JP3540750B2 - 引き出し式食器洗浄機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食器を洗浄する食器洗浄機に関する。特に、洗浄水が洗浄槽の外に落下して、洗浄水が食器洗浄機の構成部品にかかることを防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗浄機本体から洗浄槽を引き出すことができる引き出し式食器洗浄機(以下、食器洗浄機と略す)が開発されている。この種の食器洗浄機は、洗浄槽の上部が開放され、洗浄機本体内部の上部にシール蓋が配置されている。洗浄槽は、洗浄機本体に収容される収容位置と引き出される引き出し位置との間をレール機構に案内されてスライド移動する。シール蓋は、洗浄槽の引き出しと収容の動きをシール蓋の上下動に変換するシール蓋開閉機構と連結されており、洗浄槽が引き出されるとシール蓋は上昇し、洗浄槽が収容位置に戻されるとシール蓋は降下する。また、シール蓋の下面周縁には、弾性材で製作されたシールが装着されている。このため、洗浄槽が収容位置に戻されると、降下したシール蓋のシールが洗浄槽の上部開放部の周縁に押しつけられて変形し、洗浄槽に蓋をする。洗浄槽が引き出されるとシール蓋が上昇し、シール蓋が洗浄槽のスライド移動を妨げないようにする。
食器を洗浄する場合、使用者は、洗浄槽を引き出して食器を入れ、その後洗浄槽を収容位置に戻して運転スイッチをオンにする。運転スイッチがオンになると、洗浄槽の内部に洗浄水が勢いよく噴射され、この洗浄水の噴射によって食器は洗浄される。洗浄槽の内部に洗浄水が勢いよく噴射されても、洗浄槽が収容位置に収容された状態では、洗浄槽の上部開放部はシール蓋によって蓋をされているので、洗浄水が洗浄槽の外に漏れることはない。
【0003】
洗浄槽の内部に勢いよく噴射された洗浄水は、シール蓋下面や、シールを含むシール蓋周縁や、洗浄槽の上部開放部の周縁に付着する。
食器洗浄機が通常の運転モードである洗浄後の乾燥動作を行う場合には、シール蓋下面やシール蓋周縁や洗浄槽の上部開放部周縁に付着した洗浄水は蒸発する。しかし、しばしば行われることであるが、食器洗浄機が運転を開始した後に運転を一時停止して食器を洗浄槽に追加して入れる場合や、乾燥工程を省略する運転モードで運転を行った場合には、シール蓋下面やシール蓋周縁や洗浄槽の上部開放部周縁に洗浄水が付着したままとなる。
シール蓋下面やシール蓋周縁や洗浄槽の上部開放部周縁に洗浄水が付着したまま洗浄槽を引き出すと、付着した洗浄水が洗浄槽の外に落下し、食器洗浄機の構成部品にかかる。落下した洗浄水が食器洗浄機の構成部品にかかると、これらの構成部品の腐食や、洗浄水が構成部品の内部に入り込むことによる不具合(例えば、電気的なショート)を引き起こしてしまう。
【0004】
従来の食器洗浄機では、シール蓋の下面に洗浄水が付着したまま洗浄槽が引き出された場合に、洗浄水が洗浄槽の外に落下して食器洗浄機の構成部品にかかるのを防止するために洗浄槽の後方上部にワイパーブレードを取り付けている(例えば、特開2000―166850号公報)(なお、後方とは洗浄槽の収容方向である。この反対(洗浄槽の引き出し方向)を前方とする。以下同じ)。このワイパーブレードは、ゴム等の弾性材から製作されており、洗浄槽が引き出される過程でシール蓋下面に付着した洗浄水を拭き取り、洗浄槽の中に戻す。すなわち、従来の食器洗浄機は、上記のワイパーブレードを取り付けることで、シール蓋下面に付着した洗浄水が落下して食器洗浄機の構成部品にかかることを防止していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したワイパーブレードを用いたシール蓋下面の洗浄水の拭き取り方式では、洗浄槽のスライド移動の繰り返しにともなってワイパーブレードの摩耗/変形を招く。ワイパーブレードが摩耗/変形すると、シール蓋下面に付着した洗浄水の拭き取りが不完全となり、洗浄水が洗浄槽の外に落下して食器洗浄機の構成部品にかかり、これらの腐食を引き起こしてしまう。
また、シール蓋周縁と洗浄槽の上部開放部周縁に付着した洗浄水は、洗浄槽が引き出されるときのシール蓋の上昇動作と洗浄槽のスライド動作によって洗浄槽の外に振り落とされ、食器洗浄機の構成部品にかかってしまう。この洗浄水の落下は、洗浄槽が引き出されて動き始めるときに生じるので、洗浄槽が収容位置から引き出し位置に移動する過程で洗浄水を拭き取るワイパーブレードを取り付けても防止することができない。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、洗浄水が洗浄槽の外に落下して、食器洗浄機の構成部品にかかることを防止することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用と効果】
請求項1に記載の食器洗浄機は、少なくとも前面が開放されている洗浄機本体と、上部が開放されている洗浄槽と、この洗浄槽を洗浄機本体に収容された収容位置と引き出された引き出し位置との間を案内するレール機構と、収容位置に収容された洗浄槽の上部開放部に蓋をするシール蓋を備えている。そして、シール蓋の下面に、付着した洗浄水を重力の作用で移動させる傾斜面と、移動した洗浄水を集める収集部位が形成され、その傾斜面が、後方から前方に向って下方に傾斜しており、その収集部位が、引き出し位置に引き出された洗浄槽の上部開放部の上方に位置する。
上記の食器洗浄機は、シール蓋の下面に傾斜面が形成されている。このため、食器洗浄機が運転されたことによってシール蓋の下面に付着した洗浄水は、重力の作用で後方から前方に向って移動して(伝って)、シール蓋の下面に形成された収集部位に集まる。収集部位は、引き出し位置に引き出された洗浄槽の上部開放部の上方に位置する。よって、収集部位から落下する洗浄水は洗浄槽の中に入る(戻る)。
従って、シール蓋の下面に洗浄水が付着した状態で洗浄槽を引き出しても、洗浄水が洗浄槽外の食器洗浄機の構成部品にかかるのが防止される。なお、前記の食器洗浄機の構成部品とは、機能的に作動するものに限られるものではなく、洗浄機本体等のような食器洗浄機の形状を構成する部材を含んでいる。
ここでシール蓋下面の傾斜面は、付着した洗浄水が重力の作用で移動できるように形成されていればよく、平面状であってもよい。
【0008】
請求項1に記載の食器洗浄機において、シール蓋の下面に、収集部位に洗浄水を導く複数の溝が形成されていることが好ましい(請求項2)。
シール蓋の下面に溝を形成すると、付着した洗浄水は溝に導かれて移動する。このため、シール蓋の下面に付着した洗浄水を収集部位に導く複数の溝を形成することにより、洗浄水をより効率よく収集部位に集めることができる。
【0009】
請求項1または2に記載の食器洗浄機において、シール蓋の下面に親水性処理が施されていることが好ましい(請求項3)。
シール蓋の下面に親水性処理を施しておくと、シール蓋の下面は親水性を持つようになる。シール蓋の下面が親水性を持つと、付着した洗浄水の付着力がより強くなる(より「へばりつく」ようになる)。このため、シール蓋の下面に付着した洗浄水は、落下しにくくなる。
従って、シール蓋の下面に親水性処理を施しておくと、シール蓋下面に付着した洗浄水が落下して洗浄槽の外の食器洗浄機の構成部品にかかることをより防止できる。
【0010】
請求項1から3のいずれかに記載の食器洗浄機において、前記収集部位は、前記シール蓋の周縁に設けられたシール部材よりも下方に形成されていることが好ましい(請求項4)。
【0012】
【発明の実施の形態】
上述した請求項に記載の食器洗浄機は、下記に示す形態で好適に実施することができる。
シール蓋の下面は後から前に向かって下向きに傾斜し、その前端が収集部位とされている。この収集部位は、引き出し位置に引き出された洗浄槽の上部開放部の上側であって、洗浄槽の後壁の僅かに前方に位置している。このように構成されているので、シール蓋の下面に付着した洗浄水は、シール蓋を後方から前方に伝って移動し、収集部位に集まり、収集部位に集まった洗浄水は、洗浄槽上部開放部から洗浄槽の中に落下する。
【0013】
【実施例】
本発明の食器洗浄機の実施例を、図面を参照しながら説明する。図1は、洗浄機本体20から洗浄槽22が引き出された状態を示す食器洗浄機10の斜視図である。図2は、洗浄機本体20から洗浄槽22が引き出された状態の食器洗浄機10の縦断面図である。図3は、洗浄機本体20に洗浄槽22が収容された状態の食器洗浄機10の縦断面図である。図4は、図3のIV―IV線断面図である。図5は、シール蓋36を下方から見た平面図である。図6は、図5のVI―VI線断面図である。図7は、図6のVII―VII線断面図である。図8は、図7のVIII部位の拡大図である。図9は、洗浄槽22が収容位置から引き出され始め、シール蓋36が上昇した直後の状態を洗浄槽のスライド方向に対して直角に見た食器洗浄機の断面図である。
【0014】
図1に示されているように、食器洗浄機10の洗浄機本体20は前面が開放されており、ここに洗浄槽22が引き出し可能に装着される。洗浄槽22は、その前面に扉24を備えており、上部が開放された箱状に形成されている。使用者は、この洗浄槽22の上部開放部から食器33を出し入れすることができる。洗浄槽22の扉24には、使用者が洗浄槽22に収容と引き出しの力を加える取っ手24aが形成されている。使用者によって洗浄槽22が収容位置に戻されると、洗浄槽22の動きと連動しているシール蓋開閉機構(図示していない。以降の図面においても同じ)の作動によって、洗浄機本体20の内側上部に配置されているシール蓋が降下し、洗浄槽22の上部開放部に蓋をする(図1においては、シール蓋の図示を省略している)。洗浄槽22を収容位置に戻した後に、使用者は、扉24に設けられたロックレバー27を操作して洗浄槽22を収容位置にロックする。この状態で、扉24の前面上部に設けられている操作パネル25の運転スイッチをオンにすると、食器洗浄機10の運転が開始される。食器洗浄機10の運転が開始されると、洗浄槽22に入れられた食器33に洗浄水が噴射され、この作用によって食器33は洗浄される。
【0015】
以上、食器洗浄機の動作を簡単に説明した。続いて、食器洗浄機10の構成について詳細に説明する。
洗浄槽22は、レール機構に案内されて洗浄機本体20に収容された収容位置と引き出された引き出し位置との間をスライド移動する。レール機構は、洗浄槽レール32、本体側レール34、ローラ35等から構成されている。図2〜図4に示されているように、洗浄槽22の下部両側面には、前後に伸びる洗浄槽レール32が固定されている。また、洗浄槽レール32に対応する位置の洗浄機本体20の内部両側面には、断面が台形状のサポート20aを介して本体側レール34が固定されている。図4によく示されているように、本体側レール34の断面はコの字状をなしており、ここにローラ35が回転軸39によって回転自由に装着される。ローラ35と本体側レール34との隙間に洗浄槽レール32が差し込まれる。よって、洗浄槽22は、本体側レール34に案内されて、収容位置と引き出し位置との間をスライド移動することができる。なお、図4では、洗浄槽内に収められる食器や洗浄槽の下部に装着される洗浄ポンプ等を、図面の明瞭化を目的として省略して図示している。
【0016】
図2、図3に示されているように、洗浄槽22の中には食器33が入れられる。この食器33は、洗浄槽の中に収められた食器カゴ(図2、図3においては、図面の明瞭化のために図示していない)に保持される。食器カゴは、曲げ加工された線状の部材を組み合わせて製作されており、異なる種類の食器(大皿、小皿、コップ、丼 等)を保持するために、食器の種類に対応した形状に形成されている。
洗浄槽22の下部には、洗浄ポンプ42が装着される。洗浄ポンプ42は、電気モータ42cによって回転駆動されるインペラ42aとファン42bを備えている。ファン42bは、回転して電気モータ42cに空気を吹き付け、電気モータ42cを冷却する。インペラ42aは、回転して洗浄水を吸込み、洗浄水を加圧した後に吐出する。洗浄槽22の下部には吸込み通路22bが形成されており、洗浄槽22の底部と洗浄ポンプ42のインペラ42aとを連通させている。インペラ42aとノズル44との間は吐出通路47によって連通されている。ノズル44は、吐出通路47を軸として回転自由に装着されており、その表面には複数のノズル穴44aが開口している。洗浄ポンプ42のインペラ42aが回転し、ノズル44の内部に加圧された洗浄水が供給されると、ノズル穴44aから洗浄水が勢いよく噴出する。ノズル穴44aは、真上に洗浄水を噴出するように形成されているものと、回転軸(吐出通路47)に対して回転モーメントを発生させるように、斜め方向に洗浄水を噴出するように形成されているものとがある。このため、ノズル44は、内部に洗浄水が供給されると洗浄水を噴出しながら回転する。また、洗浄槽22の底部と吸込み通路22bとの間には、網の目状に形成され、使用者が脱着可能なフィルタ46が装着されている。
【0017】
続いて、本発明に係わるシール蓋と水受け樋の構成について説明する。
図2〜図4に示されているように、洗浄機本体20の内側の上部には、シール蓋36が配置される。シール蓋36の下面の周縁には、弾性材から製作されている断面が丸形状のシール37が取り付けられている。上述したように、洗浄槽22が引き出し位置から収容位置に戻されると、洗浄槽22の動きと連動して作動するシール蓋開閉機構によって、シール蓋36は降下する(図2がシール蓋が上昇した状態、図3が降下した状態を示している)。シール蓋開閉機構の構成は、一般的な引き出し式食器洗浄機に用いられているものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0018】
図2、図3、図6に示されているように、シール蓋36の下面36aは後方から前方に向かって下方に傾斜している。また、図5、図7、図8に示されているように、シール蓋36の下面36aには、後端から前端に渡って、シール蓋36の傾斜方向と平行に複数の溝36bが形成されている。また、シール蓋36の下面36aには、界面活性剤が塗布されている。この界面活性剤の作用により、シール蓋36の下面36aは親水性を持つようになる。
図2、図4に示されているように、洗浄機本体の内側の両側面のレール機構の上方には、U字状の断面に形成された水受け樋62が、前下方に傾いて固定されている。
【0019】
以上、食器洗浄機10の構成について説明したので、続いてその動作について説明する。
食器洗浄機10を運転する場合、使用者は洗浄槽22を収容位置に戻し、ロックレバー27を操作して洗浄槽22を収容位置にロックする。この状態で操作パネル25の運転スイッチをオンにすると、食器洗浄機10の運転が開始される。食器洗浄機10の運転が開始されると、図示しない給水通路を経由して洗浄槽22の底部に洗浄水が給水される。続いて、洗浄ポンプ42の電気モータ42cに駆動されてインペラ42aが回転し、洗浄水を吸込み通路22bを通して吸込み、加圧して吐出通路47に送り込む。吐出通路47に送り込まれた洗浄水は、その下流のノズル44に流れ、複数のノズル穴44aから勢いよく噴出する。上述したように、ノズル穴44aの一部はノズル44に回転モーメントを与える方向に洗浄水を噴出するので、ノズル44は回転しながら洗浄水を噴出する。ノズル44aから勢いよく噴出された洗浄水は、食器33にまんべんなく吹き付けられ、食器33を洗浄しながら重力の作用で洗浄槽22の底部に戻り、再び洗浄ポンプ42に吸い込まれる。すなわち、洗浄水は循環しながら食器33を洗浄する。また、洗浄水は、循環の過程で洗浄槽22の底部に装着されているフィルタ46を通過し、ここで洗浄水に含まれる食器33から洗い流された残菜が捕捉される。フィルタ46に補足された残菜は、使用者が定期的に取り除く。
【0020】
洗浄槽22の内部に勢いよく噴出した洗浄水は、シール蓋36の下面36aや、シール37を含むシール蓋36の周縁や、洗浄槽22の上部開放部の周縁22aに付着する。食器洗浄機10が、通常の運転モードである洗浄後の乾燥動作を行う場合には、シール蓋36の下面等に付着した洗浄水は蒸発する。しかし、食器洗浄機10が運転を開始した後に運転を一時停止して食器33を洗浄槽22に追加して入れる場合や、乾燥工程を省略する運転モードで運転を行った場合には、洗浄水がシール蓋36の下面36aや、シール蓋36の周縁や、洗浄槽22の上部開放部の周縁22aに付着したまま洗浄槽22が引き出される。
【0021】
シール蓋36の下面36aには、界面活性剤が塗布され、親水性を持つ表面性状とされている。シール蓋36の下面36aが親水性を持つと、付着した洗浄水は水滴を形成しにくくなり、より強く下面36aに付着するようになる。このようにしてシール蓋36の下面36aに付着した洗浄水は、重力の作用で前下方に向かって傾斜しているシール蓋36の下面36aを伝って前端36cに移動する。また、シール蓋36の下面36aには、傾斜方向と平行に複数の溝36bが形成されているため、下面36aに付着した洗浄水は、溝36bに沿って流れ(導かれ)、下面36aの前端36cに移動する。この溝36bが形成されていないと、シール蓋36の下面36bに付着した洗浄水は、シール蓋36の装着誤差や食器洗浄機10の設置状態によって生じる左右方向の僅かな傾きによって、シール蓋36の左右方向にも移動してしまう。すなわち、溝36bを形成することにより、より効率的にシール蓋36の下面36aに付着した洗浄水を、下面36aの前端36cに移動させることができる。なお、シール蓋36の下面36aの前端36cが、請求項に記載の収集部位に相当する。
【0022】
図2によく示されているように、洗浄槽22が引き出し位置に引き出されている状態では、シール蓋36の下面36aの前端36cは、洗浄槽22の後壁の前側の上方に位置している。このため、シール蓋36の下面36aが傾斜していることによって、下面36aに付着しながら前方に移動して前端36cに集まった洗浄水は、図2に水滴72として示されているように、洗浄槽22の中に落下する。すなわち、食器洗浄機10の運転によってシール蓋36の下面36aに付着した洗浄水は、洗浄槽22が引き出し位置に引き出されても、そのまま落下して食器洗浄機の構成部品にかかることはなく、前端36cに移動後に洗浄槽22の中に戻る。
【0023】
食器洗浄機10の運転によって噴射された洗浄水は、シール蓋36の周縁と洗浄槽22の上部開放部の周縁22aにも付着する。この付着した洗浄水は、洗浄槽22が引き出され始めるときのシール蓋36の上昇動作と洗浄槽22のスライド動作によって振り落とされる。図9によく示されているように、シール蓋36の上昇動作と洗浄槽22のスライド動作によって振り落とされた洗浄水の水滴73は、水受け樋62で受け止められる。よって、洗浄水がレール機構にかかることが防がれる。水受け樋62に受け止められた洗浄水は、前下方に向けて傾斜している水受け樋62の前方に移動する。水受け樋62の前方に移動した洗浄水は、食器洗浄機10の外部に導いて排出してもよいし、そのまま洗浄機本体20の底部に落下させて自然に蒸発させるようにしてもよい。あるいは、水受け樋を傾斜させずに水平に配置し、受け止められた洗浄水を貯めて自然に蒸発させてもよい。
このようにして、レール機構に洗浄水がかかることが防止されるので腐食の発生が防がれ、レール機構のスムーズな動作が長期に渡って保証される。
【0024】
以上、本発明の実施例に係る食器洗浄機について説明したが、本発明は上記の実施例になんら限定されるものではなく、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【0025】
例えば、水受け樋の取り付け位置は、レール機構の上方に限られるものではなく、洗浄槽の外側側面または洗浄機本体の内側側面に設けてもよい。水受け樋を洗浄槽の外側側面または洗浄機本体の内側側面に設けることにより、シール蓋の周縁および/または洗浄槽の上部開放部の周縁から落下する洗浄水を水受け樋が受け止め、食器洗浄機の構成部品に洗浄水がかかるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の食器洗浄機の、斜視図
【図2】同、縦断面図(洗浄槽引き出し状態)
【図3】同、縦断面図(洗浄槽収容状態)
【図4】同、図3のIV―IV線断面図
【図5】同、シール蓋の平面図
【図6】同、図5のVI―VI線断面図
【図7】同、図6のVII―VII線断面図
【図8】同、図7のVIII部位の拡大図
【図9】同、断面図(洗浄槽引き出し開始時点)
【符号の説明】
10:食器洗浄機
20:洗浄機本体、20a:サポート
22:洗浄槽、22a:洗浄槽の上部開放部の周縁、22b:吸込み通路
24:扉、24a:取っ手
25:操作パネル
27:ロックレバー
32:洗浄槽レール
33:食器
34:本体側レール
35:ローラ
36:シール蓋、36a:シール蓋の下面、36b:溝、36c:シール蓋の下面の前端
37:シール
39:回転軸
42:洗浄ポンプ、42a:インペラ、42b:ファン、42c:電気モータ
44:ノズル、44a:ノズル穴
46:フィルタ
47:吐出通路
62:水受け樋
72、73:水滴
Claims (4)
- 少なくとも前面が開放されている洗浄機本体と、
上部が開放されている洗浄槽と、
この洗浄槽を洗浄機本体に収容された収容位置と引き出された引き出し位置との間を案内するレール機構と、
収容位置に収容された洗浄槽の上部開放部に蓋をするシール蓋を備える引き出し式食器洗浄機において、
シール蓋の下面に、付着した洗浄水を重力の作用で移動させる傾斜面と、移動した洗浄水を集める収集部位が形成され、
その傾斜面が、後方から前方に向って下方に傾斜しており、
その収集部位が、引き出し位置に引き出された洗浄槽の上部開放部の上方に位置することを特徴とする引き出し式食器洗浄機。 - 前記シール蓋の下面に、前記収集部位に洗浄水を導く複数の溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の引き出し式食器洗浄機。
- 前記シール蓋の下面に、親水性処理が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の引き出し式食器洗浄機。
- 前記収集部位は、前記シール蓋の周縁に設けられたシール部材よりも下がって形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の引き出し式食器洗浄機。
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