JPH10299675A - 外周駆動形スクロール圧縮機 - Google Patents

外周駆動形スクロール圧縮機

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JPH10299675A
JPH10299675A JP10452797A JP10452797A JPH10299675A JP H10299675 A JPH10299675 A JP H10299675A JP 10452797 A JP10452797 A JP 10452797A JP 10452797 A JP10452797 A JP 10452797A JP H10299675 A JPH10299675 A JP H10299675A
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Hirochika Kametani
裕敬 亀谷
Shigeru Machida
茂 町田
Kazuaki Shiiki
和明 椎木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な精度で釣り合いのとれた回転系を実現
し、振動騒音が小さく信頼性の高い外周駆動形スクロー
ル圧縮機を提供する。 【解決手段】 旋回スクロール部材1に質量付加加工、
質量除去加工、異質材料置換加工のいずれかの重心移動
操作を施し、旋回スクロール部材1の重心位置を、互い
に平行なクランク軸3,4の偏心部を軸支する軸受の軸
方向中心線を含む平面に位置させる。クランク軸3,4
に備えた釣り合い錘5、6と旋回質量Mによる遠心力が
相殺し、回転釣り合いがとれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮作動室の容積
を減じながら気体を圧縮する容積式圧縮機であって、渦
巻形を2つ噛み合わせて構成したスクロール要素対によ
って三日月状の圧縮室が形成されるスクロール式圧縮機
に係り、特にスクロール要素対を構成する2つ1組のス
クロール要素のうちの一方の旋回スクロール要素を、そ
の外周部に配置した複数の同期回転するクランク軸によ
り旋回運動させる外周駆動形スクロール圧縮機に関す
る。
【0002】
【従来の技術】スクロール圧縮機の基本的な動作原理は
従来から知られているように以下のとおりである。鏡板
に渦巻き状のラップを直立させて設けた2つのスクロー
ル要素を互いに噛み合わせると、ラップ面と鏡板面に囲
まれた三日月状の圧縮室が形成される。一方のスクロー
ル要素を他方のスクロール要素に対し、自転しないよう
拘束しながら相対的に旋回運動させると、この圧縮室が
外周部から中央部に向かって移動しながら容積を縮小す
る。したがって、圧縮室中に閉じこめた気体を圧縮する
ことができる。
【0003】2つのスクロール要素のうち、一方の旋回
スクロール要素を旋回させる手段として、特開平8−2
96571号公報に記載されているように吸入ならびに
吐出圧力の高い冷媒用スクロール圧縮機に好適なこの方
式に対しては、鏡板の裏側に設けた偏心軸とオルダムキ
ーによる駆動方式が広く使われている。一方、空気用ス
クロール圧縮機においては、特開平8−128395号
公報に記載されているように表裏2組のスクロール要素
対を構成する方式が示されている。この構成では、スク
ロール要素の背面が駆動軸に面しないため、外周駆動方
式を採用する必要がある。
【0004】一般的に、高速回転機械の回転部材に重量
の不釣り合いを含む可能性のある部品を用いる場合に
は、その部品を機械に組み込む前に質量付加加工、質量
除去加工などの手段により回転釣り合わせ作業を行い、
十分な精度まで重量の釣り合いをとることが一般的であ
る。しかし、1つの回転体(単独の回転体)についての
釣り合わせ方法や装置は一般に広く知られているにもか
かわらず、本発明が係わるような同期回転する複数軸と
それらをつなぐ旋回物体を総合して釣り合わせする方法
は一般的でなく、特に、スクロール圧縮機のような高速
回転の回転体を対象とした精密釣り合わせの方法や装置
については知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】スクロール圧縮機にお
いては、旋回スクロール要素を備えた旋回スクロール部
材(軸受を含む)の質量が旋回するために、回転不釣り
合いを生ずる。回転不釣り合いは振動や騒音を発生し、
圧縮機周囲の環境に悪影響を及ぼす。さらに、振動を伴
う回転は僅かなすきまを確保するよう精密に管理されて
いる互いに対向するラップ面を接触させ、摩耗やかじり
現象を発生し、圧縮機としての正常な運転を阻害する要
因である。
【0006】外周駆動方式における回転釣り合いを取る
手段としては、旋回スクロール部材を支持するクランク
軸に釣り合い錘(バランサ)を備え、旋回スクロール部
材の重心位置と質量をその形状から算出し、算出された
旋回スクロール部材の重心位置と質量に対応して釣り合
い錘の質量、重心位置を適切な値に設定することにより
総合的に不釣り合いを相殺させる方法が一般的である。
ここで問題となるのが、旋回スクロール部材の重心位置
と質量であり、これらが明確でないと釣り合い錘の質
量、重心位置など諸元を確定できない。特に、旋回スク
ロール部材を鋳造など寸法精度や密度分布に不確定要因
を含む方法で製作した場合において、測定を伴う操作無
しに旋回スクロール部材の重心位置と質量を十分に高い
精度で保証することは不可能である。
【0007】本発明が解決しようとする課題は、旋回ス
クロール部材の重心を所定位置に近づけることにある。
そして、本発明の目的とするところは、十分な精度で釣
り合いのとれた回転系を実現し、振動騒音が小さく信頼
性の高い外周駆動形スクロール圧縮機を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】旋回スクロール部材に質
量付加加工、質量除去加工、異質材料置換加工のうちの
少なくとも1つの加工を行うことにより、その重心位置
を所定の位置に近づけることができる。質量付加加工は
溶接や接着性材料により、肉盛りしたり、予め設けた穴
を埋めるなどにより実施され、重心は質量付加位置に近
付く。質量除去加工はドリル工具によるキリ穴開けやグ
ラインダ工具による削り取り、あるいは予め設けた突起
等の部分を切断するなどにより実施され、重心は質量除
去位置から遠のく。異質材料置換加工は質量除去加工の
後に元の材質と密度の異なる異質材料を付加し、外形が
変化しないようにするもので、付加した異質材料の密度
が除去した元の材料よりも重い時には質量付加加工と同
じ方向に、付加した異質材料の密度が除去した元の材料
よりも軽い時には質量除去加工と同じ方向に、重心はそ
れぞれ移動する。
【0009】重心を近づける所定の位置はクランク軸に
固定した釣り合い錘の配分により決まり、旋回スクロー
ル部材とすべての釣り合い錘の不釣り合いベクトルが相
殺し、合成ベクトルが0ベクトルになる位置である。旋
回スクロール部材の重心移動操作により旋回スクロール
部材の重心を所定の位置に一致させるのが理想である
が、ある程度の許容範囲内にあれば、実用上は問題な
い。
【0010】上記重心移動操作により、旋回スクロール
部材の質量も変化してしまうが、重心移動操作のための
付加質量あるいは除去質量は旋回スクロール部材の全質
量に比較して十分に小さく、通常は重心の位置移動に比
較し、質量変化が不釣り合いに及ぼす影響は小さい。た
だし、旋回速度が早い場合やより静音化が要求されるな
ど高精度の釣り合わせが必要な場合には、質量付加加工
と質量除去加工を組み合わせるか、旋回スクロール部材
の質量確定後にクランク軸に固定する釣り合い錘の諸元
を決定する方法により、重心位置に加えて質量も含めた
高精度釣り合わせが可能である。
【0011】特に、スクロール圧縮機の構造がクランク
軸が2本の外周駆動方式で、両軸に釣り合い錘を備える
場合には、前記した重心移動操作による旋回スクロール
部材の重心を動かす目標となる所定位置は次のとおりと
なる。2本のクランク軸により旋回スクロール部材を旋
回駆動する各クランク軸の偏心部分の中心線は平行な2
本の直線であり、旋回スクロール部材に取り付けられて
前記クランク軸偏心部分を軸支する二つの軸受の中心線
も同じく平行な2本の直線である。これら平行な2本の
軸受の中心線両方を含む平面と旋回スクロール部材が交
わる面が、重心移動の目標となる所定位置である。
【0012】さらに、高精度の釣り合わせが必要な場合
には、この平面上の一点である厳密な目標点に重心を移
動するのが理想である。その位置は次のように説明され
る。釣り合い錘の発生する遠心力は、釣り合い錘の重心
からクランク軸回転中心線におろした足を始点とし、釣
り合い錘の重心方向を向くベクトルで表すことができ、
その長さは遠心力の大きさになる。2つのクランク軸に
備えた複数の釣り合い錘で発生する遠心力によるすべて
のベクトルの合成ベクトルと反対向きで長さが同じベク
トルを仮想する。この仮想ベクトルの始点を釣り合い錘
の遠心力ベクトルの始点位置の加重平均点、すなわち各
遠心力ベクトルの始点にそれらの長さ分の重み付けをし
て平均した座標点とする。こうした時の仮想ベクトルの
長さを旋回スクロール部材の質量Mで除した長さのベク
トルの終点位置が、旋回スクロール部材の重心の移動目
標点である。
【0013】上述の重心移動の操作は旋回スクロール部
材へなされる除去量が不確定なすべての加工、たとえば
鋳物素材へのラップ面加工や外周部にある軸受ハウジン
グ加工、通常の形状加工などの後になされる必要があ
る。また、たとえ除去量が確定している加工あるいは増
加質量が確定している組み付けであっても、その分を予
め考慮した重心移動操作は可能ながら煩雑なことから、
重心移動操作より前に行われることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.本発明の第1の実施の形態を図1〜図3
を用いて説明する。図1は、外周駆動形スクロール圧縮
機の可動部構造を示す模式図で、これにより基本構造を
説明する。
【0015】旋回スクロール部材1は表裏2個のスクロ
ールラップ2を備え、自転せずに旋回運動する。運動の
基準としてスクロール中心Bが定められ、B点は半径R
で旋回中心Aを中心に回転する。スクロールラップ2に
インボリュート曲線を用いる場合にはその基礎円中心が
スクロール中心Bとなる。
【0016】この旋回運動を支持するのは旋回スクロー
ル部材1の両端近くに設けたクランク軸で、回転中心C
を回転軸として回転する方を主軸3、回転中心Eを回転
軸として回転する方を補助軸4と称する。主軸3は回転
中心Cから旋回半径Rだけ離れた偏心中心Dのクランク
部を備え、このクランク部で旋回スクロール部材1を軸
支する。補助軸4も同様に回転中心Eから旋回半径Rだ
け離れた偏心中心Fのクランク部を備え、このクランク
部で旋回スクロール部材1を軸支する。主軸3の回転中
心C、補助軸4の回転中心Eは、固定スクロール要素を
備えたケーシング(図示せず)に設けた軸受で支持され
る。また、C,A,E各点は一直線上にあり、幾何条件
からDBFも一直線を成す。
【0017】主軸3と補助軸4は図示しない回転伝達手
段(例えば、歯車、チェーン、タイミングベルトなど)
で連結され、回転位相を揃えた状態で回転同期が保たれ
る。したがって、旋回運動中にもベクトルABはベクト
ルCD、ベクトルEFと平行が保たれ、同時に直線CA
Eと直線DBFの平行も保たれる。なお、本明細書にお
いては、加工誤差や熱膨張や振動などによる僅かな寸法
変化は無視して説明する。
【0018】主軸3は外部から与えられた動力により回
転し、前記した回転伝達手段により結合されて共に回転
する補助軸4と連動して旋回スクロール部材1を旋回運
動させる。
【0019】主軸3には釣り合い錘5が備えられ、釣り
合い錘5の重心Gは、直線CDの延長線上の、回転中心
Cに対しDと反対側で、半径r1の位置にある。なお、
重心Gはクランク部の偏心質量やD部の軸受内輪など主
軸3と一体化したすべての偏心質量m1を考慮する。補
助軸4にも同様に釣り合い錘6が備えられ、その重心H
は、直線EFの延長線上の、回転中心Eに対しFと反対
側で、半径r2の位置にあり、その質量をm2とする。
両クランク軸の重心が回転中心からずれていることから
不釣合遠心力が働き、この不釣合遠心力が主軸3ではベ
クトルa(図面においては矢印付きの記号で表示)、補
助軸4ではベクトルbで示される。その大きさはm1×
r1×ω2、m2×r2×ω2となる。なお、ωはクラン
ク軸の回転角速度である。
【0020】ここで、AC=AE=BD=BF、すなわ
ち両クランク軸回転中心が旋回中心から等距離にある場
合を想定する。もし、旋回スクロール部材1の重心がス
クロール中心Bにあるとすれば、スクロール中心Bに遠
心力ベクトルsが作用し、その大きさは旋回スクロール
部材1の質量Mと旋回半径Rと旋回運動の回転角速度の
2乗の積、すなわちM×R×ω2となる。なお、質量M
にはクランク部軸受の外輪など旋回スクロール部材1と
一体化されるすべての部材が含まれる。
【0021】
【数1】
【0022】式(1)が成立する時、ベクトルs、a、
bにより生じる力やモーメントは打ち消しあって、外部
に表れない。すなわち、回転釣り合わせがとれた状態と
なる。逆に式(1)の関係が成り立たない条件では、外
部に加振力が作用し振動騒音を出し、同時に旋回スクロ
ール部材1や主軸3、補助軸4も振動することとなる。
したがって、通常は式(1)を満足するように形状が設
計される。なお、旋回スクロール部材1やクランク軸な
どの機構部品や軸受などの剛性は十分に高く、弾性変形
量は無視できるほど小さい。
【0023】理想的には上記のように、遠心力が互いに
相殺し、回転釣り合いは保たれるが、実際の機械におい
ては、旋回スクロール部材1の重心がスクロール中心B
に一致する保証はない。特に旋回スクロール部材1を鋳
物で概形を製作し機械加工で仕上げる場合には、鋳物の
寸法精度や密度分布の均一性が不十分であるために、重
心位置が数ミリの単位で設計形状に基づいて算出される
位置から変動する。
【0024】そこで、旋回スクロール部材1の重心を動
かす加工を行い、重心をスクロール中心Bに近づけてお
く。その加工方法は前記した質量付加加工、質量除去加
工、異質材料置換加工のいずれの方法であっても、ある
いはそれらの組み合わせであってもよい。また、重心位
置移動加工による旋回スクロール部材の質量Mの変化が
大きい場合には、旋回スクロール部材の質量Mの確定後
(上記重心移動のための加工後)に釣り合い錘の質量m
1ならびにm2を決定する方法を用いる。
【0025】次に、図2に示すような、両クランク軸回
転中心が旋回中心から等距離になく、旋回スクロール部
材1の重心がスクロール中心Bからずれて、線分DF上
にある場合を考える。AC=L1、AE=L2とする
と、先の幾何的条件からCE=DF=L1+L2とな
る。この場合は式(2)を満足すると、ベクトルs、
a、bにより生じる力やモーメントは打ち消しあって、
外部に表れない。すなわち、回転釣り合いがとれた状態
となる。
【0026】
【数2】
【0027】なお、旋回スクロール部材1の重心が線分
DF上に無い場合には、主軸3の釣り合い錘5と補助軸
4の釣り合い錘6をいかように構成しても回転釣り合い
をとることは不可能である。
【0028】図3は図1に示した旋回スクロール部材1
と両クランク軸の斜視図である。これを用いて、本実施
の形態における動釣り合いに関して説明する。回転釣り
合わせ作業は低速あるいは軸長さの短い回転体において
は静釣り合わせで十分であるが、高速あるいは軸長さの
長い回転体の場合には動釣り合いも滑らかな回転に必要
な条件である。もちろん、本実施の形態における外周駆
動形スクロール圧縮機においても動釣り合いは無視でき
ない。
【0029】動釣り合いは本圧縮機の場合、次のように
説明される。図3において、動釣り合いがとれていない
と、Z軸方向に分布した遠心力の合力であるモーメント
が振動を発生させる。したがって、図1や図2における
遠心力ベクトルaやbの作用点が旋回スクロール1の重
心を含むXY平面上にあるようにする。そのため、釣り
合い錘5,6を各々分割し、クランク部(偏心軸部)の
両側に形成する。旋回スクロール部材1の重心移動のた
めの加工操作においても、重心の位置が両ラップ面から
等距離にあるXY平面上(鏡板の板厚中心面)など一定
のZ方向位置を逸脱せぬように実施する必要がある。
【0030】本実施の形態によれば、クランク軸に釣合
い錘を設けるだけでなく、旋回スクロール部材の重心位
置を所定の位置に移動するように質量付加、質量除去あ
るいは異質材料置換などの加工が行われるので、比較的
簡単な構造で目的とする振動騒音が少なく信頼性の高い
外周駆動形スクロール圧縮機を実現することができる。
また、クランク軸が2つのみであることから、部品点数
も少なく、安価、軽量でコンパクトな構造とすることが
可能である。また、本発明は、旋回スクロール部材が鋳
造材である場合に特に効果的である。
【0031】実施の形態2.本発明の第2の実施の形態
を図4を用いて説明する。図4は、外周駆動形スクロー
ル圧縮機の可動部構造を示す模式図で、これにより基本
構造を説明する。なお、本実施の形態において、構造、
動作、作用や効果などで第1の実施例と共通する事項は
説明を省略する。
【0032】旋回スクロール部材11の外周部に3本の
クランク軸12、13、14を備え、そのうちの1本が
駆動軸である。他の2本は従動軸で、旋回スクロール部
材1の旋回運動を規定するのみで、動力の伝達はしない
が、幾何的条件から同期回転を強制される。クランク軸
12、13、14には釣り合い錘15、16、17を備
える。
【0033】全クランク軸の偏心中心がスクロール中心
から等距離、120度間隔で配置され、旋回スクロール
部材11の重心がスクロール中心にある場合には、式
(3)を満足すれば、回転釣り合いがとれる。
【0034】
【数3】
【0035】ここで、m1、m2、m3とr1、r2、
r3は各々釣り合い錘15、16、17の質量と重心の
回転半径(偏心半径)である。また、Mは旋回スクロー
ル部材11の質量、Rは旋回半径である。
【0036】本実施の形態においては、旋回スクロール
部材11の重心はどこにあっても3つの釣り合い錘1
5、16、17の質量と半径を個別に加減することによ
り回転釣り合いをとることが可能である。その場合であ
っても、釣り合い錘の重心はクランク偏心の対向位置に
あり、式(4)を満足する必要がある。
【0037】
【数4】
【0038】そして各釣り合い錘の偏心質量と偏心半径
の積m×rの分配比により、実施の形態1で述べた「仮
想ベクトル」の始点を動かすことにより、仮想ベクトル
の始点を旋回スクロール部材11の重心位置に合わせる
ことができる。
【0039】旋回スクロール部材11の重心がどこにあ
っても回転釣り合いをとることは可能であるが、個別に
重心位置を測定し、その結果に釣り合い錘14,15,
16の質量を合わせる作業は非効率的である。そのた
め、旋回スクロール部材11の重心位置をスクロール中
心でないにしろ所定の位置に定め、全釣り合い錘を設計
し製作した上で、旋回スクロール部材の重心移動のため
の加工操作を行うのが効率的である。
【0040】本実施例によれば、旋回スクロール部材1
1の重心をどこにでも設定することができるので、設計
に自由度が増す。また、クランク軸が3本あることか
ら、軸受を点として考えた場合、3か所の軸受で面が定
まり、クランク軸2本の時に比較して安定した回転が期
待できる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、回転不釣り合いを排除
し、静かで滑らかな旋回運動をする外周駆動形スクロー
ル圧縮機を提供することができる。本発明のスクロール
圧縮機は振動も少ないため、振動によるスクロールラッ
プどうしの接触も回避され、信頼性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の外周駆動形スクロール圧縮機の可動部
構造を示す模式図である。
【図2】本発明の外周駆動形スクロール圧縮機の寸法が
図1と異なる場合の模式図である。
【図3】本発明の外周駆動形スクロール圧縮機の可動部
構造を示す斜視図である。
【図4】本発明の外周駆動形スクロール圧縮機の第2の
実施の形態の模式図である。
【符号の説明】
1 旋回スクロール部材 2 スクロールのラップ 3 主軸 4 補助軸 5 釣り合い錘 6 釣り合い錘 11 旋回スクロール部材 12、13、14 クランク軸 15、16、17 釣り合い錘 A 旋回中心 B スクロール中心 C 主軸回転中心 D 主軸偏心中心 E 補助軸回転中心 F 補助軸偏心中心 M 旋回スクロール部材質量

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 渦巻き形の溝もしくはラップを表面に形
    成しケーシングに固定された固定スクロール要素と該固
    定スクロール要素と噛み合う渦巻き形の溝もしくはラッ
    プを表面に形成し旋回運動する旋回スクロール要素から
    なり、これら2種のスクロール要素の噛み合わせで圧縮
    作動室が形成されたスクロール要素対を2組備え、該2
    つのスクロール要素対に各々属する旋回スクロール要素
    2つは背中合わせに同一の旋回スクロール部材に固定さ
    れ、該旋回スクロール部材は、前記旋回スクロール要素
    よりも外周部に配置されて同期回転する複数のクランク
    軸の偏心部分により駆動されて旋回運動し、前記複数の
    クランク軸のうちの少なくとも2本は各々偏心部分と軸
    を挟んでほぼ対向する側に釣り合い錘を備えている外周
    駆動形スクロール圧縮機において、 前記旋回スクロール部材は、圧縮動作を行う上で形状的
    には不要な付加質量、圧縮動作を行う上で形状的には不
    要な凹みもしくは穴、異質材料で置換された部分のうち
    の少なくとも1つを有することを特徴とする外周駆動形
    スクロール圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記旋回スクロール部材の重心は、旋回
    スクロール部材の、釣り合い錘を備えた2本のクランク
    軸の偏心部分を軸支する旋回スクロール部材の二つの軸
    受の中心線の双方を含む平面上にあることを特徴とする
    請求項1記載の外周駆動形スクロール圧縮機。
  3. 【請求項3】 渦巻き形の溝もしくはラップを表面に形
    成しケーシングに固定された固定スクロール要素と該固
    定スクロール要素と噛み合う渦巻き形の溝もしくはラッ
    プを表面に形成し旋回運動する旋回スクロール要素から
    なり、これら2種のスクロール要素の噛み合わせで圧縮
    作動室が形成されたスクロール要素対を2組備え、該2
    つのスクロール要素対に各々属する旋回スクロール要素
    2つは背中合わせに同一の旋回スクロール部材に固定さ
    れ、該旋回スクロール部材は、前記旋回スクロール要素
    よりも外周部に配置されて同期回転する複数のクランク
    軸の偏心部分により駆動されて旋回運動し、前記複数の
    クランク軸のうちの少なくとも2本は各々偏心部分と軸
    を挟んでほぼ対向する側に釣り合い錘を備えている外周
    駆動形スクロール圧縮機において、 前記旋回スクロール部材は、質量付加加工、質量除去加
    工、異質材料置換加工のうちの少なくとも1つの加工が
    なされ、該加工により前記旋回スクロール部材の重心位
    置が、該加工前に比較して、所定の位置に近づいている
    ことを特徴とする外周駆動形スクロール圧縮機。
  4. 【請求項4】 前記所定の位置が、旋回スクロール部材
    の、釣り合い錘を備えた2本のクランク軸の偏心部分を
    軸支する二つの軸受の中心線の双方を含む平面上の位置
    であることを特徴とする請求項3に記載の外周駆動形ス
    クロール圧縮機。
JP10452797A 1997-04-22 1997-04-22 外周駆動形スクロール圧縮機 Expired - Lifetime JP3543187B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6190147B1 (en) * 1998-11-05 2001-02-20 Kabushiki Kaisha Toyoda Jidoshokki Seisakusho Rotation balancing mechanism for orbiting scrolls of scroll-type compressors
JP2006504896A (ja) * 2002-11-04 2006-02-09 ケ,エンジウ 複数の回転防止ユニットで接続されるマルチスクロール機械
JP2009209877A (ja) * 2008-03-06 2009-09-17 Yanmar Co Ltd スクロール式流体機械
JP2017145833A (ja) * 2017-06-06 2017-08-24 三浦工業株式会社 スクロール流体機械

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