JP3543610B2 - 2相リラクタンスモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2相リラクタンスモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から良く知られる2相リラクタンスモータの構造について、以下に説明する。図12は典型的な2相リラクタンスモータを示す断面構成図である。図において、1は出力軸、2は回転子、3a〜3dは回転子の磁極突起、4は固定子、5a〜5hは固定子の磁極突起、6は巻線、7は空隙、9は絶縁部、12は溝部である。
【0003】
回転子2は、出力軸1の周りに配置され、複数個、この場合には4個の等しい間隔と等しい形状の回転子の磁極突起3a〜3dを有し、軸方向に複数枚、例えば100枚以上の電磁鋼板を積層して構成されている。また、固定子4は、回転子2の外周部に空隙7を隔てて配置され、複数個、例えば8個の等しい間隔と等しい形状の固定子の磁極突起5a〜5hを有する。固定子の磁極突起5a〜5hそれぞれの間には溝部12が設けられ、この溝部12を通って巻線6が固定子の磁極突起5a〜5hの周りに巻回されている。巻線6と磁極突起5a〜5hの間には、溝部12を取り囲むように配置された絶縁部13が設けられている。固定子4は回転子2と同様、複数枚例えば100枚以上の電磁鋼板を軸方向に積層した積層鋼板で構成されている。
【0004】
各磁極突起5a〜5hの周りに巻回された巻線6の相は、A相とB相が交互になるように巻かれている。また、固定子の磁極突起と回転子の磁極突起の組み合わせは、固定子の磁極突起5a〜5hの数2N(Nは任意の整数)個に対し、回転子の磁極突起3a〜3dの数は、固定子の磁極突起の数の半分、即ちN個となるように構成されている。
【0005】
次に、本モータの駆動原理を図13を用いて説明する。図13は固定子と回転子との相対位置が異なる場合において、コイルに電流を流した時の磁力線の発生する様子を示す磁力線図である。図において、×印は紙面に対し下向きに流れる電流、●印は紙面に対し上向きに流れる電流を示している。
図13(a)のように、固定子の磁極突起と回転子の磁極突起の位置関係が互いに対向せずにずれているような状態に位置している時、A相の巻線を図の向きに励磁すると、磁力線16は固定子の磁極突起の歯の角から回転子の磁極突起の歯の角へ向かい図中の経路をたどって湾曲しながら流れる。この時、磁力線16は磁気的に不安定な状態にあるため、磁力線16がまっすぐに流れる磁気的に最も安定な向きへ向かって磁気吸引力が作用し回転子2が反時計方向へ回転する。回転子2が図13(b)に示すように磁気的に最も安定な位置まで到達すると、磁気吸引力は回転方向には全く作用しなくなる。この位置ではトルクは発生せず慣性力のみが作用している。そこで、次に励磁をA相からB相へ切換えることにより、再び磁気的に不安定な状態をつくり出し、回転方向にトルクを得ることができる。
【0006】
以上の様に、回転子2と固定子4の相対的な位置に応じて、励磁する相を順次切換えることにより、回転方向に連続したトルクを得ることができる。このとき、巻線に流れる電流をi、巻線のインダクタンスをL、回転子の位置をθとすると、磁気飽和の生じない範囲において、発生トルクTは、式(1)で表すことができる。
T=(1/2)・i・i・dL/dθ ・・(1)
即ちトルクは、電流の二乗と回転子の位置に対する巻線インダクタンスの変化に比例する。
【0007】
図14は、図12で示したモータの回転子位置に対するトルクの分布を有限要素法を用いた電磁界解析により算出したグラフである。図において、横軸は回転子の回転位置(ロータ位置;deg)、縦軸はトルクを示している。実線はA相を励磁した場合のトルク分布であり、破線はB相を励磁した場合のトルク分布である。図12で示すように回転子の磁極突起3aと固定子の磁極突起5aとが完全に対向する位置を0.0degとする。
【0008】
図14に示すように、トルクの分布は、両相ともほぼ台形波の分布をしており、トルクの正負の向きは、巻線に流れる電流の向きに依存せず、固定子と回転子の位相関係により一意的に決定される。
例えば特開昭61−203847号公報には上記のようなリラクタンスモータを含む電気駆動装置が掲載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の2相リラクタンスモータにおいては、図14で示したトルク分布にあるように、A相とB相のトルクが交差する回転子の位置、例えば0.0deg,45.0deg,90.0deg・・において、トルクが発生しない死点17が存在していた。死点17では例えば図15に示すように、回転子と固定子の位置関係において磁極突起が対向した状態でモータが停止しており、起動時に固定子の巻線に図に示す励磁相で励磁した場合に発生する。即ち、巻線の励磁によって得られたトルクは、正方向と負方向でちょうど釣り合っている状態にあるため、互いの吸引力が打ち消しあって相殺され、その結果、起動に必要なトルクが得られず、起動ができないといった問題点があった。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、回転子がどの位置に停止していても、起動時に必要なトルクを得ることができ、確実に起動することが可能な2相リラクタンスモータを得るものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる2相リラクタンスモータは、内周側に2の整数倍の個数設けられそれぞれに巻線が巻回される磁極突起を有する固定子と、前記固定子の内周側に配置され、外周側に前記磁極突起の半数の磁極突起を有する回転子とを備える2相リラクタンスモータにおいて、前記回転子の少なくとも1つの磁極突起を回転方向側に突出部を設けて非対称な形状とし、前記突出部を含む非対称な形状の回転子の磁極突起を、固定子の磁極突起の隣り合う2つに常に対向するように構成したものである。
【0012】
また、本発明に係わる2相リラクタンスモータは、回転子の磁極突起の回転方向側の側面に、周方向に突出する突出部を設けたものである。
【0013】
また、本発明に係わる2相リラクタンスモータは、回転子の磁極突起の回転方向側の側面に、周方向に突設した突出部と、この突出部に設けたスリット部を備えたものである。
【0014】
また、本発明に係わる2相リラクタンスモータは、回転子の磁極突起の回転方向側の側面に、外周側に切り欠きを有する突出部を設けたものである。
【0015】
また、本発明に係わる2相リラクタンスモータは、回転子の磁極突起の回転方向側の側面に、外周側から内周側に向かって滑らかに変化する突出部を設けたものである。
【0016】
また、本発明に係わる2相リラクタンスモータは、電磁鋼板を積層してなる回転子の積層方向の一部において、磁極突起の回転方向側の側面に、周方向に突出する突起部を設けたものである。
【0017】
また、本発明に係わる2相リラクタンスモータは、同一形状の電磁鋼板を積層してなる回転子の積層方向の端部において、前記回転子の磁極突起を回転方向側にずらして形成されたスキュー部によって突出部としたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態による2相リラクタンスモータを図に基づいて説明する。各図において、同一符号のものは同一構成要素を示している。
図1は、本発明の実施の形態1による2相リラクタンスモータを示す断面構成図である。図において、1は出力軸、2は回転子、3a〜3dは回転子の磁極突起、4は固定子、5a〜5hは固定子の磁極突起、6は巻線、7は空隙、8a〜8dは突出部、9は絶縁部、12は溝部である。
【0019】
回転子2は、出力軸1の周りに配置され、例えば4個の等しい間隔と等しい形状の回転子の磁極突起3a〜3dを有し、回転の軸方向に複数枚、例えば100枚以上の電磁鋼板を積層して構成されている。また、固定子4は、回転子2の外周部に空隙7を隔てて配置され、2の整数倍、例えば8個の等しい間隔と等しい形状の固定子の磁極突起5a〜5hを有する。固定子の磁極突起5a〜5hそれぞれの間には溝部12が設けられ、この溝部12を通って固定子の磁極突起5a〜5hの周りに巻線6による集中巻きが施されている。巻線6と磁極突起5a〜5hの間には、溝部12を取り囲むように非磁性のフィルム材などにより構成された絶縁部13が設けられている。固定子4は回転子2と同様、複数枚例えば100枚以上の電磁鋼板を軸方向に積層した積層鋼板で構成されている。
【0020】
各磁極突起5a〜5hの周りに巻回された巻線6の相は、異なる2相(A相、B相)が交互になるように端部で結線されている。また、固定子の磁極突起と回転子の磁極突起の組み合わせは、固定子の磁極突起5a〜5hの数2N(Nは任意の整数)個に対し、回転子の磁極突起3a〜3dの数は、固定子の磁極突起の数の半分、即ちN個となるように構成されている。
【0021】
また、回転子の磁極突起3a〜3dは非対称な形状であり、回転方向側の側面には周方向に伸びる突出部8a〜8dが設けられている。この突出部8a〜8dは磁性材料からなり、突出部8a〜8dを含む回転子の磁極突起3a〜3dそれぞれの周方向の長さは、固定子の磁極突起の1つの周方向長さにその隣の溝部12の周方向長さを加えた長さよりも長くなり、溝12を隔てた次の磁極突起の一部に対向するように構成されている。
図1に示す2相リラクタンスモータの回転子は、矢印のように反時計方向に回転する。本実施の形態の2相リラクタンスモータの製造方法は、板厚0.2〜0.5mm程度の電磁鋼板の板を金型を用いて打ち抜いてコアパンチを生成し、所定の枚数分だけ積層することで、従来の製造装置を用いて容易に実現することができる。
【0022】
次に、本実施の形態による2相リラクタンスモータの各部の詳細寸法について説明する。ここで、固定子の磁極突起5a〜5hの先端部の周方向長さ、即ち先端部の幅をLs2、固定子の磁極突起5a〜5hの先端部以外の幅をLs1、突出部8a〜8dを除く回転子の磁極突起3a〜3dの幅をLr1、突出部8a〜8dの周方向長さをLr2、固定子4のコアバック部の幅をLc 、固定子4の内径をD1 、固定子の磁極突起5a〜5hの数をNとしたとき、それぞれの寸法は次の式(2)〜(6)を満たす様に構成されている。
【0023】
1.4・π・D1 /(2・N)≦Ls2≦ 1.9・π・D1 /(2・N) ・・(2)
0.9・Ls2 ≦Lr1≦ 1.3・Ls2 ・・(3)
0.8・π・D1 /(2・N)≦Ls1≦ 1.3・π・D1 /(2・N) ・・(4)
0.4・Ls1 ≦Lc ≦ 0.6・Ls1 ・・(5)
0.25 ・Lr1≦Lr2≦ 0.5・Lr1 ・・(6)
【0024】
式(2),(3)は、モータのトルクに起因する項であり、固定子の磁極突起5a〜5hの先端部の幅Ls2が式(2)を満たさない時には、トルクが有効に作用せず効率が悪化する。例えば図2は式(2)を満たしていない構成のモータに対して、磁界解析により回転子位置に対するトルクの分布を算出した結果であり、横軸は回転子の位置(ロータ位置;deg)、縦軸はトルクを示している。即ち、磁極突起の先端部の幅Ls2=π・D1 /(2・N)とし、Ls2=Lr1としたモータのトルク分布であり、このようにLs2の寸法を式(2)の範囲より小さくすると、トルクの発生する区間が短くなり、トルクの減少、トルクリップルの増大を招くことになる。これは、励磁相の固定子の磁極突起5a〜5hと回転子の磁極突起3a〜3dが遠ざかるにつれて、磁気吸引力の作用が及ばなくなってくるためである。さらに、図2より、固定子の磁極突起5a〜5hと回転子の磁極突起3a〜3dの位置関係が、A相とB相のトルク曲線が交差する位置にある場合、A相、B相のどちらの相を励磁してもトルクが発生しない死点17が発生している。この位置に回転子2が停止していると、正負の吸引力が相殺され起動に必要なトルクを得ることができず、モータを駆動することができない。
【0025】
本実施の形態では、固定子の磁極突起5a〜5hの先端部の幅Ls2と回転子の磁極突起3a〜3dの幅Lr1を式(2),(3)を満足するような範囲とした。即ち、固定子の磁極突起5a〜5hの先端部と回転子の磁極突起3a〜3dの重なる範囲を大きくし、磁気吸引力の作用する区間を広げ、トルクの発生区間を増大させている。さらに、回転子の回転方向側に突出部8a〜8dを設けている。このため、突出部8a〜8dと固定子の磁極突起5a〜5hとの間の磁気吸引力の作用により負方向の吸引力に対し正方向の吸引力を増大させ、起動に必要なトルクを発生させることを可能とした。
【0026】
例えば図1では磁極突起3bは磁極突起5cと対向しているとともに、回転方向に設けられた突出部8bはその隣の磁極突起5dの一部と対向している。この状態で停止しているモータの磁極突起5d,5bに巻回されている巻線に通電して励磁すると、磁極突起3bと突出部8bと磁極突起5dで形成される磁力の方が、磁極突起3bと磁極突起5bで形成される磁力よりも強くなる。即ち、正方向の吸引力が負方向の吸引力よりも大きくなり、モータは回転し始めることができる。
このように、回転子がどの位置に停止していても吸引力が作用することになり、確実に起動できる2相リラクタンスモータが得られる。
【0027】
図3は、本実施の形態による2相リラクタンスモータのトルク分布を有限要素法を用いた電磁界解析により算出した結果であり、横軸は回転子の位置(ロータ位置;deg)を示し、縦軸はトルクを示す。例えばA相によるトルクが0になる前にB相によるトルクが発生している。この現象により、回転子2がどの位置にあっても、死点が存在することなくトルクを発生でき、確実にモータを起動できることになる。
一方、Ls2の寸法を式(2)の上限値よりも大きくすると、漏れ磁束の増加により、効率低下の原因となる。
【0028】
また、Ls1の寸法は、巻線6の励磁によって磁気飽和の生じない範囲で決定される。これは、モータの定格トルクを得るのに必要な電流値、および巻線インダクタンスより、Ls1の断面を通る磁束量を求めることで、磁気飽和の生じない寸法となるように決定できる。
また、Lc の寸法についても磁気飽和を生じない範囲で決定される。この場合、Ls1の断面を通過した磁束は、固定子4のコアバックを2方向に分岐して通過するため、Lc の寸法は、Ls1の寸法の半分程度となるのが望ましい。
【0029】
上記の様に構成された2相リラクタンスモータにおいては、回転子の磁極突起3a〜3dの回転方向側の側面に、周方向に伸びる突出部8a〜8dを設けることにより、回転子の磁極突起を非対称な形状とし、固定子の磁極突起の隣り合う2つに常に対向するように構成したので、固定子の磁極突起に対し回転子の磁極突起がどの位置の状態にあってもモータの起動を確実に行えるととともに、トルク特性が良好で高効率な2相リラクタンスモータを得ることができる。
【0030】
なお、上記の構成では、すべての回転子の磁極突起3a〜3dを非対称な形状とし、そのそれぞれに突出部8a〜8dを設けているが、少なくともいずれか1つの磁極突起を非対称な形状として突出部を設ければ、モータ起動時にある程度の効果を奏する。即ち、モータ起動時に巻線に通電して励磁した時、少なくとも1つの磁極突起でトルクを発生でき、確実にモータを起動することができる。
【0031】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2による2相リラクタンスモータを示す断面構成図である。図において、1は出力軸、2は回転子、3a〜3dは回転子の磁極突起、4は固定子、5a〜5hは固定子の磁極突起、6は巻線、7は空隙、9は絶縁部、10a〜10dはスリット部、11a〜11dは薄肉部、12は溝部である。本実施の形態でも、固定子の磁極突起5a〜5hの数は、2の整数倍として例えば8個とし、回転子の磁極突起3a〜3dの数はその半数の4個の構成のものを示している。
【0032】
本実施の形態による2相リラクタンスモータの回転子2は、出力軸1の周りに配置され、N個(N:整数)例えば4個の等しい間隔と等しい形状の回転子の磁極突起3a〜3dを有し、回転の軸方向に複数枚、例えば100枚以上の電磁鋼板を積層して構成されている。また、固定子4は、回転子2の外周部に空隙7を隔てて配置され、2N個例えば8個の等しい間隔と等しい形状の固定子の磁極突起5a〜5hを有する。固定子の磁極突起5a〜5hそれぞれの間には溝部12が設けられ、この溝部12を通って固定子の磁極突起5a〜5hの周りに巻線6による集中巻きが施されている。巻線6と磁極突起5a〜5hの間には、溝部12を取り囲むように非磁性のフィルム材などにより構成された絶縁部13が設けられている。固定子4は回転子2と同様、複数枚例えば100枚以上の電磁鋼板を軸方向に積層した積層鋼板で構成されている。
【0033】
各磁極突起5a〜5hに巻回された巻線の相は、異なる2相(A相、B相)が交互になるように端部で結線されている。また、回転子の磁極突起3a〜3dは非対称な形状であり、回転方向側には周方向に伸びる突出部に、スリット部10a〜10dと肉薄部11a〜11dが設けられている。このスリット部10a〜10dは空間または樹脂などの非磁性材料からなり、このスリット部10a〜10dを包囲する肉薄部11a〜11dは磁性材料からなる。また、回転子の磁極突起3a〜3dそれぞれは、両サイドともストレートサイドを有する形状である。そして、肉薄部11a〜11dによって、回転子の磁極突起3a〜3dそれぞれの周方向の長さは、固定子の磁極突起の1つの周方向長さにその隣の溝部12の周方向長さを加えた長さよりも長くなり、溝12を隔てた次の磁極突起の一部に対向するように構成されている。
また、図4に示す2相リラクタンスモータの回転子は、矢印のように反時計方向に回転する。本実施の形態の2相リラクタンスモータの製造方法は、板厚0.2〜0.5mm程度の電磁鋼板の板を金型を用いて打ち抜いてコアパンチを生成し、所定の枚数分だけ積層することで、従来の製造装置を用いて容易に実現することができる。
【0034】
回転子の磁極突起3a〜3dの周方向長さをLr1、肉薄部11a〜11dの周方向長さをLr3としたとき、例えば式(7)を満たす範囲に設定する。
【0035】
0.25 ・Lr1≦Lr3≦ 0.5・Lr1 ・・(7)
【0036】
この様に、回転子の磁極突起3a〜3dの回転方向側に突出部を設けて非対称な形状とし、その回転方向側の突出部に、スリット部10a〜10dと肉薄部11a〜11dを設けることにより、肉薄部11a〜11dと固定子の磁極突起5a〜5hとの間の磁気吸引力の作用により負方向の吸引力に対し正方向の吸引力を増大させ、起動に必要なトルクを発生させることを可能にした。
【0037】
例えば図4では磁極突起3bは磁極突起5cと対向しているとともに、回転方に設けられた肉薄部11bはその隣の磁極突起5dの一部と対向している。この状態で停止しているモータの磁極突起5d,5bに巻回されている巻線に通電して励磁すると、磁極突起3bと肉薄部11bと磁極突起5dで形成される磁力の方が、磁極突起3bと磁極突起5bで形成される磁力よりも強くなる。即ち、正方向の吸引力が負方向の吸引力よりも大きくなり、モータは回転し始めることができる。
このように、回転子がどの位置に停止していても吸引力が作用することになり、確実に起動できる2相リラクタンスモータが得られる。
【0038】
さらに、本実施の形態では、回転子の磁極突起の回転方向側の磁性材料である肉薄部の形状は、スリット部を囲んで閉じた形状となっているため、実施の形態1に比べて強度の優れた2相リラクタンスモータが実現できる。
【0039】
なお、上記の構成では、すべての回転子の磁極突起3a〜3dを非対称な形状とし、そのそれぞれにスリット部10a〜10dと肉薄部11a〜11dを設けているが、少なくともいずれか1つの磁極突起を非対称な形状としてスリット部と肉薄部を設ければ、モータ起動時にある程度の効果を奏する。即ち、モータ起動時に巻線に通電して励磁した時、少なくとも1つの磁極突起でトルクを発生でき、確実にモータを起動することができる。
【0040】
実施の形態3.
実施の形態1および実施の形態2では、軸方向に同一形状の電磁鋼板を積層して、回転子を構成していた。実施の形態3による2相リラクタンスモータにおいては、異なる形状の電磁鋼板を軸方向に積層して構成した回転子について説明する。
図5、図6、図7は本発明の実施の形態3によるリラクタンスモータを示す図である。図5は、回転子の磁極突起3aを外周側側面から見たときの側面図、図6は図5のA−A線における断面図、図7は図5のB−B線における断面図である。固定子の構造は、実施の形態1と同じであるのでここでは図示しない。また、図5において、軸方向に積層する電磁鋼板の枚数は大幅に省略して示している。
【0041】
回転子は、板厚0.5mm程度の電磁鋼板を回転子の形状に打ち抜いたものを軸方向に積層することにより構成されている。また、積層されたコアの両端面付近のA−A線断面において、回転子の形状は図6に示す様に、回転子の磁極突起3a〜3dを非対称な形状とし、その回転方向側に突出部8a〜8dを有する構造をしている。これに対し、B−B線断面では突出部8a〜8dがなく対称形状で、従来と同様な平行なストレートサイドを有する磁極突起の形状となっている。
また、本実施の形態では非対称な形状の鋼板を、例えば回転子の軸方向の上端部と下端部に配置している。
【0042】
このように回転子を構成すれば、モータ起動時に巻線に通電して励磁した時、突出部8a〜8dを有する磁極突起においてトルクを発生するので、軸方向の少なくとも一部分の磁極突起でトルクを発生でき、確実にモータを起動することができる。
さらに、軸方向のすべての回転子を構成する鋼板に突出部を設けるのに比べ、機械強度を低減することなく、安価な2相リラクタンスモータが実現できる。
【0043】
なお、突出部を有する鋼板の積層位置は、上記に限るものではなく、回転子の軸方向のどの位置でもよく、また複数枚を集中して積層しても、一枚づつまばらに対称形状の鋼板に挿入するように積層してもよい。また、図6に示す鋼板と図7に示す鋼板の割合は、どの程度でもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、A−A線断面は突出部8を有する非対称形状の鋼板であるが、この構造の代わりに実施の形態2で示したような突出部に肉薄部とスリット部を有する非対称形状の鋼板としても同様な効果が得られる。
【0045】
実施の形態4.
図8は本発明の実施の形態4によるリラクタンスモータの回転子の磁極突起3aを外周側側面から見たときの側面図である。図において、13は軸方向の一端部に配置されたスキュー部である。
回転子の断面構造は、図7に示した回転子の磁極突起の両サイドに平行なストレート面を有する回転子鋼板を積層した構造である。さらに、軸方向の一端部は、回転方向に傾斜するスキューが施された構造となっている。このスキュー部13は、回転子をすべて同一形状の鋼板で構成し、一端部において鋼板を所定の角度で回転させながら少しづつずらして積層することにより、容易に実現できる。
【0046】
スキュー部13は、軸方向の全体の長さの1/10〜1/4程度の部分を傾斜させて構成している。また、その側面では、スキュー部13の最先端とスキュー部以外の回転子の磁極突起の回転方向側側面との距離Sr4は、回転子の磁極突起3a〜3dの周方向長さをLr1とした時、例えば式(8)を満足する範囲としている。
【0047】
0.25 ・Lr1≦Lr4≦ 0.5・Lr1 ・・(8)
【0048】
この様に、軸方向の端部にスキュー部13を設けたことにより、回転子の磁極突起の軸方向の一部分が周方向で回転方向側に突出した形状となるため、この突出した部分と固定子の磁極突起の間に磁気吸引力が作用することによりトルク分布が非対称となり、起動特性を改善した2相リラクタンスモータが実現できる。
なお、このスキュー部13は軸方向の全体の長さの1/10〜1/4程度の部分を傾斜させて構成しているが、1/10程度より少ないと起動時に作用する磁気吸引力が小さく、1/4程度よりも多いと回転子の回転が不安定になりモータとしての効率が悪くなる。
また、上記では回転子の積層方向の上端部にスキュー部13を設けているが、積層方向の下端部で回転方向側に突出するように設けてもよく、また、上下端部の両方に回転方向側に突出するように設けてもよい。
【0049】
また、上記ではスキュー部13は一枚の鋼板を少しづつずらして構成しているが、これに限るものではなく、複数枚まとめてずらしたり、またスキュー部13のすべてをLr4だけずらせて積層してもよい。この場合にも磁気吸引力が作用してトルク分布が非対称となることによって起動特性を改善するという効果は上記と同様に得られる。
ただし、鋼板を少しづつずらした構成の回転子は、図8において紙面の左から右方向へ向かって回転する。この回転子が回転する際、スキュー部13の少しづつずれて突出した部分が風を斜め上方へ押し上げる役割をし、固定子の巻線の冷却を効果的に行うことが可能となる。これにより、温度上昇を小さくすることができ、より多くの電流を流すことが可能となり、体積当たりのトルクを増大させることができる。
【0050】
実施の形態5.
図9は、本発明の実施の形態5による2相リラクタンスモータを示す断面構成図である。図において、1は出力軸、2は回転子、3a〜3dは回転子の磁極突起、4は固定子、5a〜5hは固定子の磁極突起、6は巻線、7は空隙、8a〜8dは突出部、9は絶縁部、12は溝部、14a〜14dは切り欠き部である。
【0051】
回転子2は、出力軸1の周りに配置され、N個(N;整数)例えば4個の等しい間隔と等しい形状の回転子の磁極突起3a〜3dを有し、回転の軸方向に複数枚、例えば100枚以上の電磁鋼板を積層して構成されている。また、固定子4は、回転子2の外周部に空隙7を隔てて配置され、2N個例えば8個の等しい間隔と等しい形状の固定子の磁極突起5a〜5hを有する。固定子の磁極突起5a〜5hそれぞれの間には溝部12が設けられ、この溝部12を通って固定子の磁極突起5a〜5hの周りに巻線6による集中巻きが施されている。巻線6と磁極突起5a〜5hの間には、溝部12を取り囲むように非磁性のフィルム材などにより構成された絶縁部13が設けられている。固定子4は回転子2と同様、複数枚例えば100枚以上の電磁鋼板を軸方向に積層した積層鋼板で構成されている。
【0052】
各磁極突起5a〜5hに巻回された巻線の相は、異なる2相(A相、B相)が交互になるように端部で結線されている。また、回転子の磁極突起3a〜3dの回転方向側には周方向に伸びる突出部8a〜8dが設けられ、非対称な形状になっている。この突出部8a〜8dは磁性材料からなり、外周側に切り欠き部14a〜14dを有している。そして、回転子の磁極突起3a〜3dは、両サイドにストレートサイドの面を有する。
【0053】
突出部8a〜8dによって回転子の磁極突起3a〜3dそれぞれの周方向の長さは、固定子の磁極突起の1つの周方向長さにその隣の溝部12の周方向長さを加えた長さよりも長くなり、溝12を隔てた次の磁極突起の一部に対向するように構成されている。また、切り欠き部14a〜14dは、回転子2の最外周と固定子4の内径の間に位置する空隙の距離よりも若干大きくなる程度に設けられている。
図9に示す2相リラクタンスモータの回転子は、矢印のように反時計方向に回転する。本実施の形態の2相リラクタンスモータの製造方法は、板厚0.2〜0.5mm程度の電磁鋼板の板を金型を用いて打ち抜いてコアパンチを生成し、所定の枚数分だけ積層することで、従来の製造装置を用いて容易に実現することができる。
【0054】
回転子の磁極突起3a〜3dの周方向長さをLr1、突出部8a〜8dの周方向長さをLr5としたとき、例えば式(9)を満たす範囲に設定する。
0.25 ・Lr1≦Lr5≦ 0.5・Lr1 ・・(9)
【0055】
このように回転子の磁極突起3a〜3dの回転方向側に突出部8a〜8dを設けているため、突出部8a〜8dと固定子の磁極突起5a〜5hとの間の磁気吸引力の作用により負方向の吸引力に対し正方向の吸引力を増大させ、起動に必要なトルクを発生させることを可能とした。
【0056】
例えば図9では磁極突起3bは磁極突起5cと対向しているとともに、回転方に設けられた突出部8bはその隣の磁極突起5dの一部と対向している。この状態で停止しているモータの磁極突起5d,5bに巻回されている巻線に通電して励磁すると、磁極突起3bと突出部8bと磁極突起5dで形成される磁力の方が、磁極突起3bと磁極突起5bで形成される磁力よりも強くなる。即ち、正方向の吸引力が負方向の吸引力よりも大きくなり、モータは回転し始めることができる。
このように、回転子がどの位置に停止していても吸引力が作用することになり、確実に起動できる2相リラクタンスモータが得られる。
【0057】
図10は、本実施の形態による2相リラクタンスモータのトルク分布を有限要素法を用いた電磁界解析により算出した結果であり、横軸は回転子の位置(ロータ位置;deg)を示し、縦軸はトルクを示す。例えばA相によるトルクが0になる前にB相によるトルクが発生している。この現象により、回転子2がどの位置にあっても、死点が存在することなくトルクを発生でき、確実にモータを起動できることになる。
【0058】
上記の様に構成された2相リラクタンスモータにおいては、回転子の磁極突起3a〜3dの回転方向側に、外周側に切り欠き部14a〜14dを有する突出部8a〜8dを設けて磁極突起3a〜3dを非対称な形状とし、固定子の磁極突起に対し回転子の磁極突起がどの位置の状態にあってもモータの起動を確実に行えるととともに、トルク特性が良好でより信頼性の高い起動特性を有する高効率な2相リラクタンスモータを得ることができる。
【0059】
なお、上記の構成では、すべての回転子の磁極突起3a〜3dのそれぞれに突出部8a〜8dを設けてを非対称な形状としているが、少なくともいずれか1つの磁極突起に突出部を設けて非対称な形状とすれば、モータ起動時にある程度の効果を奏する。即ち、モータ起動時に巻線に通電して励磁した時、少なくとも1つの磁極突起でトルクを発生でき、確実にモータを起動することができる。
【0060】
実施の形態6.
図11は、本発明の実施の形態6による2相リラクタンスモータを示す断面構成図である。図において、1は出力軸、2は回転子、3a〜3dは回転子の磁極突起、4は固定子、5a〜5hは固定子の磁極突起、6は巻線、7は空隙、9は絶縁部、12は溝部、15a〜15dは流面突出部である。
【0061】
回転子2は、出力軸1の周りに配置され、N個(N;整数)例えば4個の等しい間隔と等しい形状の回転子の磁極突起3a〜3dを有し、回転の軸方向に複数枚、例えば100枚以上の電磁鋼板を積層して構成されている。また、固定子4は、回転子2の外周部に空隙7を隔てて配置され、2N個例えば8個の等しい間隔と等しい形状の固定子の磁極突起5a〜5hを有する。固定子の磁極突起5a〜5hそれぞれの間には溝部12が設けられ、この溝部12を通って固定子の磁極突起5a〜5hの周りに巻線6による集中巻きが施されている。巻線6と磁極突起5a〜5hの間には、溝部12を取り囲むように非磁性のフィルム材などにより構成された絶縁部13が設けられている。固定子4は回転子2と同様、複数枚例えば100枚以上の電磁鋼板を軸方向に積層した積層鋼板で構成されている。
【0062】
各磁極突起5a〜5hに巻回された巻線の相は、異なる2相(A相、B相)が交互になるように端部で結線されている。また、回転子の磁極突起3a〜3dは非対称な形状であり、回転方向側には周方向に流面で滑らかに伸びる流面突出部15a〜15dが設けられている。回転方向の反対側の側面はストレートサイド面を有する。この流面突出部8a〜8dは磁性材料からなり、回転子2と固定子4の間の空隙7は徐々に拡大するような形状となっている。
【0063】
流面突出部15a〜15dによって回転子の磁極突起3a〜3dそれぞれの周方向の長さは、固定子の磁極突起の1つの周方向長さにその隣の溝部12の周方向長さを加えた長さよりも長くなり、溝12を隔てた次の磁極突起の一部に対向するように構成されている。
図11に示す2相リラクタンスモータの回転子は、矢印のように反時計方向に回転する。本実施の形態の2相リラクタンスモータの製造方法は、板厚0.2〜0.5mm程度の電磁鋼板の板を金型を用いて打ち抜いてコアパンチを生成し、所定の枚数分だけ積層することで、従来の製造装置を用いて容易に実現することができる。
【0064】
回転子の磁極突起3a〜3dの周方向長さをLr1、流面突出部15a〜15dの周方向長さをLr6としたとき、例えば式(10)を満たす範囲に設定する。
0.25 ・Lr1≦Lr6≦ 0.5・Lr1 ・・(10)
【0065】
このように回転子の磁極突起3a〜3dの回転方向側に流面突出部15a〜15dを設けているため、流面突出部15a〜15dと固定子の磁極突起5a〜5hとの間の磁気吸引力の作用により負方向の吸引力に対し正方向の吸引力を増大させ、起動に必要なトルクを発生させることを可能とした。
【0066】
例えば図11では磁極突起3bは磁極突起5cと対向しているとともに、回転方に設けられた流面突出部15bはその隣の磁極突起5dの一部と対向している。この状態で停止しているモータの磁極突起5d,5bに巻回されている巻線に通電して励磁すると、磁極突起3bと流面突出部15bと磁極突起5dで形成される磁力の方が、磁極突起3bと磁極突起5bで形成される磁力よりも強くなる。即ち、正方向の吸引力が負方向の吸引力よりも大きくなり、モータは回転し始めることができる。
このように、回転子がどの位置に停止していても吸引力が作用することになり、確実に起動できる2相リラクタンスモータが得られる。
【0067】
以上の様に、回転子の磁極突起3a〜3dの回転方向側に流面突出部15a〜15dを設けることにより、回転子の磁極突起3a〜3dを非対称な形状とし、トルクの分布を非対称形状とすることで、起動特性を改善した2相リラクタンスモータが実現できる。さらに、回転子2の回転方向側に、外周側から内周側に向かって滑らかに変化する流面突出部15a〜15dを設けているため、回転子2の回転駆動による空気抵抗を減少することができ、風損の小さな2相リラクタンスモータが実現できる。
【0068】
なお、上記の構成では、すべての回転子の磁極突起3a〜3dに流面突出部15a〜15dを設け非対称な形状としているが、少なくともいずれか1つの磁極突起に流面突出部を設けて非対称な形状とすれば、モータ起動時にある程度の効果を奏する。即ち、モータ起動時に巻線に通電して励磁した時、少なくとも1つの磁極突起でトルクを発生でき、確実にモータを起動することができる。
また、必ずしも突出部が流面形状でなくてもよく、例えば直線的な面を有する傾斜で突出部を構成してもよい。
【0069】
また、実施の形態1〜実施の形態6では固定子の磁極突起5a〜5hの数を8個、回転子の磁極突起3a〜3dの数を4個とした組み合わせについて述べたが、これに限定するものではない。固定子の磁極突起の数を2の整数倍とし回転子の磁極突起の数をその半数とした組み合わせであればよく、上記以外の磁極突起の組み合わせ、例えば、固定子の磁極突起の数4個と回転子の磁極突起の数2個の組み合わせや、固定子の磁極突起の数6個と回転子の磁極突起の数3個の組み合わせなどについても同様な効果が得られるものである。
【0070】
【発明の効果】
以上の様に、本発明によれば、内周側に2の整数倍の個数設けられそれぞれに巻線が巻回される磁極突起を有する固定子と、前記固定子の内周側に配置され、外周側に前記磁極突起の半数の磁極突起を有する回転子とを備える2相リラクタンスモータにおいて、前記回転子の少なくとも1つの磁極突起を回転方向側に突出部を設けて非対称な形状とし、前記突出部を含む非対称な形状の回転子の磁極突起を、固定子の磁極突起の隣り合う2つに常に対向するように構成したことにより、固定子の磁極突起に対し回転子の磁極突起がどの位置の状態にあってもモータの起動を確実に行えるととともに、トルク特性が良好で高効率な2相リラクタンスモータを得ることができる。
【0071】
また、本発明は、回転子の磁極突起の回転方向側の側面に、周方向に突出する突出部を設けたことにより、固定子の磁極突起に対し回転子の磁極突起がどの位置の状態にあってもモータの起動を確実に行えるととともに、トルク特性が良好で高効率な2相リラクタンスモータを得ることができる。
【0072】
また、本発明によれば、回転子の磁極突起の回転方向側の側面に、周方向に突設した突出部と、この突出部に設けたスリット部を備えたことにより、固定子の磁極突起に対し回転子の磁極突起がどの位置の状態にあってもモータの起動を確実に行うことができる。また、回転子の磁極突起のスリット側の磁性部形状は、スリット部を囲んで閉じた形状となっているため、強度の優れた2相リラクタンスモータが得られる。
【0073】
また、本発明によれば、回転子の磁極突起の回転方向側の側面に、外周側に切り欠きを有する突出部を設けたことにより、固定子の磁極突起に対し回転子の磁極突起がどの位置の状態にあってもモータの起動を確実に行うことができ、信頼性の高い起動特性を有する2相リラクタンスモータが得られる。
【0074】
また、本発明によれば、回転子の磁極突起の回転方向側の側面に、外周側から内周側に向かって滑らかに変化する突出部を設けたことにより、トルクの分布を非対称形状として起動特性を改善でき、さらに回転子の回転駆動による空気抵抗を減少することができ、風損の小さな2相リラクタンスモータが得られる。
【0075】
また、本発明によれば、電磁鋼板を積層してなる回転子の積層方向の一部において、磁極突起の回転方向側の側面に、周方向に突出する突起部を設けたことにより、モータの起動特性が良好で高効率な2相リラクタンスモータが得られ、かつ安価な2相リラクタンスモータが得られる。
【0076】
また、本発明によれば、同一形状の電磁鋼板を積層してなる回転子の積層方向の端部において、前記回転子の磁極突起を回転方向側にずらして形成されたスキュー部によって突出部としたことにより、この突出部と固定子の磁極突起の間に磁気吸引力が作用することによりトルク分布が非対称となり、起動特性を改善した2相リラクタンスモータが得られる。さらに、回転子は、スキュー部の突出した側が風を斜め上方へ押し上げる役割をし、固定子の巻線の冷却を効果的に行って温度上昇を小さくでき、より多くの電流を流すことが可能となり、体積当たりのトルクを増大できる2相リラクタンスモータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による2相リラクタンスモータを示す断面構成図である。
【図2】実施の形態1の寸法の範囲外の構成の2相リラクタンスモータの回転子位置に対するトルクの分布を示すグラフである。
【図3】実施の形態1による2相リラクタンスモータの回転子位置に対するトルク分布を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態2による2相リラクタンスモータを示す断面構成図である。
【図5】本発明の実施の形態3を示す2相リラクタンスモータの回転子の磁極突起を外周側側面から見た側面図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】図5のB−B線断面図である。
【図8】本発明の実施の形態4による2相リラクタンスモータの回転子の磁極突起を外周側側面から見た側面図である。
【図9】本発明の実施の形態5による2相リラクタンスモータを示す断面構成図である。
【図10】実施の形態5による2相リラクタンスモータの回転子位置に対するトルク分布を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態6による2相リラクタンスモータを示す断面構成図である。
【図12】従来の2相リラクタンスモータを示す断面構成図である。
【図13】2相リラクタンスモータの駆動原理を示す磁束線図である。
【図14】従来の2相リラクタンスモータの回転子位置に対するトルク分布を示すグラフである。
【図15】従来の2相リラクタンスモータの死点を示す磁束線図である。
【符号の説明】
1 出力軸、2 回転子、3a〜3d 回転子の磁極突起、4 固定子、5a〜5h 固定子の磁極突起、6 巻線、7 空隙、8a〜8d 突出部、9 絶縁部、10 スリット部、11 肉薄部、12 溝部、13 スキュー部、14a〜14d 切り欠き部、15a〜15d 流面突出部、16 磁力線、17 死点。
Claims (7)
- 内周側に2の整数倍の個数設けられそれぞれに巻線が巻回される磁極突起を有する固定子と、前記固定子の内周側に配置され、外周側に前記磁極突起の半数の磁極突起を有する回転子とを備える2相リラクタンスモータにおいて、前記回転子の少なくとも1つの磁極突起を回転方向側に突出部を設けて非対称な形状とし、前記突出部を含む非対称な形状の回転子の磁極突起の周方向の長さを、前記固定子の磁極突起の1つの周方向の長さに隣の溝部の周方向の長を加えた長さより長くして前記固定子の磁極突起の隣り合う2つに常に対向させるとともに、固定子の磁極突極先端部の周方向長さLs2は固定子の内径をD1とし固定子の磁極突極数をNとしたときに、1.4*π*D1/(2*N)≦Ls2≦1.9*π*D1/(2*N)の関係を満たす様に構成したことを特徴とする2相リラクタンスモータ。
- 回転子の磁極突起の回転方向側の側面に、周方向に突出する突出部を設け、この突出部の周方向長さLr2はこの突出部を除く回転子の磁極突起の幅Lr1に対し、0.25*Lr1≦Lr2≦0.5*Lr1の関係を満たす様に構成したことを特徴とする請求項1記載の2相リラクタンスモータ。
- 回転子の磁極突起の回転方向側の側面に、周方向に突出した突出部と、この突出部に設けたスリット部と肉薄部を備え、この肉薄部の周方向長さLr3はこの突出部を除く回転子の磁極突起の幅Lr1に対し、0.25*Lr1≦Lr3≦0.5*Lr1の関係を満たす様に構成したことを特徴とする請求項1記載の2相リラクタンスモータ。
- 回転子の磁極突起の回転方向側の側面に、周方向に突出する外周側に切り欠きを有する突出部を設け、この突出部の周方向長さLr5はこの突出部を除く回転子の磁極突起の幅Lr1に対し、0.25*Lr1≦Lr5≦0.5*Lr1の関係を満たす様に構成したことを特徴とする請求項1記載の2相リラクタンスモータ。
- 回転子の磁極突起の回転方向側の側面に、外周側から内周側に向かって滑らかに変化する突出部を設け、この突出部の周方向長さLr6はこの突出部を除く回転子の磁極突起の幅Lr1に対し、0.25*Lr1≦Lr6≦0.5*Lr1の関係を満たす様に構成したことを特徴とする請求項1記載の2相リラクタンスモータ。
- 電磁鋼鈑を積層してなる回転子の積層方向の一部において、磁極突起の回転方向側の側面のみに、周方向に突出する突起部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の2相リラクタンスモータ。
- 同一形状の電磁鋼鈑を積層してなる回転子の積層方向の端部において、前記回転子の磁極突起を回転方向側にずらして形成されたスキュー部によって突出部とし、この突出部の周方向長さLr4はこの突出部を除く回転子の磁極突起の幅Lr1に対し、0.25*Lr1≦Lr4≦0.5*Lr1の関係を満たす様に構成したことを特徴とする請求項1記載の2相リラクタンスモータ。
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