JP3543187B2 - 外周駆動形スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮作動室の容積を減じながら気体を圧縮する容積式圧縮機であって、渦巻形を2つ噛み合わせて構成したスクロール要素対によって三日月状の圧縮室が形成されるスクロール式圧縮機に係り、特にスクロール要素対を構成する2つ1組のスクロール要素のうちの一方の旋回スクロール要素を、その外周部に配置した複数の同期回転するクランク軸により旋回運動させる外周駆動形スクロール圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクロール圧縮機の基本的な動作原理は従来から知られているように以下のとおりである。鏡板に渦巻き状のラップを直立させて設けた2つのスクロール要素を互いに噛み合わせると、ラップ面と鏡板面に囲まれた三日月状の圧縮室が形成される。一方のスクロール要素を他方のスクロール要素に対し、自転しないよう拘束しながら相対的に旋回運動させると、この圧縮室が外周部から中央部に向かって移動しながら容積を縮小する。したがって、圧縮室中に閉じこめた気体を圧縮することができる。
【0003】
2つのスクロール要素のうち、一方の旋回スクロール要素を旋回させる手段として、特開平8−296571号公報に記載されているように吸入ならびに吐出圧力の高い冷媒用スクロール圧縮機に好適なこの方式に対しては、鏡板の裏側に設けた偏心軸とオルダムキーによる駆動方式が広く使われている。一方、空気用スクロール圧縮機においては、特開平8−128395号公報に記載されているように表裏2組のスクロール要素対を構成する方式が示されている。この構成では、スクロール要素の背面が駆動軸に面しないため、外周駆動方式を採用する必要がある。
【0004】
一般的に、高速回転機械の回転部材に重量の不釣り合いを含む可能性のある部品を用いる場合には、その部品を機械に組み込む前に質量付加加工、質量除去加工などの手段により回転釣り合わせ作業を行い、十分な精度まで重量の釣り合いをとることが一般的である。しかし、1つの回転体(単独の回転体)についての釣り合わせ方法や装置は一般に広く知られているにもかかわらず、本発明が係わるような同期回転する複数軸とそれらをつなぐ旋回物体を総合して釣り合わせする方法は一般的でなく、特に、スクロール圧縮機のような高速回転の回転体を対象とした精密釣り合わせの方法や装置については知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
スクロール圧縮機においては、旋回スクロール要素を備えた旋回スクロール部材(軸受を含む)の質量が旋回するために、回転不釣り合いを生ずる。回転不釣り合いは振動や騒音を発生し、圧縮機周囲の環境に悪影響を及ぼす。さらに、振動を伴う回転は僅かなすきまを確保するよう精密に管理されている互いに対向するラップ面を接触させ、摩耗やかじり現象を発生し、圧縮機としての正常な運転を阻害する要因である。
【0006】
外周駆動方式における回転釣り合いを取る手段としては、旋回スクロール部材を支持するクランク軸に釣り合い錘(バランサ)を備え、旋回スクロール部材の重心位置と質量をその形状から算出し、算出された旋回スクロール部材の重心位置と質量に対応して釣り合い錘の質量、重心位置を適切な値に設定することにより総合的に不釣り合いを相殺させる方法が一般的である。ここで問題となるのが、旋回スクロール部材の重心位置と質量であり、これらが明確でないと釣り合い錘の質量、重心位置など諸元を確定できない。特に、旋回スクロール部材を鋳造など寸法精度や密度分布に不確定要因を含む方法で製作した場合において、測定を伴う操作無しに旋回スクロール部材の重心位置と質量を十分に高い精度で保証することは不可能である。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、旋回スクロール部材の重心を所定位置に近づけることにある。そして、本発明の目的とするところは、十分な精度で釣り合いのとれた回転系を実現し、振動騒音が小さく信頼性の高い外周駆動形スクロール圧縮機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の外周駆動型スクロール圧縮機は、渦巻き形の溝もしくはラップを表面に形成しケーシングに固定された固定スクロール要素と固定スクロール要素と噛み合う渦巻き形の溝もしくはラップを表面に形成し旋回運動する旋回スクロール要素からなり、これら2種のスクロール要素の噛み合わせで圧縮作動室が形成されたスクロール要素対を2組備え、2つのスクロール要素対に各々属する旋回スクロール要素2つは背中合わせに同一の旋回スクロール部材に固定され、旋回スクロール部材は、旋回スクロール要素よりも外周部に配置されて同期回転する2つのクランク軸の偏心部分により駆動されて旋回運動し、各クランク軸は各々偏心部分と軸を挟んでほぼ対向する側に釣り合い錘を備えている外周駆動形スクロール圧縮機において、旋回スクロール部材の重心位置は、質量付加加工、質量除去加工、異質材料置換加工のうちの少なくとも1つの加工がなされ、加工により旋回スクロール部材の重心位置は、旋回スクロール部材の、釣り合い錘を備えた2本のクランク軸の偏心部分を軸支する二つの軸受の中心線の双方を含む平面上に位置され、各釣り合い錘の質量と各クランク軸の回転中心からこの釣り合い錘の重心までの距離との積は、各クランク軸の回転中心と旋回スクロールの旋回中心との距離の加重平均に基づいて調整することを特徴とする。
【0009】
また、外周駆動形スクロール圧縮機の旋回スクロール部材は、旋回スクロール要素よりも外周部に配置されて同期回転する3つのクランク軸の偏心部分により駆動されて旋回運動し、各クランク軸は各々偏心部分と軸を挟んでほぼ対向する側に釣り合い錘を備えた構成にできる。この場合、旋回スクロール部材の重心位置は、質量付加加工、質量除去加工、異質材料置換加工のうちの少なくとも1つの加工がなされ、この加工により旋回スクロール部材の重心位置が、各クランク軸の3つの釣り合い錘の配分により決定され、旋回スクロール部材と3つの釣り合い錘の合成ベクトルが0ベクトルになるように調整され、3つの釣り合い錘の質量と各クランク軸の回転中心からそれぞれの釣り合い錘の重心までの距離の積の総和は、旋回スクロールの旋回半径と旋回スクロールの質量の積と同じ値とすることができる。ここで、各クランク軸の回転中心から旋回スクロールの旋回中心の距離がそれぞれ等しく、各クランク軸は旋回中心周りに120度間隔で配置され、旋回スクロール部材の重心が中心にある場合において、各釣り合い錘の質量と各クランク軸の回転中心から釣り合い錘の重心までの距離の積は、それぞれ等しく設定することができる。
【0010】
上記重心移動操作により、旋回スクロール部材の質量も変化してしまうが、重心移動操作のための付加質量あるいは除去質量は旋回スクロール部材の全質量に比較して十分に小さく、通常は重心の位置移動に比較し、質量変化が不釣り合いに及ぼす影響は小さい。ただし、旋回速度が早い場合やより静音化が要求されるなど高精度の釣り合わせが必要な場合には、質量付加加工と質量除去加工を組み合わせるか、旋回スクロール部材の質量確定後にクランク軸に固定する釣り合い錘の諸元を決定する方法により、重心位置に加えて質量も含めた高精度釣り合わせが可能である。
【0011】
特に、スクロール圧縮機の構造がクランク軸が2本の外周駆動方式で、両軸に釣り合い錘を備える場合には、前記した重心移動操作による旋回スクロール部材の重心を動かす目標となる所定位置は次のとおりとなる。2本のクランク軸により旋回スクロール部材を旋回駆動する各クランク軸の偏心部分の中心線は平行な2本の直線であり、旋回スクロール部材に取り付けられて前記クランク軸偏心部分を軸支する二つの軸受の中心線も同じく平行な2本の直線である。これら平行な2本の軸受の中心線両方を含む平面と旋回スクロール部材が交わる面が、重心移動の目標となる所定位置である。
【0012】
さらに、高精度の釣り合わせが必要な場合には、この平面上の一点である厳密な目標点に重心を移動するのが理想である。その位置は次のように説明される。釣り合い錘の発生する遠心力は、釣り合い錘の重心からクランク軸回転中心線におろした足を始点とし、釣り合い錘の重心方向を向くベクトルで表すことができ、その長さは遠心力の大きさになる。2つのクランク軸に備えた複数の釣り合い錘で発生する遠心力によるすべてのベクトルの合成ベクトルと反対向きで長さが同じベクトルを仮想する。この仮想ベクトルの始点を釣り合い錘の遠心力ベクトルの始点位置の加重平均点、すなわち各遠心力ベクトルの始点にそれらの長さ分の重み付けをして平均した座標点とする。こうした時の仮想ベクトルの長さを旋回スクロール部材の質量Mで除した長さのベクトルの終点位置が、旋回スクロール部材の重心の移動目標点である。
【0013】
上述の重心移動の操作は旋回スクロール部材へなされる除去量が不確定なすべての加工、たとえば鋳物素材へのラップ面加工や外周部にある軸受ハウジング加工、通常の形状加工などの後になされる必要がある。また、たとえ除去量が確定している加工あるいは増加質量が確定している組み付けであっても、その分を予め考慮した重心移動操作は可能ながら煩雑なことから、重心移動操作より前に行われることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明の第1の実施の形態を図1〜図3を用いて説明する。図1は、外周駆動形スクロール圧縮機の可動部構造を示す模式図で、これにより基本構造を説明する。
【0015】
旋回スクロール部材1は表裏2個のスクロールラップ2を備え、自転せずに旋回運動する。運動の基準としてスクロール中心Bが定められ、B点は半径Rで旋回中心Aを中心に回転する。スクロールラップ2にインボリュート曲線を用いる場合にはその基礎円中心がスクロール中心Bとなる。
【0016】
この旋回運動を支持するのは旋回スクロール部材1の両端近くに設けたクランク軸で、回転中心Cを回転軸として回転する方を主軸3、回転中心Eを回転軸として回転する方を補助軸4と称する。主軸3は回転中心Cから旋回半径Rだけ離れた偏心中心Dのクランク部を備え、このクランク部で旋回スクロール部材1を軸支する。補助軸4も同様に回転中心Eから旋回半径Rだけ離れた偏心中心Fのクランク部を備え、このクランク部で旋回スクロール部材1を軸支する。主軸3の回転中心C、補助軸4の回転中心Eは、固定スクロール要素を備えたケーシング(図示せず)に設けた軸受で支持される。また、C,A,E各点は一直線上にあり、幾何条件からDBFも一直線を成す。
【0017】
主軸3と補助軸4は図示しない回転伝達手段(例えば、歯車、チェーン、タイミングベルトなど)で連結され、回転位相を揃えた状態で回転同期が保たれる。したがって、旋回運動中にもベクトルABはベクトルCD、ベクトルEFと平行が保たれ、同時に直線CAEと直線DBFの平行も保たれる。なお、本明細書においては、加工誤差や熱膨張や振動などによる僅かな寸法変化は無視して説明する。
【0018】
主軸3は外部から与えられた動力により回転し、前記した回転伝達手段により結合されて共に回転する補助軸4と連動して旋回スクロール部材1を旋回運動させる。
【0019】
主軸3には釣り合い錘5が備えられ、釣り合い錘5の重心Gは、直線CDの延長線上の、回転中心Cに対しDと反対側で、半径r1の位置にある。なお、重心Gはクランク部の偏心質量やD部の軸受内輪など主軸3と一体化したすべての偏心質量m1を考慮する。補助軸4にも同様に釣り合い錘6が備えられ、その重心Hは、直線EFの延長線上の、回転中心Eに対しFと反対側で、半径r2の位置にあり、その質量をm2とする。両クランク軸の重心が回転中心からずれていることから不釣合遠心力が働き、この不釣合遠心力が主軸3ではベクトルa(図面においては矢印付きの記号で表示)、補助軸4ではベクトルbで示される。その大きさはm1×r1×ω2、m2×r2×ω2となる。なお、ωはクランク軸の回転角速度である。
【0020】
ここで、AC=AE=BD=BF、すなわち両クランク軸回転中心が旋回中心から等距離にある場合を想定する。もし、旋回スクロール部材1の重心がスクロール中心Bにあるとすれば、スクロール中心Bに遠心力ベクトルsが作用し、その大きさは旋回スクロール部材1の質量Mと旋回半径Rと旋回運動の回転角速度の2乗の積、すなわちM×R×ω2となる。なお、質量Mにはクランク部軸受の外輪など旋回スクロール部材1と一体化されるすべての部材が含まれる。
【0021】
【数1】
【0022】
式(1)が成立する時、ベクトルs、a、bにより生じる力やモーメントは打ち消しあって、外部に表れない。すなわち、回転釣り合わせがとれた状態となる。逆に式(1)の関係が成り立たない条件では、外部に加振力が作用し振動騒音を出し、同時に旋回スクロール部材1や主軸3、補助軸4も振動することとなる。したがって、通常は式(1)を満足するように形状が設計される。なお、旋回スクロール部材1やクランク軸などの機構部品や軸受などの剛性は十分に高く、弾性変形量は無視できるほど小さい。
【0023】
理想的には上記のように、遠心力が互いに相殺し、回転釣り合いは保たれるが、実際の機械においては、旋回スクロール部材1の重心がスクロール中心Bに一致する保証はない。特に旋回スクロール部材1を鋳物で概形を製作し機械加工で仕上げる場合には、鋳物の寸法精度や密度分布の均一性が不十分であるために、重心位置が数ミリの単位で設計形状に基づいて算出される位置から変動する。
【0024】
そこで、旋回スクロール部材1の重心を動かす加工を行い、重心をスクロール中心Bに近づけておく。その加工方法は前記した質量付加加工、質量除去加工、異質材料置換加工のいずれの方法であっても、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。また、重心位置移動加工による旋回スクロール部材の質量Mの変化が大きい場合には、旋回スクロール部材の質量Mの確定後(上記重心移動のための加工後)に釣り合い錘の質量m1ならびにm2を決定する方法を用いる。
【0025】
次に、図2に示すような、両クランク軸回転中心が旋回中心から等距離になく、旋回スクロール部材1の重心がスクロール中心Bからずれて、線分DF上にある場合を考える。AC=L1、AE=L2とすると、先の幾何的条件からCE=DF=L1+L2となる。この場合は式(2)を満足すると、ベクトルs、a、bにより生じる力やモーメントは打ち消しあって、外部に表れない。すなわち、回転釣り合いがとれた状態となる。
【0026】
【数2】
【0027】
なお、旋回スクロール部材1の重心が線分DF上に無い場合には、主軸3の釣り合い錘5と補助軸4の釣り合い錘6をいかように構成しても回転釣り合いをとることは不可能である。
【0028】
図3は図1に示した旋回スクロール部材1と両クランク軸の斜視図である。これを用いて、本実施の形態における動釣り合いに関して説明する。回転釣り合わせ作業は低速あるいは軸長さの短い回転体においては静釣り合わせで十分であるが、高速あるいは軸長さの長い回転体の場合には動釣り合いも滑らかな回転に必要な条件である。もちろん、本実施の形態における外周駆動形スクロール圧縮機においても動釣り合いは無視できない。
【0029】
動釣り合いは本圧縮機の場合、次のように説明される。図3において、動釣り合いがとれていないと、Z軸方向に分布した遠心力の合力であるモーメントが振動を発生させる。したがって、図1や図2における遠心力ベクトルaやbの作用点が旋回スクロール1の重心を含むXY平面上にあるようにする。そのため、釣り合い錘5,6を各々分割し、クランク部(偏心軸部)の両側に形成する。旋回スクロール部材1の重心移動のための加工操作においても、重心の位置が両ラップ面から等距離にあるXY平面上(鏡板の板厚中心面)など一定のZ方向位置を逸脱せぬように実施する必要がある。
【0030】
本実施の形態によれば、クランク軸に釣合い錘を設けるだけでなく、旋回スクロール部材の重心位置を所定の位置に移動するように質量付加、質量除去あるいは異質材料置換などの加工が行われるので、比較的簡単な構造で目的とする振動騒音が少なく信頼性の高い外周駆動形スクロール圧縮機を実現することができる。また、クランク軸が2つのみであることから、部品点数も少なく、安価、軽量でコンパクトな構造とすることが可能である。また、本発明は、旋回スクロール部材が鋳造材である場合に特に効果的である。
【0031】
実施の形態2.
本発明の第2の実施の形態を図4を用いて説明する。図4は、外周駆動形スクロール圧縮機の可動部構造を示す模式図で、これにより基本構造を説明する。なお、本実施の形態において、構造、動作、作用や効果などで第1の実施例と共通する事項は説明を省略する。
【0032】
旋回スクロール部材11の外周部に3本のクランク軸12、13、14を備え、そのうちの1本が駆動軸である。他の2本は従動軸で、旋回スクロール部材1の旋回運動を規定するのみで、動力の伝達はしないが、幾何的条件から同期回転を強制される。クランク軸12、13、14には釣り合い錘15、16、17を備える。
【0033】
全クランク軸の偏心中心がスクロール中心から等距離、120度間隔で配置され、旋回スクロール部材11の重心がスクロール中心にある場合には、式(3)を満足すれば、回転釣り合いがとれる。
【0034】
【数3】
【0035】
ここで、m1、m2、m3とr1、r2、r3は各々釣り合い錘15、16、17の質量と重心の回転半径(偏心半径)である。また、Mは旋回スクロール部材11の質量、Rは旋回半径である。
【0036】
本実施の形態においては、旋回スクロール部材11の重心はどこにあっても3つの釣り合い錘15、16、17の質量と半径を個別に加減することにより回転釣り合いをとることが可能である。その場合であっても、釣り合い錘の重心はクランク偏心の対向位置にあり、式(4)を満足する必要がある。
【0037】
【数4】
【0038】
そして各釣り合い錘の偏心質量と偏心半径の積m×rの分配比により、実施の形態1で述べた「仮想ベクトル」の始点を動かすことにより、仮想ベクトルの始点を旋回スクロール部材11の重心位置に合わせることができる。
【0039】
旋回スクロール部材11の重心がどこにあっても回転釣り合いをとることは可能であるが、個別に重心位置を測定し、その結果に釣り合い錘14,15,16の質量を合わせる作業は非効率的である。そのため、旋回スクロール部材11の重心位置をスクロール中心でないにしろ所定の位置に定め、全釣り合い錘を設計し製作した上で、旋回スクロール部材の重心移動のための加工操作を行うのが効率的である。
【0040】
本実施例によれば、旋回スクロール部材11の重心をどこにでも設定することができるので、設計に自由度が増す。また、クランク軸が3本あることから、軸受を点として考えた場合、3か所の軸受で面が定まり、クランク軸2本の時に比較して安定した回転が期待できる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、回転不釣り合いを排除し、静かで滑らかな旋回運動をする外周駆動形スクロール圧縮機を提供することができる。本発明のスクロール圧縮機は振動も少ないため、振動によるスクロールラップどうしの接触も回避され、信頼性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の外周駆動形スクロール圧縮機の可動部構造を示す模式図である。
【図2】本発明の外周駆動形スクロール圧縮機の寸法が図1と異なる場合の模式図である。
【図3】本発明の外周駆動形スクロール圧縮機の可動部構造を示す斜視図である。
【図4】本発明の外周駆動形スクロール圧縮機の第2の実施の形態の模式図である。
【符号の説明】
1 旋回スクロール部材
2 スクロールのラップ
3 主軸
4 補助軸
5 釣り合い錘
6 釣り合い錘
11 旋回スクロール部材
12、13、14 クランク軸
15、16、17 釣り合い錘
A 旋回中心
B スクロール中心
C 主軸回転中心
D 主軸偏心中心
E 補助軸回転中心
F 補助軸偏心中心
M 旋回スクロール部材質量
Claims (3)
- 渦巻き形の溝もしくはラップを表面に形成しケーシングに固定された固定スクロール要素と該固定スクロール要素と噛み合う渦巻き形の溝もしくはラップを表面に形成し旋回運動する旋回スクロール要素からなり、これら2種のスクロール要素の噛み合わせで圧縮作動室が形成されたスクロール要素対を2組備え、該2つのスクロール要素対に各々属する旋回スクロール要素2つは背中合わせに同一の旋回スクロール部材に固定され、該旋回スクロール部材は、前記旋回スクロール要素よりも外周部に配置されて同期回転する2つのクランク軸の偏心部分により駆動されて旋回運動し、前記各クランク軸は各々偏心部分と軸を挟んでほぼ対向する側に釣り合い錘を備えている外周駆動形スクロール圧縮機において、
前記旋回スクロール部材の重心位置は、質量付加加工、質量除去加工、異質材料置換加工のうちの少なくとも1つの加工がなされ、該加工により前記旋回スクロール部材の重心位置は、前記旋回スクロール部材の、前記釣り合い錘を備えた2本のクランク軸の偏心部分を軸支する二つの軸受の中心線の双方を含む平面上に位置され、
前記各釣り合い錘の質量と前記各クランク軸の回転中心から当該釣り合い錘の重心までの距離との積は、前記各クランク軸の回転中心と前記旋回スクロールの旋回中心との距離の加重平均に基づいて調整することを特徴とする外周駆動形スクロール圧縮機。 - 渦巻き形の溝もしくはラップを表面に形成しケーシングに固定された固定スクロール要素と該固定スクロール要素と噛み合う渦巻き形の溝もしくはラップを表面に形成し旋回運動する旋回スクロール要素からなり、これら2種のスクロール要素の噛み合わせで圧縮作動室が形成されたスクロール要素対を2組備え、該2つのスクロール要素対に各々属する旋回スクロール要素2つは背中合わせに同一の旋回スクロール部材に固定され、該旋回スクロール部材は、前記旋回スクロール要素よりも外周部に配置されて同期回転する3つのクランク軸の偏心部分により駆動されて旋回運動し、前記各クランク軸は各々偏心部分と軸を挟んでほぼ対向する側に釣り合い錘を備えている外周駆動形スクロール圧縮機において、
前記旋回スクロール部材の重心位置は、質量付加加工、質量除去加工、異質材料置換加工のうちの少なくとも1つの加工がなされ、該加工により前記旋回スクロール部材の重心は、前記各クランク軸の3つの釣り合い錘の配分により決定され、前記旋回スクロール部材と前記3つの釣り合い錘の合成ベクトルが0ベクトルになるように位置され、
前記3つの釣り合い錘の質量と各クランク軸の回転中心からそれぞれの釣り合い錘の重心までの距離の積の総和は、前記旋回スクロールの旋回半径と前記旋回スクロールの質量の積と同じ値とすることを特徴とする外周駆動形スクロール圧縮機。 - 前記各クランク軸の回転中心から前記旋回スクロールの旋回中心の距離がそれぞれ等しく、前記各クランク軸は前記旋回中心周りに120度間隔で配置され、前記旋回スクロール部材の重心が中心にある場合、前記各釣り合い錘の質量と前記各クランク軸の回転中心から当該釣り合い錘の重心までの距離の積は、それぞれ等しいことを特徴とする請求項2に記載の外周駆動形スクロール圧縮機。
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