JP3614727B2 - 通気発酵装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発酵装置に関し、詳しくは、密閉状態の発酵槽内で家畜糞尿等の有機質廃棄物を通気攪拌して発酵処理するための通気発酵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題がクローズアップされるとともに、家畜糞尿や都市の生ゴミ等のいわゆる有機質廃棄物を再生して有効利用しようとする気運が高まっている。そして、この有効利用の一典型例が、有機質廃棄物を発酵させることによって堆肥、厩肥またはコンポスト(以下これらを総称して「堆肥」という)を生成し、当該得られた堆肥を農業・園芸分野等で再利用することである。
このため、家畜糞尿や生ゴミ等を高効率に且つ省エネルギーに堆肥化し得る発酵装置が望まれている。
かかる状況下、従来、発酵装置の攪拌効率を高めるための改良(例えば特開平8−59381号公報)や、通気効率を高めて発酵プロセスを促進しようとする改良(例えば特開平10−151433号公報)が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の発酵装置は、省エネルギーの観点からみてまだまだ及第点のつくものではなかった。例えば、発酵プロセスに関し、熱収支に対する配慮が十分とはいえなかった。また、近年の環境衛生問題への関心の高まりから、臭気対策や景観等といった発酵装置周辺に対する環境面の配慮がこれまで以上に求められている。
本発明は、上記問題点に鑑みて創出されたものであり、その目的とするところは、省エネルギーおよび環境衛生面の観点から熱収支および臭気の拡散防止に配慮しつつ発酵効率の向上を実現し得る発酵装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、請求項1に記載のとおりの通気発酵装置を提供する。すなわち、本発明の発酵装置は、攪拌機を備えた発酵槽と、当該発酵槽を外気から遮断した状態で収容するハウジングと、当該発酵槽内に強制的に送気するための送気手段と、当該発酵槽において生じたガス(以下「発酵ガス」という。)を当該ハウジング内から排出するための排気手段とが備えられている。また、発酵槽の底面には、当該送気手段によってガスを当該発酵槽内に送り込むための通気孔が複数設けられている。而して、その送気手段は、上記通気孔から当該発酵槽内にガスを送り込み得るようにして当該発酵槽と仕切られた状態(発酵槽から発生した発酵ガスに直接曝されないように空間を隔てた状態をいう。以下同じ。)で当該ハウジング内に設けられている。
【0005】
このように特定される本発明の発酵装置では、上述のとおり、発酵槽が外気から遮断された状態(即ち実質的に密閉された状態)で上記ハウジング内に収容されている。このため、発酵槽が外気に直接曝されることがなく、外気温に関わらず当該発酵槽自体を保温(熱損失を低減)でき、例えば60℃以上に保持することができる。
また、発酵槽がハウジングに収容された結果、発酵槽が外部から人目に触れることがない。このため、景観の向上に寄与し得る。また、本発明の発酵装置によれば、発酵過程で生じた臭気性の発酵ガスは上記排気手段によって拡散することなく集約されてハウジングから排出される。また、ハウジング内に滞留した臭気性発酵ガスが、発酵装置の周辺に漏洩・放散するのを未然に防止することができる。
さらに本発明の発酵装置では、上記送気手段が上記発酵槽と仕切られた状態でハウジング内に設けられている結果、発酵ガスによって当該送気手段を具体的に構成する機器類が影響を受けることなく発酵槽内にガスを供給することができる。
特に好ましい仕切り状態で送気手段を設けた本発明の通気発酵装置は、発酵槽の下方に当該発酵槽と仕切られた状態でガス供給室が形成されており、当該送気手段は上記通気孔から発酵槽内にガスを送り込み得るようにして当該ガス供給室内に設けられている通気発酵装置である。かかる仕切り状態を有するものでは、発酵槽の底からガス(典型的には空気)を上記通気孔を介して効率的に槽内に送り込むことができるとともに発酵槽の周囲(典型的には側方)に上記送気手段を設置するスペースを確保しなくてすむ。このため、発酵装置全体のコンパクト化に寄与することができる。
【0006】
好ましい本発明の発酵装置は、上記ハウジングが断熱材を含む多層構造を有している。かかる多層構造によれば、ハウジング内の保温性をさらに向上させることができる。
【0007】
また、他の好ましい本発明の発酵装置は、上記排気手段によって排出されたガスと上記送気手段によって発酵槽内に送気されるガスとの間で熱交換が行われるように構成されている。かかる構成によれば、発酵によって高温化した排ガス(発酵ガス)の有する熱エネルギーによって発酵槽内に供給するガスを加熱することができる。すなわち、発酵熱の利用によって外部供給エネルギー(電力等)を節約しつつ、発酵槽に供給するガスを加熱することができる。このため、本構成の発酵装置によれば、発酵槽の発酵温度維持(保温)と省エネルギーとを高い次元で両立させることができる。
また、発酵槽内に排出ガスによって加熱されたガスを発酵槽に供給することにより、発酵を促進して、発酵槽の品温が容易に維持されるとともに、発酵槽(発酵中の堆肥が存在する部分および堆肥が存在しない雰囲気部分の全体を含む)内を均一に加温された状態に維持することができる。
【0008】
また、他の好ましい本発明の発酵装置は、上記発酵槽には少なくとも二つの攪拌機が移動可能に備えられている。また、これら少なくとも二つの攪拌機は、槽内の相互に異なる部分を攪拌するように設けられている。さらに、これら少なくとも二つの攪拌機は、槽内の隣接する部分をそれら攪拌機によって同時に攪拌しないように相互に離隔した位置に配置されている。
かかる構成の発酵装置によれば、上記のように配置された二つまたはそれ以上の攪拌機によって、発酵槽の異なる部分(相互に隣接しない部分)を同時に攪拌・切り返しすることができる。このため、発酵槽全体の攪拌速度や攪拌効率が向上し、好気的発酵を助長することができる。また、複数の攪拌機で攪拌・切り返し処理を分担して行うため、1基あたりの作業負荷を低減することができる。このため、発酵槽の大型化や投下被処理物量の増大に伴う攪拌機の負荷増大に起因する故障等のトラブル発生を抑制することができる。
【0009】
さらに好ましい本発明の発酵装置は、上記通気孔が閉塞するのを防止するための清掃手段が設けられている。かかる構成の発酵装置によれば、被処理物の堆積等による通気孔の閉塞が防止され、常に良好な通気性を確保することができる。本構成の発酵装置として特に好ましいものは、通気孔を貫通し得る棒材が当該通気孔に隣接して進退可能に備えられている発酵装置である。かかる棒材を通気孔内で進退させることによって、被処理物等の堆積物を効率よく孔内から取り除くことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の発酵装置の好適な一実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図1は、本実施形態に係る発酵装置1(以下、単に「本発酵装置1」という。)の主要な構成部分を模式的に示す斜視図である。図2は、本発酵装置1の外観を示す側面図である。
【0011】
図1に示すように、本発酵装置1は、大まかにいってドーム型に形成されたハウジング2と、その中に収容された状態で構築された発酵槽10とから構成されている。
図1に示すように、このハウジング2は、発酵槽10の周囲に設置された壁部4と発酵槽10の上方を覆うようにして当該壁部4の上端部に構築された天井部3とから構成されている。このうち、壁部4は、典型的にはコンクリートブロックやPCパネル、ALCパネル等のコンクリート製パネル材その他のコンクリート(セメント)系材料で構築される。本実施形態においては、断熱性の良好なALCパネルを採用している。このような材料を用いることによって、壁部4の断熱性を向上させることができる。而して、図示されるように、壁部4の一部には出入り口4aが形成されている。この壁部4は、発酵槽10を包囲する多角柱状に建設されると共にその上端部4bは後述する天井部3を形成するため、ジグザグ様に高さを異ならせて形成されている。
【0012】
一方、図1および図2に示すように、このハウジング2の天井部3は、フレーム部材3bを三角形に組んで成るいわゆるトラス構造体(24角型)を形成している。典型的には角材または鉄骨である直線状フレーム部材3bを滑節点で結合することによってドーム状の天井骨格を形成する。次いで、その骨格に天井材として種々のパネル材3aを組み付けることによって本実施形態に係る天井部3が構築されている。パネル材としては堅固であり且つ軽量なものが好ましい。このようなパネル材としてはALCパネル等が挙げられる。
また、かかるパネル部材3aとして、断熱材を含む多層構造を有するものがハウジングの断熱性の観点から特に好ましい。例えば、金属板(銅板等)、合板(パーティクルボード、繊維板等)、プラスチックフォーム(発泡ポリウレタン等)、繊維強化プラスチック(FRP)、グラスウール、ロックウール等からなる多層構造体が好ましい。より好ましくは、断熱層として空気層を介在させる。本実施形態においてパネル部材3aは、外側から亜鉛引鋼板、木材チップを樹脂で固めたパーティクルボード、空気層、発泡ポリウレタンおよびガラス繊維で強化された不飽和ポリエステル板(FRP)の順に積層された5層からなる多層構造のパネルである。このため、本実施形態に係るハウジング2は、断熱材として機能し得る発泡ポリウレタン層を有する結果、高い断熱性が付与されている。
【0013】
而して、かかる構造の天井部3の下端部は上記ジグザグ形状の壁部4上端部4bに適合し得るように形成されている。これにより、当該トラス構造天井部3を壁部4上端部4bに載置し、密接状態で接合することができる(図1)。このことによって、ハウジング2内部の気密性を高いレベルで維持することができる。
【0014】
次に、ハウジング2内に構築された発酵槽10について説明する。なお、図3および図4は、それぞれ、本実施形態に係る発酵槽10およびそれに付設されている装置類を模式的に示す断面図および平面図である。
図3および図4に示すように、本実施形態に係る発酵槽10はコンクリートパネル材を組み合わせて形成されたほぼ円筒状に形成された上面開放型の発酵槽10である。図3に示すように、この発酵槽10の円筒状側壁10aの頂端部には後述する旋回ブリッジ30の回転を誘導させるための軌道レール12が側壁10aの全周に亘って敷設されている。
一方、この発酵槽10の下方には、当該発酵槽10と仕切られた状態でガス供給室14が形成されている。すなわち、図3に示すように、この発酵槽10の底面は、通気孔Pを有する底板10bで形成されており、その下方には当該底板10bと上記側壁10aとコンクリート床11によって外部と隔てられた空間であるガス供給室14が形成されている。また、底板10bとコンクリート床面11との間にはいくつかの支柱15が設けられており、底板10bを支持している。このガス供給室14には、本実施形態に係る送気手段が設けられている。このことについては後述する。
【0015】
図3に示すように、この発酵槽10の中央には、外形が円筒状の排出ホッパー16が底板10bを貫通した状態で設けられている。この排出ホッパー16の上部開口部16aの内側空間は、テーパー状に下方にいくに従って徐々に狭められように形成されている。而して、上部開口部16aよりも狭められた下部開口部16bはガス供給室14に配置されている。かかる下部開口部16bの下方には、予めガス供給室14に設置されている搬出コンベヤー18の一端が配置されている。なお、この搬出コンベヤー18の他端は図示しない開口部を介してハウジング2の外部に配置されている。このことによって、後述する攪拌機40a,40bの攪拌・切り返しによって発酵槽10内から上部開口部16aに落入した被処理物を当該下部開口部16bより搬出コンベヤー18上に落下させ、当該コンベヤー18によって発酵槽10およびハウジング2の外部に搬出することができる。
【0016】
一方、この排出ホッパー16の上方には、中心塔20がほぼ垂直に立ち上がった状態で設けられており、その頂端部には逆円錐状に形成された供給ホッパー22が設けられている。そして、この供給ホッパー22の上方にはコンベヤーの一端を取り付け得る取付け部23が付設されている。而して、この取付け部23には、搬入コンベヤー24の一端が取付けられている。なお、この搬入コンベヤー24の他端は図示しない開口部を介してハウジング2の外部の図示しない被処理物(例えば畜糞尿)貯蔵場所に配置されている。このことによって、被処理物をハウジング2内に搬入することができる。
【0017】
次に、本実施形態に係る発酵槽10の上部に装備された旋回ブリッジ30およびその付属物について説明する。
図3および図4に示すように、本実施形態に係る発酵槽10の上部には、本発酵槽10の直径とほぼ等しい長さの旋回ブリッジ30が装備されている。図4に示すように、この旋回ブリッジ30は、発酵槽10の直径とほぼ等しい長さの一対の長軸材(鋼材)30aを主要構成材としている。これら長軸材30a間は計6本の連結材(鋼材)30bによって連結されて補強されており、上方からみると梯子状に構築されている(図4)。
一方、図3および図4に示すように、この旋回ブリッジ30の四隅近くには、上記軌道レール12を挟み込んで当該軌道レール12上に回転可能に配置され得る係合車輪32と当該係合車輪32を回転駆動させるためのモーター部33を備えた駆動ユニット31が計4箇所に備えられている。この駆動ユニット31のモーター部33は、図示しない油圧モーターを主体とする駆動系で構成されている。このことによって、本実施形態においては、発酵槽10からアンモニア等の腐食性ガスが生じた場合であっても、モーター部33の構成部材が腐食し難く、良好な作動状態を維持することができる。また、駆動ユニット31自体の耐久性が向上し、故障等による部品の交換作業やメインテナンス作業を低減化することができる。
【0018】
而して、図4に示すように、本実施形態に係る旋回ブリッジ30は、その中央部における開口部分に上記中心塔20を配置した状態で、上記計4個の係合車輪32を軌道レール12上に装着する。このことによって、発酵槽10の上部に当該旋回ブリッジ30を旋回可能に装備することができる。すなわち、図4に示すように、上記軌道レール12上に係合車輪32が係合している結果、上記駆動ユニット31を作動させて上記軌道レール12上で係合車輪32を所定の方向(ここでは図4において矢印で示す時計方向)に駆動・回転させることによって、それに伴って旋回ブリッジ30が発酵槽10上を旋回することとなる。
【0019】
次に、旋回ブリッジ30に付設されている攪拌機40a,40bについて説明する。図1に示すように、本実施形態に係る攪拌機40a,40bは、いわゆるスラットコンベヤー式の攪拌機40a,40bである。図3に示すように、本実施形態に係る攪拌機40a,40bは、棒状鋼材を溶接等によって組み付けてなるフレーム部材41の上端部に油圧モーターユニット43を備えた駆動軸42が設けられている一方、当該フレーム部材41の下端部には、当該駆動軸42に対応する回転自在な従動軸44が設けられている。而して、図3に示すように、駆動軸42および従動軸44には、それぞれ3連のスプロケット42a,44aが設けられており、それらスプロケット42a,44aには環状チェーン46がそれぞれ装着されている。而して、図1に示すように、かかる3連のチェーン46には、所定のピッチ毎にすくい板48が取付けられている。このすくい板48の表面側には、図示しないスクレーパー(即ち掻上げ用の突起物)あるいはバケットが装着されている。
このように攪拌機40a,40bを構成する結果、油圧モーターユニット43を作動させて駆動軸42を回転駆動させることによって3連スプロケット42a,44aに取付けられている各チェーン46およびすくい板48が回転し、スクレーパー等によって被処理物を効率良くすくい上げつつ攪拌することができる。また、油圧モータで回転駆動ユニットを構成している結果、上記旋回ブリッジ30と同様、腐食性ガスの問題を回避し得、良好な作動状態を維持することができる。
【0020】
而して、図1、図3および図4に示すように、旋回ブリッジ30の中心塔20を挟んだ両側の異なる位置(非対称位置)に同形状の上記攪拌機40a,40bがそれぞれ1基ずつ計2基設置されている。すなわち、図4に示すように、旋回ブリッジ30の一方の外端近くには、上述の攪拌機40aが1基装備されている。そして、旋回ブリッジ30の他方の内端近く(即ち中心塔20近く)には、もう1基の上記攪拌機40bが装備されている。図1に示すように、これら攪拌機40a,40bは、発酵槽の底面近くに攪拌機40a,40bの下端部である従動軸44が配置されるとともに、進行(旋回)方向に向かって当該下端部(従動軸44)が上端部(即ち駆動軸42)よりも進行方向前方にでるようにやや傾斜して装備されている。かかる装備の結果、図1および図3から明らかなように、上述のようにして旋回ブリッジ30を旋回させると共に上記攪拌機40a,40bのチェーン46を回転させることによって、発酵槽10の底面近くに堆積する被処理物を順次すくい上げて攪拌することができる。すなわち、攪拌機40a,40bの前面にある被処理物を図示しないスクレーパー等によってすくい上げると共にその後方に落下させるのである。
このとき、図4に示すように、二つの攪拌機40a,40bは、その前面が進行方向に対してやや外方を向く(即ち攪拌機の背面は進行方向に対してやや内方を向く)角度で旋回ブリッジ30に配置されている。このことによって、発酵槽10に堆積する被処理物を発酵槽10の外寄り部分から内方向へ順次切り返し移送することができる。
【0021】
すなわち、発酵槽10の外寄り部分にある被処理物は攪拌機40a,40bによって当該位置よりもやや内方に切り返される。次いで、発酵槽10を一周してきた攪拌機40a,40bによって再びそこよりも内方に切り返される。これを繰り返すことによって、順次、中心塔20寄りに被処理物を移送することが可能となり、そうして徐々に内方に移送された被処理物をついには排出ホッパー16の上部開口部16aからホッパー内部に落とし込むことができる。
あるいは、すくい板48に突設されたスクレーパーの取付け向きや形状を適宜変更させることによっても、すくい上げられた被処理物を当該すくい上げられた位置よりもやや発酵槽10の内方に落下させることができる。かかる形状変更によっても中心塔20寄りに被処理物を順次切り返しつつ移送することができる。
【0022】
而して、この切り返し・移送の過程において、発酵槽10内における被処理物の好気的発酵が進行するわけである。従って、本発酵槽10に投入された被処理物の槽内における好気的発酵時間は、旋回ブリッジ30の旋回速度の調整によって制御し得ることは容易に理解されることである。
また、図3および図4から明らかなように、本実施形態においては、上記二つの攪拌機40a,40bは、発酵槽10内の相互に異なる部分(即ち槽内の外側部分と内側部分)を攪拌するようにそれぞれ設けられているとともに、発酵槽10内の隣接する部分を同時に攪拌しないように相互に離隔した位置に配置されている。このため、切り返しや移送がスムーズに行われ、発酵槽10全体の攪拌速度や攪拌効率が向上する結果、好気的発酵を促進することができる。また、2基の攪拌機40a,40bで攪拌・切り返し処理を分担して行うため、1基あたりの作業負荷を低減することができる。このため、発酵槽10の大型化または被処理物の1日あたりの投下量を増しても攪拌機40a,40bの負荷増大にともなう故障等のトラブル発生を抑制することができる。
【0023】
次に、旋回ブリッジ30に装備される他の主要な部材である投入コンベヤー36について簡単に説明する。図3に示すように、旋回ブリッジ30の上部には中心塔20を包囲するようにして円筒状の収容部35が形成されている。この収容部35の上面部には図示しない開口部が形成されており、上記供給ホッパー22の下部は当該開口部に入り込むようにして装着されている。而して、図3に示すように、この収容部35には、上記搬入コンベヤー24から供給ホッパー22に供給される被処理物を発酵槽10の外側部分(側壁10aに近接する部分)に投下するための投入コンベヤー36が備えられている。この投入コンベヤー36の駆動軸36aおよびコンベヤー駆動手段である油圧モーターユニット(図示せず)は、収容部35内に配備されている。一方、投入コンベヤー36の他端側(即ち従動軸36b側)は発酵槽10の側壁10a近くまで延伸するようにして設けられている。一方、図3に示すように、投入コンベヤー36の駆動軸側は、供給ホッパー22の下方に配置されている。
【0024】
この構成の結果、供給ホッパー22に供給された被処理物は、そこから投入コンベヤー36上に落下・載置されることとなり、発酵槽10の側壁10a近くまで当該投入コンベヤー36によって移送され、そこから発酵槽10に投下される(図3の矢印参照)。ここで当該投入コンベヤー36は、収容部35とともに旋回ブリッジ30上に備えられている結果、当該旋回ブリッジ30の旋回に従って旋回する。このため、かかる投入コンベヤー36によれば、旋回速度に応じて発酵槽10の側壁10a近くの全周囲に亘って被処理物を均等に投下することができる。なお、図3において投入コンベヤー36は、内側攪拌機40bと同方向に配置されているが、この位置に限定されない。例えば、外側攪拌機40aの進行方向前方に投入コンベヤー36の先端(従動軸36b側)が配置されるようにしてもよい。かかる配置位置によれば、当該コンベヤー36から槽内に投下された被処理物を時間をおかずにすぐに外側攪拌機40aで切り返し・攪拌することができる。このことは、投入したばかりの被処理物を発酵途上の堆積物とすぐに攪拌混合し得る(即ち、当該投下したばかりの被処理物の好気的発酵を促進することができる。)という観点から好ましい。
【0025】
次に、本発酵装置1の給排気システムについて詳細に説明する。なお、図5は、本実施形態における給排気システムの概要を模式的に説明した図である。
【0026】
本発酵装置1においては、外気から遮断されたハウジング2の内部にガス(ここでは空気)を送り込むと同時に、発酵槽10において生じたガス(即ち発酵ガス)をハウジング2内に滞留させることなく強制排気するための給排気システムが構築されている。図5に示すように、この給排気システムは、大まかにいって、ハウジング2の外部に設けられた排気管51、給気管50、熱交換機52と、当該給気管50に接続されるハウジング2内の送気手段とから構成されている。
図5に示すように、排気管51および給気管50は熱交換機52にそれぞれ連結されている。この熱交換機は、ステンレス製の一般的な空冷式のものであり、給気管50と排気管51との間での熱交換を行うことができる。この熱交換機52には給気管50に通じる外気吸入管53と、排気管に通じる排出管54が設けられている。而して、排出管54および給気管50には、それぞれ、送風のための排気ブロワー55および与圧ブロワー56が備えられている。また、排気管51の先端は、ハウジング2天井部3の頂点部に設けられた排気口3cに接続されている。また、給気管50の先端部は、図示しない連絡口からハウジング2内のガス供給室14内まで導入されている。従って、かかる装置類のうち、排気口3c、排気管51および排気ブロワー55によって本実施形態に係る排気手段が構成されている。本実施形態に係る排気手段によれば、密閉状態の保ち得るハウジング2内部に発酵ガスを滞留させることもなく、また、周囲の環境にかかる発酵ガスが漏洩することも未然に防ぐことができる。
【0027】
一方、ガス供給室14内には、発酵槽10と仕切られた状態で本実施形態に係る送気手段が設けられている。本実施形態においてかかる送気手段は、送気ブロワー57を備えた通気管58と当該通気管58に接続された送気管60とから構成されている。かかる送気管60は、発酵槽10の底板10bの下面に溶接等の手段によって取付けられている。ここで、後述するように送気管60の上面には開口部61(図6参照)が適宜設けられるとともにかかる開口部61と底板10bに設けられた通気孔Pとを一致させる態様で底板10b下面側に当該送気管60が固定されている。
【0028】
かかる構成の結果、図5に示すように、本発酵装置1においては、上記3つのブロワー55,56,57を作動させることによって、効率よく発酵槽10内にガス(空気)を送り込むとともに、そこで生じた発酵ガスを上記排気手段によって装置周囲に漏洩することなく排気することができる。すなわち、図5において、外気吸入管53から吸入された空気は与圧ブロワー56によって熱交換機52および給気管50を経てガス供給室14に供給される。而して、送気ブロワー57によって通気管58を経て送気管60に導入された供給ガス(ここでは空気)は、上記開口部61および通気孔Pを介して発酵槽10内に供給され、好気的発酵に資される。
他方、発酵槽10から発生するアンモニア等を含む発酵ガスは、ハウジング2内と外部との気圧差(即ち、ハウジング2内は送り込んだガスによって陽圧状態となっている。)によって排気口3cから排気管51に誘導され、排気ブロワー55によって熱交換機52および排出管54を経て本発酵装置1外部に放出される。典型的には、図示しない冷却機や脱臭槽、浄化槽等を経て、脱臭等を行った後大気中に放散される。かかる付属設備類は本発明に特に関連がなく、従来のものをそのまま適用し得るため詳細な説明は省略する。
【0029】
ところで、家畜糞尿等の被処理物を好気的発酵に供した場合、その発酵熱によって発酵槽10から生じる発酵ガスの温度は、60℃〜65℃あるいはそれ以上に達することが知られている。また、発酵槽10に供給する酸素を含むガス(ここでは空気)は、比較的高い温度(例えば20℃以上、好ましくは30℃以上)のものが発酵効率を落とさないという観点から好ましい。
一方、上述のとおり、本発酵装置1では、上記熱交換機52に排気管51と給気管50とを連結している結果、当該熱交換機52において、排気手段によってハウジング2内から排出された発酵ガスと、上記送気手段によって発酵槽10内に送気されるガス(空気)との間で熱交換が行われるように構成されている。すなわち、かかる構成の給排気システムによれば、例えば冬季や高緯度地方のような外気温が極めて低い(例えば−10℃〜10℃)場合であっても、発酵熱によって高温となった排ガス(発酵ガス)によって給気管50中のガス(空気)を加熱することができる。このため、例えば−10℃〜10℃程度の供給ガス(空気)をかかる熱交換によって、20℃〜30℃としてから発酵槽10内に供給することが可能である。従って、本発酵装置1によれば、発酵熱の利用効率を高めて外部供給エネルギー(電力等)を節約し、発酵槽10の発酵温度維持(保温)と省エネルギーとを高い次元で両立させることができる。
このような加熱されたガスを供給することができるため、発酵中の堆肥の品温のみならず、発酵槽10内の雰囲気温度までも効果的に維持される。具体的には、外気温よりも高く、発酵に適した温度である、60℃〜75℃の範囲に維持することができる。
このように、品温および発酵槽10内の発酵中の堆肥部分および雰囲気においても発酵に好ましい温度が維持されることにより、かかる装置1によれば、発酵中の堆肥の攪拌を頻繁に行っても、品温の低下を回避でき、好ましい発酵状態を維持することができる。すなわち、連続あるいは断続的に発酵中の堆肥を攪拌することができる。かかる攪拌操作が可能になることにより、通常、攪拌操作に伴われる、発酵原料の投入操作も、連続的あるいは断続的に可能となる。典型的には、連続的な投入および/または攪拌、あるいは数十分から数時間の間の好ましい間隔での断続的投入および/または攪拌が可能となる。なお、従来においては、このような連続的あるいは断続的な攪拌および/または投入は、品温の低下を導くため行うことができなかった。
【0030】
次に、本発酵装置1を特徴付ける一部分である、送気管60の形状と当該送気管60に備えられている通気孔清掃手段について詳細に説明する。なお、図6は、本実施形態に係る発酵槽10の底板10bの裏面側に設けられた後述する送気管60の配置状況を模式的に示した説明図である。また、図7は、送気管60の具体的形状を示した斜視図である。
【0031】
図5および図6に示すように、発酵槽10の底板10bの下面側には2種類のサイズの送気管60a,60bが計52本設置されている。すなわち、図6に示すように、発酵槽10の上から見て、排出ホッパー16を中心として、十文字状に5本ずつのロングサイズの送気管60a(以下「長送気管60a」という。)が側壁10a方向に横向きに配設されている。而して、図6に示すように、これら十文字状に配設された長送気管60aの合間には、それぞれ8個ずつの比較的ショートサイズの送気管60b(以下「短送気管60b」という。)が配設されている。図7に示すように、本実施形態に係る長送気管60aは、金属製の長尺状の底プレート63とその上面にビス等で接合される切り口が四角となる金属製の本体部64とから成る角柱状のパイプである。この底プレート63にはガス供給口63aが形成されており、上記通気管58と接続されている。これにより、送気管60a内にガス(空気)が供給される。また、底プレート63には、後述する通気孔清掃手段を作動させるための長穴63b(後述する図9参照)が形成されており、当該長穴63bを介して連結棒71が取付けられている。このことについては後述する。なお、図示していないが、短送気管60bについても同様の形状を有している。
而して、これら長送気管60aおよび短送気管60bには、それぞれ、5箇所および4箇所の開口部61が等間隔に設けてあり、かかる開口部61と発酵槽底板10bの通気孔Pとが一致するように配置されている(後述する図15参照)。このことによって、送気管60a,60bに導入された供給ガス(空気)を当該開口部61および通気孔Pを介して発酵槽10内に供給することができる。なお、図6に示すように、発酵槽10の側壁10b寄りの部分が中心寄りの部分よりも送気管60a,60bの配置分布が密となっている。このため、発酵槽10の側壁10b寄り部分が中心寄り部分よりもガス供給量が多くなり、好気的発酵の進行度に対応させてガス供給を行うことができる。投入コンベヤー36から投入されたばかりの被処理物が存在する側壁10b寄り部分の方が酸素消費量が多くなり、比較的多量の空気を必要とするからである。
【0032】
次に、本発明を特徴付ける通気孔清掃手段について説明する。なお、図8は、送気管(ここでは長送気管60a)内の構造を示した断面図である。図9は、送気管60a内の構造を下側から表した斜視図である。また、図10は、送気管60a内の構造を模式的に示した横断面図である。
【0033】
図8に示すように、長送気管60a(以下、特にことわらない限り、短送気管60bについても同様である。)の内部には、長尺状の移動プレート65がスライド移動可能に配置されている。すなわち、図8および図9に示すように、底プレート63の上面には、各開口部61の位置と対応させてほぼ等間隔に保持ブロック66,67が設けられている。図8に示すように、5箇所の開口部61に対応する保持ブロック66の上面には、本実施形態に係る清掃具90が設けられている。この清掃具90の構造・作動態様については後述する。
而して、図9に示すように、これら保持ブロック66,67には、移動プレートを貫通させ得る横穴68が形成されている。これにより、図8に示すように、移動プレート65は、保持ブロック66,67の横穴68に挿入されつつ底プレート63の上面よりやや上方に浮いた状態で配置されることとなる。
【0034】
図8および図9に示すように、長送気管60aの一方の端にある二つの保持ブロック67の間において、底プレート63に楕円状の長穴63bが形成されている。図9および図10に示すように、典型的には金属製である平板の一対の長辺の端部を鉛直方向に折り曲げて成形したコの字形状の取付け部材73が、長穴63bの上方に相当する位置における上記移動プレート65下面に固定されている。この取付け部材73は、その長軸方向の長さが当該長穴63bよりも長くなる(典型的に長穴63bの約2倍以上)ように形成されている。而して、当該取付け部材73の上記折れ曲がった一対の長辺端部に挟み込まれるようにして、典型的にはラバーからなる閉塞部材72が当該長穴63bを塞ぐために取付けられている。すなわち、本実施形態に係る気密保持手段に相当する閉塞部材72の下面は、底プレート63の上面に摺動可能に密着している。これにより、長穴63bからガス(空気)が外部に漏れるのを防止することができる。図示しないが、閉塞部材72と取付け部材73との間には適当なパッキン(ゴム、プラスチック等)が配置されており、気密性をより向上させている。
【0035】
一方、上記長穴63b、閉塞部材72、取付け部材73(図示しないパッキンを含む)および移動プレート65を貫通するようにして上記連結棒71が取付けられている。図9および図10に示すように、この連結棒71は長穴63bの短径に等しいサイズの直径を有する外管部71a(典型的には金属または樹脂製)と当該外管部71aのコア部分に相当する内軸部71b(典型的には金属製)とから構成されている。この内軸部71bの上端部および下端部は雄ねじ部を形成している。而して、外管部71aの頂端部は、長穴63bおよび閉塞部材72を貫通して取付け部材73の下面側に当接するように配設されている。そして、当該取付け部材73および移動プレート65には内軸部71bを貫通し得る程度の開口部(図示せず)が設けられており、当該内軸部71bの上端部(雄ねじ部)は移動プレート65の上方に貫通・露出している(図10)。この状態において、当該露出した内軸部71b上端部(雄ねじ部)をナット75で締め付けることによって、連結棒71が取付け部材73および移動プレート65に固定される。
【0036】
かかる構成の結果、後述する駆動機構によって、連結棒71を長穴63bの長軸方向に移動させることによって、閉塞部材72を底プレート63上面に対して摺動させつつ移動プレート65を送気管長軸方向に移動させることができる。このとき、上述のとおり、取付け部材73および閉塞部材72を長穴の長径よりも長く形成しているため、連結棒71の移動位置に関わらず長穴の一部が開放するのを防止することができる。すなわち、本実施形態に係る移動プレート65の移動手段によれば、送気管60a,60bからガス(空気)の漏洩を防止しつつ、かかる移動プレート65の長軸方向への移動を行うことができる。
なお、上記の説明は長送気管60aについて説明したが、短送気管60bについても全く同様であり、さらには形状が同じ送気管(即ち長送気管60a相互あるいは短送気管60b相互)については、いずれも同形状、同位置に上述の移動プレート65や閉塞部材72等を形成している。このため、後述する連結棒駆動手段によって移動プレート65を移動させる際は、長送気管60a相互あるいは短送気管60b相互が同じように動くこととなる。
【0037】
次に、上記連結棒71の下端側に連結されている連結棒駆動手段(即ち移動プレート65を移動させる手段)について説明する。なお、図11は、かかる連結棒駆動手段の主要構成部材である作動プレート77aの配置状況を模式的に示す一部破断平面図(送気管60aの本体部64を取り外した状態で示している。)である。また、図12は、連結棒駆動手段の作動機構を模式的に説明するための側面図である。
【0038】
図6、図11および図12に示すように、送気管60a,60bの下部には、同方向に配置される5本の長送気管60aあるいは4本の短送気管60bの各連結棒71とそれぞれ連結する長尺状の作動プレート77a,77b,77cが配設されている。すなわち、長送気管60aについて説明する図11および図12(短送気管60bも同様である。)に示すように、コの字状の金属製作動プレート77aは同方向に並んで配設される送気管60aと直交する方向に配設されており、各送気管60aの連結棒71の下端部(雄ねじ部)は、かかる作動プレート77aの上面部に設けられた開口部を貫通するとともに、当該上面部の下側においてナット76で締め付けられて固定されている(図12)。
【0039】
一方、図11および図12に示すように、作動プレート77aの一方の側面部には係合部78が延伸して形成されている。而して当該係合部78に形成された係合孔78aには、当該作動プレート77a〜c(図6)を一方向に往復振動させるシリンダ80(典型的には油圧式または電磁式)におけるロッド部81が閂部材79aによって係止されている。他方、図6および図12に示すように、このシリンダ80の一端は、当該シリンダ80と作動プレート77a〜cに連結する送気管60a,60bとが同方向に配列されるようにして、上記支柱15等に閂部材79bによって係止されている。
かかる構成によれば、シリンダ80を作動させることによってロッド部81がシリンダ80から前進あるいは後退し、それに伴って作動プレート77a〜cおよび連結棒71を介して移動プレート65が送気管60a,60bの前後に移動する。このとき、シリンダ80のピストン振幅を長穴63bの長径に対応させることによって、移動プレート65を所望する態様で移動(振動)させることができる。
【0040】
次に、本実施形態に係る通気孔Pおよび開口部61の清掃手段について具体的に説明する。図13、図14および図15はいずれもかかる清掃手段の作動態様を模式的に説明する斜視図である。
【0041】
図8に示すように、各開口部61に対応する保持ブロック66(即ち、取付け部材73両側の保持ブロック67を除く)の上面には、本実施形態に係る清掃具90がそれぞれ形成されている。
図13に示すように、典型的には金属製の本清掃具90は、保持ブロック66の上面にやや傾斜して設けられた保持部93と、当該保持部の先端部の係合軸93aに回動可能に取付けられた回動部材92と、当該回動部材92に固着した棒材91とから構成されている。図13に示すように、この棒材91はその先端部91aが上方に向けられ且つその下端部91bが下方に向けられるようにフック状に曲げられて形成されており、その中央部分は回動部材92の先端部に固定されている。これにより、係合軸93aを中心軸として上下方向に端部を回動させることができる。
【0042】
ここで、図13に示すように、棒材91下端部91bは移動プレート65上面に設けられた係合穴65aに填り込むようにして配置されている。かかる構成の結果、図14に示すように、移動プレート65が保持部93の傾斜方向(図14の向かって右方向)に移動するに伴い、係合穴65aに填り込んだ棒材下端部91bがその状態のまま一緒に同方向に移動することとなる。すると、その移動に伴って棒材91が上方に回動し、その上端部91aは上方に突出することとなる。このとき、図13の状態において棒材91の上端部91aが送気管60a本体部64上面に設けられた開口部61の直下に配置されるように予め本清掃具90の形状・サイズが設定されている。このことによって、図15に示すように、上記棒材91を上記開口部61および通気孔Pを進退可能に貫通させることができる。すなわち、図15(b)に示すように、上記棒材91の上方への回動と共にその先端部91aが当該開口部61および発酵槽底板10bの通気孔Pを貫通しして、発酵槽10の底板10bより上方に突き出す。他方、図15(a)に示すように、図14の状態から逆方向(図14の向かって左方向)に移動プレート65を移動させることによって、その先端部91aを当該開口部61またはそれよりも下方に退行させることができる。
【0043】
従って、上記シリンダ80を作動させて移動プレート65を長穴63bの長径に相当する振幅で振動させることによって、開口部61および通気孔Pにおける棒材91の出し入れが実現される。このことによって、棒材上端部91aが開口部61および通気孔Pに貫通し、その際に当該開口部61および通気孔Pに詰まっている被処理物等を掻き出すことができる。その結果、本実施形態に係る清掃手段によれば、開口部61および通気孔Pの通気性を良好に保つことができる。また、上述のとおり、本実施形態においては、上記シリンダ80を遠隔操作等することによって所望する時期に清掃具90を作動させ、通気孔Pを清掃することができる。このため、通気孔Pの清掃作業を簡便且つ確実に行うことができる。
【0044】
以上、本発明の発酵装置の好適な一実施形態を図面を参照しつつ説明したが、本発酵装置1は、特に家畜(牛、豚等)の生糞を発酵処理するのに好適である。ハウジング2内が高温に保たれることにより、高水分の生糞を水分調整等の前処理を行うことなく直接処理することが可能だからである。例えば、上記発酵槽10の内径が13〜14m、槽の深さが約2mであって、上記攪拌機40a,40bを油圧モーター43で回転駆動させつつ旋回ブリッジ30を1〜2時間の周期で発酵槽10を一周させた場合、豚糞(含水率70〜80%)であれば1日で約16トン(約20m3)またはそれ以上処理することができる。あるいは、鶏糞(含水率60〜70%)であれば1日で約24トン(約25m3)またはそれ以上処理することができる。勿論、これら家畜の糞尿のみならず、都市の生ゴミ等を堆肥化(コンポスト化)するのにも好適に使用し得る。
【0045】
以上、本発明を具現化した好適な一実施形態を説明したが、本明細書または図面に開示された情報に基づいて種々の変更例があり得、それらは本発明の目的を達成する限り本願特許請求の範囲から逸脱するものではない。
例えば、上記実施形態では、攪拌機としていわゆるスラットコンベヤー式の攪拌機を採用しているがこれに限定されず、螺旋状のドリル型(いわゆるオーガ式のもの)やスクリュー型のものであってもよい。また、上記実施形態では攪拌機を2基配備していたが、旋回ブリッジの形状等を変更することによって3基または4基以上の攪拌機を配備してもよい。
【0046】
また、ハウジングの形状は、上記ドーム型(トラス構造)に限られず、外気と発酵槽とを遮断し得る密閉性の高いものであればよく、例えば円筒状や立方体形状のものあるいは側壁とアーケード形状屋根とから構成されるものでもよい。
また、上記実施形態では送気手段として、複数の送気管と送気ブロワーと通気管とが上記ガス供給室内に配備されているがこれに限らず、例えば高度に分岐した状態の大型送気管(例えば中心部から放射状に、52箇所以上の複数に分岐した状態のスター形状送気管)に送気ブロワーを直結した形態であってもよい。送気管は発酵槽の底面より下に配置されるものであるが、上記底板と一体に形成されたものであってもよい。
また、本発明の通気孔清掃手段は上述の清掃具に限られず、例えばドリル形状のピンを通気孔に進退可能に貫通させるものでもよい。あるいは、通気孔に付設されたノズルから高圧流体を吹き付けて通気性を確保するものでもよい。
【0047】
【発明の効果】
本発明の発酵装置によれば、省エネルギーと環境衛生の観点から熱収支および臭気の拡散防止に配慮しつつ、家畜糞尿等の発酵効率の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に係る本発明の発酵装置の主要な構成部分を模式的に示した斜視図である。
【図2】一実施形態に係る本発明の発酵装置の外観を示した側面図である。
【図3】一実施形態に係る本発明の発酵槽およびそれに付設されている装置類を模式的に示した断面図である。
【図4】一実施形態に係る本発明の発酵槽およびそれに付設されている装置類を模式的に示した平面図である。
【図5】一実施形態に係る本発明の発酵装置における給排気システムの概要を模式的に示した説明図である。
【図6】一実施形態に係る本発明の発酵槽の底板の裏面側に設けられた送気管の配置状況を模式的に示した説明図である。
【図7】一実施形態に係る本発明の送気管の具体的形状を示した斜視図である。
【図8】一実施形態に係る本発明の送気管の内部構造を示した断面図である。
【図9】一実施形態に係る本発明の送気管の内部構造を下面側から模式的に示した斜視図である。
【図10】一実施形態に係る本発明の送気管の内部構造を模式的に示した横断面図である。
【図11】一実施形態に係る本発明の連結棒駆動手段の主要構成部材である作動プレートの配置状況を模式的に示した一部破断平面図である。
【図12】一実施形態に係る本発明の連結棒駆動手段の作動機構を模式的に説明した側面図である。
【図13】一実施形態に係る本発明の清掃手段の作動態様を模式的に説明した斜視図である。
【図14】一実施形態に係る本発明の清掃手段の作動態様を模式的に説明した斜視図である。
【図15】(a)および(b)は、一実施形態に係る本発明の清掃手段の作動態様を模式的に説明した斜視図である。
【符号の説明】
1 発酵装置
2 ハウジング
10 発酵槽
30 旋回ブリッジ
40a,b 攪拌機
52 熱交換機
60a,60b 送気管
61 開口部
63 底プレート
63b 長穴
65 移動プレート
71 連結棒
72 閉塞部材
80 シリンダ
90 清掃具
91 棒材
P 通気孔

Claims (4)

  1. 攪拌機を備えた発酵槽と、該発酵槽を外気から遮断した状態で収容するハウジングと、該発酵槽内に強制的に送気するための送気手段と、該発酵槽において生じたガスを該ハウジング内から排出するための排気手段と、を備え、前記発酵槽の底面には、前記送気手段によってガスを該発酵槽内に送り込むための複数の通気孔が設けられるとともに、該通気孔が閉塞するのを防止するための清掃手段が設けられている通気発酵装置であって、
    前記送気手段は、前記複数の通気孔にそれぞれ一致するように複数の開口部が設けられている送気管と、該送気管にガスを供給する送気ブロワーとを備えており、前記開口部及び前記通気孔を介して前記発酵槽内にガスが供給されるように構成されており、
    前記清掃手段は、前記送気管内にスライド移動可能に配置される移動プレートと、該移動プレートの移動に伴って上方へ回動する棒材とを備えており、該棒材の上方への回動に伴って該棒材の先端部が前記開口部及び前記通気孔を貫通するように構成されていることを特徴とする通気発酵装置。
  2. 前記ハウジングが断熱材を含む多層構造を有している、請求項1に記載の通気発酵装置。
  3. 前記排気手段によって排出されたガスと前記送気手段によって発酵槽内に送気されるガスとの間で熱交換が行われるように構成されている、請求項1または2に記載の通気発酵装置。
  4. 前記発酵槽には少なくとも二つの攪拌機が移動可能に備えられており、
    ここで該少なくとも二つの攪拌機は、槽内の相互に異なる部分を攪拌するように設けられているとともに、槽内の隣接する部分を同時に攪拌しないように相互に離隔した位置に配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載の通気発酵装置。
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