JP3542933B2 - ラッチングソレノイド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は小型軽量のラッチングソレノイドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラッチングソレノイドとしては、例えば、実開平3−45609号公報で開示されるラッチングソレノイドが知られている。
【0003】
図6に、同公報開示のラッチングソレノイド50を示す。このラッチングソレノイド50は、継鉄51に対して変位自在の可動鉄心52と固定した固定鉄心53,54を備え、可動鉄心52の中間位置に永久磁石55を、かつ両側位置に一対の励磁コイル56,57をそれぞれ配して構成するとともに、特に、継鉄51を、両端が開口した枠部61と、この枠部61の開口を閉塞し、かつ固定鉄心53,54を有する一対の閉板部62,63と、各閉板部62,63を枠部61に固定する複数のネジ64…により構成したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来のラッチングソレノイド50は、次のような解決すべき課題も存在した。
【0005】
第一に、枠部61,閉板部62,63及び複数のネジ64…により、継鉄51を構成する必要があるため、部品点数の増加に伴うコストアップを招くとともに、小型軽量化を図れない。
【0006】
第二に、組立部分が多くなるため、組立性の低下を招くのみならず、組立誤差の発生により性能のバラツキや品質の不均一性を生じる虞れがあるとともに、機械的強度を確保しにくい。
【0007】
本発明はこのような従来の技術に存在する課題を解決したものであり、部品点数の大幅削減によるコストダウン及び小型軽量化を図るとともに、組立性の向上,性能及び品質の均一性を図れ、加えて機械的強度の確保、さらには信頼性の向上を図ることができるラッチングソレノイドの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び実施の形態】
本発明に係るラッチングソレノイド1は、円筒状のボディ部11及びこのボディ部11の両端に一体の円盤状のバリア部12p,12qからなるコイルボビン部2cを有するとともに、バリア部12p,12qの周縁部から軸方向外方へ円筒状に突出した一対のマグネット収容部2p,2qを一体に形成したハウジング2と、各マグネット収容部2p,2qに収容し、同極を対向させた一対のマグネット3p,3qと、コイルボビン部2cの外周に巻回した励磁コイル4と、コイルボビン部2cの内部に、軸方向Sへ所定ストロークLだけ変位自在に収容し、かつ軸方向S外部に突出する非磁性シャフト6を一体に有する磁性可動体5と、マグネット収容部2p,2qに嵌合し、かつマグネット3p,3qの外側に位置することにより、非磁性シャフト6を支持する軸受体7p,7qを備えることを特徴とする。
【0009】
この場合、好適な実施の形態により、マグネット収容部2p,2qにおけるマグネット3p,3qと磁性可動体5間には、磁性板8p,8qを収容する。
【0010】
これにより、励磁コイル4に正方向の励磁電流を流せば、磁性可動体5の一端面にS極が、他端面にN極がそれぞれ発生する。したがって、一対のマグネット3p,3qの相対向する磁極が、例えば、N極の場合、磁性可動体5の一端面(S極)は対向するマグネット3pに吸引され、かつ磁性可動体5の他端面(N極)は対向するマグネット3qに対して反発する。この結果、磁性可動体5は、マグネット3p側に変位し、マグネット3p(磁性板8p)に吸着する。なお、この後、励磁を解除しても、磁性可動体5は磁性板8pに吸着した状態を維持する。一方、励磁コイル4に逆方向の励磁電流を流せば、磁性可動体5の一端面にN極が、他端面にS極がそれぞれ発生する。したがって、磁性可動体5の一端面(N極)は対面するマグネット3pに対して反発し、かつ磁性可動体5の他端面(S極)は対面するマグネット3qに吸引される。この結果、磁性可動体5は、マグネット3q側に変位し、マグネット3q(磁性板8q)に吸着する。なお、この後、励磁を解除しても、磁性可動体5は磁性板8qに吸着した状態を維持し、双安定タイプのラッチングソレノイドとして機能する。
【0011】
【実施例】
以下には、本発明に好適な実施例を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0012】
まず、本実施例に係るラッチングソレノイド1の構成部品について、図1〜図3を参照して説明する。
【0013】
2は合成樹脂等により一体成形したハウジングであり、コイルボビン部2cと、このコイルボビン部2cの両端に一体に有する一対のマグネット収容部2p,2qからなる。また、コイルボビン部2cは、円筒状のボディ部11と、このボディ部11の両端に一体に有する円盤状のバリア部12p,12qを備えるとともに、マグネット収容部2p,2qは、バリア部12p,12qの周縁部から軸方向外方へ円筒状に突出する。
【0014】
3pは、マグネット収容部2pに収容(嵌合)するマグネットである。マグネット3pは図3に示すように、内側に嵌合孔13pを有するリング状に形成し、一端面にN極が、他端面にS極がそれぞれ生じるように着磁された永久磁石を用いる。マグネット3pは同一のものを一対用意し、他方はマグネット収容部2qに収容するマグネット3qとして用いる。なお、マグネット3qにおいて、13qは嵌合孔を示す。
【0015】
5は、コイルボビン2の内部に挿通する円柱状の磁性可動体である。この磁性可動体5は、コイルボビン2の内部に収容した際に、後述する磁性板8p,8qに規制され、軸方向Sへ所定ストロークL(図4参照)だけ変位可能な直径及び長さを選定し、中心には、磁性可動体5の端面から両方向へ突出する非磁性シャフト6を挿入固定する。
【0016】
7pは、マグネット収容部2pに収容することにより、非磁性シャフト6を支持する軸受体であり、マグネット収容部2pに嵌合可能な円柱状の軸受本体部14pと、この軸受本体部14pの一端面中心から突出してマグネット3pの嵌合孔13pに嵌合する嵌合凸部15pと、中心に貫通形成することにより、非磁性シャフト6を回動自在及び進退自在に支持する軸受孔部16pを有する。軸受体7pは同一のものを一対用意し、他方は、マグネット収容部2qに収容する軸受体7qとして用いる。なお、軸受体7qにおいて、14qは軸受本体部、15qは嵌合凸部、16qは軸受孔部をそれぞれ示す。
【0017】
8pは、磁性板であり、全体をマグネット3pと同径に形成し、かつ中心に非磁性シャフト6が挿通する挿通孔17pを有する円盤状に形成する。磁性板8pは同一のものを一対用意し、他方は磁性板8qとして用いる。なお、磁性板8qにおいて、17qは挿通孔を示す。
【0018】
次に、本実施例に係るラッチングソレノイド1の組立方法について、図1〜図3を参照して説明する。
【0019】
まず、ハウジング2のコイルボビン部2cの外周に、巻線を巻回して励磁コイル4を構成する。また、コイルボビン部2cの内部には、磁性可動体5を挿通させる。この後、磁性板8pの挿通孔17pに非磁性シャフト6の一端側を挿通させ、磁性板8pをマグネット収容部2pに嵌合させるとともに、他方、磁性板8qの挿通孔17qに非磁性シャフト6の他端側を挿通させ、磁性板8qをマグネット収容部2qに嵌合させる。
【0020】
また、軸受体7p,7qの嵌合凸部15p,15qに、それぞれマグネット3p,3qの嵌合孔13p,13qを装着(嵌合)する。そして、マグネット3pを内側に位置させた軸受体7pの軸受孔部16pに、非磁性シャフト6の一端側を挿通させ、軸受体7p(マグネット3p)を、マグネット収容部2pに嵌合させるとともに、他方、マグネット3qを内側に位置させた軸受体7qの軸受孔部16qに、非磁性シャフト6の他端側を挿通させ、軸受体7q(マグネット3q)を、マグネット収容部2qに嵌合させる。この際、一対のマグネット3p,3qは同極を相対向させる。実施例の場合は、図4に示すようにN極同士が相対向する。
【0021】
マグネット収容部2p,2qに、軸受体7p,7qをそれぞれに完全に嵌合させたなら、マグネット収容部2p,2qの外周面から径方向に螺合する固定ネジ等により軸受体7p,7qとマグネット収容部2p,2qを固定する。なお、軸受体7p,7qをマグネット収容部2p,2qに固定する固定手段としては、軸受体7p,7qの外周面をマグネット収容部2p,2qの内周面にネジ込み式とした固定手段,マグネット収容部2p,2qの内周面に複数のストッパを突出形成した固定手段,接着剤を用いた固定手段など、各種固定手段を採用できる。
【0022】
これにより、図1に示す双安定タイプのラッチングソレノイド1が構成され、このようなラッチングソレノイド1によれば、従来のような枠部及び閉板部を用いた継鉄が不要になるため、部品点数の大幅な削減を図れる。また、組立部分が少なくなり、組立性の向上、組立誤差の低減による性能及び品質の均一性を図れるとともに、さらには機械的強度が高められる。
【0023】
次に、本実施例に係るラッチングソレノイド1の動作について、図4及び図5を参照して説明する。
【0024】
まず、励磁コイル4に正方向の励磁電流を流せば、図4に示すように、磁性可動体5の一端面にS極が、他端面にN極がそれぞれ発生する。一方、一対のマグネット3p,3qの相対向する磁極はN極であるため、磁性可動体5に対面する磁性板8p,8qの端面もN極となり、磁性可動体5のS極(一端面)は、対面するマグネット3pに吸引され、かつ磁性可動体5のN極(他端面)は、対面するマグネット3qに対して反発する。したがって、磁性可動体5は、マグネット3p側に変位し、磁性板8pに吸着する。この状態を図4に示す。なお、この後、励磁コイル4に流す電流を停止しても、磁性可動体5は磁性板8pに吸着した状態を維持する。
【0025】
他方、励磁コイル4に逆方向の励磁電流を流せば、図5に示すように、磁性可動体5の一端面にN極が、他端面にS極がそれぞれ発生する。したがって、磁性可動体5のN極(一端面)は対面するマグネット3pに対して反発し、かつ磁性可動体5のS極(他端面)は対面するマグネット3qに吸引されるため、磁性可動体5は、マグネット3q側に変位し、磁性板8qに吸着する。この状態を図5に示す。なお、この後、励磁コイル4に流す電流を停止しても、磁性可動体5は磁性板8qに吸着した状態を維持する。
【0026】
以上、実施例について詳細に説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更,追加,削除できる。例えば、磁性板8p,8qは必ずしも設けることを要しない。また、必要により全体を覆うカバー等を設けてもよい。
【0027】
【発明の効果】
このように、本発明に係るラッチングソレノイドは、円筒状のボディ部及びこのボディ部の両端に一体の円盤状のバリア部からなるコイルボビン部を有するとともに、バリア部の周縁部から軸方向外方へ円筒状に突出した一対のマグネット収容部を一体に形成したハウジングと、各マグネット収容部に収容し、同極を対向させた一対のマグネットと、コイルボビン部の外周に巻回した励磁コイルと、コイルボビン部の内部に、軸方向へ所定ストロークだけ変位自在に収容し、かつ軸方向外部に突出する非磁性シャフトを一体に有する磁性可動体と、マグネット収容部に嵌合し、かつマグネットの外側に位置することにより、非磁性シャフトを支持する軸受体を備えるため、次のような顕著な効果を奏する。
【0028】
(1) 従来のような枠部及び閉板部を用いた継鉄が不要になるため、部品点数の大幅な削減によるコストダウン及び小型軽量化を図れる。
【0029】
(2) 組立部分が少なくなり、組立性の向上を図れるとともに、組立誤差の低減による性能及び品質の均一性を図れ、加えて機械的強度の確保、さらには信頼性の向上を図れる。
【0030】
(3) マグネット収容部に嵌合する軸受体を有するとともに、好適な実施の形態により磁性板を設ければ、ラッチングソレノイドの更なる安定した動作を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係るラッチングソレノイドの側面断面図、
【図2】図1中A−A線断面図、
【図3】同ラッチングソレノイドにおける使用部品の分解斜視図、
【図4】同ラッチングソレノイドの動作を説明するための動作説明図、
【図5】同ラッチングソレノイドの動作を説明するための動作説明図、
【図6】従来の技術に係るラッチングソレノイドの側面断面図、
【符号の説明】
1 ラッチングソレノイド
2 ハウジング
2p… マグネット収容部
2c コイルボビン部
3p… マグネット
4 励磁コイル
5 磁性可動体
6 非磁性シャフト
7p… 軸受体
8p… 磁性板
11 ボディ部
12p… バリア部
S 軸方向
L 所定ストローク

Claims (2)

  1. 円筒状のボディ部及びこのボディ部の両端に一体の円盤状のバリア部からなるコイルボビン部を有するとともに、前記バリア部の周縁部から軸方向外方へ円筒状に突出した一対のマグネット収容部を一体に形成したハウジングと、各マグネット収容部に収容し、同極を対向させた一対のマグネットと、前記コイルボビン部の外周に巻回した励磁コイルと、前記コイルボビン部の内部に、軸方向へ所定ストロークだけ変位自在に収容し、かつ軸方向外部に突出する非磁性シャフトを一体に有する磁性可動体と、前記マグネット収容部に嵌合し、かつ前記マグネットの外側に位置することにより、前記非磁性シャフトを支持する軸受体を備えることを特徴とするラッチングソレノイド。
  2. 前記マグネット収容部における前記マグネットと前記磁性可動体間に、磁性板を収容してなることを特徴とする請求項1記載のラッチングソレノイド。
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