JP3542281B2 - Icカード及びicカード用フレーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はICカード及びICカード用フレームに関し、更に詳細には導線が実質的に同一平面上に複数回卷回されて成る平面コイルがプレス加工又はエッチング加工によって形成され、ICカードでは前記平面コイルの端子と半導体素子の電極端子とが電気的に接続されたICカード及びICカード用フレームに関する。
【0002】
【従来の技術】
ICカードは、導線が複数回卷回されて成る平面コイルと半導体素子とから構成され、PVC等から成り且つ表面側に文字等が印刷されてICカードの表裏面を形成する各樹脂フィルムの内面側に形成されたポリウレタン樹脂等から成る接着剤層によって、平面コイル等が挟み込まれて封止されている。
かかるICカードは、カード処理装置に設けられた磁場内を通過する際に、ICカードの平面コイル内に電磁誘導による電力が発生して半導体素子を起動し、ICカードの半導体素子とカード処理装置との情報の授受をアンテナとしての平面コイルを介して行うことができる。
この様なICカードの平面コイルは、従来、被覆電線を卷回して形成されたものと、樹脂フィルム上に形成された金属箔にエッチング等を施して導線を形成するものとがある。
ところで、ICカードの普及を図るためには、ICカードの低コスト化と量産化とが必要であるが、前述した従来の平面コイルを用いたICカードでは、平面コイルの低コスト化と量産化とを充分に図ることができない。
このため、特開平6−310324号公報においては、プレス加工によって形成した平面コイルを用いたICカードが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報で提案されたように、プレス加工によって平面コイルを形成することにより、従来の平面コイルよりも低コスト化及び量産化を図ることができる。
図26はプレス加工によって形成した従来の平面コイル100を示す。この平面コイル100は端子102、104がコイルの内側と外側に形成されている。このため、平面コイル100の端子102、104と半導体素子との電気的接続を簡易にかつ効率的に行う必要がある。また、ICカードは1mm以下の厚さに形成するから、きわめて薄く形成できる必要がある。また、プレス加工等によって形成した平面コイルは搬送等の取り扱い性に優れ、かつ半導体素子の搭載等にも好適に利用できるものでなければならない。
本発明の課題は、量産性に優れ、搬送等の取り扱い性に優れるとともに、ICカードの薄形化にも好適に対応することができるICカード用フレーム、および量産性に優れ薄形化にも好適に対応できるICカードを提案するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、平面コイル100に対し、電極端子108、110の形成面に対して背面側の平面が導線101側となるように、半導体素子106を配設し、半導体素子106の電極端子108、110と平面コイル100の端子101、103との各々をワイヤによってボンディングした。このICカードでは、平面コイル101と半導体素子106とを接続するワイヤを絶縁被覆することを要しないこと、及び従来から半導体素子とリードフレームのインナーリードとのボンディング法として採用されているウェッジ・ボンディング法を採用できることを知り、本発明に到達した。
【0005】
すなわち、本発明は、導線が実質的に同一平面上に複数回卷回されて成る平面コイルが、金属板をプレス加工又はエッチング加工して形成され、且つ前記平面コイルの端子と半導体素子の電極端子とが電気的に接続されたICカードにおいて、該平面コイルが、前記半導体素子よりも厚い導線によって形成されていると共に、コイルの内側に形成された内側端子とコイルの外側に形成された外側端子とを具備し、前記半導体素子の全体が、その電極端子の形成面に対して背面側の平面が平面コイルの導線と対向するように、前記平面コイルを形成する導線の途中に施された潰し加工によって、前記潰し加工が施されなかった前記導線の他の部分よりも導線部分が薄く形成されて、前記半導体素子の厚さよりも深く形成された凹部内に搭載されていると共に、前記平面コイルの内側端子及び外側端子と接続される半導体素子の電極端子の各々がコイルの内側と外側とに位置され、且つ前記半導体素子の電極端子が、コイルの内外方向に対して同一側に位置する平面コイルの端子と電気的に接続されていることを特徴とするICカードにある。
また、本発明は、導線が実質的に同一平面上に複数回卷回されて成る平面コイルが、金属板をプレス加工又はエッチング加工して形成され、且つ前記平面コイルの端子と半導体素子の電極端子とが電気的に接続されたICカードの製造に使用するICカード用フレームであって、前記平面コイルが、前記半導体素子よりも厚い導線によって形成され、前記平面コイルを形成する導線に施された潰し加工によって、前記潰し加工が施されなかった前記導線の他の部分よりも薄く形成され、半導体素子の全体を搭載する、半導体素子の厚さよりも深く形成された凹部が形成されると共に、コイルの内側と外側に対して同一側に位置する半導体素子の電極端子が各々電気的に接続されるコイルの内側に形成される内側端子と、コイルの外側に形成される外側端子とを具備することを特徴とする。
尚、本発明において言う「実質的に同一平面上」とは、平面コイルを構成する導線の一部に凹凸が形成されていても、平面コイル全体として同一平面上で導線が卷回されていればよい。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1はICカードの一例を示す平面図である。図1において、プレス加工によって形成された厚さ80μm以上の導線11が実質的に同一平面上に複数回卷回して成る矩形状の平面コイル10が形成されている。この平面コイル10は、全体として同一平面に導線11が複数回卷回されているものである。かかる平面コイル10のコイルの内側と外側とに位置する端部の各々に設けられた端子10a、10bと、厚さ40〜50μmの半導体素子12に形成され且つ平面コイル10のコイルの内側と外側とに位置する電極端子12a、12bとは、コイルの内外方向に対して同一側に形成された端子同士が電気的に接続されている。
図1に示すICカードにおいて、半導体素子12が配設されている平面コイル10には、図2に示す様に、平面コイル10を構成する導線11が曲折されて形成された凹部14が形成されており、この凹部14内に半導体素子10が配設されている。この導線11の曲折はプレス加工によって行うことができる。
また、凹部14に配設された半導体素子12は、その電極端子12a、12bの形成面に対して背面側の平面が、凹部14の底面を形成する導線11上に載置されている。この半導体素子12は、導線11上に単に載置されていてもよいが、導線11上に接着剤によって接着することによって、半導体素子12の電極端子12a、12bの位置決め等を容易に行うことができ好ましい。
尚、図1において、矩形状の平面コイル10の角部間の辺上に凹部14を形成しているが、平面コイル10の角部に凹部14を形成して半導体素子10を配設してもよい。
【0007】
図2において、図2(a)は、半導体素子12の厚さよりも深い凹部14を平面コイル10の導線11に形成した例である。この例では、平面コイル10の端子10b(10a)の接続面16を半導体素子12の電極端子12a、12bの形成面と実質的に同一面とすべく、平面コイル10の端子10b(10a)に潰し加工を施している。この様に、凹部14を半導体素子12の厚さよりも深く形成することによって、両端子を接続するワイヤ18のループの平面コイル10からの突出する部分を可及的に少なくできる。
一方、図2(b)は、半導体素子12の厚さと略等しい深さの凹部14を平面コイル10の導線11に形成した例である。この例では、平面コイル10の端子10b(10a)の接続面16と半導体素子12の電極端子12a、12bの形成面とが実質的に同一面であるため、平面コイル10の端子10b(10a)に潰し加工を施す工程を省略できる。
【0008】
この様に、図1及び図2に示すICカードでは、平面コイル10の端子10a、10bの接続面16と、半導体素子12の電極端子12a、12bの形成面とが、実質的に同一平面であるため、ウェッジ・ボンディング法によってワイヤボンディングを施すことができる。このため、図2に示す様に、平面コイル10の面から突出するループ部分を可及的に少なくしつつ、金、白金、又はアルミニウム製のワイヤ18、18により、平面コイル10の端子10a、10bと、半導体素子12の電極端子12a、12bとを電気的に接続できる。
尚、平面コイル10や半導体素子12等は、図2に示す様に、PVC等から成り且つ表面側に文字等が印刷されてICカードの表裏面を形成する樹脂フィルム20a、20bの内面側に形成された、ポリウレタン樹脂やポリオレフィン樹脂等から成る接着剤層22a、22bによって挟み込まれて封止されている。
【0009】
図1及び図2に示すICカードを製造する際に、平面コイル10としては、図3に示すICカード用フレームFを用いることが好ましい。このICカード用フレームFは、銅板等の金属板をプレス加工して形成されたものであり、互いに平行な二本のレール60、60の間に平面コイル10、10・・がレール60の長手方向に形成されている。かかる平面コイル10、10・・を構成する導線11のうち、最外周の導線11aは他の導線11よりも太く形成され、且つ平面コイル10の導線11aは隣接する平面コイル10の導線11aと連結部62によって互いに連結されている。このため、平面コイル10の各々の強度を向上でき、ICカード用フレームFの運搬等における取扱性を向上できる。
図3に示すICカード用フレームFの平面コイル10は、その最外周の導線11aを太く形成しているが、導線11aを他の導線11よりも太い状態でICカードとしてもよく、連結部62等を切断する際に、最外周の導線11aを切断して他の導線11と同一太さとしてもよい。
【0010】
また、平面コイル10の強度を更に向上すべく、平面コイル10を構成する導線11を連結部で連結してもよい。この連結部は、ICカードの表裏面を形成する樹脂フィルム20a、20bの内面側に形成された接着剤層22a、22bによって挟み込む前に切断することによって、導線11間の短絡を防止できる。
ところで、図3に示すICカード用フレームFは、銅板等の金属板にエッチング加工を施すことによっても得ることができる。エッチング加工によって得られたICカード用フレームFは、プレス加工によって形成した平面コイルの導線11に比較して、細い導線11から成る平面コイル10を形成できる。
【0011】
図3に示すICカード用フレームFを用いてICカードを製造する際には、ICカード用フレームFから切り離した平面コイル10に半導体素子12の搭載等を行ってもよいが、平面コイル10をICカード用フレームFから切り離すことなく半導体素子12の搭載等を行うことが好ましい。この場合、ICカード用フレームFに形成された平面コイル10の各々に半導体素子12を搭載し、ボンディング装置を用いて平面コイル10の端子10a、10bと半導体素子12の電極端子12a、12bとをワイヤ18、18によってボンディングする。次いで、一面側に接着剤層22a、22bが形成された樹脂フィルム20a、20bによって、平面コイル10及び半導体素子12等を挟み込み封止した後、所定箇所を切断してICカード用フレームFから切り離すことによってICカードを得ることができる。
【0012】
このワイヤを用いたボンディングとしては、ウェッジ・ボンディング法がワイヤ18、18の膨らみ(ループの大きさ)を可及的に小さくでき好ましい。かかるウェッジ・ボンディング法は、図4に示すウェッジ・ボンディング装置を用いて行うことができる。このウェッジ・ボンディング装置は半導体装置の製造装置として汎用されている。
かかるウェッジ・ボンディング装置を用いたボンディングでは、ボンディングする端子(以下、ボンディング端子と称する)の一方の上方に移動してきたウェッジ24の先端部には、クランパ26で把持されたワイヤ18の先端部が斜めに挿通されている〔図4の(a)〕。このウェッジ24が降下し、ワイヤ18の先端を接続面上に圧着する〔図4の(b)〕。
次いで、ウエッジ24を、ボンディング端子の一方と実質的に同一平面に形成されている他方のボンディング端子の方向に移動させつつクランパ26を開き、ワイヤ18を他方のボンディング端子に案内した後〔図4の(c)〕、他方のボンディング端子の接続面にワイヤ18の先端を接続面上に圧着する〔図4の(d)〕。
【0013】
その後、クランパ26によってワイヤ18を把持して引っ張り、ワイヤ18を切断し〔図4の(e)〕、ボンディング操作を完了する。
かかる図4の(a)〜(e)の一連の操作を繰り返すことによって、ワイヤボンディングを引き続き行うことができる。
このウェッジ・ボンディング法によれば、図4に示す様に、クランパ26で把持されたワイヤ18の先端部がウェッジ24の先端部に斜めに挿通されているため、先端がボンディング端子の一方に圧着されたワイヤ18を他方のボンディング端子に案内する際に、ワイヤ18の膨らみ(ループの大きさ)を可及的に小さくできる。
このため、図2に示す様に、平面コイル10の面から突出するループ部分を可及的に少なくしつつ、ワイヤ18、18により、平面コイル10の端子10a、10bと半導体素子12の電極端子12a、12bとを電気的に接続できる。
【0014】
図2に示すループ状のワイヤ18は、一面側に接着剤層22a、22bが形成された樹脂フィルム20a、20bによって、平面コイル10及び半導体素子12等を挟み込み封止する際に、接着剤の流れ方向にワイヤ18のループ状部の変形、ワイヤ18の圧着部の剥離、或いはワイヤ18の切断等が発生し、ワイヤ18と平面コイル10の導線11とが接触するおそれがある。かかるループ状のワイヤ18の変形等を防止するには、図5に示す様に、平面コイル10の端子10bと半導体素子12の電極端子12bとに圧着されたワイヤ18の圧着部を樹脂15、15、特にUV硬化樹脂によって固定しておくことが好ましい。
【0015】
図1〜図5に示した平面コイル10のうち、潰し加工が施された端子10a、10bの接続面16は、半導体素子12の電極端子12a、12bの形成面を含む平面と実質的に同一平面であればよく、その形状は任意の形状とすることができるが、図1、図2(a)、及び図5に示す平面コイル10の端子10a、10bは、図6に示す端子形状のものが好ましい。図6に示す端子10a(10b)の潰し加工が施された接続面16は、導線11の幅を保持した状態で延出されており、導線11と略平行に張られたワイヤ18の端部と接続する箇所を充分に確保できる。
【0016】
また、平面コイル10の端子10a、10bと半導体素子12の電極端子12a、12bとの接続を、ボンディング装置の動作等の関係で図7に示す様に、半導体素子12を迂回して平面コイル10の内側及び外側に位置する電極端子12a、12bの近傍に設けられた端子10a、10bとの間で行ってもよい。図7は、両者を接続するワイヤ18、18が導線11に対して直角方向に張られた場合である。
かかる図7に示す平面コイル10の端子10a、10bに潰し加工を施す場合は、図8に示すものが好ましい。図8の端子10a(10b)の潰し加工が施された接続面16は、導線11よりも拡幅されており、導線11に対して直角方向に張られたワイヤ18の端部と接続する箇所を充分に確保できる。
【0017】
図2に示すループ状のワイヤ18は、樹脂フィルム20a、20bの一面側に形成された接着剤層22a、22bによって挟み込まれて封止される際に、接着剤の流れる方向にワイヤ18が変形するおそれがある。特に、平面コイル10を構成する導線11間の間隙が狭い場合には、変形したワイヤ18が導線11に接触するおそれもある。このため、ワイヤ18近傍の接着剤の流れを緩和すべく、図9に示す様に、平面コイル10の内側及び外側に位置する端子10a、10bにおいて、接続面16の導線11側に対して反対側となる部分に壁部27を形成することが好ましい。この壁部27によって、ワイヤ18が接着剤層22a、22bに挟み込まれて封止される際に、端子10a、10b近傍の接着剤の流れを緩和して導線11と接触するようなワイヤ18の変形を防止できる。
かかる図9に示す平面コイル10の端子10a、10bとしては、図10に示すものが好ましい。図10の端子10a、10bには、導線11の端部が導線11の幅を保持した状態で延出されるように潰し加工が施された接続面16が形成され、且つこの接続面16の導線11側に対して反対側となる部分に壁部27が立設されている。
【0018】
この図10に示す平面コイル10の端子10a、10bに代えて、図11に示す端子10a、10bを用いることができる。図11の端子10a、10bには、導線11の端部が導線11の幅を保持した状態で延出されるように潰し加工が施された接続面16が形成され、且つこの接続面16の両側に壁部27a、27bが形成されている。かかる図11に示す端子10a、10bによれば、導線11と略平行に張られたワイヤ18の端部と接続する箇所を充分に確保でき、且つワイヤ18が接着剤層22a、22bに挟み込まれて封止される際に、端子10a、10b近傍の接着剤の流れを緩和し、導線11と接触するようなワイヤ18の変形を防止できる。また、例えワイヤ18が導線11側方向に変形しても、導線11側に形成されている壁部により、ワイヤ18と導線11との接触を防止できる。
【0019】
図6、図8、図10、及び図11に示す端子10a(10b)のいずれも、図12に示す平面コイル10を構成する導線11の端部に潰し加工を施すことによって形成できる。かかる潰し加工によって形成された端子10a、10bは、ワイヤ18によってボンディングされるため、ワイヤ10との接続を確実にすべく、端子10a、10bの接続面16には金めっき又はパラジウムめっきを施すことが好ましい。
唯、端子10a、10bは複雑な形状をしているため、その接続面16のみに金めっき又はパラジウムめっきを施すことは困難である。このため、図12に示す様に、導線11の端部の潰し加工を施す箇所28に、予め金めっき又はパラジウムめっきを施すことが好ましい。予め施された金めっき又はパラジウムめっきは、潰し加工の際に、展延されて端子10a、10bの接続面16を実質的に覆うことができる。
【0020】
以上、述べてきたICカードでは、平面コイル10の端子10a、10bと半導体素子12の電極端子12a、12bとの接続を、導電性に優れている金、白金、又はアルミニウム製のワイヤ18、18によってなされているが、ワイヤ18、18は細いために平面コイル10を構成する導線11よりも電気抵抗値が高い。このため、平面コイル10に電磁誘導によって発生した電力が半導体素子12に充分に送電されない懸念がある。
この懸念を解消するには、図13に示す様に、平面コイル10の端子10a、10bと半導体素子12の電極端子12a、12bとを、リボン状の接続金属部材30により接続することが好ましい。
このリボン状の接続金属部材30は、導線11の幅と略等しい幅で且つ銅、金、アルミニウム等の導電性が良好な金属によって形成されている。かかる接続金属部材30は、平板であってもよいが、図14に示す様に、途中がドーム状部30cに形成されたものが好ましい。平面コイル10と半導体素子12との熱膨張率差や、ICカードの曲げ等によって、平面コイル10に生じた応力等を吸収できるからである。この図14に示す接続金属部材30は、その両端部30a、30bが平坦に形成され、平面コイル10の端子10a(10b)と半導体素子12の電極端子12a(12b)とに接続される。
【0021】
ここで、接続金属部材30が銅製の場合、両端子の接続は、接続金属部材30の接続面に金めっき、錫めっき、又ははんだめっきを施すと共に、半導体素子12の電極端子12a、12bと平面コイル10の端子10a、10bとに金めっきを施し、接続する両端子を加熱・圧着することにより、共晶合金によって行うことができる。一方、接続金属部材30が金又はアルミニウム製である場合、両端子の接続は、接続金属部材30の接続面に金属めっきを施さなくても行うことができる。また、両端子の接続は導電性接着剤を用いても行うことができる。
尚、ドーム状部30cは、平面コイル10からの突出を可及的に少ない大きさとすることは勿論のことである。
【0022】
図1〜図14においては、平面コイル10の端子10a、10bの各近傍に凹部14が形成されていないが、図15(a)(b)に示す様に、凹部14を端子10b(10a)の近傍に形成してもよい。図15(a)(b)において、凹部14の底面は、凹部14を端子10b(10a)の近傍に形成しない場合に比較して広い。このため、半導体素子12を凹部14の底面に安定した状態で載置してワイヤボンディングを行うことができる。
また、平面コイル10に形成される凹部14も、導線11を曲折して形成する他に、導線11の厚さが半導体素子12よりも厚いことを利用し、図16に示す様に、導線11の途中に潰し加工を施して凹部14を形成してもよい。この場合、平面コイル10及び半導体素子12を、ICカードの厚み方向の中央部に位置させることができ、ICカードを薄く形成できる。
尚、図16に示す様に、潰し加工が施された導線11の部分が他の導線11よりも薄くなるが、導線11自体の電気抵抗値には問題はない。
【0023】
更に、平面コイル10の端子10a、10bを、図17に示す様に、潰し加工が施された平面コイル10の端子10b(10a)の接続面を拡大し、一端が半導体素子12の電極端子12b(12a)に接続されたワイヤ18の他端を、端子10b(10a)に接合するようにしてもよい。この平面コイル10の端子10b(10a)には、電極端子12b(12a)が形成された半導体素子12の端部が挿入されるコ字状の凹部33が形成されている。この凹部33に、半導体素子12の端部を挿入することによって、平面コイル10の端子10b(10a)と接続される電極端子12b(12a)が形成された半導体素子12の端部を囲むように、端子10b(10a)が半導体素子12の端部の端縁に沿って延出されている。このため、半導体素子12の位置決めを容易とすることができ、且つワイヤ18の長さを短くできて好ましい。この場合も、半導体素子12と平面コイル10の導線11とを接着剤によって接着した後、ワイヤ18をボンディングすることが好ましい。
【0024】
図18は平面コイル10の一方の端子10bに潰し加工を施して半導体素子12の搭載部として凹部14を形成し、端子10bの接続面をさらに拡大して端子10b上に半導体素子12を搭載した例である。端子10b上では半導体素子12の電極端子12bと端子10bとを通常のワイヤもしくは被覆したワイヤによって接続する。平面コイル10の他方の端子10aと半導体素子12の電極端子12aとは他方の端子10a、10bで挟まれた中間を通る導線11を直交方向に跨ぐようにしてワイヤ18を接続する。端子10aに潰し加工を施すとともに、導線11上でワイヤ18が通過する部位に潰し加工を施して通し凹部14aを形成し、ワイヤ18が導線11の厚さ範囲内から突出しないようにする。通し凹部14aの内面で少なくともワイヤ18が通過する部位に電気的絶縁性材として絶縁性の樹脂を塗布し、あるいは電気的絶縁性を有する絶縁テープを接着することにより、通常のワイヤ18を用いて電気的短絡を生じさせずに接続することができる。
【0025】
図19は端子10a、10b以外の導線11の中途部分に潰し加工を施して半導体素子12の搭載部としての凹部14を形成し、凹部14に半導体素子12を搭載した例である。半導体素子12を搭載するため凹部14を導線11の線幅よりも広幅に形成し、搭載部に隣接する導線11を凹部14の外側を迂回するように配置する。この場合も、凹部14と略同一高さ面となるように端子10a、10bに潰し加工を施すとともに、搭載部と端子10a、10bで挟まれた導線11でワイヤ18が横切る部位に潰し加工を施して通し凹部を形成し、端子10a、10bと半導体素子12の電極端子12a、12bとを接続するワイヤ18が導線11の厚さ範囲内から突出しないようにする。なお、電極端子12a、12bと端子10a、10bとを接続するワイヤ18には被覆ワイヤを使用するのがよい。通し凹部の内面を電気的絶縁性材で被覆すれば、通常のワイヤ18を使用して接続することができる。
半導体素子12が小さい場合には、このように潰し加工により導線11に形成した凹部14に半導体素子12を搭載することができる。
凹部14に半導体素子10を搭載する方法は半導体素子12の大きさに係わらず標準的な平面コイル10が形成できるという利点がある。また、平面コイル10で導線11が通過する幅を跨ぐ幅寸法よりも半導体素子12が小さい場合に凹部14に半導体素子12を搭載する方法が有用である。
【0026】
これまで述べてきたICカードは、平面コイル10を構成する導線11に曲折又は潰し加工を施して凹部14を形成しているが、図20及び図21に示す様に、導線11の端部近傍を曲折すると共に、先端部に潰し加工を施すことにより、平面コイル10に凹部14を形成することなく平面コイル10の端子10a、10bの各接続面16を半導体素子12の電極端子12a、12bの形成面を含む平面と実質的に同一平面とすることができる。
この図20及び図21においては、平面コイル10の端子10a、10bと半導体素子12の電極端子12a、12bとをワイヤ18、18によってボンディングする際に、半導体素子12の下面を通過する平面コイル10の導線11と半導体素子12とを接着剤により接着することによって、ワイヤボンディングする際の位置決めを容易とすることができ好ましい。
尚、導線11の端部近傍の曲折量を調整することにより、平面コイル10の端子10a、10bの各接続面16を、潰し加工を施すことなく半導体素子12の電極端子12a、12bの形成面と実質的に同一平面とすることもできる。
【0027】
以上のICカードでは、平面コイル10を形成する導線11が半導体素子12よりも厚い場合について説明してきたが、導線11と略等しい厚さの半導体素子12を用いる場合、図22に示す様に、平面コイル10に対し、電極端子12a、12bの形成面に対して背面側の平面が導線11側に位置するように半導体素子10を配設し、平面コイル10の端子10a、10bに潰し加工等を施すことなく半導体素子12の電極端子12a、12bとをワイヤ18、18によって接続したICカードでもよい。この場合、ワイヤ18、18のループの一部が導線11から突出するが、突出量は僅かである。このため、樹脂フィルム20a、20bの一面側に形成された接着剤層22a、22bによってワイヤ18、18を充分に封止でき、封止の際の変形も問題とならないものである。
【0028】
図1〜図22によって説明したきたICカードは、平面コイル10と半導体素子12との接続は、ワイヤ18又はリボン状の接続金属部材30を用いているが、図23に示す様に、半導体素子を樹脂モールドしたモジュール体40を用いてもよい。このモジュール体40は、図24及び図25に示す様に、半導体素子12の電極端子12a、12bの各々とはんだバンプ44、44を介してに接合されたリード46、46の先端部に形成された接続部47、47が露出するように樹脂モールドされている。
かかるモジュール体40の接続部47、47は、平面コイル10の端子10a、10bに接合されている。この接合は、接続部47、47の接続面に、金めっき、錫めっき、又ははんだめっきを施すと共に、半導体素子12の電極端子12a、12bと平面コイル10の端子10a、10bとに金めっきを施し、接続する両端子を加熱・圧着することにより、共晶合金によって行うことができる。一方、接続部47、47がアルミニウム製である場合、両端子の接続は、接続部47、47の接続面に金属めっきを施さなくても行うことができる。また、両端子の接続は導電性接着剤を用いても行うことができる。
また、図23に示す様に、モジュール体40が装着される平面コイル10の部分には、導線11が曲折されてモジュール体40が挿入される凹部が形成されている。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係るICカード及びICカード用フレームによれば、プレス加工によって形成された平面コイルの端子と半導体素子の電極端子との接続を、接続ワイヤが平面コイルを横切ることなく容易に行うことができる。このため、ICカード及びICカード用フレームの低コスト化と量産化とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ICカードの一例を説明するための正面図である。
【図2】図1に示すICカードの部分断面図である。
【図3】ICカード用フレームの正面図である。
【図4】ウェッジ・ボンディング法を説明する説明図である。
【図5】 ICカードの他の例を説明するための部分断面図である。
【図6】図1、図2(a)、及び図5に示すICカードを構成する平面コイルの端子を説明するための部分斜視図である。
【図7】 ICカードの他の例を説明するための部分正面図である。
【図8】図7に示すICカードを構成する平面コイルの端子を説明するための部分斜視図である。
【図9】ICカードの他の例を説明するための部分正面図である。
【図10】図9に示すICカードを構成する平面コイルの端子を説明するための部分斜視図である。
【図11】図10に示す平面コイルの端子の他の例を説明する部分斜視図である。
【図12】図6、図8、図10、及び図11に示すICカードを構成する平面コイル10の端子10a(10b)を形成する前の導線11の端部を説明する部分斜視図である。
【図13】 ICカードの他の例を説明するための部分断面図である。
【図14】図13に示す接続金属部材30の形状を説明するための斜視図である。
【図15】 ICカードの他の例を説明するための部分平面図と部分断面図とである。
【図16】本発明に係るICカードの他の例を説明するための部分断面図である。
【図17】本発明に係るICカードの他の例を説明するための部分斜視図である。
【図18】本発明に係るICカードの他の例を説明するための部分平面図と部分側面図である。
【図19】本発明に係るICカードの他の例を説明するための部分平面図である。
【図20】 ICカードの他の例を説明するための部分平面図である。
【図21】図20に示すICカードを説明するための部分断面図である。
【図22】 ICカードの他の例を説明するための部分平面図である。
【図23】 ICカードの他の例を説明するための平面図である。
【図24】図23に示すICカードの部分断面図である。
【図25】図23に示すICカードに用いたモジュール体40の平面図である。
【図26】従来のICカードを説明するための平面図である。
【符号の説明】
10 平面コイル
10a、10b 平面コイル10の端子
11 導線
12 半導体素子
12a、12b 半導体素子12の電極端子
14 凹部
16 端子10b(10a)の接続面
18 ワイヤ
20a、20b 樹脂フィルム
22a、22b 接着剤層
25 支承用ワイヤ
27 壁部
30 接続金属部材
Claims (18)
- 導線が実質的に同一平面上に複数回卷回されて成る平面コイルが、金属板をプレス加工又はエッチング加工して形成され、且つ前記平面コイルの端子と半導体素子の電極端子とが電気的に接続されたICカードにおいて、
該平面コイルが、前記半導体素子よりも厚い導線によって形成されていると共に、コイルの内側に形成された内側端子とコイルの外側に形成された外側端子とを具備し、
前記半導体素子の全体が、その電極端子の形成面に対して背面側の平面が平面コイルの導線と対向するように、前記平面コイルを形成する導線の途中に施された潰し加工によって、前記潰し加工が施されなかった前記導線の他の部分よりも導線部分が薄く形成されて、前記半導体素子の厚さよりも深く形成された凹部内に搭載されていると共に、前記平面コイルの内側端子及び外側端子と接続される半導体素子の電極端子の各々がコイルの内側と外側とに位置され、
且つ前記半導体素子の電極端子が、コイルの内外方向に対して同一側に位置する平面コイルの端子と電気的に接続されていることを特徴とするICカード。 - ICカードの表裏面を形成する各樹脂フィルムの内面側に形成された接着剤層によって、平面コイル及び半導体素子が挟み込まれて封止されている請求項1記載のICカード。
- 平面コイルの端子と半導体素子の電極端子との接続が、ループ状のボンディングワイヤによってなされている請求項1又は請求項2記載のICカード。
- ボンディングワイヤによる接続が、ウェッジ・ボンディング法によってなされている請求項3記載のICカード。
- 平面コイルの端子と半導体素子の電極端子との接続が、リボン状の接続金属部材によってなされている請求項1または2記載のICカード。
- 導線が実質的に同一平面上に複数回卷回されて成る平面コイルがプレス加工又はエッチング加工によって形成され、且つ前記平面コイルの端子と半導体素子の電極端子とが電気的に接続されたICカードにおいて、
該平面コイルの端子が、コイルの内側に形成された内側端子とコイルの外側に形成された外側端子とを具備し、
前記内側端子と外側端子の内の一方の端子が、端子面内に前記半導体素子を搭載する搭載部として形成され、
該搭載部に搭載された半導体素子の電極端子と前記内側端子および外側端子とが各々ワイヤボンディングにより電気的に接続されていることを特徴とするICカード。 - 前記搭載部が導線に潰し加工を施して導線よりも幅広の凹部に形成され、
一方の端子と他方の端子との中間を通る導線の、他方の端子と半導体素子の電極端子とを接続するボンディングワイヤが横切る部位に通し凹部が設けられていることを特徴とする請求項6記載のICカード。 - 導線が実質的に同一平面上に複数回卷回されて成る平面コイルがプレス加工又はエッチング加工によって形成され、且つ前記平面コイルの端子と半導体素子の電極端子とが電気的に接続されたICカードにおいて、
該平面コイルの端子が、コイルの内側に形成された内側端子とコイルの外側に形成された外側端子とを具備し、
前記内側端子と外側端子とで挟まれた中間を通る1本の導線の中途部分が導線面内に半導体素子を搭載する搭載部に形成され、
該搭載部に搭載された半導体素子と前記内側端子及び外側端子とが各々ワイヤボンディングにより電気的に接続されたことを特徴とするICカード。 - 前記搭載部が導線に潰し加工を施して導線よりも幅広の凹部に形成され、
搭載部と一方の端子に挟まれた中間を通る導線、および搭載部と他方の端子に挟まれた中間を通る導線のボンディングワイヤが横切る部位に通し凹部が設けられていることを特徴とする請求項8記載のICカード。 - 導線が実質的に同一平面上に複数回卷回されて成る平面コイルが、金属板をプレス加工又はエッチング加工して形成され、且つ前記平面コイルの端子と半導体素子の電極端子とが電気的に接続されたICカードの製造に使用するICカード用フレームであって、
前記平面コイルが、前記半導体素子よりも厚い導線によって形成され、前記平面コイルを形成する導線に施された潰し加工によって、前記潰し加工が施されなかった前記導線の他の部分よりも薄く形成され、半導体素子の全体を搭載する、半導体素子の厚さよりも深く形成された凹部が形成されると共に、コイルの内側と外側に対して同一側に位置する半導体素子の電極端子が各々電気的に接続されるコイルの内側に形成される内側端子と、コイルの外側に形成される外側端子とを具備することを特徴とするICカード用フレーム。 - 導線が実質的に同一平面上に複数回卷回されて成る平面コイルがプレス加工又はエッチング加工によって形成され、且つ前記平面コイルの端子と半導体素子の電極端子とが電気的に接続されたICカードの製造に使用するICカード用フレームであって、
前記平面コイルが、コイルの内側と外側に対して同一側に位置する半導体素子の電極端子が各々電気的に接続されるコイルの内側に形成される内側端子と、コイルの外側に形成される外側端子とを具備すると共に、前記内側端子と外側端子の一方の端子が、端子面内に前記半導体素子を搭載する搭載部として形成されていることを特徴とするICカード用フレーム。 - 前記搭載部が導線に潰し加工を施して導線よりも幅広の凹部に形成され、
一方の端子と他方の端子との中間を通る導線の、他方の端子と半導体素子の電極端子とを接続するボンディングワイヤが横切る部位に通し凹部が設けられていることを特徴とする請求項11記載のICカード用フレーム。 - 前記通し凹部の少なくともボンディングワイヤが通過する内面部分が電気的絶縁性材により被覆されていることを特徴とする請求項12記載のICカード用フレーム。
- 前記内側端子と外側端子とで挟まれた中間を通る1本の導線の中途部分が導線面内に半導体素子を搭載する搭載部として形成されていることを特徴とする請求項10記載のICカード用フレーム。
- 前記搭載部が導線に潰し加工を施して導線よりも幅広の凹部に形成され、搭載部と一方の端子に挟まれた中間を通る導線、および搭載部と他方の端子に挟まれた中間を通る導線のボンディングワイヤが横切る部位に通し凹部が設けられていることを特徴とする請求項14記載のICカード用フレーム。
- 平行な二本のレールの間に、同一形状の平面コイルがレールの長手方向に複数個数連設されている請求項10〜15のいずれか一項記載のICカード用フレーム。
- 平面コイルを形成する導線のうち、最外周の導線が他の導線よりも太く形成されている請求項16記載のICカード用フレーム。
- 隣接する平面コイルの最外周の導線が連結部により連結されている請求項16又は請求項17記載のICカード用フレーム。
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