JP3543706B2 - ブーム起伏機構の安全装置 - Google Patents
ブーム起伏機構の安全装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3543706B2 JP3543706B2 JP35482699A JP35482699A JP3543706B2 JP 3543706 B2 JP3543706 B2 JP 3543706B2 JP 35482699 A JP35482699 A JP 35482699A JP 35482699 A JP35482699 A JP 35482699A JP 3543706 B2 JP3543706 B2 JP 3543706B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- boom
- rope
- safety
- boom hoisting
- tension
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Jib Cranes (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はクローラ式クレーン(吊りフックに代えてバケットを用いる掘削機を含む)に関し、より詳しくはブーム起伏機構のブーム起伏ロープが切断した場合にブームの落下を防止する安全装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クレーンの上部旋回体に備えられたブームは上部スプレッダと下部スプレッダを有し、両スプレッダ間にはシーブを介してブーム起伏ロープが多数本掛け渡されている。そしてそのブーム起伏ロープの後端をブーム起伏ドラムに巻回することによりブーム起伏機構が構成されている。ブーム起伏ドラムを回動させるとブーム起伏ロープが巻き取りまたは巻き戻されて両スプレッダ間が伸縮し、それによってブームを起伏させることができる。このブーム起伏機構には、ブーム起伏ロープが切断する場合を想定してブームを落下させないような安全装置を装備することがある。
【0003】
上記安全装置としては例えば実開平7−30280号公報に記載のものが知られている。この安全装置は、上部スプレッダまたは下部スプレッダにブーム起伏ロープをロックするためのワイヤロープ固定装置を設け、ブーム起伏ロープが破断して切断信号が出力された際に、シーブ上のブーム起伏ロープにブレーキブロックを押圧させてブーム起伏ロープを固定し、ブームの落下を防止するようになっている。
【0004】
また、同公報の図1に従来例として示されているように、ガントリと上部スプレッダとの間に安全ロープを緩ませた状態で架設したシンプルな構成の安全装置もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した前者の安全装置では、例えばアタッチメントにクラムセルを取り付けた掘削作業において巻き上げ中にクラムセルによるつかみを外してしまうと、ブームが前後に煽られてブーム起伏ロープの張力が瞬時ゼロになる。このとき、ブーム起伏ロープが破断したと判断して安全装置が働き、ブレーキブロックがシーブ上のブーム起伏ロープを押圧してブーム起伏ロープをロックしてしまう。このように、ブーム起伏ロープを直接固定してしまうとブーム起伏ロープの表面が傷付けられるため、安全装置が誤動作した場合であってもブーム起伏ロープを交換しなければならない。このロープ交換はコストがかかるだけでなく作業に手間がかかり、しかもその間は作業を中断しなければならない。
【0006】
また、後者の安全装置ではブーム起伏ロープを直接固定することはないものの、緩ませたブーム起伏ロープが伸び切るまではブームの落下を止めることができず周囲の構築物等にブームが衝突する恐れがある。しかも、落下するブームが加速されると、ブームが急停止したときにそのブームやガントリに衝撃を与えてそれらを破損することがある。
【0007】
本発明は以上のような従来のブーム起伏機構の安全装置における課題を考慮してなされたものであり、ブーム起伏ロープが破断した場合に速やかにブームの落下を防止することができ、しかも安全装置が誤動作した場合であってもブーム起伏ロープを傷付ける虞れのないブーム起伏機構の安全装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の本発明は、クローラ式クレーンの上部スプレッダと下部スプレッダ間でシーブを介してブーム起伏ロープを多数本掛け渡し、ロープ後端をブーム起伏用ウインチドラムに接続してなるブーム起伏機構において、ブーム起伏ロープ破断時にブームを支持する安全ロープと、ブームの起伏に追従してその安全ロープを緊張状態に保持する緊張手段と、前記ブーム起伏ロープの張力を測定する張力センサと、ブーム角度を検出するブーム角度計と、前記張力センサによって測定されるロープ張力が所定値以下で且つ前記ブーム角度計によって検出されたブーム角度の減少が所定値を越えた場合にロープ破断と判断し、前記安全ロープを移動不能にロックするロック手段とを備えてなるブーム起伏機構の安全装置である。
【0009】
本発明に従えば、ブーム起伏ロープの張力とブーム角度の双方を検出し、ブーム起伏ロープの張力が所定値以下で且つブーム角度の減少が所定値を越えたときに安全ロープをロックする。それにより、例えばブームが煽られて一時的に張力が低下するような場合には安全ロープがロックされず、それにより安全装置の誤動作が防止される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係るブーム起伏機構の安全装置が適用されるクレーンを示したものである。
【0012】
同図において、1はクローラ式の下部走行体であり、この下部走行体1上に上部旋回体2が旋回自在に搭載され、クレーン本体(ベースマシン)3が構成される。上部旋回体2の前部にはブームフットピン(図示しない)を中心としてブーム4が起伏自在に取り付られており、巻上用ウインチ5から引き出された巻上ロープ6がそのブーム4の上端部4aを経由して吊下げられ、例えば吊りフックやクラムセル(図示しない)を支持している。
【0013】
上記ブーム4の起伏はブーム起伏機構BMによって行われる。詳しくは、ブーム上端部4aから平行して伸びる一対の支持ロープ7は、上部スプレッダ8に接続され、上部スプレッダ8はブーム起伏ロープ9を介しガントリ10の上部に連結されている下部スプレッダ11と接続されている。このブーム起伏ロープ9の一方端はガントリ10に固定され、他方端は上部スプレッダ8及び下部スプレッダ11に備えられた複数のシーブを巻回して下部スプレッダ11から引き出され、ブーム起伏用ウインチドラム(以下ウインチドラムと呼ぶ)12に巻き取られている。そしてウインチドラム12によるブーム起伏ロープ9の巻取りまたは繰り出しにより、ブーム4が起伏するようになっている。なお、13はブーム4の起立角度を規制するためのバックストップである。
【0014】
図2はブーム起伏機構BMを拡大して示したものである。同図において、ブーム起伏機構BMは、上部スプレッダ8と下部スプレッダ11との間に複数本掛け渡されたブーム起伏ロープ9をウインチドラム12で巻取りまたは繰り出すようになっており、ウインチドラム12から引き出されたブーム起伏ロープ9は、ガントリ10上部に備えられているガントリシーブ15aを介して上部スプレッダ8及び下部スプレッダ11に備えられている第1シーブ16〜第5シーブ20に掛け渡される。
【0015】
詳しくは、ガントリシーブ15a→第1シーブ16の上溝→第2シーブ17の上溝→第1シーブ16の下溝→第2シーブ17の下溝→第3シーブ18の下溝→第4シーブ19の最下溝(3段目)→第5シーブ20の下溝→第4シーブ19の中溝(2段目)→第5シーブ20の上溝→第4シーブ19の最上溝(1段目)→第3シーブ18の上溝の順に掛け渡され、さらにガントリシーブ15bを折り返された後、ブーム起伏ロープ9の張力を検出するためのロードセル(張力センサ)21を介してガントリ10の前側支柱10aに固定されている。
【0016】
この実施形態に係る安全装置は、上部旋回体2に固定された油圧モータ14と、その油圧モータ14で回転する安全ロープ巻取ドラム(以下、巻取ドラムと呼ぶ)14aと、巻取ドラム14aから繰り出される安全ロープ22とを有し、この安全ロープ22はガントリ10上部に備えられているシーブ23を介してそのロープ端が上部スプレッダ8の幅方向端部8aに固定されている。また、安全ロープ22は下部スプレッダ11の幅方向端部11aを貫通しており、その幅方向端部11a内に、安全ロープ22の移動をロックするためのロック機構(ロック手段)24が備えられている。
【0017】
なお、油圧モータ14で駆動する巻取ドラム14aを上部旋回体2上に配置する上記構成では、既存のクレーンを大幅に設計変更することなく安全装置を付加することができる。
【0018】
また、上記安全装置は、上部スプレッダ8及び下部スプレッダ11の両側に配設された2本の安全ロープ22をロックするように構成されており、ブーム起伏ロープ9が切断されたときに上部スプレッダ8と下部スプレッダ11とを均等に引張り、ブーム4を支持している支持ロープ7のバランスが崩れることを防止している。なお、22aは安全ロープ22のロープ端に取り付られた固定金具である。
【0019】
図3は、上記安全装置の動作を説明するための構成図である。なお、図2と同じ構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0020】
ブーム起伏ロープ9の張力を検出するロードセル21から出力される張力検出信号S1はコントローラ30に与えられ、また、ブーム角度を検出するブーム角度計31から出力されるブーム角度信号S2もまたコントローラ30に入力される。このコントローラ30は後述する電磁切換弁38の動作を制御するようになっている。
【0021】
一方、油圧モータ14は油圧ポンプ32から供給される圧油で駆動し、設定圧を越えるとリリーフ弁33を開いて圧油をタンク34に逃がすようになっている。それにより、ブーム4角度が変化した場合であっても安全ロープ22を常に一定の力で巻き取り、緊張状態を維持することができる。なお、上記油圧ポンプ32、油圧モータ14及びリリーフ弁33は緊張手段として機能する。
【0022】
ロック機構24は、安全ロープ22の移動経路近傍に配置された固定壁面240と、その固定壁面240に安全ロープ22を押圧して安全ロープ22をロックするための偏心カム241と、その偏心カム241を回動させるカム作動用油圧シリンダ242と、偏心カム241を安全ロープ22から離してロックを解除するロック解除用油圧シリンダ243とを備えている。
【0023】
このロック機構24を、ブーム4を支持するのに十分な強度を有する下部スプレッダ11に設けると、ロック機構24取付け用の特別な支持部材を用意する必要がないという利点がある。
【0024】
図4(a)は安全ロープ22をロックする構成を、図4(b)はロック解除する構成をそれぞれ拡大して示したものである。ただし、図4(b)ではカム作動用シリンダ242の図示を省略している。
【0025】
図4(a)の正面図において、ロック機構24が作動しておらず安全ロープ22が拘束されていない状態では、偏心カム241と安全ロープ22との間に所定の間隙t1が確保されている。なお、この間隙t1は、ロープ径及びロープの種類に応じて上記カムの径を適宜設定することで決定される。本実施形態ではこの間隙t1を例えば6mmとして以下、ロック機構の動作を説明する。
【0026】
カム作動用シリンダ242のロッド242aを伸長させて偏心カム241を基準位置pから回転(0°〜40°の範囲で)させると、カム外周面の突出量t2は0〜9mmまで変位することができ、カム回転角20°で安全ロープ22のロックが始まる。それにより、安全ロープ22が壁面240と偏心カム241との間に挟まれた状態で固定される。このように、シリンダを用いて偏心カム241を回転させ、安全ロープ22を固定面との間に挟んだ状態で押圧するように構成にしたため、安全ロープ22を確実に固定することができる。
【0027】
図4(b)の底面図において、偏心カム241はテーパピン241aを回転軸として枢支されており、このテーパピン241aの外側端部は、圧縮コイルばね244によって矢印A方向に付勢され偏心カム241と係合されている。テーパピン241aの内側端部には同軸上にロック解除用油圧シリンダ243が配置され、そのロッド243aが圧縮コイルばね244の付勢に抗してストロークt3分伸長すると、テーパピン241aと偏心カム241との係合が解消される。このとき、カム作動用シリンダ242のロッド242aを縮小すれば安全ロープ22のロックを解除することができる。なお、ロック解除用油圧シリンダ243のロッド243aを縮小させると、圧縮コイルばね244の付勢力によって再びテーパピン241aと偏心カム241が係合する。
【0028】
上記カム作動用シリンダ242及びロック解除用油圧シリンダ243は、図3に示した油路35及び36を通じて油圧ポンプ37から圧油が供給される。油路35にはコントローラ30から出力されるロック信号S3を受けて開動作する電磁切換弁38が備えられ、油路36には解除スイッチ39から出力される解除信号S4を受けて開動作する電磁切換弁40が備えられている。
【0029】
次に上記構成を有する安全装置の動作を図3を参照しながら説明する。
【0030】
ブーム4による吊り作業が行われると、ロードセル21によってブーム起伏ロープ9の張力が検出されてコントローラ30に張力検出信号S1が与えられるとともに、ブーム角度計31によってブーム角度が検出されてコントローラ30にブーム角度信号S2が与えられる。コントローラ30は、ブーム起伏ロープ9の張力が所定値以下、具体的にはほぼゼロであり、且つブーム角度の減少度合いが一定以上のとき、ブーム起伏ロープ9が破断したと判断し、電磁切換弁38を遮断位置アから連通位置イに切り換える。
【0031】
つまり、例えばクラムセルによる掘削作業において支持ロープ7の巻き取り中にクラムセルのつかみが外れると、ブーム4が前後に煽られることがある。このような場合、ブーム起伏ロープ9が切断されていなくともブーム起伏ロープ9の張力が瞬時ゼロになり、ブーム起伏ロープ9は破断したとみなされる虞れがある。この場合、コントローラ30はブーム角度の減少に所定値(本実施形態では3°に設定)を設定しており、その所定値を越えてブーム角度が減少すると電磁切換弁38を開き、カム作動用シリンダ242を駆動するようにしている。従ってブーム4が煽られただけの場合にはブーム4の角度減少が小さいため、電磁切換弁38は閉じたままであり安全装置の誤動作を防止することができる。
【0032】
一方、ブーム起伏ロープ9が切断された場合には、ブーム起伏ロープ9の張力がほぼゼロであり且つブーム角度の減少が所定値を越えるため、電磁切換弁38が開かれ、カム作動用シリンダ242のロッド242aが伸長されて偏心カム241を回転させ、安全ロープ22を壁面240に押圧してロックする。
【0033】
また、ブーム起伏ロープ9が切断した場合は、ロープ交換後、ロック解除スイッチ39をonすると、電磁切換弁40がウ位置からエ位置に切り換わって開き、ロック解除用油圧シリンダ243のロッド243aが伸長し、偏心カム241からテーパピン241aが離れ、安全ロープ22のロック解除が可能になる。また、ロック解除スイッチ39をonした際にコントローラ30に対しても解除信号S5が与えられ、コントローラ30は電磁切換弁38を閉じ位置アに復帰させ、それにより、偏心カム241が初期位置に復帰する。
【0034】
安全ロープ22のロック解除が完了した後、ロック解除スイッチ39をoffすると、電磁切換弁40が閉じ、ロック解除用油圧シリンダ243のロッド243aは圧縮コイルばね243によって押し戻され、偏心カム241とテーパピン241aが係合する。
【0035】
なお、上述した実施形態のロック機構では、1つの偏心カム241で安全ロープ22の片側を押圧するように構成したが、これに限らず安全ロープ22の両側を一対の挟圧片で挟み込むようにしてロックするものであってもよく、また、安全ロープ22の外周面に沿って配設された複数の挟圧片を求心方向に絞めることにより安全ロープ22をロックするものであってもよい。
【0036】
上記した偏心カム241を用いて安全ロープ22を押圧しロックする構成は、装置の小型化が図れる(下部スプレッダ内に収納することができる)点で好ましいが、例えば安全ロープ22を巻き取る巻取ドラム14aのフランジ部に爪部を等間隔に形成し、その爪部に対して係脱し得るパウルを上部旋回体上に設け、安全ロープ22をロックするように構成することもできる。
【0037】
このような機械的なロック機構によれば、ロックの解除が容易になりロック機構の構成も簡単になる。また、安全ロープ22を直接押圧しないため安全ロープ22を傷めることがないという利点がある。また、機械的なロック機構は、上部旋回体上に限らずガントリ10に設けることもできる。ガントリ10に設ける場合、その上部に備えたシーブと一体構成としてもよく、また、ガントリ前側支柱10aの側面部分等に固定するものであってもよい。ただし、この場合、巻取ドラムのフリートアングルが既定値以内に納まるように、例えば後述する図6のシーブ51のようにガイド用のシーブを適宜設ける必要がある。
【0038】
また、機械的なロック機構によれば、安全ロープ22を緊張させる機構とロックする機構が一カ所に集合されるため、油圧回路の簡素化が図れ故障の発生を少なくすることができる。しかも点検箇所を減らすこともできる。さらに、起伏ロープ9が切断した場合には、左右の安全ロープ22を同時にロックすることができる。
【0039】
また、油圧モータ14の圧油戻り側油路41に電磁切換弁を追加し、タンク34に戻る圧油を遮断することによって巻取ドラム14aを停止させ安全ロープ22をロックすることもできる。
【0040】
図5〜図10は、安全装置の他の実施形態を示したものである。なお、以下に説明する各図において、(a)図は平面図、(b)図は上部旋回体を後方から見た図、(c)図は要部正面図を表している。
【0041】
図5に示すものは、安全ロープ22を巻き取る巻取ドラム14a及びその駆動源である油圧モータ14を、ガントリ10の前側支柱10aの基端側に配置したものである。なお、この場合、巻取ドラム14a及び油圧モータ14は、ガントリ10を倒伏させる際に障害とならないように配置することが好ましい。なお、上記巻取ドラム14aは、クレーンを輸送する際の高さ制限や、搬送性を考慮してクレーン本体、ガントリ10の前側支柱10aから取り外し可能な構成としてもよい。
【0042】
図6に示すものは、安全ロープ22の巻取り機構をコンパクト化したものである。図中、B点を境として右側に延びる安全ロープ22、すなわち、ロック機構24によってロックされる範囲の安全ロープ22aについてはブームを支持できる強度を有するロープ径とし、左側に延びる安全ロープ22b、すなわち、単に安全ロープ22を緊張状態に保つために機能する範囲の安全ロープ22bについては細径としている。従って安全ロープ22の巻き取り/巻き戻しを行う巻取ドラム50及びその駆動源である油圧モータ(図示しない)を小型化することができる。なお、51はガイドシーブである。
【0043】
図6の実施形態においては、安全ロープ22をブーム起伏機構BMの左右両側に沿って配設し、この左右双方の安全ロープ22をそれぞれ別個の巻取ドラム50,50によって巻き取り/繰り出しする構成とした。しかしながら、軸方向にドラムを2分割した構成の2層式ドラムを使用すれば、単一の油圧モータで巻取りまたは繰り出しを行うことができる。この場合、上部スプレッダ8の左右両端部に一方端が固定されて平行配置される安全ロープ22は、ガントリの上部に備えられたシーブ、及びガイドシーブ51を介して2層式ドラムの各層に導かれる。
【0044】
図7に示すものは、上部スプレッダ8上の幅方向中央にシーブ55を取り付け、そのシーブ55で折り返した安全ロープ22の各ロープ端を巻取ドラム14aで巻き取るように構成している。この構成によれば、各ロック機構24において動作がわずかに遅れた場合であっても、上部スプレッダ8の中央部を支持しているため支持ロープ7のバランスを崩すことがないという利点がある。
【0045】
図8に示すものは、図7に示す安全ロープ22を1つの巻取ドラム14aで巻き取り/繰り出しするようにしたものである。安全ロープ22の一方端部は下部スプレッダ11から延設された固定部56に固定され、他方端は巻取ドラム14aに導かれている。そしてロック機構24は巻取ドラム14aによって巻き取られるロープ側に配置されている。この構成は、緊張手段である巻取ドラム14aを1つで構成することができるため、巻取ドラム14aの配置スペースが制約される場合に好適である。
【0046】
図9に示すものは、図7に示す安全ロープ22の構成を採用するとともに、図5に示したように、各巻取ドラム14aをガントリ10の前側支柱10aに配置したものである。この構成では、分解、輸送時に安全装置をクレーン本体から取り外すことなく、ガントリ前側支柱10aに取り付たままの状態で輸送することが可能になる。従って、上部旋回体2を分解して輸送する機会の少ない比較的小型のクレーンに好適である。また、既存のクレーンを大幅に設計変更することなく安全装置を付加することができる。
【0047】
図10に示すものは、安全ロープ22が1本のロープで構成されている。そして、上部旋回体の後部(カウンターウエイト)上面で、ガントリの左右両側且つ後方に一対の巻取ドラム50,50が設けられている。その巻取ドラム50,50は、一方端に油圧モータが接続されている駆動軸50aによって左右同時に回動するようになっている。すなわち、1本の安全ロープの両端を同時に巻き取り、または繰り出しすることができるように一対の巻取ドラム50,50が同軸上に配置されている。その他の構成については基本的に図6に示した構成と同じものであり、安全ロープ22の巻取り機構をコンパクト化したものである。また、この構成によれば、巻き取り機構をコンパクトにしつつブーム起伏ロープ9が切断した場合にはブーム4をバランス良く支持することができる。
【0048】
なお、上述した実施形態においては、安全ロープ22の巻取機構をガントリやクレーン上部旋回体のカウンターウエイト上に設けたが、これに限らず、起伏ロープ9の巻取り用ウインチドラムと並列に配置してもよく、要するに、ガントリ上部に備えられたシーブを介してクレーン本体側に導かれる安全ロープ22が巻き取りまたは繰り出し可能であれば、巻取機構は任意の部位に配置することができる。
【0049】
また、本発明のロック機構24は、安全ロープ22を確実にロックすることができるものであれば、安全ロープ22を瞬時にロックして停止させるものに限らず、ブーム4の落下が小さい範囲であれば緩やかにロックして停止させてもよい。ロックを緩慢に作動させる手段としては、具体的には、ロックのために使用される圧油を、コントローラで制御される電磁切換弁によって緩やかに供給するという従来周知の油圧制御で実現することができる。
【0050】
ブーム4を緩やかに停止させる構成によれば、安全ロープ22を緊張させた状態で巻き取り/繰り出しする際に、安全ロープ22を緩やかにロックすることができるため、起伏ロープ9切断時において衝撃を発生することなくブーム4を円滑に停止させることができるようになる。それにより、ロック機構24のみならず、ガントリ10、下部スプレッダ11等のクレーン本体側の構成部材についても破損を防止することができ、その結果、クレーンの寿命を長くすることができる。
【0051】
また、上述した実施形態ではブーム起伏ロープ9の張力とブーム角度の双方を検出することにより、起伏ロープ9の切断を正確に検出するように構成したが、張力センサ21によってロープ破断が検出されたことのみに基づいてロック機構24を作動させてもよく、或いは、ブーム角度計31によってロープ破断が検出されたことのみに基づいてロック機構24を作動させるように構成してもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば、クローラ式クレーンにおいてブーム起伏ロープの張力とブーム角度の双方を検出し、ブーム起伏ロープの張力が所定値以下で且つブーム角度の減少が所定値を越えたときに安全ロープをロックするようにしたため、例えばブームが煽られて一時的に張力が低下するような場合には安全ロープがロックされず、それにより安全装置の誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る安全装置が適用されるクレーンの外観図である。
【図2】クレーンのブーム起伏機構を示す斜視図である。
【図3】本発明の安全装置の構成図である。
【図4】(a)は図3に示すロック機構の拡大正面図、(b)はロック解除機構の拡大底面図である。
【図5】安全装置の第2の実施形態を示す説明図であり、(a)は要部平面図、(b)は上部旋回体を後方から見た図、(c)は要部正面図である。
【図6】安全装置の第3の実施形態を示す図5相当図である。
【図7】安全装置の第4の実施形態を示す図5相当図である。
【図8】安全装置の第5の実施形態を示す図5相当図である。
【図9】安全装置の第6の実施形態を示す図5相当図である。
【図10】安全装置の第7の実施形態を示す図5相当図である。
【符号の説明】
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 クレーン本体
4 ブーム
5 巻上用ウインチ
6 巻上ロープ
7 支持ロープ
8 上部スプレッダ
9 ブーム起伏ロープ
10 ガントリ
11 下部スプレッダ
12 ウインチドラム
14a 巻取ドラム
21 ロードセル
22 安全ロープ
24 ロック機構
Claims (1)
- クローラ式クレーンの上部スプレッダと下部スプレッダ間でシーブを介してブーム起伏ロープを多数本掛け渡し、ロープ後端をブーム起伏用ウインチドラムに接続してなるブーム起伏機構において、
ブーム起伏ロープ破断時にブームを支持する安全ロープと、ブームの起伏に追従してその安全ロープを緊張状態に保持する緊張手段と、前記ブーム起伏ロープの張力を測定する張力センサと、ブーム角度を検出するブーム角度計と、前記張力センサによって測定されるロープ張力が所定値以下で且つ前記ブーム角度計によって検出されたブーム角度の減少が所定値を越えた場合にロープ破断と判断し、前記安全ロープを移動不能にロックするロック手段とを備えてなることを特徴とするブーム起伏機構の安全装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35482699A JP3543706B2 (ja) | 1999-12-14 | 1999-12-14 | ブーム起伏機構の安全装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35482699A JP3543706B2 (ja) | 1999-12-14 | 1999-12-14 | ブーム起伏機構の安全装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001163580A JP2001163580A (ja) | 2001-06-19 |
JP3543706B2 true JP3543706B2 (ja) | 2004-07-21 |
Family
ID=18440169
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35482699A Expired - Fee Related JP3543706B2 (ja) | 1999-12-14 | 1999-12-14 | ブーム起伏機構の安全装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3543706B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6577784B2 (ja) * | 2015-08-06 | 2019-09-18 | 新明和工業株式会社 | 旅客搭乗橋 |
CN112110357B (zh) * | 2020-09-16 | 2022-05-17 | 北京城建亚泰金典建设工程有限公司 | 一种物料运输装置 |
CN113816285B (zh) * | 2021-08-10 | 2024-02-27 | 中联重科建筑起重机械有限责任公司 | 塔机a字架的安装方法 |
CN113859297B (zh) * | 2021-10-11 | 2024-02-20 | 华能武汉发电有限责任公司 | 一种空车调车机用钢丝绳断裂保护装置 |
-
1999
- 1999-12-14 JP JP35482699A patent/JP3543706B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001163580A (ja) | 2001-06-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8640895B2 (en) | Drum tensioning method and apparatus for load hoist wire rope | |
JPH08326456A (ja) | 下方押込み式テレスコピックオーガ装置 | |
JP7433100B2 (ja) | 作業機械の油圧駆動装置 | |
CN108883919B (zh) | 起重机 | |
JP4186822B2 (ja) | 移動式クレーン | |
JP3543706B2 (ja) | ブーム起伏機構の安全装置 | |
JP5570198B2 (ja) | ブーム付き作業機におけるブーム撓み抑制装置 | |
JP2003095584A (ja) | タワークレーンの安全装置 | |
US3134488A (en) | Crane | |
JP3922514B2 (ja) | 油圧クレーン | |
JP7322528B2 (ja) | ジブ係留装置 | |
JPH10194679A (ja) | タワークレーンの安全装置 | |
JP6003556B2 (ja) | 移動式タワークレーンのジブ固定方法 | |
JP3472191B2 (ja) | タワークレーンの安全装置 | |
JP4198371B2 (ja) | ウインチの駆動制御装置 | |
JP2000289990A (ja) | ロープウインチ | |
JP2021014345A (ja) | 移動式クレーン | |
JPH1017277A (ja) | タワークレーンの安全装置 | |
EP4230567A1 (en) | Parking brake device and work machine equipped with same | |
JPH0812269A (ja) | ブームの張り出し、格納方法および装置 | |
JP7463440B2 (ja) | 建設機械の制御装置、建設機械及び建設機械の制御方法 | |
JP7111130B2 (ja) | ジブ係留装置およびジブ係留方法 | |
JP3786785B2 (ja) | 油圧式ドラム駆動装置 | |
JP7019470B2 (ja) | アースドリル | |
JP5576645B2 (ja) | ブーム付き作業機 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040316 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040329 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20040918 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
A072 | Dismissal of procedure |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A072 Effective date: 20050111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080416 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090416 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090416 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100416 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100416 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110416 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120416 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140416 Year of fee payment: 10 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |