JP3539943B2 - 電圧−電流変換回路及びそれを使用したota - Google Patents

電圧−電流変換回路及びそれを使用したota Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MOSFETで構成し、リニアな動作範囲を電源範囲に拡大したRail−to−Railの電圧−電流変換回路及びそれを使用したOTA(Operational Transconductance Amplifier)に関し、特に同一極性の2個のMOSFETを使用することによりトランスコンダクタンス(transconductance)が一定である電圧−電流変換回路及びそれを使用したOTAに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の低消費電力化およびデバイスの耐圧の低下などの背景から、MOSFETで構成されるアナログ集積回路の低電源電圧化が重要な課題になっている。
【0003】
将来広く使用されると予想される集積回路としてアナログ・デジタル混載回路がある。デジタル回路においては、消費電力が回路に供給される電源電圧の2乗に比例するため、低電源電圧化は消費電力を低減する効果的なアプローチとなる。そのためデジタル回路の電源電圧は年々低下傾向にある。デジタル回路の低電源電圧化に伴い、同一チップ上に実現されるMOSFETで構成されるアナログ回路部分の電源電圧の低下も要望されている。また、信号処理の複雑化に伴い集積回路の動作速度が高速化しており、高速動作を可能にするために半導体プロセスは一層微細となり、そのためデバイスの耐圧が低下する。従って、高速なプロセスを用いた集積回路では低電源電圧化が必須の課題となっている。
【0004】
一般に、アナログ集積回路において電源電圧の低下は、リニアな入力信号範囲の減少の問題を引き起こす。この問題を解決するための回路構成として、リニアな入力信号範囲を正負の電源電圧まで拡大したRail−to−Rail回路が各種提案されている。
【0005】
MOSFETで構成されるアナログ回路の基本的な回路要素として、入力電圧に対応した出力電流を生成する電圧−電流変換回路と、それを使用したOTA(Operational Transconductance Amplifier)がある。図1はOTAの回路記号を示す図である。このOTA回路1は、2つの入力電圧Vin1とVin2の差に対応した出力電流Ioutを出力する。このような電圧−電流変換回路及びOTAにおいても、Rail−to−Rail回路が提案されている。
【0006】
図2は、M.F.Li, U.Dasgupta, X.W.Zhang,, Y.C.Lim, ”A low−Voltage CMOS OTA with Rail−to−Rail Differential Input Range”,IEEE Trans. Circuit and Systems 1, vol. 47, pp.1−8, Jan. 2000に開示されたRail−to−RailのOTA回路の構成を示す図である。図示のように、このOTA回路は、pチャンネルMOSFETで構成したpOTA回路1pとnチャンネルMOSFETで構成したnOTA回路1nの2つの回路を並列に用いてリニアな入力範囲を拡大している。しかし、このようなpチャンネルMOSFETとnチャンネルMOSFETを使用する回路では、リニアな特性を得るには異なる極性のトランジスタのトランスコンダクタンスの一致が問題になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
高井,渡辺,高木,藤井,”トランスコンダクタンスパラメータに依存しないOTAを用いたRail−to−Rail OTAの構成法”電学会電子回路研資,ECT−00−94,pp.73−78,Oct.2000は、2個の入力回路と同様の回路を用いて制御電圧を発生することにより2個の入力回路のトランスコンダクタンスを一定にし、更に2個の入力回路の動作の切り替わり点の動作の影響を、電流選択回路を用いて低減する構成を開示している。
【0008】
また、佐藤,高木,藤井,”同一チャンネルMOSFETのみをVCCSとして用いたRail−to−Rail OTA”電学会電子回路研資,ECT−00−95,pp.79−84,Oct.2000は、同一極性のMOSFETの対とMOSFETを組み合わせたOTAを開示している。このOTAは同一極性のMOSFETで構成されるので、トランスコンダクタンスの整合は問題にならない。
【0009】
本発明は、Rail−to−RailのOTAをより一層簡単な構成で実現できる同一極性のMOSFETで構成する電圧−電流変換回路の実現を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
図3は、本発明の電圧−電流変換回路の基本構成を示す図である。図示のように、本発明の電圧−電流変換回路は、常に所定のドレイン−ソース間電圧が印加され、入力電圧に対して第1電流信号ID1を生成する第1MOSFET11と、第1MOSFET11と同一極性を有し、常に前記所定のドレイン−ソース間電圧が印加され、入力電圧に対して第1電流信号ID1と相補的な第2の電流信号ID2を生成する第2MOSFET12と、第1電流信号ID1と第2電流信号ID2の差を演算する差電流演算回路13とを備えることを特徴とする。
【0011】
第1MOSFET11と第2MOSFET12は、同一極性であればnチャンネルでもpチャンネルでもよい。
【0012】
また、第1MOSFET11と第2MOSFET12が相補的な電流信号を生じるように動作させる方法は各種の変形例があり得る。図4は、nチャンネルの第1MOSFET11とnチャンネルの第2MOSFET12のソースを接地し、ドレインに所定の電圧を印加する場合の基本構成と、2つのMOSFETの電圧−電流特性を示す図である。
【0013】
この基本構成では、図4の(A)に示すように、第1MOSFET11と第2MOSFET12のソースをそれぞれ接地し、ドレインにそれぞれ電圧VDSを印加する。第1MOSFET11のゲートに入力電圧Vinを印加する。ゲート電圧生成回路14は、電圧2VT+VDS−Vinを生成して第2MOSFET12のゲートに印加する。ここで、VTはMOSFETのしきい値電圧である。
【0014】
まず、第1MOSFET11の入力電圧Vinに対する電流ID1の変化特性を説明する。MOSFETの動作は、ドレイン・ソース間電圧VDSとゲート・ソース間電圧VGSの関係により、図4の(B)に示すように、以下の3領域に分けることができ、それぞれの領域におけるドレイン電流IDは以下の通りである。
【0015】
・遮断領域:VGS≦VT
ID=0
・飽和領域:VT<VGS,VGS−VT<VDS
ID=K(VGS−VT)
・非飽和領域:VT<VGS,VDS<VGS−VT
ID=2K(VGS−VT−VDS/2)VDS
従って、ゲート・ソース間電圧を入力電圧Vinとすると、非飽和領域のみ入力電圧とドレイン電流の間に線形(リニア)な関係が成り立つ。
【0016】
図4の(A)の第2MOSFET12は、ゲートに電圧2VT+VDS−Vinが印加されるので、その入力電圧Vinに対するドレイン電流ID2は図4の(B)のようになる。すなわち、入力電圧がVT+VDS/2の位置を対称軸として、ドレイン電流ID2がドレイン電流ID1に対して対称な電流特性になる。ここでは、このような第1MOSFET11と第2MOSFET12の関係を相補的に動作すると呼び、ID1とID2は相補的な電流であると呼ぶことにする。
【0017】
従って、第1MOSFET11のドレイン電流ID1から第2MOSFET12のドレイン電流ID2を減算した差電流IOは、各領域において、以下のようになる。
【0018】
・領域A:Vin≦VT
第1MOSFET11:遮断領域、ID1=0
第2MOSFET12:非飽和領域
ID2=−2K・VDS・Vin+K(VDS+2VT)VDS
IO=2K・VDS・Vin−K(VDS+2VT)VDS
・領域B:VT<Vin<VT+VDS
第1MOSFET11:飽和領域、ID1=K(Vin−VT)
第2MOSFET12:飽和領域
ID2=K(2VT+VDS−Vin−VT)
IO=2K・VDS・Vin−K(VDS+2VT)VDS
・領域C:VT+VDS≦Vin
第1MOSFET11:非飽和領域
ID1=2K・VDS・Vin−K(VDS+2VT)VDS
第2MOSFET12:遮断領域、ID2=0
IO=2K・VDS・Vin−K(VDS+2VT)VDS
以上の通り、図4の(A)に示す2個のnチャンネルMOSFETを用いた回路で、接地電位から電源電圧までリニアな入力信号範囲を有する電圧−電流変換回路が実現できる。
【0019】
図4の(A)の構成では、第1MOSFET11と第2MOSFET12のソースをそれぞれ接地し、ドレインにそれぞれ電圧VDSを印加して、第1MOSFET11と第2MOSFET12が相補的な電流信号を生じるように動作させた。しかし、第1MOSFET11と第2MOSFET12が相補的な電流信号を生じるように動作させる方法は各種の変形例があり得る。図5は、そのような変形例の例である。
【0020】
図5の(A)の構成では、第1MOSFET11のソースを接地し、ドレインに電圧VDSを印加する点は図4の構成と同じであるが、第2MOSFET12のソースに入力電圧Vinを印加し、ゲートにVDS+2VTに等しい定電圧VGを印加し、ドレインにドレイン電圧生成回路15の発生するVDS+Vinの電圧を印加する。従って、ドレイン・ソース間電圧はVDSである。この場合、第1MOSFET11と第2MOSFET12の動作は入力電圧Vinに応じて以下の3領域に分けることができる。
【0021】
・領域A:Vin≦VT
第1MOSFET11:遮断領域、ID1=0
第2MOSFET12:非飽和領域
ID2=−2K(Vin−VG/2)(VG−2VT)
IO=2K・Vin(VG−2VT)−K・VG(VG−2VT)
・領域B:VT<Vin<VG−VT
第1MOSFET11:飽和領域、ID1=K(Vin−VT)
第2MOSFET12:飽和領域
ID2=K(VG−Vin−VT)
IO=2K・Vin(VG−2VT)−K・VG(VG−2VT)
・領域C:VG−VT≦Vin
第1MOSFET11:非飽和領域
ID1=2K(Vin−VG)(VG−2VT)
第2MOSFET12:遮断領域、ID2=0
IO=2K・Vin(VG−2VT)−K・VG(VG−2VT)
以上の通り、図5の(A)に示す2個のnチャンネルMOSFETを用いた回路で、接地電位から電源電圧までリニアな入力信号範囲を有する電圧−電流変換回路が実現できる。
【0022】
図5の(A)の構成では、第2MOSFET12のゲートに印加する一定電圧VGは定電圧源により生成されるが、例えば、図5の(B)に示すように、ゲートバイアス生成回路16により電圧VDSからVDS+2VTを発生して、第2MOSFET12のゲートに印加することも可能である。
【0023】
以上、nチャンネルのMOSFETを使用する場合を例として説明したが、pチャンネルMOSFETで構成することも可能である。
【0024】
以上説明したように、本発明では、同一の極性の2個のMOSFETを、それぞれを流れる電流がある入力電圧値に対して対称に変化するように、すなわち、相補的に動作するように設定すれば、2個のMOSFETを流れる電流の差は、電源電圧範囲の入力電圧に対してリニアな関係になることに着目したものである。従って、2個のMOSFETが相補的に動作すればよく、動作条件は各種設定可能である。
【0025】
【発明の実施の形態】
図6は、本発明の第1実施例の電流−電圧変換回路の回路構成を示す図であり、この実施例は図4に示した基本構成をnチャンネルMOSFETで実現する実施例である。図6に示すように、第1実施例の電流−電圧変換回路は、図4の第1MOSFETに相当するnチャンネルMOSFET(電界効果トランジスタ)M1と、第2MOSFETに相当するnチャンネルMOSFET(電界効果トランジスタ)M2と、電圧VDSと電圧2VTから電圧2VT+VDSを発生する回路21と、電圧2VT+VDSと入力電圧Vinから電圧2VT+VDS−Vinを発生する回路22と、電圧VDSからトランジスタに印加する電圧VDSを発生する回路23と、M1のドレイン電位をVDSに固定してその電流ID1を取り出す回路24と、M2のドレイン電位をVDSに固定してその電流ID2を取り出す回路25と、ID1とID2の差電流IOを演算する差演算回路26とを有する。従って、回路21と回路22で構成される部分が、図4のゲート電圧生成回路14に相当する。
【0026】
回路21に供給される電圧2VTは、nチャンネルMOSFETが有するしきい値電圧の2倍の電圧であり、例えば、 和田,高木,藤井,”遮断領域がない等価MOSFET”電学会電子回路研資,ECT−99−113,pp.19−24,Oct.1999に開示された回路が使用できる。その回路の例を、図7に示す。
【0027】
回路21と回路22は、M2のゲートに印加する電圧2VT+VDS−Vinを発生する。図4の(B)に示すように、M2にドレイン電流が流れる入力電圧Vinの範囲は、
0≦Vin<VDS+VT ・・・(1)
である。また、M2のゲート電位VG2は2VT+VDS−Vinであるから、VG2は、
VT<VG2<VDS+2VT ・・・(2)
の範囲で変化する。従って、回路21と回路22の入力信号範囲は式(1)で示される範囲より広い必要がある。回路21は、2個のpチャンネルMOSFETで構成されたレベルシフト回路であり、2VTをVDSだけ正方向にシフトして2VT+VDSを発生している。回路22も2個のnチャンネルMOSFETで構成されたレベルシフト回路であり、2VT+VDSを負方向にVinだけシフトして2VT+VDS−Vinを発生している。回路21と回路22では、構成するすべてのMOSFETが飽和領域と弱反転領域と呼ばれる領域で動作すると仮定している。飽和領域と弱反転領域ではMOSFETのドレイン電流はそのゲート・ソース間電圧のみに依存するため、同じドレイン電流を流している2個のMOSFETのゲート・ソース間電圧は等しくなることを利用している。
【0028】
回路21のゲートにVDSが印加されるpチャンネルMOSFETが常に飽和領域もしくは弱反転領域で動作するためには、電源電圧VDDは、
2VT−|VTP|+2VDS≦VDD ・・・(3)
を満たさなければならない。ここで、VTPはpチャンネルMOSFETのしきい値電圧である。更に、Vinがゲートに印加されるnチャンネルMOSFETが飽和領域もしくは弱反転領域で動作するためには、
VDS≦VT ・・・(4)
でなければならない。
【0029】
回路26はカレントミラー回路であり、M1を流れる電流ID1とM2を流れる電流ID2との差電流IOを生成する。差電流IOは次の式で表される。
【0030】
Figure 0003539943
である。
【0031】
次に、第1実施例の電圧−電流変換回路を使用したOTAを説明する。OTAは、図1に示すように、2つの入力電圧Vin1とVin2の差に対応した電流Ioutを出力する回路であり、この関係は変換係数をgmとすると、次のように表される。
【0032】
Figure 0003539943
従って、第1実施例の電圧−電流変換回路を2個用いることによりOTAが実現できる。
【0033】
図8は、第1実施例の電圧−電流変換回路を2個用いたOTAの概略構成を示す図である。第1実施例の電圧−電流変換回路は入力信号範囲が電源電圧の範囲であり、従ってこのOTAもRail−to−Railの入力信号範囲を有する。図示のように、このOTAは、第1の電圧−電流変換回路31と、第2の電圧−電流変換回路32と、図7に示したような2VTを発生する2VT発生回路20と、図6に示した2VT+VDS発生回路21と、第1の電圧−電流変換回路31に供給する2VT+VDS−Vin1を発生する2VT+VDS−Vin1発生回路22Aと、第2の電圧−電流変換回路32に供給する2VT+VDS−Vin1を発生する2VT+VDS−Vin1発生回路22Bと、第1と第2の電圧−電流変換回路31,32の出力電流IO1とIO2の差電流Ioutを演算する差出力演算回路33とを有する。
【0034】
第1の電圧−電流変換回路31の第1MOSFET及び第2MOSFETを流れる電流をID11及びID12、第2の電圧−電流変換回路32の第1MOSFET及び第2MOSFETを流れる電流をID21及びID22とすると、上記の式(6)は、次のように表される。
【0035】
Figure 0003539943
そこで、差出力演算回路33では、ID11とID22の和及びID12とID21の和を演算した上で、その差を演算している。
【0036】
図9は、このOTAの回路構成を示す図である。なお、この図では2VT発生回路20及び2VT+VDS発生回路は省いている。
【0037】
第1実施例では、M1及びM2としてnチャンネルMOSFETを使用したが、pチャンネルMOSFETを使用することも可能である。第2実施例はその例である。
【0038】
図10は、第2実施例の電圧−電流変換回路の回路構成を示す図である。図10に示すように、第2実施例の電圧−電流変換回路は、VDD−2|VTP|−VDSを発生する回路41と、2VDD−2|VTP|−VDS−Vinを発生する回路42と、ゲートに印加するVDSを発生する回路43と、pチャンネルの第1MOSFET(MP1)のドレイン電流をVDD−VDSに固定してそのドレイン電流を取り出す回路44と、pチャンネルの第2MOSFET(MP2)のドレイン電流をVDD−VDSに固定してそのドレイン電流を取り出す回路45とを有する。
【0039】
次に、図5の(A)の基本構成を、nチャンネルMOSFETを使用して実現した第3実施例を説明する。
【0040】
図11は、第3実施例の電圧−電流変換回路の概略構成を示す図である。図示のように、第3実施例の電圧−電流変換回路は、図5の第1MOSFETに相当するM1と、第2MOSFETに相当するM2と、M2のゲートに印加するゲート電圧VGを供給する電源VGと、2VT発生回路51と、固定電圧VGと2VTから電圧VG−2VTを発生する回路52と、VG−2VTと入力電圧Vinから電圧VG−2VT+Vinを発生する回路53と、M1のドレイン電位をVDSに固定してその電流ID1を取り出すM1ドレインバイアス回路54と、M2のドレイン電位をVDSに固定してその電流ID2を取り出すM2ドレインバイアス回路55と、M2のソースに入力電圧Vinを印加するためのM2ソースバイアス回路56と、ID1とID2の差電流IOを演算する差演算回路57とを有する。従って、回路51から53で構成される部分が、図5の(A)のドレイン電圧生成回路15に相当する。
【0041】
図12は、第3実施例の電圧−電流変換回路の回路構成を示す図である。電源VGと2VT発生回路51は省いている。図示のように、各回路部分の構成は第1実施例の回路部分の構成に類似しており、動作も類似している。また、電圧−電流変換回路全体の動作原理については図5を参照して説明したものと同じであるので、ここではこれ以上の詳しい説明は省略する。
【0042】
図13は、第3実施例の電圧−電流変換回路の入力電圧Vinと出力電流IOの関係をシミュレーションした結果を示す。図示のように、電源電圧範囲の入力電圧Vinに対してほぼリニアな出力電流IOが得られることが分かる。
【0043】
第3実施例の電圧−電流変換回路では、M2ソースバイアス回路56を介してM2のソースに入力電圧Vinを印加したが、入力電圧Vinを直接ソースに印加することも可能である。図14は、この変形例の回路構成を示す図である。この変形例では、M2のソース端子に直接入力電圧Vinを印加すると共に、この入力電圧Vinの入力端子に電流が流れるのを避けるために、ドレイン側から引き出したID2’をカレントミラー回路で折り返して接地側に引き抜いてID2’’を発生し、その上で電流ID2を発生している。他の部分は第3実施例と同じである。
【0044】
第3実施例の電圧−電流変換回路も、電源電圧範囲の入力信号に対してリニアな出力特性を示すので、この回路を2個使用してRail−to−RailのOTA回路が実現できる。図15は、第3実施例の電圧−電流変換回路を2個使用したOTA回路の概略構成を示す図である。図示のように、このOTA回路は、VG−2VTとVDD−VG+2VTを発生する回路61と、M11回路62と、M12回路63と、M21回路64と、M22回路65と、差出力演算回路66とを有する。回路61は図12の回路52の部分に相当し、M11回路62とM21回路64は図12のM1と回路54の部分に相当し、M12回路63とM22回路65は図12のM2と回路55と回路56で構成される部分又は図14のM2と回路55’とカレントミラー回路で構成される部分に相当する。なお、図12の回路53は、M12回路63,M22回路65に含まれる。このOTAでも、差出力演算回路66は、ID11とID22の和及びID12とID21の和を演算した上で、その差を演算している。
【0045】
このOTAの具体的な回路構成を図16から図19に示す。図16はVG−2VTとVDD−VG+2VTを発生する回路61を、図17の(A)と(B)はM11回路62とM21回路64を、図18はM12回路63を、図19はM22回路65を示す。
【0046】
図20は、第4実施例の電圧−電流変換回路の回路構成を示す図である。第4実施例は、図5の(A)の基本構成を、pチャンネルMOSFETを使用して実現したものである。図示のように、第4実施例の電圧−電流変換回路は、第1MOSFETに相当するMP1と、第2MOSFETに相当するMP2と、固定電圧VGと|2VTP|から電圧VG+|2VTP|を発生する回路72と、電圧Vin−VDD+2|VTP|+VGを発生する回路73と、M1のドレイン電位をVG+2|VTP|に固定してその電流IDP1を取り出すM1ドレインバイアス回路74と、M2のドレイン電位をVin−VDD+2|VTP|+VGに固定してその電流ID2を取り出すM2ドレインバイアス回路75と、M2のソースに入力電圧Vinを印加するためのM2ソースバイアス回路76とを有する。差電流演算回路などは省略している。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、同一極性のMOSFETを使用しているのでトランスコンダクタンスパラメータのばらつきが少なく、トランスコンダクタンスをほぼ一定に設定できるRail−to−Railの電圧−電流変換回路及びOTAを、簡単な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】OTAの一般的な回路図記号を示す図である。
【図2】pチャンネルMOSFETとnチャンネルMOSFETによるOTA回路を組み合わせたRail−to−RailのOTAの従来例を示す図である。
【図3】本発明の電圧−電流変換回路の基本構成を示す図である。
【図4】本発明の電圧−電流変換回路を実現する第1の態様の基本回路構成とその動作原理を説明する図である。
【図5】本発明の電圧−電流変換回路を実現する第2の態様の基本回路構成とその変形例を示す図である。
【図6】本発明の第1の態様の電圧−電流変換回路をnチャンネルMOSFETで実現した第1実施例の電圧−電流変換回路の回路構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例で使用する2VT発生回路の回路構成例を示す図である。
【図8】第1実施例の電圧−電流変換回路を2個使用したOTAの概略構成を示す図である。
【図9】図9のOTAの回路構成を示す図である。
【図10】本発明の第1の態様の電圧−電流変換回路をpチャンネルMOSFETで実現した第2実施例の電圧−電流変換回路の回路構成を示す図である。
【図11】本発明の第2の態様の電圧−電流変換回路をnチャンネルMOSFETで実現した第3実施例の電圧−電流変換回路の概略構成を示す図である。
【図12】第3実施例の電圧−電流変換回路の回路構成を示す図である。
【図13】第3実施例の電圧−電流変換回路の入力電圧−出力電流の特性を示す図である。
【図14】第3実施例の変形例の電圧−電流変換回路の回路構成を示す図である。
【図15】第3実施例の電圧−電流変換回路を2個使用したOTAの概略構成を示す図である。
【図16】図15のOTAの回路構成の一部を示す図である。
【図17】図15のOTAの回路構成の一部を示す図である。
【図18】図15のOTAの回路構成の一部を示す図である。
【図19】図15のOTAの回路構成の一部を示す図である。
【図20】本発明の第2の態様の電圧−電流変換回路をpチャンネルMOSFETで実現した第4実施例の電圧−電流変換回路の回路構成を示す図である。
【符号の説明】
11,M1,M11,M21,MP1…第1MOSFET
12,M2,M12,M22,MP2…第2MOSFET
13…差電流演算回路
14…ゲート電圧生成回路
15…ドレイン電圧生成回路
16…ゲートバイアス生成回路

Claims (5)

  1. 入力電圧に応じて出力電流を生成する電圧−電流変換回路であって、
    常に所定のドレイン−ソース間電圧が印加され、前記入力電圧に対して第1電流信号を生成する第1MOSFETと、
    前記第1MOSFETと同一極性を有し、常に前記所定のドレイン−ソース間電圧が印加され、前記入力電圧に対して飽和領域の中間位置を軸として前記第1電流信号と対称な特性の相補的な第2電流信号を生成する第2MOSFETと、
    前記第1電流信号と前記第2電流信号の差を演算する差電流演算回路とを備えることを特徴とする電圧−電流変換回路。
  2. 請求項1に記載の電圧−電流変換回路であって、
    前記第1MOSFETのゲートには前記入力電圧が印加され、
    前記第2MOSFETのゲートに印加する前記第2MOSFETのしきい値電圧の2倍と前記所定のドレイン−ソース間電圧の和から前記入力電圧を減じた電圧を生成するゲート電圧生成回路を更に備える電圧−電流変換回路。
  3. 請求項1に記載の電圧−電流変換回路であって、
    前記第1MOSFETのゲートには前記入力電圧が印加され、
    前記第2MOSFETのソースには前記入力電圧が印加され、ゲートには前記第2MOSFETのしきい値電圧の2倍と前記所定のドレイン−ソース間電圧の和である所定のゲート電圧が印加され、
    前記第2MOSFETのドレインに印加する前記所定のドレイン−ソース間電圧と前記入力電圧の和であるドレイン電圧を生成するドレイン電圧生成回路を更に備える電圧−電流変換回路。
  4. 請求項3に記載の電圧−電流変換回路であって、
    前記第2MOSFETのゲートに印加する前記所定のゲート電圧を生成するゲートバイアス生成回路を更に備える電圧−電流変換回路。
  5. 第1の入力電圧と第2の入力電圧の差電圧に対応した出力電流を生成するOTAであって、
    前記第1の入力電圧に対応した第1の出力電流を生成する第1の電圧−電流変換回路と、
    前記第2の入力電圧に対応した第2の出力電流を生成する第2の電圧−電流変換回路と、
    前記第1の出力電流と前記第2の出力電流の差電流を演算する差出力演算回路とを備え、
    前記第1の電圧−電流変換回路と前記第2の電圧−電流変換回路は、請求項1から4のいずれか1項に記載の電圧−電流変換回路であることを特徴とするOTA。
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