JP3542291B2 - スピニングリールのリール本体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リール本体、特に、釣り竿に装着され、釣り竿を握った手によるブレーキレバーの揺動操作によりロータを制動するとともに、操作軸によりロータの糸繰り出し方向の回転を規制するレバーブレーキ型のスピニングリールのリール本体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にスピニングリールは、リール本体と、リール本体に回転自在に支持されたロータと、ロータの前方に設けられ外周に釣り糸が巻き付けられるスプールとを有している。このようなスピニングリールにおいて、魚とのやりとりを行う逆転時(糸繰り出し方向の回転時)にロータの回転を制動する制動機構を有するレバーブレーキ型のスピニングリールが知られている。この制動機構は、通常、リール本体に揺動自在に設けられたブレーキレバーにより操作される。ブレーキレバーは、支持部分がリール本体に収納されるように配置されており、先端がリール本体から離れて釣り竿近傍に配置されている。また、釣り場の移動時に仕掛けの自重により釣り糸がロータから繰り出されないようにするために、ロータの糸繰り出し方向の回転を規制するための操作軸を有するものがある。
【0003】
このようなレバーブレーキ型のスピニングリールのリール本体は、釣り竿に装着するための竿装着部と、ロータ及びスプールを前端部で支持するリールボディとを有している。竿装着部は、釣り竿に沿って配置される竿取付部と、釣り竿から離反する方向に竿取付部から延び前面にブレーキレバーを収納するための第1凹溝が形成された脚部とを有している。リールボディは、竿装着部の脚部と一体形成されており、内部に形成された機構収納空間と、前面に形成され第1凹溝に連続する第2凹溝と、ブレーキレバーの揺動軸を釣り竿の長手方向と交差する方向に沿って配置するために第2凹溝の両壁部に形成された装着孔と、装着孔の下方で機構収納空間から前方に操作軸を貫通させるために第2凹溝の底部に形成された貫通孔とを有している。
【0004】
このようなスピニングリールでは、釣りを行うときには、キャスティング後に魚が仕掛けにかかったときにブレーキレバーを操作して魚とやりとりしながら魚を取り込む。釣り場を移動するときには、操作軸によりロータの糸繰り出し方向の回転を規制して釣り糸がロータから繰り出さないようにする。たとえば、操作軸によりワンウェイクラッチを操作してロータを糸繰り出し方向に回転しないようにしたり、操作軸によりブレーキレバーを制動位置側に押圧してロータを糸繰り出し方向に回転しないようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のスピニングリールのリール本体では、リール本体が水濡れすると、釣り竿をしゃくり操作したときに、リール本体の内部の機構収納空間に水が浸入することがある。この原因としては、釣り竿をしゃくるとリール本体の前端が上向きになり、第1凹溝と第2凹溝との低くなった部分に水が貯まり、貯まった水が第2凹溝に形成された貫通孔から内部に浸入するためであると考えられる。機構収納空間に水が浸入すると、そこに装着された軸受などの回転部品が腐食し回転性能が低下するおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、レバーブレーキ型のスピニングリールのリール本体において、リール本体内部への水の浸入を抑えることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明1に係るスピニングリールのリール本体は、釣り竿に装着され、釣り竿を握った手によるブレーキレバーの揺動操作によりロータを制動するとともに、操作軸によりロータの糸繰り出し方向の回転を規制するレバーブレーキ型のスピニングリールのリール本体であって、竿装着部と、リールボディと、シール部材とを備えている。竿装着部は、釣り竿に沿って配置される竿取付部と、釣り竿から離反する方向に竿取付部から延び前面にブレーキレバーを収納するための第1凹溝が形成された脚部とを有するものである。リールボディは、竿装着部の脚部と一体形成され、内部に形成された機構収納空間と、前面に形成され第1凹溝に連続する第2凹溝と、ブレーキレバーの揺動軸を釣り竿の長手方向と交差する方向に沿って配置するために第2凹溝の両壁部に形成された装着孔と、装着孔の下方で機構収納空間から前方に操作軸を貫通させるために第2凹溝の底部に形成された貫通孔と、貫通孔の周囲に第2凹溝の底部から前方に突出して形成された堤部とを有している。シール部材は、貫通孔の内周面において、内周面と操作軸とに接触して装着された弾性体製の部材である。貫通孔内のシール部材装着部分より前方には、グリースが充填されている。
【0008】
このリール本体を使用したスピニングリールを釣り竿に装着して釣り竿をしゃくってリールの前部を上方に向けると、第1凹溝と第2凹溝との低くなった部分に水が貯まりやすい。この貯まった水が第2凹溝に形成された貫通孔から内部に浸入しようとするが、貫通孔の周囲には堤部が形成されているので、堤部を越えない限り水は貫通孔に浸入しない。このため、貫通孔を介してリール本体の内部の機構収納空間に水が浸入しにくくなり、内部の回転部品が腐食しにくくなる。また、貫通孔と操作軸との隙間がシール部材により塞がれるので、貫通孔から内部に水がより浸入しにくくなる。さらに、シール部材より前方に水をはじきやすいグリースが充填されているので、貫通孔からリール本体内部にさらに水が浸入しにくくなる。また、グリースにより操作軸の移動がスムーズになり、操作に要する力も軽減する。
【0009】
発明2に係るスピニングリールのリール本体は、釣り竿に装着され、釣り竿を握った手によるブレーキレバーの揺動操作によりロータを制動するとともに、操作軸によりロータの糸繰り出し方向の回転を規制するレバーブレーキ型のスピニングリールのリール本体であって、竿装着部と、リールボディと、集水部と、水抜き孔とを備えている。竿装着部は、釣り竿に沿って配置される竿取付部と、釣り竿から離反する方向に竿取付部から延び前面にブレーキレバーを収納するための第1凹溝が形成された脚部とを有するものである。リールボディは、竿装着部の脚部と一体形成され、内部に形成された機構収納空間と、前面に形成され第1凹溝に連続する第2凹溝と、ブレーキレバーの揺動軸を釣り竿の長手方向と交差する方向に沿って配置するために第2凹溝の両壁部に形成された装着孔と、装着孔の下方で機構収納空間から前方に操作軸を貫通させるために第2凹溝の底部に形成された貫通孔と、貫通孔の周囲に第2凹溝の底部から前方に突出して形成された堤部とを有している。集水部は、第1凹溝または第2凹溝の底部に他の部分より深く形成されている。水抜き部は、集水部から後部に貫通する水抜き孔とを有している。このリール本体を使用したスピニングリールを釣り竿に装着して釣り竿をしゃくってリールの前部を上方に向けると、第1凹溝と第2凹溝との低くなった部分に水が貯まりやすい。この貯まった水が第2凹溝に形成された貫通孔から内部に浸入しようとするが、貫通孔の周囲には堤部が形成されているので、堤部を越えない限り水は貫通孔に浸入しない。このため、貫通孔を介してリール本体の内部の機構収納空間に水が浸入しにくくなり、内部の回転部品が腐食しにくくなる。また、第1凹溝又は第2凹溝に水が入ると、その水が底部に他の部分より深く形成された集水部に貯まる。この集水部に貯まった水は、水抜き孔から外部に逃げる。このため、貫通孔に水が行きにくくなり、貫通孔から内部に水がより浸入しにくくなる。
【0010】
発明3に係るスピニングリールのリール本体は、釣り竿に装着され、釣り竿を握った手によるブレーキレバーの揺動操作によりロータを制動するとともに、操作軸によりロータ の糸繰り出し方向の回転を規制するレバーブレーキ型のスピニングリールのリール本体であって、竿装着部とリールボディと、シール部材と、集水部と、水抜き孔とを備えている。竿装着部は、釣り竿に沿って配置される竿取付部と、竿取付部から釣り竿から離反する方向に延び前面にブレーキレバーを収納するための第1凹溝が形成された脚部とを有するものである。リールボディは、竿装着部の脚部と一体形成され、内部に形成された機構収納空間と、前面に形成され第1凹溝に連続する第2凹溝と、ブレーキレバーの揺動軸を釣り竿の長手方向と交差する方向に沿って配置するために第2凹溝の両壁部に形成された装着孔と、装着孔の下方で機構収納空間から前方に操作軸を貫通させるために第2凹溝の底部に形成された貫通孔とを有するものである。シール部材は、貫通孔の内周面において、内周面と操作軸とに接触して装着された弾性体製の部材である。集水部は、第1凹溝または第2凹溝の底部に他の部分より深く形成されている。水抜き部は、集水部から後部に貫通する水抜き孔とを有している。
【0011】
このリール本体を使用したスピニングリールを釣り竿に装着して釣り竿をしゃくってリールの前部を上方に向けると、第1凹溝と第2凹溝との低くなった部分に水が貯まりやすい。この貯まった水が第2凹溝に形成された貫通孔から内部に浸入しようとするが、貫通孔の内周面には操作軸との間にシール部材が装着されているので、内周面と操作軸の外周面との隙間がシール部材により塞がれる。このため、貫通孔から水が内部に浸入しにくくなり、内部の回転部品が腐食しにくくなる。また、第1凹溝又は第2凹溝に水が入ると、その水が底部に他の部分より深く形成された集水部に貯まる。この集水部に貯まった水は、水抜き孔から外部に逃げる。このため、貫通孔に水が行きにくくなり、貫通孔から内部に水がより浸入しにくくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
〔全体構成〕
図1に示す本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、レバーブレーキ型のスピニングリールであり、ハンドル1及びブレーキレバー30が装着されたリール本体2と、リール本体2の前部に回転自在に支持されたロータ3と、ロータ3の前部に配置され釣り糸を巻き取るスプール4とを備えている。
【0013】
〔リール本体の構成〕
リール本体2は、図1に示すように、釣り竿に装着される竿装着部2aと、竿装着部と一体で形成されたリールボディ2bとを有している。
【0014】
竿装着部2aは、釣り竿に沿って配置される竿取付部2cと、釣り竿から離反する方向に竿取付部2cから延び前面にブレーキレバー30を収納するために形成された第1凹溝13を有する脚部2dとを有している。脚部2dは、竿取付部2cの長手方向の略中心部から図1下方に延びた折れ曲がって後斜め後方にリールボディ2bに向けて末広がりに延びている。第1凹溝13は、ブレーキレバー30を収納するために脚部2dの折れ曲がり部分からリールボディ2bに向けて前面側に形成されている。
【0015】
リールボディ2bは、竿装着部2aの脚部2dと一体形成されている。リールボディ2bは、図2に示すように、内部に形成された機構収納空間14と、前面上部に形成され第1凹溝13に連続する第2凹溝15と、第2凹溝15の両壁部15bに形成された軸装着孔16と、軸装着孔16の下方で第2凹溝15の底部15aに形成された貫通孔17と、貫通孔17の周囲に形成された堤部18とを有している。
【0016】
軸装着孔16は、図3に示すように、ブレーキレバー30の揺動軸33(後述)を釣り竿の長手方向と交差する方向に沿って配置するために設けられている。貫通孔17は、機構収納空間14から前方に操作軸(後述)52を貫通させるために設けられている。堤部18は、第2凹溝15の底部15aから前方に突出して貫通孔17の周囲に配置されており、第2凹溝15に貯まった水が貫通孔17に浸入するのを防止するために設けられている。第2凹溝15の底部15aには他の部分より深く形成された集水部19aと、集水部19aから後部に貫通する水抜き孔19bとを有する水抜き部19が設けられている。この水抜き部19は、第1凹溝13や第2凹溝15に貯まった水を外部に排出して貫通孔17から機構収納空間14内に水が浸入するのを防止するために設けられている。さらに貫通孔17と操作軸52との間にはOリング23が装着されている。Oリング23は、貫通孔17と操作軸52との隙間から水が機構収納空間14内に浸入するのを防止するために設けられている。このように、第1又は第2凹溝13,15から機構収納空間14に水が浸入するのを防止するために3重の防御策を講じている。なお、Oリング23より前側において、貫通孔17と操作軸52との間にはグリース24が充填されている。このグリース24の充填により水が機構収納空間14内にさらに浸入しにくくなる。
【0017】
リールボディ2bの内部の機構収納空間14には、ロータ3を回転させるためのロータ駆動機構5と、ロータ3を制動するためのレバーブレーキ機構6の一部と、スプール4を回転軸芯Xに沿って前後方向に移動させてスプール4に釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構7とが設けられている。
【0018】
ロータ3は合成樹脂製であり、リール本体2に回転自在に支持されている。ロータ3は、円筒部3aと、円筒部3aの側方に互いに対向して設けられた第1アーム部3b及び第2アーム部3cとを有している。円筒部3aの前壁3dの中央部には貫通孔3eを有するボス部3fが形成されている。この貫通孔3eにスプール軸8及びピニオンギア12(後述)が貫通している。第1アーム部3bの先端と第2アーム部3cの先端部との間には、揺動自在にベールアーム9が設けられている。
【0019】
スプール4は合成樹脂製であり、ロータ3の第1アーム部3bと第2アーム部3cとの間に配置されている。スプール4はスプール軸8の先端に着脱自在かつ回転不能に装着されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる糸巻き胴部4aと、糸巻き胴部4aの後部に一体成形されたスカート部4bと、糸巻き胴部4aの前端に固定されたフランジ部4cとを有している。スプール軸8は、オシレーティング機構7により前後方向に移動可能である。
【0020】
ロータ駆動機構5は、ハンドル1が固定されたハンドル軸10とともに回転するフェースギア11と、このフェースギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ハンドル軸10は、リール本体2に回転自在に支持されている。ピニオンギア12は筒状に形成されており、その前部12aはロータ3中心部を貫通してスプール4側に延びている。この前部12aにロータ3が回転不能に連結されている。ピニオンギア12は、中間部及び後部をそれぞれ軸受25,26によりリールボディ2bに支持されている。
【0021】
〔レバーブレーキ機構の構成〕
レバーブレーキ機構6は、ロータ3の円筒部3aの内部に配置された制動部20と、制動部20を制動状態に保持するための制動保持部21とを有している。
【0022】
制動部20は、図2に示すように、リールボディ2bに揺動自在に支持されたブレーキレバー30と、ブレーキレバー30により制動される制動部本体31と、制動部本体31をロータ3の糸繰り出し方向の回転にのみ連動して回転させるワンウェイクラッチ32とを有している。
【0023】
ブレーキレバー30は、図1に示すように、リールボディ2bと竿装着部2aとの境界部分においてリールボディ2bに揺動軸33により揺動自在に支持されており、かつコイルばね34により図1反時計回りに付勢されている。ブレーキレバー30は、揺動軸33から湾曲して竿取付部2cに沿って延びる操作レバー部30aと、揺動軸33から湾曲して斜め下方に延びる制動作用部30bと、操作レバー部30aの途中から前方に延びるカバー部30cとを有している。カバー部30cは、合成樹脂製であり、その先端は、ベールアーム9より先端側に延びている。制動レバー30の操作レバー部30aと制動作用部30bとはそれぞれ金属製である。制動作用部30bの先端には、圧接部30dが着脱自在に装着されている。圧接部30dは合成樹脂製であり、制動レバー30の揺動により制動部本体31を押圧する。
【0024】
制動部本体31は、図2及び図4に示すように、ロータ3の内周側にロータ3と同芯に配置された制動円筒40と、制動円筒40を傾動自在かつ回転不能に支持する回転円筒41と、リールボディ2bに設けられたドラム部42とを有している。
【0025】
制動円筒40は薄肉の有底円筒形状の金属製円筒であり、その周部の先端の摺接部40aがドラム部42とブレーキレバー30の圧接部30dとの間に配置される。制動円筒40は、その中心部に鋸歯形状の内歯部40bを有している。
【0026】
回転円筒41は、大径部41aと小径部41bとを有する段付きの金属製円筒部材であり、大径部41aに内歯部40bに噛み合う外歯部41cが形成されている。この外歯部41cにワンウェイクラッチ32及び制動円筒40が回転不能に係止されている。大径部41aの内側には、ピニオンギア12との間に軸受43が配置されている。小径部の外側にはリールボディ2bとの間に軸受44が配置されている。このため、回転円筒41は、前部が軸受43によりピニオンギア12に回転自在に支持され、後部が軸受44によりリールボディ2bに回転自在に支持されている。また、回転円筒41は、ワンウェイクラッチ32によりロータ3の糸繰り出し方向の回転には一体で回転し、巻き取り時にはロータ3の回転力が作用しないようにロータ3に連結されている。
【0027】
制動円筒40とワンウェイクラッチ32との間には傾動した制動円筒40を元の姿勢に戻すための円錐コイルばね45が配置されている。また、制動円筒40と軸受44との間には制動円筒40を位置決めするためのフランジ46が嵌め込まれている。
【0028】
ドラム部42は、リールボディ2bの前部において、ロータ3の円筒部3aの内周側に突出した円筒部42aと、円筒部42aに装着されたブレーキライナー42bと、円筒部42aの先端部外周に嵌め込まれた補強リング42cとを有している。
【0029】
円筒部42aは、制動円筒40を外側から覆うようにリールボディ2bと一体で形成されており、その材質はリールボディ2bと同様にガラス繊維強化ポリアミド樹脂である。なお補強リング42cは金属製のリングであり、ブレーキライナー42bに径方向外方への力が作用したときにその力を受けるために設けられている。
【0030】
このようにドラム部42を設けると、円筒部42aやブレーキライナー42bで制動円筒40をカバーしているので、組立作業時等に制動円筒40に油に汚れた手が触れにくくなり、手の接触による制動円筒40への油の付着等を防止できる。
【0031】
ワンウェイクラッチ32は外輪遊転型のものであり、ロータ3の円筒部3aの内周面に回転不能に外輪が連結され、内輪が回転円筒41に回転不能に連結されている。
【0032】
制動保持部21は、図2に示すように、保持位置と解除位置とに揺動自在なレバー部51と、レバー部51の揺動により進退する操作軸52と、レバー部51を2つの位置で保持するためのトグルばね機構53とを有している。操作軸52は押圧ばね54により前進側に付勢されており、リールボディ2bとの係合によりレバー51が保持位置に揺動すると前進し解除位置に揺動すると後退する。この操作軸52の先端部が貫通孔17からリール前方に延びており、延びた先端部がブレーキレバー30に当接している。
【0033】
〔リールの操作及び動作〕
キャスティング時には、ベールアーム9を糸開放姿勢側に倒し釣り竿を振り出すことにより、スプール4の外周から釣り糸が繰り出される。釣り糸巻き上げ時には、ハンドル1を糸巻き取り方向に回転させると、ベールアーム9が図示しない戻し機構により糸巻き取り姿勢に戻る。ハンドルの回転力は、ハンドル軸10、フェースギア11を介してピニオンギア12に伝達される。ピニオンギア12に伝達された回転力は、ピニオンギアの前部12aを介してロータ3に伝達される。このときロータ3は、糸巻き取り方向に回転するので、この回転力は回転円筒41には伝達されない。ピニオンギア12が回転すると図示しない中間ギアによりその回転がオシレーティング機構7に伝達され、スプール軸8が前後方向に往復移動する。
【0034】
ロータ3を逆転させて魚とやりとりするときには、レバー部51を解除位置に揺動させる。これにより、操作軸52が後退する。そしてブレーキレバー30がコイルばね34により制動解除位置まで揺動する。この状態でブレーキレバー30を操作し魚とのやりとりを行う。釣り糸が魚により引かれてロータ3が糸繰り出し方向に逆転すると、前述したようにその回転力がワンウェイクラッチ32を介して回転円筒41に伝達され、さらに制動円筒40に伝達される。この結果、制動円筒40がロータ3と一体で回転する。
【0035】
そして、釣り竿を持つ手の中指と薬指との間で脚部2dを挟んでをブレーキレバー30の操作レバー部30aを釣り竿を握る握持動作によって中指で握ってブレーキレバー30を図1の時計方向に揺動させると、ブレーキレバー30の圧接部30dが制動円筒40の摺接部40aを径方向外方に押圧し、制動円筒40を図2に二点鎖線で示す位置に傾け、摺接部40aの外面がブレーキライナー42bに圧接する。このとき、ブレーキライナー42bに径方向外方への力が作用するが、この力は円筒部42aや補強リング42cで受けられる。この結果、逆転するロータ3に制動力が作用する。この制動力は、ブレーキレバー30に加える力を加減することで調整でき、ロータ3の逆転量を任意に調整できる。この調整時に、中指で操作レバー部30aを細かく操作できるので、制動力を微妙に調整することができる。
【0036】
このとき、制動円筒40が回転円筒41に傾動自在に支持されているので、ピニオンギア12にそれをこぜようとする力が作用せず、ロータ3の回転が重くなることがない。また、外輪遊転型のワンウェイクラッチ32を用いているので、ロータ3の回転が逆転して高速回転しても、高速回転する程圧接力が強まり制動開始時の動作が安定する。
【0037】
この魚とのやりとりの時に、釣り竿をしゃくると、リールの前部が上向きになる。この結果、濡れた釣り糸からの滴等によりリール本体2に海水が付着し、第1凹溝13や第2凹溝15に貯まることがある。このとき、第1及び第2凹溝13,15に貯まった水はしゃくったときに、他の部分より深い集水部19aに集められ、水抜き孔19bから外部に排出される。また、排出されずに残った水が貫通孔17の回りに到達しても、堤部18が形成されているので、貫通孔17に水が浸入しにくい。また、水が貫通孔17に浸入してもそこにはグリース24が塗布されているとともにOリング23が装着されているので、Oリング23から機構収納空間14に浸入するのは困難である。このため、機構収納空間14内の軸受25,26やハンドル軸10を支持する軸受等が水濡れしにくくなり、回転不良が生じにくい。
【0038】
釣り場を移動するときやリールを収納するときには、レバー部51を保持位置側に揺動させる。この結果、操作軸52が前進し、ブレーキレバー30が制動位置に揺動する。ブレーキレバー30が制動位置になると、制動時と同様にして制動円筒40が制動される。この結果、釣り糸が仕掛けの自重等により繰り出されることはない。
【0039】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、水抜き部19を第2凹溝15の底部15aに設けたが、図5に示すように、第2凹溝15の壁部15bに水抜き部25を設けてもよい。この水抜き部27は、壁部15bに形成された水抜き孔27aと水抜き孔27aの前方に両壁部15bを連結するように形成された堤部27bとを有している。堤部27bは、第2凹溝15に貯まった水がリールボディ2bの前部から内部に回るのを防止するために設けられている。ブレーキレバー30の制動作用部30bには、堤部27bを乗り越えるために凹部30eが形成されている。水抜き孔27a及び堤部27bは、リールボディ2bの前フランジ部2e(図1)より前方に形成されており、前フランジ部2eの前部には、集水溝(図示せず)がリング状に形成されている。この水抜き孔27aから排出された水は、集水溝を通ってロータ3と前フランジ部2eとの間から外部に排出される。
【0040】
(b) 前記実施形態では、操作軸52によりブレーキレバー30を押圧しているが、操作軸によりロータの糸繰り出し方向の回転を禁止・許可するためのワンウェイクラッチを操作するようにしてもよい。そして、釣り場を移動するとき等に操作軸を操作してロータの糸繰り出し方向の回転を禁止して釣り糸が仕掛けの自重により繰り出されるのを防止できる。このワンウェイクラッチをブレーキレバー30の操作と連動して禁止位置から許可位置に操作軸を移動させれば、ワンウェイクラッチを禁止状態にしていても操作軸を操作することなくブレーキレバー30のを操作によりやりとりを行える。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係るスピニングリールのリール本体では、ブレーキレバーを収納するためにリール本体に設けられた凹溝に水が貯まっても、貫通孔の周囲に堤部が形成されているので、堤部を越えない限り水は貫通孔に浸入しない。このため、貫通孔を介してリール本体の内部の機構収納空間に水が浸入しにくくなり、内部の回転部品が腐食しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用したスピニングリールの側面断面図。
【図2】その制動部の要部断面図。
【図3】制動部の展開斜視図。
【図4】リールボディの断面部分図。
【図5】他の実施形態の図4に相当する図。
【符号の説明】
2 リール本体
2a 竿装着部
2b リールボディ
2c 竿取付部
2d 脚部
6 レバーブレーキ機構
17 貫通孔
18 堤部
19 水抜き部
19a 集水部
19b 水抜き孔
23 Oリング
24 グリース
30 ブレーキレバー
52 操作軸
Claims (3)
- 釣り竿に装着され、前記釣り竿を握った手によるブレーキレバーの揺動操作によりロータを制動するとともに、操作軸により前記ロータの糸繰り出し方向の回転を規制するレバーブレーキ型のスピニングリールのリール本体であって、
前記釣り竿に沿って配置される竿取付部と、前記釣り竿から離反する方向に前記竿取付部から延び前面に前記ブレーキレバーを収納するための第1凹溝が形成された脚部とを有する竿装着部と、
前記竿装着部の脚部と一体形成され、内部に形成された機構収納空間と、前面に形成され前記第1凹溝に連続する第2凹溝と、前記ブレーキレバーの揺動軸を前記釣り竿の長手方向と交差する方向に沿って配置するために前記第2凹溝の両壁部に形成された装着孔と、前記装着孔の下方で前記機構収納空間から前方に前記操作軸を貫通させるために前記第2凹溝の底部に形成された貫通孔と、前記貫通孔の周囲に前記第2凹溝の底部から前方に突出して形成された堤部とを有するリールボディと、
前記貫通孔の内周面において、前記内周面と前記操作軸とに接触して装着された弾性体製のシール部材とを備え、
前記貫通孔内の前記シール部材装着部分より前方には、グリースが充填されている、スピニングリールのリール本体。 - 釣り竿に装着され、前記釣り竿を握った手によるブレーキレバーの揺動操作によりロータを制動するとともに、操作軸により前記ロータの糸繰り出し方向の回転を規制するレバーブレーキ型のスピニングリールのリール本体であって、
前記釣り竿に沿って配置される竿取付部と、前記釣り竿から離反する方向に前記竿取付部から延び前面に前記ブレーキレバーを収納するための第1凹溝が形成された脚部とを有する竿装着部と、
前記竿装着部の脚部と一体形成され、内部に形成された機構収納空間と、前面に形成され前記第1凹溝に連続する第2凹溝と、前記ブレーキレバーの揺動軸を前記釣り竿の長手方向と交差する方向に沿って配置するために前記第2凹溝の両壁部に形成された装着孔と、前記装着孔の下方で前記機構収納空間から前方に前記操作軸を貫通させるために前記第2凹溝の底部に形成された貫通孔と、前記貫通孔の周囲に前記第2凹溝の底部から前方に突出して形成された堤部とを有するリールボディと、
前記第1凹溝または第2凹溝の底部に他の部分より深く形成された集水部と、
前記集水部から後部に貫通する水抜き孔とを有する水抜き部と、
を備えたスピニングリールのリール本体。 - 釣り竿に装着され、前記釣り竿を握った手によるブレーキレバーの揺動操作によりロータを制動するとともに、操作軸により前記ロータの糸繰り出し方向の回転を規制するレバーブレーキ型のスピニングリールのリール本体であって、
前記釣り竿に沿って配置される竿取付部と、前記釣り竿から離反する方向に前記竿取付部から延び前面に前記ブレーキレバーを収納するための第1凹溝が形成された脚部とを有する竿装着部と、
前記竿装着部の脚部と一体形成され、内部に形成された機構収納空間と、前面に形成され前記第1凹溝に連続する第2凹溝と、前記ブレーキレバーの揺動軸を前記釣り竿の長手方向と交差する方向に沿って配置するために前記第2凹溝の両壁部に形成された装着孔と、前記装着孔の下方で前記機構収納空間から前方に前記操作軸を貫通させるために前記第2凹溝の底部に形成された貫通孔とを有するリールボディと、
前記貫通孔の内周面において、前記内周面と前記操作軸とに接触して装着された弾性体製のシール部材と、
前記第1凹溝または第2凹溝の底部に他の部分より深く形成された集水部と、
前記集水部から後部に貫通する水抜き孔とを有する水抜き部と、
を備えたスピニングリールのリール本体。
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