JP3541900B2 - レーザレベル装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は土木、建築工事に於いて、垂直又は水平方向にレーザを射出しつつ走査し、基準線又は基準面を形成するレーザレベル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建屋に設置されるパーテーション、天井に取付けられる蛍光灯等の位置出しは床に印された墨出し線に基づき行われ、該墨出し線で示される位置はレーザレベル装置により天井面、壁面等に投影されて決定される。
【0003】
図7に於いて従来のレーザレベル装置、特に垂直基準線、垂直基準面を形成するレーザレベル装置1について説明する。
【0004】
レーザレベル装置1は、投影系、制御部、電源等を内蔵する装置本体2と、該装置本体2に水平方向の回転軸心を中心に回動するペンタプリズムを有する回動部3とから構成され、前記装置本体2の投影系より射出されたレーザ光線をペンタプリズムを介して前記回転軸心と回転軸心と直交する方向に射出する様なっており、前記回動部3のペンタプリズムを回転することで垂直基準面が形成される。前記装置本体2の上面には気泡管4が設けられ、又前記装置本体2の下面には3本の脚5が設けられ、その内一本が整準螺子となっており、レーザレベル装置1のレベル出しが行える様になっている。
【0005】
レーザレベル装置1の設置姿勢を適正にする作業は、以下の如く行っていた。
【0006】
レーザレベル装置には回動部3自体が回転するもの、回動部が防水構造であり回動部3内部の回転部のみが回転するものとあり、前記回動部3自体が回転する構造のものでは、作業者が手動により適宜回動部3を回転させながらレーザレベル装置の位置合わせを行なっていた。又、回動部3の内部に回転部が内蔵されているものでは、外部より回転部を回転させることはできない。従って、機械的に外部より回転部分を回転させることのできる機構を別途設けるか、或は電気的にスイッチによって回転部分を低速で正逆回転し得る機構を設けるか等する必要があった。
【0007】
レーザレベル装置の設置姿勢を適正にする作業は、先ず回動部3自体が回転するものでは、レーザ光線10が該回動部3より鉛直下方に射出された状態で合致する位置合わせマーク8,9が前記装置本体2と回動部3の回転部分とにそれぞれ刻印されており、前記回動部3を手動により回転させ、前記位置合わせマーク8,9を合致させ、レーザ光線が該回動部3より鉛直下方に射出された状態とし、レーザ光線の照射点を床面の基準点、例えば前記墨出し線6と墨出し線7との交点に合わせ、更にレーザ光線の走査方向と前記墨出し線6とを合致させる場合は前記回動部3の回転部分を回転、若しくは所要角度の範囲で往復回転させ、レーザ光線の軌跡と前記墨出し線6とを合致させていた。或は、回動部3より回転軸と一致したレーザ光を更に射出するものがあり、斯かるレーザレベル装置では、前記墨出し線6と墨出し線7との交点に合わせ、更に回転軸方向に射出されるレーザ光線の照射点を墨出し線7の延長上に刻印された基準点に合致させることで設置姿勢を調整していた。
【0008】
更に、回動部3内部に回転部を有するものでも同様であり、スイッチ操作により回転部分を適宜回転させ、レーザ光線の照射方向を鉛直下方とし照射点を基準点に合わせ、その後更にレーザ光線の走査方向の調整をしていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のレーザレベル装置では、基準位置への設置、設置後走査線方向の調整と回転部分を動かしながら行う2回の調整作業が必要であり、作業が繁雑で、作業に時間が掛かっていた。又、回動部の内部に回転部が内蔵されているものでは、外部より回転部を回転させることはできない為、前述した様に機械的或は電気的に回転部分を正逆回転し得る機構を設ける必要があり、構造が複雑となっていた等の問題があった。
【0010】
本発明は斯かる実情に鑑み、構造が簡潔で而も設置作業の作業性を向上させたレーザレベル装置を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レーザ光線を照射する発光部と、該レーザ光線を直角方向に変向し回転走査する回動部と、レーザ光線を透過するスリット孔を有しレーザ光線を遮断する様配設されたスリット板とを具備することを特徴とするものである。
【0012】
【作用】
スリット孔を透過したレーザ光線はスポット光となり、該スポット光の照射点を基準点に合わせることで基準点へのレーザレベル装置の設置、又スポット以外の部分に形成されるレーザ光線の走査線でレーザレベル装置の姿勢合わせを行うことができる。
【0013】
【実施例】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施例を説明する。
【0014】
図1〜図3はレーザレベル装置のケースを省略して要部を示したものである。
【0015】
前述した様にレーザレベル装置は装置本体2、回動部3により構成されている。
【0016】
先ず、回動部3を説明する。前記装置本体2に回転支持台16が回転自在に設けられ、該回転支持台16にはペンタプリズム15が設けられると共に被動ギア17が同心に設けられ、該被動ギア17には走査モータ19の出力軸に嵌着された駆動ギア18が噛合している。前記ペンタプリズム15は回転軸心の光束を回転軸心の直角方向に変向すると共に光束の一部10cをそのまま透過する構成となっている。
【0017】
次に、装置本体2は内部に前記回転支持台16の回転軸心と合致した光軸を有する発光部12、及び図示しない制御回路部を具備している。該発光部12はレーザ発振器14により駆動されるレーザダイオード20と、コリメータレンズ等から成る光学系21とを有し、レーザダイオード20から発せられたレーザ光線を平行光束として前記ペンタプリズム15に向かって射出する。
【0018】
前記装置本体2の上面に前記ペンタプリズム15の回転軸心と平行なガイド溝30を刻設し、該ガイド溝30に上スリット板31を摺動可能に嵌合する。又、前記上スリット板31には基部に長孔32を穿設し、該長孔32に通したボルト33により前記装置本体2に固着する。更に、前記上スリット板31の先端部には前記ペンタプリズム15の回転軸心の直上に位置し、該回転軸心と平行なスリット孔34を穿設する。
【0019】
前記装置本体2の下面に前記上スリット板31と同様に下スリット板35をペンタプリズム15の回転軸心と平行に摺動自在に設け、前記下スリット板35の固着は脚5を装置本体2に螺着することにより行う。該下スリット板35の先端部にもスリット孔36が穿設され、該スリット孔36は前記ペンタプリズム15の回転軸心の直下に位置し、該回転軸心と平行である。
【0020】
以下、図5、図6を参照して作動を説明する。
【0021】
前記ボルト33、脚5を緩めて上スリット板31、下スリット板35を後退させ、再び前記ボルト33、脚5を締めて固着する。両上スリット板31、下スリット板35がレーザ光線10と干渉しない様にする。更に、前記脚5を調節して気泡管4a,4bにより装置本体2を水平に設置する。
【0022】
前記レーザ発振器14を駆動して前記発光部12よりレーザ光線を発光させる。該発光部12から発せられた平行光束のレーザ光線の一部は前記ペンタプリズム15を透過し、残部はペンタプリズム15により光軸に対して直角方向に変向され回動部3より射出される。又前記ペンタプリズム15は前記走査モータ19により駆動ギア18、被動ギア17を介して回転され、ペンタプリズム15より射出されるレーザ光線が走査されることで鉛直な基準面が形成される。
【0023】
レーザ光線10の走査軌跡を墨出し線6に合致させるには、前記ボルト33、脚5を緩めて上スリット板31、下スリット板35を引出し、レーザ光線10が前記スリット孔34、スリット孔36を横切る位置とする。
【0024】
前記上スリット板31、下スリット板35の存在により回動部3より射出されるレーザ光線10は前記スリット孔34、スリット孔36の前後で遮断される。従って、スリット孔34、スリット孔36を透過したレーザ光線10はスポット光10a,10bとなって鉛直方向の上下に射出される。
【0025】
レーザレベル装置1の設置は、前記した発光状態で先ずスポット光10bを墨出し線6と墨出し線7の交点に合致させ、レーザ光線の走査により得られる床上の軌跡を前記墨出し線6に合致させることで容易に行える。又、レーザレベル装置1設置の為に回動部3の回動を停止させる或は低速度で回転させる等の特別な操作は不要であることは言う迄もない。
【0026】
更に、前記回動部3の軸心方向に射出されるレーザ光線10の一部の光束10cは前記墨出し線6と直交する点を壁面に投影する。
【0027】
ここでスポット光10a,10bと下スリット板35との関係を考察する。レーザレベル装置1のセッティングに於いて、発光部12の光軸から地面迄の距離をA、該光軸と前記下スリット板35迄の距離をB、スリット孔36の幅をCとすると、地面でのレーザ照射幅Dは、
【0028】
【数1】
D=(C/B)×A
【0029】
となり、射出光束径に対する前記スリット幅を考慮すれば、地面の照射レーザ孔はポイントとなる。数値を代入して例を示すと、A=100mm、B=50mm、C=0.5mmとした場合、数式1により、
【0030】
【数2】
D=(0.5mm/50mm)×100mm=1mm
【0031】
となる。ここで、射出レーザ光束を1mmに設定すれば、地上に投影されるレーザ照射は略スポット形状となる。
【0032】
又、レーザレベル装置1が設置時に傾きを生じた場合、前記スリット孔36の位置は交点からの鉛直下方上から外れる為、照射スポットの位置が前記交点からの鉛直下方からずれてしまう。従って、前記気泡管4a,4bにより水平を出すことで、精度の高い安定した照射スポットを得ることが可能となる。
【0033】
発光部12の光軸を含む鉛直面内での傾きに関しては、光軸そのものが補償される構成となっている為、スリット孔に傾きを生じても照射スポットの移動は生じない。
【0034】
前記光軸に直交する平面内の傾きに関しては前記の如く照射スポットの移動が生じるので、例えば、1′/1divの気泡管を使用して装置を整準すれば、読取り誤差が1目盛生じても、前記例の様に、A=100mmである場合のスポットの移動は0.03mmとなり実用上支障ない。
【0035】
又、前記した様にスリット板31,35を鉛直レーザ照射面に対し出入れ可能な構造にしておくことで装置の設置後、下方の墨出し作業を行う際、光線はけられること無く作業に支障をきたすことがない。
【0036】
更に、レーザレベル装置1の位置出し作業のみであれば前記上スリット板31は不要である。該上スリット板31を設けることで本装置を鉛直儀を備えた回転レーザ装置とすることができる。前記上スリット板31を使用することで鉛直上方に向けスポット光10aを射出でき、地上墨を天井に投影し、或は鉛直方向の通りを出す為の精度の高い基準を形成できる。
【0037】
尚、スポット光10a,10bを形成する為に上スリット板31、下スリット板35によりスポット光の前後を遮断する範囲は、上スリット板31、下スリット板35の幅を適宜選択することで行う。更に、スリット板は装置本体2の側面にも設けることができることは言う迄もない。
【0038】
図4は上述した実施例の回転支持台16にエンコーダ37を設けたものであり、該エンコーダ37によりスキャニング位置、範囲を制御可能にし、回転照射されるレーザ照射面と対向させスリット板35を配置させる場合と同様、任意の位置にスリットを配置させ、前記スリット板35に向かってスキャニングさせることによりレーザスポットを得ることができる。この形態では、部分的に平均輝度の高いスキャニングレーザ照射光を利用することにより、より高い輝度の照射スポットを得ることができる。
【0039】
【発明の効果】
以上述べた如く本発明によれば、簡単な構成でよく、又特別な作業をすることなくレーザレベル装置の位置合わせが可能で、レーザレベル装置により形成される鉛直なレーザ平面を所定の位置に鋭敏に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の要部を示す側断面図である。
【図2】同前実施例要部を示す平面図である。
【図3】同前実施例要部を示す底面図である。
【図4】本発明の他の実施例の要部を示す側断面図である。
【図5】本発明の作用を示す説明斜視図である。
【図6】本発明の作用を示す説明斜視図である。
【図7】従来例の外観図である。
【符号の説明】
1 レーザレベル装置
2 装置本体
3 回動部
6 墨出し線
7 墨出し線
10 レーザ光線
12 発光部
15 ペンタプリズム
31 上スリット板
34 スリット孔
35 下スリット板
36 スリット孔
Claims (3)
- レーザ光線を照射する回動部を回転させ、レーザ光線を回転走査して基準平面を形成するレーザレベル装置に於いて、前記基準平面を横切る様に、出入れ可能なスリット板が設けられ、該スリット板には通過するレーザ光線によりスポット光を形成するスリット孔が設けられていることを特徴とするレーザレベル装置。
- 鉛直な基準面を形成する場合、前記スリット板は、前記回動部の回転軸心の鉛直下方にスポット光を形成する様に設けられている請求項1のレーザレベル装置。
- 鉛直な基準面を形成する場合、前記スリット板は、前記回動部の回転軸心の鉛直下方及び鉛直上方にスポット光を形成する様に設けられている請求項1のレーザレベル装置。
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- 1995-02-17 JP JP05337495A patent/JP3541900B2/ja not_active Expired - Fee Related
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