JP3670780B2 - ポンプ流量制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電プラントの給水ポンプ等に適用されるポンプ流量制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般のポンプは、回転数を一定とした場合、流量と揚程の間に図3(a)に示す関係があり、揚程を一定とした場合、回転数と流量の間に図3(b)に示す関係がある。
【0003】
ポンプの出口圧力は、流体を供給する下流側で決定され、入口圧力が上流側の条件でほぼ決定されることが多いため、ポンプ揚程は一定の状態として流量制御を行うことが多い。
【0004】
ポンプ回転数によりポンプ流量を制御しようとした場合、図3(b)中の点Aと点Bを比較すると判るように、低流量側になるほど、回転数変化に対する流量変化量が大きくなるため、低流量域においてポンプ流量をポンプ回転数のみで制御することは不可能である(ここでいう低流量域とは、一般的に、ポンプ容量の約30%以下の流量の領域である)。
【0005】
このため、従来のポンプの流量制御においては、図4に示すようにポンプ1の出口に流量調節弁2を設置し、低流量域では、このポンプ出口流量調節弁2によりポンプ流量を制御し、ポンプ回転数は流量調節弁2の出入口の差圧を制御するために用いる方式が一般的であった。
【0006】
ここで、ポンプ1の出口は、高流量時に使用するポンプ出口弁(通常電動のON/OFF弁:全開と全閉のどちらかしかない弁であり、中間開度で使用しない弁)3のライン及び低流量時のみ使用する流量調節弁2のラインに分岐するが、ポンプ出口弁3の出口と流量調節弁2の出口で再び合流してある系(例えばボイラ)に流体を供給するものである。
【0007】
このポンプ1の出口には流量発信器5が設置され、流量調節弁2の出入口の間には差圧発信器(高圧の場合、圧力発信器を入口と出口に2台設置し、その差から差圧を算出するのが通例)4が設置されており、流量設定値6に流量発信器5の出力が一致するように制御系が構成されている。また、この制御系は、流量調節弁開度が所定値以下か以上かにより切替器10,13,16が切り替わり、制御方式が切り替わるものである。
【0008】
上記において、低流量域のときは、ポンプ出口弁3は全閉としており、流量設定値6と流量発信器5の出力は減算器7へ入力され、減算器7の出力は比例積分演算器8へ入力されて、比例積分演算器8の出力により流量調節弁2の開度が決定される。
【0009】
一方、このとき、差圧発信器4の出力と差圧設定値11の出力は減算器12へ入力され、減算器12の出力は比例積分演算器14を介して回転数制御装置15へ入力され、回転数制御装置15はポンプ回転数を制御することにより、流量調節弁2の出入口の差圧制御を行う(タービン駆動の場合、タービンガバナ弁、流体継手設置の場合、すくい管位置、可変電圧・可変周波数インバータ使用の場合、電圧・周波数指令などにより制御される)。
【0010】
次に、高流量域のときは、ポンプ出口弁3が全開、流量調節弁2が全閉となり、減算器7の出力は比例積分演算器14を介して回転数制御装置15へ入力され、回転数制御装置15はポンプ回転数を制御することにより、ポンプ流量を制御する。
【0011】
このように制御方式の切り替えを行う理由は、流量調節弁2のラインについて高流量時を考慮しない小容量設計とすることにより、経済的な設備とするためである。
【0012】
なお、低流量域でのポンプ1の加熱防止を目的とした再循環流量制御については、本発明と直接関係がないため、その説明と図3及び図4への表示を割愛している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来のポンプ流量の制御方法においては、前記のように2つの制御方式を切り替えることにより行われていた。そのため制御系が複雑化しており、設計・製作・検証・調整の時間がかかるという課題があった。
【0014】
また、火力発電プラントでは、給水設備とポンプ回転数制御はタービン側、給水制御はボイラ側となることが多く、木目細かい制御の実現のためには、従来の制御方式では限界があった。
本発明は、上記の課題を解決しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係るポンプ流量制御方法は、その出口側にポンプ出口弁とポンプ出口流量調節弁が並列接続されたポンプにおいて、ポンプの回転数については、常時、減算器及び比例積分演算器にて流量設定値と実流量の偏差にもとづく比例積分制御を行い、流量設定値が低流量域の場合には、流量設定値に基づきヒステリシス高低モニタによりポンプ出口弁は全閉とし、ポンプ出口流量調節弁はその開度を流量設定値の増減によりヒステリシスを形成して増減させる関数発生器により制御し、流量設定値が高流量域の場合には、流量設定値に基づきヒステリシス高低モニタによりポンプ出口弁及びポンプ出口流量調節弁を全開とすることを特徴としている。
【0016】
上記において、ボイラ負荷等により変動する流量設定値が高流量域の場合は、ポンプ出口弁及びポンプ出口流量調節弁は全開となっており、ポンプ出口の流量は流量設定値と一致するように、減算器及び比例積分演算器にてポンプの回転数制御により制御される。
【0017】
上記流量設定値が低流量域の場合は、ポンプ出口の流量は、流量設定値が高流量域の場合と同様に流量設定値と一致するように、減算器及び比例積分演算器にてポンプの回転数制御により制御されると共に、ポンプ出口弁は全閉となり、ポンプ出口流量調節弁の開度が設定流量の増減により増減させる関数発生器により制御されるが、この調節弁は圧損発生器として作用するため、低流量域におけるポンプ回転数の増減に対するポンプ流量の増減はゆるやかとなり、ポンプ流量を全流量域にわたってポンプの回転数制御により制御することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態に係る火力発電プラントにおけるタービン駆動給水ポンプに適用されるポンプ流量制御装置について、図1及び図2により説明する。
【0019】
図1に示す本実施形態に係るポンプ流量制御装置は、その出口側にポンプ出口流量調節弁2とポンプ出口弁3が並列接続されたタービン駆動給水ポンプ1において、上記ポンプ出口弁3のモータに接続された切替器16、上記ポンプ出口流量調節弁2に接続された切替器19、同切替器19に接続され流量設定値6が入力される関数発生器17、上記タービン駆動給水ポンプ1の出口に設けられた流量発信器5が出力する流量信号と上記流量設定値6を入力する減算器7、同減算器7の出力信号を比例積分演算器14を介して入力し上記タービン駆動給水ポンプ1の回転数を制御する回転数制御装置15、および、上記流量設定値6を入力して切替器16,19の切替を行うヒステリシス高低モニタ20を備えている。
【0020】
上記において、流量発信器5の出力信号とボイラ負荷により変動する流量設定値6を入力した減算器7の出力信号を比例積分演算器14を介して入力した回転数制御装置15は、タービン駆動給水ポンプ1の回転数を常時制御して、流量発信器5により検出されるポンプ出口の流量が流量設定値6と一致するものとする。
【0021】
また、ヒステリシス高低モニタ20は、流量設定値6が低流量域から増加して所定値αt/hとなったとき、切替器16,19をそれぞれ全開位置としてポンプ出口弁3及びポンプ出口流量調節弁2を全開とし、流量設定値6が高流量域から減少して所定値βt/hとなったとき、切替器16を全閉位置、切替器19を関数発生器17への接続位置として、ポンプ出口弁3を全閉、ポンプ出口流量調節弁2は関数発生器19に接続された状態とする。なお、上記αとβとの間には、α>βの関係があり、βはポンプ容量の1/4〜1/3程度である。
【0022】
上記流量設定値6が低流量域にある間は、ポンプ出口弁3は全閉であり、ポンプ出口流量調節弁2は関数発生器17に接続され、これにより開度が制御されるが、流量設定値6が増加してαt/h以上になると、ヒステリシス高低モニタ20が切替器16,19を切替え、ポンプ出口弁3及びポンプ出口流量調節弁2をそれぞれ全開とし、この状態でタービン駆動給水ポンプ1の回転数制御による流量制御が行われる。
【0023】
上記流量設定値6が高流量域から減少してβt/h以下になると、ヒステリシス高低モニタ20により切替器16,19が切替わり、上記の流量設定値が低流量域にあった間の状態に戻り、ポンプ出口弁3は全閉となり、ポンプ出口流量調節弁2は関数発生器17に接続されてこれにより開度が制御され、タービン駆動給水ポンプ1の回転数制御による流量制御が行われる。
【0024】
上記ポンプ出口流量調節弁2の開度制御を行う関数発生器17は、このポンプ出口流量調節弁2の開度が、図2(a)に示すようにポンプ出口流量調節弁2の圧損が一定値γkg/cm2のラインを中心として開方向と閉方向でヒステリシスを描くような関数を発生させるものである。
【0025】
そのため、図2(a)における調節弁開度がA%とB%の場合、ポンプ流量とポンプ揚程の関係は、図2(b)に示すものとなり、ポンプ回転数とポンプ流量の関係は、図2(c)に示すものとなる。従って、低流量域においても、ポンプ回転数に対するポンプ流量の変化はゆるやかとなり、ポンプ回転数を制御することにより、ポンプ流量を制御することが可能となる。
【0026】
即ち、本実施形態は、ポンプ出口流量調節弁2を圧損発生器として利用することにより、ポンプ回転数制御によるポンプ流量制御を可能としたものということができる。
【0027】
本実施形態の制御装置が適用される火力発電プラントは、100%容量のタービン駆動給水ポンプ1台、30%容量の電動給水ポンプ1台(流体継手なし)を有するプラントであるが、起動時はタービン駆動給水ポンプを使用するための蒸気源がないため、電動給水ポンプにて約25%負荷まで給水する。
【0028】
その後、タービン駆動給水ポンプを起動してポンプを切替え、以後はタービン駆動給水ポンプ1台により最低負荷15%負荷から100%負荷まで賄い、停止時には、約25%負荷にて、タービン駆動給水ポンプより電動給水ポンプへ切替える運用となっている。
【0029】
上記制御装置を適用したことにより、電動→タービン駆動給水ポンプ切替、タービン駆動給水ポンプによる最低負荷〜全負荷の給水制御、タービン駆動→電動給水ポンプ切替等、全ての局面において、良好な結果を得ており、本実施形態に係る制御装置の有用性は実証されている。
【0030】
【発明の効果】
本発明のポンプ流量制御方法は、その出口側にポンプ出口弁とポンプ出口流量調節弁が並列接続されたポンプにおいて、ポンプの回転数については、常時、減算器及び比例積分演算器にて流量設定値と実流量の偏差にもとづく比例積分制御を行い、流量設定値が低流量域の場合には、流量設定値に基づきヒステリシス高低モニタによりポンプ出口弁は全閉とし、ポンプ出口流量調節弁はその開度を流量設定値の増減によりヒステリシスを形成して増減させる関数発生器により制御し、流量設定値が高流量域の場合には、流量設定値に基づきヒステリシス高低モニタによりポンプ出口弁及びポンプ出口流量調節弁を全開するものとしたことによって、ポンプ流量は全流量域にわたってポンプ回転数で制御することができるものとなり、制御システムが単純化され、設計・製造におけるコスト低減が可能で、信頼性の高い制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るポンプ流量制御装置の説明図である。
【図2】上記一実施形態に係る各種特性図で、(a)はポンプ流量設定値と調節弁開度の関係、(b)はポンプ流量とポンプ揚程の関係、(c)はポンプ回転数とポンプ流量の関係を示す特性図である。
【図3】一般のポンプの特性図で、(a)はポンプ流量とポンプ揚程の関係、(b)はポンプ回転数とポンプ流量の関係を示す特性図である。
【図4】従来のポンプ流量制御装置の説明図である。
【符号の説明】
1 タービン駆動給水ポンプ
2 ポンプ出口流量調節弁
3 ポンプ出口弁
5 流量発信器
6 流量設定値
7 減算器
14 比例積分演算器
15 回転数制御装置
16 切替器
17 関数発生器
19 切替器
20 ヒステリシス高低モニタ
Claims (1)
- その出口側にポンプ出口弁とポンプ出口流量調節弁が並列接続されたポンプにおいて、該ポンプの回転数については、常時、減算器及び比例積分演算器にて流量設定値と実流量の偏差にもとづく比例積分制御を行い、前記流量設定値が低流量域の場合には、前記流量設定値に基づきヒステリシス高低モニタにより前記ポンプ出口弁は全閉とし、前記ポンプ出口流量調節弁はその開度を前記流量設定値の増減によりヒステリシスを形成して増減させる関数発生器により制御し、前記流量設定値が高流量域の場合には、前記流量設定値に基づきヒステリシス高低モニタにより前記ポンプ出口弁及び前記ポンプ出口流量調節弁を全開とすることを特徴とするポンプ流量制御方法。
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JP32396496A JP3670780B2 (ja) | 1996-12-04 | 1996-12-04 | ポンプ流量制御方法 |
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JP32396496A JP3670780B2 (ja) | 1996-12-04 | 1996-12-04 | ポンプ流量制御方法 |
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JPH10159747A JPH10159747A (ja) | 1998-06-16 |
JP3670780B2 true JP3670780B2 (ja) | 2005-07-13 |
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- 1996-12-04 JP JP32396496A patent/JP3670780B2/ja not_active Expired - Fee Related
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