JP3544452B2 - 固体電解素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は水素イオン導電性の固体電解質を利用した固体電解素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13は例えば特開平6−63343号公報に記載された固体電解素子の断面図である。図13において、1は陽イオン導電性の固体高分子電解質層、2、3は多孔質基材で、金属繊維の織布若しくは不織布、金属の粉末焼結体、カーボン繊維、金属多孔板、エキスパンドメタル等を使用する。4、5は触媒層で、多孔質基材2、3と固体高分子電解質層1との食い込み部に白金黒、白金担持カーボン等が3次元的に分布している。なお、多孔質基材2と触媒層4とで陽極6を、多孔質基材3と触媒層5とで陰極7をそれぞれ構成している。8は直流電源、9は被除湿室である。
【0003】
次に動作について説明する。図13において、両極6、7間に直流電源から電力を供給すると、非除湿室9の水が電気分解して式(1)の反応により酸素が発生するとともに被除湿室9の湿度が低下する。
2H2 O→O2 +4H+ +4e− ・・・(1)
このときに発生する水素イオン(H+ )は固体高分子電解質層1を通って陰極7に達する。また、電子(e− )は直流電源8を接続した外部回路を通って陰極7に達する。そして、式(2)の反応により陰極7側の酸素を消費して水を発生する。
O2 +4H+ +4e− →2H2 O ・・・(2)
さらに、水素イオン(H+ )とともに1〜3分子の複数の水分子が陰極6側から陰極7側へ移動する。従って、陰極7では式(2)の反応により生成する水とともに、さらに余分の水が陽極6から移動して被除湿室9の湿度が低下する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の固体電解素子は以上のように構成されているので、オゾンによる殺菌や消臭を行うのが困難であるという問題点があった。
【0005】
この発明は、除湿を行うと共にオゾンによる殺菌及び消臭を行うことができる固体電解素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係わる固体電解素子は、水素イオン導電性の固体電解質の膜を陽極と陰極とで狭持して両極間に電流を印加し、陽極側で電解反応により酸素を発生させ、陰極側で還元反応する固体電解素子において、陰極は白金族金属又は白金族金属の金属酸化物の第1の触媒と固体電解質の粉末とを混合して、膜の一面に第1の触媒の量が0.3mg/cm2 〜3.0mg/cm2 となる厚さで陰極触媒層を形成し、水分透過性を有する第1の多孔質基材を陰極触媒層に接合したものであり、陽極は酸素過電圧が高い第2の触媒と固体電解質の粉末とを混合して、膜の他面に第2の触媒の量が0.3mg/cm2 〜3.0mg/cm2 となる厚さで陽極触媒層を形成し、水分透過性を有する第2の多孔質基材を陽極触媒層に接合したものである。
【0007】
請求項2の発明に係わる固体電解素子は、水素イオン導電性の固体電解質の膜を陽極と陰極とで狭持して両極間に電流を印加し、陽極側で電解反応により酸素を発生させ、陰極側で還元反応する固体電解素子において、陰極は白金族金属又は白金族金属の金属酸化物の第1の触媒と固体電解質の粉末とを混合して、膜の一面に第1の触媒の量が0.3mg/cm2 〜3.0mg/cm2 となる厚さで陰極触媒層を形成し、水分透過性を有する第1の多孔質基材を陰極触媒層に接合したものであり、陽極は酸素過電圧が高い第2の触媒と白金族金属又は白金族金属の金属酸化物の第3の触媒と固体電解質の粉末とを混合して、膜の他面に上記第2の触媒と第3の触媒との合計の量が0.3mg/cm2 〜3.0mg/cm2 となる厚さで陽極触媒層を形成し、水分透過性を有する導電部材の相互間が20mm以下に構成された第2の多孔質基材を陽極触媒層に接合したものである。
【0008】
請求項3の発明に係わる固体電解素子は、第1の多孔質基材が炭素繊維で形成されたものである。
【0009】
請求項4の発明に係わる固体電解素子は、第2の多孔質基材がチタンメッシュに白金メッキをしたものである。
【0010】
請求項5の発明に係わる固体電解素子は、第1の触媒が白金担持率10%〜50%の白金担持カーボンである。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は実施の形態1の構成を示す断面図である。図1において、10は図2に示す陽イオン導電性(水素イオン導電性)の固体電解質を使用した厚さが170μmの膜で、例えば水素イオン性の固体電解質として、例えばデュポン(DuPont)社製のナフィオン(NAFION:登録商標)−117を使用する。11は膜10の一面に形成した陰極触媒層で、膜10と同じ固体電解質の粉末を含んだイソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に、触媒としての白金黒を混合して、白金黒の量が0.3mg/cm2 〜3.0mg/cm2 となる厚さで膜10に塗布又は吹き付ける。12はカーボンを使用した厚さが200μmの水透過性を有する多孔質基材で、カーボンペーパー、カーボンクロス等の炭素繊維である。陰極触媒層11と多孔質基材12とで陰極13を構成している。
【0012】
14は膜10の他面に形成した陽極触媒層で、膜10と同じ固体電解質の粉末を含んだイソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に、PbO2 、SnO2、FeO4 、SrFeO3 等の酸素過電圧が高い触媒を混合して、触媒の量が0.3mg/cm2 〜3.0mg/cm2 となる厚さで膜10に塗布又は吹き付ける。15はチタンのエキスパンドメタルに白金メッキした厚さが100μmの水透過性を有する多孔質基材である。陽極触媒層14と多孔質基材15とで陽極16を構成している。
なお、膜10と各極13、16とは、180℃の温度、50kg/cm2 の圧力で3分間のホットプレスにより、互いに物理的に一体化すると共に電気的に接合される。17は両極13、16間に接続された直流電源である。
なお、陰極触媒層11に混合する触媒は、白金黒の他にルテニウム、イリジウム、パラジウム等の白金族金属又は白金族金属の金属酸化物の例えば酸化イリジウム等でもよい。
【0013】
次に動作について説明する。図1において、両極13、16間に直流電源17により直流電圧を印加すると、陽極16側では空気中の水分が電気化学反応によって電気分解される。その結果、式(3)(4)の反応により陽極16側の湿度が低下すると共に、オゾンガス及び酸素ガスが発生する。
H2 O→2H+ +1/3O3 +2e− ・・・(3)
H2 O→2H+ +1/2O2 +2e− ・・・(4)
【0014】
以上のように実施の形態1の発明によれば、陽極触媒層14を酸素過電圧が高い触媒で構成することにより、陽極16側で除湿を行うと共にオゾンを発生させることができるので、殺菌及び消臭を行うことができる。
【0015】
実施の形態2.
図3は実施の形態2の構成を示す断面図である。図3において、10〜13、15及び17は実施の形態1のものと同様のものである。
18は膜10の膜面に形成した陽極触媒層で、膜10と同じ固体電解質の粉末を含んだイソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に、触媒としての白金黒及びPbO2 、SnO2 、Fe3 O4 、SrFeO3 等の酸素過電圧が高い触媒を混合して、両触媒の合計量が0.3mg/cm2 〜3.0mg/cm2 となる厚さで膜10に塗布又は吹き付ける。多孔質基材15と陽極触媒層18とで陽極19を構成している。そして、膜10と各極13、19とは180℃の温度、50kg/cm2 の圧力で3分間のホットプレスにより、互いに物理的に一体化すると共に電気的に接合される。
なお、陽極触媒層18に混合する触媒は、白金黒の他にルテニウム、イリジウム、パラジウム等の白金族金属又は白金族金属の金属酸化物の例えば酸化イリジウム等でもよい。
【0016】
次に動作について説明する。図3において、実施の形態1とほぼ同様の動作をする。即ち、両極13、19間に直流電圧を印加すると、陽極19側では空気中の水分が電気化学反応によって電気分解される。その結果、式(5)(6)の反応により陽極19側の湿度が低下すると共に、オゾン及び酸素ガスが発生する。
H2 O→2H+ +1/3O3 +2e− ・・・(5)
H2 O→2H+ +1/2O2 +2e− ・・・(6)
陽極触媒層18に混合する白金黒の割合を変えることにより、陽極19側でのオゾン発生量を変えることができる。
【0017】
以上のように実施の形態2によれば、陽極触媒層をPbO2 等の酸素過電圧が高い触媒と白金族金属又は白金族金属の金属酸化物とで構成することにより、陽極19側で除湿を行うと共にオゾンを発生させ、オゾンの量を所定量に設定することができる。
【0018】
図4は膜10の有効面積が100cm2 、温度30℃及び相対湿度60%の大気中での電圧−電流特性を示す説明図である。
実施の形態1及び実施の形態2において、図4の特性Iに示すように触媒である白金黒の量を1mg/cm2 とした場合、両極13、16間に印加される電圧が3Vのとき、電流が4Aでほぼ飽和状態である。
次に、特性IIに示すように白金黒の量を0.3mg/cm2 とした場合は、1mg/cm2 のものに比して各触媒層11の抵抗が増加するので、電気化学反応に使われる電圧が減少するため膜10に流れる電流が減少する。
さらに、特性IIIに示すように白金黒の量を3mg/cm2 とした場合は、1mg/cm2 のものに比して各触媒層11の抵抗が減少するので、電気化学反応に使われる電圧が増加するため膜10に流れる電流が増加する。
【0019】
図5は触媒である白金黒の量と膜10を流れる電流との関係を示す説明図である。
図5の特性Iは、大気中において温度が30℃、相対湿度が60%の場合で、触媒である白金黒の量が3mg/cm2 以上では電流が飽和状態で増えない。即ち、電気化学反応による除湿及び加湿能力は電流に比例するので、触媒である白金黒の量を3mg/cm2 以上にしても性能の向上を図ることができない。図5の特性IIは、大気中における年間を通じての平均値としての温度が15℃〜20℃、平均値としての相対湿度が60%の場合である。温度が下がると電流が低下し、触媒である白金黒の量が1mg/cm2 で電流が飽和する。さらに、触媒である白金黒の量を0.3mg/cm2 まで減らしても電流の低下が約25%で、性能の低下は僅少である。
従って、触媒である白金黒の量を0.3mg/cm2 としても、年間を通じて所要の性能を発揮させることができる。
【0020】
図6は固体電解質の膜10の有効面積が100cm2 、温度が30℃及び相対湿度が60%の大気中における電流と、陽極16、19を構成する多孔質基材15の部材相互間の距離との関係を示す説明図である。
上記実施の形態1及び実施の形態2において、図6では各多孔質基材15をメッシュ状で部材間のピッチを20mm以下にした場合、又は網目状その他で部材相互間に所定の距離をあけるように構成した多孔質基材15で相互間を20mm以下にした場合に、膜10に流す電流を有効に活用することができることを示している。
そして、多孔質基材15の部材相互間の距離を20mm以上にすると図6に示すように電流が急激に低下する。即ち、除湿又はオゾン発生作用が低下する。従って、各多孔質基材15をメッシュ状に形成する場合はピッチを20mm以下にするのがよい。
【0021】
また、固体電解質の膜10は厚さを50μmから500μmに設定することにより、良好な結果を得ることができる。
【0022】
参考例1.
図7は参考例1の構成を示す断面図である。図7において、10、12及び17は実施の形態1のものと同様のものである。
20は膜10の一面に形成した陰極触媒層で、膜10と同じ固体電解質の粉末を含んだイソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に、触媒としての白金黒を混合して、白金黒の量が1mg/cm2 となる厚さで膜10に塗布又は吹き付けられている。陰極触媒層20と多孔質基材12とで陰極21を構成している。
【0023】
22は膜10の他面に形成した陽極触媒層で、膜10と同じ固体電解質の粉末を含んだイソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に、触媒としての白金黒及びPbO2 、SnO2 、Fe3 O4 、SrFeO3 等の酸素過電圧が高い触媒を混合して、両触媒の合計量が1mg/cm2 となる厚さで膜10に塗布又は吹き付けられている。陽極触媒層22と多孔質基材15とで陽極23を構成している。そして、膜10と各極21、23とは180℃の温度、50kg/cm2 の圧力で3分間のホットプレスにより、互いに物理的に一体化すると共に電気的に接合される。
【0024】
なお、触媒は白金黒の他にルテニウム、イリジウム、パラジウム等の白金族金属又は白金族金属の金属酸化物の例えば酸化イリジウム等でもよい。
【0025】
次に動作について説明する。図7において、実施の形態2とほぼ同様の動作をする。即ち、両極21、23間に直流電源17から直流電圧を印加すると、陽極23側では空気中の水分が電気化学反応によって電気分解される。その結果、式(7)(8)の反応により陽極23側の湿度が低下すると共に、オゾン及び酸素ガスが発生する。
H2 O→2H+ +1/3O3 +2e− ・・・(7)
H2 O→2H+ +1/2O2 +2e− ・・・(8)
陽極触媒層22に混合する白金黒の割合を変えることにより、陽極23側でのオゾン発生量を変えることができる。
【0026】
図8は固体電解質の膜10に印加される電圧と除湿能力及びオゾン発生能力の関係を示す説明図である。
図8の特性Iは除湿能力を示すもので、印加電圧が1.5V以上で能力を発揮し、約3Vで飽和状態になる。
図8の特性IIは印加電圧が2V以上で能力を発揮し、約5Vで飽和状態になる。
【0027】
以上のように、膜10への印加電圧を高くすることにより除湿を行うと共にオゾンの発生能力を強めることができる。そして、印加電圧を低くすることによりオゾン発生を弱めて除湿が主体の動作に切り換えることができる。
図8に示すように、印加電圧を2V〜5Vの範囲で制御することによりオゾン発生量を制御することができる。
【0028】
膜10への印加電圧をON/OFF制御することにより、オゾン発生能力を制御してもよい。即ち、図8において、印加電圧を3V〜5Vの間、例えば4Vに設定してON/OFF制御し印加する時間を変えることにより、オゾンの発生量を制御する。
【0029】
上記実施の形態1、実施の形態2及び参考例1において、陰極触媒層11の白金黒の代わりに、白金を10%から50%担持したカーボン触媒としてもよい。例えば、白金50%担持カーボン触媒を1mg/cm2 の厚さで陰極触媒層11を形成した場合には、白金含有量が0.5mg/cm2 となる。
白金担持カーボンに使用する白金の微粒子は、白金100%の白金黒の触媒よりも粒径が細かいので、比面積が大きくなるため、使用量の低減を図ることができる。
【0030】
参考例2.
図9は参考例2.の構成図である。図9において、10、13及び17は実施の形態1のものと同様のものであり、19は実施の形態2のものと同様のものである。
24は固体電解質の膜10、陰極13及び陽極19で構成された図3に示す固体電解素子である。25は固体電解素子24の陽極19を包囲し密閉された空間である。
【0031】
次に動作について説明する。図9において、両極13、19間に直流電源17から直流電圧を印加すると、陽極19側では空気中の水分が電気化学反応によって電気分解される。その結果、式(9)(10)の反応により陽極19側の湿度が低下すると共に、オゾン及び酸素ガスを発生する。
H2 O→2H+ +1/3O3 +2e− ・・・(9)
H2 O→2H+ +1/2O2 +2e− ・・・(10)
以上により、空間25の除湿を行うと共に、空間25内にオゾンを供給して殺菌及び消臭作用を行わせることができる。
【0032】
参考例2において、固体電解素子24は図3に示したものを使用して説明したが、図7に示したものでも同様の効果を期待することができる。
【0033】
さらに、参考例2においては密閉された空間25内の除湿及び殺菌について説明したが、半密閉の空間においても除湿及び殺菌の効果を期待することができる。
【0034】
参考例3.
図10は参考例3の構成図である。図10において、10、13及び17は実施の形態1のものと同様のものであり、19は実施の形態2のものと同様のものであり、24は参考例2のものと同様のものである。
26は固体電解素子24を包囲した空間である。
【0035】
次に動作について説明する。図10において、参考例2と同様に式(9)(10)により陽極19側でオゾン及び酸素ガスが発生する。そして、陰極13側では還元反応により水が発生するので、空間26内の水分の総量には変化がない。以上により、空間26へオゾンを供給し殺菌及び消臭作用を行わせることができる。
【0036】
参考例4.
図11は参考例4の構成図である。図11において、10、13及び17は実施の形態1のものと同様のものであり、19は実施の形態2のものと同様のものであり、24は実施の形態4のものと同様のものである。
27は空間、28は固体電解素子24が配置されたダクト、29はダクト28内に配置された送風手段で、ダクト28を介して空間27内の空気を矢印30、31のように循環させる。
【0037】
次に動作について説明する。図11において、参考例2と同様に式(9)(10)により陽極19側でオゾン及び酸素ガスが発生する。そして、発生したオゾンを送風手段29によりダクト28を介して空間27に供給する。
以上により、空間27の外部でオゾンを発生させて空間27内に供給できるので、オゾンを効率よく発生させることができる。
【0038】
空間27内に人間が存在する場合には、オゾン濃度が高くなると人体に悪影響を与える恐れがあるので、安全なレベルに抑制する必要がある。従って、オゾン濃度計によりオゾン濃度を測定し、固体電解素子24にフィードバックしてオゾン濃度を制御する。
【0039】
参考例5.
図12は密閉又は半密閉の空間内における除湿、殺菌及び消臭の制御を示す説明図である。
図9及び図12において、常時は図12(a)に示すように2.5Vの電圧を固体電解素子24に印加して空間25内の除湿を主体に行っているが、オゾンの発生は僅少で人体に有害なレベルではない。従って、殺菌や消臭を行うにも不十分なオゾン濃度である。
時間t1 において固体電解素子24に印加する電圧を人為的、又は自動的にオゾン発生信号を出して、2.5Vから4Vにしてオゾンを発生させる。
【0040】
人為的に印加電圧を上げる例として、例えば空間25内での作業が終了して人間が退出した後に、固体電解素子24への印加電圧を上げて作業エリアとしての空間25内の殺菌及び消臭を行う。その他、ベッド等に取り付けた場合には、朝になってベッドから出た後に印加電圧を上げて殺菌及び消臭を行う。
【0041】
時間t2 において固体電解素子24への印加電圧を4Vから2.5Vに下げると、オゾン発生が僅少となり除湿が主体の運転となる。空間25内の湿度により固体電解素子24の電流が図12(b)に示すように変動するが、時間t1 からt2 の間に空間25内のオゾン濃度は図12(c)に示すように増えて、この例の場合には1.7ppmに達している。
時間t2 において固体電解素子24への印加電圧が4Vから2.5Vに下げられて除湿が主体の運転になると、時間t2 以降ではオゾンが空間25内の他の物質と反応してオゾン濃度が徐々に低下し、人体に影響を与えないレベルになる。
【0042】
空間25内の温度及び湿度により、固体電解素子24への印加電圧が同じでも電流が変動してオゾン発生能力が変化する。そこで、図12(b)に示すように、時間t1 からt2 のオゾン発生期間の電流を積分し、設定値に達したら電圧を下げるようにすることにより、空間25内の温度及び湿度の影響を除いて、決められた量のオゾンを精度よく供給できる。
【0043】
実施の形態1、実施の形態2及び実施例1から実施例5において、固体電解質の膜10に流す電流の電流密度を0.1A/cm2 にすれば、膜10の温度を110℃以下に維持することができる。
【0044】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、陽極触媒層を酸素過電圧が高い触媒で構成したことにより、陽極側でオゾンを発生させて殺菌及び消臭を行わせると共に除湿を行わせることができる。
【0045】
請求項2の発明によれば、陽極触媒層を酸素過電圧が高い触媒と白金族金属又は白金族金属酸化物の触媒とで構成したことにより、両触媒の比率を変えて陽極側でのオゾン発生量を制御することができるので、微量のオゾン発生も可能となり、殺菌及び消臭効果と共に除湿を行わせることができる。
【0046】
請求項3の発明によれば、陰極を構成する第1の多孔質基材を炭素繊維とし、触媒を白金族金属又は白金族金属の金属酸化物にしたことにより、局部電池が形成されるのを防止することができる。
【0047】
請求項4の発明によれば、陽極側の第2の多孔質基材をチタンに白金メッキをしたもので形成したことにより、陽極で酸素が発生しても酸化されるのを防止することができる。
【0048】
請求項5の発明によれば、陰極触媒層の第1の触媒を白金担持率が10%〜50%の白金担持カーボンとしたことにより、比面積が大きくなるため、白金の使用量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の構成を示す断面図である。
【図2】図1に使用する固体電解質を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2の構成を示す断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1及び2に使用する固体電解質の膜の電圧−電流特性を示す説明図である。
【図5】図1及び図3の触媒の量と電流との関係を示す説明図である。
【図6】図1及び図3の多孔質基材の部材間距離と電流との関係を示す説明図である。
【図7】この発明の参考例1の構成を示す断面図である。
【図8】図7の除湿能力及びオゾン発生能力と固体電解素子への印加電圧との関係を示す説明図である。
【図9】この発明の参考例2の構成図である。
【図10】この発明の参考例3の構成図である。
【図11】この発明の参考例4の構成図である。
【図12】この発明の参考例5の制御を示す説明図である。
【図13】従来の固体電解素子の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10 膜、11,20 陰極触媒層、12 第1の多孔質基材、
13,21 陰極、14,18,22 陽極触媒層、
15 第2の多孔質基材、16,19,23 陽極。
Claims (5)
- 水素イオン導電性の固体電解質の膜を陽極と陰極とで狭持して上記両極間に電流を印加し、上記陽極側で電解反応により酸素を発生させ、上記陰極側で還元反応する固体電解素子において、上記陰極は白金族金属又は白金族金属の金属酸化物の第1の触媒と上記固体電解質の粉末とを混合して、上記膜の一面に上記第1の触媒の量が0.3mg/cm2 〜3.0mg/cm2 となる厚さで陰極触媒層を形成し、水分透過性を有する第1の多孔質基材を上記陰極触媒層に接合したものであり、上記陽極は酸素過電圧が高い第2の触媒と上記固体電解質の粉末とを混合して、上記膜の他面に上記第2の触媒の量が0.3mg/cm2 〜3.0mg/cm2 となる厚さで陽極触媒層を形成し、水分透過性を有する導電部材の相互間が20mm以下に構成された第2の多孔質基材を上記陽極触媒層に接合したものであることを特徴とする固体電解素子。
- 水素イオン導電性の固体電解質の膜を陽極と陰極とで狭持して上記両極間に電流を印加し、上記陽極側で電解反応により酸素を発生させ、上記陰極側で還元反応する固体電解素子において、上記陰極は白金族金属又は白金族金属の金属酸化物の第1の触媒と上記固体電解質の粉末とを混合して、上記膜の一面に上記第1の触媒の量が0.3mg/cm2 〜3.0mg/cm2 となる厚さで陰極触媒層を形成し、水分透過性を有する第1の多孔質基材を上記陰極触媒層に接合したものであり、上記陽極は酸素過電圧が高い第2の触媒と白金族金属又は白金族金属の金属酸化物の第3の触媒と上記固体電解質の粉末とを混合して、上記膜の他面に上記第2の触媒と第3の触媒との合計の量が0.3mg/cm2 〜3.0mg/cm2 となる厚さで陽極触媒層を形成し、水分透過性を有する導電部材の相互間が20mm以下に構成された第2の多孔質基材を上記陽極触媒層に接合したものであることを特徴とする固体電解素子。
- 第1の多孔質基材は炭素繊維で形成されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体電解素子。
- 第2の多孔質基材はチタンに白金メッキをしたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の固体電解素子。
- 第1の触媒は白金担持率が10%〜50%の白金担持カーボンであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の固体電解素子。
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