JP3537322B2 - 引き出し部材駆動装置 - Google Patents

引き出し部材駆動装置

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JP3537322B2
JP3537322B2 JP26229798A JP26229798A JP3537322B2 JP 3537322 B2 JP3537322 B2 JP 3537322B2 JP 26229798 A JP26229798 A JP 26229798A JP 26229798 A JP26229798 A JP 26229798A JP 3537322 B2 JP3537322 B2 JP 3537322B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータ等の駆動源
を用いて引き出し部材を筐体から引き出す引き出し部材
駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】箪笥や机等の筐体に設けられた収納用の
引き出し部材は、前面部分を押したり引っ張ったりして
手動でスライド移動させることによって開閉動作が行わ
れる。また、冷蔵庫の野菜室は、このようなスライド移
動式の引き出し部材で構成されることが多く、さらに近
年においては、冷凍室にこのようなスライド方式が採用
されるものもある。なお、冷蔵庫に用いる引き出し部材
の場合、その内部に重い物品を大量に詰め込む場合が多
く、このため、引き出し部材のスムーズな開閉動作が困
難となっている。さらに冷蔵庫の場合、引き出し部材を
閉じた状態で内部の冷気を逃がさないようにしっかり位
置保持させるために、引き出し部材の前面部に吸着用の
マグネットを備え、これを開放口に吸着させる構成とな
っているので、引き出し時の最初の動作に多大な力が必
要となっている。そのため、お年寄りや女性等、特に力
の弱い人にとっては、その操作がさらに困難なものとな
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような事情を踏ま
えて、本出願人は冷蔵庫等の引き出し部材を半自動的に
開放させるための引き出し部材駆動装置を考案した。こ
の引き出し部材駆動装置によれば、一つの駆動源からト
ルクの異なる2つの駆動部に駆動力を同時に伝達し、主
に一方のトルクの高い駆動部の力で引き出し部材の前面
部分を前方へ押し出して引き出し部材の位置保持を解除
する。そして、トルクの高い駆動部で引き出し部材を前
方へ押し出した後は、他方のトルクの低い駆動部で引き
出し部材のゆっくりスライド移動させるようになってい
る。
【0004】しかしながら、上述した引き出し部材駆動
装置では、引き出し部材を押し出す動作を行う際に、2
つの駆動部に同時に駆動力が伝達するように構成されて
いる。そのため、2つの駆動部のうちの一方が、何らか
の抵抗を受けて停止してしまうと、駆動源にロックがか
かってしまうという問題が生ずる。すなわち、トルクの
弱い駆動部が、押し出し動作時に僅かな力の抵抗を受け
て停止してしまうと、駆動源にロックがかかってしまう
ため、トルクの強い駆動部も同時に停止してしまい、引
き出し部材を全く駆動できない状態になる。
【0005】本発明の目的は、上述した問題点を鑑み
て、力の弱い人でも、容易に引き出し部材を開けること
が可能で、しかも引き出し部材に何らかの抵抗が生じた
場合も駆動源が停止しないようにした引き出し部材駆動
装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、請求項1記載の引き出し部材駆動装置は、筐体の収
納スペースに位置保持された状態で収納される収納用の
引き出し部材を、筐体から引き出すための引き出し部材
駆動装置であって、引き出し部材を位置保持力に抗して
収納スペースより筐体の外方へ押し出す第1駆動部と、
引き出し部材を筐体の外方へスライド移動させる第2駆
動部と、第1駆動部及び第2駆動部へ駆動力を供給する
1つの駆動源と、この駆動源の駆動力を第1駆動部及び
第2駆動部の双方へ伝達する歯車輪列と、を有し、引き
出し部材の初期動作時には、駆動源の駆動力を第1駆動
部のみに伝達させるようにし、かつ第1駆動部における
駆動力を、第2駆動部における駆動力より大きな力量に
設定している。
【0007】この構成によって、マグネットの吸引力等
による位置保持手段の保持力に抗して第1駆動手段によ
って引き出し部材を筐体の外方へ押し出す。そして、押
し出された引き出し部材を第2駆動部によって筐体の外
方へスライド移動させる。このように駆動源の駆動力を
歯車輪列を介して第1駆動部及び第2駆動部に伝達する
ことによって、位置保持手段を有する引き出し部材であ
っても簡単に筐体の外方へ引き出すことが可能となる。
加えて、引き出し部材の初期動作時には、第1駆動部の
みに駆動力を伝達させているので、第2駆動部側に抵抗
となる外力が発生しても駆動源がロックしてしまうこと
がない。また、引き出し当初に強い力が必要となる場合
も強いトルクで容易に引き出すことが可能となる。ま
た、引き出し部材が位置保持手段の保持力から離れた後
は、弱い力でスライド移動させることができる。その結
果、マグネット等の吸引力で位置保持されている引き出
し部材であっても、確実に収納スペースから外方へ押し
出されると共に、スライド移動時の駆動力は強くなりす
ぎず滑らかな状態で外方へ引き出される。
【0008】また、請求項3記載の引き出し部材駆動装
置は、筐体の収納スペースに位置保持された状態で収納
される収納用の引き出し部材を、筐体から引き出すため
の引き出し部材駆動装置であって、引き出し部材を位置
保持力に抗して収納スペースより筐体の外方へ押し出す
第1駆動部と、引き出し部材を筐体の外方へスライド移
動させる第2駆動部と、第1駆動部及び第2駆動部へ駆
動力を供給する1つの駆動源と、この駆動源の駆動力を
第1駆動部及び第2駆動部の双方へ伝達する歯車輪列
と、を有し、引き出し部材の初期動作時には、駆動源の
駆動力を第1駆動部のみに伝達させるようにし、かつ歯
車輪列中に、第2駆動部への駆動力の伝達を、第1駆動
部への駆動力の伝達より遅延させる遅延手段を設けてい
る。
【0009】この構成によって、マグネットの吸引力等
による位置保持手段の保持力に抗して第1駆動手段によ
って引き出し部材を筐体の外方へ押し出す。そして、押
し出された引き出し部材を第2駆動部によって筐体の外
方へスライド移動させる。このように駆動源の駆動力を
歯車輪列を介して第1駆動部及び第2駆動部に伝達する
ことによって、位置保持手段を有する引き出し部材であ
っても簡単に筐体の外方へ引き出すことが可能となる。
加えて、引き出し部材の初期動作時には、第1駆動部の
みに駆動力を伝達させているので、第2駆動部側に抵抗
となる外力が発生しても駆動源がロックしてしまうこと
がない。加えて、駆動源が一方向回転しかできない場合
でも、回転初期、すなわち引き出し部材の初期動作時に
は、第1駆動部のみに駆動力を伝達させることができ
る。
【0010】なお、請求項4記載の引き出し部材駆動装
、遅延手段、駆動源の駆動力を受けて回転する第
1歯車と、この第1歯車に所定の遊びをもって遊嵌され
ると共に、第1歯車が所定角度回転することにより第1
歯車の回転を受けて回転しその回転力を第2駆動部へ伝
達する介在回転体と、駆動源を停止させることにより第
1歯車と介在回転体との位置関係を所定の遊びを持たせ
た状態とするように作動する復帰手段と、を備えてい
る。このため、所定の遊び分だけ介在回転体の回転開始
が遅れ、第2駆動部は、第1駆動部の動作開始から遅れ
て動作を開始する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
1から図14に基づき説明する。なお、まず第1の実施
の形態における引き出し部材駆動装置について、図1か
ら図11に基づき説明する。なお、各実施の形態では、
引き出し部材駆動装置を冷蔵庫に取り付けたものとして
説明するが、本発明は、特に冷蔵庫に取り付ける引き出
し部材駆動装置に限定されるものではない。
【0012】引き出し部材駆動装置1は、図1に示すよ
うに、筐体としての冷蔵庫2に備えられた収納用の第1
引き出し部材3を、冷蔵庫2の本体前方へ自動的に引き
出すための装置となっている。なお、冷蔵庫2に設けら
れた第1引き出し部材3は、冷蔵庫2の本体に備えられ
た第1収納スペース4内に収納されると、前面部3aに
備えられた吸着用マグネット5の保持力により、第1収
納スペース4内で位置保持されるようになっている。
【0013】引き出し部材駆動装置1は、図2に示すよ
うに、第1引き出し部材3を吸着用マグネット5の位置
保持力に抗して第1収納スペース4より冷蔵庫2の前方
へ押し出す第1駆動部としてのラック部材6と、ラック
部材6で押し出された第1引き出し部材3を冷蔵庫2の
前方へスライド移動させる第2駆動部としての回転ロー
ラー7と、これらの2つの駆動部6,7へ駆動力を供給
する1つの駆動源となるDCモータ8と、DCモータ8
の駆動力をラック部材6及び回転ローラー7の双方へ伝
達する歯車輪列9と、これらを内部に収納するケーシン
グ10と、を有している。
【0014】DCモータ8は、ケーシング10の内部に
設けられDCモータ8を囲むように形成されたモータ固
定部11に設置固定されている。このDCモータ8は、
ケーシング10の高さ方向の寸法Hを短く抑えるため
に、ケーシング10内で若干斜めになるように置かれて
いる。このDCモータ8には、リード線8a,8bの一
端が各々接続されている。これらのリード線8a,8b
は、ケーシング10に設けられた切欠き12内を通して
他端側を外部に出している。そして、ケーシング10の
外部に導出されたリード線8a,8bの他端は、それぞ
れDCモータ8を制御するための制御部13に接続され
ている。
【0015】このように設置されたDCモータ8の駆動
力は、ウォーム部14を介して歯車輪列9に伝達され
る。そして、歯車輪列9に入力された駆動力は、第1駆
動部としてのラック部材6と、第2駆動部としての回転
ローラー7の双方へ伝達されるようになっている。歯車
輪列9は、ウォーム部14から入力された回転駆動力を
減速する減速歯車体15と、減速歯車体15で減速され
た回転駆動力をラック部材6及び回転ローラー7の両駆
動部に伝達するための伝達歯車16と、伝達歯車16の
回転をラック部材6へ伝達する第1駆動車17と、伝達
歯車16の回転を回転ローラー7側へ伝達する第2駆動
車18と、第2駆動車18によって駆動され回転ローラ
ー7と一体的に回転するローラー軸部19とから構成さ
れている。
【0016】なお、本実施の形態の引き出し部材駆動装
置1では、1つの駆動源となるDCモータ8の回転駆動
力が、伝達歯車16より第1駆動車17及び第2駆動車
18の双方に同時に供給されるようになっている。これ
によって、第1駆動車17からラック部材6にDCモー
タ8の駆動力が供給され、ラック部材6が駆動される。
一方、これと同時に第2駆動車18からもローラー軸部
19にDCモータ8の駆動力が供給されるが、ローラー
軸部19からは、その駆動力が所定時間遅延して回転ロ
ーラー7に供給されるようになっている。すなわち、歯
車輪列9中に配置されたローラー軸部19は、DCモー
タ8から第2駆動部としての回転ローラー7への駆動力
の伝達を、第1駆動部としてのラック部材6への駆動力
の伝達より遅延させる遅延手段となっている。そのた
め、DCモータ8の駆動初期時、すなわち第1引き出し
部材3の初期動作時には、DCモータ8の駆動力を第1
駆動部としてのラック部材6にのみ伝達するようになっ
ている。
【0017】DCモータ8の回転軸8cは、モータ固定
部11に設けられた挿通孔11aからケーシング10の
内部空間に突出している。この回転軸8cの突出部分に
は、ウォーム部14が一体的に固定されている。ウォー
ム部14は、ウォーム軸14aと、このウォーム軸14
aの外周に一体的に形成されたウォーム歯車14bから
構成されている。ウォーム軸14aの一端には、DCモ
ータ8の回転軸8cを嵌合固定するための嵌合部14c
が設けられている。また、ウォーム軸14aの他端は、
ケーシング10に形成されたウォーム支承部20で回転
自在に支承されている。また、ウォーム歯車14bは、
減速歯車体15の受け歯車15aと係合している。この
ような構成によって、ウォーム部14は、DCモータ8
の駆動力を減速歯車体15に減速しながら伝達するもの
となっている。
【0018】また、減速歯車体15は、図3及び図4に
示すように、ウォーム歯車14bと係合する受け歯車1
5aと、伝達歯車16の受け歯部16aと係合する送り
歯車15bと、受け歯車15aと送り歯車15bとを一
体化すると共に過負荷対策のためのクラッチバネ15c
とから構成されている。受け歯車15aは、送り歯車1
5bと同軸上に重ねて配置されている。送り歯車15a
は、ケーシング10の一方のケース半体10aに一端を
回転可能に支持され、他端をケーシング10の他方のケ
ース半体10bに設けられた軸受け凹部21に回転自在
に支承された回転軸22を有している。また、受け歯車
15aは、クラッチバネ15cによって送り歯車15b
方向に付勢されている。
【0019】このように構成された減速歯車体15は、
通常の動作においては、受け歯車15aがクラッチバネ
15cの付勢力によって送り歯車15b側へ押し付けら
れ、受け歯車15aと送り歯車15bとが一体的に回転
するようになっている。そして、受け歯車15aがウォ
ーム部14の回転を受けると、この回転が送り歯車15
bから伝達歯車16に減速しながら伝達される。
【0020】なお、受け歯車15aと送り歯車15bと
は、上述したようにクラッチバネ15cの付勢力によっ
て一体化されている。このため、所定のトルク以下の回
転力が伝達されてきた場合は、受け歯車15aと送り歯
車15bとが一体的に回転する。しかしながら、ラック
部材6や回転ローラー7側から伝達されてきた回転力が
所定のトルク以上の場合、クラッチバネ15cが滑っ
て、受け歯車15aと送り歯車15bとは一体的には回
転しないようになっている。
【0021】この構成によって、例えば、引き出し部材
駆動装置1によって第1引き出し部材3を駆動中に、第
1引き出し部材3が手動によって閉じる方向に駆動さ
れ、第1駆動部となるラック部材6が図2における矢示
B方向に移動し、このラック部材6の移動によって第1
駆動車17が回転しその力が伝達歯車16を介して送り
歯車15bに伝わり送り歯車15bが逆回転したとして
も、この回転力が所定トルク以上のものの場合は受け歯
車15aに伝達されないものとなる。すなわち、第1引
き出し部材3が強い力で閉じられたとしても、送り歯車
15bが空回りし、歯車輪列9の各歯車の歯先等が損傷
してしまうことが防止される。
【0022】また、伝達歯車16は、DCモータ8の駆
動力をラック部材6及び回転ローラー7の双方へ伝達す
るためのものとなっている。伝達歯車16は、図2,図
3及び図4に示すように、減速歯車体15の送り歯車1
5bと係合すると共に第2駆動車18と係合する大径歯
部16aと、第1伝達車17に係合する小径歯部16b
とから構成されている。大径歯部16aと小径歯部16
bとは、一体的に形成されていると共に、ケーシング1
0に立設された固定軸23に回転自在に支承されてい
る。そして、大径歯部16aが減速歯車体15の送り歯
車15bの回転を受けると、大径歯部16aと小径歯部
16bとが一体的に回転するようになっている。
【0023】小径歯部16bは、第1駆動部としてのラ
ック部材6と係合する第1駆動車17の受け歯部17a
と常時係合している。そのため、伝達歯車16に伝達さ
れてきたDCモータ8の駆動力は、常時第1駆動車17
へ伝達されるようになっている。一方、大径歯部16a
は、第2駆動部としての回転ローラー7の回転中心とな
るローラー軸部19と係合離脱自在に設けられた第2駆
動車18の歯車部18aと常時係合している。そのた
め、伝達歯車16に伝達されてきたDCモータ8の駆動
力は、第1駆動車17へ伝達されると同時に、常時第2
駆動車18へも伝達されるようになっている。
【0024】第1駆動車17は、伝達歯車16とラック
部材6との間に設けられている。そして、DCモータ8
の駆動力を、ラック部材6に伝達するためのものとなっ
ている。
【0025】第1駆動車17は、図5に示すように、伝
達歯車16の小径歯部16bと係合する歯が形成された
受け歯部17aと、ラック部材6のラック歯部24と係
合する歯が円弧状に一部に形成された間欠送り歯部17
bとから形成されている。なお、受け歯部17aは、第
1駆動車17の軸方向に半分くらいの幅で全周に形成さ
れている。また、間欠送り歯部17bは、この受け歯部
17aの一部の歯の延長部分で形成されている。これに
よって、第1駆動車17は、間欠送り歯部17bが形成
された範囲では、軸方向に全幅に歯が形成されているこ
ととなる。このように形成された第1駆動車17は、ケ
ーシング10に立設された固定軸25に回転自在に支承
されている。そして、第1駆動車17は、受け歯部17
aが伝達歯車16の回転を受けると、この回転は間欠送
り歯部17bからラック部材6のラック歯部24へ伝達
される。
【0026】なお、間欠送り歯部17bの歯は、上述し
たように第1駆動車17の全周ではなく一部に形成され
ている。そのため、第1駆動車17が回転した場合、そ
の回転は一部の範囲でのみ、間欠送り歯部17bからラ
ック部材6のラック歯部24へ伝達される。また、第1
駆動車17の回転によってラック部材6を、図2におけ
る矢示A方向へ送った後は、ラック部材6は、ラック歯
部24と間欠送り歯部17bとの係合が外れた位置で停
止する。なお、第1駆動車17は、ラック部材6との係
合が外れた後は、DCモータ8の駆動力が伝達されてき
ても、ラック部材6と係合出来ず空回りするようになっ
ている。
【0027】第1駆動部としてのラック部材6は、ケー
シング10の一方のケース半体10aに設けられた案内
壁26及び他方のケース半体10bに設けられた案内壁
27に沿ってスライド移動する移動体28と、この移動
体28に一端を固定され移動体28と共にスライド移動
するプッシュ棒29から構成される。
【0028】移動体28は、図2及び図3に示すよう
に、間欠送り歯部17bと係合するラック歯部24と、
案内壁26が内側に摺動自在に嵌まり込む案内溝30
と、案内壁27が内側に摺動自在に嵌まり込む案内溝3
1と、ケーシング10の内壁に設けられた弾性凸部32
が嵌まり込む嵌合部33と、を有している。そして、移
動体28は、第1駆動車17が回転することによって、
その回転が間欠送り歯部17bからラック歯部24に伝
達され、案内壁26,27に沿って図2における矢示A
方向へ移動するようになっている。
【0029】なお、移動体28は、矢示A方向への移動
が完了した位置にくると、嵌合部33が弾性凸部32へ
嵌まり込むようになっている。これにより、ラック部材
6は、前方位置でケーシング10に位置保持される。こ
れは、例えば、冷蔵庫2が振動する等によりラック部材
6の位置が移動することにより、ラック部材6の動作が
不確実になることを防止するためである。ここで、弾性
凸部32は、スプリング32aと、スプリング32aに
よって付勢される動作部32bと、動作部32bの長孔
を貫通し、両ケース半体10a,10bで支持される支
持軸32cとで構成されている。しかしながら、弾性凸
部32を他の構成、例えば弾性力のある素材を用いた1
部材の凸片等で構成しても良い。
【0030】なお、上述したように移動体28には、プ
ッシュ棒29の一端が固定されている。したがって、移
動体28が移動すると、この移動体28と一体的にプッ
シュ棒29も移動する。このプッシュ棒29は、移動体
28の移動方向に延出された棒状部材で形成されてお
り、ケーシング10に設けられた挿通孔34内を挿通
し、他端がケーシング10の外部へ突出されている。こ
のプッシュ棒29の他端は、冷蔵庫2の第1収納スペー
ス4内に収納される第1引き出し部材3の前面部3aの
内側に当接するように配置される。このプッシュ棒29
は、移動体28が第1駆動車17の回転によって、図2
において矢示A方向に移動されると、他端がさらに外側
へ突出する。その結果、前面部3aに設けられた吸着用
マグネット5の吸着力によって、冷蔵庫2の第1収納ス
ペース4内に位置保持された第1引き出し部材3を、プ
ッシュ棒29がその保持力に抗して前方へ押し出す。こ
れによって第1引き出し部材3は、第1収納スペース4
内の位置保持状態から解除される。
【0031】このように、第1駆動部としてのラック部
材6は、DCモータ8の回転駆動力によって、プッシュ
棒29を冷蔵庫2の前方へ押し出し、第1引き出し部材
3を位置保持から解除する動作を行う。なお、この後の
第1引き出し部材3の動作、すなわち、第1引き出し部
材3を冷蔵庫2の前方へスライド移動させる動作は、第
2駆動部としての回転ローラー7によって行われる。
【0032】なお、この引き出し部材駆動装置1は、第
1引き出し部材3を冷蔵庫2の前方へのみ駆動する装置
となっている。したがって、第1引き出し部材3をこの
引き出し部材駆動装置1によって前方へ駆動し、食品等
を出し入れした後は、人が手動によって第1引き出し部
材3を第1収納スペース4内へ戻すものとなっている。
そして、手動によって第1引き出し部材3を第1収納ス
ペース4側へ戻すことにより、プッシュ棒29が第1引
き出し部材3の前面部3aによって図2における矢示B
方向へ移動される。このとき、後述するように、移動体
28は、第1駆動車17の間欠送り歯部17bの回転軌
道位置を間欠送り歯部17bの歯とは係合せずに通過し
ながら、移動体28のラック歯部24の最初の歯が間欠
送り歯部17bの最初の歯と係合可能な位置、いわゆる
原位置まで戻されることとなる。
【0033】この引き出し部材駆動装置1では、駆動当
初はDCモータ8の駆動力が第1駆動部としてのラック
部材6のみに伝達される。そして、所定時間経過後、す
なわちローラー軸部19によって駆動力の伝達の遅延が
なされた後、第2駆動部としての回転ローラー7に伝わ
る。なお、第1駆動車17が移動体28と係合しながら
回転し、移動体28を図2における矢示A方向へ移動さ
せた後は、第1駆動車17と移動体28との係合が外れ
る。そして、DCモータ8の駆動力は、伝達歯車16か
ら第2駆動車18及びローラー軸部19を介して回転ロ
ーラー7へのみ伝達される。そして、第1引き出し部材
3を冷蔵庫2の前方へ完全に移動させた後に、DCモー
タ8が停止するように制御されるようになっている。そ
のため、第1駆動車17は、移動体28を移動させた後
もDCモータ8が回転ローラー7を駆動している間は、
伝達歯車16の回転を受けて空回りした状態となってい
る。そのため、DCモータ8が停止した際、第1駆動車
17は、任意の回転位置で止まってしまう可能性を有し
ている。
【0034】その結果、間欠送り歯部17bの歯が移動
体28のラック歯部24の戻り行程の軌道内、すなわち
ラック歯部24と係合可能な位置にある状態で、第1駆
動車17が停止してしまう可能性もある。間欠送り歯部
17bがラック歯部24と係合してしまう位置で停止し
たとすると、第1引き出し部材3を手動によって閉める
際に、移動体28のラック歯部24と第1駆動車17の
間欠送り歯部17bとが係合してしまう。すると、移動
体28が手動により押される力が、歯車輪列9に伝わっ
てしまい、仮に強い力で押した場合、歯車輪列9の各歯
車の歯先等を損傷させる危険性が生じる。
【0035】しかしながら、この第1の実施の形態の引
き出し部材駆動装置1では、移動体28の戻り行程にお
いて、ラック歯部24と間欠送り歯部17bとが係合し
ないための制御が以下のように行われる。まず、引き出
し部材駆動装置1では、第1引き出し部材3の前方への
移動が完了しDCモータ8を停止させると、その直後に
DCモータ8を一旦逆回転させる。このDCモータ8の
逆回転は、手動による第1引き出し部材3の戻し動作に
備えて、第2駆動部としての回転ローラー7の回転中心
となるローラー軸部19と第2駆動車18との係合を予
め離脱させるためのものとなっている。
【0036】このように回転ローラー7と第2駆動車1
8とが離脱するまでDCモータ8を逆回転させると、第
1駆動車17もDCモータ8の逆回転に伴い逆回転す
る。この第1の実施の形態の引き出し部材駆動装置1で
は、この第1駆動車17の逆回転の回転位置を検出し、
間欠送り歯部17bの各歯がラック歯部24と係合しな
い位置にきたときにDCモータ8を停止させ、第1駆動
車17をラック歯部24と係合させないようにするもの
となっている。
【0037】すなわち、第1駆動車17のケーシング1
0のケース半体10bと対向する位置の一部には、第1
駆動車17の回転位置を検出するための位置検出用マグ
ネット35が埋設されている。一方、ケーシング10の
ケース半体10bには、位置検出用マグネット35の磁
力を検出し第1駆動車17の回転位置を検出するホール
IC36が設置固定されている。このホールIC36
は、回路パターン36a,36b及びリード線37a,
37bを介してDCモータ8を制御駆動する制御部13
に接続されている。これによって、ホールIC36で検
出された第1駆動車17の位置情報は、制御部13に伝
送されるようになる。なお、ホールIC36は、回路パ
ターン36c及びリード線37cを介して電源Vcc
(図示省略)に接続されている。
【0038】なお、制御部13は、ホールIC36から
の位置情報に基づいて間欠送り歯部17bがラック歯部
24と係合しない位置にきたときにDCモータ8を停止
させる。これによって、第1駆動車17は、間欠送り歯
部17bの各歯がラック歯部24と係合しない位置とな
るように停止する。なお、第1駆動車17の回転位置を
検出するための検出手段としてホールIC36を設けた
が、ホールIC36の代わりに、例えば光電素子を用い
たもの等、適宜他の構成の位置検出手段を用いてもよ
い。
【0039】上述したように第1の実施の形態の引き出
し部材駆動装置1では、ラック部材6は、第1駆動車1
7と係合することなく原位置まで戻されるようになって
いる。すなわち、第1引き出し部材3を手動によって、
第1収納スペース4へ戻した際に、その力がDCモータ
8方向へは伝わらないようになっている。
【0040】しかしながら、ホールIC36の故障やそ
の他の原因で第1駆動車17の回転位置検出ができない
等の理由によって、間欠送り歯部17bがラック歯部2
4と係合する位置で停止してしまった場合、移動体28
は矢示B方向へ戻るときに第1駆動車17と係合してし
まう。このように移動体28の移動によって第1駆動車
17が回転してしまうと、その回転がさらに伝達歯車1
6を介して減速歯車体15に伝達される。しかしなが
ら、減速歯車体15は、上述したようにクラッチバネ1
5cを有しているので、その回転力が所定トルク以上の
場合、クラッチバネ15cが滑って一体回転しない。結
果、第1引き出し部材3が手動により強い力で第1収納
スペース4に戻されても、その力がDCモータ8側へ伝
達されることはなく、送り歯車15bが空回りし、歯車
輪列9の各歯車の歯先等が損傷してしまうことが防止さ
れる。
【0041】一方、手動で第1引き出し部材3を第1収
納スペース4へ戻す際に、完全に戻り切らず、ラック歯
部24が間欠送り歯部17bの回転軌跡内で少しずれた
状態で停止しているような場合に、第1駆動車17が回
転駆動されると、ラック歯部24の歯の先端が間欠送り
歯部17bの先端部分とぶつかりあってメカロックが生
じる危険性がある。また、間欠送り歯部17bがラック
歯部24の戻り行程中に停止している状態で、移動体2
8が原位置方向へ戻された場合も、ラック歯部24の歯
の先端が間欠送り歯部17bの先端部分とぶつかりあっ
てメカロックが生じる危険性がある。しかし、この第1
の実施の形態では、メカロックの危険性を少なくする構
成としている。すなわち、ラック歯部24の各々の歯の
先端には、図6に示すように、傾斜面24aが形成され
ており、ラック歯部24の歯の先端と間欠送り歯部17
bの歯の先端とがぶつかった際に間欠送り歯部17bが
滑って次の歯との谷間に落ち込むようになっている。こ
れによって、移動体28は第1駆動車17とスムーズに
係合するようになっている。
【0042】一方、第2駆動車18は、伝達歯車16と
第2駆動部としての回転ローラー7の回転中心となるロ
ーラー軸部19との間に設けられている。そして、第2
駆動車18は、DCモータ8の駆動力を、ローラー軸部
19を介して、第2駆動部としての回転ローラー7に伝
達するためのものとなっている。
【0043】第2駆動車18は、伝達歯車16の大径歯
部16aと常時係合している歯車部18aと、この歯車
部18aの略中央部分から軸方向に延設された軸部18
bとから構成されている。この第2駆動車18の回転中
心部分には、軸部18bの端面から歯車部18aの端面
へ挿通するように形成された挿通孔18cが設けられて
いる。そして、この挿通孔18cの内側には、一方のケ
ース半体10aに設けられた閉塞長孔10d及び他方の
ケース半体10bに設けられた閉塞長孔10eに両端を
移動可能に支承された揺動軸38が挿通されている。こ
の構成により第2駆動車18は、揺動軸38が両閉塞長
孔10d,10e内を移動可能な範囲で、固定軸23を
中心とする周方向に自在に移動出来るものとなってい
る。これによって、第2駆動車18は、回転ローラー7
の回転中心となるローラー軸部19の第1歯車39と係
合離脱自在となっている。
【0044】なお、伝達歯車16及び第2駆動車18の
軸方向上下には、軸方向に離れた位置同士で重なるよう
に配置された2枚の揺動ディスク40a,40bが備え
られている。これらの揺動ディスク40a,40bは、
それぞれ伝達歯車16及び第2駆動車18に対して僅か
な摩擦係合があるものの基本的にはフリーな状態で、伝
達歯車16及び第2駆動車18の双方を挟むように設け
られている。この揺動ディスク40a,40bは、伝達
歯車16の回転中心となる固定軸23を支点とし、第2
駆動車18に挿通された揺動軸38側が振られるものと
なっている。すなわち、揺動ディスク40a,40bの
支点となる側は、固定軸23に回動自在に挿通されてい
ると共に、揺動する側には、略中心部にそれぞれ両ケー
ス半体10a,10b内を移動可能な揺動軸38を挿通
する挿通孔40c,40dが形成されている。
【0045】上述したように設けられた揺動ディスク4
0a,40bは、伝達歯車16の回転方向に応じて揺動
する。このように揺動ディスク40a,40bが揺動す
ると、第2駆動車18は、揺動ディスク40a,40b
との間の摩擦力により、揺動ディスク40a,40bの
移動した方向へ移動する。すなわち、伝達歯車16が図
2において矢示C方向に回転すると、揺動ディスク40
a,40bは図2において実線で示した位置へ移動す
る。この動作に応じて、第2駆動車18も実線で示した
位置へ移動する。これによって、第2駆動車18は、ロ
ーラー軸部19の第1歯車39へ係合する。
【0046】また、逆に伝達歯車16が図2において矢
示D方向へ回転すると、揺動ディスク40a,40bは
図2において点線で示した位置へ移動する。この動作に
応じて、第2駆動車18も点線で示した位置へ移動す
る。これによって、第2駆動車18は、ローラー軸部1
9の第1歯車39との係合が外れる。なお、第2駆動車
18は、ローラー軸部19との係合が外れた状態では、
自重により鉛直方向に垂れ下がった位置、すなわち図2
において一点鎖線で示した位置で保持されるものとな
る。
【0047】上述した構成により、第1引き出し部材3
を押し出す通常の動作の場合には、第2駆動車18は、
回転ローラー7の回転中心となるローラー軸部19へ係
合する。そして、第1引き出し部材3を押し出す動作が
終了した後直ちに、上述したようにDCモータ8を逆回
転させることにより伝達歯車16を逆回転させて、第2
駆動車18をローラー軸部19と係合しない位置へ移動
させる。これによって、第1引き出し部材3がその後手
動で戻されることがあっても、その力が回転ローラー7
からローラー軸部19を介して第2駆動車18へ伝達さ
れず、メカ機構内に入力されないようになっている。
【0048】しかしながら、何等かの理由で制御部13
が正常に機能せず、DCモータ8の逆回転がなされなか
った場合は、第2駆動車18はローラー軸部19と係合
したままの状態となってしまう。このような場合もこの
第1の実施の形態の引き出し部材駆動装置1では、第1
引き出し部材3を手動により閉方向へ押し戻すと、以下
に示す動作過程を経て、結局第2駆動車18とローラー
軸部19との係合が外れるようになっている。
【0049】すなわち、第1引き出し部材3を手動によ
り図2において矢示B方向に移動させると、回転ローラ
ー7が矢示E方向に回転し、この回転に伴って第2駆動
車18が矢示F方向へ回転する。すると、第2駆動車1
8と係合している伝達歯車16が、矢示D方向へ回転す
る。このように伝達歯車16が矢示D方向へ回転する
と、揺動ディスク40a,40bが実線位置から点線位
置へ移動する。この揺動ディスク40a,40bの揺動
に伴い、第2駆動車18も実線位置から点線位置へ移動
し、第2駆動車18とローラー軸部19の第1歯車39
との係合が外れる。このように、第1の実施の形態の引
き出し部材駆動装置1は、手動により第1引き出し部材
3を矢示B方向へ移動させる際には、その際に発生する
回転ローラー7の回転が歯車輪列9の各部に伝達されな
いものとなっている。このため、歯車輪列9の各歯車の
歯が破損する等の問題が生じない。
【0050】なお、この構成により、DCモータ8の無
通電時に第1引き出し部材3を手動により引き出す場合
もかなりスムーズに引き出すことが出来る。すなわち、
無通電時に第1引き出し部材3を手動により図2におい
て矢示A方向に移動させると、回転ローラー7が矢示
E’方向に回転する。この回転は、第2駆動車18とロ
ーラー軸部19との係合が外れるような力を発生する。
このため、第2駆動車18と回転ローラー7とは係合が
外れ、引き出し動作はメカ機構の抵抗がなく、かなりス
ムーズに行うことが出来る。
【0051】回転ローラー7の回転中心としてのローラ
ー軸部19は、図4,図7及び図8に示すように、第2
駆動車18の歯車部18aと係脱自在な第1歯車39
と、初期位置(DCモータ8の非駆動時)において、第
1歯車39に回転方向に所定の角度の遊び空間41をも
って遊嵌されると共に外周面42aに回転ローラー7を
一体的に固定した介在回転体42と、第1歯車39と介
在回転体42とが対向する空間43内に配置された捩じ
りバネ44と、から主に構成されている。
【0052】第1歯車39は、第2駆動車18の歯車部
18aと係合する歯車部39aと、歯車部39aの一方
の面の回転中心部分より延出されるように形成された筒
状の軸部39bと、歯車部39aの介在回転体42との
対向面側、すなわち空間43側に設けられた突き当たり
部39cおよび突起部39dと、を有している。この第
1歯車39は、ケーシング10に両端を嵌合固定された
固定軸46に筒状の軸部39bを挿通させることによっ
て、固定軸46に回転自在に支承されている。この構成
により、係合した第2駆動車18がDCモータ8の駆動
力によって回転すると、この回転を受けて第1歯車39
が回転するようになっている。
【0053】また、第1歯車39の突起部39dには、
捩じりバネ44の一端が係止されている。この捩じりバ
ネ44の他端は、介在回転体42の突起部47aに係止
されている。そのため、第1歯車39が第2駆動車18
の回転を受けて回転した後、DCモータ8の駆動が停止
すると、捩じりバネ44の弾性力によって第1歯車39
と介在回転体42との位置関係が初期位置となるように
復帰する。すなわち、捩じりバネ44は、DCモータ8
を停止させることにより第1歯車39と介在回転体42
との位置関係を所定の遊び空間41を持たせる状態とす
るように作動する復帰手段となっている。
【0054】一方、介在回転体42は、第1歯車39の
軸部39bに遊嵌される筒状の遊嵌部48と、回転ロー
ラー7の内周面7aを接着固定する外周面42aを有す
る筒状の固定部49と、遊嵌部48と固定部49との連
結部50と、連結部50の第1歯車39との対向面側に
形成された円弧状の溝部51と、この溝部51の一部を
埋めた位置に形成された被突き当たり部47と、その被
突き当たり部47に形成された小さな突起47aと、を
有している。
【0055】このように構成されたローラー軸部19
は、DCモータ8の駆動初期において、第2駆動車18
が回転すると、突起部39dが捩じりバネ44を巻き締
める方向に第1歯車39は回転する。このとき突き当た
り部39cも一体的に回転していく。すなわち、突き当
たり部39cは、遊び空間41内をフリーな状態で回転
する。そして、この突き当たり部39cが、第1歯車3
9と一体的に所定角度、具体的には約270°回転する
と介在回転体42の被突き当たり部47に当接する。こ
れによって、第1歯車39と介在回転体42とが一体的
に回転を始める。すなわち、ローラー軸部19は、初期
動作時においては、DCモータ8の駆動力を回転ローラ
ー7に伝達せず、第1歯車39が所定角度回転するまで
の時間、遅延してからその駆動力を回転ローラー7に伝
達する遅延手段となっている。
【0056】なお、ローラー軸部19は、第1歯車39
が所定角度回転することにより第1歯車39の回転を受
けて介在回転体42が第1歯車39と一体的に回転する
と、介在回転体42は、この回転力を第2駆動部として
の回転ローラー7へ伝達する。これによって、DCモー
タ8の駆動力が、回転ローラー7へ伝達され、回転ロー
ラー7が回転するようになっている。このようにして、
回転ローラー7を駆動し第1引き出し部材3を外方へス
ライド移動させた後、DCモータ8を駆動停止すると、
ローラー軸部19は、第1歯車39と介在回転体42と
の位置関係を捩じりバネ44の付勢力によって初期位置
に戻すようになっている。なお、本実施の形態では、第
1歯車39が介在回転体42と一体回転を始めるまでの
所定の回転角度を270°としたが、この角度に関して
は任意に設定してもよい。
【0057】第2駆動部としての回転ローラー7は、図
2,図4及び図9に示すように、ローラー軸部19の介
在回転体42の外周面42aに接着固定される内周面7
aと、外周側に形成されたゴム製の歯部7bから構成さ
れている。この回転ローラー3は、第2駆動車18の回
転を受けてローラー軸部19の第1歯車39と介在回転
体42とが一体回転をすると、この介在回転体42と共
に回転するものとなっている。
【0058】なお、歯部7bは、ケーシング10に設け
られた溝部52からその外周の一部がケーシング10の
外側に突出するように配置されている。そして、この歯
部7bは、第1引き出し部材3の側面部3cの上面に形
成された受け歯(図示省略)に係合するようになってい
る。このため、回転ローラー7が回転すると、第1引き
出し部材3を歯部7bによって送り、冷蔵庫2本体の前
方へスライド移動させるようになっている。
【0059】なお、この第1の実施の形態では、歯部7
bによって第1引き出し部材3を冷蔵庫2の本体の前方
へ送るようにしているが、例えば、歯部7bを設けず、
回転ローラー7を外周面が円形のゴム製で形成されたゴ
ムローラーとしたり、歯部7bをゴム製ではなく金属製
や樹脂製としてもよい。
【0060】円形のゴム製ローラーとした場合、回転ロ
ーラー7は、その外周面を第1引き出し部材3へ圧接さ
せるように配置し、第1引き出し部材3を摩擦力によっ
て送るようにする。なお、いずれの方法においても、こ
の第2駆動部となる回転ローラー7の駆動力、すなわち
回転ローラー7の回転によって第1引き出し部材3を前
方へ送る駆動力は、第1駆動部となるラック部材6によ
る駆動力に比して弱いものとするのが好ましい。
【0061】すなわち、本実施の形態の引き出し部材駆
動装置1では、吸着用マグネット5で第1収納スペース
4内に位置保持された第1引き出し部材3を、大きい駆
動力のラック部材6で前方に押して位置保持を解除させ
た後、小さい駆動力の回転ローラー7でゆっくりスライ
ド移動させる。このように構成すれば、人が引き出しを
手前に手動で引こうとした際に、モータ駆動により突然
強い力で駆動されることがないので、安全な引き出し部
材駆動装置1とすることができる。
【0062】なお、回転ローラー7の近傍には、第1引
き出し部材3が完全に引き出された場合、すなわち第1
引き出し部材3が終端まで移動させられたことを検出す
るためのホールIC53が設けられている。ホールIC
53は、ケーシング10に設けられた窓54によって、
第1引き出し部材3の側面部3cの上面に対向してい
る。一方、第1引き出し部材3の側面部3cの上面の終
端部分には、ホールIC53へ信号を送るためのマグネ
ット(図示省略)が設置されている。このホールIC5
3は、回路パターン36d,36f及びリード線37
b,37dを介してDCモータ8を制御駆動する制御部
13に接続されている。
【0063】このように構成されたホールIC53は、
第1引き出し部材3が終端まで移動したことを検出する
と、その検出信号を制御部13へ送る。そして、制御部
13は、ホールIC53から送られてきた信号にしたが
ってDCモータ8を停止させる。なお、このホールIC
53は、終端検知だけでなく、その他の検知、例えば、
引き出し部材の引き出し量等の検知にも使用出来るもの
となっている。
【0064】なお、ホールIC53は、回路パターン3
6e及びリード線37bを介して電源Vcc(図示省
略)に接続されている。すなわち、電源Vcc(図示省
略)及びこの電源VccとホールIC53とを接続する
リード線37c並びに制御部13のグランド(図示省
略)とホールIC53とを接続するリード線37bは、
前述したホールIC36用のものと共用となっている。
【0065】さらに、この引き出し部材駆動装置1は、
上述したように第1引き出し部材3を冷蔵庫2本体の前
方へのみ駆動する装置となっている。したがって、この
引き出し部材駆動装置1は、回転ローラー7によって第
1引き出し部材3を完全に前方へ駆動した後は、人が手
動によって第1引き出し部材3を第1収納スペース4内
へ戻すものとなっている。そして、手動によって第1引
き出し部材3を第1収納スペース4側へ戻すと、第1引
き出し部材3は回転ローラー7を回転させながら移動し
第1収納スペース4まで戻ることとなる。
【0066】なお、上述したように、第1引き出し部材
3を前方へ移動させた後、DCモータ8を逆回転させる
ことにより、第2駆動車18は、揺動ディスク40a,
40bと共に、回転ローラー7から離れる方向へ移動す
る。このため、手動によって第1引き出し部材3が矢示
B方向へ戻されるときには、第2駆動車18との係合が
外れた回転ローラー7は、空回りすることとなる。この
構成により、人は手動によって容易に第1引き出し部材
3を第1収納スペース4へ戻すことができる。
【0067】また、ケーシング10は、2つのケース半
体10a,10bから構成され、上述したように、第1
駆動部としてのラック部材6、第2駆動部としての回転
ローラー7、駆動源としてのDCモータ8及び歯車輪列
9等を内部に収納する箱形状のものとなっている。この
ケーシング10の内部には、ラック部材6及び回転ロー
ラー7へDCモータ8の駆動力を伝達するための歯車輪
列9の各歯車をそれぞれ回転自在に支承する固定軸2
3,25,46が立設されている。なお、固定軸46に
支承されたローラー軸部19には、回転ローラー7が一
体的に固定されている。これらの固定軸23,25,4
6は、歯車部分と一体回転する回転軸としても良い。ま
た、一方のケース半体10aには、揺動軸38の一端を
移動可能に支承する閉塞長孔10dが設けられている。
さらに、他方のケース半体10bには、揺動軸38の他
端を移動可能に支承する閉塞長孔10eが設けられてい
る。
【0068】上述したように構成された第1の実施の形
態の引き出し部材駆動装置1は、冷蔵庫2の第1引き出
し部材3を駆動するために、冷蔵庫2に取り付けられ
る。なお、引き出し部材駆動装置1は、ケーシング10
の外側に設けられた固定部1a,1aに設けられた固定
用ねじ孔1b,1bにネジ(図示省略)を挿通させるこ
とによって、冷蔵庫2の仕切り55に着脱自在にネジ止
め固定されるようになっている。
【0069】図1及び図10に示すように、冷蔵庫2
は、飲料製品等の冷蔵保存の必要な食品類を保存するた
めの冷蔵室56と、冷凍食品等を収納するための第1引
き出し部材3用の第1収納スペース4と、野菜等の食品
等を収納するための第2引き出し部材57用の第2収納
スペース58の3つの室を有する筐体となっている。そ
して、冷蔵室56と第1収納スペース4との間には仕切
り55が、第1収納スペース4と第2収納スペース58
との間には仕切り59がそれぞれ設けられている。
【0070】なお、この冷蔵庫2は、2つの引き出し部
材3,57のうち上段に設けられた第1引き出し部材3
のみを、上述した引き出し部材駆動装置1で駆動するも
のとなっているが、双方の引き出し部材3,57もしく
は下段に設けられた第2引き出し部材57のみを引き出
し部材駆動装置1で駆動するものとしても良い。また、
冷蔵庫2は、2つの引き出し部材3,57を有する筐体
となっているが、引き出し部材は1つでもまた3つ以上
でも良い。また、引き出し部材が3つ以上設置されてい
る場合、引き出し部材駆動装置1を引き出し部材の数と
同じ数だけ配置し、全ての引き出し部材をそれぞれ駆動
するようにしても良いし、また一部の引き出し部材のみ
を駆動するように引き出し部材駆動装置1を配置しても
良い。
【0071】冷凍室としての第1収納スペース4は、冷
蔵庫2のほぼ中央に配置され、上面となる仕切り55、
底面となる仕切り59、奥面4b、両側面4c,4cで
閉塞され、前面部分が開放口60となっている空間で形
成されている。この第1収納スペース4に収納される第
1引き出し部材3は、前面部3aと、奥面部3bと、両
側面部3c,3cと、底面部3dとを有し、上面部分が
開放された箱型で形成されている。
【0072】なお、前面部3aは、第1引き出し部材3
が第1収納スペース4に収納された際に、開放口60を
完全に密閉するように、底面部3d側、両側面部3c,
3c側及び上面側に突出して形成されている。さらに、
前面部3aの開放口60と当接する部分には、第1引き
出し部材3を第1収納スペース4内にしっかり位置保持
するための吸着用マグネット5が設けられている。この
構成によって、第1引き出し部材3は第1収納スペース
4内に完全に収納された状態のとき、この第1収納スペ
ース4内で位置保持される。この結果、第1収納スペー
ス4は、完全に密閉されるようになっている。なお、前
面部3aの下端部分には、第1引き出し部材3を開ける
際に人が指を掛けて手前に引くための切欠き状の引き用
把手3eが設けられている。
【0073】そして、第1引き出し部材3は、第1収納
スペース4より引き出した状態で上面部分の開放された
部位から冷凍食品等を出し入れするようになっている。
なお、第1収納スペース4の上部の仕切り部分には、冷
凍室内の室温を検出する温度センサー3fが設けられて
いる。
【0074】上述したように構成された第1引き出し部
材3は、人が前面部3aの引き用把手3eに指を掛ける
ことにより、引き出し部材駆動装置1のDCモータ8が
起動し、このDCモータ8の駆動力によって前方へ引き
出される自動式の引き出し部材となっている。なお、引
き出し部材駆動装置1は、この第1引き出し部材3の一
方の側面部3cの上側で、かつ開放口60に近い位置と
なる仕切り55に取り付けられている。
【0075】また、第1引き出し部材3の引き用把手3
eには、人が第1引き出し部材3を引き出そうとしてい
ることを検知するタッチセンサー61が設置されてい
る。このタッチセンサー61は、図11に示すように、
制御部13に接続される。この制御部13には、引き出
し部材駆動装置1のDCモータ8及び2つのホールIC
36,53も接続され、DCモータ8を制御したり、タ
ッチセンサー61からの信号が入力したり、あるいはホ
ールIC36,53からの信号が入力したりする。そし
て、制御部13は、これらの信号に基づき、引き出し部
材駆動装置1を駆動または停止させる。
【0076】なお、制御部13は、タッチセンサー61
からの信号を受けると、DCモータ8に電力を供給す
る。すると、第1駆動部としてのラック部材6が動作を
開始する。そして、所定時間遅延された後、第2駆動部
としての回転ローラー7が動作を開始する。そして、回
転ローラー7により第1引き出し部材3を完全に前方へ
スライド移動してしまった後は、制御部13は、DCモ
ータ8を停止させる。
【0077】このように構成したため、駆動初期のラッ
ク部材6のみを駆動する際に、トルクの弱い回転ローラ
ー7側の駆動機構に何らかの負荷がかかって回転ローラ
ー7を停止させようとする力が加わったとしても、回転
ローラー7はその時点で駆動されておらず、そのためD
Cモータ8をロックさせる力が働かない。このため、回
転ローラー7側に多少の外的な負荷がかかっても、モー
タロックしてラック部材6までもが影響を受けるという
ことがない。
【0078】なお、上述したように、第1駆動部として
のラック部材6での動作が終了、すなわちラック部材6
の駆動力によって第1引き出し部材3が第1収納スペー
ス4から押し出された後も、回転ローラー7で第1引き
出し部材3をスライド移動させるために、DCモータ8
は継続して駆動される。このとき、第1駆動車17は回
転するものの空回り状態となる。一方、第2駆動部とし
ての回転ローラー7は駆動され続け、この回転ローラー
7の駆動力によって第1引き出し部材3がゆっくり前方
へ送られる。そして、制御部13は、ホールIC53か
ら送られてくる停止検知信号によって、DCモータ8を
停止させる。このように引き出し部材駆動装置1は、制
御部13の制御により第1引き出し部材3を駆動するよ
うになっている。
【0079】なお、停止検知信号は、第1引き出し部材
3が移動している間は定期的に信号を発生させ、停止す
るとその信号が途絶えることにより検知したり、移動し
ているときと停止したときの信号を比較して検知したり
することが出来る。また、停止検知に加え、第1引き出
し部材3の完全引き出し状態や完全押し戻し状態を検知
する終端検知を行うようにしても良い。
【0080】なお、このように構成された第1引き出し
部材3は、内部に物品がたくさん入っていると相当に重
いものとなる。そのため、引き出し部材駆動装置1によ
って、第1引き出し部材3を開状態から閉状態へも駆動
するように構成されていると、人が手動で閉めようとし
たとき、指を前面部3aと開放口60との間に挟んだり
して危険である。そのため、第1引き出し部材3の前方
への引き出し動作を終了し、さらにDCモータ8を少し
だけ逆回転させた後には、引き出し部材駆動装置1は無
通電状態となる。すなわち、第1引き出し部材3は、第
1収納スペース4内へ押し込む場合は、人が手動で戻す
ものとなっている。なお、負荷を検知してモータの動き
を止める等の工夫を施すことによって、戻り動作時も引
き出し部材駆動装置1によって動作させるようにしても
良い。
【0081】次に、上述した第1の実施の形態の引き出
し部材駆動装置1を用いて、冷蔵庫2の第1引き出し部
材3を開ける動作について以下に説明する。なお、第1
引き出し部材3は、第1収納スペース4内に収納され、
吸着用マグネット5によって第1収納スペース4内に位
置保持されているものとする。
【0082】人が冷蔵庫2の冷凍室内の第1引き出し部
材3を開けようとして、前面部3aの下端部分にある引
き用把手3eに手を触れると、引き用把手3eに設けら
れたタッチセンサー61がこの接触を検知して信号を制
御部13に伝達する。すると、制御部13からリード線
8a,8bを介して引き出し部材駆動装置1の第1駆動
部としてのラック部材6及び第2駆動部としての回転ロ
ーラー7の双方を駆動するDCモータ8に命令信号が入
力される。
【0083】DCモータ8に命令信号が入力されると、
DCモータ8の回転軸8cとウォーム部14とが一体的
に回転する。ウォーム部14が回転すると、この回転
は、減速歯車体15を介して伝達歯車16に伝達され、
伝達歯車16が図2において矢示C方向に回転する。そ
して、この伝達歯車16の回転は、第1駆動車17と第
2駆動車18の双方に伝達される。このとき、第1駆動
車17は、矢示G方向に回転する。一方、第2駆動車1
8は、矢示F’方向に回転しながら、揺動ディスク40
a,40b及び揺動軸38と共に回転ローラー7側に振
られる。第2駆動車18は、この状態においては、回転
ローラー7の回転中心となるローラー軸部19の第1歯
車39と係合している。
【0084】なお、第1引き出し部材3が第1収納スペ
ース4内に収納された状態では、第1駆動車17の間欠
送り歯部17bの回転軌道内にラック部材6のラック歯
部24がきているので、第1駆動車17が矢示G方向に
回転するとラック部材6は第1駆動車17と係合しなが
ら矢示A方向へ移動する。これによって、プッシュ棒2
9も移動体28と一体的に矢示A方向に移動し、プッシ
ュ棒29の先端部分が第1引き出し部材3の前面部3a
を押し出す。
【0085】このように第1引き出し部材3は、引き出
し部材駆動装置1の第1駆動部としてのラック部材6の
駆動力によって吸着用マグネット5の位置保持力に抗し
て、冷蔵庫2の前方へ押し出される。なお、このように
ラック部材6で第1引き出し部材3を押し出している間
は、他方の駆動部である回転ローラー7は駆動されな
い。回転ローラー7は、後述するように所定時間遅延し
てから駆動が開始される。
【0086】なお、ラック部材6が矢示A方向へ移動す
ることによって、第1引き出し部材3を第1収納スペー
ス4から前方へ少し押し出した後は、ラック歯部24と
第1駆動車17との係合が外れる。そのため、DCモー
タ8の駆動力によって回転している第1駆動車17は空
回りすることとなる。このとき、ラック部材6は、嵌合
部33がケーシング10に設けられた弾性凸部32に嵌
まり込むことによって前方位置にて位置保持される。
【0087】一方、第2駆動車18は、伝達歯車16の
矢示C方向への回転によって、ローラー軸部19の第1
歯車39と係合しながら矢示F’方向へ回転する。する
と、第1歯車39が、図2において矢示E’方向へ回転
する。このとき、第1歯車39の突起部39dが、捩じ
りバネ44をその付勢力に抗して巻き締めながら、第1
歯車39が回転することにより、突き当たり部39cが
遊び空間41内を移動する(図7及び図8参照)。そし
て、第1歯車39が、約270°回転したときに、突き
当たり部39cの前端が介在回転体42の被突き当たり
部47に当接する。なお、突き当たり部39cが遊び空
間41内をフリーで移動している間は、ローラー軸部1
9の介在回転体42は、回転しないままの状態となって
いる。そして、突き当たり部39cが被突き当たり部4
7と当接した後も、第1歯車39が回転することによ
り、介在回転体42は、第1歯車39と一体的に回転す
る。
【0088】これによって、介在回転体42の外周面4
2aに固定された回転ローラー7が、矢示E’方向に回
転する。なお、回転ローラー7の外周には歯部7bが設
けられており、この歯部7bは第1引き出し部材3の側
面部3cの上面に設けられた受け歯(図示省略)と係合
している。この結果、第1引き出し部材3は、回転ロー
ラー7の駆動力によって冷蔵庫2の前方へスライド移動
する。
【0089】上述したような構成により、DCモータ8
の駆動初期においては、回転ローラー7にはDCモータ
8の駆動力が伝達されず、所定時間遅延させてから伝達
される。これによって、第1引き出し部材3は、第1駆
動部としてのラック部材6の駆動力によって吸着用マグ
ネット5の位置保持力に抗して、冷蔵庫2の前方へ押し
出された後、第2駆動部の回転ローラー7の駆動力によ
ってさらに前方へスライド移動することとなる。
【0090】そして、第1引き出し部材3が回転ローラ
ー7によって終端まで引き出されると、終端検知手段と
してのホールIC53がこれを検出する。このホールI
C53は、第1引き出し部材3が終端まで移動したとい
う情報を回路パターン36d及びリード線37dを介し
て制御部13に伝送する。これによって制御部13は、
DCモータ8を停止させ、第1引き出し部材3の前方へ
の駆動を終了させる。
【0091】このとき、回転ローラー7の回転中心とな
るローラー軸部19は、第1歯車39と介在回転体42
との位置関係を初期位置に復帰させる。すなわち、DC
モータ8が停止すると、第1歯車39の突起部39d及
び介在回転体42の突起部47aに両端が係止された捩
じりバネ44の弾性力により、第1歯車39と介在回転
体42の位置関係が元の位置に戻される。これによっ
て、ローラー軸部19は、通電前の元の状態に復帰す
る。
【0092】また、制御部13は、DCモータ8を停止
させた後、直ちにDCモータ8を逆回転させる。このD
Cモータ8の逆回転は、ウォーム部14及び減速歯車体
15を介して伝達歯車16に伝達する。そして、伝達歯
車16が逆回転、すなわち図2において矢示D方向に回
転すると、揺動ディスク40a,40bが点線位置方向
へ振られ、これに伴い第2駆動車18は揺動軸38と共
に点線位置へ移動する。このため第2駆動車18と回転
ローラー7の回転中心となるローラー軸部19との係合
が外れ、第2駆動車18は自重によって点線位置で位置
保持される。
【0093】一方、伝達歯車16の矢示D方向への回転
は、第2駆動車18と同時に第1駆動車17にも伝達さ
れ、第1駆動車17も逆方向、すなわち図2において時
計方向に回転する。この第1駆動車17の逆回転時の回
転位置は、ホールIC36によって検出されている。そ
して、ホールIC36は、第1駆動車17の回転位置情
報を、回路パターン36a及びリード線37aを介して
制御部13に伝送する。
【0094】制御部13は、ホールIC36から送られ
てくる第1駆動車17の回転位置情報に基づいて、間欠
送り歯部17bがラック歯部24の軌道内に入っていな
い位置、すなわち第1駆動車17が移動体28と係合し
ない位置にあるときに、DCモータ8を停止させ、第1
駆動車17の逆回転駆動を停止する。これによって、ラ
ック部材6は、第1駆動車17と係合することなく原位
置に戻ることが可能となる。なお、第1引き出し部材3
は、上述したように引き出し部材駆動装置1によって前
方へ引き出された後、元の第1収納スペース4へ戻す際
は、人が手動によって行うものとなっている。
【0095】なお、ホールIC36,53もしくは制御
部13の故障やその他種々の理由により、人が手動で第
1引き出し部材3を図2において矢示B方向に戻す際
に、第2駆動車18とローラー軸部19との係合が解除
されていない場合、回転ローラー7の矢示E方向の回転
が第2駆動車18へ伝達され、第2駆動車18が矢示F
方向へ回転する。すると、この第2駆動車18の回転を
受けて伝達歯車16が、矢示D方向に回転する。この結
果、伝達歯車16の矢示D方向への回転を受けて、揺動
ディスク40a,40b及び第2駆動車18が、図2に
おける実線位置より点線位置へ振られる。このため、第
2駆動車18とローラー軸部19との係合が外れ、回転
ローラー7は空回りをし、この回転ローラー7の回転力
は歯車輪列9の各歯車へ伝達されないものとなる。この
ように回転ローラー7が、空回りをするため、第1引き
出し部材3は容易に手動により矢示B方向へ動かされる
こととなる。
【0096】なお、第2駆動車18が回転ローラー7と
の係合状態から外れると、その重力によってその状態
(図2の一点鎖線で示すように下方に垂れ下がった状
態)を継続する。このため、回転ローラー7のローラー
軸部19は、その後、第2駆動車18と係合することな
く矢示E方向に空回り状態で回転し続けることが出来
る。また、DCモータ8が駆動を開始する際、この垂れ
下がった状態から動き始めるため、最初の動きは、第1
駆動部からとなり、僅かに遅れて第2駆動部が動作を開
始することとなる。
【0097】なお、第1引き出し部材3を手動によっ
て、矢示B方向へ戻す際に、回転ローラ7が空回りをし
始めるまでの少しの時間ではあるが、伝達歯車16が矢
示D方向へ回転する。そして、この伝達歯車16の回転
は、減速歯車体15へ伝達される。しかしながら、減速
歯車体15は、この回転を受けた際、大きなトルクが減
速歯車体15に加わることとなる。しかし、クラッチバ
ネ15cがあり、この大きなトルクが加わるとこのクラ
ッチバネ15cが滑って、送り歯車15bが空転し、歯
車輪列9の各歯車の歯先等が損傷しないようになってい
る。
【0098】一方、第1引き出し部材3が完全に第1収
納スペース4内に収納される寸前に、第1引き出し部材
3の前面部3aはラック部材6のプッシュ棒29に当接
する。すると、ラック部材6は、弾性凸部32の位置保
持を解除し、さらに原位置まで移動する。
【0099】なお、上述した第1の実施の形態における
引き出し部材駆動装置1は、第2駆動部としての回転ロ
ーラー7の回転中心に遅延手段としてのローラー軸部1
9を設け、回転ローラー7への駆動力の伝達を、ラック
部材6への駆動力の伝達より遅延させて伝達する構成を
有しているが、他の構成によって遅延動作を実現させる
ようにしてもよい。以下に、他の構成により第2駆動部
への伝達を第1駆動部への伝達より遅延させた引き出し
部材駆動装置の例を、図12及び図13に基づいて第2
の実施の形態として説明する。なお、この第2の実施の
形態の引き出し部材駆動装置を取り付ける冷蔵庫は、第
1の実施の形態のものと同様となるので、冷蔵庫に関し
ては符号は同一のものを使用する。
【0100】第2の実施の形態の引き出し部材駆動装置
101は、第1の実施の形態と同様、図1に示す筐体と
しての冷蔵庫2に備えられた第1引き出し部材3を、冷
蔵庫2の本体前方へ自動的に引き出すための装置となっ
ている。
【0101】引き出し部材駆動装置101は、図12に
示すように、第1引き出し部材3を吸着用マグネット5
の位置保持力に抗して第1収納スペース4より冷蔵庫2
の前方へ押し出す第1駆動部としてのラック部材106
と、ラック部材106で押し出された第1引き出し部材
3を冷蔵庫2の前方へスライド移動させる第2駆動部と
しての回転ローラー107と、これらの2つの駆動部へ
駆動力を供給する1つの駆動源となるDCモータ108
と、DCモータ108の駆動力をラック部材106及び
回転ローラー107の双方へ伝達する歯車輪列109
と、これらを内部に収納するケーシング110と、を有
している。
【0102】双方向回転可能なDCモータ108には、
リード線108a,108bの一端が各々接続されてい
る。これらのリード線108a,108bは、ケーシン
グ110に設けられた切欠き112内を通して他端側を
外部に出している。そして、ケーシング110の外部に
導出されたリード線108a,108bの他端は、それ
ぞれDCモータ108を制御するための制御部113に
接続されている。これによって、DCモータ108は、
制御部113に制御駆動されるようになっている。
【0103】DCモータ108の正逆双方向への駆動力
は、ウォーム部114を介して歯車輪列109に伝達さ
れる。なお、DCモータ108は、駆動初期は正方向へ
駆動される。この駆動初期の正方向の駆動力は、歯車輪
列109を介して第1駆動部としてのラック部材106
に伝達されるようになっている。また、DCモータ10
8は、ラック部材106を移動させた後、逆方向へ駆動
される。この逆方向への駆動力は、歯車輪列109を介
して第2駆動部としての回転ローラー107へ伝達され
るようになっている。
【0104】歯車輪列109は、ウォーム部114から
入力された回転駆動力を減速する減速歯車体115と、
減速歯車体115で減速された回転駆動力をラック部材
106側及び回転ローラー107側の両方にそれぞれ伝
達するための伝達歯車116と、伝達歯車116の正方
向回転をラック部材106へ伝達する第1駆動車117
と、伝達歯車116の逆方向回転を回転ローラー107
側へ伝達する第2駆動車118と、この逆回転方向の回
転を正方向回転にして回転ローラー107へ伝達するア
イドラー119と、から構成されている。
【0105】なお、この第2の実施の形態の引き出し部
材駆動装置101では、駆動初期におけるDCモータ1
08の正方向への駆動力が、伝達歯車116より第1駆
動車117に供給されるようになっている。これによっ
て、第1駆動車117からラック部材106にDCモー
タ108の駆動力が供給され、ラック部材106が駆動
される。一方、これと同時に、DCモータ108の正方
向への駆動力が、伝達歯車116より第2駆動車118
にも供給されるようになっている。これによって、第2
駆動車118が、図12において矢示N’方向に自転し
ながら伝達歯車116の周囲を公転(図12において時
計方向)する。この公転は、アイドラー119と係合し
ない方向となるため、駆動初期においては、DCモータ
108の駆動力は第2駆動部としての回転ローラー10
7に伝達されない。
【0106】なお、DCモータ108は、第1駆動部と
してのラック部材106を移動させた後は、直ちに逆方
向に駆動される。この逆方向への駆動によって、第2駆
動車118が逆方向、すなわち図12において矢示N方
向へ回転しながらアイドラー119に係合し、アイドラ
ー119から回転ローラー107へDCモータ108の
駆動力が供給される。すなわち、歯車輪列109内に配
置された第2駆動車118は、DCモータ108から第
2駆動部としての回転ローラー107への駆動力の伝達
を、第1駆動部としてのラック部材106への駆動力の
伝達より遅延させる遅延手段となっている。そのため、
引き出し部材駆動装置101は、DCモータ108の駆
動初期時、すなわち引き出し部材3の初期動作時には、
DCモータ108の駆動力を第1駆動部としてのラック
部材106にのみ伝達するようになっている。
【0107】DCモータ108の回転軸108cは、D
Cモータ108を固定するモータ固定部111に設けら
れた挿通孔111aからケーシング110の内部空間に
突出している。この回転軸108cの突出部分には、ウ
ォーム部114が一体的に固定されている。ウォーム部
114は、ウォーム軸114aと、このウォーム軸11
4aの外周に一体的に形成されたウォーム歯車114b
から構成されている。ウォーム軸114aの一端には、
DCモータ108の回転軸108cを嵌合固定するため
の嵌合部114cが設けられている。また、ウォーム軸
114aの他端は、ケーシング110に形成されたウォ
ーム支承部120で回転自在に支承されている。また、
ウォーム歯車114bは、減速歯車体115の受け歯車
115aと係合している。このような構成によって、ウ
ォーム部114は、DCモータ108の駆動力を減速歯
車体115に減速しながら伝達するものとなっている。
【0108】また、減速歯車体115は、図13に示す
ように、ウォーム歯車114bと係合する受け歯車11
5aと、伝達歯車116の受け歯部116aと係合する
送り歯車115bと、受け歯車115aと送り歯車11
5bとを一体化すると共に過負荷対策のためのクラッチ
バネ115cとから構成されている。受け歯車115a
は、送り歯車115bと同軸上に重ねて配置されてい
る。送り歯車115bは、ケーシング110の一方のケ
ース半体110aに一端を回転可能に支持され、他端を
ケーシング110の他方のケース半体110bに設けら
れた軸受け凹部121に回転自在に支承された回転軸1
22を有している。また、受け歯車115aは、クラッ
チバネ115cによって送り歯車115b方向に付勢さ
れている。
【0109】このように構成された減速歯車体115
は、通常の動作においては、受け歯車115aがクラッ
チバネ115cの付勢力によって送り歯車115b側へ
押し付けられ、受け歯車115aと送り歯車115bと
が一体的に回転するようになっている。そして、受け歯
車115aがウォーム部114の回転を受けると、この
回転が送り歯車115bから伝達歯車116に減速しな
がら伝達される。
【0110】なお、受け歯車115aと送り歯車115
bとは、上述したようにクラッチバネ115cの付勢力
によって一体化されている。このため、所定のトルク以
下の回転力が伝達されてきた場合は、受け歯車115a
と送り歯車115bとが一体的に回転する。しかしなが
ら、伝達されてきた回転力が所定のトルク以上の場合、
クラッチバネ115cが滑ってその回転力が伝達され
ず、受け歯車115aと送り歯車115bとは一体的に
は回転しないようになっている。
【0111】この構成によって、例えば、引き出し部材
駆動装置1によって第1引き出し部材3を駆動中に、第
1引き出し部材3が手動によって閉じる方向に駆動さ
れ、第1駆動部となるラック部材106が図12におけ
る矢示J方向に移動し、このラック部材106の移動に
よって第1駆動車117が回転しその力が伝達歯車11
6を介して送り歯車115bに伝わり送り歯車115b
が逆回転したとしても、この回転力が所定トルク以上の
ものの場合は受け歯車115aに伝達されないものとな
る。すなわち、第1引き出し部材3が強い力で閉じられ
た場合、送り歯車115bが空回りし、歯車輪列109
の各歯車の歯先等が損傷してしまうことが防止される。
【0112】また、伝達歯車116は、DCモータ10
8の駆動力を第1駆動部としてのラック部材106及び
第2駆動部としての回転ローラー107の双方へ伝達す
るためのものとなっている。なお、伝達歯車116の構
造は、第1の実施の形態の伝達歯車16と同様に、大径
歯部116aと小径歯部116bとから構成されてい
る。この伝達歯車116は、ケーシング110に立設さ
れた固定軸123に回転自在に支承されている。そし
て、大径歯部116aが減速歯車体115の送り歯車1
15bの回転を受けると、大径歯部116aと小径歯部
116bとが一体的に回転するようになっている。
【0113】小径歯部116bは、第1駆動部としての
ラック部材106と係合する第1駆動車117の受け歯
部117aと常時係合している。そのため、伝達歯車1
16に伝達されてきたDCモータ108の駆動力は、常
時第1駆動車117へ伝達されるようになっている。一
方、大径歯部116aは、第2駆動部としての回転ロー
ラー107と係合しているアイドラー119と係合離脱
自在に設けられた第2駆動車118の歯車部118aと
常時係合している。そのため、伝達歯車116に伝達さ
れてきたDCモータ108の駆動力は、第1駆動車11
7へ伝達されると同時に、常時第2駆動車118へも伝
達されるようになっている。
【0114】第1駆動車117は、伝達歯車116と第
1駆動部としてのラック部材106との間に設けられて
いる。そして、DCモータ108の駆動力を、ラック部
材106に伝達するためのものとなっている。なお、第
1駆動車117は、第1の実施の形態の第1駆動車17
と同様、伝達歯車116の小径歯部116bと係合する
歯が形成された受け歯部117aと、ラック部材106
のラック歯部124と係合する歯が円弧状に一部に形成
された間欠送り歯部117bとから形成されている。こ
の第1駆動車117は、ケーシング110に立設された
固定軸125に回転自在に支承されている。そして、第
1駆動車117は、受け歯部117aが伝達歯車116
の回転を受けると、この回転は間欠送り歯部117bか
らラック部材106のラック歯部124へ伝達される。
【0115】なお、間欠送り歯部117bの歯は、上述
したように第1駆動車117の全周ではなく一部に形成
されている。そのため、第1駆動車117が回転した場
合、その回転は一部の範囲でのみ、間欠送り歯部117
bからラック部材106のラック歯部124へ伝達され
る。また、第1駆動車117の矢示P方向への回転によ
ってラック部材106を、図12における矢示H方向へ
送った後は、ラック部材106は、ラック歯部124と
間欠送り歯部117bとの係合が外れた位置で一旦停止
する。そして、第1駆動車117は、その後DCモータ
108の駆動方向が切り換えられることによって、逆方
向(時計周り)に駆動される。この逆回転時、第1駆動
車117は、ラック部材106と係合できず、空回りす
る。
【0116】なお、第1駆動車117のケーシング11
0と対向する位置の一部には、第1駆動車117の回転
位置を検出するための位置検出用マグネット(図示省
略)が埋設されている。一方、ケーシング110には、
位置検出用マグネットの磁力を検出し第1駆動車117
の回転位置を検出するホールIC136が設置固定され
ている。このホールIC136は、回路パターン136
a,136b及びリード線137a,137bを介して
DCモータ108を制御駆動する制御部113に接続さ
れている。これによって、ホールIC136で検出され
た第1駆動車117の位置情報が制御部113に伝送さ
れるようになる。
【0117】そして、この第1駆動車117の回転位置
によって、ラック部材106が前方位置まで移動したこ
とを認識するようにしている。このため、DCモータ1
08は、ラック部材106が前方位置に移動した後、直
ちに逆回転駆動することができるようになっている。な
お、ホールIC136は、回路パターン136c及びリ
ード線137cを介して電源Vcc(図示省略)に接続
されている。なお、第1駆動車117の回転位置を検出
するための検出手段としてホールIC136を設けた
が、ホールIC136の代わりに、例えば光電素子を用
いたもの等、適宜他の構成の位置検出手段を用いてもよ
い。
【0118】上述したように第2の実施の形態の引き出
し部材駆動装置101では、ラック部材106は、第1
駆動車117の逆回転では原位置まで戻されず、回転ロ
ーラー107が駆動し停止した後、第1引き出し部材3
によって原位置に戻されるようになっている。すなわ
ち、第1引き出し部材3を手動によって、第1収納スペ
ース4へ戻した際に、ラック部材106も戻される。こ
のとき、第1駆動車117は戻ってくるラック部材10
6と係合しないように停止されているため、その力がD
Cモータ108方向へは伝わらないようになっている。
【0119】第1駆動部としてのラック部材106は、
ケーシング110にガイドされながらスライド移動する
移動体128と、この移動体128に一端を固定され移
動体128と共にスライド移動するプッシュ棒129か
ら構成される。移動体128は、間欠送り歯部117b
と係合するラック歯部124と、ケーシング110の内
壁に設けられた弾性凸部132が嵌まり込む嵌合部13
3と、を有している。そして、移動体128は、第1駆
動車117が正方向(矢示P方向)へ回転することによ
って、その正方向回転が間欠送り歯部117bからラッ
ク歯部124に伝達され、図12における矢示H方向へ
移動するようになっている。
【0120】なお、移動体128は、矢示H方向への移
動が完了した位置にくると、嵌合部133が弾性凸部1
32へ嵌まり込むようになっている。これにより、ラッ
ク部材106は、前方位置でケーシング110に位置保
持される。これは、例えば、冷蔵庫2が振動する等によ
りラック部材106の位置が移動することにより、ラッ
ク部材106の動作が不確実になることを防止するため
である。なお、弾性凸部132及び嵌合部133の構成
は、第1の実施の形態と同様となっている。
【0121】なお、上述したように移動体128には、
プッシュ棒129の一端が固定されている。したがっ
て、移動体128が移動すると、この移動体128と一
体的にプッシュ棒129も移動する。このプッシュ棒1
29は、移動体128の移動方向に延出された棒状部材
で形成されており、ケーシング110に設けられた挿通
孔134内を挿通し、他端がケーシング110の外部へ
突出されている。このプッシュ棒129の他端は、冷蔵
庫2の第1収納スペース4内に収納される第1引き出し
部材3の前面部3aの内側に当接するように配置され
る。このプッシュ棒129は、移動体128が第1駆動
車117の正方向(矢示P方向)への回転によって、図
12において矢示H方向に移動されると、他端がさらに
外側へ突出する。その結果、前面部3aに設けられた吸
着用マグネット5の吸着力によって、冷蔵庫2の第1収
納スペース4内に位置保持された第1引き出し部材3
を、プッシュ棒129がその保持力に抗して前方へ押し
出す。これによって第1引き出し部材3は、第1収納ス
ペース4内の位置保持状態から解除される。
【0122】このように、第1駆動部としてのラック部
材106では、DCモータ108の正方向への回転駆動
力によって、プッシュ棒129を冷蔵庫2の前方へ押し
出し、第1引き出し部材3を位置保持から解除する動作
を行う。なお、この後の第1引き出し部材3の動作、す
なわち、第1引き出し部材3を冷蔵庫2の前方へスライ
ド移動させる動作は、第2駆動部としての回転ローラー
107によって行われる。
【0123】なお、この引き出し部材駆動装置1は、第
1引き出し部材3を冷蔵庫2の前方へのみ駆動する装置
となっている。したがって、第1引き出し部材3をこの
引き出し部材駆動装置1によって前方へ駆動し、食品等
を出し入れした後は、人が手動によって第1引き出し部
材3を第1収納スペース4内へ戻すものとなっている。
【0124】この引き出し部材駆動装置101では、駆
動当初はDCモータ108の駆動力が第1駆動部として
のラック部材106のみに伝達される。そして、所定時
間経過後、すなわちDCモータ108を逆転切り換えし
第2駆動車118の回転をアイドラー119を介して回
転ローラー107に伝達する遅延動作がなされると、D
Cモータ108の駆動力が第2駆動部としての回転ロー
ラー107に駆動初期から見て遅れた形で伝わる。
【0125】なお、第1駆動車117でラック部材10
6を駆動し第1引き出し部材3の押し出し動作をさせた
後は、第1駆動車117と移動体128との係合が外れ
るので、このときのDCモータ108の駆動力は伝達歯
車116から第2駆動車118及びアイドラー119を
介して回転ローラー107へのみ伝達される。そして、
第1引き出し部材3を冷蔵庫2の前方へ完全にスライド
移動させた後に、DCモータ108が停止するように制
御されるようになっている。そのため、第1駆動車11
7は、移動体128を押し出した後もDCモータ108
が回転ローラー107を駆動している間は、伝達歯車1
16の回転を受けて空回りした状態となっている。
【0126】一方、第2駆動車118は、伝達歯車11
6とアイドラー119との間に設けられている。そし
て、第2駆動車118は、DCモータ108の逆方向へ
の駆動力を、アイドラー119を介して正方向回転に
し、第2駆動部としての回転ローラー107に伝達する
ためのものとなっている。
【0127】第2駆動車118は、伝達歯車116の大
径歯部116aと常時係合している歯車部118aと、
この歯車部118aの略中央部分から軸方向に延設され
た軸部118bとから構成されている。この第2駆動車
118の回転中心部分には、軸部118bの端面から歯
車部118aの端面へ挿通するように形成された挿通孔
118cが設けられている。そして、この挿通孔118
cの内側には、一方のケース半体110aに設けられた
閉塞長孔110d及び他方向ケース半体110bに設け
られた閉塞長孔110eに両端を移動可能に支承された
揺動軸138が挿通されている。この構成により第2駆
動車118は、揺動軸138が両閉塞長孔110d,1
10e内を移動可能な範囲で、固定軸123を中心とす
る周方向に自在に移動出来るものとなっている。これに
よって、第2駆動車118は、アイドラー119と係合
離脱自在となっている。
【0128】なお、伝達歯車116及び第2駆動車11
8の軸方向上下には、軸方向に離れた位置同士で重なる
ように配置された2枚の揺動ディスク140a,140
bが備えられている。これらの揺動ディスク140a,
140bは、それぞれ伝達歯車116及び第2駆動車1
18に対して僅かな摩擦係合があるものの基本的にはフ
リーな状態で、伝達歯車116及び第2駆動車118の
双方を挟むように設けられている。この揺動ディスク1
40a,140bは、伝達歯車116の回転中心となる
固定軸123を支点とし、第2駆動車118に挿通され
た揺動軸138側が振られるものとなっている。すなわ
ち、揺動ディスク140a,140bの支点となる側
は、固定軸123に回動自在に挿通されていると共に、
揺動する側には、略中心部にそれぞれ両ケース半体11
0a,110b内を移動可能な揺動軸138を挿通する
挿通孔140c,140dが形成されている。
【0129】上述したように設けられた揺動ディスク1
40a,140bは、伝達歯車116の回転方向に応じ
て揺動する。このように揺動ディスク140a,140
bが揺動すると、第2駆動車118は、揺動ディスク1
40a,140bとの間の摩擦力により、揺動ディスク
140a,140bの移動した方向へ移動する。すなわ
ち、伝達歯車116が図12において矢示K方向、すな
わち正方向に回転すると、揺動ディスク140a,14
0bは図12において一点鎖線で示した位置へ移動す
る。この動作に応じて、第2駆動車118も一点鎖線で
示した位置へ移動する。
【0130】また、逆に伝達歯車116が図12におい
て矢示L方向へ回転すると、揺動ディスク140a,1
40bは図12において実線で示した位置へ移動する。
この動作に応じて、第2駆動車118も実線で示した位
置へ移動する。これによって、第2駆動車118は、ア
イドラー119と係合する。上述した構成により、第1
引き出し部材3を第1駆動部としてのラック部材106
で押し出した後、DCモータ108を逆回転させること
により、第2駆動車118は、アイドラー119へ係合
する。なお、アイドラー119は、ケーシング110に
両端を固定された固定軸119aに回転自在に支承され
ている。
【0131】第2駆動部としての回転ローラー107
は、図12及び図13に示すように、アイドラー119
と係合するピニオン部107aと、ピニオン部107a
の一方の面の回転中心部分より延出されるように形成さ
れた筒状の軸部107bと、この軸部107bの外周に
固着されたゴム製の歯部107cから構成されている。
この回転ローラー107は、ケーシング110に両端を
固定された固定軸103に筒状の軸部107bを挿通さ
せることによって、固定軸103に回転自在に支承され
ている。この構成により、アイドラー119に係合した
第2駆動車118が回転すると、回転ローラー107
は、アイドラー119の回転を受けて回転する。
【0132】なお、歯部107cは、ケーシング110
に設けられた溝部152からその外周の一部がケーシン
グ110の外側に突出するように配置されている。そし
て、歯部107cは、第1引き出し部材3の側面部3c
の上面に形成された受け歯(図示省略)に係合するように
なっている。このため、回転ローラー107が回転する
と、第1引き出し部材3を歯部107cによって送り、
冷蔵庫本体2の前方へスライド移動させるようになって
いる。
【0133】なお、回転ローラー107の近傍には、第
1引き出し部材3が完全に引き出された場合、すなわち
第1引き出し部材3が終端まで移動させられた場合に、
そのことを検出するためのホールIC153が設けられ
ている。ホールIC153は、ケーシング110に設け
られた窓154によって、第1引き出し部材3の側面部
3cの上面に対向している。一方、第1引き出し部材3
の側面部3cの上面の終端部分には、ホールIC153
へ信号を送るためのマグネット(図示省略)が設置され
ている。このホールIC153は、回路パターン136
d,136f及びリード線137b,137dを介して
DCモータ108を制御駆動する制御部113に接続さ
れている。
【0134】このように構成されたホールIC153
は、第1引き出し部材3が終端まで移動したことを検出
すると、その検出信号を制御部113へ送る。そして、
制御部113は、ホールIC153から送られてきた信
号にしたがってDCモータ108を停止させる。なお、
ホールIC153は、回路パターン136e及びリード
線137bを介して電源Vcc(図示省略)に接続され
ている。すなわち、電源Vcc(図示省略)及びこの電
源VccとホールIC153とを接続するリード線13
7c並びに制御部113のグランド(図示省略)とホー
ルIC153とを接続するリード線137bは、前述し
たホールIC136用のものと共用となっている。
【0135】また、ケーシング110は、2つのケース
半体110a,110bから構成され、上述したよう
に、第1駆動部としてのラック部材106、第2駆動部
としての回転ローラー107、駆動源としてのDCモー
タ108及び歯車輪列109等を内部に収納する箱形状
のものとなっている。このケーシング110の内部に
は、ラック部材106及び回転ローラー107へDCモ
ータ108の駆動力を伝達するための歯車輪列109の
各歯車をそれぞれ回転自在に支承する固定軸123,1
25,119aが立設されている。また、ケーシング1
10には、回転ローラー107を回転自在に支承する固
定軸103も立設されている。これらの固定軸123,
125,119a,103は、歯車部分と一体回転する
回転軸としても良い。また、一方のケース半体110a
には、揺動軸138の一端を移動可能に支承する閉塞長
孔110dが設けられている。さらに、他方のケース半
体110bには、揺動軸138の他端を移動可能に支承
する閉塞長孔110eが設けられている。
【0136】上述したように構成された第2の実施の形
態の引き出し部材駆動装置1は、冷蔵庫2の第1引き出
し部材3を駆動するために、冷蔵庫2に取り付けられ
る。なお、引き出し部材駆動装置1は、ケーシング11
0の外側に設けられた固定部101a,101aに設け
られた固定用ねじ孔101b,101bにネジ(図示省
略)を挿通させることによって、冷蔵庫2に着脱自在に
ネジ止め固定されるようになっている。
【0137】次に、上述した第2の実施の形態の引き出
し部材駆動装置101を用いて、冷蔵庫2の第1引き出
し部材3を開ける動作について以下に説明する。なお、
第1引き出し部材3は、第1収納スペース4内に収納さ
れ、吸着用マグネット5によって第1収納スペース4内
に位置保持されているものとする。
【0138】人が冷蔵庫2の冷凍室内の第1引き出し部
材3を開けようとして、前面部3aの下端部分にある引
き用把手3eに手を触れると、引き用把手3eに設けら
れたタッチセンサー61がこの接触を検知して信号を制
御部113に伝達する。すると、制御部113からリー
ド線108a,108bを介して引き出し部材駆動装置
101の第1駆動部としてのラック部材106を駆動す
るための信号がDCモータ108に入力される。
【0139】DCモータ108に正方向へ回転するよう
に命令信号が入力されると、DCモータ108の回転軸
108cとウォーム部114とが一体的に回転する。ウ
ォーム部114が正方向に回転すると、この回転は、減
速歯車体115を介して伝達歯車116に伝達され、伝
達歯車116が図12において矢示K方向に回転する。
そして、この伝達歯車116の回転は、第1駆動車11
7と第2駆動車118の双方に伝達される。このとき、
第1駆動車117は、矢示P方向に回転する。一方、第
2駆動車118は、矢示N’方向に自転しながら、揺動
ディスク140a,140b及び揺動軸138と共にア
イドラー119から離れる方向に振られる。
【0140】伝達歯車116の正方向への回転によっ
て、第1駆動車117が矢示P方向に回転すると、ラッ
ク部材106は第1駆動車117と係合しながら矢示H
方向へ移動する。これによって、プッシュ棒129も移
動体128と一体的に矢示H方向に移動し、プッシュ棒
129の先端部分が第1引き出し部材3の前面部3aを
押し出す。
【0141】このように第1引き出し部材3は、引き出
し部材駆動装置101の第1駆動部としてのラック部材
106の駆動力によって吸着用マグネット5の位置保持
力に抗して、冷蔵庫2の前方へ押し出される。なお、こ
のようにラック部材106で第1引き出し部材3を押し
出している間は、他方の駆動部である回転ローラー10
7は、駆動されないものとなっている。
【0142】なお、ラック部材106が矢示H方向へ移
動することによって、第1引き出し部材3を第1収納ス
ペース4から前方へ少し押し出した後は、一旦、ラック
歯部124と第1駆動車117との係合が外れる。この
とき、ラック部材106は、嵌合部133がケーシング
110に設けられた弾性凸部132に嵌まり込むことに
よって前方位置にて位置保持される。
【0143】このようにラック部材106が前方位置ま
で駆動されると、そのことをホールIC136が検出す
る。すなわち、ホールIC136は、第1駆動車117
の回転位置を検出することによって、ラック部材106
が完全に突出したことを認識するようになっている。そ
して、ホールIC136がそのことを認識し、制御部1
13に伝達すると、制御部113は、その情報を基にD
Cモータ108を逆回転させる。
【0144】DCモータ108に逆方向へ回転するよう
に命令信号が入力されると、DCモータ108の回転軸
108cとウォーム部114とが一体的に逆方向に回転
する。ウォーム部114が逆方向に回転すると、この逆
回転は、減速歯車体115を介して伝達歯車116に伝
達され、伝達歯車116が図12において矢示L方向に
回転する。そして、この伝達歯車116の回転は、第1
駆動車117と第2駆動車118の双方に伝達される。
このとき、第1駆動車117は、矢示P’方向に回転す
る。一方、第2駆動車118は、矢示N方向に回転しな
がら、揺動ディスク140a,140b及び揺動軸13
8と共にアイドラー119方向に振られる。
【0145】伝達歯車116の逆方向への回転によっ
て、第1駆動車117が矢示P’方向に逆回転するが、
ラック部材106とは係合できず空回りする。なお、D
Cモータ108が第2駆動車118を介して回転ローラ
ー107を駆動している間も、第1駆動車117は逆方
向に空回りを継続する。
【0146】一方、第2駆動車118は、伝達歯車11
6の矢示L方向への回転によって、アイドラー119と
係合しながら矢示N方向へ回転する。すると、この第2
駆動車118の回転が、アイドラー119に伝達され、
アイドラー119が矢示Q方向に回転する。これによっ
て、回転ローラー107が、矢示T方向に回転する。な
お、回転ローラー107の外周には歯部107cが設け
られており、この歯部7cは第1引き出し部材3の側面
部3cの上面に設けられた受け歯(図示省略)と係合し
ている。この結果、第1引き出し部材3は、回転ローラ
ー107の駆動力によって冷蔵庫2の前方へスライド移
動する。
【0147】上述したような構成により、DCモータ1
08の駆動初期においては、回転ローラー107にはD
Cモータ108の駆動力が伝達されず、所定時間、すな
わちDCモータ108を逆回転駆動させるまでの間、遅
延させてから伝達される。これによって、第1引き出し
部材3は、第1駆動部としてのラック部材106の駆動
力によって吸着用マグネット5の位置保持力に抗して、
冷蔵庫2の前方へ押し出された後、第2駆動部の回転ロ
ーラー107の駆動力によってさらに前方へスライド移
動することとなる。
【0148】そして、第1引き出し部材3が回転ローラ
ー107によって終端まで引き出されると、終端検知手
段としてのホールIC153がこれを検出する。このホ
ールIC153は、第1引き出し部材3が終端まで移動
したという情報を回路パターン136d及びリード線1
37dを介して制御部113に伝送する。これによって
制御部113は、DCモータ108を停止させ、第1引
き出し部材3の前方への駆動を終了させる。
【0149】なお、上述の各実施の形態は、本発明の好
適な実施の形態の例であるが、これに限定されるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変
形実施可能である。例えば、各実施の形態では、引き出
し部材駆動装置1,101を冷蔵庫2に取り付けたが、
特にこれに限定されるものではなく、他の筐体、例え
ば、箪笥や机等のスライド式の引き出し部材を有するも
のに取り付けても良い。
【0150】また、冷蔵庫2では、引き出し部材駆動装
置1,101は、第1引き出し部材3の一方の側面部3
cのみに取り付けられているが、両側面部3c,3cに
取り付けて協働させるようにしてもよい。さらに、引き
出し部材駆動装置1,101は、側面部3cの上方の仕
切り55ではなく、第1収納スペース4の側面4c,4
cの両方もしくは一方の開放口60近傍に設けるように
しても良い。その場合、引き出し部材駆動装置1,10
1は、プッシュ棒29,129で第1引き出し部材3の
前面部3aの側端近傍部分を押し出すと共に、回転ロー
ラー7,107で側面部3cの側方部分を送り出すもの
となる。
【0151】また、冷蔵庫2において、引き用把手3e
の代わりに、図14に示すような突出型の引き用把手9
9を設けるようにしても良い。そして、この引き用把手
99の裏面部には、引き出すときに人の手が触れるタッ
チセンサー99aを設ける。ここで、タッチセンサー9
9aは、先に示したタッチセンサー61の役割を果たす
ものとなっている。さらに、第1の実施の形態の引き出
し部材駆動装置1では、第1引き出し部材3の開放動作
のみを自動化させたものとしたが、開放及び閉塞の両動
作を自動化させても良い。
【0152】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、1つの駆動源から伝達部を介して2つの機
能の異なる異なる駆動部へ駆動力が供給される。そし
て、これら2つの駆動部によって、引き出し部材を位置
保持から解除させる動作と外方へスライド移動させる動
作の双方をスムーズに行わせることができる。しかも、
駆動初期において、位置保持を解除させるための第1駆
動部のみに駆動力を供給するようになっているので、こ
の駆動初期時において第2駆動部に抵抗となる外的負荷
が生じたとしても、その負荷が影響を及ぼすことなく確
実に第1駆動部を動作させることが可能となる。
【0153】また、請求項2記載の発明によれば、2つ
の駆動部のうち当初駆動する側を大きな力量に設定して
いるため、引き出し当初を強いトルクで容易に引き出
し、引き出し部材が位置保持から解除された後、弱い力
でスライド移動させることができるので、マグネット等
の吸引力で位置保持されている引き出し部材であって
も、確実に収納スペースから前方へ押し出されると共
に、スライド移動時の駆動力は強くなりすぎず滑らかな
状態で前方へ引き出される。すなわち、力強さと安全性
とを兼ね備えたものとすることが可能となる。
【0154】また、請求項3記載の発明によれば、歯車
輪列中に、第2駆動部への駆動力の伝達を、第1駆動部
への駆動力の伝達より遅延させる遅延手段を設けている
ので、特別な制御をすることなく単に駆動源に通電する
のみで、両駆動部の作動時間に誤差を生じさせることが
できる。その結果、駆動初期において、駆動初期時にお
いて第2駆動部に抵抗となる外的負荷が生じたとして
も、その負荷が影響を及ぼすことなく確実に第1駆動部
を動作させる装置を、簡単な構成で実現することが可能
となる。
【0155】さらに、請求項4記載の発明によれば、分
割された歯車と介在回転体とを所定の遊びを設けて遊嵌
させると共に、この2つの回転体が一体的に回転した後
に元の状態に復帰させる復帰手段を設けているので、確
実な遅延動作と復帰動作とを実現することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における引き出し部
材駆動装置を取り付けた冷蔵庫の全体を示した縦断面図
である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における引き出し部
材駆動装置の内部構造を示す平面図である。
【図3】図2に示した引き出し部材駆動装置の縦断面展
開図であって、DCモータからラック部材までの経路を
主に示した図である。
【図4】図2に示した引き出し部材駆動装置の縦断面展
開図であって、DCモータから回転ローラーまでの経路
を主に示した図である。
【図5】図2に示した引き出し部材駆動装置の第1駆動
車を示した斜視図である。
【図6】図2に示した引き出し部材駆動装置の移動体の
ラック歯部を示した拡大図である。
【図7】図4のVII−VII断面図である。
【図8】図7に示した状態から第1歯車を約270°回
転したときの状態を示した図である。
【図9】図2を矢示IX方向から見た図である。
【図10】図1の冷蔵庫の全体を前方から示した斜視図
である。
【図11】図1に示した冷蔵庫における引き出し部材駆
動装置関係の駆動制御系を表したブロック図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における引き出し
部材駆動装置の内部構造を示す平面図である。
【図13】図12に示した引き出し部材駆動装置の縦断
面展開図であって、DCモータから回転ローラーまでの
経路を主に示した図である。
【図14】本発明の第1及び第2の実施の形態の変形例
としての冷蔵庫の全体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 引き出し部材駆動装置 2 冷蔵庫(筐体) 3 第1引き出し部材 4 第1収納スペース 6 ラック部材(第1駆動部) 7 回転ローラー(第2駆動部) 8 DCモータ(駆動源) 9 歯車輪列 19 ローラー軸部(遅延手段) 39 第1歯車 41 遊び空間 42 介在回転体 44 捩じりバネ(復帰手段) 101 引き出し部材駆動装置 106 ラック部材(第1駆動部) 107 回転ローラー(第2駆動部) 108 DCモータ(駆動源) 109 歯車輪列 118 第2駆動車(遅延手段)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−226538(JP,A) 特開 平2−103388(JP,A) 特開 平2−43478(JP,A) 特開 平11−201631(JP,A) 特開 平2−157581(JP,A) 特開 平11−216033(JP,A) 特開 平11−318610(JP,A) 特開 平4−17548(JP,A) 特開 平2−146487(JP,A) 特開 平11−94455(JP,A) 実開 平4−31445(JP,U) 実開 平1−167590(JP,U) 実開 平5−1990(JP,U) 特公 昭57−14171(JP,B2) 特許3442276(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A47B 88/00 F25D 25/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筐体の収納スペースに位置保持された状
    態で収納される収納用の引き出し部材を、上記筐体から
    引き出すための引き出し部材駆動装置であって、上記引
    き出し部材を位置保持力に抗して上記収納スペースより
    上記筐体の外方へ押し出す第1駆動部と、上記引き出し
    部材を上記筐体の外方へスライド移動させる第2駆動部
    と、上記第1駆動部及び上記第2駆動部へ駆動力を供給
    する1つの駆動源と、この駆動源の駆動力を上記第1駆
    動部及び上記第2駆動部の双方へ伝達する歯車輪列と、
    を有し、上記引き出し部材の初期動作時には、上記駆動
    源の駆動力を上記第1駆動部のみに伝達させるように
    、かつ上記第1駆動部における駆動力を、上記第2駆
    動部における駆動力より大きな力量に設定したことを特
    徴とする引き出し部材駆動装置。
  2. 【請求項2】 前記歯車輪列中に、前記第2駆動部への
    駆動力の伝達を、前記第1駆動部への駆動力の伝達より
    遅延させる遅延手段を設けたことを特徴とする請求項
    載の引き出し部材駆動装置。
  3. 【請求項3】 筐体の収納スペースに位置保持された状
    態で収納される収納用の引き出し部材を、上記筐体から
    引き出すための引き出し部材駆動装置であって、上記引
    き出し部材を位置保持力に抗して上記収納スペースより
    上記筐体の外方へ押し出す第1駆動部と、上記引き出し
    部材を上記筐体の外方へスライド移動させる第2駆動部
    と、上記第1駆動部及び上記第2駆動部へ駆動力を供給
    する1つの駆動源と、この駆動源の駆動力を上記第1駆
    動部及び上記第2駆動部の双方へ伝達する歯車輪列と、
    を有し、上記引き出し部材の初期動作時には、上記駆動
    源の駆動力を上記第1駆動部のみに伝達させるように
    し、かつ上記歯車輪列中に、記第2駆動部への駆動力
    の伝達を、記第1駆動部への駆動力の伝達より遅延さ
    せる遅延手段を設けたことを特徴とする引き出し部材駆
    動装置。
  4. 【請求項4】 前記遅延手段は、前記駆動源の駆動力を
    受けて回転する第1歯車と、この第1歯車に所定の遊び
    をもって遊嵌されると共に、上記第1歯車が所定角度回
    転することにより上記第1歯車の回転を受けて回転しそ
    の回転力を前記第2駆動部へ伝達する介在回転体と、前
    記駆動源を停止させることにより上記第1歯車と上記介
    在回転体との位置関係を上記所定の遊びを持たせた状態
    とするように作動する復帰手段と、を備えたことを特徴
    とする請求項2または3記載の引き出し部材駆動装置。
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