JP3543406B2 - キャップのねじ締め装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、キャップのねじ締め装置に係り、例えば、内部にシール用のパッキンを有するキャップ(通称ラグキャップ)を、内部のパッキンを圧縮変形させつつ容器の口部にねじ締めするキャップのねじ締め装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
容器の口部にねじ締めされるスクリューキャップには、キャッピング後に容器の内部を完全に密封することができるように、その内部にパッキンが装着されている。このようなスクリューキャップを、容器に対してキャッピングを行なう場合には、キャップ保持手段にキャップを保持させ、下方の容器に向かってこのキャップ保持手段を下降させつつ回転させることにより、キャップのねじを容器の口部に設けられているねじ部に締結するようになっている。
【0003】
図2は、ラグキャップを容器にねじ締めする場合の締め角度(キャップすなわちキャップ保持手段の回転角度)と締めトルクとの関係を示すグラフであり、この図によりキャップの締付け工程について説明する。先ず、キャップ保持手段を下降させてキャップを容器の口部に嵌合した後(図2のA位置)、キャップ保持手段の回転により、キャッピングの初期には、キャップのねじと容器のねじ部との間に負荷がかからない状態でねじ締めが行なわれ(図2のA〜B)、キャップ内のパッキンが容器の口部に着座する(図2のB位置)。その後、キャップを回転させることにより、ねじ山が進むに従ってパッキンを圧縮変形させつつ、さらに増し締めを行なう(図2のB〜C)。キャップの締め上がり角度に達した後(図2のC位置)、クラッチ等により、キャップ保持手段への回転力の伝達を遮断してねじ締めを完了する。なお、図2のT1 は、クラッチ等により設定された規制トルク値である。
【0004】
上記のような従来のキャップのねじ締め装置では、キャップ内のパッキンが容器の口部に着座した後、圧縮されるパッキンの反力による軸方向の力によって発生するねじ間の摩擦が極めて大きくなるため、キャップのねじ山の強度が弱い場合には、ねじ山が変形していわゆる「ねじばか」という現象が起こるおそれがあった。そこで、キャップ内のパッキンが容器の口部に着座した後パッキンの反力によって発生するねじ間の摩擦力を低減して、摩擦のない状態で増し締めを行なうことができる蓋締め機が既に提案されている(特開昭54−127783号公報)。
【0005】
上記公報に記載された蓋締め機は、容器に装着する蓋を支持する装置と、この蓋支持装置を蓋の軸芯の回りに回転する装置と、所定のトルクが容器上の蓋に加えられたときに蓋支持装置と回転装置との間に滑りを許容するクラッチ装置と、上記トルクが加わった際に同時に蓋に係合し、装着される容器に向い蓋に軸方向圧力を加える蓋加圧装置とを備えている。この蓋加圧装置は、エアーが導入されるシリンダとこのシリンダ内に摺動可能に嵌合したピストンとを備えており、ピストンに固定された軸の回転を上記摩擦板式クラッチ装置を介して上記蓋支持装置に伝達するようになっている。この蓋締め機では、パッキン着座後のねじ間の摩擦によってトルクが増大した際に上記摩擦板式クラッチ装置によりすべらせ、その後、エア回路を開いて上記シリンダ内に空気圧を導入し、蓋支持装置の荷重を増してその力でパッキンを変形させてねじ摩擦のない状態で増し締めを行なうようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように摩擦板式クラッチ装置によってトルクが増大したことを感知し、その後、キャップ保持手段の荷重を増大させる方法では、精度の高いトルク検知ができないため、最適なキャッピングを行なうことが困難であった。また、摩擦板式クラッチ装置によってトルクを検知する場合には、クラッチの滑りによって検知できる設定トルクが大きいので、ねじ間の負荷が大きくなってしまうため、例えばラグキャプ(キャップの内側に複数のラグと呼ばれる突起があり、これらのラグを容器のねじ山に噛み合わせるようになっているキャップ)等のようにキャップ側のねじの強度が小さい場合には、ラグが変形してしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記欠点を除くためになされたもので、キャッピングを行なう過程で、キャップ内に設けられたパッキン等のシール部材が容器の口部に着座した後急激に締め付けトルクが上昇するという特性(図2のB以降参照)を利用して、パッキンが容器の口部に着座した時点を検知すると同時に、キャップ保持手段に下方の容器の方向に向けて荷重を付加することにより、正確でかつ確実なキャッピングを行なうことができるようにしたキャップのねじ締め装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るキャップのねじ締め装置は、内部にシール用のパッキンを有するキャップを保持するキャップ保持手段と、このキャップ保持手段を回転させる回転手段と、上記キャップ保持手段を昇降させる昇降手段とを備えており、キャップを保持しているキャップ保持手段を回転させるとともに下方の容器に向けて下降させることにより、キャップ内のパッキンを容器の口部に押付けて圧縮変形させつつねじ締めを行なうものであって、さらに、上記キャップ保持手段に対して下方の容器の方向に向けた荷重を付加する荷重付加手段と、キャップが下降してキャップ内に装着されているパッキンが容器の口部に着座したことを検知する検知手段と、この検知手段から、パッキンが容器の口部に着座したという信号を受けて上記荷重付加手段を作動させる制御手段とを設けたものである。
【0009】
【作用】
上記キャップのねじ締め装置では、先ず、キャップを保持したキャップ保持手段を回転させながら下方の容器に向けて下降させることにより、キャップを容器の口部にねじ込み、その後、キャップ内のパッキンが容器の口部に着座したときに、それを検知手段が検知して制御手段に検知信号を出力し、この信号に応じて制御手段が荷重付加手段を作動させる。すると、キャップ保持手段に下方への荷重が加えられるので、容器の口部に着座しているパッキンが圧縮変形され、キャップのねじと容器のねじとの間には摩擦がないかまたは摩擦が極めて小さい状態でキャップが回転されて容器の口部にねじ込まれる。
【0010】
【実施例】
以下、図示実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係るキャップのねじ締め装置の要部を示す縦断面図である。このねじ締め装置は、キャッピングヘッド2の下端に設けられているチャック4にキャップ6を保持させ、このキャッピングヘッド2の下方に配置された図示しない容器保持装置に保持されている容器8に対し、キャッピングヘッド2を回転させつつ下降させることにより、上記キャップ6を容器8の口部にねじ締めするようになっている。なお、上記キャップ6内には、その内面に固着された樹脂等のパッキンあるいはゴム等の弾性体から成るリング状のパッキン等のシール部材(図示せず)が設けられており、このパッキンを圧縮変形させてキャップ6を容器8の口部に締結することにより容器8内を完全にシールできるようになっている。
【0011】
次に上記キャッピングヘッド2の構成について詳細に説明する。図示しないねじ締め装置本体に回転自在に支持されている第1のスピンドル10の下端に筒状ハウジング12が固定され、この筒状ハウジング12内に、上記チャック4が取付けられた第2のスピンドル14が昇降可能に支持されている。上方の第1スピンドル10は、サーボモータ等の回転手段(図示せず)によって回転されるとともに、カム等の昇降手段(図示せず)によって昇降される。なお、これら回転手段および昇降手段は上記のものに限定されるものではない。
【0012】
筒状ハウジング12の内部は、中間の仕切壁12aによって上下2つの空間16,18に区画されており、その中間の仕切壁12aには上下に貫通する孔12bが形成され、上記下方の第2スピンドル14の上部が、この孔12b内を上下に貫通して昇降可能に支持されている。
【0013】
第2スピンドル14の上端の、上記仕切壁12aよりも上方の空間16内に位置する部分にフランジ14aが形成されており、このフランジ14aの上面と筒状ハウジング12内の空間16の上部に配置されたばね座20との間に弾装されたヘッド荷重用スプリング22によって、第2スピンドル14は常時下方へ付勢されている。筒状ハウジング12の貫通孔12bの内面には、上下に延びるスリット12cが形成され、このスリット12c内に、第2スピンドル14の外面に固定されたキー24が摺動自在に嵌合することにより、筒状ハウジング12と第2スピンドル14とが回転方向に連結されるとともに、上下方向に相対移動可能になっている。
【0014】
筒状ハウジング12内の仕切壁12aよりも下方の空間18はエアシリンダ部を構成しており、上記第2スピンドル14のこの空間18内に位置する部分に形成されたピストン14bがこのシリンダ部(下方の空間)18内を上下に摺動する。シリンダ部18内はピストン14bによって上下の室18a,18bに区画されており、上記ピストン14bより上方の室18aは、ソレノイドバルブ26を介して図示しないエアー供給源に接続され、一方、ピストン14bより下方の室18bは大気に開放している。上記ソレノイドバルブ26が開放してシリンダ部18内の上方の室18aにエアーが導入されると、ピストン14bが設けられている第2スピンドル14および第2スピンドル14の下端に固定されているチャック4が一体的に下方へ付勢される。
【0015】
上記ソレノイドバルブ26の開閉はコントロールユニット28によって制御される。上方の第1スピンドル10には、ロータリエンコーダ等の回転検出器30とトルク検出器32が設けられており、これら各検出器30,32からの検出信号が上記コントロールユニット28に入力されている。これらの入力信号から、第1スピンドル30の回転角度に対するトルクの上昇率の変化をとらえて、上記キャップ6内のパッキンが容器8の口部に着座したことを感知したときに、コントロールユニット28が制御信号を出力してソレノイドバルブ26を開放し、上記シリンダ部18の上方の室18a内にエアーを導入する。
【0016】
上記構成に係るキャップのねじ締め装置の作用について図1および図2により説明する。図2は従来のキャップねじ締め装置における、キャップ保持手段の回転角度(締め角度)とキャップの容器に対する締め付けトルク(締めトルク)との関係を示すグラフであり、本実施例に係るキャップのねじ締め装置は、キャップ6内のパッキンが容器8の口部に着座(図2のBの位置)した後、キャッピングヘッド2の回転角度に対する締め付けトルクが急激に上昇するという特性を利用して、パッキンが容器8の口部に着座した時点Bを検知し、このパッキンの着座と同時に、キャッピングヘッド2に対し下方の容器8の方向に向けて荷重を加え、キャップ6のねじと容器8の口部のねじとの間に負荷がかからない状態にしてさらに増し締めを行なうようにするものである。
【0017】
先ず、図示しない容器保持装置が、スターホイール等の供給手段を介して供給された容器8を保持するとともに、キャッピングヘッド2の下端に固定されたチャック4が、キャップ供給手段(図示せず)から供給されたキャップ6を保持する。その後、上方の第1スピンドル10を介してキャッピングヘッド2が回転されつつ下降すると、チャック4に保持されているキャップ6が下方の容器8の口部に嵌合され、当初は両者6,8のねじ間に負荷がかからない状態でねじ締めが行なわれる(図2のA〜Bの範囲)。この時のヘッド荷重はスプリング22および第2スピンドル14の自重により得られる。
【0018】
キャップ6が容器8の口部外周のねじに対して締め付けられつつ下降して、キャップ6内のパッキンが容器8の口部に着座すると(図2のBの位置)、それ以後はパッキンを圧縮変形させながら締め付けが行なわれるので、従来のねじ締め装置では、急激に締め付けトルクが上昇する(図2のB〜C参照)。これに対し本実施例に係るねじ締め装置では、キャッピングヘッド2の回転角度と締め付けトルクは、それぞれ回転検出器30およびトルク検出器32によって検出され、その検出信号が上記コントロールユニット28に入力されており、コントロールユニット28が、キャッピングヘッド2の回転角度に対する締め付けトルクの上昇率(dT/dθ)が急激に変化したことにより、キャップ6内のパッキンが容器8の口部に着座したことを検知すると、直ちにソレノイドバルブ26に信号を出力してこのソレノイドバルブ26を開き、上記シリンダ部18の上方の室18a内に図示しないエアー供給源からエアーを導入する。
【0019】
シリンダ部18の上方の室18a内にエアーが導入されることにより、第2スピンドル14およびチャック4に対して、上記ヘッド荷重用スプリング22による荷重に加えてさらに下方への荷重が付加される。こうして下方の容器8の方向へ向けた荷重を加えながら、キャップ6の締め上り位置までこのキャップ6を回転させる。このようにパッキンを変形させるために必要な荷重を加えて、キャップ6を下方の容器8の口部に押付け、キャップ6のねじと容器8の口部外周に形成されているねじとの間に摩擦がない状態にしてキャッピングを行なうので、正確かつ確実なキャッピングを行なうことができる。また、従来のねじ締め装置のように、締め付けトルクが過剰になったりキャップ6のラグあるいはねじ山の強度が弱いために変形を起し、いわゆる「ねじばか」という現象が生じてしまうことを未然に防ぐことができる。なお、本発明の装置が適用されるキャップは、上記ラグキャップに限るものではなく、内部にパッキンを有するスクリューキャップであれば良いことは勿論である、
【0020】
また、上記実施例では、回転検出器30とトルク検出器32の両者からの検出信号により、キャッピングヘッド2の回転角度(締め角度)に対する締め付けトルクの急激な変化が生じた時点で、キャップ6内のパッキンが容器8の口部に着座したことを感知して、キャッピングヘッド2にさらに荷重を付加するようにしたが、トルク検出器32からの信号だけによりパッキンが容器の口部に着座したことを感知して、上記ソレノイドバルブ26を開放し、シリンダ部18内にエアーを導入することにより、荷重を付加するようにしても良い。この場合には、トルク検出器32の検出したトルク値が、図2に示すしきい値Dを超えると同時に(すなわち、パッキンが容器8の口部に着座して変形を始めると同時に)上記ソレノイドバルブ26を開放する。この場合にも、上記実施例と同様に、パッキンを変形するのに必要な荷重をキャッピングヘッド2に付加して増し締めを行なうので、キャップ6と容器8のねじ部に負荷がかからない状態でねじ締めを行なうことができ、正確かつ確実なねじ締めが可能であり、また、キャップ6のねじ部を変形させてしまうこともない。
【0021】
上記図1に示した実施例では、筒状ハウジング12の上方の空間16内に配置されたスプリング22によってキャッピングヘッド2に対し下方への荷重を付与するようにしているが、パッキンが容器8に着座する前の時点(すなわちキャッピングの初期の段階)では、キャッピングヘッド2にかかる荷重をさらに減らしたほうが好ましい場合もあり、この場合には、上記ヘッド荷重用のスプリング22を省略しても良い。また、チャック4およびスピンドル14等の自重が大きい場合には、この自重分を低減させるために、上記スプリング22を圧縮ばねに代えて引張りばねにすることもできる。また、これに加えてシリンダ部18の下方の室18b内に微圧を導入しても良い。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、内部にパッキンを有するキャップを保持するキャップ保持手段と、このキャップ保持手段を回転させる回転手段と、キャップ保持手段を昇降させる昇降手段とを備え、キャップを保持したキャップ保持手段を回転させるとともに下方の容器に向けて下降させることにより、キャップ内のパッキンを圧縮変形させつつねじ締めを行なうキャップのねじ締め装置に、上記キャップ保持手段に対し下方の容器の方向に向けた荷重を付加する荷重付加手段と、キャップ内のパッキンが容器の口部に着座したことを検知する検知手段と、この検知手段からの信号を受けて上記荷重付加手段を作動させる制御手段とを設け、キャップ内に設けられているパッキン等のシール部材が容器の口部に着座したときに、キャップ保持手段に荷重を付加してパッキンを圧縮変形させつつキャップのねじ締めを行なうようにしたことにより、キャップのねじと容器の口部の外周に形成されているねじ部との間に、摩擦がない状態または摩擦が極めて小さい状態でキャップを回転させることができるので、正確かつ確実なキャッピングを行なうことができ、しかも、ねじ山の強度の小さいキャップでも、ねじ締め時のねじ締めトルクに起因するキャップねじ山に働く軸力を低く押さえることが可能となり、キャップ自体のねじが変形していわゆる「ねじばか」と呼ばれる状態になってしまうこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るねじ締め機の要部を示す縦断面図である。
【図2】従来のねじ締め機によりキャップを容器に締め付ける場合の、締め角度と締めトルクとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
4 キャップ保持手段(チャック)
6 キャップ
8 容器
18 荷重付加手段(シリンダ部)
30 検知手段(回転検出機)
32 検知手段(トルク検出器)
28 制御手段(コントロールユニット)
Claims (1)
- 内部にパッキンを有するキャップを保持するキャップ保持手段と、このキャップ保持手段を回転させる回転手段と、キャップ保持手段を昇降させる昇降手段とを備え、キャップを保持しているキャップ保持手段を下方の容器に向けて下降させ、キャップ内のパッキンを圧縮変形させつつねじ締めを行なうキャップのねじ締め装置において、上記キャップ保持手段に下方の容器の方向に向けた荷重を付加する荷重付加手段と、キャップ内のパッキンが容器の口部に着座したことを検知する検知手段と、この検知手段からの信号を受けて上記荷重付加手段を作動させる制御手段とを設けたことを特徴とするキャップのねじ締め装置。
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JP05041895A JP3543406B2 (ja) | 1995-02-15 | 1995-02-15 | キャップのねじ締め装置 |
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JP05041895A JP3543406B2 (ja) | 1995-02-15 | 1995-02-15 | キャップのねじ締め装置 |
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JP05041895A Expired - Fee Related JP3543406B2 (ja) | 1995-02-15 | 1995-02-15 | キャップのねじ締め装置 |
Country Status (1)
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1995
- 1995-02-15 JP JP05041895A patent/JP3543406B2/ja not_active Expired - Fee Related
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