JP3544541B2 - 堆肥切断攪拌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は牛糞、豚糞、鶏糞などの家畜の糞や生ゴミなどの生物系の廃棄物を発酵させて堆肥を作る際に、堆肥を攪拌するための堆肥切断攪拌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
堆肥は野積みが禁止されて、屋根のある室内に収容することが義務づけられている。このため、家畜の糞とか廃棄物等(以下これらをまとめて「堆肥材料」という)を堆肥にする場合も、屋根のある室内で作られる。堆積された堆肥(堆肥になる前は堆肥材料であるが、説明の便宜上、堆肥材料も堆肥という)を発酵させる必要がある。堆肥を発酵させるためには好気的な条件が必要であるが、堆肥を積んだままでは堆肥の内部が空気不足になって十分に発酵しない。また、十分に発酵させるには堆肥が高温であることが望ましい。
【0003】
従来は、堆肥を攪拌して堆肥内に空気を十分供給できるようにした堆肥攪拌装置が開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これら堆肥攪拌装置は、堆肥攪拌機が回転しながら前後レールに沿って堆肥場(室)の前後方向に往復移動し、前後レールがガイドレールに沿って横移動することにより、堆肥室に堆積されている堆肥全体を攪拌するものである。前記したガイドレールは二本一対となっており、そのうちの一本は堆肥室(ハウス)内の出入り口側上方に、他の一本は堆肥室内の奥上方に同じ高さで平行に設けられている。
【0004】
【特許文献1】
登録実用新案第3051114号公報
【特許文献2】
特開2000−281471号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術では、二本一対のガイドレールが同じ高さに平行に設けられているため、図11のように堆肥室の屋根Aが傾斜して、堆肥室の出入り口B側が低く、奥C側が高くなっている場合は、二本一対のガイドレールD、Eが出入り口B側の高さを基準として平行に配置される。このため、堆肥を積んで堆肥室内に出入りするダンプカーやトラック等の車両Kが、出入り口B側の低い位置のガイドレールDに衝突しないようにするためには、堆肥室内に出入りする車両Kを小さくしなければならず、堆肥の搬出入に大型車両を使用することができず作業能率が悪い。また、通常は、堆肥室内でショベルカーを走行させて堆肥を堆肥室の奥上方まで積み上げるが、出入り口B側のガイドレールDの位置が低いと、堆肥室内に背の高い大型のショベルカーを入れることができず、堆肥を堆肥室の奥上方まで積み上げることができない。このため、堆肥室内に無駄な空間が生じて堆肥室内を有効利用できないという課題もある。小さい車両を使用しても、荷台の前側を上げて後方に傾けて堆肥を降ろすときに、荷台がガイドイドレールに当たってしまう虞もあった。
【0006】
前記課題を解決するためには一対のガイドレールD、Eを共に堆肥室内の高い位置に設置し、両ガイドレールD、Eに前後レールFを取付けることも考えられるが、屋根Aが傾斜している場合はそのようにすることができない。屋根Aが傾斜していない場合は両方のガイドレールD、Eを高い位置に設置することができるが、そのようにすると前後レールFの位置も高くなるため、堆肥内に差し込んで回転させる回転シャフトJを長くしないと堆肥の下部を攪拌することができない。回転シャフトJを長くすると、攪拌時に回転シャフトJに掛かる負荷が大きくなるため、回転シャフトJの円滑な回転や移動が困難になる。また、回転シャフトJに太いものとか、強度に優れたものを使用しなければならず高価になる。更には、回転シャフトJを回転させるモータに大馬力のものを使用しなければならず、モータが大型、高価になる、といった各種課題が発生する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、ガイドレールが、堆肥場内へ入る搬入車両及び作業車両の邪魔になることがなく、攪拌作業を円滑に、効率良く行うことのできる堆肥切断攪拌装置を提供することにある。
【0008】
本件出願の堆肥切断攪拌装置は、堆肥室内の左右方向に設けられた一対のガイドレールと、一対のガイドレール間に設けられた前後レールと、前後レールをガイドレールに沿って左右に往復移動させる横移動体と、堆肥室の堆肥を切断攪拌する切断攪拌機と、切断攪拌機を前後レールに沿って前後に往復移動させる前後移動体と、切断攪拌機を堆肥内で回転させる回転駆動体を備え、切断攪拌機は前後レールが横移動体によりガイドレールに沿って横移動すると堆肥内を横移動し、前後移動体が前後レールに沿って前後移動すると堆肥内を前後移動し、切断攪拌機は堆肥内に縦向きに差し込まれて回転する回転シャフトの外周の軸方向に螺旋状の攪拌翼が取付けられ、回転シャフトに高圧空気が通る空気通路が設けられ、螺旋状の攪拌翼の外周縁に堆肥切断空気噴出口と堆肥切断刃とが形成され、空気通路から供給される堆肥切断用の高圧空気は堆肥を切断できる高圧空気であり、その高圧空気は堆肥切断空気噴出口から側方に噴出されて堆肥を切断し、その堆肥は堆肥切断刃によっても切断され、前記一対のガイドレールは出入り口側が奥よりも高い堆肥室内の出入り口側と奥側とに横方向に設け、出入り口側のガイドレールは出入り口の上部よりも高い位置に設け、奥のガイドレールは出入り口側のガイドレールよりは低いが堆肥室の奥の上部寄りの位置に設けて両ガイドレールを段違いの平行にし、前記前後レールは奥側をガ イドレールに設け、出入り口側を出入り口側のガイドレールに吊り下げて奥側と出入り口側を水平にしたものである。
【0009】
【0010】
本件出願の堆肥切断攪拌装置では、前記堆肥切断攪拌装置において、気体噴出口に送る高圧気体を高温(熱風)にする加熱器を備えることができる。
【0011】
本件出願の堆肥切断攪拌装置では、前記堆肥切断攪拌装置において、堆肥から発生した発酵ガスを吸引して堆肥内に戻す発酵ガス吸引戻し装置を備えることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の堆肥攪拌装置の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。この堆肥攪拌装置は図5のように堆積された堆肥Z内で切断攪拌機1の回転シャフト2を矢印A方向(時計回転方向)に回転させて堆肥Zを攪拌翼3により攪拌する。このとき、堆肥Zを攪拌翼3に設けた切断刃4により切断するか、攪拌翼3に設けた高圧気体噴出口11から噴出される高圧気体Hにより切断するか、噴出される高圧気体Hと切断刃4との双方により切断するようにしてある。また、回転シャフト2を回転させながら切断攪拌機1を前後レール6に沿って前後(矢印B又はC方向)に移動させて、切断攪拌機1により前後移動体5の下の堆肥全体を攪拌する。その切断攪拌が終了したら切断攪拌機1をガイドレール8に沿って矢印D又はE方向に横移動させて先に切断攪拌した箇所の横に停止させ、その位置で、先に切断攪拌した箇所の横の堆肥Zを切断攪拌する。この繰り返しにより切断攪拌機1を図4の仮想線の矢印方向に蛇行させて堆肥室内の堆肥全体を切断攪拌するようにしてある。
【0013】
図1のガイドレール8は堆肥室内の出入り口40側と奥41側とに設けられている。この二本のガイドレール8は、出入り口40側のガイドレール8を堆肥室の奥41のガイドレールよりも高くして、一対のガイドレールを段違いの平行に設けてある。高い段のガイドレール8の高さは、大型トラックやショベルカー等の車両Kが通過及び作業可能な程度の高さにしてある。また、高い段のガイドレール8が堆肥場の出入り口40よりも上方に位置するように設置されている。このようにすることにより、大型トラックが高い段のガイドレール8の下を通過して堆肥室内に出入りしたり、堆肥室内でショベルカーが堆肥を移動させたりすることができる。
【0014】
図2のように前後レール6は一対のガイドレール8の間に設けてある。前後レール6の後端部44は堆肥室の奥41の低い段のガイドレール8の上の横移動体7に搭載され、前後レール6の前端部45は連結具46に連結され、連結具46の上部47が堆肥室の出入り口40側のガイドレール8の上の横移動体7に搭載されて、垂直に吊り下げられている。この場合、前後レール6の前端部45と後端部44とは同じ高さ(低い段のガイドレールとほぼ同じ高さ)にして、前後レール6を水平にしてある。また、前後レール6は両横移動体7の横移動に伴って横移動できるようにしてある。
【0015】
前後レール6にはそれに沿って前後に往復移動可能な前後移動体5が設けられ、その前後移動体5に切断攪拌機1が下方に突出するように取付けられて、切断攪拌機1は前後移動体5の移動に伴って前後レール6に沿って前後移動するようにしてある。
【0016】
図1、図2では堆肥室の出入り口40側のガイドレール8と奥41側のガイドレール8とを段違いに設けたが、本発明では図3のように出入り口40側のガイドレール8と奥41側のガイドレール8とを共に出入り口40側より高くして、両ガイドレール8に前後レール6を連結具46で水平に吊り下げることもできる。
【0017】
前記した切断攪拌機1の回転シャフト2にはパイプが使用されている。回転シャフト2の外周には回転シャフト2の軸方向に沿って螺旋状の攪拌翼3が取付けられている。回転シャフト2と攪拌翼3は共に金属製であり、攪拌翼3は溶接とかビス止めといった方法で回転シャフト2に固定されている。攪拌翼3の外周縁には図7〜図9のように高圧気体噴出口11が開口され、高圧気体噴出口11が回転シャフト2の内部空間(気体通路)9(図7a)に連通されている。気体通路9は前後移動体5に搭載されている気体供給装置(例えば、コンプレッサ)12(図5)に連結されて、それから気体通路9(図7a)に送られる高圧気体(例えば、空気とか発酵に適したガス)が高圧気体噴出口11から噴出されるようにしてある。
【0018】
図7(a)のように攪拌翼3の外周縁には金属製の刃物13が180°間隔で取付けられている。刃物13は回転方向に流線形の先細りの形状になっており、その外周縁に切断刃4が形成され、内部に中空室14が形成され、その外側に気体噴出口11が形成されている。中空室14は連通路15により回転シャフト2の内部の気体通路9と連通されて、気体供給装置12から気体通路9に供給された高圧気体が中空室14を通って高圧気体噴出口11から外部に噴出されるようにしてある。
【0019】
高圧気体噴出口11には誘引タイプのノズル、例えば、フローゲインノズル(虹技株式会社取扱い製品)をねじ込みや溶接などで取付けたり、高圧気体噴出口11そのものを誘引タイプのノズルと同じ構造にすることもできる。フローゲインノズルは図7(b)に示すようにノズル11aの根元側周面11bに噴出口が形成されており、その噴出口から気体が噴出されるとノズル11aの周囲の気体(二次空気)が誘引されて(巻き込まれて)、噴出口から噴出される気体と共にノズル11aの先端側に噴出されるようにしたものである。ノズル11aは根元側に設けられている回転体11cを回転させると噴出口からの気体の噴射量を調節することができるようにしてある。噴出量の調節に便利なようにメモリ11dも表示されている。ノズル11aを使用することにより、二次空気が巻き込まれる分だけ気体の流量が多くなり、30〜50%の流量増が得られるため、堆肥の粉砕効率が向上する。また、大幅な省エネ効果が得られるためコンプレッサを小型化することも可能となる。
【0020】
攪拌翼3への刃物13の取り付けはネジとかビス等の固定具を用いたり、溶接したりして行う。刃物13は図8のように攪拌翼3の先端側を上下から挟んで取り付けたり、図9のように攪拌翼3の先端側の下に重ねて取り付けたりすることができる。刃物13は攪拌翼3の上に取り付けることもできる。刃物13は攪拌翼3の外周縁に120°間隔、90°間隔といった所望の間隔で取付けることもできる。
【0021】
切断攪拌機1を前記構造とすることにより、回転シャフト2を回転させると攪拌翼3の切断刃4により堆肥Zが切断されながら攪拌されると同時に、気体供給装置12から気体通路9に供給されて高圧気体噴出口11から噴出される高圧気体によっても堆肥が切断される。同時に、堆肥内に高温の高圧気体が供給される。
【0022】
図示した攪拌翼3は螺旋状であるが、攪拌翼3はそれ以外の形状であってもよい。例えば、円盤状とし、それを回転シャフト2の長手方向に間隔をあけて取付けることができる。攪拌翼3を螺旋状や円盤状にしたときは高圧気体噴出口11をそれらの先端に開口することができる。また、切断刃4もそれらの外周縁や先端に形成することができる。いずれにしても、高圧気体噴出口11と切断刃4の形状や構造、形成する箇所等は前述のものに限定されることなく任意に設計することができる。気体通路9は回転シャフト2の内部空間と兼用にするのではなく、回転シャフト2とは別に高圧気体を送るための専用のパイプやホースを用意し、それを回転シャフト2に沿って配管し、それを高圧気体噴出口11に連通させることもできる。
【0023】
切断攪拌機1は図6に示すように回転シャフト2の上部に設けたスプロケット21と、回転駆動体(例えば、モータ)22の駆動スプロケット23とにチェーン24を掛けて、回転駆動体22の回転により駆動スプロケット23が回転されると、回転シャフト2のスプロケット21が回転され、回転シャフト2が回転されるようにしてある。
【0024】
本発明では気体噴出口11(図7a〜図9)に送る高圧気体を高温(熱風)とすることができる。このため、図10のように回転シャフト2内の気体通路9に加熱器(例えば、ヒータ)20を設けて、気体供給装置12から気体通路9に圧送されてくる高圧気体が加熱されて熱風となるようにしてある。ヒータには例えば、空気加熱ネジ込みシェル型ヒーターSGA型(日本ヒーター株式会社の商品名)を使用することができる。本発明では気体供給装置12から送り出される高圧気体をヒータで加熱するのではなく、気体供給装置12から高熱の高圧気体を送り出すようにすることもできる。この場合、例えば気体供給装置12に高圧コンプレッサーを使用し、その気体圧縮により発生する高温気体(約100℃)をそのまま送り出すようにすることもできる。高圧気体を熱風にすると堆肥の発酵が促進する。また、発酵している堆肥Zから発生する種々のガス(以下「発酵ガス」という)を発酵ガス吸引戻し装置により吸引して堆肥中に戻すこともできる。
【0025】
発酵している堆肥からは発酵ガスG(図10)が発生する。本発明ではその発酵ガスGを吸引して堆肥Z内に戻すための吸引戻し装置を設けてある。吸引戻し装置は図10のように堆肥Zから発生する発酵ガス(臭気)Gを吸引する吸引器31、吸引器31から吸引された発酵ガスを回転シャフト2内の気体通路9に送り込む連通路32と、連通路32を開閉するバルブ33とを備えている。バルブ33は電磁開閉式のものでも、手動開閉式のものでもよい。吸引器31は下方広がりで、底面開口のフード状に形成され、底面開口部を発酵ガスGを吸引する吸引口34とし、吸引口34を下向きにして堆肥Zに対向させてある。吸引戻し装置の連通路32が気体通路9と合流する箇所には合流器35が備えられている。合流器35には例えばジェクター(株式会社日本ジェクターの商品名)を使用するのが適する。
【0026】
前記吸引戻し装置の動作は次のようになる。図10のバルブ33を開いて高圧気体供給装置12により気体通路9に高圧空気を供給すると連通路32内が減圧され、堆肥から発生する発酵ガスGが吸引口34から吸引器31内に吸引されて連通路32に流れ、そこから気体通路9に送り込まれて気体通路9内を流れる高圧気体Hと合流し、加熱器20で加熱されて攪拌翼3の高圧気体噴出口11に送られ、そこから噴出されて堆肥Zを切断すると同時に堆肥Z中に戻される。バルブ33を閉じておけば堆肥Zから発生する発酵ガスGは吸引口34から吸引されない。また、発酵ガスを堆肥内に戻すときは、発酵ガスの量が1に対して外部空気の量は5、即ち、1:5が良いとされているので、バルブ33の開閉量を調節してその比率になるようにするのが望ましい。本発明では連通路32にブロワーを設けて、ブロワーを作動させることによって、連通路32から発酵ガスGを強制的に吸引して気体通路9に送ることもできる。
【0027】
(使用例)
本発明の堆肥攪拌切断装置を使用して堆肥を攪拌するには、図6のように堆肥Z内に差し込んである回転シャフト2を回転駆動体22により回転させて攪拌翼3を回転させ、気体供給装置12から気体通路9に高圧気体を供給すると、高圧気体は回転シャフト2内の加熱器20により加熱され、高温高圧気体(高圧の熱風)となって攪拌翼3の高圧気体噴出口11から噴出され、噴出される高圧気体により堆肥が切断されてほぐされ、堆肥内に空気が供給されて堆肥内が好気状態となって発酵し易くなる。また、高圧空気が熱風であるため堆肥が高温となって一層発酵し易くなる。同時に堆肥Zは攪拌翼3に形成された切断刃4によってもカットされたり、ほぐされたりするため、固まっていた堆肥がほぐれて空気が入り易くなり、発酵し易くなる。攪拌翼3が回転シャフト2の長手方向(上下方向)に連続する螺旋状の場合は、攪拌翼3の回転によって堆肥が下方から上方に送り上げられて攪拌され、下方にあった堆肥が外気表面に送り出されて外気に触れて発酵し易くなる。
【0028】
気体供給装置12から気体通路9に高圧気体を供給するときにバルブ33を開けておけば、連通路32内が減圧されて、堆肥から発生した発酵ガスGが吸引口34(図10)から吸引されて連通路32内に流れこみ、前記高圧気体に流合して高圧気体と共に攪拌翼3の高圧気体噴出口11から噴出されて堆肥内に戻される。このため大気中(堆肥室内)へ飛散する発酵ガスの量が減少し、発酵ガスの悪臭が軽減される。更に、堆肥に戻される発酵ガスは発酵熱により高温のため発酵が促進され、特に冬期の発酵に有効である。
【0029】
前記高圧気体の圧力は堆肥の種類、堆積厚、発酵状態等に合わせて任意に選択することができるが、例えば10〜15kg/cm2程度とすることができる。前記加熱温度も堆肥の発酵状態等に合わせて任意に選択することができ、例えば60度程度にすると発酵促進に適する。
【0030】
本発明の堆肥攪拌装置を使用する場合、図6に示す切断攪拌機1を回転させて堆肥を攪拌しながら、図4の仮想線の矢印方向に移動させて堆肥全般を切断攪拌する。この場合、図2に示す前後移動体5を前後レール6に沿って堆肥場の前後方向に移動させる。この移動により前後レール6の下の堆肥全体を攪拌することができる。前後移動体5の前後移動は連続移動でも間欠移動でもよい。前後レール6の下の堆肥の攪拌が終了したら、横移動体7をガイドレール8に沿って横移動させて、ガイドレール8の上に搭載されている前後レール6及びそれに装備されている前後移動体5を横移動させ、これにより切断攪拌機1を横移動させ、所望位置で停止させる。停止したら前回と同様に切断攪拌機1を回転させて堆肥を攪拌し、前後移動体5を前後レール6に沿って前後移動させて前後レール6の下の堆肥全体を攪拌する。以後、横移動体7の横移動、それに伴う前後レール6及び前後移動体5の横移動と停止、停止場所での切断攪拌機1の回転及び切断攪拌機1の前後移動を行って堆肥室内の堆肥全体を攪拌する。横移動体7の横移動の繰り返しにより前後移動台車5及び前後レール6がガイドレール8の左右いずれかの端まで移動したら、横移動体7を逆方向に横移動させて前後レール6及び前後移動体5を逆方向に横移動させ、その繰り返しにより前後レール6及び前後移動体5を堆肥室内で横方向に往復移動させ、堆肥室内の堆肥全体を繰り返し攪拌する。
【0031】
横移動体7の横移動距離は任意に決定することができる。例えば、二本の前後レール6間の幅と同じ幅(距離)ずつ移動させたり、その幅の2倍、3倍といった距離(数倍の距離)ずつ移動させたりすることができる。前者のように移動させた場合は横移動体7をガイドレール8の左右いずれか一方の端から他方の端まで移動させることにより、堆肥室内の堆肥全体を漏れなく攪拌することができる。後者のように移動させた場合は、横移動体7を横レール8の左右いずれかの端から他方の端まで移動させただけでは堆肥Zに攪拌されない箇所が生ずるため、横移動体7を往復移動させるときに、横移動体7を先に攪拌されなかった箇所に停止させ、その停止箇所で堆肥を攪拌すれば堆肥室内全体の堆肥を漏れなく攪拌することができる。
【0032】
切断攪拌機1の横移動及び前後移動の順序は前記以外の順序でもよく、要は堆肥全般を攪拌することができる移動であればどのような順序でもよい。切断攪拌機1の前後移動速度は毎分30〜50cm程度が、切断攪拌機1の回転速度は毎分20回転程度が適するが、これ以外の移動速度でも、回転速度でもよい。堆肥切断攪拌装置による高圧高温気体の供給は1週間に1回程度行うと堆肥全体に空気を十分に供給することができ、十分に発酵させることができるが、これも堆肥の種類、切断攪拌機1の攪拌能力、高圧気体噴出口11からの気体噴出量、堆肥場内の悪臭の度合い等によって任意に選択することができる。また、堆肥切断攪拌装置は自動制御で24時間自動運転させることもできる。前後移動体5及び横移動体7の移動、回転シャフト2の回転といった各種動作は堆肥室の内又は外に設けた制御盤(図示しない)の操作によっても、リモコン操作によっても行うことができ、コンピューターで自動的に操作することもできる。
【0033】
本発明の堆肥切断攪拌装置を備えた堆肥場に作業用の車両が出入りする際に、堆肥場の出入り口40の前に前後レール6が停止している場合は、横移動体7を移動させて前後レール6を堆肥室の出入り口40の横に移動させて、出入り口40から車両が出入りできるようにする。この場合、出入り口40側のガイドレール8が出入り口40よりも高い位置に設置されているため、ガイドレール8が車両の出入りの邪魔になることはない。
【0034】
本発明の堆肥攪拌切断装置を使用する場合、高圧気体噴出口11から気体を噴出するだけでなく、堆肥場の床のピット内に配置したパイプの空気穴から空気を噴出することもできる。
【0035】
図10では加熱器20は回転シャフト2内に配置されているが、加熱器20の設置位置はこれに限定されず、例えば、回転シャフト2の外部に配置することもできる。図7(a)では気体通路9を回転シャフト2の内部空間と兼用にしてあるが、気体通路9は回転シャフト2の内部空間とは別に形成することもできる。
【0036】
【発明の効果】
本件出願の請求項1の堆肥切断攪拌装置は次のような効果がある。
(1)堆肥室の出入り口側のガイドレールを、奥のガイドレールよりも高くして、奥のガイドレールと段違いに設けたので、堆肥室の出入り口側の高さスペースを広く確保することができ、ガイドレールが堆肥搬出入のために堆肥室に出入りする車両の邪魔にならず、車両が堆肥室内に出入りし易くなる。また、堆肥室内で堆肥の移動作業や堆積作業をする車両の邪魔にならず、堆肥室内での作業がし易くなり、作業能率も向上し、堆肥室内を有効活用することもできる。
(2)堆肥室の出入り口が低い場合でも、出入り口側のガイドレールを出入り口よりも高い位置に配置して、出入り口を広く使用することができる。
(3)堆肥室の出入り口側が高くても奥側が低い場合は、ガイドレールの設置位置を低い奥側に合わせて設置しなければならず、出入り口側のガイドレールも奥のガイドレールに合わせて低くしなければならなかったが、本発明によれば、出入り口側のガイドレールを奥のガイドレールよりも高く設置できるので、奥の低い堆肥室であっても、出入り口側のガイドレールが車両の出入りや作業の邪魔にならず、大型の車両が出入りでき、堆肥室内で作業することもでき、堆肥室を有効活用することができる。
(4)堆肥室の出入り口側のガイドレールを奥のガイドレールより高くしても、前後レールを高い位置のガイドレールに吊り下げるので、前後レールは高い位置のガイドレールよりは低くなる。このため、前後レールに取付ける回転シャフトを格別長くしなくとも、堆肥の底まで攪拌でき、回転シャフトを長くする場合の問題が発生しない。
(5)切断攪拌機が堆肥室内で前後左右に移動可能であるため、堆肥室内の堆肥全体を攪拌して堆肥全般に空気と熱とを供給でき、堆積されている堆肥を上から下まで均等に発酵させることができる。
【0037】
【0038】
本件出願の請求項1の堆肥切断攪拌装置では、高圧気体噴出口から堆肥切断高圧気体を噴出すれば、次のような効果もある。
(1)高圧気体によって堆肥が切断され、ほぐされるので、堆肥の攪拌や、ほぐしが確実になるだけでなく、空気が堆肥内全般へ確実に供給され、堆肥が効率よく発酵する。
(2)高圧気体により堆肥中の植物の茎なども切断されるため、これらが攪拌翼に絡み付きにくくなり、堆肥と攪拌翼との摩擦が減少して切断攪拌機の回転が円滑になり、小さな馬力の回転駆動体(例えばモータ)により切断攪拌機を回転させることができ、回転駆動体が小型、安価なものであっても間に合う。また、攪拌翼への堆肥の絡みつきに起因するトラブルも発生しない。
(3)堆肥が攪拌翼に付着しても、その堆肥は高圧気体で吹き飛ばされるため攪拌が円滑に行われる。
(4)堆肥切断刃と堆肥切断用の高圧気体噴出口との双方を設けた場合は、堆肥の切断がより一層確実になり、攪拌もし易くなり、発酵も一層促進され易くなる。
【0039】
本件出願の請求項2記載の堆肥攪拌切断装置は、気体供給装置から送られる高圧気体を加熱体により加熱するので次のような効果もある。
(1)気体通路に供給される高圧空気が高温であるため、堆肥が空気の供給によって発酵するだけでなく、熱によっても発酵する。冬期は堆肥内に冷たい高圧空気を供給する(吹き込む)と、堆肥の発酵時に出る発酵熱が冷やされて堆肥の発酵が阻害されるおそれがあるが、本発明ではそのようなおそれがなく、冬期でも良質の堆肥を短期間で製造することができ、品質向上及びコストダウンを図ることができる。
【0040】
本件出願の請求項3記載の堆肥攪拌切断装置は、堆肥から発生した発酵ガスを吸引して堆肥内に戻す発酵ガス吸引戻し装置を備えたので、次のような効果もある。
(1)堆肥から発酵ガスが発生しても、外部に飛散する発酵ガスの量が減少するので、アンモニアや硫化水素等の発酵ガスの悪臭が軽減され、脱臭効果がある。
(2)臭気吸引戻し装置で吸引された発酵ガスがヒータで加温されると、発酵熱により高温になるため堆肥が発酵に適した湿度になり易く、効果的に堆肥の発酵を促進させることができ、特に冬期の発酵に有効であり、発酵時間の短縮及び堆肥の品質向上に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の堆肥攪拌装置の実施形態の一例を示す側面図。
【図2】図1に示す堆肥攪拌装置のガイドレール及び前後レ−ルの説明図。
【図3】本発明の堆肥攪拌装置の実施形態の他例を示す側面図。
【図4】本発明の堆肥切断攪拌装置における切断攪拌機の動作説明の平面図。
【図5】本発明の堆肥攪拌切断装置を斜め上方から見た部分斜視図。
【図6】本発明の堆肥攪拌切断装置の切断攪拌機の側面図。
【図7】(a)は本発明の堆肥攪拌切断装置の切断攪拌機の横断平面図、(b)は誘引タイプのフローゲインノズルの説明図。
【図8】本発明の堆肥攪拌切断装置の切断攪拌機の一部の一例を示す縦断面図。
【図9】本発明の堆肥切断攪拌装置の切断攪拌機の一部の他例を示す縦断面図。
【図10】本発明の堆肥切断攪拌装置の全体側面図。
【図11】従来の堆肥室内の堆肥攪拌切断装置の側面図。
【符号の説明】
1 切断攪拌機
2 回転シャフト
3 攪拌翼
4 切断刃
5 前後移動体
6 前後レール
7 横移動体
8 ガイドレール
9 気体通路
11 高圧気体噴出口
12 気体供給装置
20 加熱器
31 吸引器
35 合流器
40 堆肥室の出入り口
41 堆肥室の奥
44 前後レールの後端部
45 前後レールの前端部
46 連結具
Claims (3)
- 堆肥室内の左右方向に設けられた一対のガイドレールと、一対のガイドレール間に設けられた前後レールと、前後レールをガイドレールに沿って左右に往復移動させる横移動体と、堆肥室の堆肥を切断攪拌する切断攪拌機と、切断攪拌機を前後レールに沿って前後に往復移動させる前後移動体と、切断攪拌機を堆肥内で回転させる回転駆動体を備え、切断攪拌機は前後レールが横移動体によりガイドレールに沿って横移動すると堆肥内を横移動し、前後移動体が前後レールに沿って前後移動すると堆肥内を前後移動し、切断攪拌機は堆肥内に縦向きに差し込まれて回転する回転シャフトの外周の軸方向に螺旋状の攪拌翼が取付けられ、回転シャフトに高圧空気が通る空気通路が設けられ、螺旋状の攪拌翼の外周縁に堆肥切断空気噴出口と堆肥切断刃とが形成され、空気通路から供給される堆肥切断用の高圧空気は堆肥を切断できる高圧空気であり、その高圧空気は堆肥切断空気噴出口から側方に噴出されて堆肥を切断し、その堆肥は堆肥切断刃によっても切断され、前記一対のガイドレールは出入り口側が奥よりも高い堆肥室内の出入り口側と奥側とに横方向に設け、出入り口側のガイドレールは出入り口の上部よりも高い位置に設け、奥のガイドレールは出入り口側のガイドレールよりは低いが堆肥室の奥の上部寄りの位置に設けて両ガイドレールを段違いの平行にし、前記前後レールは奥側をガイドレールに設け、出入り口側を出入り口側のガイドレールに吊り下げて奥側と出入り口側を水平にしたことを特徴とする堆肥切断攪拌装置。
- 請求項1記載の堆肥切断攪拌装置において、気体噴出口に送る高圧気体を高温にする加熱器を備えたことを特徴とする堆肥切断攪拌装置。
- 請求項1又は請求項2記載の堆肥切断攪拌装置において、堆肥から発生した発酵ガスを吸引して堆肥内に戻す発酵ガス吸引戻し装置を備えたことを特徴とする堆肥切断攪拌装置。
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