JP3539851B2 - 水中油型オルガノポリシロキサン乳化物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水中油型オルガノポリシロキサン乳化物及びその製造方法に関するものであり、得られる乳化物はリンス、コンディショナー、トリートメント剤などの毛髪用化粧品、艶出し剤、離型剤、繊維処理剤等に利用出来る。
【0002】
【従来の技術】
オルガノポリシロキサン乳化物は毛髪用化粧品、艶出し剤、離型剤、繊維処理剤などの原料として広く使用されている。特に毛髪用化粧品に使用する場合は、毛髪への付着性を高めるために、低粘度シリコーンよりも高重合度シリコーンの乳化物が用いられる。例えばこれをシャンプー組成物に配合することが提案されており(特開平4-36226 号、同4-224309号参照)、ここではオルガノポリシロキサン乳化物の粒径は2μm未満が好ましいこと、これを用いると起泡性を損なわないシャンプー組成物が得られることなどが記載されている。またオルガノポリシロキサン乳化物をマイクロエマルジョンとして添加する方法も提案されている(特開昭63-130512 号、特開平5-13994 号、同5-163122号参照)。
【0003】
更にこれらの比較的粒径の小さいオルガノポリシロキサン乳化物は毛髪への付着性に劣るので、毛髪から洗い流され易い。そのため毛髪への付着性を改善する目的で、粒径が3〜 100μmのオルガノポリシロキサン乳化物を使用することも提案されている(特開平7-188557号参照)。しかし、このオルガノポリシロキサン乳化物は乳化剤としてアニオン性界面活性剤を用いているので、シャンプー用原料には適するが、リンス、コンディショナー、トリートメント剤等のカチオン性毛髪用化粧品に配合すると、成分が分離したり沈殿したりするため、安定な分散物を得ることが困難である。
【0004】
これらの点を改善するために、カチオン性界面活性剤によるオルガノポリシロキサン乳化物も提案されている(特願平8-76355 号ではなく特願平9-71336 号参照、)。
上記特願平9-71336 号ではオルガノポリシロキサンの乳化剤として4級アンモニウム塩の基を有するカチオン性界面活性剤を使用している。このカチオン性界面活性剤中のアルキル基の炭素数が小さいほど活性が強く、安定性に優れた乳化物を得ることが出来る。しかしこのアルキル基の炭素数が小さいカチオン性界面活性剤は抗菌作用を有することが知られており刺激性も強いので化粧品用とする場合、眼の粘膜への刺激性を考慮すると炭素数18以上のアルキル基を有していることが望ましい。しかし炭素数が16程度のアルキル基を有するカチオン性界面活性剤を用いると安定性の良い乳化物が得られるが、炭素数18以上のアルキル基を有するカチオン性界面活性剤を用いると、得られる乳化物の粒径が大きくなり過ぎるため、安定性が低下してしまうという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のことから高重合度シリコーンを基剤とし、刺激性の低い炭素数18以上のアルキル基を有する4級アンモニウム塩のカチオン性界面活性剤を用いても、保存安定性に優れたオルガノポリシロキサン乳化物が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような従来技術の欠点、問題点を解決することができる水中油型オルガノポリシロキサン乳化物及びその製造方法に関するものであり、これは、(A)(イ)一般式 R1 aSiO(4-a)/2(ここでR1は炭素数1〜20の非置換または置換の1種あるいは2種以上の1価炭化水素基、 1.8≦a≦2.2 である)で示される、25℃における粘度が 100万mm2/s 以上の高重合度シリコーン10〜90重量%、(ロ)一般式 R1 aSiO(4-a)/2(ここでR1は炭素数1〜20の非置換または置換の1種あるいは2種以上の1価炭化水素基、1.8 ≦a≦2.2 である)で示される、25℃における粘度が2〜1,000mm2/sであるシリコーンオイル、または沸点が60〜 260℃の炭化水素溶剤のいずれか1種10〜90重量%からなり、25℃における粘度が1万mm2/s 以上のオルガノポリシロキサン混合物100 重量部、(B)一般式[R2 4N]+・X-[ここで、4つのR2のうちの少なくとも1つは炭素数18のアルキル基またはアルケニル基であり、残余は炭素数1〜5のアルキル基またはベンジル基であり、X-はハロゲンイオンである]で示される4級アンモニウム塩のカチオン性界面活性剤 0.5〜20重量部、(C)一般式R1 bR3 cSiO(4-b-c)/2[ここで、R3は一般式 -(CdH2d)O(C2H4O)e(C3H6O)fR4で示される有機基であり、b、c、d、e及びfはそれぞれ 1.0≦b≦2.5 、 0.005≦c≦1.2 、dは2〜15の整数、eは3〜 200の整数、fは0〜 100の整数、R4は水素原子または炭素数1〜20の1価アルキル基またはアシル基である]で示され、分子量 3,000 以下、HLBが7以上、 0.1 %水溶液の表面張力が 30dyne/cm 以下であるポリオキシアルキレン変性シリコーン0.05〜 5重量部、(D)水10〜300 重量部からなり、平均粒子径2〜 20 μmを有することを特徴とする水中油型オルガノポリシロキサン乳化物である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。本発明における(A)の(イ)及び(ロ)のオルガノポリシロキサンの一般式中のR1としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;3、3、3−トリフルオロプロピル基、3、3、4、4、5、5、6、6、6−ノナフルオロヘキシル基、3、3、4、4、5、5、6、6、7、7、8、8、9、9、10、10、10−ヘプタデカフルオロデシル基等のフッ素置換アルキル基;3−アミノプロピル基、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル基等のアミノ置換アルキル基;エポキシ基、メルカプト基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アシロキシアルキル基、カルボキシル基、水酸基、エーテル基を含む炭化水素基から選択されるものが挙げられ、これらの中ではメチル基及びまたはフェニル基及びまたはアミノ置換アルキル基が特に好ましく、50モル%以上がメチル基であることが最も好ましい。
【0008】
本発明における(A)の(イ)の高重合度シリコーンは、毛髪への付着性をよくするために高粘度であることが好ましく、25℃における粘度が 100万mm2/s 以上であることが好ましい。より好ましくは粘度が1,000 万mm2/s 以上である。
本発明における(A)の(ロ)のシリコーンオイルは、25℃における粘度が2〜1,000mm2/sであることが好ましい。より好ましくは10〜500mm2/sのシリコーンオイルである。2mm2/s 未満であると皮膚への刺激性が強いため化粧品用には好ましくなく、1,000mm2/sを超えると、(イ)成分の高重合度シリコーンの(ロ)への溶解性が低下する。(ロ)のシリコーンオイルは直鎖状、環状の何れでも差し支えない。環状シリコーンの例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、1、3、5−トリ−(3、3、3−トリフルオロプロピル)−1、3、5−トリメチルシクロトリシロキサン、1、3、5、7−テトラ−(3、3、3−トリフルオロプロピル)−1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1、3、5、7、9−ペンタ−(3、3、3−トリフルオロプロピル)−1、3、5、7、9−ペンタメチルシクロペンタシロキサンが挙げられ、なかでもオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましい。直鎖状シリコーンでは10〜500mm2/sのシリコーンオイルがより好ましい。
【0009】
本発明における炭化水素溶剤は沸点が60〜 260℃であることが好ましい。沸点が60℃未満であると溶剤臭が強すぎるため化粧品用として好ましくなく、沸点が260℃を超えると(イ)成分の高重合度シリコーンの溶解性が低下する。使用可能な具体例としては、アイソパーC、E、G、H、L、M(エクソン社製)、IPソルベント1016、1620、2028(出光石油化学社製)、マルカゾールR(丸善石油化学社製)、日石アイゾール300、400(日本石油化学社製)、シェルゾール71(シェル化学社製)、ソルトール100、130、220(フィリップス社製)、イソヘキサデカン(バイエルジャパン社製)などを挙げることができる。
【0010】
本発明における(A)の(イ)と(ロ)からなるオルガノポリシロキサン混合物は、25℃における粘度が1万mm2/s 以上であることが好ましい。この粘度を1万mm2/s 未満であるように混合すると(イ)の高重合度シリコーンの比率が低くなってしまい、毛髪への付着性が低下する。(イ)及び(ロ)の両者がジメチルポリシロキサンである場合、これらからなるオルガノポリシロキサン混合物の粘度が10万mm2/s 以上となるように(イ)の高重合度シリコーンの比率を高くすることが好ましい。
【0011】
本発明における(B)の4級アンモニウム塩のカチオン性界面活性剤は、4つのR2基のうちの少なくとも1つは炭素数が18のアルキル基またはアルケニル基を示し、残余はベンジル基または炭素数1〜5のアルキル基を、X-はハロゲンイオンである。ここでアルキルトリメチルアンモニウムクロライド(アルキル基がC12〜C22)の場合、アルキル基の炭素数による安全性を比較すると、C12の場合は殺菌、消毒剤として使用され、当然刺激性が強く、化粧品添加用乳化物の製造には使用できない。C16のときはLD50(ラット )250 〜300mg /kg 、C18のときはLD50(ラット )1,000 mg /kgであるので、化粧品用としてはC18以上が望ましい。しかし原料供給の点などを考慮すると4つのR2基のうちの少なくとも1つのアルキル基は炭素数C18、C22が有利であり、C19〜C21のものは工業的には使用ができない。また4つのR2基のうちの少なくとも1つのアルキル基が炭素数C22の場合は、(C)のポリオキシアルキレン変性シリコーン活性助剤の添加効果が不十分であった。
本発明における(B)の具体例としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられ、中でもステアリルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。本発明における(B)の含有量は0.5 〜20重量部であるが、0.5 重量部未満では乳化物が得られず、20重量部を超えると得られた乳化物を使用した毛髪用化粧品を毛髪に塗布した後の乾燥皮膜がべたつき性を帯びるため好ましくない。
(B)を添加する場合の形態は溶剤を使用しない固形状、10〜50%の水溶液のいずれでもよい。
【0012】
本発明における(C)のポリオキシアルキレン変性シリコーンは活性助剤として必須成分であり、この活性助剤を使用せずに、(B)のカチオン性界面活性剤のみで乳化した場合、目的とする粒径2〜20μmの乳化物が得られず、20μmを超える粒径となってしまい優れた安定性の乳化物が得られない。
【0013】
本発明における(C)のポリオキシアルキレン変性シリコーンは一般式R1 bR3 cSiO(4-b-c)/2で示され、R3は一般式 -(CdH2d)O(C2H4O)e(C3H6O)fR4で示される。また、b、c、d、e及びfはそれぞれ 1.0≦b≦2.5 、 0.005≦c≦1.2 、dは2〜15の整数、eは3〜 200の整数、fは0〜 100の整数、R4は水素原子または炭素数1〜20の1価アルキル基またはアシル基である。ここで、bが 1.0未満であるとポリオキシアルキレン含有量が高くなりすぎるために、オルガノポリシロキサン混合物への分散性が悪くなり、活性助剤としての作用が低下する。また、 2.5を超えると親水性が乏しくなるため、同様に活性助剤としての作用が低下する。より好ましくは 1.2〜2.3 である。cは 0.005〜1.2 であるが、0.005 より小さいと親水性が乏しくなり、また 1.2より大きいとポリオキシアルキレン含有量が高すぎるために、活性助剤としての作用が低下する。より好ましくは、0.01〜1.0 である。dは2〜15であるが、より好ましくは3〜12である。eは3〜200 であるが、より好ましくは5〜100 である。eが3より小さいと十分な親水性が得られない。また、fは0〜100 であるが、水への溶解性を得るためにはe/fが1以上であることが好ましい。
【0014】
本発明における(C)のポリオキシアルキレン変性シリコーンの分子量が高いとオルガノポリシロキサン混合物への分散性が悪くなり、HLBが低いと水への溶解性が低くなる。また(C)の水溶液の表面張力が高いと界面活性力が低下する。そのため、分子量が3,000 以下であり、HLBが7以上であり、 0.1重量%水溶液の表面張力が 30dyne/cm以下である。構造的には直鎖状、環状、分岐状の何れであってもよい。
【0015】
本発明の水中油型オルガノポリシロキサン乳化物を得るには、(C)として上記のポリオキシアルキレン変性シリコーン以外にも、水溶性の変性シリコーン化合物を使用することが考えられる。しかし例えば硫酸エステル基のようなアニオン性有機基を有するシリコーン化合物を用いると、カチオン性界面活性剤と錯体を形成するために乳化物を得ることが困難となる。また、4級アンモニウム有機基を有する変性シリコーン化合物を用いると、十分な親水性を得るには高変性率にする必要があり、得られた乳化物を配合した毛髪用化粧品を毛髪に塗布した場合、べたつき感を生じる。またグリセリンあるいはポリグリセリン有機基を有するシリコーン化合物を配合して得られる乳化物を使用した。毛髪用化粧品を毛髪に塗布したときにべたつき感を生じるため好ましくない。
【0016】
本発明における(D)の水は10〜300 重量部であるが10重量部未満であると、得られた乳化物の粘度が高すぎるため、取扱が面倒になり、300 重量部を超えると得られた乳化物の安定性に乏しくなる。好ましくは20〜100 重量部である。
【0017】
本発明のオルガノポリシロキサン乳化物の製造方法は例えば、各成分の重量比(A)/(B)/(C)/(D)が 100/0.5 〜10/0.05〜5/1〜20の混合物を高剪断力下に油中水型から水中油型に転相、乳化し、さらに(B)の水溶液及びまたは水で希釈することによって得られる。この製造方法において(B)が 0.5より少ないと油中水型から水中油型へ転相せず、10より多いとこの乳化物を使用した毛髪用化粧品を毛髪に塗布した後の乾燥皮膜がべたつき性を帯びるために好ましくない。(C)が0.05より少ないと十分な乳化力が得られないため平均粒径が20μm以下とならず、5より大きいと乳化力が強過ぎるため、乳化物粒子の粒径分布を制御することが困難になる。
【0018】
本発明における(A)の(イ)のR1がメチル基であり、25℃における粘度が、1000万mm2/s 以上の高重合度シリコーン20〜80重量%と、(ロ)におけるR1がメチル基であり、25℃における粘度が20〜500mm2/sであるシリコーンオイル20〜80重量%からなり、25℃における粘度が100,000 mm2/s 以上であるオルガノポリシロキサン混合物を、(B)のカチオン性界面活性剤で乳化する場合、各成分の混合割合は(A)/(B)/(C)/(D)を 100/0.5 〜10/0.05〜5/1〜20(重量比)とし、高剪断力下に油中水型から水中油型に転相、乳化し、さらに(B)の水溶液及びまたは水で希釈して乳化物を得る。
【0019】
また、本発明における(A)の(イ)成分のR1の90モル%以上がメチル基であり、残余がアミノ基含有アルキル基であり、かつ25℃における粘度が1,000 万mm2/s 以上の高重合度シリコーン10〜80重量%と、(ロ)成分におけるR1がメチル基であり、25℃における粘度が10〜500mm2/sであるシリコーンオイル20〜90重量%からなり、25℃における粘度が10,000 mm2/s以上であるオルガノポリシロキサン混合物を、(B)のカチオン性界面活性剤で乳化する場合も同じく各成分の混合割合は(A)/(B)/(C)/(D)を 100/0.5 〜5/0.05〜3/1〜10(重量比)とし、高剪断力下に油中水型から水中油型に転相乳化し、さらに(B)の水溶液及びまたは水で希釈して乳化剤を得る。
【0020】
本発明のオルガノポリシロキサン乳化物粒子の粒径は2〜20μmである。2μm未満であるとこれを配合した毛髪用化粧品の毛髪への付着性が低下し、20μmを超えるとこれを配合した毛髪用化粧品の安定性が低下する。好ましくは5〜15μmである。
本発明の乳化物を得るために使用される装置としては、ウルトラミキサー、プラネタリーミキサー、コンビミキサー、パイプラインホモミキサー、ホモミックラインミル、フィルミックス(以上商品名)に代表されるような高剪断力が得られる乳化機が挙げられる。油中水型から水中油型に転相、乳化する際に、転相後の攪拌時間が短過ぎると、粒径の分散度が広くなり易く、結果として安定性が不十分となる。転相後の攪拌時間が長過ぎると、転相物の粒子破壊が起こるため水で希釈してもオイルが分離してしまい、均一な水中油型乳化物が得られない。そのため攪拌時間は20分以上、3時間以下であることが好ましい。
【0021】
本発明の乳化物と類似するものは、(A)のオルガノポリシロキサン混合物をポリオキシエチレンアルキルエーテルで代表されるノニオン性界面活性剤と(B)のカチオン性界面活性剤で乳化するか、(A)のオルガノポリシロキサン混合物をポリオキシエチレンアルキルエーテルで代表されるノニオン性界面活性剤で乳化し、希釈時にカチオン性界面活性剤を添加することによって得られる。
しかしこれらの乳化物を配合して得られる毛髪用化粧品は、本発明の乳化物を配合して得られる毛髪用化粧品よりも毛髪への付着性が不十分である。従って本発明の乳化物には(C)としてのポリオキシエチレン変性シリコーン以外のノニオン性界面活性剤、ベタイン性活性剤、アニオン性界面活性剤を添加することは好ましくない。しかし多価アルコール、増粘剤、防腐剤、香料、染料、顔料等を本発明の目的を損なわない範囲内で添加することは任意である。また乳化物が低温時に増粘あるいはペースト化して流動性が悪化することを防止する目的で、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類を10重量部以下の量で添加することも任意である。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお調製例における粘度は25℃における値を示したものである。また表の組成の数値は重量部である。
【0023】
(調製例1)
粘度2,000 万mm2/s の高重合度ジメチルポリシロキサン40重量部、ジメチルポリシロキサン(粘度 20mm2/s)60重量部を均一に溶解し、粘度80万mm2/s のオルガノポリシロキサン混合物を得た(以下混合物1とする)。
(調製例2)
粘度1,500 万mm2/s の高重合度メチルフェニルポリシロキサン(フェニル基含有量5モル%)50重量部、ジメチルポリシロキサン(粘度200mm2/s)50重量部を均一に溶解し、粘度 100万mm2/s のオルガノポリシロキサン混合物を得た(以下混合物2とする)。
(調製例3)
粘度3,000 万mm2/s のアミノ基含有高重合度ジメチルポリシロキサン(アミノ基単位は3−アミノプロピル基、アミン当量は70万g/モル)20重量部、ジメチルポリシロキサン(粘度 10mm2/s)80重量部を均一に溶解し、粘度2万mm2/s のオルガノポリシロキサン混合物を得た(以下混合物3とする)。
(調製例4)
粘度1,000 万mm2/s の高重合度ジメチルポリシロキサン20重量部、デカメチルシクロペンタシロキサン(粘度4.0mm /s )80重量部を均一に溶解し、粘度1万mm2/s のオルガノポリシロキサン混合物を得た(以下混合物4とする)。
【0024】
容器内全体を撹拌できる錨型撹拌機と周縁に歯形突起が上下方向に向けて交互に設けられている円板型撹拌機を有する高剪断力負荷装置を備えた内容積5リットルのステンレス製複合乳化機・TKコンビミックスM型[特殊機化工業(株)製商品名]に、表1に示した配合比で各成分を仕込み、錨型撹拌機を 40rpm、円板型撹拌機を 1,500rpm で同時に攪拌して転相し乳化物を得た。次に円板型撹拌機だけを停止し、残部の精製水及び界面活性剤水溶液を添加し、錨型撹拌機で均一溶解し、目的の乳化物を得た。なお平均粒径はコールターカウンター・TA(米国コールターエレクトロニクス社製商品名)で測定した。
【0025】
また乳化物の保存安定性は、各乳化物100gをガラスビンに取り、45℃の恒温槽に1か月間静置保存した後に外観を観察し、下記の基準により評価した。
○:油相と水相の分離が認められない
△:僅かに分離層を生じた
×:完全に二層に分離した
【0026】
(参考例)従来技術についての実証試験
(表1)に示した組成物を乳化した。なお転相時の撹拌時間を30分とした。
【0027】
【表1】
【0028】
表1から、高重合度シリコーンを含有するオルガノポリシロキサン混合物は、単一組成のジメチルポリシロキサンに較べて乳化物が得られ難い。また高重合度シリコーンを含有したオルガノポリシロキサン混合物であっても、カチオン性界面活性剤としてセチルトリメチルアンモニウムクロライド(アルキル基として炭素数16のセツル 基を含有する)を使用すると安定性に優れた乳化物を得ることができるが、炭素数が小さいため皮膚刺激性が強い。炭素数が大きいと皮膚刺激性は弱くなるが、その分乳化力も弱くなるので、例えばこの参考例のように炭素数が大きいステアリルトリメチルアンモニウムクロライドを用いると所望の粒径及び安定性の良い目的物が得られないことが解る。本発明はこれらの問題点を解決するために(C)を添加するものである。
【0029】
(実施例1〜3、比較例1〜3)
(表2)に示した各組成の組成物を前記と同じ乳化機で転相、乳化しで乳化物を得た。ここで、転相時に所定時間毎のサンプルを取って粒径を調べた。なお実施例1及び比較例3では撹拌を3時間で終了し希釈した。また、実施例2では同じく撹拌を2時間で終了し、実施例3も同じく撹拌を1時間で終了し希釈して目的物を得た。
またここで使用した一般式(化1)で示される5種類のポリオキシアルキレン変性シリコーンの化学構造及び分子量、物性等を(表3)に示す。
【0030】
【表2】
【表3】
【0031】
【化1】
【0032】
実施例1及び2では良好な乳化物が得られるが、比較例1のようにポリオキシアルキレン変性シリコーンを使用せず、グリセリンのみを使用すると、粒径が20μmを超える。また転相後の撹拌を4時間まで行うと、転相物の破壊が起きて、平均粒径が大きくなり、且つ水で希釈後にオイルが分離した。
また比較例2のようにポリオキシアルキレン変性シリコーンを使用した場合でもカチオン性界面活性剤の添加量が少な過ぎると乳化物が得られなかった。更に比較例3のように転相時、希釈時の水の量が多過ぎると安定な乳化物が得られなかった。
【0033】
(実施例4〜5、比較例4〜5)
表4に示した組成を転相、乳化し乳化物を得た。なお転相時に撹拌時間を1時間とした。
【0034】
【表4】
【0035】
以上の結果より、ポリオキシアルキレン変性シリコーンの分子量及びその水溶液の表面張力が、乳化物の安定性に大きく寄与していることが解る。
【0036】
【発明の効果】
本発明の水中油型オルガノポリシロキサン乳化物は、使用する界面活性剤に起因する刺激性が小さく、粒径の大きな乳化物でありながら安定性に優れ、リンス、コンディショナー、トリートメント剤等の毛髪用化粧品に配合すると分離したり、沈殿が発生したりせず、安定な分散物とすることができ、毛髪保護力に優れた毛髪用化粧品を得ることができる。
Claims (5)
- (A)(イ)一般式 R1 aSiO(4-a)/2(ここでR1は炭素数1〜20の非置換または置換の1種あるいは2種以上の1価炭化水素基、 1.8≦a≦2.2 である)で示される、25℃における粘度が 100万mm2/s 以上の高重合度シリコーン10〜90重量%、(ロ)一般式 R1 aSiO(4-a)/2(ここでR1は炭素数1〜20の非置換または置換の1種あるいは2種以上の1価炭化水素基、1.8 ≦a≦2.2 である)で示される、25℃における粘度が2〜1,000mm2/sであるシリコーンオイル、または沸点が60〜 260℃の炭化水素溶剤のいずれか1種10〜90重量%からなり、25℃における粘度が1万mm2/s 以上のオルガノポリシロキサン混合物100 重量部、
(B)一般式[R2 4N]+・X-[ここで、4つのR2のうちの少なくとも1つは炭素数18のアルキル基またはアルケニル基であり、残余は炭素数1〜5のアルキル基またはベンジル基であり、X-はハロゲンイオンである]で示される4級アンモニウム塩のカチオン性界面活性剤 0.5〜20重量部、
(C)一般式R1 bR3 cSiO(4-b-c)/2[ここで、R3は一般式 -(CdH2d)O(C2H4O)e(C3H6O)fR4で示される有機基であり、b、c、d、e及びfはそれぞれ 1.0≦b≦2.5 、 0.005≦c≦1.2 、dは2〜15の整数、eは3〜 200の整数、fは0〜 100の整数、R4は水素原子または炭素数1〜20の1価アルキル基またはアシル基である]で示され、分子量 3,000 以下、HLBが7以上、 0.1 %水溶液の表面張力が 30dyne/cm 以下であるポリオキシアルキレン変性シリコーン0.05〜5重量部、
(D)水10〜300 重量部からなり、平均粒子径2〜 20 μmを有することを特徴とする水中油型オルガノポリシロキサン乳化物。 - (A)における(イ)のR1がメチル基であり、25℃における粘度が1,000 万mm2/s 以上の高重合度シリコーン20〜80重量%、(ロ)におけるR1がメチル基であり、25℃における粘度が2〜500mm2/sであるシリコーンオイル20〜80重量%からなり、25℃における粘度が100,000mm2 /s 以上であるオルガノポリシロキサン混合物100 重量部、
(B)4級アンモニウム塩のカチオン性界面活性剤 0.5〜 10 重量部%、
(C)分子量3,000 以下、HLBが7以上、 0.1%水溶液の表面張力が 30dyne/cm以下であるポリオキシアルキレン変性シリコーン 0.05 〜 3重量部、
(D)水10〜300 重量部からなり、平均粒子径2〜20μmを有することを特徴とする請求項1記載の水中油型オルガノポリシロキサン乳化物。 - (A)における(イ)のR1の90モル%以上がメチル基であり、残余がアミノ基含有アルキル基であり、かつ25℃における粘度が1,000 万mm2/s 以上の高重合度シリコーン10〜80重量%と、(ロ)におけるR1がメチル基であり、25℃における粘度が2〜 500mm2/s であるシリコーンオイル20〜90重量%からなり、25℃における粘度が1万mm2/s 以上であるオルガノポリシロキサン混合物100 重量部、
(B)4級アンモニウム塩のカチオン性界面活性剤 0.5〜10 重量部、
(C)分子量3,000 以下、HLBが7以上、 0.1%水溶液の表面張力が 30dyne/cm以下であるポリオキシアルキレン変性シリコーン0.05〜3重量部、
(D)水10〜300 重量部からなり、平均粒子径2〜20μmを有することを特徴とする請求項1記載の水中油型オルガノポリシロキサン乳化物。 - (A)/(B)/(C)/(D)の重量比が 100/0.5 〜10/0.05〜5/1〜20の混合物を高剪断力下に油中水型から水中油型に転相乳化し、さらに(B)の水溶液及びまたは水で希釈することを特徴とする請求項1記載の水中油型オルガノポリシロキサン乳化物の製造方法。
- (A)/(B)/(C)/(D)の重量比が 100/0.5 〜5/0.05〜3/1〜10の混合物を高剪断力下に油中水型から水中油型に転相乳化し、さらに(B)の水溶液及びまたは水で希釈することを特徴とする請求項2及び請求項3記載の水中油型オルガノポリシロキサン乳化物の製造方法。
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