JP3541846B2 - 半導体製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は半導体装置、とりわけMOSデバイスにおけるゲート酸化膜をはじめとする酸化膜形成方法における半導体製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置、とりわけMOSデバイスではゲート酸化膜の形成をはじめとして酸化膜形成工程を多く含んでいる。近年では素子の微細化、高集積化に伴い多層に多結晶シリコン膜を使用する工程が増加している。例えば、1MビットダイナミックRAMでは通常、セルの容量を構成するセルプレートを導電性不純物を高濃度に含有した多結晶シリコン膜で形成している。さらにその後選択トランジスタや周辺トランジスタのゲート電極に導電性不純物を高濃度に含有した多結晶シリコン膜で形成している。このように、近年のLSI素子において、導電性不純物を高濃度に含んだ多結晶シリコン膜は配線材料やMOSトランジスタの電極材料として必要不可欠のものとなっている。すなわち、このような多結晶シリコン膜はCVDを用いて形成される。このため多結晶シリコン膜は半導体基板表面上とその裏面にも形成される。これらの多結晶シリコン膜は非常に高濃度の導電性不純物を含んでいるため、この多結晶シリコン膜が形成された半導体基板では、この多結晶シリコン膜を不純物の拡散源とみなされる。特に、これらの導電性不純物を含んだ多結晶シリコン層の近くに半導体基板表面が露出している場合、この多結晶シリコン膜を形成した後、半導体基板表面に酸化膜を形成したり、アニール等の熱プロセスを経ると、この多結晶シリコン膜から不純物が半導体基板の露出面から基板内部へ拡散する。
【0003】
図15はDRAMのトランジスタのゲート酸化膜形成工程におけるデバイス断面を示したものである。図15において、1はP型シリコン基板、2は分離領域、3はN+型多結晶シリコンからなるセルプレート、4は容量絶縁膜、5はN+型拡散領域、6はP型拡散領域、 7はN+型多結晶シリコンからのリンの外方拡散、8はゲート酸化膜、9はN型拡散領域、10はN+型多結晶シリコン膜である。
【0004】
ゲート酸化膜形成工程図15(b)および(c)において、セルプレート3が高濃度の導電性不純物を含む多結晶シリコン膜で形成されている。この多結晶シリコン膜を形成した後、ゲート酸化膜8形成の初期の段階、すなわちシリコン基板投入、温度ランピング、アニールなどのプロセスを経たとき、この多結晶シリコン膜からリンが外方拡散され隣接し、基板表面が露出したトランジスタ領域に導入、熱拡散される。一般にMOSトランジスタのしきい値電圧はゲート電極直下の基板表面の不純物濃度の変化に敏感に変化する。このためしきい値電圧の大幅な変動が発生する。すなわち、図15のNチャネルトランジスタの場合は、セルプレート3からN型不純物であるリンが自己拡散し、隣接したMOSトランジスタのチャネル領域の導電型がN型となる。このためMOSトランジスタのしきい値電圧は大きく負にシフトし、常に導通状態となってしまう。
【0005】
一方、図16はLDD構造を持つMOSトランジスタの断面図を示したものである。図16において、21はP型シリコン基板、22はP型ウェル領域、23はN型ウェル領域、24は分離領域、25はゲート酸化膜、26はP型チャネルゲートN+型多結晶シリコン膜、27はNチャネルゲートN+型多結晶シリコン膜、28はフォトレジスト、29はLDDリン注入、30はリン注入LDD領域、31は自己拡散によるN型拡散領域、32はゲート電極からのリンの外方拡散、33はチャネル領域、34はN+型ソース/ドレイン領域、35はP型ソース/ドレイン領域である。
【0006】
トランジスタのゲートは通常高濃度に導電性不純物を含んだ多結晶シリコン膜27で形成される。ゲート電極を形成したあと、ソース/ドレイン領域にはLDDを形成するためイオン注入により低濃度の不純物注入が行なわれる(図16(a))。この後、通常、イオン注入不純物を活性化するための熱処理が行なわれる。このとき多結晶シリコン膜27ゲートから不純物がソース/ドレインのLDD領域に拡散される(図16(b))。LDD領域を形成する導電型が多結晶シリコン膜27の不純物の導電型と同じ場合、このトランジスタのLDD領域の不純物濃度は濃くなり、結果的にこのトランジスタは短チャネルとなる。すなわち、図16(c)において、NチャネルトランジスタはN型多結晶シリコン膜27から自己拡散したリン原子によりLDD領域のN型不純物濃度は高くなり、さらに横方向の拡散長も長くなる。このため、チャネル領域33は狭くなりショートチャネルとなる。一方、多結晶シリコン膜ゲートの不純物の導電型とLDD領域の導電型が反対の場合、LDD領域の不純物は多結晶シリコン膜から拡散した不純物でコンペンセートされLDD領域の不純物濃度は低下する。その結果、LDD領域の抵抗が増加し、極端な場合にはオフセットチャネル型のトランジスタとなってしまう。この結果ドライブ能力が低下することとなる。
【0007】
図16(b)においてPチャネルトランジスタのソース/ドレイン領域にP型ソース/ドレインと反対導電性をもつリンが自己拡散されP型不純物とN型不純物のコンペンセーションが起こる。図16(c)においてPチャネルトランジスタのソース/ドレイン領域には高抵抗層のN型拡散領域31が形成される。この場合、オフセットチャネルトランジスタとなり、しきい値電圧は正方向に大きくシフトするとともにPチャネルトランジスタの駆動能力が大幅に低下する。
【0008】
図17はDDD(2重拡散ドレイン)構造をもつMOSトランジスタを考えた場合のデバイス断面図である。
【0009】
図17において、41はP型シリコン基板、42はP型ウェル領域、43はN型ウェル領域、44は分離領域、45はゲート酸化膜、46はPチャネルゲートN+型多結晶シリコン膜、47はNチャネルゲートN+型多結晶シリコン膜、48はフォトレジスト、49はDDDリン注入、50はリン注入DDD領域、51は自己拡散によるN型拡散領域、52はゲート電極からのリンの外方拡散、53はチャネル領域、54はN+型ソース/ドレイン領域、55はP型ソース/ドレイン領域である。
【0010】
DDD構造においても、LDD構造と同じく、DDD領域の低濃度の不純物をイオン注入する(図17(a))。この後、DDD領域を形成する熱処理の初期において、ゲート電極である不純物が高濃度に含有された多結晶シリコン膜47からの自己拡散により、DDD領域に不純物を拡散させる。したがって、DDD領域の不純物が多結晶シリコン膜ゲートと同導電型の不純物の場合はショートチャネル状態となる。これと逆の場合、オフセットチャネル状態を引き起こす(図17(c))。この他にも、シリコン基板裏面に高濃度の導電性不純物を含む多結晶シリコン膜が存在する場合、酸化炉中で、シリコン基板の裏面とシリコン基板表面とが対向して設置されているシリコン基板の表面に不純物が拡散してしまい、前述のような問題を引き起こす場合もある。これらの現象は、単純に高濃度の導電性不純物を含んだ多結晶シリコン膜が拡散源となり、この拡散源に接近する半導体基板表面の露出面に拡散する現象であり、オートドーピングとも呼ばれている。このオートドーピングの程度は熱処理炉中における熱処理温度、時間、雰囲気、シリコン基板のピッチ、シリコン基板ボートの構造、炉内でのガスの流れ電気炉の構造に大きく依存する。シリコン基板ピッチが狭いほど、またボートが密閉構造であるほどオートドーピングは顕著になる。これに対し、近年、縦型電気炉が注目されており、横型炉に代わって導入されつつある。縦型炉を使用した場合はオートドーピングはさらに顕著に観察される。
【0011】
通常これらのアニールや酸化を行う熱処理装置の従来例を図18に示す。ここでは縦型拡散炉を示している。図において、60はプロセスチューブ、61は排気口、62はシリコン基板、63はボート、64はヒーター、65はキャップ、66はシール、67はペデスタル、68はガス導入口、69はプロセスガス流である。従来例ではプロセスガスがプロセスチューブ60上部から導入され、プロセスチューブ60内を流れたあと、チューブ下部の排気口61から排出される。このときプロセスガスの流れはプロセスチューブ60上部から下部への流れになる。このため、シリコン基板62周辺には層流ができており、このためこれらのプロセスガスがシリコン基板62中心部に向かって流れにくい。シリコン基板中心部においてシリコン基板表面あるいは裏面に形成された高濃度に不純物を含む多結晶シリコン膜などから外方に放出された導電性不純物ガスはシリコン基板間を通過するガスの流れが無いためにシリコン基板間に滞留する。その結果シリコン基板のシリコンが露出している部分にオートドーピングされる。さらに、プロセスガスを用いてシリコン基板表面に不純物領域を均一性よく形成する不純物拡散炉においては、プロセスガスがシリコン基板間、特にシリコン基板中心部に向かって流れにくい。この場合、シリコン基板62中心部へのプロセスガスの供給は拡散で支配されると考えられる。このような構造の不純物拡散装置を用いた場合、シリコン基板62面内の不純物濃度は、シリコン基板62中央部の濃度が周辺に比べ低くなる。さらに、プロセスガスの濃度はプロセスチューブ60下部にいくほど薄くなるため、プロセスチューブ60上部のシリコン基板62とプロセスチューブ60下部のシリコン基板62とで不純物濃度に大きな差が発生する。従来構造の不純物拡散炉で拡散を行った場合、シリコン基板62面内ではシリコン基板62中央部の不純物濃度が目標値より低くなる。その結果、比抵抗が高くなる(図19)。一方、シリコン基板62間ではプロセスチューブ3上部のシリコン基板62の不純物濃度とプロセスチューブ60中央部のシリコン基板62の不純物濃度、さらにプロセスチューブ60下部のシリコン基板62の不純物濃度が異なる。その結果シリコン基板62の比抵抗が異なる。プロセスチューブ60長手方向の比抵抗の差は、ガス流量や排気速度によって変化する。従来構造の拡散炉ではこのようなプロセスチューブ60長手方向のシリコン基板62の比抵抗の不均一性を補償するためプロセスチューブ60長手方向に温度勾配をもたせていた。また、シリコン基板62面内の均一性に対してはシリコン基板62を積載したボート63を回転させて均一性を向上させる方法が考えられるが、シリコン基板62を回転させても軸対称になるためシリコン基板62中央部の比抵抗は改善されない。これを改善するために、プロセスチューブ60の長手方向に図20に示すようなインジェクタ70を用いることが考えられる。図20に示すインジェクタ70はインジェクタ70の長手方向に沿って、シリコン基板62ピッチの整数倍の間隔で、直径1mm程度の孔が設置されており、この複数の孔からガスがシリコン基板62の直径方向に噴出する構造にしてある。しかし、この構造のインジェクタ70ではガス導入口68に近い部分の孔から噴出するガスの速度とインジェクタ70先端部ガス噴出口71孔から噴出するガスの速度は大きく異なる。インジェクタ70先端部に比べ、インジェクタ70のガス導入口68に近い孔からのガス噴出速度が大きい。このため、プロセスチューブ60上部と下部での比抵抗は、大きく異なっている。また、面内均一性についても孔をシリコン基板62に向けて設置した場合、シリコン基板62面内の孔に近い部分ではガス流速がはやくシリコン基板62表面の温度が低下する。このため、比抵抗は高くなり、孔から最もはなれた部分で適正な値にすることができる。またシリコン基板62中央部では比抵抗の値は高くなる。このときのシリコン基板62面内の比抵抗分布は図21(a)のようになる。一方、この孔をシリコン基板62とは反対方向のプロセスチューブ60の管壁に向けた場合、ガスは管壁へ衝突し、減速され、反射されたガス流がシリコン基板62に到達する。これによりインジェクタ70に近い部分の比抵抗は適正な値が得られる。しかし、シリコン基板62中央部より、インジェクタ70から離れた部分についてはガス流の速度が十分でないためガスが行き渡らず、比抵抗は高くなるという現象が生ずる。このときのシリコン基板60面内の比抵抗分布を図21(b)に示す。このような、インジェクタ70を使用した場合、シリコン基板回転機構は非常に有効である。シリコン基板回転機構により比抵抗はシリコン基板62周辺ではほぼ均一となるが、シリコン基板62中央部ではやはり高いままである。インジェクタ70にシリコン基板回転を採用した場合のシリコン基板62面内の比抵抗分布を図22に示す。しかし、前述の如く、シリコン基板回転を行う場合、高温かつ腐食性ガス雰囲気中に回転機構を設置せねばならないため、回転機構の信頼性を確保することが難しくなる。また装置自体が複雑で高価なものとなる欠点がある。
【0012】
これらの装置は不純物拡散を目的として使用される場合もあれば、アニール、酸化を目的として使用される場合もある。酸化に用いる場合、水素ガスと酸素ガスを760℃以上の温度で燃焼させることによって生じた水蒸気を酸化剤として用いる。このような酸化法はパイロジェニック酸化法として知られ、ゲート酸化膜や分離用の酸化膜の形成に用いられている。この方法では純度および水蒸気含有量の制御性の点で優れている。パイロジェニック酸化は一般的に酸化炉のプロセスチューブ内部において、インジェクタの先端部から酸素および水素の混合ガスをプロセスチューブ内に噴出させ、高温の炉内で燃焼させ水蒸気を発生させる。このとき水素の爆発限界から酸素流量は水素流量に対し安全を考慮して180%以下に設定される。また、このときのインジェクタ先端部での温度は760℃以上必要になる。このとき水素に対する酸素流量を調整することで酸化雰囲気全体に占める水蒸気の比率を決定できる。水蒸気酸化において酸化膜の成長速度は雰囲気中の水蒸気分圧で決定される。すなわち、ゲート酸化膜の如き膜厚が薄く、かつ膜厚制御性の要求されるものにおいては酸化性雰囲気に占める水蒸気分圧を下げてやればよい。すなわち、酸素リッチな雰囲気での水素および酸素の燃焼により水蒸気を発生させる。
【0013】
これらのパイロジェニック酸化は、従来はプロセスチューブ内で燃焼させることによるものであった。しかしプロセスチューブ内で水素および酸素を燃焼させた場合、高温の燃焼ガスの噴出によりプロセスチューブ内の温度が不均一になり、膜厚が不均一になるなどの問題を生じる。このため、燃焼室をプロセスチューブ外に設け専用の燃焼ヒーターにより燃焼させる外部燃焼方式が採用されることが多くなっている。図23は従来構造の外部燃焼方式の酸化膜形成装置の概念図である。81はプロセスチューブ、82はシリコン基板、83はボート、86は外部燃焼チャンバー、87は外部燃焼用ヒーター、88はインジェクタ、89は酸素ポート、90は水素ポート、91は水酸素炎である。酸素ポート89および水素ポート90から導入された水素および酸素ガスは混合されインジェクタ88中で外部燃焼用ヒーター87により加熱される。760℃以上に加熱された水素、酸素ガスは発火し、インジェクタ88先端から水酸素炎91として燃焼チャンバー86内に放出され、発生した水蒸気はプロセスチューブ81内へ送られる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の半導体装置の製造方法では、オートドーピングは前述したようにMOSトランジスタのしきい値電圧の大幅な変化、MOSトランジスタの短チャネル化やオフセットゲート化の両方を、またコンタクト拡散領域の抵抗の増加や接合深さの増大など種々の致命的な問題を引き起こす。しかしながら、近年、半導体装置はますます高集積化しており配線およびゲート電極として多層の多結晶シリコン膜がますます用いられる。このため、このようなオートドーピングに起因する問題は増加する傾向にある。とりわけ、最近では酸化膜厚の均一性がよく、自動化が容易であるなどの理由から従来の横型電気炉に代わり縦型電気炉が導入される傾向にある。発明者らの調査によれば縦型電気炉はその構造上、シリコン基板とシリコン基板の間、特に中心部分にはガスが十分行き届かないため、横型電気炉に比べオートドーピングを起こしやすい。導電性不純物を含んだ多結晶シリコン膜がシリコン基板裏面に存在する場合、これら裏面の多結晶シリコン膜を選択的に除去することにより、続く熱処理中のオートドーピングを防止するが、シリコン基板表面にパターンとして存在している多結晶シリコン膜からのオートドーピングに対しては依然、問題視されている。
【0015】
また、上記従来の熱処理装置では、シリコン基板回転機構を使用せずに、シリコン基板62面内に均一性よく不純物を含んだガスを供給し、なおかつプロセスチューブ60の長手方向に対しても均一に不純物を含んだガスを供給できる構造にする必要がある。
【0016】
インジェクタ70の長手方向に配置されたガス噴出口71からのガス噴出速度を均一にするためには、インジェクタ70のガス導入口68から先端にいくに従い、ガス噴出口71の直径をガス噴出口71からのガス噴出速度が一定になるように順次、大きくする方法、さらにはガス噴出口71の間隔を減らすなどの方法がある。しかし、これらの方法は一定速度を与えるガス噴出口71の直径の算出することが困難で、またその加工が難しい。またガス噴出口71の直径の経時変化により、各ガス噴出口71のバランスがくずれやすいなどの問題がある。また、シリコン基板62面内の均一性を向上させるには複数本のインジェクタ70を使用する方法があるが、ガス系を2系統必要とする上、2本のインジェクタ70間のバランスをとる必要がある。このためプロセスチューブ60とシリコン基板62の空間的マージンが小さくなるなどの問題がある。
【0017】
また、上記従来のパイロジェニック酸化法では、酸素リッチな雰囲気でのパイロジェニック酸化において、インジェクタ88先端部での水素および酸素の燃焼は酸素リッチのため、正常な燃焼状態にはならない。正常な燃焼状態は水素に対する酸素の流量比が180%付近であり、このときの水酸素炎91の温度は比較的低温での燃焼になる。これに対し酸素リッチの場合、過剰酸素により燃焼は爆発的なものとなり水酸素炎91の温度は非常に高温になる。さらに従来のインジェクタ88の構造においては水素および酸素ガスを同一のインジェクタ88から混合して噴出させる。インジェクタ88先端部を通常口径が絞ってあるためインジェクタ88先端部から噴出する水素および酸素の混合ガスの噴出速度は非常に高速になる。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板に高濃度の不純物拡散層あるいは高濃度の不純物を含有する導電膜を形成し、その後、前記不純物拡散層あるいは導電膜に覆われた領域以外の前記半導体基板表面に酸化膜を形成するに当り、前記半導体基板を酸化装置に導入する第1の工程と、導入後所定の温度とする第2の工程と、前記所定の温度でアニールを行なう第3の工程からなり、前記第1,2,3の工程を酸素と窒素との混合雰囲気中で処理する。
【0019】
また、半導体基板に高濃度の不純物拡散層あるいは高濃度の不純物を含有する導電膜を形成し、その後、前記不純物拡散層あるいは導電膜に覆われた領域以外の前記半導体基板表面に酸化膜を形成するに当り、前記半導体基板を酸化装置に導入する第1の工程と、導入後所定の温度にさせる第2の工程と、前記所定の温度でアニールを行なう第3の工程からなり、前記第1の工程を低温の酸素雰囲気中で行ない、前記第2,3の工程を非酸化性雰囲気中で処理する。
【0020】
また、半導体基板に容量絶縁膜を介してセルプレートを形成し、前記セルプレートが高濃度の不純物を含有する導電膜で形成されており、その後、前記半導体基板を酸化装置に導入する第1の工程と、導入後所定の温度にさせる第2の工程と、前記所定の温度でアニールを行なう第3の工程からなり、前記第1,2,3の工程を酸素と窒素との混合雰囲気中で処理し、ゲート酸化膜を形成する。
【0021】
また、半導体基板上に不純物を含有する導電膜を形成する工程と、前記導電膜をマスクに第1のイオン注入する工程と、前記第1のイオン注入後に前記半導体基板を酸化装置に導入する第1の工程と、導入後所定の温度にさせる第2の工程と、前記所定の温度でアニールを行なう第3の工程からなり、前記第1,2,3の工程を酸素と窒素との混合雰囲気中で処理し、酸化する工程と、その後、導電膜の側壁に絶縁膜を形成する工程と、前記導電膜と前記側壁をマスクに第2のイオン注入を行なう。
【0022】
また、半導体基板上に不純物を含有する導電膜を形成する工程と、前記導電膜をマスクに第1のイオン注入する工程と、前記第1のイオン注入後に前記半導体基板を酸化装置に導入する第1の工程と、導入後所定の温度にさせる第2の工程と、前記所定の温度でアニールを行なう第3の工程からなり、前記第1,2,3の工程を酸素と窒素との混合雰囲気中で処理し、酸化する工程と、その後、導電膜の側壁に絶縁膜を形成する工程と、前記導電膜と前記側壁をマスクに第2のイオン注入を行なう。
【0023】
また、半導体基板上に不純物を含有する導電膜を形成し、前記導電膜をマスクにイオン注入することで拡散係数の大きい第1の不純物を低濃度にドープし、拡散係数の小さい第2の不純物を高濃度にドープした後、前記半導体基板を酸化装置に導入する第1の工程と、導入後所定の温度にさせる第2の工程と、前記所定の温度でアニールを行なう第3の工程からなり、前記第1,2,3の工程を酸素と窒素との混合雰囲気中で処理する。
【0024】
上記問題点を解決するために本発明の半導体製造装置は、プロセスチューブと、前記プロセスチューブ内に半導体基板をセットした基板ボートと、前記プロセスチューブ内にプロセスガスを導入するインジェクタを備え、前記インジェクタから導入したプロセスガスが前記半導体基板平面と平行に供給される。
【0025】
また、上記問題点を解決するために本発明の半導体製造装置は、プロセスチューブと、前記プロセスチューブ内に設置されたボートと、前記プロセスチューブ内にガスを導入するガス導入口と、前記プロセスチューブ内からガスを排出する排気口と、前記ガス導入口から導入されたガスはインジェクタを通って前記プロセスチューブ内に導入され、前記インジェクタが前記プロセスチューブの長手方向に前記ボートの長さを越える長さを持つ。
【0026】
また、上記問題点を解決するために本発明の半導体装置の製造方法は、シリコン基板上に多結晶シリコン膜もしくは二酸化シリコン膜もしくは窒化シリコン膜または、これらの膜の組合せにより構成される複合膜上に水素ガスと酸素ガスの燃焼により水蒸気雰囲気中で熱酸化を行う工程と、これら熱酸化後に連続してさらに前記シリコン基板上もしくはシリコン基板上の膜上に化学気相成長法により多結晶シリコン膜、二酸化シリコン膜、窒化シリコン膜やその他の気相成長膜を形成する工程と、前記熱酸化で、水素ガス流量に対し、酸素ガス流量を前記水素ガス流量の0.56倍として燃焼させ、前記燃焼により生じた水蒸気に対し、さらに酸素を混合させ、酸化を行う。
【0027】
また、上記問題点を解決するために本発明の半導体製造装置は、水素および酸素ガスの燃焼用チャンバーと外部燃焼用ヒーターおよびインジェクタをプロセスチューブ外に有し、前記燃焼用チャンバーで発生した水蒸気を前記プロセスチューブ内に送り込み、さらに前記プロセスチューブに設置された、別の導入口から酸素を導入し、前記燃焼に用いる水素ガス流量と酸素ガス流量を自動的に決定する手段と、前記燃焼により生じた水蒸気に混合するべき酸素の量を計算する演算手段を有する。
【0028】
【作用】
上記本発明の構成によれば、熱処理シーケンスに沿って熱処理を行なうことにより、半導体基板表面にその後行なう酸化工程によって成長させる酸化膜に悪影響を及ぼすことがない。半導体基板表面に不純物拡散を防止する薄い酸化膜を成長させることによって、高濃度不純物層からの自己拡散を防止することができる。また半導体基板の直径方向に、半導体基板間にプロセスガスが流れる構造を持つガスインジェクタを設けた熱処理装置を使用することにより、半導体基板の表面および裏面の高濃度不純物層より外方拡散した不純物は、半導体基板間にとどまることができず、プロセスガスとともに運びさられる。このため自己拡散を防止することができる。もちろん、これらの方法は単独で用いても併用してもよく、併用した場合、確実な効果が期待できるものである。
【0029】
【実施例】
以下に本発明を縦型拡散炉を用い、LDD構造をもったMOSトランジスタの熱処理に適用する場合について説明する。
【0030】
LDD構造をもつMOSトランジスタを形成する場合、図1に示すようにNチャネルトランジスタとPチャネルトランジスタの場合とでプロセスが異なる。まず、P型シリコン基板101表面にはP型ウェル領域102とN型ウェル領域103が形成されている。両者のウェル領域102、103の間に分離領域104が形成されている。P型ウェル領域102にはNチャネルトランジスタが形成され、N型ウェル領域103にはPチャネルトランジスタが形成される。シリコン基板101上にゲート酸化膜105が形成され、その上にPチャネルトランジスタのゲート電極となるN+型多結晶シリコン膜106が形成されている。もう一方にはNチャネルトランジスタのゲート電極となるN+型多結晶シリコン膜107が形成されている。これらの多結晶シリコン膜106,107にはリン原子が3×1020/cm3程度ドーピングされている。次に、トランジスタのゲート電極を公知の写真食刻技術とドライエッチング技術により形成する。この後、ソース/ドレイン領域114となるリン注入によって形成されたLDD領域110はシリコン基板101表面が露出した状態になる。これはゲート酸化膜105が薄膜化してきているため、ゲート電極形成時のドライエッチング時に、たとえ酸化膜が残ることがあっても、この酸化膜はエッチング損傷を受けているため、後の洗浄工程で容易に除去されてしまう。
【0031】
次に、NチャネルトランジスタのLDD領域110を形成するために、Pチャネルトランジスタを形成する領域をフォトレジスト108でマスクする。この後、基板全面にリンイオン109を注入する。これによって、LDD領域110が形成される。この時、Nチャネルトランジスタにリン原子を2×1012/cm2だけイオン注入している(図1(a))。
【0032】
続いてゲート電極に側壁を形成する。この側壁材料にはCVDによる高温酸化膜(HTO)もしくはCVDによるTEOS酸化膜等が用いられる。側壁材料の密着性を強化し、前の工程でLDD領域110に注入されたリンイオン109を活性化する目的で、アニールおよび酸化膜の形成を行なう。この熱処理により、多結晶シリコン膜106,107のゲート電極からリン原子が外方拡散し、LDD領域110に自己拡散する。この結果、LDD領域110の導電型はN型となる。LDD領域110がN型となると、NチャネルトランジスタのLDD領域110のリンイオン注入量が増加したことになる。この結果、LDD領域110の抵抗が下がり、外方拡散によって導入されたリンイオンが拡散し、N型領域がゲート電極の下にまで達する。ゲート電極の下にまでN型領域が達すると、このNチャネルトランジスタのチャネルがショートチャネルとなる。
【0033】
一方、PチャネルトランジスタではN型のリン原子は、後の工程でソース/ドレイン領域115を形成するのに導入されるP型不純物とコンペンセートされる。このため高抵抗層もしくはソース/ドレイン領域114と側壁領域直下との位置にPN接合が形成される。この結果、実質的にソース/ドレイン領域114のP型拡散層がゲート電極下まで到達せず、オフセットゲートトランジスタとなる。
【0034】
これを防止するためには、図1(b)に示す熱処理の初期の工程、すなわちシリコン基板101を炉内へ投入する工程、温度を安定させる工程および温度ランピングおよびアニールを行なう工程を工夫することが必要である。これらの工程における熱処理シーケンスを図2に示す。
【0035】
図2において、熱処理の初期の段階において1〜5体積%の酸素を含む窒素ガスで処理する。このため、熱処理の初期において拡散源である高濃度不純物を含有する多結晶シリコン膜106,107のゲート電極表面に薄い酸化膜117が形成される。この酸化膜117が高濃度不純物が外方拡散する場合の障壁となり、不純物の外方拡散を抑制する。また、一方のLDD領域110の表面にも薄い酸化膜が形成される。この酸化膜117が外方拡散された不純物がLDD領域110に拡散層するのを防止することができる。熱処理の初期の段階ではシリコンの表面を酸化しないように反応性の低い雰囲気中で行なわれる。特にその熱処理によって基板に導入したイオンを活性化する場合に、存在する酸素によってOSF(Oxygen Induced Stacking Fault)を発生させる。このため基板表面を必要以上に酸化することを避ける必要がある。本実施例ではシリコン表面に不純物が拡散するのを防止するために薄い酸化膜を形成する必要がある。このため熱処理温度を例えば700℃程度の低温で行なうと、不純物の拡散は生じにくいが、同時に表面の酸化膜も成長しにくい。一方1000℃程度の温度では、不純物の拡散が生じ易いが同時に酸化膜も成長し易い。このように不純物の拡散量と酸化膜の膜厚とがトレードオフの関係にある。酸化膜の膜厚は必要最小限5nmにする必要がある。このため本実施例のように900℃の温度で成長させる場合には、酸素分圧が1〜5体積%程度にしている。酸素分圧が1体積%以下では酸化力が弱いので、十分な不純物の拡散を防止できない、また5体積%以上では酸化力は強いが、必要以上の酸化膜が形成され、OSF等の結晶欠陥が発生する。ここで成長温度を800℃程度にすると酸素分圧は同様の理由で1体積%〜10体積%で用いることができる。
【0036】
このアニール・酸化条件は、まずシリコン基板101を温度900℃で炉内部に投入する。投入時間は約30分である。この時、炉内には窒素ガスの流量を毎分14.55リットル、酸素を0.45リットル流している。シリコン基板101を炉内に投入し終えると、炉内の温度を安定化さすために、シリコン基板101の位置を固定した状態で温度安定化のために20分間放置する。この温度安定化によって炉内が均一に900℃に保持される。次に窒素の流量(毎分14.55リットル)はそのままにして、酸素を毎分15リットルと水素を毎分7.5リットルの流量で炉内に導入し、酸化を行なう。酸化時間は16分間である。この後、酸素と水素の供給を遮断し、窒素のみ同流量で、フローさせながらシリコン基板101の炉内からの取り出しを行なう。シリコン基板101の取り出し時間は30分である。ただし、酸素と水素をフローさせる工程で、同時に窒素をもフローしているが、窒素のフローを停止し、酸素と水素だけをフローしてもよい。ここで温度を900℃にしているのは、イオン注入後の活性化と、その後のシリコン基板表面を保護するための酸化膜の膜厚を30nm程度にすることから、その不純物の再分布や酸化膜の膜厚制御性の点から900℃で用いる。また、投入時間はシリコン基板の熱変化によるストレスができるだけ加わらず、かつ結晶欠陥を生じさせないために、約30分にしている。窒素ガスの流量毎分14.55リットルにしているのはプロセスチューブ内を短時間にパージできる量にしている。
【0037】
その際、成長する酸化膜はLDD領域110で3〜5nm程度であり、多結晶シリコン膜106,107の表面では不純物濃度にもよるが、LDD領域110における酸化膜厚の2〜3倍となる。多結晶シリコン膜に含有された不純物の濃度を上記の値で用いると、多結晶シリコン膜上には8〜15nmの膜厚の酸化膜117が成長する。この酸化膜117成長はゲート電極に含有されたリン原子が外方拡散するのと同時に起こるので、オートドーピングによるLDD領域110へのリンの拡散を防止することができる。このため後の酸化工程で形成される酸化膜の膜厚やその膜質への悪影響はない。本実施例では導入時の雰囲気を3体積%酸素を含有する窒素雰囲気で行なった。
【0038】
また、P型シリコン基板101の裏面に高濃度に不純物を含有した多結晶シリコン膜が形成されていたり、あるいはシリコン基板101の裏面が露出している場合についても、これらの熱処理時に隣合うシリコン基板101の不純物がこの多結晶シリコン膜や裏面に付着、拡散する場合にも、本実施例を用いることができる。
【0039】
これらの熱処理に続き、LDD領域110の側壁116を形成する酸化膜をCVDを用いて堆積する。この後、フォトリソグラフおよびエッチング工程を経てLDD側壁116を形成する。この後、LDD側壁116とゲート電極とをマスクとしてソース/ドレイン領域114をおのおのNチャネルトランジスタには砒素、PチャネルトランジスタはBF2をイオン注入することにより、LDD構造を持つMOSトランジスタが完成する(図1(c))。
【0040】
すなわちLDD側壁116とゲート電極とをマスクとして、Nチェネルトランジスタのソース/ドレイン領域114を砒素で、Pチャネルトランジスタのソース/ドレイン領域115を形成するのにBF2を用いる。この時、Nチャネルトランジスタに砒素を注入する際にはPチャネルトランジスタをレジストでマスクし、逆の場合にはNチャネルトランジスタをレジストでマスクする。
【0041】
このとき、NチャネルおよびPチャネルトランジスタのLDD領域110にはオートドーピングによるリン原子の拡散領域は存在しない。このため、Nチャネルトランジスタにおいては、短チャネル効果が生じることがない。また、Pチャネルトランジスタにおいては、リン原子はBF2とコンペンセーションを引き起こすことがないのでオフセットチャネルトランジスタとなることはない。
【0042】
図3はDDD構造を有するMOSトランジスタへの実施例を示したものである。
【0043】
図3において、P型シリコン基板121にP型ウェル領域122とN型ウェル領域123を形成する。P型ウェル領域122とN型ウェル領域123との境界領域に両者を電気的に分離する分離領域124を形成する。それぞれのウェル領域122,123のシリコン基板121上にゲート酸化膜125を介してゲート電極が形成される。ゲート電極は、N型ウェル領域123にPチャネルトランジスタゲートN+型多結晶シリコン膜126で、他方はNチャネルトランジスタゲートN+型多結晶シリコン膜127で形成されている。
【0044】
次にN型ウェル領域123をフォトレジスト128を用いてマスクする。その後、リンイオン129の注入を行なう。このリン注入によってDDD領域130を形成する。次に、シリコン基板121に所定のアニールおよび酸化を行なって酸化膜131を形成する。この時、DDD領域130で挟まれたゲート電極直下がチャネル領域133となる。さらにフォトレジストをマスクにイオン注入によってPウェル領域122にN+型ソース/ドレイン領域134を、Nウェル領域123にP+型ソース/ドレイン領域135を形成する。
【0045】
ここで、LDD構造の場合と同じく、DDD領域130へ低濃度のリンイオン129を注入後の工程であるアニールおよび、酸化の初期の段階において、ゲート電極に含まれた高濃度の不純物が外方拡散し、DDD領域130にまで拡散される。これを防止するため、これらの熱処理の初期の段階において、図4に示す熱処理シーケンスに従って処理する。まず温度を800℃に保持し状態で、酸素ガスを15リットル/分フローさせる。この酸素雰囲気中に、30分かけてシリコン基板121を投入する。シリコン基板121の投入が完了するとその状態で20分間放置し、炉内の温度の安定化を行う。次に、温度安定化後、酸素ガスのフローを止め、窒素ガスを毎分15リットル炉内にフローさせる。これと同時に1分間に4℃の割合で昇温を行い、25分後に900℃の温度にする。その後、窒素雰囲気の状態で30分間アニールを行う。このように熱処理の初期の段階に高濃度不純物を含有する多結晶シリコン膜126,127表面およびDDD領域表面に薄い酸化膜128を形成し、不純物の外方拡散の抑制および外方拡散した不純物のDDD領域130への拡散を抑制することができる(図3(b))。
【0046】
その後、窒素ガスを遮断し、酸素ガスを毎分15リットルと水素ガスを毎分15リットルを炉内にフローさせる。この状態で16分間放置し、シリコン基板121を酸化する。ここで重要なのは熱処理の最も初期の段階に拡散源である多結晶シリコン膜126,127の表面およびDDD領域130の表面に薄い酸化膜128を形成することである。ここに示す実施例ではシリコン基板投入は800℃の低温で投入することで、外方拡散されることも少ない。酸化後は、酸素ガスと水素ガスのフローを遮断し、窒素ガスを毎分15リットルフローさせる。この窒素雰囲気で、毎分4℃の割合で降温し、25分後に800℃にする。さらにこの状態で、30分間でシリコン基板121の取り出しを行う。
【0047】
投入時の温度を800℃にしているのは、投入時における不純物のリンの拡散を小さくし、かつ高濃度の不純物拡散層からの外方拡散する不純物量を少なくするためである。また、この時酸素雰囲気にしているのは、温度が800℃であるので酸素分圧が100体積%であっても、20分間で成長する酸化膜の膜厚は4.5nmとなり、この膜厚で不純物が拡散するのを防止できるためである。その後、昇温時に窒素ガスを流しているのは、すでに前の工程で不純物の拡散のバリアとなる酸化膜が形成されているので、酸素ガスをここではフローさせる必要がない。
【0048】
図5は2層多結晶シリコン構造を有するDRAMのゲート酸化膜形成工程における実施例を示したものである。まずP型シリコン基板141の所定領域に分離領域142となるフィールド酸化膜を形成する。次にシリコン基板141中にP型拡散領域146を形成する。さらにMOSトランジスタのソース、ドレインとなるN+型拡散領域145を形成する。次に、シリコン基板141上のP型拡散領域146の上に容量絶縁膜144とN+型多結晶シリコン膜セルプレート143を形成する(図5(a))。その後、MOSトランジスタを形成するシリコン基板141上にゲート絶縁膜148を形成する。さらにセルプレート143表面に薄い酸化膜151を形成する。ここでセルプレート143は高濃度の不純物を含有した多結晶シリコン膜で形成されている。このため選択トランジスタであるMOSトランジスタのゲート酸化膜148形成中に、セルプレート143から外方拡散した不純物はゲート酸化膜148の形成工程の初期段階に、ゲート絶縁膜直下のシリコン基板142に自己拡散する。これを防止するため、図6に示す熱処理シーケンスにより処理を行う。まず温度を900℃に保持し状態で、酸素ガスを14.55リットル/分と酸素濃度が3体積%となるように酸素ガスを0.45リットル/分でフローさせる。この雰囲気中に、30分かけてシリコン基板141を投入する。シリコン基板141の投入が完了するとその状態で20分間放置し、炉内の温度の安定化を行う。次に、温度安定化後、続けて30分間アニールを行なう。次に窒素ガスのフローを止め、酸素ガス流量を毎分15リットルとし、さらに水素ガスを毎分7.5リットルフローさせ、9分間酸化する。この後、酸素ガスと水素ガスを遮断し、代わりに窒素ガスを14.55リットル/分でフローする。これと同時に毎分4℃の割合で25分間炉の温度を昇温させ900℃から1000℃に変化させる。この状態で20分間酸化後のアニールを行なう。この後、窒素雰囲気で、毎分4℃の割合で降温し、25分後に900℃にする。さらにこの状態で、30分間でシリコン基板141の取り出しを行う。このようにして、図5(b)に示すように熱処理の初期の段階に、セルプレート143および選択トランジスタのゲート領域に薄い酸化膜151を形成し、セルプレート143からの不純物の外方拡散および外方拡散した不純物がゲート領域へ拡散されるのを抑制する。この場合も、本実施例の熱処理で、所定のゲート酸化膜148形成前に成長する酸化膜151の膜厚は5nm程度である。ゲート酸化後(図5(c))のゲート酸化膜148の膜厚および膜質に影響を及ぼすことはない。もちろん、前記、DDD構造の実施例で示した如き、低温投入による酸素中処理を行なった場合も同様の効果を得ることができる。
【0049】
この後、ゲート電極であるN+型多結晶シリコン膜150をゲート絶縁膜148上に形成する(図5(d))。
【0050】
以上は、製造方法の改良による実施例であるが、以下にこれらの問題を解決する機構を備えた製造装置を用いた場合の実施例について説明する。本実施例では一般的にオートドーピングの発生しやすい縦型電気炉を用いた場合について説明する。図7(a)は本発明の縦型電気炉における実施例を示したものである。
【0051】
図7において、シリコン基板160は基板ボート165に設置される。基板ボート165はプロセスチューブ162の縦方向(紙面の上下方向)に設置されている。シリコン基板160は基板ボート165に垂直に、すなわち紙面の左右方向に1枚ずつほぼ等間隔で基板ボート165の縦方向に設置される。プロセスチューブ162の外側にヒーター163が設けられている。さらにプロセスチューブ162内部にプロセスガス164を供給するインジェクタ161が取り付けられている。シリコン基板160間における外方拡散した不純物を効率よく、シリコン基板160間から運びさるには、シリコン基板160間に水平に流れるガス流が必要である。この水平方向のガス流を実現するために、水平方向にシリコン基板ピッチの整数倍の噴き出し口をもつインジェクタ161のガス導入管が設けられている。
【0052】
図7(b),(c),(d)は本実施例で用いたガスインジェクタ161の詳細図面を示す。インジェクタ161は片側が閉じた石英管が用いられ、インジェクタ161の長手方向に直線状にガス噴出口166が等間隔に配置されている。この間隔は基板ボート165にシリコン基板160が設置されている間隔の2倍の長さに配置してある。図7(c)は図7(b)の円領域Aの部分の長手方向に沿った断面図であり、図7(d)は図7(b)の線分B−B’での断面図である。
【0053】
インジェクタ161は外径10mm、内径8mmの外管中に、外形6mm、内径4mmの内管が設置された2重管の構造をもっている。インジェクタ161の一端から導入されたプロセスガス164は一旦、内管に導入される。ガスは内管をインジェクタ161先端部に向かって進行する間、ガス噴出口167から内管と外管の間隙に放出される。このとき、インジェクタ161の先端部と根元ではガス噴出口167から噴出するガスの流速は異なる。すなわち、先端部における流速は根元部における流速に比べ遅くなる。しかしながら、一旦、プロセスガス164は内管と外管の間隙に放出されるため、バッファの役目を果たし、インジェクタ161の長手方向に対する流速分布を抑制できる。バッファは、先端部における流速が根元部での流速に比べ遅くなるのを防止し、先端部でも根元部からの流速を同じにする。すなわちバッファによって同心管の内管から出たガスを一旦貯めておくことによって、外管から出るときには先端部と根元部との流速がほぼ等しくなる。
【0054】
外管に設けられたガス噴出口166は図7(d)に示す環状断面において、それぞれのガス噴出口166が互いに90度の角度をもつように形成されている。本実施例ではシリコン基板160は基板ボート165に4.76mm間隔で設置されているので、ガス噴出口166のピッチは9.76mmである。ここではガス噴出口166の総数は160個である。さらに図7(d)に示すように、内管に設置された直径2mmのガス噴出口167は外管に設置されたガス噴出口166より互いに135度の内角をもつ位置に設置されている。ただしガス噴出口167はガス噴出口166ほど細かい間隔で設置する必要はなく、本実施例においては5ピッチ毎に設置している。ガス噴出口166はシリコン基板160とその基板の次の基板との間の空間をガスが流れるようにする。このためには基板間の間隔と同数のガス噴射口を設けるのがよい。しかし、ガス噴出口166から噴き出されるガスは噴射と同時に広がりをもつので、本実施例では基板間の2倍の間隔で配置している。一方、内管のガス噴出口167はバッファに噴出すればよいので特に基板間の間隔とは無関係である。ただし基板間の間隔をあまり細かくすると、インジェクタの先端部と根元部でのバッファに噴き出すガスの流速が異なるので、本実施例では基板間の間隔の5〜10倍程度にして、先端部においてもある程度の流速を確保できるようにしている。
【0055】
以上の構成によって、一旦、内管と外管との間隙に放出されたプロセスガス164は外管に設置された、ガス噴出口167からプロセスチューブ162内部に放出される。このとき、ガス噴出口167から放出されるプロセスガス164の流速はインジェクタ161先端部においても根元においてもほぼ等しくなる。ガス噴出口166から放出されたプロセスガス164はシリコン基板160表面および裏面に平行にシリコン基板160間を流れ、プロセスチューブ162の他方のチューブ壁まで到達した後、排気ポートを通して排気される。このとき、シリコン基板160面に平行に流れたプロセスガス164は、シリコン基板160裏面や表面から外方拡散し、外部に放出された不純物を含むガスを流速によりシリコン基板160間から運びさるため、これらのシリコン基板160自身から外方拡散されたプロセスガスが再び、シリコン基板160の表面のシリコン露出領域に再拡散されるのを防止することができる。ここでこのようなインジェクタを持たない150mm径のプロセスチューブの長手方向のガスの流速は、酸素または窒素を15リットル/分でフローした時、0.7cm/秒である。またインジェクタを使用した場合には53cm/秒と約76倍に高速化されている。これによって外方拡散する不純物が基板上に到達せずに排気される。すなわちインジェクタを用いた場合、シリコン基板中心での流速は0.3cm/秒程度である。このためシリコン基板に6インチ径のものを用いていると、ガスが通過するまでに50秒程度かかる。このとき、プロセスガス164はシリコン基板160間に均一に流す必要がある。このため、外管に設けられたガス噴出口166は互いに135度の角度を持たせて設置されている。また、シリコン基板160を回転させることにより、さらに均一なガス流を確保することができる。
【0056】
本実施例ではインジェクタ161を直管構造としたが、実際にはプロセスガス164の余熱などの目的で、折返し構造としてもよい。また、インジェクタ161の挿入方向はプロセスチューブ162上部からでも下部からでも同様の効果を得ることができる。
【0057】
本発明の如き、高濃度不純物層もしくは高濃度不純物を含む多結晶シリコン膜をシリコン基板の表面および裏面の一部または全部に有する半導体装置に熱処理を行なう場合、これらの不純物層から外方拡散した不純物が、不用意にシリコン基板表面の露出部分に拡散されることを防止することができる。その結果として、LDDおよびDDD構造を持つMOSトランジスタにおいては短チャネルやオフセットチャネルによるしきい値電圧の変動や、電流駆動力の変動を防止することができる。また、多層多結晶シリコンを有する半導体装置においてはゲート酸化膜形成工程でのオートドーピングを防止することができ、しきい値電圧の変動を防止することができる。
【0058】
図8は本発明に示す構造を有する第2の縦型拡散炉である不純物拡散装置の断面構造を示す。シリコン基板170は基板ボート171に設置される。基板ボート171はプロセスチューブ173の縦方向(紙面の上下方向)に設置されている。シリコン基板170は基板ボート171に垂直に、すなわち紙面の左右方向に1枚ずつほぼ等間隔で基板ボート171の縦方向に設置される。基板ボート171はキャップ177上に形成されたペデスタル179に取り付けられている。シリコン基板170を積載した基板ボート171はプロセスチューブ173下部から自動機により挿入、取り出しが行われる。プロセスチューブ173の外側にヒーター174が設けられている。さらにプロセスチューブ173内部にプロセスガス175を供給するインジェクタ176が取り付けられている。ガス導入口180から導入されたプロセスガス175は、インジェクタ176内部を通りプロセスチューブ173内に導入される。導入されたプロセスガス175は所定の処理を経て、ガス排気口181から外部に排気される。またインジェクタ176はプロセスチューブ173の外では下方の位置から導入され、プロセスチューブ173の上部へ導かれ、プロセスチューブ173上部で下部に向かって折り返しプロセスチューブ173内部に導入されていく折り返し構造となっている。プロセスチューブ173は、シール178を介してキャップ177によって密閉されている。このようにしてプロセスチューブ173内部を減圧状態で動作させる。
【0059】
折り返し部分にはガス噴出口182が備えてある。インジェクタ176を折り返し構造とすることで、プロセスガスを一旦プロセスチューブ173内で予熱してから、プロセスチューブ173に導入できる。このインジェクタ176により、シリコン基板170が積載された基板ボート171の全長にわたりプロセスガス175が行き渡る。
【0060】
図9はこの不純物拡散装置に用いるインジェクタの構造を示す。図10は図9の円領域Aのインジェクタの長手方向の断面図である。また図11は図9の線分D−D’での環状断面図である。図9、図10、図11は本発明に示す、インジェクタ176の構成図である。これは上記第1の縦型拡散炉のインジェクタと同じ構造をしている。すなわちインジェクタ176の構成材料は高純度石英を用いた。インジェクタ176は折り返し構造をもつ2重管となっており、ガス導入口180から導入されたプロセスガス175は折り返し点までに予熱され、折り返し点からは2重管の内管を通り、内管に配置されたガス噴出口182より、内管と外管の間隙に放出される。このとき内管のガス噴出口182から噴出されるガスの速度は、インジェクタ176の先端部と折り返し部では異なる。しかし、一旦、内管と外管の間隙に放出することにより、このガスの速度差は大幅に緩和される。したがって、外管に設けられたガス噴出口182から噴出する場合、インジェクタ176の先端部と折り返し部でのガス噴出速度の差は非常に小さく、インジェクタ176の長手方向全域に渡り、均一なガス噴出速度が実現できる。これにより、第1の縦型拡散炉によって実現されるデバイスの外方拡散を防止できることはもちろんのこと、シリコン基板170間を流れるプロセスガス175のフローの均一性を高めることができる。一方、外管においては互いに90度の角度をもって2種類のガス噴出口182が配置されている。このガス噴出口182はインジェクタ176の長手方向に基板ボート171に配置したシリコン基板170の間隔の整数倍の間隔で直線上に配置されている。本実施例ではシリコン基板170の配置された間隔は5.84mmであるので、外管のガス噴出口182の間隔は2ピッチおきすなわち11.68mmとした。また、ガス噴出口182の直径は1mmとした。一方、内管についてはガス噴出口182の間隔は5ピッチ、すなわち29.20mmおきとし、ガス噴出口182の直径は2mmとした。ここでガス噴出口の直径はガス噴出速度によって決められる。
【0061】
インジェクタ176はプロセスチューブ173の壁面から5mm程度はなして配置されている。2つの互いに90度の角度を持ったガス噴出口182が、プロセスチューブ173の直径方向に対しそれぞれ45度±15度および135度±15度の角度で配置されている。すなわち、2つのガス噴出口182の成す角度90度の2等分線がプロセスチューブ173の直径方向に対し90度、プロセスチューブ173の壁面の接線に対し平行である。
【0062】
図12にガス噴出口182の配置によって、多結晶シリコン膜の比抵抗がどのような分布になるのかを示したものである。ここでは、拡散源としてオキシ塩化リンを窒素ガスでバブリングして得られたプロセスガスを用いて拡散を行う実施例について示す。これはシリコン基板上に形成された酸化膜の多結晶シリコン膜にプロセスガスから不純物を拡散させている。拡散源としてはオキシ塩化リン(純度99.99999%)を20℃に保ち、窒素ガスをキャリアガスとしてガス流量600cc/分で流す。これによって、窒素ガス中に120mg/分のオキシ塩化リンを含有するプロセスガスを発生させる。このプロセスガスにさらに窒素ガスと酸素ガスとの混合ガスを、流量それぞれ20リッットル/分と160cc/分でプロセスチューブ内に導入する。拡散に用いる温度は950℃とし、拡散時間は20分とした。
【0063】
図12の円はプロセスチューブ173を上面より見た図である。外側の円はプロセスチューブ173の外周であり、プロセスチューブ173の中心にシリコン基板170が設置されている。シリコン基板170の斜線部は比抵抗の高い領域を示し、他の領域は比抵抗の均一な領域である。均一性を測定した点は得られたシリコン基板170の中心から10mmずつ左右、上下とした格子状の点で、シリコン基板170内で121点以上ある。均一性はこれらの測定値から標準偏差を求め算出した。均一性は目標シート抵抗27Ω/□を中心とした比抵抗のばらつき度合を示す。図中の右側にインジェクタ176のガス噴出口182の方向を示す。ガス噴出口182の角度はガス噴出口182の中心を通る横線から時計周りの値である。ガス噴出口182にはガスの噴出方向を矢印で示してある。
【0064】
図12(a)はインジェクタ176のガス噴出口182をそれぞれプロセスチューブ173の直径方向に対し、一方のガス噴出口182が45度および、他方のガス噴出口182が135度にした時の比抵抗の分布を示す。比抵抗の高い領域がシリコン基板周囲に偏っているが、均一性は比較的よい値になっている。図12(b)はそれぞれ45度および315度(2等分線がチューブの直径方向と平行でチューブ壁に向いている)場合である。比抵抗の高い領域がシリコン基板の左半分を占めており、均一性が最も悪い。図12(c)はそれぞれ135度および225度(2等分線がチューブの直径方向と平行でチューブの中心向き)場合である。この場合、比抵抗の高い領域はシリコン基板の右側に分布している。この時の均一性も悪い。さらに図12(d)は0度および90度(2等分線がチューブの直径方向に対し45度)に向けた場合のシリコン基板面内の比抵抗の分布を示したものである。この場合は図12(a)のケースと同じような分布になるが、その均一性は図12(a)より少し悪いことが分かる。以上の事から図12(a)が最も良好である。ガス噴出口の設置すべき角度は、所定の角度より±15度以内にすることが好ましい。この範囲を越えると均一性が悪化する。
【0065】
【表1】
Figure 0003541846
【0066】
表1は図12(a)のインジェクタ176方向を用いて目標比抵抗を18Ω/□、27Ω/□、700Ω/□としたときの均一性を測定した結果である。本実施例の不純物拡散装置を用いて、シリコン基板170面内と、シリコン基板170間の均一性について測定した。シリコン基板処理枚数は基板ボート171に充填したシリコン基板170の枚数を示す。この結果、従来の構造の拡散炉ではガスの流れを一定にするため、装置の処理可能枚数以下の枚数を処理する場合、目的とするシリコン基板170以外にダミーのシリコン基板を基板ボート171に積載し、比抵抗を均一にしていたが、本実施例のごとくインジェクタ176を用いれば、ダミーのシリコン基板を用いる必要がなく、基板ボート171に充填するシリコン基板170の枚数が25枚〜100枚のいずれであっても十分な均一性を得ることができる。
【0067】
本発明のごとき互いに90度異なった方向にガス噴出口をもつ2重同軸型のインジェクタを気相での不純物拡散に用いることにより、同時に大量の半導体シリコン基板に対し、シリコン基板面内およびシリコン基板間の均一性よく不純物拡散を行なうことができる。
【0068】
上記実施例では縦型拡散炉を用いて酸化・アニールする場合のプロセスシーケンスやその構造について述べた。次に、横型拡散炉を用いてパイロジェニック酸化によって酸化膜を形成する際の実施例についてのべる。横型拡散炉による、酸素リッチな雰囲気でのパイロジェニック酸化は、インジェクタ先端部において正常な燃焼状態にはならない。過剰酸素により燃焼は爆発的なものとなり水酸素炎の温度は非常に高温になる。通常インジェクタ先端部の口径は絞ってあるためインジェクタ先端部から噴出する水素および酸素の混合ガスの噴出速度は非常に高速になる。通常インジェクタは溶融石英で構成されているので、爆発的燃焼による流速の速い高温燃焼ガスによってインジェクタ先端部の石英が溶融する。溶融した石英は高速の燃焼ガスとともに放出され、微粉末となって燃焼ガスとともに、プロセスチューブ内に導入される。このようにして形成された微粉末がデバイスを形成する際にシリコン基板に付着すると、この石英粉末を核として多結晶シリコン膜が異常成長したり、エッチング時の均一性を低下させる。また、フォトリソグラフィーによるパターン形成時においても表面の反射率が変化し、正常なパターン形成が阻害される。
【0069】
以下に本発明の横型拡散炉の実施例について図面を用いて説明する。図13は本発明の横型拡散炉の構成図である。実施例ではシリコン基板上に膜厚20nmのシリコン酸化膜を、水素ガス流量:酸素ガス流量=5:15(リットル/毎分)で、成長温度900℃のパイロジェニック酸化する場合について述べる。
【0070】
図において、プロセスチューブ201には、ボート202に設置されたシリコン基板203が導入されている。ボート202はカンチレバー204上に配置されている。プロセスチューブ201へ導入されるガス導入口205とボート202との間にガスバッフル206が設置されている。ガス導入口205には外部燃焼チャンバ207が取り付けられている。外部燃焼チャンバ207には外部燃焼用ヒーター208と、インジェクタ209が取り付けられている。インジェクタ209には酸素ガスを供給する酸素ポート210と、水素ガスと窒素ガスを供給する水素・窒素ポート211を備えている。プロセスチューブ201には外部燃焼チャンバー207からつながるガス導入口205と、酸素ガスを供給するもう1本のガス導入口212とを備えている。ガス導入口212には酸素ポート213につながっている。水素・窒素ポート211、酸素ポート210と酸素ポート213の各々に、それぞれ水素マスフローコントローラ214、酸素マスフローコントローラ215と酸素マスフローコントローラ216が接続されている。酸素マスフローコントローラ216は水素/酸素混合比演算部217によって制御されている。また酸素マスフローコントローラ215と水素マスフローコントローラ214は酸素減量演算部218によって制御されている。
【0071】
ここで水素ガスおよび酸素ガスの流量をそれぞれ毎分5リットルおよび毎分15リットルを入力部に入力すると、水素ガスと酸素ガスとによる爆発を防止するための流量比の確認が行われる。本実施例の場合、水素ガス:酸素ガス流量比は3:1である。両者のガスによって爆発する上限の水素ガス:酸素ガスの流量比=1.8:1以下であり、実施例の場合問題はない。ここで水素ガスの流量は毎分5リットルがそのまま採用され、一方酸素ガスの流量は外部燃焼を行う際に水素ガス流量:酸素ガス流量比=1.8:1を実現するために、水素ガス流量の0.56倍、すなわち毎分2.78リットルの計算が酸素流量演算部218で行われる。
【0072】
一方、これらの燃焼により生じた水蒸気に混合される酸素ガス量は水素/酸素混合比演算部217で計算される。本実施例の場合、目標の酸素ガス流量は毎分15リットルであるので水蒸気に混合させる酸素ガス量は毎分12.22リットルとなる。おのおのこれらの水素ガス流量と酸素ガス流量に従ってマスフローコントローラ214,215,216が制御される。水素マスフローコントローラ214と酸素マスフローコントローラ215,216によりその流量が決定された水素および酸素はそれぞれ、水素・窒素ポート211および酸素ポート210から外部燃焼装置に導入される。この混合ガスは外部燃焼用ヒーター208によりインジェクタ209内で800℃に加熱され、インジェクタ209先端で燃焼する。本実施例において使用したインジェクタ209を図14に示す。
【0073】
インジェクタ209はインジェクタ先端部220、酸素ガス放出端221、酸素ポート222、水素ポート223、オーリングシール225と燃焼チャンバ226とで構成されている。インジェクタ先端部220には水酸素炎227が動作時に生成される。インジェクタ209は同軸構造を持っており、酸素ガスは酸素ポート222から導入され同軸管の外管から外部燃焼チャンバ221内に放出される。一方、水素ガスは水素ポート223から同軸管の内管を通りインジェクタ先端部220へ導入される。水素ガスと酸素ガスはともにインジェクタ209内部を通過中に外部燃焼ヒーターにより十分加熱される。本実施例ではインジェクタ先端部220の噴き出し口は1個口とし、開口部の内径は3mmとしている。水素ガス流量が毎分5リットル時、燃焼ガスの噴出速度は毎分11.8mとなる。さらにインジェクタ先端部220の肉厚を3mmと十分厚くすることによりインジェクタ先端部220の熱容量を大きくしている。これによって、著しくインジェクタ先端部220の温度が上昇しないように設計されている。もちろん噴出速度を退化させるにはさらに噴き出し口の内径を大きくし、熱容量をさらに大きくするためにインジェクタ先端部220の肉厚を厚くすればよい。本実施例ではインジェクタ材料として純度の高い、高純度溶融石英を用いたが、水酸基(OH)含有量および不純物含有量の低い合成石英を用いてもよい。また、いずれにせよインジェクタ先端部220で燃焼が生ずるため長期にわたって使用した場合には、インジェクタ209は徐々に磨耗する。そのため、インジェクタ材料として高温耐性および不純物含有量の少なく、表面にCVDによって堆積した炭化珪素被膜を膜厚100μmで形成しておけば、半永久的に使用できるインジェクタ209が得られる。なお、噴出口の内径および肉厚は単純に大きくすればよいというものではなく、水酸素炎227の長さなどを考慮しなければならない。水酸素炎の長さはインジェクタ先端部220からその前方にある物体までの距離で決まり、通常15〜20cm程度である。
【0074】
このようにしてインジェクタ先端部220で水素毎分5リットルと酸素毎分2.78リットルとで燃焼させると水蒸気が発生する。この水蒸気は外部燃焼チャンバ226を通りプロセスチューブ201に導入される。なお、本実施例の方法によればインジェクタ先端部220の溶融は発生しないため、従来のように溶融した石英粉末がプロセスチューブ内に導入されることはない。
【0075】
さて、一方、目標の水素ガスと酸素ガスとの混合比を実現するためにマスフローコントローラ216により供給される酸素ガスを毎分12.22リットルがプロセスチューブ201に設置された酸素ポート213から導入さる。このようにして、プロセスチューブ201内で水蒸気とこの酸素ガスとが混合され目標の水素ガスと酸素ガスとの混合比率が達成される。これらの混合ガスはガスバッフル206により乱流になった後シリコン基板203へと搬送される。
【0076】
以上のプロセスにより、シリコン基板上に非常に清浄なゲート酸化膜であるシリコン酸化膜が形成される。このゲート酸化膜上には従来方法で示すような溶融石英の粉末は存在しない。したがって、後の工程で多結晶シリコン膜にオキシ塩化リンにより燐原子をドーピングする際の燐拡散を熱拡散で行った場合でも、多結晶シリコン膜が異常成長することがない。また、本実施例では続いて公知のフォトリソグラフィー技術においても表面ラフネスによるハレーションの問題や、ドライエッチングにおけるエッチング残りの問題などは発生しない。
【0077】
本実施例ではゲート酸化、多結晶シリコン堆積についての実施例を述べているが、CVDによる膜の堆積前の堆積膜の密着性強化のための酸化膜形成などにおいても同様の効果が期待できることはいうまでもない。またシリコン基板の酸化ではなく下地がシリコン基板上のシリコン酸化膜であっても、シリコン窒化膜であっても、さらにパターンがあっても本発明の効果に差はない。ただし、溶融石英粉末自体の付着はパターン依存性や下地材料依存性があり、そのときの粒径についても依存性がある。
【0078】
以上のように本発明によるシリコン酸化膜の形成方法および形成装置によりシリコン酸化膜を形成もしくはパイロジェニック酸化を行った場合水素、酸素の混合比にかかわらず、石英インジェクタの先端部の溶融を著しく抑制することができ、石英インジェクタの寿命を飛躍的に延命化できるとともに、溶融したインジェクタ先端部の石英が微粉末となって、シリコンシリコン基板に付着するのを防止することができ、低パーティクルおよび酸化に続いてのCVD膜堆積時における異常成長を防止することができ、加工性の低下およびデバイス性能および信頼性を低下させる事なくプロセスを行うことができる。
【0079】
【発明の効果】
本発明の如き、高濃度不純物層もしくは高濃度不純物を含む多結晶シリコン膜をシリコン基板の表面および裏面の一部または全部に有する半導体装置に熱処理を行なう場合の外方拡散を防止でき、LDDおよびDDD構造のMOSトランジスタのしきい値電圧の変動や電流駆動能力の低下を防止することができる。
【0080】
また、本発明の半導体製造装置では、同時に大量の半導体シリコン基板に対し、シリコン基板面内およびシリコン基板間の均一性よく不純物拡散を行なうことができる。
【0081】
さらに、パイロジェニック酸化を行った場合に石英インジェクタの先端部の溶融を著しく抑制することができ、石英インジェクタの寿命を飛躍的に延命化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のLDD構造の半導体装置の製造方法の工程断面図
【図2】本発明の半導体装置の製造方法の熱処理シーケンスを示す図
【図3】本発明のDDD構造の半導体装置の製造方法の工程断面図
【図4】本発明の半導体装置の製造方法の熱処理シーケンスを示す図
【図5】本発明の容量素子である半導体装置の製造方法の工程断面図
【図6】本発明の半導体装置の製造方法の熱処理シーケンスを示す図
【図7】本発明の半導体製造装置を示す図
【図8】本発明の半導体製造装置である縦型拡散炉を示す図
【図9】本発明の半導体製造装置のインジェクタを示す図
【図10】本発明の半導体製造装置のインジェクタの長手方向の断面図
【図11】本発明の半導体製造装置のインジェクタの断面図
【図12】本発明の半導体製造装置によって形成されたシリコン基板上の比抵抗分布を示す図
【図13】本発明の半導体製造装置の構成を示す図
【図14】本発明の半導体製造装置のインジェクタを示す図
【図15】従来の容量素子である半導体装置の製造方法の工程断面図
【図16】従来のLDD構造の半導体装置の製造方法の工程断面図
【図17】従来のDDD構造の半導体装置の製造方法の工程断面図
【図18】従来の半導体製造装置を示す図
【図19】従来の半導体製造装置によって形成されたシリコン基板上の比抵抗分布を示す図
【図20】従来のの半導体製造装置を示す図
【図21】従来の半導体製造装置によって形成されたシリコン基板上の比抵抗分布を示す図
【図22】従来の半導体製造装置によって形成されたシリコン基板上の比抵抗分布を示す図
【図23】従来の半導体製造装置の構成を示す図
【符号の説明】
101 シリコン基板
102,103 ウェル領域
104 分離領域
105 ゲート酸化膜
106,107 多結晶シリコン膜
108 フォトレジスト
109 リンイオン
110 LDD領域
113 チャネル領域
114,115 ソース/ドレイン領域
116 側壁
117 酸化膜

Claims (3)

  1. プロセスチューブと、前記プロセスチューブ内に設置されたボートと、前記プロセスチューブ内にガスを導入するガス導入口と、前記プロセスチューブ内からガスを排出する排気口と、前記ガス導入口から導入されたガスはインジェクタを通って前記プロセスチューブ内に導入され、前記インジェクタが前記プロセスチューブの長手方向に前記ボートの長さを越える長さを持つ同軸状の2重管でなることを特徴とする半導体製造装置。
  2. 前記インジェクタの2重管の外管には管断面の中心に対して90度の角度を持つ少なくとも2つの第1のガス噴出口と、前記2重管の内管には前記第1の噴出口のそれぞれに対して135度の角度を少なくとも持つ第2の噴出口とでなることを特徴とする請求項1記載の半導体製造装置。
  3. 前記インジェクタに導入されたガスは、前記内管から、前記内管と前記外管との間に放出され、次に前記外管より前記プロセスチューブ内に放出されることを特徴とする請求項1記載の半導体製造装置。
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