JP3541896B2 - 情報信号編集装置及び編集システム - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、非同期に入力される複数の情報信号を編集する情報信号編集装置及び編集システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、映像および音声に関する編集方式や編集装置が、種々の映像源や音源から1つの映像や音声を作成するために、放送局や映像スタジオなどで広く使用されている。
【0003】
従来の映像編集装置では、例えば図7に示すように、複数のビデオカメラ100(1)乃至100(m)及びビデオ記録装置101(1)乃至101(m)を、編集装置102で集中的に管理、制御し、映像源であるビデオカメラ100(1)乃至100(m)及びビデオ記録装置101(1)乃至101(m)からの映像信号を編集して新たなる映像を編集装置102上で作成し、作成された映像信号103を、新たにビデオ記録装置に記録したり、あるいは放送装置により放送映像としたりする情報通信系を構築することができる。
【0004】
この種の映像編集装置では、情報通信系は、構内回線など、同期制御の及ぶ範囲内で構築されるものであり、ビデオカメラ100(1)乃至100(m)や、ビデオ記録装置101(1)乃至101(m)の動作は、全て編集装置102で制御され、どの映像源の信号を使うかは、編集装置102が選択して決める。また、ビデオカメラ100(1)乃至100(m)やビデオ記録装置101(1)乃至101(m)を制御するタイミングも、編集装置102で管理されて、系全体が同期して動作する。この制御の方式は、編集装置102による自動的な画像編集を行なう場合でも、あるいは編集作業者が編集装置102を使って編集する場合でも、同様である。
【0005】
尚、図7における例は、映像の編集に関するものであるが、音声のみの編集の場合でも、その編集の方式と装置の構成は同様である。
【0006】
一方、都市内や都市間を結んだ、広域情報通信系のネットワーク上に存在する情報源からの映像や音声を編集したり、編集によって作成した映像や音声を新たに情報として、そのネットワーク上に提供することで、広い範囲で情報を共有したり、それぞれの装置上で局所的な要求に応じて映像を作成したりすることが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば図8に示されるように、このような広域のネットワーク上では、編集装置111と映像送信装置112との間に、信号中継器113あるいは信号中継器114を存在させる必要があり、編集装置111の制御要求に対する映像送信装置112の応答は、その時間を予測したり、保証したりすることが容易ではない。また、編集装置111と映像送信装置112との間に複数の信号中継器113,114が存在するとき、編集装置111から発せられた制御要求(例えば再生開始と再生終了)が、異なる通信経路を伝わることによって、映像送信装置112において、発せられたときと異なる順番(例えば再生終了の後で再生開始)で受けとられる可能性がある。つまり、このようなネットワーク上では、図7のような同期型の制御方式を正しく機能させることは容易ではない。
【0008】
また、編集装置111と映像送信装置112が衛星通信(送受信器115,116および通信衛星117により構成される衛生通信系)によって接続されている場合、その現象はさらに顕著である。
【0009】
さらに、系に接続されている装置の種類が異なっている場合、または通信されるデータの種類が異なっている場合、あるいは通信経路の形態が経路によって異なっている場合も、系全体の動作を予測したり、保証したりすることは難しい。
【0010】
さらに、映像や音声の編集を特定の装置で集中して行なうのではなく、図9に例を示すように、ネットワーク120上に設けられる複数の編集装置121(1)乃至121(16)のそれぞれにおいて、編集装置121(i)(i=1乃至16)の局所的な要求に応じて、ネットワーク120上の他の編集装置121(j)(j=1乃至16:j≠i)からの映像や音声を基に新たに映像や音声を編集し、作成することが求められるとき、それぞれの編集装置121(i)上の編集において、上に指摘されたのと同様の問題が生じ、同様に同期型の制御方式は正しく機能することが難しい。
【0011】
尚、ここに述べられた編集装置121(i)は、放送局や映像スタジオのような特定の機関を代表する装置であっても良いし、あるいは、一般家庭での映像記録編集装置であっても良い。また、編集装置121(i)は、異なる種類の装置であっても良い。さらに、ネットワーク120は、構内通信回線であっても、有線テレビの通信網であっても良いし、放送局間の通信網であっても良い。さらには、例えばTse‐yunFeng:A Survey of Interconnection Networks,Computer,pp.l2-27,December198l.に紹介されているような相互結合網であっても良いし、あるいはまた、これらが組み合わされたものでも良い。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、広域のネットワーク上に接続され、複数の情報信号の情報編集を行う場合、同期をとることなく、実時間で処理することができ、通信による遅延時間の無視できない系においても、その遅延によって系の性能低下させたり、実時間性を低下させたりすることなく、ネットワーク上を相互に通信される情報信号の編集が実現できる情報信号編集装置及び編集システムを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の編集システムは、複数の情報信号編集装置それぞれは、編集に関わる時間情報を含む同期情報を有する複数の情報信号が非同期に入力される入力手段と、入力手段から入力された複数の情報信号から同期情報を検出する同期情報検出手段と、同期情報検出手段が検出した同期情報に基づき、入力された複数の情報信号の少なくとも一つの編集処理を行なう情報編集手段とを備え、編集処理は、入力された複数の情報信号の同期情報に含まれる編集に関わる時間情報に基づいて制御されることを特徴とする。
【0014】
本発明の情報信号編集装置は、入力された複数の情報信号から同期情報を検出する同期情報検出手段と、同期情報検出手段が検出した同期情報に基づき、入力された複数の情報信号の少なくとも一つの編集処理を行なう情報編集手段とを備え、編集処理は、入力された複数の情報信号の同期情報に含まれる編集に関わる時間情報に基づいて制御されることを特徴とする。
【0015】
【作用】
本発明の編集システムにおいては、編集に関わる時間情報を含む同期情報を有する複数の情報信号が非同期に入力され、入力された複数の情報信号から同期情報を検出し、検出された同期情報に基づき、入力された複数の情報信号の少なくとも一つの編集処理を行なう編集処理は、入力された複数の情報信号の同期情報に含まれる編集に関わる時間情報に基づいて制御される
本発明の情報信号編集装置においては、入力された複数の情報信号から同期情報を検出し、検出された同期情報に基づき、入力された複数の情報信号の少なくとも一つの編集処理を行なう。編集処理は、入力された複数の情報信号の同期情報に含まれる編集に関わる時間情報に基づいて制御される
従って、広域のネットワーク上に接続され、複数の情報信号の情報編集を行う場合、同期をとることなく、実時間で処理することを可能とし、通信による遅延時間の無視できない系においても、その遅延によって系の性能低下させたり、実時間性を低下させたりすることなく、ネットワーク上を相互に通信される情報信号の編集を可能とすることができる。
【0016】
送信される情報信号が受信側で使用されるべき絶対時間あるいは基準となる情報信号に対する相対時間の情報を送信側で明示的にその通信に付加することで、受信側でその情報を認識することを可能とする。
【0017】
また、複数の情報信号編集装置から送信される情報信号が非同期に受信されているとき、それら情報信号に時間上の相対位置関係を予め付加することで、実際の受信時に受信映像や音声が不連続になったり、重複期間が生じたりした場合でも、その定められた相対関係に基づいて実時間で編集の処理を行なうことを可能とする。
【0018】
さらに、ネットワーク上に接続されている情報信号編集装置の種類が異なり、従って、その送受信方式が異なっている場合や、通信されるデータの種類が同一のものでない場合、あるいは、通信路の種類や形態が異なる場合においても、受信側で通信の内容と同期の情報を認識しすることで、情報信号の編集を行うことを可能とする。
【0022】
【実施例】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について述べる。
【0023】
図1乃至図6は本発明の一実施例に係わり、図1は、本発明の編集システムの一実施例の構成を示す構成図、図2は、図1の映像制御装置の構成を示すブロック図、図3は、図2のネットワークインターフェイスの構成を示すブロック図、図4は、図2の映像演算器の構成を示すブロック図、図5は、図2の命令実行制御器の構成を示すブロック図、図6は、図5の命令実行制御器の作用を説明するフローチャートである。
【0024】
本実施例では、ネットワーク上に接続された複数の映像あるいは音声の編集制御装置から得られる映像や音声から、同じくネットワーク上に接続された映像あるいは音声の映像制御装置(情報信号編集装置)による、新たな映像あるいは音声を作成するための、映像や音声の処理および編集を行う編集システムを例示する。
【0025】
以下においては、音声は映像の1つの形態であると見なし、音声について特に記述することなく、まとめて映像として扱う。
【0026】
本発明の実施例の映像及び音声の編集を行う編集システムは、図1に示すように、ネットワーク1上に接続された複数の映像制御装置2(1)乃至2(16)を情報源とする複数の映像から、それぞれの映像制御装置2(i)(i=1乃至16)において新たな映像を作成し、それらをさらにネットワーク1上の他の映像制御装置(j)(j=1乃至16:j≠i)に提供する映像の編集を実時間で実現するものであり、本実施例におけるネットワーク1は、各映像制御装置2(i)がメッシュ状に接続された形態をなす。
【0027】
尚、ネットワーク1は、このような形態の他に、構内通信回線(ローカルエリアネットワーク)、双方向通信機能を持った有線テレビ通信網、放送局間の通信網、あるいは,例えばTse-yunFeng:A Survey of Interconnection Networks,pp.12-27,December 198l.に紹介されているような相互結合網、あるいはまた、これらが組み合わされたものであっても構わない。
【0028】
ここで、これらネットワーク上での通信は、勿論、従来技術のように、同期通信を用いたものでもかまわないが、本実施例では、各映像制御装置間で非同期に転送されるものを扱う。いずれの形のネットワークにおいても、ある映像制御装置から送信されたメッセージ、即ち、情報とその情報の扱い方を示した通信データ(同期情報)は、送信先に届くことが保証される。ただし、送信装置と受信装置の間に通信経路が2経路以上存在する場合、メッセージが発せられた順番で受信されるとは限らない。即ち、メッセージの追い越しが起こり得る。
【0029】
本実施例の映像制御装置2(i)においては、1つの映像制御装置上で、同じネットワーク1上に接続された、他の複数の映像制御装置から非同期に、即ち、同期操作を行なうことなく映像を受信し、それらの映像を編集し、新たな映像を作成し、その作成した映像をネットワーク1上に送信している。この作成され、送信された映像を受信した別の映像制御装置はまた、その映像を用いて同様の編集作業をしている。これらの編集作業は実時間で処理されている。
【0030】
ここで送受信される映像には、例えば、編集において使用されるべき時間が規定され、付加されている。これら映像を受信して編集した編集装置は、その編集に使用した映像の時間情報を基に、作成した映像に同様の時間情報を付加し、さらに他の映像制御装置に送信する。
【0031】
これら管理されている時間は、編集を行なうときに使用されるものであって、実際に編集作業がなされているときの時間とは異なっていても良い。従って、通信による時間遅れが生じても構わない。編集されて作成された映像が放送などで使用される場合は、その映像に付加された時間に従って実際に放送される。
【0032】
通信の遅れ時間などが蓄積したり、編集作業の実行時間が許容されている時間よりも長くなった場合には、演算の精度を低くしたり、送出すべき映像のフレーム数を削減したりして、時間合わせを行ない、実時間による編集が実現される.
【0033】
ネットワーク1上の複数の映像制御装置2(i)が対話処理、即ち、他の映像制御装置の情報を得てから自装置の情報を送る交互の通信処理を行なっていて、その対話に基づいた編集をそれぞれの編集装置において行なっている場合、通信される映像データには、編集において使用されるべき相互に関係する位置関係が付加されている。
【0034】
通信による時間遅れなどによって、編集すべき映像に時間的ずれが生じ、それら映像が不連続になったり、重複期間が生じていたりしても、その映像に付加された相対位置情報に従って編集が処理される。
【0035】
上記述べた編集システムにおいて、同期情報を認識し、通信された情報の種類と内容に応じて編集の処理がなされるので、それぞれの編集装置の種類や通信される情報の種類が異なっていても良い。
【0036】
また、映像制御装置2(i)は、特定の装置である必要はなく、ネットワーク1上に接続された任意の装置において編集が可能である。
【0037】
また、上記述べた編集システムでの映像の編集は、音声のみの編集であっても、その内容は同様である。
【0038】
上記述べた編集システムにおいては、従来技術において用いられていた同期制御を使うことなく、広域のネットワーク上の装置相互間で非同期に通信される映像を、その映像が持つ同期情報を認識することによって編集し新たな映像を作成することができる。
【0039】
次に、上述した編集システムの詳細な構成及び作用について説明する。
【0040】
映像制御装置2(i)は、図2に示すように、編集命令の実行とその実時間処理を監視制御する命令実行制御器10(同期情報検出手段)と、ネットワーク1との通信の処理をするネットワークインターフェイス11(双方向通信手段)と、ネットワークインターフェイス11を介して受信したメッセージをその内容に応じて対応する構成要素に送る受信データスイッチ12と、受信データスイッチ12で受信した映像データが符号化されている場合、それをデコードするデコーダ13乃至16と、デコーダ13乃至16を介した映像を一時保持する映像フレームメモり17乃至20と、映像フレームメモり17乃至20に保持された複数の映像から、新たな映像を作成処理する映像演算器21(情報編集手段)と、映像演算器21で編集作成した映像を記録保持し、後の編集で使用する映像記録装置22と、映像演算器21で編集作成した映像を一時保持する映像フレームメモり23と、映像フレームメモり23に保持された映像を符号化して送信する場合、その符号化の処理をするエンコーダ24と、エンコーダ24を介した映像をネットワークインターフェイス11を介してネットワーク1上に送信する映像送信器25とを備えて構成される。
【0041】
映像制御装置2(i)では、命令実行制御器10の制御に基づき、映像データを受信したとき、受信データスイッチ12は、デコーダ13乃至16と映像フレームメモリ17乃至20の稼働状態を判断し、デコーダ13乃至16と映像フレームメモリ17乃至20の組のそれぞれの負荷が均等になるように、データを該当するデコーダに送る。本実施例の映像制御装置2(i)では、デコーダ13乃至16と映像フレームメモリ17乃至20を4組有するが、これは受信データの処理能力によって決められるもので、1組であっても構わないし、それぞれが任意の個数による組み合せであっても構わない。
【0042】
ネットワークインターフェイス11は、図3に示すように、ネットワーク1からメッセージを受信するネットワーク入力部41乃至44と、通信メッセージを配送するメッセージルータ45と、ネットワーク1にメッセージを送信するネットワーク出力部46乃至49と、映像制御装置2(i)内の受信データスイッチ12にメッセージルータ45からのメッセージを出力するローカルネットワーク出力部50と、ローカルネットワーク出力部50で受信したメッセージが映像制御装置2(i)内で処理されるまでの間保持するFIFOメッセージバッファ51と、映像制御装置2(i)内の映像送信器25からのメッセージを一時保持するFIFOメッセージバッファ52と、FIFOメッセージバッファ52に保持されたメッセージをメッセージルータ45に送信するローカルネットワーク入力部53とを備えて構成される。
【0043】
本実施例の構成では、映像制御装置2(i)のネットワークインターフェイス11は、ネットワーク1に対して、4組のネットワーク入力部41乃至44及びネットワーク出力部46乃至49からなるインターフェイスを持つが、ネットワークの構成の仕方によって、異なった数の組のインターフェイスを備えるように構成しても構わない。
【0044】
ネットワーク入力部41乃至44とローカルネットワーク入力部53及びネットワーク出力部46乃至49とローカルネットワーク出力部50は、メッセージルータ45に対して、それぞれ同じ機能を持ち同じ動作をする。
【0045】
メッセージルータ45は、ネットワーク入力部41乃至44あるいはローカルネットワーク入力部53からメッセージを受け取ったとき、そのメッセージ中に記されている受信者を読み取り、ネットワーク1上でその受信者に対する時間的に最短の経路を判断し、その経路に接続されるネットワーク出力部46乃至49またはローカルネットワーク出力部50に、そのメッセージを送信する。メッセージは、データのまとまった単位であるパケット毎に区分けして送信される。
【0046】
メッセージを送信すべきネットワーク出力部46乃至49またはローカルネットワーク出力部50が通信中のとき、その通信に要する時間を判断し、メッセージの受信者への時間経路が短い他の経路があれば、その経路に接続されるネットワーク出力部にメッセージを送信する。
【0047】
尚、ネットワークの形態によっては、例えば映像制御装置間の距離が長い場合、ネットワーク上にメッセージの中継器が必要となる。その場合の中継器は、図3に示されるメッセージルータ45とネットワーク入力部部41乃至44およびネットワーク出力部46乃至49を有する構成によって実現できる。
【0048】
映像演算器21は、図4に示すように、映像フレームメモり17乃至20からの映像入力に対して重み付けを行う重み乗算器71乃至74と、映像記録装置22からの映像入力に対して重み付けを行う重み乗算器75と、乗算器71乃至75からの複数の映像を重畳させる演算を行なう映像加算器76とを備えて構成される。
【0049】
命令実行制御器10は、図5に示すように、受信データスイッチ12から入力される命令メッセージを一時保持するメンセージバッファ81と、メンセージバッファ81に保持された命令メッセージを解読するメッセージデコーダ82と、メッセージデコーダ82で解読された命令を実行されるまでの間保持する命令スケジュール表83及び命令中で置き換えることのできる演算を管理する代替演算表84を備えた実時間制御器85と、実時間制御器85に実時間を認識させるタイマ86とを備えて構成される。
【0050】
実時間制御器85では、命令スケジュール表83に保持された命令は、代替演算表84を参照しながら、別の命令に書換えることができる。
【0051】
表1は、命令スケジュール表83の内容である。
【0052】
【表1】
Figure 0003541896
【0053】
命令スケジュール表83は、表1に示すように、受信したメッセージによって指示される命令を保持する命令フィールドと、そのデータが実時間中で扱われるべき時間を表しているデータ時間を保持するデータ時間フィールドと、その命令の実行期限を示す実行期限フィールドと、その命令の実行状態を示す実行状態フィールドとからなる。
【0054】
データ時間は、必要があれば受信したメッセージ中に付加されている。実行期限は、実行する実時間処理の種類によって決められ、同様にメッセージ中に付加される。
【0055】
命令は、その演算の実行時間と実行期限を比較し、実行の時間的余裕の少ない順番に従って命令スケジュール表上で管理する。実行期限の示されていない命令は下位に置く。データ時間の示されている命令は、後述のように、実行期限が間接的に定めれるので、実行期限が示されている命令に準じて扱う。
【0056】
表1の例では、受信した映像91を、デコード方式Aによってデコードした映像と、受信した映像92を、デコード方式Aによってデコードした映像を、映像重畳方式Aによって合成する画像の編集を、絶対時間である時刻 7h 21min 33.2l0secまでに実行すべきことが示されている。
【0057】
尚、実行期限は、表1の例のように、絶対時間であっても構わないし、あるいは、基準として示されたデータからの相対時間であっても構わない。
【0058】
また、デコード方式Aでデコードした映像93に引き続いて、デコード方式Aでデコードした映像94を接続して映像が送出されることが示されている。実行期限に示された記号”NIL”は、映像93と、それに続く映像94の送出に対して実行期限が規定されていないことが示されている。この編集の場合、映像93と映像94が時間的に重なって受信されたり、あるいは、映像93と映像94の受信が連続していないとき、それらの時間の差を自動調整して、編集の処理が行なわれる。このような編集の場合は、データ時間は規定されず、記号”NIL”によって示される。
【0059】
また、実時間処理を行なわない場合、あるいは、命令の実行に対して時間制約のない場合は、実行期限は示されず、実行期限のフィールドには記号”NIL”が記される。
【0060】
複数の映像制御装置2(i)間で映像の通信を伴った対話的処理を行なう場合、通信路での遅延によって、通常、ある通信に対する応答が即時に得られなかったり、あるいは、ある通信に複数の応答がある場合、それらの応答が不連続であったり、時間的に重なってしまったりする。これらの場合においても、複数の映像をどのように編集するかについて、それぞれの映像の相対的位置付けや、あるいは、データ時間を規定しておくことによって、上に述べた方法によって、正しく編集の処理を行なうことができる。
【0061】
表1ではさらに、映像制御装置2(j)に送信している映像95の送信を停止させる命令が示されている。この例においては、映像95を規定するための命令を保持したメッセージが、どの映像制御装置2(i)からもまだ届いていない。従って、実行状態は待ち状態となっている。
【0062】
この現象は、上に述べたように、ネットワーク上でメッセージの追い越しが生じることによってもたらされる。この命令は、映像95を生成するための命令を保持したメッセージを受け取り、その命令が実行された後、実行される。
【0063】
このような場合、各命令にはデータが実時間中で処理されるべきデータ時間が規定されているので、そのデータ時間に従って演算が行なわれ、映像の編集は正しく実行される。
【0064】
この例の命令では、実行期限は命令中に明示されないが、データに付随しているデータ時間をその処理すべき時間として守らなければならない。データ時間に基づいた実行をする場合は、実行期限のフィールドに記号”T”を記して区別する。実行期限のフィールドに記号”T”が示された命令は、データ時間を実行期限として厳密に守る必要はない。データ時間が実時間を超過している場合でも、そのデータを受信した別の映像編集装置において、実時間処理を行なうことが可能である。ネットワーク1上を非同期に通信されるメッセージに従った映像の編集も、このような制御を行なうことにより、正しく機能させることができる。
【0065】
表2は、代替演算表84の内容である。
【0066】
【表2】
Figure 0003541896
【0067】
代替演算表84は、命令スケジュール表で指示されている命令における演算のうち、実行期限を守るため演算時間の短いものに置き換えることのできる演算を管理する。
【0068】
代替演算表84は、表2に示すように、別の演算に置き換えることのできる演算を示す演算フィールド、その演算の実行時間を表す演算時間フィールド、置き換える代替演算を示す代替演算フィールド、その代替演算の実行時間を表す代替演算時間フィールド、および演算の置き換えによって短縮できる時間を表す短縮時間フィールドとからなる。
【0069】
演算の置き換えのうち特に、演算の実行を取り止めてしまうものは、代替演算フィールドに記号”NIL”を記して管理する。表2の例では、デコード方式Aをデコード方式Bに置き換えることによって100 msec演算時間を短縮でき、また、映像重畳方式Aを映像重畳方式Bに置き換えるとによって40 msec演算時間を短縮でき、さらに、映像フレームの送出を取り止めてしまうことによって、即ち、その直前の映像フレームを引き続き映像の作成において使用することにより、15 msec演算時間を短縮できることが示されている。
【0070】
演算の置き換えは、代替演算表84において、置き換えの優先度の順番に管理する。
【0071】
命令スケジュール表にある命令のうち、実行期限が守れない可能性のある命令は、代替演算表84に従って演算を実行時間の短いものに置き換える。このとき、同一の命令において複数の演算を置き換えても構わない。
【0072】
次に、各映像制御装置(i)において、非同期に通信されたメッセージによる命令や、さらに実行期限が示されている命令を実時間で処理する方法について述べる。
【0073】
映像制御装置2(i)では、ネットワーク1からネットワークインターフェイス11を介してメッセージを受信したとき、受信データスイッチ12は、映像データをデコーダ13乃至16に送り、命令を命令実行制御器10に送る(図2参照)。
【0074】
命令実行制御器10では、図5に示すように、受信データスイッチ12からの命令をメッセージバッファ81において一時保持する。メッセージデコーダ82は、その一時保持された命令を解読し、上に述べたように、実行の時間的余裕の少ない順番に従って命令スケジュール表83に登録する。
【0075】
実時間制御器85は、命令スケジュール表83に登録されてい命令の実行を代替演算表84を用いながら管理および制御し、その命令における各演算の実行を図2にされた映像編集装置2(i)内の各機能部に指示する。
【0076】
このとき、実時間制御器85は、図6に示されたチャートに従って動作している。
【0077】
即ち、実時間制御器85は、ステップS1において、命令スケジュール表83を走査し、メッセージデコーダ82によって命令が命令スケジュール表83に登録されたとき、ステップS2で、登録された命令を順に読み出し、ステップS3に進む。ステップS1で、命令が命令スケジュール表83にされていないときは、登録されている命令を受信するために待機状態となる。
【0078】
ステップS3では、登録読み出した命令が既に実行済かどうか判断し、実行済のものであれば、ステップS4で、その命令を命令スケジュール表83から削除し、ステップS1に戻る。
【0079】
その命令が実行済でなければ、ステップS5で、映像制御装置2(i)内の各機能モジュールの内部状態を読み取り、その命令の実行状態を把握し、実行期限が守れるか、あるいはデータ時間が実時間に添って推移しているかを判断する。
【0080】
実時間内に処理されると判断した場合は、命令スケジュール表83で次の命令の走査に移るために、ステップS1に戻る。実行期限が守れない場合、ステップS6に進み、代替演算表84を走査し、代替演算の有無を判断し、代替演算がないと判断した場合は、命令スケジュール表83で次の命令の走査に移るために、ステップS1に戻る。代替演算があると判断した場合は、ステップS7で、表演算の置き換えの優先度に従って、命令中の演算のうち、まだ実行されていない演算を実行時間の短い演算に置き換え、その置き換えと実行を対応する機能モジュールに指示する。
【0081】
この演算の置き換えは、代替演算表84を参照しながら、実行期限が守れると判断できるまで繰り返される。実行期限が守れることの判断は、通常実行期限が実時間を越えても、その差が予め定められた許容範囲内、例えば、100msec内であれば良いとする。
【0082】
演算の置き換えによっても実行期限が守れない場合、作成され、さらにネットワーク1上に送信される映像が、他の映像制御装置で使用されるときは、その映像制御装置における同様の実時間処理によって、最終的な実行期限は守ることが可能である。
【0083】
作成された映像が、放送などの実時間で使用されるときは、映像の乱れなどの不具合が生じるが、通常はそのような状態がもたらされないだけの処理能力を予め映像制御装置全体に持たせる。また、数百msec程度の遅れであれば、後段の機器上で吸収できることが多い。
【0084】
編集し、作成した映像は、その基となった映像のデータ時間や、その編集の実行期限に従って設定されたデータ時間を付加し、また、その編集を定めた命令の内容に従って、作成し、送信される映像が、さらにどのように編集されるかの命令を付加し、基の命令内容から示される他の映像編集装置に送信される。
【0085】
ネットワーク1上に接続されている映像制御装置2(i)による系全体での編集の作業は、このようにメッセージの伝播によって進捗する。
【0086】
例えば、図1の映像制御装置2(10)において、映像制御装置2(2)と映像制御装置2(12)のそれぞれに記録保存された映像を再生し、それらを映像制御装置2(5)の映像演算機能を使用して編集し、さらに映像と映像制御装置2(14)で実時間で送出されている映像と重畳させて、新たな映像を作成したい場合、メッセージは、
映像制御装置2(10)から映像制御装置2(2)および映像制御装置2(12)、
映像制御装置2(2)から映像制御装置2(5)および映像制御装置2(12)から映像制御装置2(5)、
映像制御装置2(5)から映像制御装置2(10)、
映像制御装置2(10)から映像制御装置2(14)、
映像制御装置2(14)から映像制御装置2(10)、
に対して、それぞれ必要な命令を伝えるために送信される。これらのメッセージ送信は全て、同期操作を行なうことなく処理される。
【0087】
このように、本実施例の編集システムによれば、個々の映像制御装置2(i)間での映像送信要求やその応答などの通信は同期的に送受信されることはなく、それぞれの映像制御装置が1つの通信データを受け取ったとき、その通信データに含まれている同期情報を認識し、その同期情報を使用してその映像や音声を編集し、新たな映像や音声を作成するので、1つの映像制御装置上で、同じネットワーク1上に接続された他の複数の映像制御装置から非同期に、即ち、同期操作を行なうことなく映像を受信し、編集作業を実時間で処理することができる。
【0088】
尚、ネットワーク1上に接続された映像制御装置2(i)のそれぞれの機能が、他の装置において予め分かっていない場合は、例えば、必要とする映像をネットワークから取得するため、他の映像制御装置を通して、一斉にブロードキャスト方式でメッセージを送り、該当する映像制御装置からその映像を受け取ることが可能である。
【0089】
また、各映像制御装置2(i)において、その編集機能が予め特定のものに定められている場合は、その機能に従って、受信した映像に対する編集の処理を行なうことによって、系全体の編集作業を進めることも可能である。
【0090】
以上、ネットワーク1上に接続された映像制御装置間での映像の編集の場合について述べたが、本発明は、映像はもちろん音声の同様な編集に対しても適用できる。
【0091】
また、以上述べた編集システムは、ネットワーク1上に異なった種類の映像制御装置が接続されている場合や、あるいは、異なった種類のネットワークが組み合わされる場合にも適用できる。
【0092】
さらに、以上述べた編集システムは、好適には、双方向通信の実現されている系、通信路における通信時間が短くない通信を用いた系、あるいは、さらにそこで実時間処理が要求されている系において使用されることでより効果を発揮することができる。
【0093】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、広域のネットワーク上に接続され、複数の情報信号の情報編集を行う場合、同期をとることなく、実時間で処理することができ、通信による遅延時間の無視できない系においても、その遅延によって系の性能低下させたり、実時間性を低下させたりすることなく、ネットワーク上を相互に通信される情報信号の編集を実現することができる
【0094】
送信される情報信号が受信側で使用されるべき絶対時間あるいは基準となる情報信号に対する相対時間の情報を送信側で明示的にその通信に付加することで、受信側でその情報を認識することを可能とする。
【0095】
また、複数の情報信号編集装置から送信される情報信号が非同期に受信されているとき、それら情報信号に時間上の相対位置関係を予め付加することで、実際の受信時に受信映像や音声が不連続になったり、重複期間が生じたりした場合でも、その定められた相対関係に基づいて実時間で編集の処理を行なうことを可能とする。
【0096】
さらに、ネットワーク上に接続されている情報信号編集装置の種類が異なり従ってその送受信方式が異なっている場合や、通信されるデータの種類が同一のものでない場合、あるいは、通信路の種類や形態が異なる場合においても、受信側で通信の内容と同期の情報を認識しすることで、情報信号の編集を行うことを可能とする。
【0099】
また、ネットワーク上に接続されているそれぞれの装置が相互に情報信号のデータを通信する機能を有することで、それぞれの装置において他の装置から受信された情報信号の編集を行なうことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の編集システムの一実施例の構成を示す構成図である。
【図2】
図1の映像制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】
図2のネットワークインターファイスの構成を示すブロック図である。
【図4】
図2の映像演算器の構成を示すブロック図である。
【図5】
図2の命令実行制御器の構成を示すブロック図である。
【図6】
図5の命令実行制御器の作用を説明するフローチャートである。
【図7】
従来の第1の編集システムの構成を示す構成図である。
【図8】
従来の第2の編集システムの構成を示す構成図である。
【図9】
従来の第3の編集システムの構成を示す構成図である。
【符号の説明】
1 ネットワーク
2(1)乃至2(16) 映像制御装置
10 命令実行制御器
11 ネットワークインターフェイス
12 受信データスイッチ
13乃至16 デコーダ
17乃至20,23 映像フレームメモリ
21 映像演算器
22 映像記録装置
24 エンコーダ
25 映像送信器
41乃至44 ネットワーク入力部
45 メッセージルータ
46乃至49 ネットワーク出力部
50 ローカルネットワーク出力部
51,52 FIFOメッセージバッファ
53 ローカルネットワーク入力部
71乃至75 重み乗算器
76 映像加算器
81 メッセージバッファ
82 メッセージデコーダ
83 命令スケジュール表
84 代替演算表
85 実時間制御器
86 タイマ

Claims (10)

  1. ネットワークを介して複数の情報信号編集装置が相互接続された編集システムであって、
    前記複数の情報信号編集装置それぞれは、
    編集に関わる時間情報を含む同期情報を有する複数の情報信号が非同期に入力される入力手段と、
    前記入力手段から入力された前記複数の情報信号から前記同期情報を検出する同期情報検出手段と、
    前記同期情報検出手段が検出した前記同期情報に基づき、入力された前記複数の情報信号の少なくとも一つの編集処理を行なう情報編集手段と
    を備え、
    前記編集処理は、入力された前記複数の情報信号の前記同期情報に含まれる前記編集に関わる時間情報に基づいて制御される
    ことを特徴とする編集システム。
  2. ネットワークを介して、編集に関わる時間情報を含む同期情報を有する複数の情報信号が非同期に入力され、入力された前記複数の情報信号の少なくとも一つの編集を行なう情報信号編集装置であって、
    入力された前記複数の情報信号から前記同期情報を検出する同期情報検出手段と、
    前記同期情報検出手段が検出した前記同期情報に基づき、入力された前記複数の情報信号の少なくとも一つの編集処理を行なう情報編集手段と
    を備え、
    前記編集処理は、入力された前記複数の情報信号の前記同期情報に含まれる前記編集に関わる時間情報に基づいて制御される
    ことを特徴とする情報信号編集装置。
  3. 前記同期情報は、
    少なくとも編集の結果映像が得られるべき絶対時間である時間情報を有する
    ことを特徴とする請求項に記載の情報信号編集装置。
  4. 前記同期情報は、
    前記情報編集手段が編集する前記複数の情報信号のうち基準となる前記情報信号に対して、少なくとも編集の結果映像が得られるべき相対時間である相対時間情報を有する
    ことを特徴とする請求項に記載の情報信号編集装置。
  5. 前記同期情報は、
    少なくとも編集において使用されるべき絶対時間の情報を有する
    ことを特徴とする請求項に記載の情報信号編集装置。
  6. 前記同期情報は、
    前記情報編集手段が編集する前記複数の情報信号のうち基準となる前記情報信号に対して、少なくとも編集において使用されるべき相対時間である相対時間情報を有する
    ことを特徴とする請求項に記載の情報信号編集装置。
  7. 前記同期情報は、
    前記複数の情報信号の時間上の相対位置関係を示す位置情報を有し、
    前記情報編集手段は、入力された前記情報信号の実際の時間的位置関係に依らず、前記同期情報の前記位置情報に基づいて、前記複数の情報信号を編集する
    ことを特徴とする請求項に記載の情報信号編集装置。
  8. 前記編集処理は、前記時間情報に基づいて規定される処理時間内に完了するかどうかを判別し、
    前記編集処理が前記規定された処理時間内に終了しないと判別された場合、前記編集処理における演算処理を別の演算処理で置き換えて実行する
    ことを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の情報信号編集装置。
  9. 前記情報編集手段は、前記編集処理における演算処理を、実行時間が短い前記別の演算処理に置き換える
    ことを特徴とする請求項8に記載の情報信号編集装置
  10. 前記編集処理における演算処理を、実行時間が短い前記別の演算処理に置き換えても、前記編集処理が前記規定された処理時間内に終了しない場合、前記編集処理における演算処理は、前記ネットワーク上の別の情報信号編集装置によって行われる
    ことを特徴とする請求項9に記載の情報信号編集装置
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