JP2004008858A - 湿度調整器 - Google Patents
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Abstract
【課題】除湿機能の低下を抑制する。
【解決手段】陽イオン導電性の固体電解質膜9と、この固体電解質膜9の一側の面に設けられた白金黒からなる陰極触媒層10と、この陰極触媒層10に接して設けられた第一の多孔質基材11と、固体電解質膜9の他側の面に設けられた第二の多孔質基材13と、固体電解質膜9と第二の多孔質基材13との大気側に設けられた白金黒からなる陽極触媒層14とを備えた湿度調整器において、陽極触媒層14は白金黒に白金黒を担持する粒子として、白金黒の粒子より大きい粒子の電子導電体が担持粒子として10%〜50%混合され、0.3mg/cm2〜6mg/cm2の厚さになるように形成されたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】陽イオン導電性の固体電解質膜9と、この固体電解質膜9の一側の面に設けられた白金黒からなる陰極触媒層10と、この陰極触媒層10に接して設けられた第一の多孔質基材11と、固体電解質膜9の他側の面に設けられた第二の多孔質基材13と、固体電解質膜9と第二の多孔質基材13との大気側に設けられた白金黒からなる陽極触媒層14とを備えた湿度調整器において、陽極触媒層14は白金黒に白金黒を担持する粒子として、白金黒の粒子より大きい粒子の電子導電体が担持粒子として10%〜50%混合され、0.3mg/cm2〜6mg/cm2の厚さになるように形成されたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、イオン導電性の固体電解質膜を使用した湿度調整器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、例えば特開2000−51638号公報に記載された従来の湿度調整器を示す断面図で、図5は図4の陽極の断面を模式的に示した説明図である。図4及び図5において、1は陽イオン導電性の固体高分子電解質を使用した厚さが約170μmの固体電解質膜で、例えばデュポン(Du Pont)社製のナフィオン(NAFION:登録商標)−117等が使用される。2は固体電解質膜1の一側に形成された陰極触媒層で、イソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に白金黒を混合して、白金黒の量が0.3mg/cm2〜3mg/cm2の厚さになるように固体電解質膜1に吹き付けて形成される。
【0003】
3は固体電解質膜1の他側に配置された厚さが約200μmの第一の多孔質基材で、カーボンペーパやカーボンクロス等の炭素繊維により形成されている。なお、陰極触媒層2と第一の多孔質基材3とで陰極4が構成されている。5は固体電解質膜1の他側の面に配置された水透過性を有する第二の多孔質基材で、厚さが約100μmのチタンからなるメッシュ状のエキスパンドメタルに厚さ数μmの白金メッキが施されている。なお、陰極触媒層2が形成された固体電解質膜1を両多孔質基材3,5で挟み込み、温度約180°C、圧力約50kg/cm2の条件でホットプレスして物理的に一体化すると共に電気的に接合している。6は固体電解質膜1の他側の面に配置された陽極触媒層で、イソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に白金黒を混合して、白金黒の量が0.3mg/cm2〜3mg/cm2の厚さになるように、固体電解質膜1と第二の多孔質基材5との大気側の面に塗布又は吹き付けにより形成されている。ここで、陽極触媒層6の白金黒6aは図5(a)に示すように、一様に分散されている。なお、第二の多孔質基材5と陽極触媒層6とで陽極7が構成されている。8は両極4,7間に接続された直流電源である。
【0004】
次に動作について説明する。図5は図4の陽極7の断面を模式的に示した説明図で、(a)は通電前の初期状態を示し、(b)は両極4,7間に直流電圧を印加して、通電した後の状態を示している。図4及び図5において、両極4,7間に直流電源8から所定の電力が供給されると、陽極7側の大気側面では水分が式(1)の反応により電気分解されて、大気側の水分が除去されると共に大気側に酸素が供給される。
2H2O→O2+4H++e−・・・・・(1)
このときに発生する水素イオンH+は固体電解質膜1を通って陰極4に達する。また、電子e−は直流電源8を含む外部回路を通って陰極4に達する。そして、式(2)の反応により陰極4側において酸素を消費しながら水を生成する。
【0005】
なお、湿度調整器としての使用状態では、最大電流密度が20A/dm2で、2V程度の電源電圧で十分であるが、通常は2V〜2.5Vの直流電圧で動作させている。
O2+4H++4e−→2H2O・・・・・(2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の湿度調整器は以上のように構成されている。すなわち、陽極触媒層6は白金黒の量が0.3mg/cm2〜6mg/cm2の厚さになるように、固体電解質膜1と第2の多孔質基材5との大気側の面に形成されている。このため、通電によって生じる式(1)(2)の反応の際に白金黒が図5(b)に示すように徐々に凝集するので、陽極触媒層6内に白金黒が存在しない領域が形成される。白金黒が存在しない領域では式(1)(2)の反応が起こらないため、長期間の使用により除湿機能が徐々に低下するという問題点があった。
この発明は以上のような問題点を解消するためになされたもので、除湿機能の低下を抑制することができる除湿調整器を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる湿度調整器は、陽イオン導電性の固体電解質膜と、この固体電解質膜の一側の面に設けられた白金黒からなる陰極触媒層と、この陰極触媒層に接して設けられた第一の多孔質基材と、固体電解質膜の他側の面に設けられた第二の多孔質基材と、固体電解質膜と第二の多孔質基材との大気側に設けられた白金黒からなる陽極触媒層とを備えた湿度調整器において、陽極触媒層は白金黒に白金黒を担持する粒子として、白金黒の粒子より大きい粒子の電子導電体が担持粒子として10%〜50%混合され、0.3mg/cm2〜6mg/cm2の厚さになるように形成されたものである。
また、担持粒子を白金族金属のイリジュウム、ロジュウム、ルテニウムのいずれかとしたものである。
また、担持粒子を金属酸化物であるTi7O8としたものである。
また、担持粒子を金属酸化物であるFe2O3又はFe3O4としたものである。
さらに、担持粒子は金属酸化物であるFe2O3又はFe3O4が混合されたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は実施の形態1の構成を示す断面図、及び図2は図1の要部を模式的に示した説明図である。図1及び図2において、9は陽イオン導電性の固体高分子電解質を使用した厚さが約170μmの固体電解質膜で、例えばデュポン(Du Pont)社製のナフィオン(NAFION:登録商標)−117等が使用される。10は固体電解質膜9の一側の面に形成された陰極触媒層で、イソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に白金黒を混合して、白金黒の量が0.3mg/cm2〜3mg/cm2の厚さになるように固体電解質膜9に吹き付けて形成される。11は固体電解質膜9の他側の面に配置された厚さが約200μmの第一の多孔質基材で、カーボンペーパやカーボンクロス等の炭素繊維により形成されている。なお、陰極触媒層10と第一の多孔質基材11とで陰極12が構成されている。13は固体電解質膜9の他側の面に配置された水透過性を有する第二の多孔質基材で、厚さが約100μmのチタンからなるメッシュ状のエキスパンドメタルである。
ここで、陰極触媒層10が形成された固体電解質膜9を両多孔質基材11,13で挟み込み、温度約180°C、圧力約50kg/cm2の条件でホットプレスして物理的に一体化すると共に電気的に接合している。14は固体電解質膜9の他側の面に配置された陽極触媒層で、イソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に白金黒14aに、白金黒14aを担持する粒子として白金黒14aの粒子より大きい粒子の電子導電体を担持粒子14bとして重量比で10%〜50%混合して、0.3mg/cm2〜6mg/cm2の厚さになるように、固体電解質膜9と第二の多孔質基材13との大気側の面に塗布又は吹き付けにより形成されている。なお、担持粒子14bとしての電子導電体は、白金族金属のイリジュウム、ロジュウム、ルテニウムを使用する。また、金属酸化物のTi7O8及びフェライトを使用する。フェライトはFe2O3、Fe3O4又はこれらの混合物である。ここで、担持粒子14bは球に近い形状で白金黒14aの体積の10倍から1000倍の体積を有する。そして、白金黒14a及び担持粒子14bは図2(a)に示すように一様に分散されている。なお、第二の多孔質基材13と陽極触媒層14とで陽極15が構成されている。16は両極12,15間に接続された直流電源である。
次に動作について説明する。図1において、両極12,15間に直流電源16から電圧2V〜2.5Vの範囲で所定の電圧が供給されると、陽極15側の大気側面では水分が式(3)の反応により電気分解されて、大気側の水分が除去されると共に大気側に酸素が供給される。
2H2O→O2+4H++e−・・・・・(3)
このときに発生する水素イオンH+は固体電解質膜9を通って陰極12に達する。また、電子e−は直流電源16を含む外部回路を通って陰極12に達する。そして、式(4)の反応により陰極12側において酸素を消費しながら水を生成する。
O2+4H++4e−→2H2O・・・・・(4)
図2は図1の陽極15の断面を模式的に示した説明図で、(a)は通電前の初期状態を示し、(b)は両極12,15間に直流電圧を印加して、通電した後の状態を示している。通電前の初期状態では白金黒14aが陽極触媒層14内に一様に分散されている。そして、陽極触媒層14に通電されると、電気力により白金黒14aに凝集力が作用して、白金黒14aが担持粒子14bの周辺に凝集する。しかし、白金黒14aの移動距離は小さいので、陽極触媒層14内で白金黒14aが存在しない領域が小さい。従って、除湿機能が低下するのを抑制することができる。
図3は図1の構成における長期通電試験データで、通電前の初期状態の除湿能力を1として、所定時間毎に測定した除湿能力を相対値で示したものである。
試験条件としては、常温で陽極15と陰極12との間に直流電圧2.5Vを印加して、連続して3年間通電した。
図3から分かるように、陽極触媒層14に担持粒子が混合されていないものは除湿能力が早期に低下するが、陽極触媒層14に担持粒子14a混合することにより、除湿能力の低下を抑制することができる。例えば、除湿能力が半減するまでの時間で比較すると、担持粒子14が混合されたものは担持粒子が混合されていないものに比べて5〜6倍の長寿命化を図ることができる。
【0009】
【発明の効果】
この発明によれば、陽極触媒層の白金黒を担持する粒子として、白金黒の粒子より大きい粒子の電子導電体を担持粒子として10%〜50%混合し、0.3mg/cm2〜6mg/cm2の厚さになるように形成したことにより、通電時の電気力により白金黒に凝集力が作用したときに白金黒が担持粒子の周辺に凝集するので、白金黒の移動距離は小さくなり陽極触媒層内で白金黒が存在しない領域が小さくなるため、除湿機能が低下するのを抑制することができる。
また、担持粒子として白金族金属のイリジュウム、ロジュウム、ルテニウムのいずれかを使用することにより、除湿機能が低下するのを抑制することができる。
また、担持粒子として金属酸化物であるTi7O8を使用することにより、除湿機能が低下するのを抑制することができる。
また、担持粒子として金属酸化物であるFe2O3又はFe3O4を使用することにより、除湿機能が低下するのを抑制することができる。
さらに、担持粒子として金属酸化物であるFe2O3又はFe3O4が混合されたものを使用することにより、除湿機能が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の構成を示す断面図である。
【図2】図1の要部を模式的に示した説明図である。
【図3】図1の構成における長期通電試験データを示す説明図である。
【図4】従来の湿度調整器を示す断面図である。
【図5】図4の陽極の断面を模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
9 固体電解質膜、10 陰極触媒層、11 第一の多孔質基材、
12 陰極、13 第二の多孔質基材、13a 薄膜、14 陽極触媒層、
14a 白金黒、14b 担持粒子、15 陽極。
【発明の属する技術分野】
この発明は、イオン導電性の固体電解質膜を使用した湿度調整器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、例えば特開2000−51638号公報に記載された従来の湿度調整器を示す断面図で、図5は図4の陽極の断面を模式的に示した説明図である。図4及び図5において、1は陽イオン導電性の固体高分子電解質を使用した厚さが約170μmの固体電解質膜で、例えばデュポン(Du Pont)社製のナフィオン(NAFION:登録商標)−117等が使用される。2は固体電解質膜1の一側に形成された陰極触媒層で、イソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に白金黒を混合して、白金黒の量が0.3mg/cm2〜3mg/cm2の厚さになるように固体電解質膜1に吹き付けて形成される。
【0003】
3は固体電解質膜1の他側に配置された厚さが約200μmの第一の多孔質基材で、カーボンペーパやカーボンクロス等の炭素繊維により形成されている。なお、陰極触媒層2と第一の多孔質基材3とで陰極4が構成されている。5は固体電解質膜1の他側の面に配置された水透過性を有する第二の多孔質基材で、厚さが約100μmのチタンからなるメッシュ状のエキスパンドメタルに厚さ数μmの白金メッキが施されている。なお、陰極触媒層2が形成された固体電解質膜1を両多孔質基材3,5で挟み込み、温度約180°C、圧力約50kg/cm2の条件でホットプレスして物理的に一体化すると共に電気的に接合している。6は固体電解質膜1の他側の面に配置された陽極触媒層で、イソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に白金黒を混合して、白金黒の量が0.3mg/cm2〜3mg/cm2の厚さになるように、固体電解質膜1と第二の多孔質基材5との大気側の面に塗布又は吹き付けにより形成されている。ここで、陽極触媒層6の白金黒6aは図5(a)に示すように、一様に分散されている。なお、第二の多孔質基材5と陽極触媒層6とで陽極7が構成されている。8は両極4,7間に接続された直流電源である。
【0004】
次に動作について説明する。図5は図4の陽極7の断面を模式的に示した説明図で、(a)は通電前の初期状態を示し、(b)は両極4,7間に直流電圧を印加して、通電した後の状態を示している。図4及び図5において、両極4,7間に直流電源8から所定の電力が供給されると、陽極7側の大気側面では水分が式(1)の反応により電気分解されて、大気側の水分が除去されると共に大気側に酸素が供給される。
2H2O→O2+4H++e−・・・・・(1)
このときに発生する水素イオンH+は固体電解質膜1を通って陰極4に達する。また、電子e−は直流電源8を含む外部回路を通って陰極4に達する。そして、式(2)の反応により陰極4側において酸素を消費しながら水を生成する。
【0005】
なお、湿度調整器としての使用状態では、最大電流密度が20A/dm2で、2V程度の電源電圧で十分であるが、通常は2V〜2.5Vの直流電圧で動作させている。
O2+4H++4e−→2H2O・・・・・(2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の湿度調整器は以上のように構成されている。すなわち、陽極触媒層6は白金黒の量が0.3mg/cm2〜6mg/cm2の厚さになるように、固体電解質膜1と第2の多孔質基材5との大気側の面に形成されている。このため、通電によって生じる式(1)(2)の反応の際に白金黒が図5(b)に示すように徐々に凝集するので、陽極触媒層6内に白金黒が存在しない領域が形成される。白金黒が存在しない領域では式(1)(2)の反応が起こらないため、長期間の使用により除湿機能が徐々に低下するという問題点があった。
この発明は以上のような問題点を解消するためになされたもので、除湿機能の低下を抑制することができる除湿調整器を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる湿度調整器は、陽イオン導電性の固体電解質膜と、この固体電解質膜の一側の面に設けられた白金黒からなる陰極触媒層と、この陰極触媒層に接して設けられた第一の多孔質基材と、固体電解質膜の他側の面に設けられた第二の多孔質基材と、固体電解質膜と第二の多孔質基材との大気側に設けられた白金黒からなる陽極触媒層とを備えた湿度調整器において、陽極触媒層は白金黒に白金黒を担持する粒子として、白金黒の粒子より大きい粒子の電子導電体が担持粒子として10%〜50%混合され、0.3mg/cm2〜6mg/cm2の厚さになるように形成されたものである。
また、担持粒子を白金族金属のイリジュウム、ロジュウム、ルテニウムのいずれかとしたものである。
また、担持粒子を金属酸化物であるTi7O8としたものである。
また、担持粒子を金属酸化物であるFe2O3又はFe3O4としたものである。
さらに、担持粒子は金属酸化物であるFe2O3又はFe3O4が混合されたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は実施の形態1の構成を示す断面図、及び図2は図1の要部を模式的に示した説明図である。図1及び図2において、9は陽イオン導電性の固体高分子電解質を使用した厚さが約170μmの固体電解質膜で、例えばデュポン(Du Pont)社製のナフィオン(NAFION:登録商標)−117等が使用される。10は固体電解質膜9の一側の面に形成された陰極触媒層で、イソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に白金黒を混合して、白金黒の量が0.3mg/cm2〜3mg/cm2の厚さになるように固体電解質膜9に吹き付けて形成される。11は固体電解質膜9の他側の面に配置された厚さが約200μmの第一の多孔質基材で、カーボンペーパやカーボンクロス等の炭素繊維により形成されている。なお、陰極触媒層10と第一の多孔質基材11とで陰極12が構成されている。13は固体電解質膜9の他側の面に配置された水透過性を有する第二の多孔質基材で、厚さが約100μmのチタンからなるメッシュ状のエキスパンドメタルである。
ここで、陰極触媒層10が形成された固体電解質膜9を両多孔質基材11,13で挟み込み、温度約180°C、圧力約50kg/cm2の条件でホットプレスして物理的に一体化すると共に電気的に接合している。14は固体電解質膜9の他側の面に配置された陽極触媒層で、イソプロピルアルコールと水等の揮発性溶剤に白金黒14aに、白金黒14aを担持する粒子として白金黒14aの粒子より大きい粒子の電子導電体を担持粒子14bとして重量比で10%〜50%混合して、0.3mg/cm2〜6mg/cm2の厚さになるように、固体電解質膜9と第二の多孔質基材13との大気側の面に塗布又は吹き付けにより形成されている。なお、担持粒子14bとしての電子導電体は、白金族金属のイリジュウム、ロジュウム、ルテニウムを使用する。また、金属酸化物のTi7O8及びフェライトを使用する。フェライトはFe2O3、Fe3O4又はこれらの混合物である。ここで、担持粒子14bは球に近い形状で白金黒14aの体積の10倍から1000倍の体積を有する。そして、白金黒14a及び担持粒子14bは図2(a)に示すように一様に分散されている。なお、第二の多孔質基材13と陽極触媒層14とで陽極15が構成されている。16は両極12,15間に接続された直流電源である。
次に動作について説明する。図1において、両極12,15間に直流電源16から電圧2V〜2.5Vの範囲で所定の電圧が供給されると、陽極15側の大気側面では水分が式(3)の反応により電気分解されて、大気側の水分が除去されると共に大気側に酸素が供給される。
2H2O→O2+4H++e−・・・・・(3)
このときに発生する水素イオンH+は固体電解質膜9を通って陰極12に達する。また、電子e−は直流電源16を含む外部回路を通って陰極12に達する。そして、式(4)の反応により陰極12側において酸素を消費しながら水を生成する。
O2+4H++4e−→2H2O・・・・・(4)
図2は図1の陽極15の断面を模式的に示した説明図で、(a)は通電前の初期状態を示し、(b)は両極12,15間に直流電圧を印加して、通電した後の状態を示している。通電前の初期状態では白金黒14aが陽極触媒層14内に一様に分散されている。そして、陽極触媒層14に通電されると、電気力により白金黒14aに凝集力が作用して、白金黒14aが担持粒子14bの周辺に凝集する。しかし、白金黒14aの移動距離は小さいので、陽極触媒層14内で白金黒14aが存在しない領域が小さい。従って、除湿機能が低下するのを抑制することができる。
図3は図1の構成における長期通電試験データで、通電前の初期状態の除湿能力を1として、所定時間毎に測定した除湿能力を相対値で示したものである。
試験条件としては、常温で陽極15と陰極12との間に直流電圧2.5Vを印加して、連続して3年間通電した。
図3から分かるように、陽極触媒層14に担持粒子が混合されていないものは除湿能力が早期に低下するが、陽極触媒層14に担持粒子14a混合することにより、除湿能力の低下を抑制することができる。例えば、除湿能力が半減するまでの時間で比較すると、担持粒子14が混合されたものは担持粒子が混合されていないものに比べて5〜6倍の長寿命化を図ることができる。
【0009】
【発明の効果】
この発明によれば、陽極触媒層の白金黒を担持する粒子として、白金黒の粒子より大きい粒子の電子導電体を担持粒子として10%〜50%混合し、0.3mg/cm2〜6mg/cm2の厚さになるように形成したことにより、通電時の電気力により白金黒に凝集力が作用したときに白金黒が担持粒子の周辺に凝集するので、白金黒の移動距離は小さくなり陽極触媒層内で白金黒が存在しない領域が小さくなるため、除湿機能が低下するのを抑制することができる。
また、担持粒子として白金族金属のイリジュウム、ロジュウム、ルテニウムのいずれかを使用することにより、除湿機能が低下するのを抑制することができる。
また、担持粒子として金属酸化物であるTi7O8を使用することにより、除湿機能が低下するのを抑制することができる。
また、担持粒子として金属酸化物であるFe2O3又はFe3O4を使用することにより、除湿機能が低下するのを抑制することができる。
さらに、担持粒子として金属酸化物であるFe2O3又はFe3O4が混合されたものを使用することにより、除湿機能が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の構成を示す断面図である。
【図2】図1の要部を模式的に示した説明図である。
【図3】図1の構成における長期通電試験データを示す説明図である。
【図4】従来の湿度調整器を示す断面図である。
【図5】図4の陽極の断面を模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
9 固体電解質膜、10 陰極触媒層、11 第一の多孔質基材、
12 陰極、13 第二の多孔質基材、13a 薄膜、14 陽極触媒層、
14a 白金黒、14b 担持粒子、15 陽極。
Claims (5)
- 陽イオン導電性の固体電解質膜と、この固体電解質膜の一側の面に設けられた白金黒からなる陰極触媒層と、この陰極触媒層に接して設けられた第一の多孔質基材と、上記固体電解質膜の他側の面に設けられた第二の多孔質基材と、上記固体電解質膜と上記第二の多孔質基材との大気側に設けられた白金黒からなる陽極触媒層とを備えた湿度調整器において、上記陽極触媒層は白金黒に上記白金黒を担持する粒子として、上記白金黒の粒子より大きい粒子の電子導電体が担持粒子として10%〜50%混合されて、0.3mg/cm2〜6mg/cm2の厚さになるように形成されていることを特徴とする湿度調整器。
- 請求項1において、上記担持粒子は白金族金属のイリジュウム、ロジュウム、ルテニウムのいずれかであることを特徴とする湿度調整器。
- 請求項1において、上記担持粒子は金属酸化物であるTi7O8であることを特徴とする湿度調整器。
- 請求項1において、上記担持粒子は金属酸化物であるFe2O3又はFe3O4であることを特徴とする湿度調整器。
- 請求項1において、上記担持粒子は金属酸化物であるFe2O3又はFe3O4が混合されたものであることを特徴とする湿度調整器。
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JP2002163236A JP2004008858A (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 湿度調整器 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2002163236A JP2004008858A (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 湿度調整器 |
Publications (1)
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JP2004008858A true JP2004008858A (ja) | 2004-01-15 |
Family
ID=30431772
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002163236A Pending JP2004008858A (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 湿度調整器 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004008858A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103212276A (zh) * | 2013-04-24 | 2013-07-24 | 东南大学常州研究院 | 基于电渗析的空气除湿装置 |
KR101515531B1 (ko) * | 2009-03-17 | 2015-04-27 | 엘지전자 주식회사 | 제습 유닛 및 그를 갖는 공기조화기 |
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2002
- 2002-06-04 JP JP2002163236A patent/JP2004008858A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101515531B1 (ko) * | 2009-03-17 | 2015-04-27 | 엘지전자 주식회사 | 제습 유닛 및 그를 갖는 공기조화기 |
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