JP3540278B2 - 導電性ゴム組成物、導電性加硫ゴム、並びに導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルト - Google Patents
導電性ゴム組成物、導電性加硫ゴム、並びに導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルト Download PDFInfo
- Publication number
- JP3540278B2 JP3540278B2 JP2001009102A JP2001009102A JP3540278B2 JP 3540278 B2 JP3540278 B2 JP 3540278B2 JP 2001009102 A JP2001009102 A JP 2001009102A JP 2001009102 A JP2001009102 A JP 2001009102A JP 3540278 B2 JP3540278 B2 JP 3540278B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- conductive
- rubber
- quaternary ammonium
- ammonium salt
- roller
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
- Dry Development In Electrophotography (AREA)
- Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ゴム組成物、導電性加硫ゴム、並びに導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルトに関し、詳しくは、コピ−機、プリンター等の帯電ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ、転写ベルト等に有効に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
コピ−機、プリンター等に用いる帯電ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ、転写ベルトにおいては、適度の安定した電気抵抗値を持たせる必要がある。
従来、この種のローラやベルトに導電性を付与する方法として、ゴム中に金属酸化物の粉末やカーボンブラック等の導電性充填剤を配合した電子導電性ゴムを用いる方法と、ウレタンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム等のイオン導電性ゴムを用いる方法がある。
【0003】
上記導電性充填剤を配合した電子導電性ゴムを用いた導電性ローラまたは導電性ベルトにおいては、その電気抵抗値が印加電圧に依存し、一定の電気抵抗値を備えていない問題がある。特に、導電性充填剤としてカーボンブラックを使用した場合、カーボンブラックの添加量とゴムの体積固有抵抗との間に安定した相関関係が見られず、かつ、カーボンブラックの添加量のわずかな変化により電気抵抗値が急激に変化する領域があるため、電気抵抗値の制御が非常に困難になる。なお、導電性ゴム材料の体積固有抵抗とローラに成形後のローラ電気抵抗値とは後述するように定式で換算され、ローラ(あるいはベルト)の形状により変化する。
【0004】
また、ゴム中で導電性充填剤が均一に分散し難いことから、ローラやベルトの周方向や幅方向で電気抵抗値がばらつきを持つという問題もある。さらに、電気抵抗値の大きなばらつきが低減されたとしても、μmオーダーの微少な範囲での電気抵抗値のばらつきは依然として存在する。このことから、デジタル化、カラー化等、高画質化の技術のめざましい最近においては、電子導電性ゴムでなく、イオン導電性ゴムの方が特に好んで用いられる傾向にある。
【0005】
一方、上記イオン導電性ゴムの導電剤としては、ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル構造を含む導電性オリゴマーや導電性可塑剤(いずれもMnが10000以下)がある。しかし、上記導電剤を用いたイオン導電性ゴムでは、感光体を汚染しやすい問題がある。
【0006】
上記以外に、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)やウレタンゴムを用いる方法もあるが、ゴム材料の体積固有抵抗値は109.6Ωcm(ローラの電気抵抗値は108.2Ω)以上の抵抗値しか得られず、転写ベルトや転写ローラでもカラー用のもの等、比較的低い電気抵抗値が要求されるものには対応できない。また、NBRのみでは耐オゾン性能も良くないという問題がある。
【0007】
従って、上記した用途や、一部の帯電ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラ等にはエピクロルヒドリンゴムを単独または他の材料とブレンドして用いることが一般的であり、種々の提案がなされている。
【0008】
また、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のイオン導電性ゴムに、過塩素酸イオン又は塩化物イオンを含む第四級アンモニウム塩を配合することにより、電離度を高め、より低い電気抵抗を実現しようという試みも種々なされている。
【0009】
例えば、特開2000−17118号では、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム等の有機ゴムと、カーボンブラックと、過塩素酸第4級アンモニウム塩等の導電付与剤とを含有することを特徴とする導電性ポリマー組成物により、電気抵抗の位置ばらつきを少なくし、低硬度で圧縮永久ひずみを少なくすることが提案されている。
【0010】
さらに、特開平9−132677号では、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のゴムに、過塩素酸の第4級アンモニウム塩等を配合してなるゴム組成物により、ゴム組成物の導電性の付与及び電気抵抗値の制御を容易にすることが提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2000−17118号の導電性ポリマー組成物では、電気抵抗のばらつきを少なくし、圧縮永久ひずみを低減できるものの、感光体汚染を発生する恐れがあるという問題がある。さらに、過塩素酸第4級アンモニウム塩を使用しており、組成物中に塩素を含むため、使用後に焼却処理したり、熱やせん断で分解してリサイクルしようとすると、有毒な塩化水素ガスや、処理条件によっては、ダイオキシンを発生する恐れがあるという問題がある。
【0012】
また、特開平9−132677号のゴム組成物では、圧縮永久ひずみの低減が十分でない上に、過塩素酸第4級アンモニウム塩を使用しており、組成物中に塩素を含むため、上記同様に、使用後の焼却処理等により、有毒な塩化水素ガスや、ダイオキシンを発生する恐れがあるという問題がある。
【0013】
さらに、イオン導電性ポリマーであるエピクロルヒドリンゴムは、クロロプレンゴム(CR)や塩素化ポリエチレン(CPE)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩化ビニル(PVC)と同様、ポリマー組成中にハロゲンの一つである塩素を含んでいる。従って、導電性ポリマーにおいて、エピクロルヒドリンゴムを用いた場合にも、上記同様に、有毒な塩化水素ガスや、ダイオキシンが発生する恐れがある。
【0014】
近年、環境問題が非常に重要視され、有毒ガスやダイオキシンの発生が大きな社会問題ともなっている。このため、導電性ゴム組成物においても、焼却時等に有毒ガスやダイオキシンを発生しない材料を開発することが早急に求められており、併せてリサイクルを可能にすることも要望されている。
【0015】
また、導電性ゴム組成物において、体積固有抵抗を低減するために、過塩素酸イオン又は塩化物イオン等のハロゲン(特に塩素)を含む第四級アンモニウム塩を配合した場合や、エピクロルヒドリンゴム等のハロゲン(特に塩素)を含む導電性ポリマーを配合した場合には、その塩素等のハロゲンの部分が副反応を起こす等の理由で、圧縮永久ひずみを著しく悪化させてしまうという問題もある。
【0016】
本発明は、上記した問題に鑑みてなされたもので、焼却時等の有毒物発生を抑制し、リサイクルを可能にすると共に、体積固有抵抗が低く、圧縮永久ひずみが小さく、かつ、耐オゾン性に優れ、感光体汚染も発生しない導電性ゴム組成物及び導電性加硫ゴムを提供し、さらには、耐久性や寸法安定性に優れ、かつ、環境に優しい導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルトを提供することを課題としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの共重合比率が50〜95モル%/1〜49モル%/1〜10モル%であり、数平均分子量Mnが10000以上であるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(A)と、
アクリロニトリルブタジエンゴム(B)とを、
(A):(B)=70:30〜5:95の重量比で混合した導電性ポリマーを含み、
上記導電性ポリマー100重量部に対して、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を0.1重量部以上7.0重量部以下の割合で配合してなることを特徴とする導電性ゴム組成物を提供している。
【0018】
上記のように、本発明の導電性ゴム組成物は、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を特定割合で用いているため、導電性ポリマーとハロゲン成分とが副反応を起こすことがなく、圧縮永久ひずみを低減することができる。さらに、体積固有抵抗の低減と、耐オゾン性の向上をも両立して実現することができる。
また、上記のように、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体の相互の共重合比率を特定し、この三元共重合体とアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を特定割合で混合している。これにより、耐オゾン性能を損なわない範囲で、圧縮永久ひずみの低減を実現することができる。
さらに、エピクロルヒドリンゴム等のハロゲンを含有する導電性ポリマーを用いていないため、全体として非ハロゲン系の組成物であり、使用後に焼却等の処理を行う場合においても、塩化水素ガス等の有害物質を発生する恐れが無い。
【0019】
これにより、従来のイオン導電性ゴムでは実現できなかった、導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルトとしての良好な物性(体積固有抵抗が低く、圧縮永久ひずみが小さく、耐オゾン性に優れ、感光体汚染性がない、寸法安定性が良い)を得ることができ、かつ、環境にも優しく、実用に適したゴム製品を提供することができる。
【0020】
上記エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(A)と、アクリロニトリルブタジエンゴム(B)とを、
(A):(B)=70:30〜5:95の重量比で混合している。
上記規定範囲としているのは、アクリロニトリルブタジエンゴム(B)の重量が、上記重量比より小さくなると、圧縮永久ひずみが大きくなると共に、感光体汚染が発生するという問題があり、アクリロニトリルブタジエンゴム(B)の重量が、上記重量比より大きくなると、オゾン劣化を起こすと共に、NBR自身の体積固有抵抗が高いために、逆に体積固有抵抗が上がってしまうという問題があるためである。
また、上記重量比にて混合することにより、従来アクリロニトリルブタジエンゴム単独では実現できなかった低電気抵抗が得られ、耐オゾン性をも改善できると共に、導電性ゴムローラあるいは導電性ゴムベルトとした時に、表面に光沢が有り、しわの無い、押し出し状態が極めて良好なものを得ることができる。
【0021】
上記エチレンオキサイド(以下EOとも称す)/プロピレンオキサイド(以下POとも称す)/アリルグリシジルエーテル(以下AGEとも称す)の共重合比率が50〜95モル%/1〜49モル%/1〜10モル%とされるのは、以下の理由による。
【0022】
導電性ゴム組成物中、導電性が発揮されるのは、ポリマー中のオキソニウムイオンや金属陽イオン(例えばポリマー老化防止剤中に含まれるニッケルイオン等)、あるいはアンモニウムイオン(第4級アンモニウム塩による)が、エチレンオキサイドユニット等で安定化され、その部分の分子鎖のセグメント運動により運搬されることによる。よって、エチレンオキサイドユニットの比率が高い方が多くのイオンを安定化でき、低抵抗化が発揮できると考えられる。
しかし、エチレンオキサイドの比率を上げすぎると、エチレンオキサイドの結晶化が起こり分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、逆に体積固有抵抗が上昇する。このエチレンオキサイドによる結晶化を抑制するために、プロピレンオキサイドを共重合している。
【0023】
本発明の導電性ゴム組成物は、その体積固有抵抗値を107.0Ωcm〜109.0Ωcmの範囲とすることが好ましい。これは、体積固有抵抗値が107.0Ωcmより小さい導電性ゴム組成物をイオン導電性ゴムで実現することが困難であり、カーボン導電等電子導電性樹脂に頼るしかないためである。また、体積固有抵抗値が109.0Ωcmより大きいと、ゴムローラやゴムベルトとした際に、転写や帯電、トナー供給等の効率が低下し実用に適さなくなるという問題があるためである。
なお、体積固有抵抗値の測定条件は、23℃相対湿度55%の恒温恒湿条件下、印加電圧500Vとしている。
【0024】
上記した導電性ゴム組成物の物性(圧縮永久ひずみが小さく、耐オゾン性に優れ、感光体汚染が発生しない、寸法安定性が良い)を維持しながら、かつ上記体積固有抵抗値となるように、上記エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アリルグリシジルエーテルの三元共重合体の相互の共重合比率を設定し、かつ、この三元重合体とアクリロニトリルブタジエンゴムとの重量割合及び非ハロゲン系第4級アンモニウム塩の重量割合を規定している。
エチレンオキサイドが50モル%未満でプロピレンオキサイドが49モル%を越えると、イオンの安定化が不十分となり、体積固有抵抗値を低減させる効果が小さくなる。一方、エチレンオキサイドが95モル%を越えると共にプロピレンオキサイドが1モル%未満であると体積固有抵抗が上昇しすぎる問題がある。また、物性的にも結晶化により硬度が上昇しすぎてローラやベルトとして用いた場合に実用に適さなくなる問題がある。
【0025】
上記アリルグリシジルエーテルを共重合することによって架橋を可能とし、これによってブリードや感光体汚染を起こしにくくすると共に、ゴム弾性を持たせて物性を向上させている。また、このアリルグリシジルエーテルユニット自体が側鎖として自由体積を得ることから、さらに上記結晶化を抑制することができ、よって従来にない低抵抗化が実現できることを見出したことに基づくものである。
アリルグリシジルエーテルの共重合比率を1〜10モル%としているのは、1モル%未満ではブリードや感光体汚染の発生が起こり易くなる一方、10モル%を越えると、それ以上の結晶化の抑制効果は得られず、加硫後の架橋点の数が多くなり、却って低抵抗化が実現できず、また、引っ張り強さや疲労特性、耐屈曲性等が悪化してしまう。
【0026】
このように、アリルグリシジルエーテルを共重合することにより、エチレンオキサイドの結晶化を抑えて体積固有抵抗を下げる一方で、アリルグリシジルエーテルの共重合により炭素−炭素間の二重結合を導入して、他のゴムとの架橋を可能としている。他のゴムと共架橋することにより、ブリードや感光体汚染を防止することができる。また、さらには他のゴムとの共架橋により、分子量も大きくすることができるため、上記エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体は、かなりの分量を配合してもブリードや感光体汚染が起こりにくくなる。
【0027】
上記エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(以下EO−PO−AGE三元共重合体とも称す)の数平均分子量Mnが10000以上としているのは、ブリードや感光体汚染を防止するためである。
【0028】
上記導電性ポリマー100重量部に対して、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を0.1重量部以上7.0重量部以下の割合で配合している。
上記範囲としているのは、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩が0.1重量部より少ないと、体積固有抵抗の低減が効率良く図れないためである。また、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩が7.0重量部より多いと、感光体汚染が生じるためである。
【0029】
また、上記EO−PO−AGE三元共重合体は大量にブレンドすると感光体汚染の問題があり、感光体汚染が起こらない範囲にそのブレンド量を制限すると、低電気抵抗の実現が難しくなるが、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を配合することにより、EO−PO−AGE三元共重合体の使用量を減らしても効率良く低電気抵抗を実現することが可能になる。これにより、低電気抵抗を維持しながら、感光体汚染の問題も抑制することができる。
また、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を配合することにより、高価なEO−PO−AGE三元共重合体の使用量を減らして、低電気抵抗を実現できるのでコスト的にも有利である。
【0030】
上記非ハロゲン系第4級アンモニウム塩は、スルホン酸の第4級アンモニウム塩、又は、グルコン酸の第4級アンモニウム塩、グルコノラクトンの第4級アンモニウム塩を、特に好適に用いることができる。
上記理由は、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩の骨格構造について鋭意研究した結果、上記アンモニウム塩は、特に電離度が高いため、効率良く低電気抵抗を実現でき、かつ、圧縮永久ひずみを小さくすることができる上に、感光体汚染も抑制することができることに因る。
【0031】
非ハロゲン系第4級アンモニウム塩としては、上記2種以外にも、硫酸、硝酸等の第4級アンモニウム塩を用いることができる。このように、比較的強い酸の塩であり、塩素等のハロゲンを含まない構造を持つものが良い。
【0032】
非ハロゲン系第4級アンモニウム塩として、具体的には、以下の式1(化1)で示される構造のものが挙げられる。
【0033】
【化1】
【0034】
スルホン酸の第4級アンモニウム塩の具体例として、上記式中、Mがp−トルエンスルホン酸残基であるものが挙げられる。(商品名:KP−4728、花王(株)製)
グルコノラクトンの第4級アンモニウム塩の具体例として、上記式中、Mがグルコノラクトン残基であるものが挙げられる。(商品名:KP−4729、花王(株)製)
【0035】
上記アクリロニトリルブタジエンゴム(B)は、液状アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を含有していることが好ましい。
このように、液状NBRを含有したアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いると、ポリマー鎖が動きやすいため、加工性にも優れ、かつ、イオンの輸送効率も高くなるので体積固有抵抗も低くなる。また、押し出し性が良好であるために、しわが無くて良好な表面状態を持った導電性ローラや導電性ベルトを得ることができる。
【0036】
液状アクリロニトリルブタジエンゴムを含有したアクリロニトリルブタジエンゴムの中でも、特にアクリロニトリル含量が高いものは、上記EO−PO−AGE三元共重合体(A)との相溶性が良好で、混練後、あるいは押し出し時のゴム肌を良好にする効果が非常に高く、また、加硫物の硬度を下げる効果も大きいので、非常に好適である。
【0037】
更に、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)としては、高分子量NBRと液状NBRの混合物が、感光体汚染を防ぎ、かつゴム組成物の物性を良好に保つことができるので、特に好適に用いられる。具体的には、日本ゼオン社製、ニッポールDN223(商品名)が挙げられる。
【0038】
上記アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)としては、上記エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体と相溶性の高いジエン系ゴムが好適である。このようなゴムの例としては、中ニトリル、中高ニトリル、高ニトリル、極高ニトリルの各種NBRが挙げられる。これにより、圧縮永久ひずみや硬度等の物性の面でも非常に良好な組成物を得ることができる。
【0039】
上記導電性ゴム組成物を加硫した導電性加硫ゴムにおいて、JIS K6262に記載の加硫ゴムの永久ひずみ試験法にて、測定温度70℃、測定時間24時間で測定した圧縮永久ひずみの大きさが25%以下としている。
これは、上記圧縮永久ひずみの値が25%より大きいと、ローラになった時の寸法変化が大きくなりすぎて実用に適さないためである。特に、発泡体として用いる(スポンジにする)場合、発泡倍率や発泡形態によって幾分の差は生じるが、上記範囲であることが好ましい。
【0040】
加硫系としては、低電気抵抗と低汚染性とを両立できるので、硫黄加硫系が適している。促進剤の種類としては、ジベンゾチアジルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドを組み合わせていることが好ましい。なお、ジベンゾチアジルジスルフィドのかわりに2−メルカプトベンゾチアゾール等を用いてもよい。
特に、硫黄(S)/ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)/テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、あるいは、硫黄(S)/2−メルカプトベンゾチアゾール(M)/テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)の加硫系を用いると、効率良く共架橋でき、感光体汚染を低減できるとともに、圧縮永久ひずみを低減するため好ましい。
【0041】
さらに、好適な、加硫剤、加硫促進剤による加硫系としては、硫黄/ジベンゾチアジルジスルフィド/テトラメチルチウラムモノスルフィド=1.5/1.5/0.5、あるいは、硫黄/2−メルカプトベンゾチアゾール/テトラメチルチウラムモノスルフィド=1.5/1.5/0.5の割合で配合された加硫系が挙げられる。
これにより、加硫時間が短くなる上に、上記EO−PO−AGE三元共重合体、アクリロニトリルブタジエンゴム、及び非ハロゲン系第4級アンモニウム塩の各三成分をうまく共架橋することができ、感光体汚染の可能性を低減できる。
【0042】
加硫は、通常の方法によって行うことができ、たとえば水蒸気加圧下の加硫缶中で加硫しても、あるいは、プレス加硫によって加硫しても良く、必要に応じて二次加硫を行っても良い。
また、過酸化物加硫系により加硫することも可能であり、二次加硫と組み合わせることにより、感光体汚染を抑制することができる。
【0043】
本発明の導電性ゴム組成物は、上記EO−PO−AGE三元共重合体、アクリロニトリルブタジエンゴム、及び非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を上記規定範囲で配合し、さらに、加硫剤及び必要に応じて配合する各種配合剤(加硫促進剤、充填剤、受酸剤、老化防止剤等)を含む非ハロゲン系の組成物であり、これらを溶融混練し、加硫することにより導電性加硫ゴムを製造している。溶融混練は通常の方法によって行うことができる。例えば、オープンロール、密閉式混練機等の公知のゴム混練装置を用いて40℃〜130℃で2〜10分程度、混練りしている。
【0044】
上記導電性ゴム組成物を加硫して得られた導電性加硫ゴムより、導電性ゴムローラおよび導電性ゴムベルトを成形している。本発明の導電性加硫ゴムは低い体積固有抵抗を有し、かつ圧縮永久ひずみが小さい点で優れている上に、耐オゾン性にも優れ、感光体汚染も発生しない。また、非ハロゲン系であるので、焼却時に有毒ガスが発生しない。従って、これを用いた導電性ゴムローラにおいては、電気抵抗値が低く、上記その他の物性にも優れるため、カラー用の転写ローラや帯電ローラ、トナー供給ローラや現像ローラ等、低い電気抵抗値が要求される場合に、特に好適に用いられる。さらには、焼却時等に有毒ガスを発生しないため、熱やせん断による分解も容易となり、環境に優しい製品を提供することができる。
【0045】
上記導電性ゴムローラは、常法により作成でき、例えば、上記導電性ゴム組成物(混練物)を単軸押出機でチューブ状に予備成形し、この予備成形品を160℃、10〜60分加硫したのち、芯金を挿入し表面を研磨した後、所要寸法にカットしてローラとする等の従来公知の種々の方法を用いることができる。加硫時間は、加硫試験用レオメータ(例:キュラストメータ)により最適加硫時間を求めて決めるとよい。また、加硫温度は必要に応じて上記温度に上下して定めてもよい。
【0046】
また、上記導電性ゴムベルトは、上記導電性ゴム組成物(混練物)を、押出成形機によりベルト状に押し出して成形した後、160℃、10〜60分加硫を行って、ベルト本体を作成する等の従来公知の種々の方法を用いることができる。加硫温度は必要に応じて上記温度に上下して定めてもよい。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の第一実施形態の導電性ゴム組成物は、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの共重合比率が、90モル%/4モル%/6モル%であり、数平均分子量Mnが80000であるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(A)を25重量部と、
アクリロニトリルブタジエンゴム(B)を75重量部とを、
即ち、(A):(B)=25:75の重量比で混合した導電性ポリマーを含み、
上記導電性ポリマー100重量部に対して、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を、5重量部の割合で配合している。
【0048】
さらに、上記導電性ポリマー100重量部に対して、加硫剤(硫黄)を1.5重量部、加硫促進剤1(ジベンゾチアジルジスルフィド)を1.5重量部、加硫促進剤2(テトラメチルチウラムモノスルフィド)を0.5重量部、無機充填剤を20重量部、酸化亜鉛を5重量部、ステアリン酸を1重量部の割合で配合しており、塩素含有量は0wt%としている。
【0049】
上記非ハロゲン系第4級アンモニウム塩は、グルコノラクトンの第4級アンモニウム塩としている。また、上記アクリロニトリルブタジエンゴムは、通常のアクリロニトリルブタジエンゴム100重量部に、液状アクリロニトリルブタジエンゴムを50重量部の割合で含有させたものを、上記重量部にて用いている。
【0050】
導電性ポリマー、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩、加硫剤及び必要に応じて各種配合剤を配合した上記導電性ゴム組成物を、密閉式混練機等の公知のゴム混練装置を用いて溶融混練し、加硫している。これにより、導電性ゴムローラ等に用いられる導電性加硫ゴムを得ている。
【0051】
上記導電性加硫ゴムは、JIS K6262に記載の加硫ゴムの永久ひずみ試験法において、測定温度70℃、測定時間24時間で測定した圧縮永久ひずみが22%である。
【0052】
また、上記導電性加硫ゴムは、23℃相対湿度55%の恒温恒湿条件下、印加電圧500Vの測定条件において、体積固有抵抗値が108.2である。
【0053】
また、上記導電性ポリマー組成物を単軸押出機でチューブ状に予備成形し、この予備成形品を160℃、10〜60分加硫したのち、芯金を挿入し表面を研磨した後、所要寸法にカットして、転写用ローラとしている。図1に示すように、上記転写用の導電性ゴムローラ1は、略円筒形状であり、その内周には軸芯2が挿入されいる。
【0054】
これにより、体積固有抵抗値が低く、圧縮永久ひずみも小さいため、寸法安定性、耐久性に優れ、かつ、耐オゾン性に優れ、感光体汚染をも抑制された導電性ゴムローラを得ることができる。さらには、非ハロゲン系であるため、使用後の焼却等の場合にも汚染物質が発生しない環境に良い導電性ゴムローラを得ることができる。
【0055】
なお、本実施形態においては、転写用ローラとして上記導電性ゴム組成物より導電性ゴムローラを作成したが、該導電性ゴム組成物は、帯電ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラ等の導電性ゴムローラとして用いられることはいうまでもない。また、導電性ゴム組成物に種々の発泡剤を配合して発泡ロール等として用いてもよい。
【0056】
なお、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩として、スルホン酸の第4級アンモニウム塩等を用いてもよいことはいうまでもない。
【0057】
また、図2に示すように、導電性ゴム組成物より転写ベルト等の導電性ゴムベルト3を作成している。導電性ゴムベルト3は、2個以上のプーリー4によって張架状態とされ、回転移動する導電性ゴムベルト3の上側の直線状部分5に紙等のシート材6を担持して搬送し、また感光体上に作られたトナー像をシート材6に転写するものである。
【0058】
以下、本発明の導電性ゴム組成物の実施例1〜5及び比較例1〜7について詳述する。
【0059】
実施例1〜5および比較例1〜7について、各々下記の表1及び表2に記載の配合からなる材料(配合薬品)を密閉式混練機(DS10−40MWA−S、(株)森山製作所製)により各配合量で混練した。上記混練機からリボン取りしたゴムをローラヘッド押出機により押し出してシート状に成形し、それを金型に仕込んで、160℃で最適時間プレス加硫し、物性評価用の加硫ゴムスラブシートを作成した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
上記各表中の上段(加硫促進剤まで)の数値は重量部である。塩素含有量の単位は重量%であり、圧縮永久ひずみの単位は%である。また、略語EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイド、AGEはアリルグリシジルエーテル、EPはエピクロルヒドリンを表す。
【0063】
また、上記各表中、アクリロニトリルブタジエンゴムとは、通常のアクリロニトリルブタジエンゴム100重量部に、液状アクリロニトリルブタジエンゴムを50重量部の割合で含有させたものを、各表中の重量部で用いた。
【0064】
ハロゲン非含有第四級アンモニウム塩(非ハロゲン系第4級アンモニウム塩)1としては、上述したKP−4729(グルコノラクトン塩)を用いた。ハロゲン非含有第四級アンモニウム塩(非ハロゲン系第4級アンモニウム塩)2としては、上述したKP−4728(p−トルエンスルホン酸塩)を各々用いた。
【0065】
比較例において、ハロゲン含有第四級アンモニウム塩1として、塩素を含む以下の式2(化2)で示される構造のもの(コータミン86Pコンク、花王(株)製)を用いた。
【0066】
【化2】
【0067】
加硫促進剤1はジベンゾチアジルジスルフィド、加硫促進剤2はテトラメチルチウラムモノスルフィドとした。
【0068】
(実施例1乃至実施例5)
EO−PO−AGE三元共重合体及びアクリロニトリルブタジエンゴムを表1に示す上記規定の配合比にて用いたものに、上述した非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を、表1に示す配合比にて混合し、上記方法により導電性ゴム組成物からなる試験片を得た。
【0069】
(比較例1乃至比較例7)
比較例1ではEO−PO−AGE三元共重合体及びアクリロニトリルブタジエンゴムを表2に示す本発明に規定の配合比にて用いたが、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を配合しなかった。
比較例2ではアクリロニトリルブタジエンゴムのみに非ハロゲン系第4級アンモニウム塩1を、表2に示す配合比にて配合した。
比較例3ではEO−PO−AGE三元共重合体及びアクリロニトリルブタジエンゴムを表2に示す本発明の配合比の規定範囲外にて用いたものに非ハロゲン系第4級アンモニウム塩1を、表2に示す配合比にて配合した。
比較例4及び比較例5では、EO−PO−AGE三元共重合体及びアクリロニトリルブタジエンゴムを表2に示す本発明に規定の配合比にて用いたが、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩1(比較例4)及び非ハロゲン系第4級アンモニウム塩2(比較例5)を、各々、表2に示す本発明の規定範囲外の配合比にて配合した。
比較例6では、EO−PO−AGE三元共重合体及びアクリロニトリルブタジエンゴムを表2に示す本発明に規定の配合比にて用いたが、ハロゲン含有第四級アンモニウム塩1を表2に示す配合比にて配合した。
比較例7ではアクリロニトリルブタジエンゴム及びエピクロルヒドリンゴムを用い、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を配合しなかった。
【0070】
上記のように作成した各実施例及び各比較例の導電性ゴム組成物からなる試験片について、下記の特性測定を行った。その結果を上記表1及び表2の下段に示す。
【0071】
(体積固有抵抗値の測定)
上記の様に加硫ゴムスラブシート(130mm×130mm×2mm)を作成し、アドバンテストコーポレーション社製のデジタル超高抵抗微小電流計R-8340Aを用いて、23℃相対湿度55%の恒温恒湿条件下、印加電圧500Vとして、JIS K6911に記載の体積抵抗率(体積固有抵抗値)ρV(Ωcm)を測定した。
なお、表1、表2には、体積固有抵抗値を常用対数値で示している。
【0072】
なお、単層の均一なソリッドローラの場合には、ローラ電気抵抗R(Ω)は、次式の様に表すことができる。
R(Ω) = (ρV/2πν)log10(r1/r2)
上記式中、ρVは体積固有抵抗(Ω・cm)であり、νはロールゴム幅(cm)であり、r1はロール外径(mm)、r2はシャフト外径(mm)である。
例えば、ローラの寸法が、r1=15、r2=6、ν=21.8である場合、これらの値を代入すると、理論上、次式の様になる。
log10 R(Ω) = −2.5 + log10 ρV
よって、体積固有抵抗値(Ωcm)が107.0〜109.0(Ωcm)であれば、上記寸法のソリッドの転写ローラでは、そのローラ電気抵抗値R(Ω)が104.5〜106.5(Ω)となる。
但し、実測値では、上式中の数値2.5は1.3〜2.0となり、ローラ電気抵抗値R(Ω)は105.0〜107.7(Ω)となる。
【0073】
(圧縮永久ひずみの測定)
JIS K6262「加硫ゴムの永久ひずみ試験方法」の規定に従い、測定温度70℃、測定時間24時間で測定した。
【0074】
(感光体汚染試験)
ヒューレットパッカード社製のLaser Jet4000型レーザービームプリンターのカートリッジ(カートリッジタイプC4127X)にセットされている感光体に、実施例、比較例の各加硫ゴムスラブシートを押し付けた状態で、32.5℃、相対湿度90%の条件下で1週間保管する。その後、感光体から各加硫ゴムスラブシートを除去し、当該感光体を用いて上記プリンターにてハーフトーン印刷を行い、印刷物の汚れ有無を目視にて確認し、以下の三段階の基準にて評価した。
○:印刷物を目で見る限り汚染なし。
△:軽度の汚染(5枚以内の刷り込みにより、目で見て分からない程度にまでとれる使用上問題ない汚染)
×:重度の汚染(5枚以上刷り込んでも、印刷物を目で見て異常がわかる汚染)
【0075】
(耐オゾン性評価)
JIS K6259に記載の「加硫ゴムのオゾン劣化試験方法」の規定に従い、40℃の温度条件下で試験し、劣化状況を評価した。ただし、導電性ローラへの実用を考慮し、伸張率は5%、オゾン濃度は2ppm、観察時間は50、100、200時間後とした。ゴムスラブシートで試験を行い、以下の基準で評価した。
○:200時間後でもクラック無し。
△:50〜200時間でクラック発生。
×:50〜200時間で切断。
【0076】
表1から分かるように、実施例1〜実施例5はエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの共重合比率が90モル%/4モル%/6モル%であり、数平均分子量Mnが8万であるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(EO−PO−AGE共重合体)(A)を、アクリロニトリルブタジエンゴム(B)に対して、(A):(B)=70:30〜5:95の重量比で混合した導電性ポリマー100重量部に対して、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を0.1重量部以上7.0重量部以下で混合した本発明の導電性ゴム組成物である。
【0077】
これらの実施例1〜実施例5の導電性ゴム組成物からなる試験片は、体積固有抵抗値が108.0Ωcm〜108.8Ωcmであり、圧縮永久ひずみは14%〜24%であった。感光体汚染試験の評価は、実施例1、3、5は△であり、実施例2、4は○であった。耐オゾン性試験の評価は、実施例2のみは△であったが、その他の実施例は全て○であった。
【0078】
このように、実施例1〜実施例5は体積固有抵抗値が低く、圧縮永久ひずみが小さく、感光体汚染がほとんどなくて使用上問題なく,耐オゾン性も良好であるという優れた特性を有していることが確認できた。また、実施例1〜5は全て塩素含有率は0.0%であり、塩素を含有しないので、使用後の処理時における塩化水素、ダイオキシン発生の問題がないことも確認できた。
【0079】
さらには、実施例1〜5は、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を配合することにより、高価なEO−PO−AGE三元共重合体の使用量を減らして、低電気抵抗を実現できており、コスト的にも有利であった。
【0080】
一方、表2に示すように、比較例1は、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を配合しない点のみが実施例1の配合と異なる組成物であるが、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を配合していないために、体積固有抵抗値が実施例1の108.2Ωcmに比べて、比較例1は、109.1Ωcmと高かった。
【0081】
比較例2は、アクリロニトリルブタジエンゴムのみをポリマーとして使用し、ハロゲン非含有(非ハロゲン系)第四級アンモニウム塩1を配合した組成物であるが、耐オゾン性が不適であった。
【0082】
比較例3は本発明に規定の配合比よりもEO−PO−AGE三元共重合体をより多い割合にて配合した点のみが実施例1の配合と異なる組成物であるが、感光体汚染がひどく、スペックアウトした。また圧縮永久歪みも25%であり、あまり好ましくなかった。
【0083】
比較例4はハロゲン非含有(非ハロゲン系)第四級アンモニウム塩1を本発明に規定の量よりも多く配合した点のみが実施例1の配合と異なる組成物であるが、感光体汚染がひどく、スペックアウトした。また圧縮永久歪みも25%であり、あまり好ましくなかった。
【0084】
比較例5はハロゲン非含有(非ハロゲン系)第四級アンモニウム塩2を本発明に規定の量よりも多く配合した点のみが実施例5の配合と異なる組成物であるが、感光体汚染がひどく、スペックアウトした。
【0085】
比較例6は非ハロゲン系第4級アンモニウム塩に代えて、ハロゲン含有第四級アンモニウム塩を配合した点のみが実施例1の配合と異なる組成物であるが、ハロゲン含有第四級アンモニウム塩を配合しているため、圧縮永久ひずみが30%と大きく、スペックアウトして不適であった。またハロゲン含有第四級アンモニウム塩を配合しているので、塩素を含有するため、使用後の処理時において、塩化水素やダイオキシンが発生する問題が生じてしまう。
【0086】
比較例7は、アクリロニトリルブタジエンゴム及びエピクロルヒドリンゴムを配合し、第四級アンモニウム塩を配合しない組成物であるが、塩素を含有しているエピクロルヒドリンゴムを配合しているので、使用後の処理時において、塩化水素やダイオキシンが発生する問題が生じてしまう。
【0087】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、数平均分子量Mnが10000以上であり、特定の共重合比率からなるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体を、特定の配合割合にてアクリロニトリルブタジエンゴムにブレンドしているため、体積固有抵抗値が低く、かつ圧縮永久ひずみが小さい上に、感光体汚染も抑制され、かつ耐オゾン性の良好な導電性ゴム組成物を得ることができる。
【0088】
また、本発明によれば、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を用いるので、低い体積固有抵抗を得られる上に、圧縮永久ひずみを低減することができる。さらに、組成物全体として非ハロゲン系とすることにより、使用後に焼却等の処理を行う場合においても、塩化水素ガス等のハロゲン由来の有害物質が発生する恐れが無く、環境に良い導電性ゴム組成物とすることができる。
【0089】
このように、体積固有抵抗値が低く、耐久性や寸法安定性等の実用性に優れるため、本発明の導電性ゴム組成物を用いたゴムローラやゴムベルトは、転写ベルトや転写ローラにおいて好適に用いることができる。特に、カラー用、高画質用のもの等、低抵抗を要求されるようなプロセスでも、導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルトとして好適に使用することができ、使用後、熱やせん断による分解を試みても有毒ガスを発生しないことから、上記のような分解が容易であり、環境に優しい製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性ゴムローラの概略図である。
【図2】本発明の導電性ゴムベルトの概略図である。
【符号の説明】
1 導電性ゴムローラ
2 軸芯
3 導電性ゴムベルト
4 プーリー
5 直線状部分
6 シート材
Claims (6)
- エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの共重合比率が50〜95モル%/1〜49モル%/1〜10モル%であり、数平均分子量Mnが10000以上であるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(A)と、
アクリロニトリルブタジエンゴム(B)とを、
(A):(B)=70:30〜5:95の重量比で混合した導電性ポリマーを含み、
上記導電性ポリマー100重量部に対して、非ハロゲン系第4級アンモニウム塩を0.1重量部以上7.0重量部以下の割合で配合してなることを特徴とする導電性ゴム組成物。 - 上記非ハロゲン系第4級アンモニウム塩は、スルホン酸の第4級アンモニウム塩、又は、グルコン酸の第4級アンモニウム塩である請求項1に記載の導電性ゴム組成物。
- 上記アクリロニトリルブタジエンゴム(B)は、液状アクリロニトリルブタジエンゴムを含有している請求項1または請求項2に記載の導電性ゴム組成物。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の導電性ゴム組成物を加硫した導電性加硫ゴムにおいて、
JIS K6262に記載の加硫ゴムの永久ひずみ試験法にて、測定温度70℃、測定時間24時間で測定した圧縮永久ひずみの大きさが25%以下である導電性加硫ゴム。 - 請求項4に記載の導電性加硫ゴムを用いることを特徴とする導電性ゴムローラ。
- 請求項4に記載の導電性加硫ゴムを用いることを特徴とする導電性ゴムベルト。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001009102A JP3540278B2 (ja) | 2001-01-17 | 2001-01-17 | 導電性ゴム組成物、導電性加硫ゴム、並びに導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルト |
CNB021023255A CN100412131C (zh) | 2001-01-17 | 2002-01-16 | 导电性橡胶组合物、导电性聚合物的组合物、导电性硫化橡胶、导电性橡胶辊筒及导电性橡胶带 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001009102A JP3540278B2 (ja) | 2001-01-17 | 2001-01-17 | 導電性ゴム組成物、導電性加硫ゴム、並びに導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルト |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002212413A JP2002212413A (ja) | 2002-07-31 |
JP3540278B2 true JP3540278B2 (ja) | 2004-07-07 |
Family
ID=18876638
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001009102A Expired - Fee Related JP3540278B2 (ja) | 2001-01-17 | 2001-01-17 | 導電性ゴム組成物、導電性加硫ゴム、並びに導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルト |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3540278B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8445113B2 (en) | 2011-04-05 | 2013-05-21 | Canon Kabushiki Kaisha | Electro-conductive member for electrophotography, electrophotographic apparatus, and process cartridge |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6951688B2 (en) * | 2002-10-11 | 2005-10-04 | Canon Kabushiki Kaisha | Charging member, and image-forming apparatus and process cartridge which make use of the same |
US7641973B2 (en) * | 2002-11-27 | 2010-01-05 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Conductive member for image-forming apparatus |
JP4187754B2 (ja) | 2005-05-09 | 2008-11-26 | キヤノン化成株式会社 | 転写ローラ及び画像形成装置 |
JP4498985B2 (ja) * | 2005-06-20 | 2010-07-07 | 住友ゴム工業株式会社 | 導電性ゴムローラ |
JP4886864B2 (ja) * | 2010-02-02 | 2012-02-29 | 住友ゴム工業株式会社 | 非ハロゲン系導電性ローラ |
JP6563632B2 (ja) * | 2014-10-10 | 2019-08-21 | Toyo Tire株式会社 | 半導電性ベルト用ゴム組成物及び半導電性ベルト |
JP2017049488A (ja) * | 2015-09-03 | 2017-03-09 | 富士ゼロックス株式会社 | 弾性部材、帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 |
-
2001
- 2001-01-17 JP JP2001009102A patent/JP3540278B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8445113B2 (en) | 2011-04-05 | 2013-05-21 | Canon Kabushiki Kaisha | Electro-conductive member for electrophotography, electrophotographic apparatus, and process cartridge |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002212413A (ja) | 2002-07-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100851697B1 (ko) | 도전성 롤러용 폴리머 조성물,폴리머 조성물,및 도전성롤러,도전성 벨트 | |
US7220796B2 (en) | Conductive elastomer composition, conductive member using conductive elastomer composition, image-forming apparatus having conductive member | |
JP4096230B2 (ja) | 導電性ローラ、及び導電性ベルト | |
US7727135B2 (en) | Conductive rubber roller | |
CN110066430B (zh) | 橡胶组合物、橡胶辊及图像形成装置 | |
JP3540278B2 (ja) | 導電性ゴム組成物、導電性加硫ゴム、並びに導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルト | |
JP3600517B2 (ja) | 導電性ゴム組成物並びに該導電性ゴム組成物を用いた導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルト | |
JP5500574B2 (ja) | 導電性ゴム部材 | |
JP3874251B2 (ja) | 導電性ローラ用ポリマー組成物及び該組成物を用いた導電性ローラ | |
JP3679365B2 (ja) | 導電性ローラまたは導電性ベルト、およびその製造方法 | |
JP2002226711A (ja) | 導電性ポリマー組成物、導電性加硫ゴム、並びに導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルト | |
JP5091379B2 (ja) | 導電性ロール | |
JP2006105374A (ja) | 導電性ロール | |
CN100412131C (zh) | 导电性橡胶组合物、导电性聚合物的组合物、导电性硫化橡胶、导电性橡胶辊筒及导电性橡胶带 | |
JP2002105305A (ja) | 導電性ゴム組成物並びに該導電性ゴム組成物を用いた導電性ゴムローラ及び導電性ゴムベルト | |
JP4060656B2 (ja) | 導電性ローラ用ポリマー組成物及び該組成物を用いた導電性ローラ | |
JP4402332B2 (ja) | 導電性ロール | |
WO2019130950A1 (ja) | 半導電性ゴム組成物 | |
JP2003270885A (ja) | 導電性ロール | |
CN113201174B (zh) | 橡胶组合物、导电性辊及图像形成装置 | |
JP2005200541A (ja) | エラストマー組成物、該エラストマー組成物からなる部材、画像形成装置用導電性部材及び画像形成装置 | |
JP4605572B2 (ja) | 導電性ローラ用ポリマー組成物及び該組成物を用いた導電性ローラ | |
JP2019116566A (ja) | 半導電性ゴム組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040217 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040323 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040324 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 3540278 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090402 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090402 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100402 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110402 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120402 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130402 Year of fee payment: 9 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130402 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140402 Year of fee payment: 10 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |