JP3540075B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍サイクルによる空気調和機に関し、特に弗化炭素水素系冷媒群のうち少なくとも1種または2種以上を混合した混合冷媒、つまり代替冷媒を用い、圧縮機、凝縮器、膨張器、および蒸発器を循環路にて環状に接続した空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷凍サイクルに使用する圧縮機、特にメンテナンスフリーな密閉型圧縮機は特開昭62−298680号公報等で知られているように、密閉容器の内部に前記混合冷媒とオイルを封入し、冷媒を吸入して圧縮する圧縮機構と、前記オイルを各機械摺動部に供給するオイルポンプと、これらを駆動軸によって駆動する電動機とが配されている。
【0003】
一方、冷媒には特定フロンR12や指定フロンR22を用いて冷凍サイクルを構成していた。特定フロンはそれ以前の冷媒である二酸化硫黄やメチルクロライドと比べて、化学的に安定で可燃性、毒性がなく、理想的な冷媒として広く利用され、長年に亘って使用されてきた。
【0004】
ところが近時では、特定フロンが分子中に塩素原子を含み、これがオゾン層の破壊を引き起こすことが確かめられ、代替フロンの開発および使用が図られている。
【0005】
実用性の高い代替冷媒として、塩素を含まないHFC(Hydro Fluoro Carbon)と云った冷媒(これを本明細書では非塩素系冷媒という)が挙げられている「油空圧技術’94.6.」(日本工業出版発行)。
【0006】
ところで、このような非塩素系冷媒は塩素を含まないので従来の特定フロンのような潤滑性は望めない。このため、密閉容器に封入するオイルは、非塩素系冷媒と相溶性のあるものが特に要求される。密閉容器に封入されているオイルは、圧縮機構から密閉容器内に吐出されてくる非塩素系冷媒によって攪拌されるし、電動機の回転子によっても攪拌される。このとき、オイルは非塩素系冷媒と相溶性があることによって、密閉容器内に吐出される冷媒によく随伴し各機械摺動部の細部にまでよく及ぶので、オイルポンプによるオイルの供給と相まって、潤滑性能が向上する。このようなオイルには特開平6−235570号公報等で知られるようにエステル系と云った合成油が用いられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような条件にて密閉型圧縮機を運転し冷凍サイクルを実行していると、膨張器を構成する細管の入口部と出口部とに異物が付着して比較的早期に冷媒の流れを阻害し、冷凍機能が低下する。
【0008】
これにつき、種々に実験し検討した結果、非塩素系冷媒と相溶性のあるオイルとしてエステル油を用いているのが原因していることが判明した。冷媒の循環系の密閉時に水分が侵入していたり、密閉後に何らかの理由で水分が発生するようなことがあると、エステル油はこの水分により加水分解されて脂肪酸を生成する。脂肪酸は循環系各部を腐食させたり、金属石鹸を形成してスラッジを生じる。また、エステル油は安定性が低く、温度が上がると異物が溶解して混入し、温度が下がると異物が析出しやすい。細管の入口部では冷媒の流速が落ちて析出した異物が付着しやすく詰まりやすい。細管の出口部では温度が下がるので異物が析出しやすく付着しやすい。
【0009】
上記特開平6−235570号公報は、冷媒の循環路の途中であって、細管の冷媒の流れ方向における上流側直前にフィルタを設けて異物を捕捉し、細管での冷媒の流れ不良や詰まりを解消した冷凍サイクルを開示している。
【0010】
しかし、フィルタ構造は複雑で高価につくし、前記細管の出口部で温度低下のために析出して直ぐに付着するようなことには対応できない。また、ヒートポンプ運転される冷凍サイクルでは冷暖房の切換えにより冷媒の流れ方向が逆になる場合、前記フィルタは細管の両側に設ける必要があるので、さらに高価なものになる。
【0011】
本発明はこのような問題を解消することを課題とし、冷房運転と暖房運転の切換えの有無にかかわらず、簡単かつ安価な構造で細管の出口部や入口部に異物が付着する問題を抑制できる信頼性の高い空気調和機を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、非塩素系冷媒を用い、圧縮機、凝縮器、膨張器、および蒸発器を循環路にて環状に接続した空気調和機であって、非塩素系冷媒に相溶性のある合成油を用いてその冷凍サイクルが冷房および暖房運転の双方に切換え運転されるとき、冷媒中に混入し、また析出する異物が、細管の入口部や出口部に付着しやすい。
【0013】
しかし、請求項1,2の発明は、膨張器を構成する細管がこれとの循環路側の接続部内に突出させたものであり、冷媒がどの方向に流れても細管の入口部や出口部となる端部が、細管および循環路に外嵌めした細管端部よりも大径で広く冷媒を淀ませる接続部内に突出して、この突出部の外面と循環路側の広い接続部の内面との間に冷媒の流れを淀ませて、突出部の外面および接続部の内面とこれらの間により多くの異物を付着させてしかも、この付着する異物は細管および接続部での冷媒の主流には影響しないし、細管が閉塞されるようなことをより長期に防止するので、冷凍サイクルの冷凍機能はより長期に安定し信頼性のさらに高いものとなる。しかも、細管と循環路との各接続部の接続状態の改良だけで対応できるので構造が簡単で安価なものとなる。
【0014】
また、さらに接続部の内面を粗面処理したものであり、粗面とされた広い接続部の内面に積極的に異物を付着させて冷媒内の異物を除去し、かつこの付着異物が冷媒の流れに影響がないようにするので、細管の出入り口部の内面に異物が付着しにくくなり、冷凍サイクルの信頼性の高いものとなるし、いずれも構造が特に複雑にならず安価である。
請求項2の発明は特に、さらに膨張器を構成する細管と循環路との接続部の内径を細管よりも大きくし、接続部の内面を親油処理したものであり、親油性とされた広い接続部の内面に積極的に油性異物を付着させて冷媒内から除去し、かつこの付着異物が冷媒の流れに影響がないようにするので、細管の出入り口部の内面に異物が付着しにくくなり、冷凍サイクルの信頼性の高いものとなるし、いずれも構造が特に複雑にならず安価である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の幾つかの実施の形態について、幾つかの参考例とともに図1〜図15を参照しながら説明する。
【0016】
本実施の形態は参考例とともに非塩素系冷媒を用い、図1に示すように圧縮機1、凝縮器2、膨張器3、および蒸発器4を循環路5にて環状に接続した冷凍サイクルであって、非塩素系冷媒に相溶性のある合成油を用いてその冷凍サイクルが冷房運転と暖房運転とに切換え運転されるかどうかにかかわらず、冷媒中に混在する異物が、細管の入口部や出口部に付着することがある。循環路5の途中には冷房運転と暖房運転との切換えのための四方弁20が設けられ、冷房運転時には、冷媒を図1に示す凝縮器2、膨張器3、および蒸発器4へと矢印で示す方向に流すのに対し、ヒートポンプ時は冷媒を逆に流す。これによって、冷房運転時の凝縮器2が蒸発器として機能し、蒸発器4が凝縮器として機能する。
【0017】
このような空気調和機の冷凍サイクルにおいて、非塩素系冷媒とこれに相溶性のある合成油として例えばエステル系のオイルを用い、冷房運転または暖房運転するとき、冷媒中に混入し、また析出する異物が、膨張器3を構成する細管3aの入口部や出口部となる端部、特に内面に付着しやすい。そして、このような異物の付着によって冷媒の流れが早期に阻害され、あるいは詰まりを起こして、冷凍サイクル機能が早期に低下することがときとしてある。
【0018】
(参考例1)
しかし、本参考例では、図2に示すように膨張器3を構成する細管3aと循環路5との接続部3bに、循環路5側から細管3a側に内径が漸減するスロープ部6を設けてある。このスロープ部6は、冷房運転と暖房運転とで冷媒がどの方向に流れても細管3aの出入り口部となる各端部に広い空間6aを形成していて、この部分の内面に異物が付着しても、この付着した異物は接続部3bの空間の広さによって、細管3aおよび接続部3bでの冷媒の主流には影響しないし、細管3aが閉塞されるようなことを防止するので、冷凍サイクルの冷凍機能は長期に安定し信頼性の高いものとなる。しかも、細管3aと循環路5との各接続部3bの管路形状の改良だけで対応できるので構造が簡単で安価なものとなる。
【0019】
さらに、接続部3bは循環路5または細管3aの一方、または双方に一体形成したものとすることができる。しかし、本参考例では、接続部3bを別体としてあり、循環路5と細管3aと接続部3bとの繋ぎ合わせ構造としたので、接続部3bのスロープ形状を単独部品の加工にて容易に達成することができる。また、本参考例ではこの単独の接続部3bを循環路5および細管3aの端部に外嵌めして繋いでいるので、この接続構造がそのままスロープ部6を持った接続部3bによる空間をより大きくしていて、前記異物の付着による冷媒の流れへの影響をさらに小さくすることができ、冷凍サイクルの機能の長期安定に有利である。
【0020】
なお、接続部3bは循環路5および細管3aとともに、従来通りの銅製としてよく、相互はろう接によって繋げばよい。しかし、他の材料および接合構造を採用することもできる。
【0021】
(参考例2)
参考例2は、参考例1の構造を踏襲しており、同じ部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図3に示すように、膨張器3を構成する細管3aがこれとの循環路5側の接続部3b内に突出させてある。冷媒がどの方向に流れても細管3aの入口部や出口部となる端部がこれよりも大径で広い空間6aを持った接続部3b内に突出して、この突出端部3cの外面と循環路5側の広い接続部3bの内面との間の部分6bに冷媒の流れを淀ませて、これら突出端部3cの外面および接続部3bの内面と、これらの間の部分6bにより多くの異物を付着させてしかも、この付着する異物は細管3aおよび接続部3bでの冷媒の主流には影響しないし、細管3aが閉塞されるようなことをより長期に防止するので、冷凍サイクルの冷凍機能は参考例1よりも長期に安定し信頼性のさらに高いものとなる。しかも、細管3aと循環路5との各接続部3bの接続状態の改良だけで対応できるので構造が簡単で安価なものとなる。
【0022】
なお、参考例2は、参考例1を踏襲したものとする必要はなく、径の大きい循環路5の端部を閉じた端板から径の小さい細管3aの端部を循環路5内に突出するだけでも、前記した本参考例特有の作用効果を発揮し、冷凍サイクルの機能の長期安定を幾分図ることができる。
【0023】
(参考例3)
参考例3は、参考例1、参考例2を踏襲したものであり、これらと同一の部材に同一符号を付しながら、本実施の形態に特有の点につき説明すると、図4に示すように、細管3aの接続部3bへの突出端部3cを、これの軸線に対して斜めに開口したものである。
【0024】
これによって、細管3aの循環路5側の広い空間6a側への開口面積が大きく、細管3aの出入り口部となる突出端部3cの開口部に異物が引っ掛かり難くなるので、構造が複雑になるようなことなく細管3aの出入り口部での異物の付着防止機能がさらに向上する。本参考例も、参考例2同様に、必ずしも参考例1を踏襲する必要はない。
【0025】
(参考例4)
参考例4は、参考例1、参考例2を踏襲したものであり、これらと同一の部材に同一符号を付しながら、本参考例に特有の点につき説明すると、図5に示すように、細管3aの突出端部3cの周壁に孔3dを設けている。
【0026】
これにより、細管3aと循環路5側の広い接続部3bとの間の冷媒の出入りが前記孔3dによって円滑化され、しかも、この円滑な冷媒の流れは異物が細管3aの出入り口部となる突出端部3cに付着するのを邪魔するので、孔3dを設けるだけの簡単な付加条件にて、細管3aの出入り口部での異物の付着防止機能をさらに向上することができる。本参考例も、参考例2、3同様に、必ずしも参考例1を踏襲する必要はない。
【0027】
(参考例5)
参考例5は、参考例1〜4の冷凍サイクルを踏襲したもので、図6に示すように、膨張器3を構成する細管が内径の異なる複数のもの、例えば3本の細管3e〜3gを並列に接続してある。このようなものでは、冷媒が流れ難い内径の小さな細管3gから順次に詰まるので、細管3e〜3gの全体が早期に詰まるのを防止して、正常な機能を長期に維持することができ、しかも、細管3e〜3gの本数が多くなるだけであるし、細管3e〜3gの本数が多くなるのに比例して細管3e〜3gの必要径がそれぞれ小さくなるので、構造が特に複雑にならない。
【0028】
複数の細管3e〜3gと循環路との接続部3bに、循環路5と細管3e〜3gとの間に循環路5側から各細管3e〜3g側に内径が漸増して各細管3e〜3gと一括接続されたスロープ部7を設けてある。このスロープ部7による循環路5よりも大きな空間7aを利用して複数の細管3e〜3gを一括接続することができるし、前記大きな空間7aにより異物の付着による冷媒の流れへの影響および詰まりの発生をさらに防止できる。
【0029】
しかも、各細管3e〜3gをスロープ部7内に突出させたことにより、各細管3e〜3gの各突出端3cの外面とスロープ部7の内面、およびこれらの間の部分7bが前記参考 例2特有の作用効果を発揮することができる。
【0030】
これに限らず、参考例3、4の少なくとも一方の構成を併せ採用してもよく、採用した構成に特有の作用効果を発揮することができる。
【0031】
(参考例6)
参考例6は、参考例5の径の違いに代えて図7に示すように長さの違う複数の細管3h〜3jを並列に接続したものであり、冷媒が流れ難い長い細管3hから順次に詰まるので、細管3h〜3jの全体が早期に詰まるのを防止して、正常な機能を長期に維持することができ、しかも、細管3h〜3jの本数が多くなるだけであるし、細管3h〜3jの本数が多くなるのに比例して細管3h〜3jの必要径がそれぞれ小さくなるので、構造が特に複雑にならない。
【0032】
なお、参考例5と参考例6との双方の構成を合成した実施の形態とすることもでき、この場合、冷媒の流れの難易を種類分けしやすいし、長い細管を一番細く形成することにより冷媒の流れ難さをより増大し、また、逆に短い細管を一番太く形成することにより冷媒の流れやすさをより増大することができる。
【0033】
(参考例7)
参考例7は、参考例5、6に代わるもので、図8の(a)に示すように膨張器3を構成する複数の細管3k、3m、3nがそれぞれに開閉弁8〜10を持って接続したものであり、使用する細管3k、3m、3nを開閉弁8〜10の開閉により1つとし、使用している細管3k、3m、3nの異物が詰まっての閉塞度によって使用する細管3k、3m、3nを順次切換えるようにしたから、細管3k、3m、3nの全体が早期に詰まるようなことを防止することができ、前記切換えの制御は冷凍サイクル自体の動作制御用の制御手段、例えば図8の(b)に示すようなマイクロコンピュータM.Cを利用するなどして、構造が特に複雑にならないで正常な機能を長期に維持することができる。マイクロコンピュータM.Cはこのような制御のために、自動または手動での詰まり信号を受ける都度、開閉弁8〜9の開いているものを順次に変えて、使用する細管3k、3m、3nを切換えるようにする。なお、マイクロコンピュータM.Cは前記自動切換えのために、使用している各細管3k、3m、3nでの冷媒の通過抵抗等を冷媒の異常昇圧を内部機能により判別して自動的に詰まり信号が得られるようにすることもできる。
【0034】
(参考例8)
参考例8は、参考例5〜7に代わるもので、参考例1の場合同様にヒートポンプ切換え弁を有した冷凍サイクルに属し、図9に示すように、膨張器3を構成する細管がそれぞれに一方向弁11、12を持った細管3p、3qを、互いの一方向弁11、12の向きが逆になるように並列接続した2種類のものからなるものであり、冷房運転と暖房運転とで冷媒の流れの方向が逆になるのに対応して、前記一方向弁11、12の流れ方向の制限により冷房運転時と、暖房運転時とで冷媒が通る細管を使い分けるので、細管3p、3qに異物が付着し詰まるようなことを半減することができ、その分冷凍サイクルの信頼性の高いものとなるし、構造が複雑にならず安価なものである。
【0035】
なお、一方向弁11を持った細管と、一方向弁12を持った細管とを、太さや長さの違う複数のもので構成して、順次に閉塞していくようにもできる。
【0036】
(参考例9)
参考例9は、参考例1の冷凍サイクルを踏襲したものであり、図10に示すように、膨張器3を構成する複数の細管、例えば2本の細管3r、3sをそれらの間に設けた接続管13を介して直列に接続し、接続管13の内径を細管3r、3sの内径よりも大きくしたものであり、内径が大きく冷媒を淀ませて異物を積極的に付着させて冷媒から除去し、細管への付着を防止するとともに、この異物が冷媒の流れに影響しないようにする接続管によって細管を分断して、細管の実際長さを必要長さの数分の1に短くし、細管に異物がより詰まり難くすることができ、冷凍サイクルの信頼性の高いものとなるし、いずれも構造が特に複雑にならず安価である。
【0037】
本参考例にて、参考例2〜8に特有の構造を採用し、それらに特有の作用効果を発揮するようにもできる。
【0038】
(参考例10)
参考例10は、参考例1の冷凍サイクルを踏襲したものであり、図11に示すように、膨張器3を構成する細管3aの内面を平滑処理したものであり、細管3a内面の平滑処理面21の平滑性によって異物が引っ掛かったり付着したりし難くくなり、冷凍サイクルの信頼性の高いものとなるし、構造が特に複雑にならず安価である。平滑処理はブラスト加工等の磨き処理、メッキ、あるいは既に知られた他の方法で行うことができる。
【0039】
(参考例11)
参考例11は、参考例1の冷凍サイクルを踏襲したものであり、図12に示すように、膨張器3を構成する細管3aの内面を離型処理したものであり、細管3a内面の離型層22の離型性によって異物が付着し難くくなり、冷凍サイクルの信頼性の高いものとなるし、構造が特に複雑にならず安価である。
【0040】
離型処理は例えば弗素コーティング処理等がある。しかし、既に知られる他の方法で行うことができる。
【0041】
(参考例12)
参考例12は、参考例1の冷凍サイクルを踏襲したものであり、図13に示すように、膨張器3を構成する細管3aの内面を親水処理したものであり、細管3a内面の親水処理層23の親水性によって油性異物が付着し難くくなり、冷凍サイクルの信頼性の高いものとなるし、構造が特に複雑にならず安価である。親水処理は例えば窒素や硫黄原子が多く含む組成とするのが好適で、窒化処理が適当である。しかし、既に知られる他の方法で行うことができる。
【0042】
(実施の形態1)
実施の形態1は、参考例1の構造を踏襲したものであり、図14に示すように、膨張器3を構成する細管3aと循環路5との接続部3bの内径を細管3aよりも大きくし、接続部3bの内面を粗面処理したものであり、粗面24とされた広い空間6aを有するスロープ部6の内面に積極的に異物を付着させて冷媒内の異物を除去し、かつこの付着異物が冷媒の流れに影響がないようにするので、細管3aの出入り口部の内面に異物が付着しにくくなり、冷凍サイクルの信頼性の高いものとなるし、構造が特に複雑にならず安価である。粗面処理は化学エッチングやブラスト処理等によって行える。しかし、これらに限られることはなく、既に知られる他の方法を採用することもできる。本実施の形態は参考例2〜6、12のものにも適用できる。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1に代わるものであり、図15に示すように膨張器3の接続部3bの内面を親油処理した親油処理層25を設けたものであり、親油性とされた広い空間6bを有するスロープ部6の内面に積極的に油性の異物を付着させて、細管3a等の内面に異物が付着しにくくなるので、冷凍サイクルの信頼性の高いものとなるし、構造が特に複雑にならず安価である。親油処理はアルコール系樹脂等の膜コーティングによって行える。
【0044】
【発明の効果】
請求項1または2の発明は、以上に説明したように、冷房運転と暖房運転とで冷媒がどの方向に流れても細管の入口部や出口部となる端部に異物が付着して冷媒の流れを阻害したり、細管が閉塞されたりするのを防止して、冷凍サイクルの冷凍機能を長期に安定させ信頼性の高いものとすることができるし、構造が特に複雑にならないので安価でもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態および参考例1のヒートポンプタイプである冷凍サイクルの模式図である。
【図2】図1の循環路と膨張器との接続構造の参考例1を示す断面図である。
【図3】本発明の参考例2を示す循環路と膨張器との接続構造を示す断面図である。
【図4】本発明の参考例3を示す循環路と膨張器との接続構造を示す断面図である。
【図5】本発明の参考例4を示す循環路と膨張器との接続構造を示す断面図である。
【図6】本発明の参考例5を示す循環路と膨張器との接続構造を示す断面図である。
【図7】本発明の参考例6を示す循環路と膨張器との接続構造を示す断面図である。
【図8】本発明の参考例7を示す循環路と膨張器との接続構造を示す断面図、および制御手段のブロック図である。
【図9】本発明の参考例8を示す循環路と膨張器との接続構造を示す断面図である。
【図10】本発明の参考例9を示す循環路と膨張器との接続構造を示す断面図である。
【図11】本発明の参考例10を示す膨張器を構成する細管の一部を示す断面図である。
【図12】本発明の参考例11を示す膨張器を構成する細管の一部を示す断面図である。
【図13】本発明の参考例12を示す膨張器を構成する細管の一部を示す断面図である。
【図14】本発明の実施の形態1を示す循環路と膨張器との接続構造を示す断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2を示す循環路と膨張器との接続構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 圧縮機
2 凝縮器
3 膨張器
3a、3e〜3k、3m、3n、3p〜3s 細管
3b 接続部
3c 突出端部
3d 孔
4 蒸発器
5 循環路
6、7 スロープ部
6a、7a 空間
8、9、10 開閉弁
11、12 一方向弁
13 接続管
20 四方弁
21 平滑処理面
22 離型層
23 親水処理層
24 粗面
25 親油処理層
Claims (2)
- 塩素を含まないHFC冷媒を用い、圧縮機、凝縮器、膨張器、および蒸発器を循環路にて環状に接続した空気調和機であって、
膨張器を構成する細管を循環路側との、細管の端部よりも大径で広く冷媒を淀ませる接続部内に、突出させ、前記接続部は細管および循環路に外嵌めし、内面を粗面処理したことを特徴とする空気調和機。 - 塩素を含まないHFC冷媒を用い、圧縮機、凝縮器、膨張器、および蒸発器を循環路にて環状に接続した空気調和機であって、
膨張器を構成する細管を循環路側との、細管の端部よりも大径で広く冷媒を淀ませる接続部内に、突出させ、前記接続部は細管および循環路に外嵌めし、内面を親油処理したことを特徴とする空気調和機。
Priority Applications (8)
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---|---|---|---|
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