号113が大きくなり、3台目起動開度(G3ks)以上の場合は比較器38の出力122がONし、確認タイマ48が動作を開始し設定時間後に、確認タイマ48の出力131がONしホールド回路52の出力である3台運転信号117cが出力される。
【0030】
これに対して、ゲート開度信号113が小さくなり、1台停止開度(G3ts)以下になると、比較器41の出力125がONし、確認タイマ49が動作し一定時間後に、確認タイマ49の出力132がONしホールド回路52の出力117cがOFFする。同様にして2台停止開度(G2ts)、全台停止開度(G3ts)以下で各々比較器の信号124,123を検出し、ホールド回路51,52のリセットが行われる。
【0031】
なお、1台運転信号117a、2台運転信号117b、3台運転信号117cの内一つだけONさせる場合もある。
【0032】
起動指令を受けた自動制御部33は所定のシーケンス制御を行い該当号機の起動を行い系統へ並入させる。
【0033】
並入後、水調部32が水位検出信号114と実出力信号106とを取り込み、水調機能により水車の使用流量を水槽水位が安定するように調整する。この水車の使用流量に応じて各号機の出力が決定される。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の水力発電機の制御装置では、次のような問題があった。
【0035】
まず、第一に、図17および図18で説明した制御装置15では、実出力信号106が出力指令信号105に基づいて指令値変化特性手段23によって作成された出力信号111に追従制御するようになっているが、この指令値変化特性手段23は前述したように、例えば、取水口水位が一定時のゲート開度と取水口流入量の特性、すなわち、取水口基準水位のときの出力指令信号105に対して水槽5への実際の流入量を予め記憶して設定したものである。
【0036】
従って、取水口1の水位が実際に取水口基準水位より大きければ、同じゲート開度でも水槽5の流入量Qiも大幅に増加する。また、取水口1の水位が取水口基準水位より小さければ同じゲート開度でも水槽5の流入量Qiも減少する。
【0037】
このために実出力信号106を出力するための流入量Qiが対応して供給されず、水槽5の水位変動が大きく安定に制御することが困難となるおそれがある。
【0038】
また、第二に、ゲートの制御が途中で故障によって渋滞したようなとき等、要求される流入量Qiが水槽5へ供給できない場合、オペレータの操作によって出力指令信号105の変更や手操作によって追従するように行われるが、これらの操作には遅れがある。
【0039】
このために、水槽5への流入量Qiと実際に水車で使用する流量との差が大きくなり、これに伴って水槽5の水位変動が大きくなって安定した実出力で運転継続が困難となるという問題がある。
【0040】
第三には、図20乃至図22で説明した制御装置30の応水制御部31では、ゲート開度信号113に応じて起動台数を決定しているが、取水口の水位が大幅に変化すると、想定される流入量Qiと実際の流入量Qiとが異なって安定した制御ができないという問題がある。
【0041】
例えば、ゲート開度と取水口流入量と運転台数との関係を示す図24において、従来、取水口基準水位に基づく曲線WLstd(図示実線)を適用してゲート開度信号113に応じて運転台数を決定しており、実際の取水口1の水位が梅雨時や台風の大雨で急変して、今、取水口最高水位WLmax(図示破線)とすれば、取水口基準水位WLstdよりt1だけ速いタイミングで起動すべきである。
【0042】
また、渇水期等や放流により、今、水位が急低下して取水口最低水位WLmin(図示二点鎖線)とすれば、取水口基準水位WLstdより、本来よりt2だけ遅いタイミングで起動すべきである。
【0043】
この起動のタイミングの遅早はゲート開度が高くなるほど顕著になる。また、停止については水位が低いほど速く停止すべきであるが運転が継続する。そこで、起動・停止の前後で使用する流量と水槽への流入量に差が出るため水槽5の水位が低下したり上昇したりの変動が発生する。
【0044】
従って、取水口基準水位WLstdに基づいてゲート開度信号113の大きさに応じて応水制御部31で起動・停止を行えば、実際の流入量Qiが想定される流入量Qiと異なるために起動後、しばらくすると水槽5の水位が低下して起動後、間もなく発電機20を停止させたり、停止後すぐに起動する場合も生じる。
【0045】
このような、水槽5の水位変動が生じると、発電機20の安定な運転が継続できず系統運用にも悪影響を与え、また、発電機20の頻繁な起動・停止によって各機器への寿命にも影響を与える。
【0046】
そこで、本発明は取水口の水位変動にかかわらず水槽の水位を常に安定に保つことにより、不要な水力発電機の実出力の変動や水力発電機の起動・停止を防止し、安定な運転継続を確保する水力発電機の制御装置を提供することを目的とする。
【0047】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、制御所の計算機からの流量指令信号と予め記憶された取水口のゲート開度と流入量との関係を定める特性とに基づいて算出されたゲート開度目標値信号にゲート開度信号が追従するように取水口のゲート開度を制御する一方、このゲート開度制御された水が取水口から導水路を経て水槽へ流入し、この水槽から流出する水によってガイドーベンを介して水車に連結する水車発電機を回転させ発電出力させる水車発電機を制御する水車発電機の制御装置において、取水口に水位を検出する水位計の取水口水位検出信号とゲート開度信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量特性とから取水口流入量信号を算出し、この信号に無駄時間を施すと共に、予め記憶された流量と実出力との特性とから運転可能出力値信号を算出して出力する運転可能出力値生成部と、出力指令信号が増加方向のとき、運転可能出力値信号を上限制限値とすると共に、出力指令信号が減少方向のとき運転可能出力値信号を下限制限値として制限された出力指令信号を実使用指令値信号として出力する出力指令値制限処理部と、実出力信号が実使用指令値信号に追従するように制御信号をガバナへ出力する制御部とを設けるようにしたものである。
【0048】
請求項2の発明は、請求項1記載の水力発電機の制御装置において、運転可能出力値生成部は、取水口水位検出信号とゲート開度信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量との特性とから取水口流入量信号を算出する流量特性算出手段と、取水口流入量信号に所定の無駄時間を施す処理をして水槽流入量信号を出力する無駄時間処理手段と、水槽流入量信号と予め記憶された流量と実出力との特性とから運転可能出力値信号を出力する出力特性処理手段を設け、出力指令値制限処理部は、増方向の出力指令信号を検出して増方向信号を出力する増方向検出手段と、減方向のとき減方向信号を出力する減方向検出手段と、増方向信号がONのとき指令値増モード信号をSETし、減方向検出手段がONのときRESETするホールド手段と、出力指令信号を運転可能出力値信号以下に制限する上限リミッタ手段と出力指令信号を運転可能値以上に制限する下限リミッタ手段と、指令値増モード信号がONのとき上限リミッタ手段からの信号を選択し、指令値増モード信号がOFFのとき下限リミッタ手段の信号を選択するように切替え実使用指令値信号を出力する切替手段とを設け、制御部は、実出力信号と実使用指令値信号との偏差信号を算出する偏差算出手段と、偏差信号に対して所定巾の不感帯を設定する不感帯設定手段とこの不感帯設定手段からの信号に所定のゲインを施して得られる制御信号を出力するゲイン設定手段とを設けるようにしたものである。
【0049】
請求項3の発明は、請求項2記載の水力発電機の制御装置において、水槽に配置される水位計からの水位検出信号を取り込み、水位検出信号の変化率に応じて流量補正値信号を算出して出力する着水時流量増特性処理手段と、流量補正値信号を水槽流入量信号に加算して出力特性処理手段への入力信号とする加算手段とを備えるようにしたものである。
【0050】
請求項4の発明は、制御所の計算機からの流量指令信号と予め記憶された取水口のゲート開度と流入量との関係を定める特性とに基づいて算出されたゲート開度目標値信号にゲート開度信号が追従するように取水口のゲート開度を制御する一方、このゲート開度制御された水が取水口から導水路を経て水槽へ流入し、この水槽から流出する水によってガイドーベンを介して水車に連結する水車発電機を回転させ発電出力させる水車発電機を制御する水車発電機の制御装置において、取水口の水位を検出する水位計の取水口水位検出信号とゲート開度信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量特性とから取水口流入量信号を算出し、この信号に無駄時間を施して水槽流入量信号を出力する水槽流入量算出部と、流量指令値信号が増加方向のとき水槽流入量信号を上限制限値とすると共に、流量指令値信号が減少方向のとき、水槽流入量信号を下限制限値として制限された流量指令値信号を出力する流量指令値制限処理部と、この流量指令値制限処理部からの出力信号と予め記憶された流量と実出力との特性とから実使用指令値信号を算出する出力特性処理部と、実出力信号が前記実使用指令値信号に追従するように制御信号をガバナへ出力する制御部とを設けるようにしたものである。
【0051】
請求項5の発明は、請求項4記載の水力発電機の制御装置において、水槽流入量算出部は、取水口水位検出信号とゲート開度信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量と特性とから取水口流入量信号を算出する流量特性算出手段と、取水口流入量信号に所定の無駄時間を施す処理をして水槽流入量信号を出力する無駄時間処理手段とを設け、流量指令値制限処理部は、増加方向の流量指令値信号を検出して増方向信号を出力する増方向検出手段と、減方向のとき減方向信号を出力する減方向検出手段と、増方向信号がONのとき指令値増モード信号をSETし、減方向検出手段がONのときRESETするホールド手段と、流量指令値信号を水槽流入量信号以下に制限する上限リミッタ手段と、流量指令値信号を水槽流入量信号以上に制限する下限リミッタ手段と、指令値増モード信号がONのとき上限リミッタ手段からの信号を選択し、指令値増モード信号がOFFのとき下限リミッタ手段からの信号を選択するように切替えて出力する切替手段とを設け、制御部は、実出力信号と実使用指令値信号との偏差信号を算出する偏差算出手段と、偏差信号に対して所定巾の不感帯を設定する不感帯設定手段とこの不感帯設定手段からの信号に所定のゲインを施して得られる制御信号を出力するゲイン設定手段とを設けるようにしたものである。
【0052】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5記載の水力発電機の制御装置において、水槽に配置される水位計からの水位検出信号を取り込み、水位検出信号の変化率に応じて流量補正値信号を算出して出力する着水時流量増特性処理手段と、流量補正値信号を水槽流入量信号に加算して流量指令値制限処理部への入力信号とする加算手段とを備えるようにしたものである。
【0054】
請求項の発明は、制御所の計算機からの流量指令信号と予め記憶された取水口のゲート開度と流入量との関係を定める特性とに基づいて算出されたゲート開度目標値信号にゲート開度信号が追従するように取水口のゲート開度を制御する一方、このゲート開度制御された水が取水口から導水路を経て水槽へ流入し、この水槽からガイドーベンを介して流入する水量に応じて複数有する発電機の台数と発電出力を制御する水車発電機の制御装置において、ゲート開度信号と取水口の水位を検出する水位計の取水口水位検出信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量特性とから水槽流入量信号を算出して、この水槽流入量信号に基づいて運転すべき台数を決定する運転台数検出手段と、この運転台数検出手段によって決定された台数と予め記憶された運転順序と運転状態とに従って運転を起動または停止する発電機を決定して起動または停止指令信号を出力する運転号機選択手段からなる応水制御部と、この応水制御部によって算出された取水口流入量信号に無駄時間を施すと共に、予め記憶された流量と実出力との特性とから運転可能出力値信号を算出して出力する運転可能出力値生成部と、出力指令信号が増加方向のとき運転可能出力値信号を上限制限値とすると共に、出力指令信号が減少方向のとき運転可能出力値信号を下限制限値として制限された出力指令信号を実使用指令値信号として出力する出力指令値制限処理部と、実使用指令値信号とそれぞれの発電機の運転条件とに応じて、それぞれの発電機の出力指令値を定める出力配分処理部とからなる出力指令値作成部と、起動または停止指令信号に応じて各発電機を起動または停止させる制御をする各発電機に対応してそれぞれ設けられる自動制御部と、これら自動制御部に対応して設けられそれぞれ出力指令値作成部からのそれぞれの出力指令値に実出力信号が追従するようにガバナへ制御信号を出力する制御部とを設けるようにしたものである。
【0055】
【作用】
請求項1の発明は、運転可能出力値生成部により取水口水位検出信号とゲート開度信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量特性とから取水口流入量信号が算出され、この信号に無駄時間が施される共に、予め記憶された流量と実出力との特性とから運転可能出力値信号が算出される。
【0056】
出力指令値制限処理部では、出力指令信号が増加方向のとき、運転可能出力値信号を上限制限値とすると共に、出力指令信号が減少方向のとき運転可能出力値信号を下限値として制限された出力指令信号が実使用指令値信号として制御部へ出力され、実出力信号が実使用指令値信号に追従するように制御信号によってガバナが増減して制御される。
【0057】
従って、取水口水位検出信号に対応した取水口流入量信号が算出され、これに基づいて運転可能出力値信号が算出されるために水槽への流入量と実際の出力指令信号とが対応したものとなり、水槽の流入量と水車の使用流量の差異が少なく、水槽の水位変動を招くことを回避することができる。
【0058】
また、ゲートの制御が途中で渋滞したとき等の場合、ゲート開度信号に応じて水槽への実際の流量に対応する運転可能な運転可能出力値信号が増減され、出力指令信号が増減したときこの運転可能出力値信号に出力指令信号が上限または下限に制限される。
【0059】
この結果、出力指令信号が急変しても運転可能出力値信号で制限された信号で制御されるために水槽への流量と水車への使用流量との差異が急激に生じることがなく水槽の水位の変動を抑制することができる。
【0060】
請求項2の発明は、流量特性算出手段によって、取水口水位検出信号とゲート開度信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量との特性とから取水口流入量信号が算出される。
【0061】
そして、取水口流入量信号に所定の無駄時間が無駄時間処理手段によって施され水槽流入量信号が出力され、出力特性処理手段によって水槽流入量信号と予め記憶された流量と実出力との特性とから運転可能出力値信号が出力される。
【0062】
次に、出力指令信号が増方向のとき増方向信号が出力される一方、減方向のとき減方向信号が出力され、ホールド手段によって増方向信号がONのとき指令値増モード信号がSETされ、減方向信号がONのときRESETされる。指令値増モード信号がONになると、運転可能出力値信号を上限制限値とする上限リミッタ手段からの信号が選択され、指令値増モード信号がOFFになると運転可能出力値信号を下限制限値とする下限リミッタ手段の信号が選択され実使用指令値信号が出力される。
【0063】
さらに、実出力信号と実使用指令値信号との偏差信号が算出され、この偏差信号が所定巾の不感帯を通過し、この通過した信号に所定のゲインが施され得られる制御信号が出力される。
【0064】
従って、取水口水位検出信号に対応した取水口流入量信号が算出され、これに基づいて運転可能出力値信号が算出されるために水槽への流量と出力指令信号とが対応したものとなる。
【0065】
このため、水槽の流入量と水車の使用流量の差異が少なく、水槽の水位変動を招くことを回避することができ、安定した運転を継続することができる。
また、ゲートの制御が途中で渋滞したとき等の場合、ゲート開度信号に応じて水槽への実際の流量に対応する運転可能な運転可能出力値信号が増減され、出力指令信号が増減したときこの運転可能出力値信号に出力指令信号が上限または下限に制限される。この結果、出力指令信号が急変しても運転可能出力値信号で制限された信号で制御されるために水槽への流入量と水車への使用流量との差異が急激に生じることがなく水槽の水位の変動を抑制することができる。また、オペレータの煩雑な対応操作も不要となる。
【0066】
請求項3の発明は、水槽の水位計からの水位検出信号の変化率に応じた流量補正値信号が算出され、この流量補正値信号が水槽流入量信号に加算され、これを基に運転可能出力値信号が算出される。
【0067】
従って、取水口から水槽までの導水路の傾斜が急なために取水口からの水量が増加すると、先に、水槽へ流入した水に後から増加した水が加算され水槽の水位が急上昇しても、直ちに補正がされて実際の運転可能出力値信号を増加させることができ、ガイドベーンの制御信号も増加して使用流量が増加して結果的に水槽の水位を安定に運転することができる。
【0068】
請求項4の発明は、水槽流入量算出部により取水口水位検出信号とゲート開度信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量特性とから取水口流入量信号が算出され、この信号に無駄時間が施された水槽流入量信号が算出される。
【0069】
流量指令値制限処理部では、流量指令値信号が増加方向のとき、水槽流入量信号を上限制限値とすると共に、流量指令値信号が減少方向のとき水槽流入量信号を下限値として制限された流量指令値信号が出力され、出力特性処理部によって実使用指令値信号が算出される。そして、実出力信号が実使用指令値信号に追従するように制御信号によってガバナが増減して制御される。
【0070】
従って、取水口水位検出信号に対応した取水口流入量信号が算出され、これに基づいて水槽流入量信号が算出されるために実際の水槽への流入量が出力指令信号と対応するものとなり、水槽の流入量と水車の使用流量の差異が少なく、水槽の水位変動を招くことを回避することができる。
【0071】
また、ゲートの制御が途中で渋滞したとき等の場合、ゲート開度信号に応じて水槽への実際の流量に対応する水槽流入量信号が増減され、流量指令値信号が増減したとき水槽流入量信号に流量指令値信号が上限または下限に制限される。この結果、流量指令値信号が急変しても水槽流入量信号で制限された信号で制御されるために水槽への流量と水車への使用流量との差異が急激に生じることがなく水槽の水位の変動を抑制することができる。
【0072】
請求項5の発明は、流量特性算出手段によって取水口水位検出信号とゲート開度信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量の特性とから取水口流入量信号が算出されこれに無駄時間が施され水槽流入量信号が出力される。
【0073】
次に、流量指令値信号が増方向のとき、増方向信号が出力される一方、流量指令値信号が減方向のとき、減方向信号が出力されホールド手段によって増方向信号がONのとき指令値増モード信号がSETされ、減方向信号がONのときホールド手段がRESETされる。指令値増モード信号がONになると水槽流入量信号を上限制限値とする上限リミッタ手段からの信号が出力され、指令値増モード信号がOFFになると、水槽流入量信号を下限制限値とする下限リミッタ手段の信号が選択され、出力特性処理部によって実使用指令値信号が算出される。そして、実出力信号が実使用指令値信号に追従するように制御信号によってガバナが増減して制御される。
【0074】
従って、取水口水位検出信号に対応した取水口流入量信号が算出され、これに基づいて水槽流入量信号が算出されるために実際の水槽への流入量が出力指令信号と対応するものとなり、水槽の流入量と水車の使用流量の差異が少なく、水槽の水位変動を招くことを回避することができる。
【0075】
また、ゲートの制御が途中で渋滞したとき等の場合、ゲート開度信号に応じて水槽への実際の流量に対応する水槽流入量信号が増減され、流量指令値信号が増減したとき水槽流入量信号に流量指令値信号が上限または下限に制限される。この結果、流量指令値信号が急変しても水槽流入量信号で制限された信号で制御されるために水槽への流量と水車への使用流量との差異が急激に生じることがなく水槽の水位の変動を抑制することができる。
【0076】
請求項6の発明は、水槽の水位計からの水位検出信号の変化率に応じた流量補正値信号が算出され、この流量補正値信号が水槽流入量信号に加算され流量指令値制限処理部へ出力される。
【0077】
従って、取水口から水槽までの導水路の傾斜が急なために取水口からの水量が増加すると、先に、水槽へ流入した水に後から増加した水が加算され水槽の水位が急上昇しても、直ちに補正がされて実際の実使用指令値信号を増加させることができ、ガイドベーンの制御信号も増加して使用流量が増加して結果的に水槽の水位を安定に運転することができる。
【0080】
請求項の発明は、ゲート開度信号と取水口水位検出信号と予め記憶されたゲート開度と流入量特性とから取水口流入が算出されて、この取水口流入量信号に基づいて運転台数検出手段によって運転すべき台数が決定される。決定された台数と予め記憶された運転順序と運転状態とに従って運転を起動または停止する発電機を決定して起動または停止指令信号が出力される。
【0081】
一方、算出された取水口流入量信号は無駄時間が施こされると共に、予め記憶された流量と実出力との特性とから運転可能出力値信号が算出される。
次に、出力指令信号が増加方向のとき運転可能出力値信号が上限制限値とされると共に、出力指令信号が減少方向のとき運転可能出力値信号を下限制限値として制限された出力指令信号が実使用指令値信号として出力され、実使用指令値信号とそれぞれの発電機の運転条件とに応じて、それぞれの発電機の出力指令値が定められる。また、起動または停止信号に応じて発電機が起動または停止制御がされ、制御部によって出力指令値に実出力信号が追従するように実出力信号が出力される。
【0082】
従って、取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流量との特性に基づく、水槽への実際の流量に応じて運転台数が決定されるため従来のように取水口基準水位によって算出される流量に基づいて運転台数が決定されるのに比べて不要な起動や停止が削減できる。
【0083】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0084】
図1は、本発明の第1実施例を示す水力発電機の制御装置の系統図であり、図1は従来例を示す図17の制御装置15と構成を異にする制御装置60を設け、この制御装置60へ計算機10からの出力指令信号105の他に取水口情報信号140を入力するようにしている。
【0085】
制御装置60は、図2に示すように、運転可能出力値生成部61と出力指令値制限処理部62と制御部63とからなっている。
【0086】
運転可能出力値生成部61は、取水口水位検出信号103と前記ゲート開度信号113と予め記憶された取水口水位検出信号103に対応したゲート開度と流入量特性とから取水口流入量信号160を算出し、この信号に無駄時間を施すと共に、予め記憶された流量と実出力との特性とから運転可能出力値信号162を算出して出力するものである。
【0087】
出力指令値制限処理部62は、出力指令信号105が増方向のとき、前記運転可能出力値信号162を上限制限値とすると共に、前記出力指令信号105が減方向のとき前記運転可能出力値信号162を下限値として制限された前記出力指令信号105を実使用指令値信号165として出力するものである。
【0088】
制御部63は、実使用指令値信号165に実出力信号106が追従するように制御信号107を前記ガバナ17へ出力するものである。
【0089】
以下、図2の内部構成を示す図3の構成図を参照して詳細に第1実施例を説明する。運転可能出力値生成部61は、図3に示すように、取水口情報信号140から取水口流入量信号160を算出する流量特性算出手段64と、算出された取水口流入量信号160に無駄時間要素を施して水槽流入量信号161とする無駄時間処理手段65と、水槽流入量信号161から運転可能出力値信号162を算出する出力特性処理手段66とから構成されている。
【0090】
また、出力指令値制限処理部62は、図3に示すように、増方向の出力指令信号105を検出して増方向信号163aを出力する増方向検出手段67と、減方向のとき減方向信号163bを出力する減方向検出手段68と、増方向信号163aがONのとき指令値増モード信号164をSETし、減方向検出手段68がONのときRESETするホールド手段69と、出力指令信号105を運転可能出力値信号162以下に制限する上限リミッタ手段70と、出力指令信号105を運転可能値以上に制限する下限リミッタ手段71と、指令値増モード信号164がONのとき上限リミッタ手段70からの信号を選択し、指令値増モード信号164がOFFのとき下限リミッタ手段71の信号を選択するように切替えて実使用指令値信号165を出力する切替手段72とから構成されている。
【0091】
制御部63は、実出力信号106と実使用指令値信号165との偏差を算出する偏差算出手段73と所定巾の不感帯を設定する不感帯設定手段74と所定のゲインを施すゲイン設定手段75とから構成されている。
【0092】
以上の構成で、ゲート制御装置9へは図17の従来例と同様に、計算機10より流量指令値信号102が出力され、ゲート制御装置9によって、予め記憶したゲート開度−流量特性とにより、この流量指令値信号102に応じたゲート開度目標値が算出され、実際のゲート開度信号101がその目標値に追従させるまで駆動用モータ8へ開閉制御信号104が出力される。これにより、取水口1のゲート開度信号101が変化し取水口ゲート7を通過する流入量Qiが流量指令値信号102に追従される。
【0093】
この流入量Qiは、導水路4を経由して所定の時間(流下時間)後に水槽5へ到着する。
【0094】
制御所3の計算機10では、発電所2に設けた制御装置60へ出力指令信号105と取水口情報信号140を出力する。
【0095】
制御装置60では、図3に示すように、最初に流量特性算出手段64によって制御所3からの取水口情報信号140である取水口水位検出信号103とゲート開度信号113とから現在の取水口1からの取水口流入量信号160が算出される。
【0096】
ここでは、予め計測や理論式に基づいて取水口流入量信号160=f(取水口水位検出信号103,ゲート開度信号113)で示す関数が記憶され、この関数は取水口水位検出信号103に対応してゲート開度−流入量特性を近似式または折れ線近似関数等で実現して算出する。
【0097】
例えば、図23に示した取水口基準水位WLstd、取水口最高水位WLmax、取水口最低水位WLminのそれぞれを基本とするゲート開度と取水口流入量との曲線を用いて、取水口最高水位WLmaxと取水口基準水位WLstdとの間の数カ所のゲート開度と取水口流入量との関係を実測し、この結果に基づいて補間法によって詳細な折線近似関数を作成して記憶させておく。
【0098】
同様に、取水口基準水位WLstdと取水口最低水位WLminとの間の数カ所のゲート開度と取水口流入量との関係を実測し、この結果に基づいて補間法によって詳細な折線近似関数を求めて記憶させておく。
【0099】
また、図24に示した取水口ゲート開度と取水口流入量との関係から中段に示す取水口最高水位WLmaxと取水口基準水位WLstdと取水口最低水位WLminとの各間に各水位毎の取水口水位曲線を近似して描き、この曲線と取水口ゲート(上段)との対応する交点から取水口流量を求め、予め取水口水位検出信号103毎のゲート開度信号113に対する取水口流入量信号160を記憶しておくようにすることもできる。
【0100】
このようにして作成された近似関数は適宜実測された数カ所のデータによって修正したり、実証して確認する。
【0101】
続いて、無駄時間処理手段65に現在の取水口流入量信号160が入力され無駄時間分だけ過去の取水口流入量が現在の水槽5への水槽流入量信号161として算出される。これにより、この水槽流入量信号161が現在実際に水槽5へ流入している流量とほぼ同様として算出され、水槽5の流入量と流出量(水車使用流量)の差が小さくなり、水位変動が発生することが防止される。
【0102】
次に、水槽流入量信号161から出力特性処理手段66によって現在の運転可能出力値信号162が算出される。
【0103】
上記処理では、水槽流入量=水車使用流量とした場合の実出力をその機器のP−Q(出力−流量)特性、すなわち、[P=g(Q)]を近似式または折れ線近似関数等で予め計測や理論式によって定め記憶して算出する。
【0104】
ここで、以上説明した作用を図4および図5を用いて説明すると、計算機10から出力指令信号105に対応する流量指令値信号102(図示破線)がゲート制御装置9へ出力され、これに応じてゲート開度目標値が算出されゲート開度信号101が変化する。
【0105】
これに対して流量特性算出手段64によって実流入量として取水口流入量信号160が出力され、これが無駄時間処理手段65へ入力される。無駄時間処理手段65では、取水口流入量信号160と水槽流入量信号161が図示矢印a,bに対応するように無駄時間だけ遅れた相似した曲線となり水槽流入量信号161が出力される。
【0106】
そして、出力特性処理手段66によって図示c矢印に示すように時間遅れがない運転可能出力値信号162が出力される。このとき、出力特性処理手段66では、P−Q(出力−流量)特性が予め図5に示すように記憶されており、これに基づいて水槽流入量信号161から運転可能出力値信号162が算出され出力される。
【0107】
一方、出力指令信号105が前回計測値値より大きくなった場合、増方向検出手段67により増方向信号163aが出力され、前回計測値より小さくなった場合、減方向検出手段68により減方向信号163bがそれぞれ出力される。これらの信号が入力されるホールド手段69は、増方向信号163aがONしているときに、指令値増モード信号164がSETされ、減方向信号163bがONしているときに指令値増モード信号164がRESETされる。
【0108】
指令値増モード信号164がONすると、切替手段72によって上限リミッタ手段70側へ切替えられ、出力指令信号105が運転可能出力値信号162を上限リミッタ値とする上限リミッタ手段70で制限された信号を実使用指令値信号165として選択され出力される。つまり、出力指令信号105が増加すると運転可能出力値信号162以下に出力指令信号105が制限され実使用指令値信号165とされるため出力指令信号105が急増加しても水槽5への流入量に即した運転可能出力値信号162と同じ値が実使用指令値信号165となる。
【0109】
また、指令値増モード信号164がOFFになると、切替手段72によって下限リミッタ手段71側へ切替えられ、出力指令信号105が運転可能出力値信号162を下限リミッタ値とする下限リミッタ手段71で制限された信号を実使用指令値信号165として選択される。つまり、出力指令信号105が減少すると運転可能出力値信号162以上に出力指令信号105が制限され実使用指令値信号165とされるため水槽5への流入量に即した運転可能出力値信号162と同じ値が実使用指令値信号165となる。
【0110】
この結果、制御所3からの出力指令信号105が何らかの原因によって増方向へ変化した場合、すぐに出力を増加させないように運転可能出力値信号162により上限が抑えられ、出力指令信号105が減方向の場合はすぐに出力を減少させないように運転可能出力値信号162により下限を抑えて運転がされる。すなわち、出力指令信号105が急変したとき、出力指令信号105が安定するまで運転可能出力値信号162を実使用指令値信号165として運転される。
【0111】
次に、実使用指令値信号165が制御部63へ入力され、まず、偏差算出手段73によって偏差信号が算出され、不感帯設定手段74を介して偏差信号がゲイン設定手段75によって所定ゲインが施され得られる制御信号107がガバナ17へ出力される。
【0112】
ガバナ17は、サーボ系18を介して調速にしつつ、ガイドベーン19を開閉し目標の実出力を確保する。実使用指令値信号165は取水口ゲート7が正常に動作すれば最終的には制御所3からの出力指令信号105とほぼ同じ値に収束する。
【0113】
これにより、図4に示したように流量指令値信号102に基づく取水口1から実際に水槽5へ流れ込む流入量と出力指令信号105に基づく実使用指令値信号165とが対応して水槽5へ流入量と水槽5からの流出量とがほぼ等しく水槽5の水位を安定にして安定した実出力で発電機20が運転できる。
【0114】
また、取水口ゲート7の制御が故障等により途中で渋滞して流量指令値信号102に追従しない場合でも取水口情報信号140から算出した実際の水槽5へ流入量による制御が行えるため不安定な状態を直ちに収束方向としてオペレータの緊急な対応も不要となる。
【0115】
このように、取水口1の水位が変動しても、変動した水位に応じた運転可能出力値信号162が出力され、水槽5の水位が不安定となることがなく、出力指令信号105に実出力信号106が追従することができる。
【0116】
また、取水口ゲート7の制御が途中で渋滞して流量指令値信号102に水槽5への流入量が追従しないとき、この流入量に応じた運転可能出力値信号162によって制限された実使用指令値信号165が実出力信号106を制御するために安定して制御ができる。従って、従来のように水槽5の水位変動によって水力発電機の運転の継続が困難となったり、オペレータによる煩雑な対応操作を不要とすることができる。
【0117】
図6は、本発明の第2実施例を示す水力発電機の制御装置の系統図である。
【0118】
図6は従来例を示す図17の制御装置15と構成を異にする制御装置76を設け、この制御装置76へ水槽5に配置される水位計29からの水位検出信号114と出力指令信号105と取水口情報信号140とを入力して制御するようにしている。
【0119】
制御装置76は、図2または図3に示す第1実施例の制御装置60に設ける運転可能出力値生成部61に着水時流量増特性処理手段77と加算手段78とを追設したものである。
【0120】
すなわち、制御装置76は、図7に示すように、運転可能出力値生成部61と出力指令値制限処理部62と制御部63とに、さらに、着水時流量増特性処理手段77と加算手段78とを付加して構成している。
【0121】
ここで、運転可能出力値生成部61は、取水口情報信号140から取水口流入量信号160を算出する流量特性算出手段64と算出された流入量に無駄時間要素を施して水槽流入量信号161とする無駄時間処理手段65と水槽流入量信号161から運転可能出力値を算出する出力特性処理手段66とから構成されている。
【0122】
出力指令値制限処理部62は、増方向の出力指令信号105を検出して増方向信号163aを出力する増方向検出手段67と、減方向のとき減方向信号163bを出力する減方向検出手段68と、増方向信号163aがONのとき指令値増モード信号164をSETし、減方向検出手段68がONのときRESETするホールド手段69と、出力指令信号105を運転可能出力値信号162以下に制限する上限リミッタ手段70と、出力指令信号105を運転可能出力値信号162以上に制限する下限リミッタ手段71と、指令値増モード信号164がONのとき上限リミッタ手段70からの信号を選択し、指令値増モード信号164がOFFのとき下限リミッタ手段71の信号を選択するように切替え実使用指令値信号165を出力する切替手段72とから構成されている。
【0123】
制御部63は、実出力信号106と実使用指令値信号165との偏差を算出する偏差算出手段73と、所定巾の不感帯を設定する不感帯設定手段74と、所定のゲインを施すゲイン設定手段75とから構成されている。
【0124】
着水時流量増特性処理手段77は、水槽5に配置される水位計29からの水位検出信号114を取り込み、水位検出信号114の変化率を算出し、その変化率に応じて算出される流量補正値信号166を出力する。
【0125】
加算手段78は、流量補正値信号166と水槽流入量信号161とを加算し、出力特性処理手段66へ出力する。
【0126】
以上の構成で、水槽5からの水位検出信号114が制御装置76へ入力され、着水時流量増特性処理手段77によって前回計測値と今回計測値との比較がされて水位の変化率が算出され、算出された変化率が一定値以上のときにその変化率に応じた流量補正値信号166が算出される。
【0127】
この算出にあたっては、水槽5の面積や変化率算出のサンプリング時間等を考慮して決定した定数Kを用いてこの流量補正値信号166は、次の式(1)により算出する。
【0128】
流量補正値信号166=K・水位変化率−−−−(1)
【0129】
また、この他に折れ線近似関数等を用いて流量補正値信号166を算出することもできる。この流量補正値信号166は、水槽流入量信号161と加算手段78によって加算されて運転可能出力値信号162が求められこの運転可能出力値信号162が出力特性処理手段66へ入力される。
【0130】
これにより、導水路4が急なため取水口1を通過した流入量Qiが水槽5に溜まって急に水位が上昇したとき、水位検出信号114の変化率に応じて流量補正値信号166が増加される。その結果、制御部63から制御信号107が増減してガバナ17へ出力され、ガイドベーン19が開方向となって水槽5の水位上昇を回避させる。従って、導水路4の急な水力発電所においても水槽5の水位を安定にすることができる。
【0131】
図8は、本発明の第3実施例を示す水力発電機の制御装置の系統図である。
【0132】
図8において、従来例を示す図17と異なる点は、制御装置15の代わりに制御装置80を設け、制御装置80へ流量指令値信号102と取水口情報信号140とを入力している点であり、図2および図3に示す第1実施例と異なる主な点は、図2および図3の出力指令値制限処理部62に入力する出力指令信号105の代わりに流量指令値信号102を入力するようにする一方、図3の運転可能出力値生成部61に設ける出力特性処理手段66を出力指令値制限処理部62の出力側に出力特性処理部91として設けるようにしたものである。
【0133】
すなわち、制御装置80は、図9に示すように水槽流入量算出部89と流量指令値制限処理部90と出力特性処理部91と制御部63からなっている。
【0134】
水槽流入量算出部89は、取水口水位検出信号103と前記ゲート開度信号113と予め記憶された取水口水位検出信号103に対応したゲート開度と流入量特性とから取水口流入量信号160を算出し、この信号に無駄時間を施して水槽流入量信号161を出力する。
【0135】
流量指令値制限処理部90は、流量指令値信号102が増加方向のとき前記水槽流入量信号161を上限制限値とすると共に、前記流量指令値信号102が減少方向のとき、前記水槽流入量信号161を下限制限値として制限された前記流量指令値信号102を出力する。
【0136】
出力特性処理部91は、この流量指令値制限処理部90からの出力信号と予め記憶された流量と実出力との特性とから実使用指令値信号165を算出する出力する。
【0137】
制御部63は、実使用指令値信号165に実出力信号106が追従するように制御信号107をガバナ17へ出力する。
【0138】
制御装置80では、図10に示すように第1実施例の出力指令信号105の代わりに流量指令値信号102を用い、上限リミッタ手段70、下限リミッタ手段71で使用する制限値を図3に示す運転可能出力値信号162に代わりに水槽流入量信号161へ変更したものである。
【0139】
このようにすれば、出力指令信号105と流量指令値信号102とは予め対応関係が定められているから、一つの指令値(流量指令値)のみでよく、ゲート制御装置9用の流量指令値信号102と発電所用の出力指令信号105との双方を用いないため制御系が単純となる。
【0140】
なお、図10に示す第3実施例は、図11に示すように実施することができる。
【0141】
すなわち、図10に着水時流量増特性処理手段77と加算手段78とを追設するようにすれば、第2実施例と同様に導水路4が急なため取水口1を通過した流入量Qiが水槽5に溜まって急に水位が上昇したとき、水位検出信号114の変化率に応じて流量補正値信号166が増加される。その結果、制御部63から制御信号107が増減してガバナ17へ出力され、ガイドベーン19が開方向となって水槽5の水位上昇を回避させる。従って、導水路4の急な水力発電所においても水槽5の水位を安定にすることができる。
【0142】
図12は、本発明の第4実施例を示す水力発電機の制御装置の系統図であり、図12において、従来例を示す図20と異なる点は、制御装置30と構成を異にし制御装置82とし、制御装置82は応水制御部83と自動制御部33と水調部32とから構成される。
【0143】
応水制御部83は、図13に示すように運転台数検出手段84と運転号機選択手段35とからなり、運転台数検出手段84は、ゲート開度信号113と取水口水位検出信号103と予め記憶されたゲート開度と流入量特性とから流入量を算出して、この流入量に基づいて運転すべき台数を決定する。運転号機選択手段35は、この運転台数検出手段84によって決定された台数と予め記憶された運転順序と運転状態とに従って運転を起動または停止する発電機を決定して起動または停止指令信号を出力する。
【0144】
自動制御部33は、運転号機選択手段35からの起動または停止指令信号に応じて各発電機を起動または停止させる制御をする。水調部32は、これら自動制御部33に対応して設けられそれぞれ水槽5の水位検出信号114が安定に維持されるように水調機能によって前記ガバナ17へ制御信号107を出力する。
【0145】
以上の構成で、図13および図14に示す応水制御部83の運転台数検出手段84へ取水口1の取水口水位検出信号103とゲート開度信号113とが入力される。
【0146】
そして、運転台数検出手段84に設ける図3と同様の処理をする流量特性算出手段64では、取水口水位検出信号103に対応した取水口流入量信号160が算出される。
【0147】
次に、例えば、図23に示すように取水口流入量信号160と1台目の主機を起動させて継続運転が可能な流量(1台目起動流量Q1k)、2台目の主機を起動させて2台運転継続運転が可能な流量(2台目起動流量Q2k)、3台目の主機を起動させて全台継続運転が可能な流量(3台目起動流量Q3k)とがそれぞれ比較される。この比較された取水口流入量信号160が各起動流量以上のとき、対応する比較器36,37,38から出力信号120,121,122が出力される。
【0148】
また、1台の主機を停止させて2台継続運転まで可能な流量(1台停止流量Q3t)、2台の主機を停止させて1台継続運転まで可能な流量(2台停止流量Q2t)、全台の主機を停止させて継続運転が不可能な流量(全台停止流量Q1t)と取水口流入量信号160がそれぞれ比較され、各停止流量以下のときに対応する比較器39,40,41から出力信号123,124,125が出力される。
【0149】
これにより、取水口水位を図23に示す例で説明すると、最高水位WLmaxの場合は各起動流量が確保できるゲート開度(G1kx,G2kx,G3kx)で起動が行われ、各停止流量となるゲート開度(G3tx,G2tx,G1tx)で停止が行われる。
【0150】
また、最低水位WLstdの場合は各々ゲート開度(G1kn,G2kn,)で起動され、ゲート開度(G2tn,G1tn)で停止が行われる。また、これ以外の水位においても水位に応じた取水口流入量信号160によって適切なゲート開度で起動・停止を行うことができる。
【0151】
以上の構成により、取水口水位に影響されることなく実際の取水口からの流入量により主機の運転台数を決定するために従来のように取水口基準水位で決定したゲート開度のみで運転台数を決定していたのに比べて不要な起動や停止が減少し、確実な起動や停止がされ、各機器への寿命を短くすることを回避することができる。
【0152】
図15は、本発明の第5実施例を示す水力発電機の制御装置の系統図であり、図12は図20に示す水調部32の代わりに出力指令信号105に実出力信号106を追従させる制御部87を適用したもので、制御装置81は、応水制御部83と出力指令値作成部85と自動制御部33と制御部87とを設けている。
【0153】
応水制御部83は、図13と図14に示すと同様の構成で、水位に応じた取水口流入量信号160によって運転台数検出手段84が運転台数を決定し、予め記憶された運転順序と運転状態とに従って運転号機選択手段35が運転を起動または停止する発電機を決定して起動または停止指令信号を出力する。
【0154】
出力指令値作成部85は、図16に示すように応水制御部83によって算出された取水口流入量信号160に無駄時間を施すと共に、予め記憶された流量と実出力との特性とから運転可能出力値信号162を算出して出力する運転可能出力値生成部61と、出力指令信号105が増加方向のとき運転可能出力値信号162を上限制限値として出力指令信号105を制限すると共に、出力指令信号105が減少方向のとき運転可能出力値信号162を下限制限値として出力指令信号105を制限して実使用指令値信号165を出力する出力指令値制限処理部62と、前記実使用指令値信号165とそれぞれ発電機20の運転条件134〜136とに応じて、それぞれの発電機20の出力指令値131〜133を定める出力配分処理部86とからなる。
【0155】
自動制御部33は、起動または停止指令信号に応じて各発電機を起動または停止させる制御をする各発電機に対応してそれぞれ設けられる。
【0156】
制御部87は、自動制御部33に対応して設けられそれぞれ前記出力指令値作成部85からのそれぞれの出力指令値131〜133に実出力信号106が追従するように前記ガバナ17へ制御信号107を出力する。
【0157】
まず、応水制御部83では、図13と図14で説明した第4実施例と同様の処理がされ、運転台数検出手段84によって運転台数が決定される。次に、図13に示す運転号機選択手段35から各号機の起動・停止指令が自動制御部33へ出力される。
【0158】
これにより、必要な運転台数が確保され、また、出力指令信号105が出力指令値作成部85内へ取り込まれる。ここでは、図13および図14の応水制御部83にて算出された取水口流入量信号160を用いて無駄時間処理手段65によって水槽流入量信号161を得て出力特性処理手段66によって運転可能出力値信号162が算出される。
【0159】
出力指令値制限処理部62では、出力指令信号105が急増加したとき運転可能出力値信号162を上限値として出力指令信号105の急増を抑制する一方、出力指令信号105が急減少したとき運転可能出力値信号162を下限値として出力指令信号105の急減少を抑制する。
【0160】
次に、実使用指令値信号165が出力配分処理部86で各号機用の出力指令値131,132,133へ分配される。この出力配分処理では、各号機の運転条件134,135,136より出力配分可能な号機を選択しその台数に応じて実使用指令値信号165を配分して出力する。
【0161】
配分された各号機の出力指令値は、各号機の制御部87へ入力され、それぞれの出力指令値に実出力が追従するように制御信号107がガバナ17へ出力される。
【0162】
ここで、各号機の制御部87は各々の自動制御部33と組み合わせる例を示したが、この他に制御部87と応水制御部83と出力制御(分配含む)を一体として一括実施することもできる。
【0163】
なお、本発明では、制御部と応水制御部に設ける流量特性算出手段64を共用することにより効率的な構成が可能となり調整時間の短縮等が実現できる。
【0164】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明は、取水口水位検出信号に対応した取水口流入量信号を算出し、これに基づいて運転可能出力値信号が算出されるために実際の水槽への流量が出力指令信号に応じたものとなり、水槽の流量と水車の使用流量の差異が少なく、水槽の水位変動を招くことを回避することができる。また、出力指令信号が急に増減したとき運転可能出力値信号に出力指令信号が上限または下限に制限されるために水槽への流量と水車への使用流量との差異が急激に生じることがなく水槽の水位の変動を抑制し安定した運転をすることができる。
【0165】
請求項2の発明は、取水口水位検出信号に対応した取水口流入量信号が算出され、これに基づいて運転可能出力値信号が算出されるために実際の水槽への流量が出力指令信号に応じたものとなり、水槽の流量と水車の使用流量の差異が少なく、水槽の水位変動を招くことを回避することができ、安定した運転を継続することができる。また、ゲートの制御が途中で渋滞したとき等の場合、ゲート開度信号に応じて水槽への実際の流量に対応する運転可能な運転可能出力値信号が増減され、出力指令信号が増減したときこの運転可能出力値信号に出力指令信号が上限または下限に制限されるために水槽への流量と水車への使用流量との差異が急激に生じることがなく水槽の水位の変動を抑制することができる。また、オペレータの煩雑な対応操作も不要となる。
【0166】
請求項3の発明は、水槽の水位計からの水位検出信号の変化率に応じた流量補正値信号が水槽流入量信号に加算され、これを基に運転可能出力値信号が算出されるために取水口から水槽までの導水路の傾斜が急なために水槽の水位が急上昇しても、直ちに補正がされて実際の運転可能出力値信号を増加させることができ、結果的に水槽の水位を安定に運転することができる。
【0167】
請求項4の発明は、取水口水位検出信号に対応した水槽流入量信号が算出され、これに基づいて実使用指令値信号が算出されるために流量指令値信号が実際の水槽への流量に応じたものとなり、水槽の流量と水車の使用流量の差異が少なく、水槽の水位変動を招くことを回避することができ、また、流量指令値信号が急増減したとき水槽流入量信号に流量指令値信号が上限または下限に制限されるために水槽への流量と水車への使用流量との差異が急激に生じることがなく水槽の水位の変動を抑制して運転を継続することができる。
【0168】
請求項5の発明は、取水口水位検出信号に対応した水槽流入量信号が算出されるために実際の水槽への流量が流量指令信号に応じたものとなり、水槽の流量と水車の使用流量の差異が少なく、水槽の水位変動を招くことを回避することができる。また、流量指令値信号が急増減したとき水槽への実際の流量に対応する水槽流入量信号が増減され、流量指令値信号が増減したときこの水槽流入量信号に流量指令値信号が上限または下限に制限されるために水槽への流量と水車への使用流量との差異が急激に生じることがなく水槽の水位の変動を抑制することができる。
【0169】
請求項6の発明は、水槽の水位計からの水位検出信号の変化率に応じた流量補正値信号が水槽流入量信号に加算され、これを基に実使用指令値信号が算出されるために取水口から水槽までの導水路の傾斜が急なために水槽の水位が急上昇しても、直ちに補正がされて実使用指令値信号を増加させることができ、結果的に水槽の水位を安定に運転することができる。
【0171】
請求項の発明は、取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流量との特性に基づく実際に合致した流入量が算出され、水槽への実際の流量に応じて運転台数が決定されるため従来のように取水口基準水位によって算出される流量に基づいて運転台数が決定されるのに比べて不要な起動や停止が削減でき、安定した運転をすることができる。また、機器等の故障の原因を除去することができる。また、ゲートの制御が途中で渋滞したとき等の場合、ゲート開度信号に応じて水槽への実際の流量に対応する運転可能な運転可能出力値信号が増減され、出力指令信号が増減したときこの運転可能出力値信号に出力指令信号が上限または下限に制限されるために水槽への流量と水車への使用流量との差異が急激に生じることがなく水槽の水位の変動を抑制することができる。また、オペレータの煩雑な対応操作も不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す水力発電機の制御装置の系統図である。
【図2】図1の制御装置を示すブロック構成図である。
【図3】図1の制御装置の具体例を示す構成図である。
【図4】図1の制御装置の取水口流入量と水槽流入量と出力指令値の特性を示す説明図である。
【図5】出力値と流量との特性を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す水力発電機の制御装置の系統図である。
【図7】図6の制御装置の具体例を示す構成図である。
【図8】本発明の第3実施例を示す水力発電機の制御装置の系統図である。
【図9】図8の制御装置を示すブロック構成図である。
【図10】図8の制御装置の具体例を示す構成図である。
【図11】図8の他の制御装置の具体例を示す構成図である。
【図12】本発明の第4実施例を示す水力発電機の制御装置の系統図である。
【図13】図12の応水制御部の構成図である。
【図14】図13の運転台数検出手段の具体例を示す構成図である。
【図15】本発明の第5実施例を示す水力発電機の制御装置の系統図である。
【図16】図15の応水制御部と出力指令値作成部を示す構成図である。
【図17】第1の従来例を示す水力発電機の制御装置の系統図である。
【図18】図17の制御装置のブロック構成図である。
【図19】図17の制御装置の作用を示す説明図である。
【図20】第2の従来例を示す水力発電機の制御装置の系統図である。
【図21】図20の応水制御部を示す構成図である。
【図22】図21の運転台数検出手段を示す構成図である。
【図23】取水口からの流入量とゲート開度との関係を示す特性図である。
【図24】ゲート開度と取水口流入量と運転台数との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 取水口
2 発電所
3 制御所
4 導水路
5 水槽
7 取水口ゲート
9 ゲート制御装置
10 計算機
11,29 水位計
30,60,76,82 制御装置
31,83 応水制御部
32 水調部
33 自動制御部
34,84 運転台数検出手段
35 運転号機選択手段
61 運転可能出力値生成部
62 出力指令値制限処理部
63,87 制御部
64 流量特性算出手段
65 無駄時間処理手段
66 出力特性処理手段
67 増方向検出手段
68 減方向検出手段
69 ホールド手段
70 上限リミッタ手段
71 下限リミッタ手段
72 切替手段
73 偏差算出手段
74 不感帯設定手段
75 ゲイン設定手段
77 着水時流量増特性処理手段
78 加算手段
85 出力指令値作成部
86 出力配分処理部
89 水槽流入量算出部
90 流量指令値制限処理部
91 出力特性処理部

Claims (7)

  1. 制御所の計算機からの流量指令信号と予め記憶された取水口のゲート開度と流入量との関係を定める特性とに基づいて算出されたゲート開度目標値信号にゲート開度信号が追従するように取水口のゲート開度を制御する一方、このゲート開度制御された水が取水口から導水路を経て水槽へ流入し、この水槽から流出する水によってガイドーベンを介して水車に連結する水車発電機を回転させ発電出力させる水車発電機を制御する水車発電機の制御装置において、前記取水口に水位を検出する水位計の取水口水位検出信号と前記ゲート開度信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量特性とから取水口流入量信号を算出し、この信号に無駄時間を施すと共に、予め記憶された流量と実出力との特性とから運転可能出力値信号を算出して出力する運転可能出力値生成部と、
    出力指令信号が増加方向のとき、前記運転可能出力値信号を上限制限値とすると共に、前記出力指令信号が減少方向のとき前記運転可能出力値信号を下限制限値として制限された前記出力指令信号を実使用指令値信号として出力する出力指令値制限処理部と、
    実出力信号が前記実使用指令値信号に追従するように制御信号をガバナへ出力する制御部とを備えることを特徴とする水車発電機の制御装置。
  2. 前記運転可能出力値生成部は、前記取水口水位検出信号と前記ゲート開度信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量との特性とから取水口流入量信号を算出する流量特性算出手段と、
    前記取水口流入量信号に所定の無駄時間を施す処理をして水槽流入量信号を出力する無駄時間処理手段と、
    前記水槽流入量信号と予め記憶された流量と実出力との特性とから運転可能出力値信号を出力する出力特性処理手段を設け、
    前記出力指令値制限処理部は、増方向の出力指令信号を検出して増方向信号を出力する増方向検出手段と、
    減方向のとき減方向信号を出力する減方向検出手段と、
    前記増方向信号がONのとき指令値増モード信号をSETし、減方向検出手段がONのときRESETするホールド手段と、
    出力指令信号を運転可能出力値信号以下に制限する上限リミッタ手段と出力指令信号を運転可能値以上に制限する下限リミッタ手段と、
    指令値増モード信号がONのとき上限リミッタ手段からの信号を選択し、指令値増モード信号がOFFのとき下限リミッタ手段の信号を選択するように切替え実使用指令値信号を出力する切替手段とを設け、
    前記制御部は、実出力信号と実使用指令値信号との偏差信号を算出する偏差算出手段と、
    前記偏差信号に対して所定巾の不感帯を設定する不感帯設定手段と、
    この不感帯設定手段からの信号に所定のゲインを施して得られる前記制御信号を出力するゲイン設定手段とを設けることを特徴とする請求項1記載の水車発電機の制御装置。
  3. 前記水槽に配置される水位計からの水位検出信号を取り込み、水位検出信号の変化率に応じて流量補正値信号を算出して出力する着水時流量増特性処理手段と、前記流量補正値信号を前記水槽流入量信号に加算して前記出力特性処理手段への入力信号とする加算手段とを備えることを特徴とする請求項2記載の水車発電機の制御装置。
  4. 制御所の計算機からの流量指令信号と予め記憶された取水口のゲート開度と流入量との関係を定める特性とに基づいて算出されたゲート開度目標値信号にゲート開度信号が追従するように取水口のゲート開度を制御する一方、このゲート開度制御された水が取水口から導水路を経て水槽へ流入し、この水槽から流出する水によってガイドーベンを介して水車に連結する水車発電機を回転させ発電出力させる水車発電機を制御する水車発電機の制御装置において、前記取水口の水位を検出する水位計の取水口水位検出信号と前記ゲート開度信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量特性とから取水口流入量信号を算出し、この信号に無駄時間を施して水槽流入量信号を出力する水槽流入量算出部と、
    流量指令値信号が増加方向のとき前記水槽流入量信号を上限制限値とすると共に、前記流量指令値信号が減少方向のとき、前記水槽流入量信号を下限制限値として制限された前記流量指令値信号を出力する流量指令値制限処理部と、
    この流量指令値制限処理部からの出力信号と予め記憶された流量と実出力との特性とから実使用指令値信号を算出する出力特性処理部と、
    実出力信号が前記実使用指令値信号に追従するように制御信号をガバナへ出力する制御部とを備えることを特徴とする水車発電機の制御装置 。
  5. 前記水槽流入量算出部は、前記取水口水位検出信号と前記ゲート開度信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量と特性とから取水口流入量信号を算出する流量特性算出手段と、
    前記取水口流入量信号に所定の無駄時間を施す処理をして水槽流入量信号を出力する無駄時間処理手段とを設け、
    前記流量指令値制限処理部は、増加方向の流量指令値信号を検出して増方向信号を出力する増方向検出手段と、
    減方向のとき減方向信号を出力する減方向検出手段と、
    前記増方向信号がONのとき指令値増モード信号をSETし、減方向検出手段がONのときRESETするホールド手段と、
    流量指令値信号を水槽流入量信号以下に制限する上限リミッタ手段と、
    流量指令値信号を水槽流入量信号以上に制限する下限リミッタ手段と、
    指令値増モード信号がONのとき上限リミッタ手段からの信号を選択し、指令値増モード信号がOFFのとき下限リミッタ手段からの信号を選択するように切替えて出力する切替手段とを設け、
    制御部は、実出力信号と実使用指令値信号との偏差信号を算出する偏差算出手段と、
    前記偏差信号に対して所定巾の不感帯を設定する不感帯設定手段と、
    この不感帯設定手段からの信号に所定のゲインを施して得られる前記制御信号を出力するゲイン設定手段とを設けることを特徴とする請求項4記載の水車発電機の制御装置。
  6. 前記水槽に配置される水位計からの水位検出信号を取り込み、水位検出信号の変化率に応じて流量補正値信号を算出して出力する着水時流量増特性処理手段と、
    前記流量補正値信号を前記水槽流入量信号に加算して前記流量指令値制限処理部への入力信号とする加算手段とを備えることを特徴とする請求項4または請求項5記載の水車発電機の制御装置。
  7. 制御所の計算機からの流量指令信号と予め記憶された取水口のゲート開度と流入量との関係を定める特性とに基づいて算出されたゲート開度目標値信号にゲート開度信号が追従するように取水口のゲート開度を制御する一方、このゲート開度制御された水が取水口から導水路を経て水槽へ流入し、この水槽からガイドーベンを介して流入する水量に応じて複数有する発電機の台数と発電出力を制御する水車発電機の制御装置において、
    前記ゲート開度信号と前記取水口の水位を検出する水位計の取水口水位検出信号と予め記憶された取水口水位検出信号に対応したゲート開度と流入量特性とから水槽流入量信号を算出して、この水槽流入量信号に基づいて運転すべき台数を決定する運転台数検出手段と、
    この運転台数検出手段によって決定された台数と予め記憶された運転順序と運転状態とに従って運転を起動または停止する発電機を決定して起動または停止指令信号を出力する運転号機選択手段からなる応水制御部と、
    この応水制御部によって算出された取水口流入量信号に無駄時間を施すと共に、予め記憶された流量と実出力との特性とから運転可能出力値信号を算出して出力する運転可能出力値生成部と、
    出力指令信号が増加方向のとき前記運転可能出力値信号を上限制限値とすると共に、前記出力指令信号が減少方向のとき前記運転可能出力値信号を下限制限値として制限された出力指令信号を実使用指令値信号として出力する出力指令値制限処理部と、
    前記実使用指令値信号とそれぞれの発電機の運転条件とに応じて、それぞれの発電機の出力指令値を定める出力配分処理部とからなる出力指令値作成部と、起動または停止指令信号に応じて各発電機を起動または停止させる制御をする各発電機に対応してそれぞれ設けられる自動制御部と、これら自動制御部に対応して設けられそれぞれ前記出力指令値作成部からのそれぞれの出力指令値に実出力信号が追従するようにガバナへ制御信号を出力する制御部とを備えることを特徴とする水車発電機の制御装置。
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