JP3543685B2 - 導電性ボールの移載装置および移載方法 - Google Patents

導電性ボールの移載装置および移載方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ボールを吸着してワークに移載する導電性ボールの移載装置及び移載方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
基板や電子部品の電極に金属バンプを形成する方法として、半田ボールなどの導電性ボールを電極上に移載して半田接合する方法が知られている。導電性ボールの移載には、移載ヘッドにより導電性ボールを真空吸着する方法が広く用いられている。この方法は、移載ヘッドの吸着ツールの下面に設けられた多数の吸着孔に導電性ボールを吸着させてこの吸着ツールをワーク上に移動させ、真空吸着を解除することにより導電性ボールをワークに移載するものである。吸着ツールの下面に導電性ボールを吸着させる方法として、従来より多数の導電性ボールを貯溜したボール槽に対して吸着ツールを下降させ、吸着ツールの下面を導電性ボール層内に沈下させた状態で吸着孔から真空吸引する方法が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ボール槽から直接吸着ツールに直接導電性ボールを吸着させる上記方法では、以下に述べるような問題があった。まず、ボール槽内の導電性ボールはランダムに投入された不規則な状態にあるため、吸着ツール下面の各吸着孔に速やかにもれなく導電性ボールを吸着させることが難しい。このため、導電性ボール層内に気体を吹き込んで導電性ボールを流動化させたり、吸着ツールを導電性ボール層に対して相対的に振動させるなど、導電性ボールの吸着を促進するための手段を必要としており、各吸着孔にもれなく導電にボールが吸着されるまでには相当の時間を要していた。
【0004】
また、導電性ボールを吸着した吸着ツールはワークへの移載動作に移行するが、吸着ヘッドがこの移載動作を終えて再びボール槽に戻るまで、ボール槽ではボール吸着のための動作は何ら行われていなかった。このため上述のボール吸着動作そのものに時間を要することと相まって、導電性ボールの移載動作のタクトタイムは短縮が困難であり、大幅な生産性向上は望めなかった。さらに吸着ツールによる吸着動作においては、導電性ボールが吸着されない吸着孔が生じたり、吸着ツールの下面に余分な導電性ボールが吸着されるなどの吸着ミスが発生しやすく、このことがワークへの移載ミスを招く原因となっていた。このように従来の導電性ボールの移載装置には、移載ヘッドへ導電性ボールを速やかにかつ正確に吸着させることが困難であるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、移載ヘッドに導電性ボールを速やかに正しく吸着させることができる導電性ボールの移載装置および移載方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項記載の導電性ボールの移載装置は、導電性ボールを保持して所定位置へ移載する導電性ボールの移載装置であって、上面に1個の導電性ボールを収容可能な凹部を所定の配列で複数備えた配列部材と、この配列部材に配列された複数の導電性ボールをピックアップして所定位置へ移載する移載ヘッドと、この移載ヘッドによる導電性ボールのピックアップ動作後の配列部材上に残存する導電性ボールを検出する残存ボール検出手段と、残存ボールが検出されたならば移載ヘッドによるピックアップミスと判断するピックアップミス判定手段とを備え、前記残存ボール検出手段は、前記配列部材の上面に平行な光軸を有する1対の発光部および受光部よりなる光センサと、この光軸を配列部材の上面に沿って相対的に移動させる移動手段とを備えた。
【0008】
請求項記載の導電性ボールの移載装置は、請求項記載の導電性ボールの移載装置であって、前記配列部材の表面に、前記光軸と平行で複数の凹部の中心と交差する直線溝を形成した。
【0009】
請求項記載の導電性ボールの移載装置は、導電性ボールを保持して所定位置へ移載する導電性ボールの移載装置であって、上面に1個の導電性ボールを収容可能な凹部を所定の配列で複数備えた配列部材と、この配列部材に配列された複数の導電性ボールをピックアップして所定位置へ移載する移載ヘッドと、この移載ヘッドによる導電性ボールのピックアップ動作後の配列部材上に残存する導電性ボールを検出する残存ボール検出手段と、残存ボールが検出されたならば移載ヘッドによるピックアップミスと判断するピックアップミス判定手段とを備え、前記残存ボール検出手段は、配列部材の上面を撮像するカメラと、このカメラを配列部材の上面に沿って移動させる移動手段と、カメラで撮像した画像より導電性ボールを検出する画像処理部とを備えた。
【0010】
請求項記載の導電性ボールの移載装置は、請求項1記載の導電性ボールの移載装置であって、前記配列部材の上面の余分な導電性ボールを除去するボール除去手段を前記光センサと一体的に備えた。
【0011】
請求項記載の導電性ボールの移載装置は、請求項記載の導電性ボールの移載装置であって、前記ボール除去手段は、導電性ボールを掻き落とす板状のスキージである。
【0012】
請求項記載の導電性ボールの移載装置は、請求項記載の導電性ボールの移載装置であって、前記ボール除去手段は、導電性ボールに摺接するブラシである。
【0013】
請求項記載の導電性ボールの移載装置は、請求項記載の導電性ボールの移載装置であって、前記ボール除去手段は、導電性ボールに対して気体を噴射するエアノズルである。
【0016】
請求項記載の導電性ボールの移載方法は、導電性ボールを所定の位置へ移載する導電性ボールの移載方法であって、配列部材の上面に所定の配列で複数形成された凹部に導電性ボールを1個づつ収容する工程と、前記凹部に収容されている複数の導電性ボールを移載ヘッドでピックアップする工程と、ピックアップ動作後前記凹部に残存する導電性ボールを検出する工程とを含み、前記配列部材に平行な光軸を有する発光部と受光部より成る光センサの光軸をこの配列部材の上面に沿って相対的に移動させ、このときの受光部が受光する光量の変化より前記凹部に残存する導電性ボールを検出するようにした。
【0017】
請求項記載の導電性ボールの移載方法は、導電性ボールを所定の位置へ移載する導電性ボールの移載方法であって、配列部材の上面に所定の配列で複数形成された凹部に導電性ボールを1個づつ収容する工程と、前記凹部に収容されている複数の導電性ボールを移載ヘッドでピックアップする工程と、ピックアップ動作後前記凹部に残存する導電性ボールを検出する工程とを含み、前記配列部材の上面を撮像するカメラを備え、このカメラで撮像した画像より前記凹部に残存する導電性ボールを検出するようにした。
【0018】
本発明によれば、導電性ボールを配列する配列部材と、移載ヘッドによる導電性ボールのピックアップ動作後に配列部材上に残存する導電性ボールを検出する残存ボール検出手段と、残存ボールが検出されたならば移載ヘッドによるピックアップミスと判断するピックアップミス判定手段とを備えることにより、導電性ボールを速やかにかつ正確に吸着させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の導電性ボールの移載装置の斜視図、図2は同導電性ボールの移載装置のボール供給部の斜視図、図3は同導電性ボールの移載装置のボール供給部の断面図、図4(a)は同ボール供給部の配列部材の部分平面図、図4(b)は同ボール供給部の配列部材の断面図、図5、図6、図7は同導電性ボールの移載装置の動作説明図、図8は同残存ボール検出手段による残存ボール検出の説明図、図9、図10は同導電性ボールの移載装置のボール供給部の部分断面図である。
【0020】
まず図1を参照して導電性ボールの移載装置の構造を説明する。図1において基台1の中央にはX方向に搬送路2が配設されている。搬送路2は基板3を搬送し位置決めする。基台1の上面の両端部には2基のY軸テーブル5が配設されている。Y軸テーブル5にはX軸テーブル6が架設されており、X軸テーブル6には吸着ツール8を備えた移載ヘッド7が装着されている。X軸テーブル6およびY軸テーブル5を駆動することにより移載ヘッド7は水平移動する。
【0021】
搬送路2の前方には、導電性ボール4のボール供給部9が配設されている。ボール供給部9は導電性ボール4を所定の配列パターンで配列する配列部材10を備えている。移載ヘッド7を配列部材10に位置させ、移載ヘッド7を配列部材10に対して下降させることにより、移載ヘッド7は配列部材10上に配列された導電性ボール4を吸着ツール8によって吸着してピックアップし、この導電性ボール4を基板3上の所定位置に移載する。
【0022】
次に図2、図3、図4を参照してボール供給部9について説明する。図2において、ボール槽12は無底の略箱状の容器であり、ボール槽12の内部には箱部材11が配設されている。箱部材11の上部には配列部材10が装着され、箱部材11の内部は気密に形成された暗箱となっている。図3は図2のA−A断面を示しており、ボール槽12の上部には、4辺から内側に向かって延出する延出部12aが設けられている。箱部材11は、延出部12aの端面によって形成される開口部内に挿入されている。延出部12aの上面は内側に向かって傾斜した傾斜面12bとなっており、箱部材11の側面と傾斜面12bによって形成される凹部内は、導電性ボール4を貯溜する貯溜部12cとなっている。
【0023】
箱部材11の底面にはラック部材14が垂直方向に取り付けられており、ラック部材14にはモータ16によって回転駆動されるピニオン15が噛み合っている。モータ16を駆動することにより、箱部材11は上下動する。箱部材11が下降し、配列部材10が貯溜部12cのボール貯溜レベルより下方に位置した状態では、貯溜部12c内の導電性ボール4は傾斜面12b上を下方に転落し、配列部材10の上面に移動する(図5(a)参照)。すなわち、導電性ボール4を貯溜する貯溜部12cおよび箱部材11を上下動させるモータ16は、配列部材10上に導電性ボール4を供給するボール供給手段となっている。
【0024】
ここで図4を参照して配列部材10について説明する。図4(a)に示すように配列部材10の上面には複数の円形状の凹部10aが格子状に設けられている。凹部10aの配列ピッチPx,Pyは所定の配列、すなわち移載ヘッド7の吸着ツール8に設けられた吸着孔8aの配列ピッチと等しく設定されている。図4(b)はB−B断面を示しており、凹部10aの径Dおよび深さd1は、導電性ボール4を1個収容可能な大きさに設定されている。
【0025】
凹部10aの底面には配列部材10を貫通する貫通孔10cが設けられており、凹部10a内に導電性ボール4が存在する状態で、貫通孔10cから真空吸引することにより、導電性ボール4は凹部10a内に保持される。したがって、凹部10aおよび貫通孔10cは導電性ボール4を保持するボール保持部となっている。またX方向の凹部列を形成する各凹部10aの中心と交差して、直線状の溝10bがX方向に設けられている。
【0026】
ボール槽12の上面は、左右両方向(X方向)に張り出した張り出し部13となっており、張り出し部13の上面にはY方向にガイドレール17が配設されている。ガイドレール17には、スライダ18が水平方向にスライド自在に嵌合しており、手前側のスライダ18の側面には、ナット19が固着されている。ナット19には、モータ21によって回転駆動される送りねじ20が螺入している。
【0027】
2つのスライダ18上には門型のフレーム22が架設されている。フレーム22の中央部には、取付部材24を介してスキージ25およびライン発光部26を一体的に取り付けたボール除去・検査ユニット23が取り付けられている。スキージ25は板状の部材であり、下端部が上昇した配列部材10の上面から僅かな隙間を保った高さ位置にある。モータ21を駆動することにより、スキージ25は配列部材10の上面に沿って相対的に水平移動する。配列部材10上に導電性ボール4が存在する状態でスキージ25を配列部材10の上面に沿って移動させることにより、スキージ25は下端部で導電性ボール4を掻き寄せながら移動し、導電性ボール4を配列部材10に設けられた凹部10a内に進入させるとともに、凹部10a以外に位置する余分な導電性ボール4を移動させて配列部材10上から掻き落として除去する。すなわち、スキージ25は配列部材10上の余分な導電性ボールを除去するボール除去手段となっている。
【0028】
また箱部材11の下部にはチューブ36が接続されており、チューブ36は切り換え弁37を介して図示しない真空吸引源および空気供給源と接続されている。切り換え弁37を切り換えることにより、箱部材11の内部を真空吸引し、または内部に正圧のエアを送給することができる。配列部材10の凹部10a内に導電性ボール4が存在する状態で箱部材11の内部を真空吸引することにより、導電性ボール4は凹部10a内に真空吸着により保持される。また箱部材11の内部にエアを送給することにより、凹部10a内の導電性ボール4はエアブローにより外部へ排出される。
【0029】
ライン発光部26はケーブル27を介して光源装置28と接続されている。ライン発光部26が配列部材10上に位置した状態で光源装置28を駆動することにより、配列部材10の上方から凹部10aに対して光が照射される。したがって光源装置28およびライン発光部26は発光手段となっている。箱部材11の配列部材10の下方には暗室が形成されており、ライン発光部26から照射された光を遮光する遮光物が凹部10a内に存在しない状態では、貫通孔10cを貫通して箱部材11の内部に光が進入し、内部に斜め方向に配設された反射板31によって水平方向に反射される。
【0030】
反射された光は、箱部材11の内側面に配設された光センサ32に入射する。光センサ32は検出部34と接続されており、検出部34は光センサ32に光が入射したことを検出する。すなわち、光センサ32および検出部34はライン発光部26から発光され、貫通孔10cを貫通した光を検出する検出手段となっている。
【0031】
検出部34には判定部35が接続されており、判定部35は検出部34の検出結果の信号に基づいて導電性ボール4の配列状態を判定する。すなわち、光センサ32への入光が検出されたならば、配列部材10の何れかの凹部10aに導電性ボール4が配列されていない配列ミスが生じていると判定する。したがって、判定部35は検出手段からの信号によって配列ミスを判定する配列ミス判定手段となっている。前述のようにライン発光部26はスキージ25と一体的に取り付けられており、モータ21を駆動することによりライン発光部26はスキージ25と一体的に配列部材10上で移動する。したがって、スキージ25によるボール除去と、配列ミスの判定を同一動作で同時に行うことが可能となっている。
【0032】
図2に示すように、スライダ18には発光部29A、受光部29Bを対にして組み合わせた光センサが取り付けられている。発光部29Aから発光された光が受光部29Bに至る光軸aは、その高さ方向が配列部材10の上面と平行で、かつ水平面内での方向は溝10bと平行となっている。そしてその高さ位置は、溝10bの高さ位置と一致するようになっている(図8参照)。モータ21を駆動してスライダ18を水平移動させながら、発光部29Aから光を発光することにより光軸aはY方向に移動し、配列部材10の各溝10bの位置に順次一致する。モータ21、送りねじ20およびナット19は、残存ボール検出手段である発光部29Aと受光部29Bの光軸aを配列部材10上で相対的に移動させる移動手段となっている。
【0033】
この移動において凹部10a内に導電性ボール4が存在する場合には、光軸aは導電性ボール4に遮光され、受光部29Bが受光する光強度は低下する。この光強度の低下を検知することにより、凹部10a内に存在する導電性ボール4を検出することができる。このボール検出は、配列部材10上に配列された導電性ボール4を移載ヘッド7によってピックアップするピックアップ動作後に、配列部材10の凹部10a内に残存する導電性ボール、即ち残存ボールの検出に用いられる。受光部29Bは検出部50(図8)に接続されており、受光部29Bからの信号を検出部50で受けることにより、検出部50は後述するグラフの波形に基づいて残存ボールを検出する。したがって、発光部29A、受光部29Bより成る光センサおよび検出部50は残存ボール検出手段となっている。そして、残存ボールが検出されたならば、判定部51によって、移載ヘッド7によるピックアップ動作においてピックアップミスがあったと判定される。したがって、判定部51はピックアップミス判定手段となっている。
【0034】
なお本実施の形態では、凹部10aと交差する溝10bを設けて、光軸aを溝10b内を通過させることにより残存ボールを検出するようにしているが、溝10bを設けない場合にあっても同様の方法で残存ボールを検出することができる。この場合には、凹部10aの深さ寸法を導電性ボール4の上部が突出するような深さに設定し、光軸aを配列部材10の上面に沿ってスキャンさせることにより、光軸aが導電性ボール4の上部によって遮光されるか否かで残存ボール検出を行えばよい。ただし、導電性ボール4のボール径が小さくなると、上部の突出部分のみによる遮光の有無を安定して検出することが難しくなるので、溝10bを設ける方法が望ましい。
【0035】
図3に示すように、箱部材11の外側面には振動子33が取り付けられている。振動子33を駆動することにより、箱部材11には超音波振動が伝達される。箱部材11を介して配列部材10に振動を伝達することにより、配列部材10を貯溜部12cのボール層内に下降させたときに、凹部10a内に導電性ボール4を進入させて捕捉するボール捕捉動作を促進する効果を有している。
【0036】
この導電性ボールの移載装置は上記のように構成されており、以下ボール供給部9によって移載ヘッド7へ導電性ボールを供給するボール供給動作について説明する。図5に示す状態に先立って、ボール槽12内には導電性ボール4が多数投入され、貯溜部12c内に貯溜される。
【0037】
この状態より、図5(a)に示すように箱部材11を下降させる。これにより配列部材10は貯溜部12cの導電性ボール4のボール層内に沈下し、配列部材10上には導電性ボール4が移動して配列部材10に供給される。このとき振動子33を駆動して凹部10a内への導電性ボール4の捕捉を促進すると共に、チューブ24を介して箱部材11の内部を真空吸引し、貫通孔10cから真空吸引する。これにより、凹部10a内に捕捉された導電性ボール4は保持される。このとき、ボール除去・検査ユニット23は配列部材10の上方から退避した位置にある。
【0038】
次いで、図5(b)に示すように箱部材11を上昇させる。これにより、配列部材10上に位置していた導電性ボール4の一部は、配列部材10の端部から貯溜部12c内に落下する。そして配列部材10上には不定量の導電性ボール4が残存する。この後、図5(c)に示すようにボール除去・検査ユニット23を矢印方向に移動させる。これにより、まずスキージ25が配列部材10上の導電性ボール4を進行方向に掻き寄せる。このとき未だ導電性ボール4が捕捉されていない凹部10aがあれば、この掻き寄せ動作において導電性ボール4が未捕捉の凹部10a内に落とし込まれる。そしてスキージ25は更に移動し、配列部材10の端部まで到達したときに、配列部材10上から余分な導電性ボール4を掻き落として除去する。除去された導電性ボール4は貯溜部12c内に落下する。
【0039】
このスキージ25によるボール除去動作と同時並行して、光源装置28を駆動してライン発光部26より配列部材10の各凹部10aに対して発光する。このとき、図6に示すように導電性ボール4が捕捉されていない凹部10aが存在する場合には、ライン発光部26より発光された光は凹部10a内の貫通孔10cを貫通して箱部材11内部の暗室内に進入し、反射板31に反射された光線Lは光センサ32に入射する。この光センサ32への入光は検出部34によって検出される。そして入力が検出された場合には判定部35によってボール配列ミス有りと判定される。なお、本実施の形態1では発光手段としてライン発光部26および光源装置28を用いているが、LED(発光ダイオード)をライン状に配列したものを用いてもよい。
【0040】
この後、ボール除去・検査ユニット23が配列部材10上から退避した後、図7(a)に示すように移載ヘッド7を配列部材10上に移動させ、吸着ツール8に設けられた吸着孔8aを凹部10aに対して位置あわせした後、吸着ツール8を配列部材10に対して下降させる。そして吸着ツール8の下面が配列部材10の上面に対して所定の吸着高さ位置まで下降したならば下降を停止し、吸着孔8aから真空吸着すると共に、箱部材11内部の真空吸引を解除する。
【0041】
これにより、凹部10a内に保持されていた導電性ボール4は吸着ツール8の吸着孔8aに真空吸着される。このとき、切り換え弁37を切り換えて、箱部材11の内部にわずかに正圧のエアを送給するようにしてもよい。これにより、凹部10aからの導電性ボール4の分離を容易にして、吸着孔8への導電性ボール4の吸着を促進する効果を有する。この後、図7(b)に示すように移載ヘッド7は上昇し、吸着ツール8の各吸着孔8aによって導電性ボール4をピックアップした移載ヘッド7は、基板3の所定位置に導電性ボール4を移載する。
【0042】
これにより、配列部材10の凹部10a内には導電性ボール4が存在しない状態となるが、何らかの原因によって吸着孔8aへの吸着ミスが発生し、ピックアップ動作後においても、図8(a)に示すように、凹部10a内に導電性ボール4が残存する場合がある。そこでこのような残存ボールを検出するためのボール検出動作を行う。
【0043】
すなわち、モータ21を駆動して、発光部29Aから受光部29Bに至る光軸aをY方向に移動させ、光軸aを溝10bの高さ位置でスキャンさせる。このとき、溝10bが交差する各凹部10a内に導電性ボール4の残存が全くない場合には、発光部29Aからの光は受光部29Bに受光されるため、受光部29Bからの信号を検出部34で受けることにより、検出部34で溝ピッチPyごとに光強度の山谷を示す波形のグラフが得られる(図8(b)(イ)参照)。
【0044】
これに対し、何れかの凹部10a内に導電性ボール4が残存している場合には、発光部29Aからの光は導電性ボール4によって遮光され受光部29Bまで到達しない。したがってこのような場合には、当該凹部10aの属する凹部列10aに対応する位置に本来表れるべき山の波形(図中矢印で示す破線部)が欠落したグラフが得られる(図8(b)(ロ)参照)。
【0045】
このグラフ波形による残存ボール検出は、受光部29Bからの信号を検出部50で受けることによって行われ、検出部50の残存ボール検出結果に基づいて、判定部51によって移載ヘッド7によるピックアップミスの有無が判定される。
【0046】
なお本実施の形態では、残存ボール検出手段として前述の発光部29Aと受光部29Bよりなる光センサを用いているが、これ以外の構成、例えば図9に示すように配列部材10の上方に、移動手段である移動テーブル38によって水平方向に移動可能な残存ボール検出手段であるカメラ39を配設し、カメラ39によって撮像した配列部材10の画像を画像処理部40によって処理して配列部材10の凹部10a内に残存する残存ボールを検出するようにしてもよい。
【0047】
また配列部材10上に導電性ボールを供給するボール供給手段として、図10(a)に示すように配列部材10上でボール散布ユニット41を移動させることにより、導電性ボール4を配列部材10上に散布するようにしてもよい。この方法によっても配列部材10上に散布された導電性ボール4は各凹部10a内に進入して捕捉され、このあとスキージ25を配列部材10上で移動させることにより、配列部材10上の余分な導電性ボール4を除去することができる。
【0048】
さらに導電性ボール4を配列部材10上から除去するボール除去手段として、スキージ25を用いる方法以外にも、例えば図10(b)に示すように、取り付け部材24にブラシ42を刷毛部の先端が配列部材10の上面に摺接するように取り付け、ブラシ42によって導電性ボール4を摺り落として除去する方法を用いてもよい。また取り付け部材24にスリット上のエア吹き出し口が設けられたエアノズル43を取り付け、ボール除去・検査ユニット23を移動させながらエア供給源44からエアノズル43にエアを供給し、このエアを先端部のエア吹き出し口から配列部材10上の導電性ボール4に向けて噴射し、配列部材10上の余分な導電性ボール4を吹き飛ばして除去するようにしてもよい。
【0049】
上記説明したように、本実施の形態は、導電性ボールを配列状態で配列部材上に保持させた状態で移載ヘッドに供給する導電性ボールの供給において、配列部材の上面に沿って相対的に移動しながら配列部材上の余分な導電性ボールを除去するボール除去手段と、配列部材上での導電性ボールの配列状態を検査するための発光手段とを一体的に設けて同一の移動動作で余分な導電性ボールの除去とボール配列状態の判定を行うようにしたものである。これにより、個別に移動機構を設ける必要がなく機構の簡略化が図れるとともに、動作時間の短縮を図ることができる。
【0050】
また、導電性ボールをピックアップした移載ヘッドがワークへの移載動作を行っている間に配列部材上への新たな導電性ボールの配列動作を並行的に行うことができるため、従来の単一の移載ヘッドにより導電性ボールのピックアップ動作および移載動作を行う方法と比較して、導電性ボールの移載に要するタクトタイムを大幅に短縮し、生産性を向上させることができる。
【0051】
そしてこのようにして配列された導電性ボールの移載ヘッド7への供給は、吸着ツールの吸着孔に合わせて配列された導電性ボールを吸着させるだけでよいため、従来の吸着ツールをボール槽に直接下降させて導電性ボールを吸着させる方法と比較して、きわめて短時間で移載ヘッドへの導電性ボールの供給を行うことができる。
【0052】
また、導電性ボールをピックアップした移載ヘッドがワークへの移載動作を行っている間に配列部材上への新たな導電性ボールの配列動作を並行的に行うことができるため、従来の単一の移載ヘッドにより導電性ボールのピックアップ動作および移載動作を行う方法と比較して、導電性ボールの移載に要するタクトタイムを大幅に短縮し、生産性を向上させることができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、移載ヘッドによる導電性ボールのピックアップ動作後の配列部材上に残存する導電性ボールを検出する残存ボール検出手段と、残存ボールが検出されたならば移載ヘッドによるピックアップミスと判断するピックアップミス判定手段とを備えることにより、導電性ボールを速やかにかつ正確に吸着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の導電性ボールの移載装置の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態の導電性ボールの移載装置のボール供給部の斜視図
【図3】本発明の一実施の形態の導電性ボールの移載装置のボール供給部の断面図
【図4】(a)本発明の一実施の形態のボール供給部の配列部材の部分平面図
(b)本発明の一実施の形態のボール供給部の配列部材の断面図
【図5】本発明の一実施の形態の導電性ボールの移載装置の動作説明図
【図6】本発明の一実施の形態の導電性ボールの移載装置の動作説明図
【図7】本発明の一実施の形態の導電性ボールの移載装置の動作説明図
【図8】本発明の一実施の形態の残存ボール検出手段による残存ボール検出の説明図
【図9】本発明の一実施の形態の導電性ボールの移載装置のボール供給部の部分断面図
【図10】本発明の一実施の形態の導電性ボールの移載装置のボール供給部の部分断面図
【符号の説明】
3 基板
4 導電性ボール
7 移載ヘッド
8 吸着ツール
9 ボール供給部
10 配列部材
10a 凹部
10b 溝
10c 貫通孔
11 箱部材
25 スキージ
26 ライン発光部
28 光源装置
29A 発光部
29B 受光部
32 光センサ
34 検出部
35 判定部

Claims (9)

  1. 導電性ボールを保持して所定位置へ移載する導電性ボールの移載装置であって、上面に1個の導電性ボールを収容可能な凹部を所定の配列で複数備えた配列部材と、この配列部材に配列された複数の導電性ボールをピックアップして所定位置へ移載する移載ヘッドと、この移載ヘッドによる導電性ボールのピックアップ動作後の配列部材上に残存する導電性ボールを検出する残存ボール検出手段と、残存ボールが検出されたならば移載ヘッドによるピックアップミスと判断するピックアップミス判定手段とを備え、前記残存ボール検出手段は、前記配列部材の上面に平行な光軸を有する1対の発光部および受光部よりなる光センサと、この光軸を配列部材の上面に沿って相対的に移動させる移動手段とを備えたことを特徴とする導電性ボールの移載装置。
  2. 前記配列部材の表面に、前記光軸と平行で複数の凹部の中心と交差する直線溝を形成したことを特徴とする請求項記載の導電性ボールの移載装置。
  3. 導電性ボールを保持して所定位置へ移載する導電性ボールの移載装置であって、上面に1個の導電性ボールを収容可能な凹部を所定の配列で複数備えた配列部材と、この配列部材に配列された複数の導電性ボールをピックアップして所定位置へ移載する移載ヘッドと、この移載ヘッドによる導電性ボールのピックアップ動作後の配列部材上に残存する導電性ボールを検出する残存ボール検出手段と、残存ボールが検出されたならば移載ヘッドによるピックアップミスと判断するピックアップミス判定手段とを備え、前記残存ボール検出手段は、配列部材の上面を撮像するカメラと、このカメラを配列部材の上面に沿って移動させる移動手段と、カメラで撮像した画像より導電性ボールを検出する画像処理部とを備えたことを特徴とする導電性ボールの移載装置。
  4. 記配列部材の上面の余分な導電性ボールを除去するボール除去手段を前記光センサと一体的に備えたことを特徴とする請求項記載の導電性ボールの移載装置。
  5. 前記ボール除去手段は、導電性ボールを掻き落とす板状のスキージであることを特徴とする請求項記載の導電性ボールの移載装置。
  6. 前記ボール除去手段は、導電性ボールに摺接するブラシであることを特徴とする請求項記載の導電性ボールの移載装置。
  7. 前記ボール除去手段は、導電性ボールに対して気体を噴射するエアノズルであることを特徴とする請求項記載の導電性ボールの移載装置。
  8. 導電性ボールを所定の位置へ移載する導電性ボールの移載方法であって、配列部材の上面に所定の配列で複数形成された凹部に導電性ボールを1個づつ収容する工
    程と、前記凹部に収容されている複数の導電性ボールを移載ヘッドでピックアップする工程と、ピックアップ動作後前記凹部に残存する導電性ボールを検出する工程とを含み、前記配列部材に平行な光軸を有する発光部と受光部より成る光センサの光軸をこの配列部材の上面に沿って相対的に移動させ、このときの受光部が受光する光量の変化より前記凹部に残存する導電性ボールを検出することを特徴とする導電性ボールの移載方法。
  9. 導電性ボールを所定の位置へ移載する導電性ボールの移載方法であって、配列部材の上面に所定の配列で複数形成された凹部に導電性ボールを1個づつ収容する工程と、前記凹部に収容されている複数の導電性ボールを移載ヘッドでピックアップする工程と、ピックアップ動作後前記凹部に残存する導電性ボールを検出する工程とを含み、前記配列部材の上面を撮像するカメラを備え、このカメラで撮像した画像より前記凹部に残存する導電性ボールを検出することを特徴とする導電性ボールの移載方法。
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