JP3535666B2 - ポリ塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

ポリ塩化ビニル系樹脂組成物

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JP3535666B2 JP23759996A JP23759996A JP3535666B2 JP 3535666 B2 JP3535666 B2 JP 3535666B2 JP 23759996 A JP23759996 A JP 23759996A JP 23759996 A JP23759996 A JP 23759996A JP 3535666 B2 JP3535666 B2 JP 3535666B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なポリ塩化ビニ
ル系樹脂組成物、詳しくは、ラジカル重合性基を有する
オルガノポリシロキサンと他のラジカル重合性単量体と
の共重合体を配合してなる、耐汚染性、柔軟性、摺動
性、耐摩耗性、耐ブロッキング性、撥水性に優れたカレ
ンダー成形品、押出成形品、金型成形品を製造すること
ができるポリ塩化ビニル系樹脂組成物に関する。本発明
のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、例えば農業用ポリ塩
化ビニルフィルム、シートなどの用途に好適である。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビニル系樹脂は汎用樹脂として
多くの分野において広く用いられているが、特に農業用
シートにおいては、耐汚染性、耐ブロッキング性、防塵
性等に優れたものが要求される。更に、自動車のグラス
ランやガラス窓のはめごろし部支持材などの用途に用い
る場合には、摺動性、耐摩耗性の優れたものが要求され
る。塩化ビニル系樹脂成形品に摺動性を付与する方法と
して、例えば部分架橋塩化ビニル系樹脂を用いてゲル化
度を異ならせることにより成形品表面を凹凸にして表面
粘着を制御する方法や、高級脂肪酸アミド、高級アルコ
ール、高級脂肪酸エステル、シリコーンオイル等の滑剤
を配合し成形品表面にブリードさせて滑性を付与する方
法が提案されている。同様に農業用ポリ塩化ビニル系シ
ートにおいても、シリコーン系界面活性剤を添加して耐
汚染性、防滴性を付与する方法(特開昭 61-264039号公
報参照)や、エポキシ・ポリオキシアルキレン共変性シ
リコーン化合物を添加して防塵性、耐候性を向上させる
方法(特公昭62-14178号公報参照)も提案されている。
【0003】しかし、成形品表面を凹凸にする方法では
光沢のある製品外観が得られない。滑剤を配合する方法
においては、十分な摺動性を付与するためには滑剤を多
量に添加する必要があり、その結果、滑剤のブリードに
よる外観不良や加工性不良、更には他の部材との接着性
不良、他の部材への汚染等の問題があった。また、シリ
コーン系界面活性剤やエポキシ・ポリオキシアルキレン
共変性シリコーンを添加したシートでは、これらのシリ
コーン化合物が水溶性あるいは水分散性を有するため、
徐々にブリードアウトして来て、露や雨、もや等により
洗い流され、耐汚染性や防塵性が早期に失われてしまう
といった欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂に耐汚染性、摺動性、撥水性を付与する際に
伴うこのような従来の欠点を克服し、得られる成形品や
シートの表面光沢、透明性、柔軟性を維持しながら、ブ
リードアウトによるトラブルのないポリ塩化ビニル系樹
脂組成物を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の欠
点を伴うことなく優れた耐汚染性、防塵性、耐候性、摺
動性、耐摩耗性、耐ブロッキング性、撥水性が付与され
たポリ塩化ビニル系樹脂組成物を開発すべく鋭意研究を
重ねた結果、ポリ塩化ビニル系樹脂に可塑剤及びラジカ
ル重合性基を有する特定構造のオルガノポリシロキサン
と他のラジカル重合性単量体との共重合体を配合した組
成物により、目的を達成し得ることを見出して本発明を
完成させた。すなわち、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂
組成物は、(A)ポリ塩化ビニル系樹脂 100重量部、
(B)可塑剤 5〜150 重量部、及び(C)一般式
(I)
【化4】 (式中、Rは同一又は異なる炭素数1〜20の1価の炭化
水素基又はハロゲン化炭化水素基を、Xは1価のラジカ
ル重合性基を表し、nは5〜 200の整数を表す。)で示
されるオルガノポリシロキサンと他のラジカル重合性単
量体との共重合体0.5〜50重量部を配合したことを特徴
とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物において(A)成分として用いられるポ
リ塩化ビニル系樹脂については特に制限はなく、従来公
知のもの、例えば塩化ビニル単独重合体、塩素化塩化ビ
ニル重合体、部分架橋化塩化ビニル重合体、あるいは塩
化ビニルと共重合可能な単量体との塩化ビニルを主体と
する共重合体などの中から任意のものが使用される。ま
た、塩化ビニル系樹脂が50重量%を超えて含まれる限
り、他の樹脂例えばアクリル系樹脂、塩素化ポリエチレ
ン等のオレフィン系樹脂などとのブレンド物、アロイで
あってもよい。
【0007】前記塩化ビニルと共重合可能な単量体とし
ては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリ
ル酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル;メチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキル
エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の
シアン化ビニル;ビニルメチルエーテル、ビニルブチル
エーテル、ビニルオクチルエーテル等のアルキルビニル
エーテル;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;
アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和
カルボン酸又は酸無水物;スチレン、塩化ビニリデン、
臭化ビニルなどが挙げられ、これらは1種のみあるいは
2種以上組み合わせて用いてもよい。このような共重合
体の中では特に好ましいものとして、塩化ビニル・エチ
レン共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル・エチレン・酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニ
ル・アクリル酸共重合体、塩化ビニル・ウレタン共重合
体が挙げられる。
【0008】この単独重合体あるいは共重合体である塩
化ビニル系樹脂は公知の方法により製造することができ
るが、(A)成分としては、その平均重合度は 300〜1
0,000の範囲にあることが好ましい。平均重合度が 300
未満では十分な強度が得られないし、10,000を超えると
加工性が低下するので好ましくない。組成物が高流動性
を必要とする場合には平均重合度の低いものを、高弾性
を必要とする場合には平均重合度の高いものを選べばよ
い。また、平均重合度の異なるものを適宜ブレンドして
使用してもよい。
【0009】本発明の組成物において(B)成分として
用いられる可塑剤については特に制限はなく、従来ポリ
塩化ビニル系樹脂に慣用されているものの中から任意に
選択して用いることができる。このような可塑剤として
は、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレー
ト、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレー
ト、ジウンデシルフタレート、トリオクチルトリメリテ
ート、トリイソオクチルトリメリテート、ピロメリテー
ト等の芳香族多塩基酸のアルキルエステル;ジブチルア
ジペート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペ
ート、ジブチルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジ
イソノニルアゼレート等の脂肪族多塩基酸のアルキルエ
ステル;トリクレジルホスフェート等のリン酸エステ
ル;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸
等の多価カルボン酸とエチレングリコール、1,2−プ
ロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、
1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコ
ール等の多価アルコールとの分子量600〜8,000 程度の
重縮合体の末端を、一価アルコール又は一価カルボン酸
で封鎖したもの等のポリエステル系可塑剤;エポキシ化
大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化トール油脂肪
酸2−エチルヘキシル等のエポキシ系可塑剤;塩素化パ
ラフィンなどが挙げられる。
【0010】これらの可塑剤は、それぞれ単独で用いて
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、これ
らのうちではジオクチルフタレートやイソノニルフタレ
ートなどのフタル酸系可塑剤が、前記(A)成分のポリ
塩化ビニル系樹脂が高重合度(平均重合度 2,000以上)
である場合にもブリードが少ないので好ましい。なお、
この可塑剤の配合量については、可塑化効果が発揮さ
れ、得られる成形品の弾性、伸びが充分であり、硬度が
高すぎない範囲の量である限り、特に制限はないが、あ
まりにも多すぎると耐摩耗性などの機械的特性が低下す
る傾向がみられるし、摺動性の向上も配合量を増やした
割には望めない傾向がみられるので、通常ポリ塩化ビニ
ル系樹脂 100重量部に対し5〜 150重量部、好ましくは
10〜100重量部、より好ましくは10〜80重量部とされ
る。
【0011】本発明の組成物においては、(C)成分と
して一般式(I)
【化5】 (ただし、式中のRは同一又は異なる炭素数1〜20の1
価の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を、Xは1価
のラジカル重合性基を表し、nは5〜200 の整数を表
す。)で示されるオルガノポリシロキサンと他のラジカ
ル重合性単量体との共重合体が用いられる。なお、この
一般式(I)で示されるオルガノポリシロキサンは、特
開昭59-78236号公報、特開平6-228316号公報などに開示
されている方法により製造することができる。一般式
(I)中のRの具体例としては、メチル基、エチル基、
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキ
シル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリ
ール基;フェネチル基、ベンジル基等のアラルキル基;
3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロ
ピル基等のハロゲン化アルキル基などのラジカル重合性
を有しない基が挙げられ、工業的にはメチル基、ブチル
基、フェニル基が好ましい。更に耐ブロッキング性、耐
汚染性面から全R中の50モル%以上がメチル基であるこ
とが好ましい。
【0012】一般式(I)中のXは1価のラジカル重合
性基であり、ラジカル共重合性の置換基が結合した有機
基であれば特に限定はされないが、具体的には、好適な
ものとして、式
【化6】 (式中、R1はヘテロ原子を含み得る炭素数3〜20の2価
の有機基を、R2は水素原子又はメチル基を表す。)で示
される基が挙げられる。式中のR1としては例えば-(CH2)
3-、-CH2CH(CH3)CH2- 、-(CH2)4-、-(CH2)6-、-(CH2)3O
(CH2)2- 、-(CH2)3-(CH2)2O-(CH2)2- 等が挙げられる。
一般式(I)中のnの数は5〜 200の整数が好ましく、
5未満ではシリコーンとしての性能、すなわち耐汚染
性、摺動性、潤滑性、耐ブロッキング性、撥水性等が乏
しくなり、 200を超えると共重合体が濁りやすくなり、
本発明の樹脂組成物の透明性も劣るので好ましくない。
一般式(I)で示されるオルガノポリシロキサンはラジ
カル重合性シリコーンマクロモノマーであるが、その具
体例として下記のものを挙げることができる。ただし、
これらに限定されるものではない。
【0013】
【化7】
【0014】
【化8】
【0015】
【化9】
【0016】一般式(I)で示されるオルガノポリシロ
キサンと共重合可能な他のラジカル重合性単量体には、
アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチ
レン類、ビニルエステル類が好適であり、その2種以上
を併用することもできる。その具体例としては、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレー
ト類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアル
キル(メタ)アクリレート類;トリフロロプロピル(メ
タ)アクリレート、パーフロロブチルエチル(メタ)ア
クリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリ
レート等のフッ素置換アルキル(メタ)アクリレート
類;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキ
シシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポ
キシ基含有(メタ)アクリレート類;スチレン、α−メ
チルスチレン、4−メチルスチレン、3−メチルスチレ
ン、4−ビニルアニソール、2−クロロスチレン、3−
クロロスチレン、4−クロロスチレン等のスチレン類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリル酸ビニル等
のビニルエステル類などが挙げられる。
【0017】さらに、本発明の効果を損なわない範囲内
で、前述以外のラジカル重合性単量体を共重合させるこ
とができる。このような単量体としては、例えば、マレ
イン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等の酸
類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等
のアクリルアミド類;3−トリメトキシシリルプロピル
(メタ)アクリレート、3−トリエトキシシリルプロピ
ル(メタ)アクリレート、3−ジメトキシメチルシリル
プロピル(メタ)アクリレート、ビニルトリエトキシシ
ラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、ビニル
メチルジメトキシシラン、4−トリメトキシシリル−1
−ブテン、6−トリメトキシシリル−1−ヘキセン等の
ラジカル重合性シラン化合物;アクリロニトリル、ビニ
ルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルアルキルエーテ
ル類、分子中に1個のラジカル重合性基を有するポリオ
キシアルキレン及びポリカプロラクトン等のラジカル重
合性マクロモノマーなどが挙げられる。
【0018】また、耐候性をより向上させる目的でラジ
カル重合性二重結合を有する酸化防止剤や光安定剤を用
いることも可能である。このような単量体としては、
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルアク
リレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジニルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメ
チル−4−ピペリジニルアクリレート、1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレー
トなどが例示される。
【0019】以上に説明した一般式(I)で示されるオ
ルガノポリシロキサンと、このオルガノポリシロキサン
と共重合可能な他のラジカル重合性単量体(II)の共重
合における配合比は、(I)/(II)=(5〜70)/
(30〜95)(重量%)であることが好ましい。(I)の
配合量が5重量%未満では相対的に組成物中のポリシロ
キサン成分量が少ないため、潤滑性、耐ブロッキング性
が乏しくなり、70重量%を超えると乳化重合中の凝塊の
発生量が多くなるし、本発明の組成物の透明性も悪くな
るので好ましくない。
【0020】共重合には溶液重合法あるいは塊状重合法
を適用することができる。(I)及び(II)を共重合さ
せるための重合開始剤としては通常のラジカル重合開始
剤を用いることができ、ベンゾイルパーオキサイド、ジ
クミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の
有機過酸化物類;2,2’−アゾビス−(2−メチルブ
チロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル等のアゾ系化合物などが例示される。重合開始剤の使
用量は単量体全量[一般式(I)で示されるオルガノポ
リシロキサン+他のラジカル重合性単量体]に対して通
常は0.1〜10重量%とすればよいが、好ましくは 0.5〜
5重量%である。
【0021】共重合に際しては、分子量調整剤として、
ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、3−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、四塩化炭素、α−
メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤を使用してもよ
い。前記分子量調整剤は、後述の懸濁重合法、乳化重合
法においても使用することができる。溶液重合法による
場合に用いる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチ
ル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;
エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソ
ブタノール等のアルコール類などが例示される。これら
の溶媒は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0022】重合温度は50〜 180℃、特に60〜 120℃の
範囲が好ましく、この温度条件下であれば5〜10時間程
度で重合反応を完結させることができる。このようにし
て製造される共重合体のGPCによるポリスチレン換算
の重量平均分子量は 5,000〜 1,000,000、特に10,000〜
800,000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量
が 5,000未満では耐汚染性、耐ブロッキング性の向上効
果が劣り、 1,000,000を超えるとポリ塩化ビニル系樹脂
への分散性が悪くなり、所期の効果が得られ難くなる。
前記分子量範囲については、後述の懸濁重合法あるいは
乳化重合法により得られる共重合体においても同様であ
る。
【0023】また、(I)及び(II)の共重合は水性媒
体中での懸濁重合法あるいは乳化重合法により行うこと
ができる。懸濁重合法の場合、懸濁剤として例えばポリ
ビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキ
サイド等の親水性高分子化合物を用いる通常の方法で行
うことができる。乳化重合法の場合、例えば(I)及び
(II)の混合物に界面活性剤を添加し、水性媒体中へ乳
化分散させたのち、水溶性ラジカル重合開始剤を用いて
乳化分散の状態で共重合させればよい。その際、ホモミ
キサー等で乳化した乳化液を重合容器へ一括仕込みする
か、又は連続追加しながら乳化共重合を行うことができ
る。また、乳化液の一部を用いて予め重合した後、残り
の乳化液を追加しながら重合を行うシード重合法、さら
にはコアとシェルの単量体組成を変えたコア/シェル重
合法も好ましい重合方法である。乳化重合の重合温度は
10〜90℃、特に30〜80℃が好ましく、この温度条件下で
あれば2〜7時間程度で重合を完結させることができ
る。
【0024】使用する界面活性剤としては、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスル
ホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキ
シエチレンアルキルアリールエーテルスルホン酸モノエ
ステルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、特開昭54
−144317、特開昭55−115419、特開昭62-34947、特開昭
58−203960、特開平 4-53802、特開昭62−104802、特開
昭49-40388、特開昭52−134658、特公昭49-46291各号公
報に記載されている反応性界面活性剤などのアニオン性
界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンカルボン酸エステル、エチレンオキシド−プ
ロピレンオキシド共重合体、ソルビタンエステル、ポリ
オキシエチレンソルビタンエステル、特開昭53−12609
3、特開昭56-28208、特開平 4-50204、特開昭62−10480
2、特開昭50-98484各号公報に記載されている反応性界
面活性剤などのノニオン性界面活性剤;及びアルキルト
リメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルア
ンモニウムクロライド、第4級アンモニウム塩や第3級
アミン塩の形の基と重合性基とを有する反応性界面活性
剤などのカチオン性界面活性剤が例示される。これらは
2種以上を併用することもできる。
【0025】界面活性剤のHLBは10〜20が好ましく、
低HLBの界面活性剤と高HLBの界面活性剤とを平均
HLBが10〜20になるように組み合わせて使用すること
もできる。界面活性剤の使用量は単量体全量[一般式
(I)で示されるオルガノポリシロキサン+他のラジカ
ル重合性単量体]に対して1〜15重量%とすればよい
が、好ましくは3〜10重量%である。ノニオン性界面活
性剤を使用すれば、その曇点を利用して、重合後の乳化
液から共重合体を凝析により容易に分離することができ
るので有利である。
【0026】水溶性ラジカル重合開始剤としては、過硫
酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等
の過硫酸塩;過酸化水素水;t−ブチルパーオキシマレ
イン酸、コハク酸パーオキサイド、t−ブチルハイドロ
パーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス
−(2−N−ベンジルアミジノ)プロパン塩酸塩、2,
2’−アゾビス−[2−(N−2−ヒドロキシエチル)
アミジノ]プロパン、2,2’−アゾビス−(2−メチ
ル−N−ヒドロキシエチル)プロピオン酸アミド等のア
ゾビス系化合物が例示される。さらに必要に応じて、酸
性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、L−アスコルビン
酸等の還元剤を併用したレドックス系も使用することが
できる。重合開始剤の使用量は単量体全量[一般式
(I)で示されるオルガノポリシロキサン+他のラジカ
ル重合性単量体]に対して通常は 0.1〜10重量%とすれ
ばよいが、好ましくは 0.5〜5重量%である。
【0027】共重合終了後、共重合に溶媒を用いたとき
には、(C)成分は溶液あるいは分散状態そのもので
(A)及び(B)成分に添加しても構わないが、その際
は、樹脂組成物を脱気しながら(C)成分を溶解してい
る溶媒あるいは分散している分散媒を除去した後、成形
あるいはシート加工する必要がある。また、配合工程を
より簡略にするため(C)成分の溶液あるいは分散液を
スプレードライや減圧濃縮あるいは凝析等の方法で処理
して溶媒あるいは分散媒を除去し、必要に応じ、ハンマ
ーミル、ジェットミル等により粉砕し、微粒子状態にし
て(A)及び(B)成分に添加することができる。
【0028】懸濁重合を行った場合には、遠心分離、水
洗、乾燥による通常の方法で処理し、(A)及び(B)
成分に添加すればよい。乳化重合を行った場合には、重
合後の乳化液に無機塩又は親水性溶媒を添加するか、あ
るいは前記のように重合時使用したノニオン性界面活性
剤の曇点を利用して乳化液を凝析させ、水洗、乾燥した
り、又は乳化液を直接スプレードライヤーで乾燥するこ
とにより、(C)成分が微粒子又はブロック状樹脂とし
て得られるが、必要に応じ、ハンマーミル、ジェットミ
ル等により粉砕して用いることもできる。
【0029】前記(C)成分はオルガノポリシロキサン
グラフト共重合体であるが、本発明の組成物において
は、この(C)成分を(A)成分のポリ塩化ビニル系樹
脂 100重量部に対し、 0.5〜50重量部、好ましくは1〜
50重量部、より好ましくは1〜30重量部の割合で配合す
ることが必要である。この量が 0.5重量部未満では組成
物から得られる成形体は摺動性、耐摩耗性に劣り、本発
明の効果が十分に発揮されない。なお、50重量部を超え
るとその量の割には効果の向上が認められ難い傾向があ
るので、目的に応じ適宜選択するのが好ましい。
【0030】本発明の組成物には、所望に応じ本発明の
目的をそこなわない範囲で、従来ポリ塩化ビニル系樹脂
に慣用されている各種添加成分、例えば安定剤、充てん
剤、滑剤、着色剤、改質剤などを添加することができ
る。前記安定剤としては、例えば三塩基性硫酸鉛、二塩
基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛、鉛白(塩
基性炭酸鉛)などの鉛系安定剤;カリウム、マグネシウ
ム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛などの金属と、2
−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキ
システアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール
酸、ベヘン酸などの脂肪酸から誘導される金属セッケン
系安定剤;アルキル基、エステル基と脂肪酸塩、マレイ
ン酸塩、含硫化合物から誘導される有機スズ系安定剤;
Ba−Zn系、Ca−Zn系、Ba−Ca−Sn系、Ca−Mg−Sn系、Ca
−Zn−Sn系、Pb−Ba系、Pb−Ba−Ca系などの複合金属セ
ッケン系安定剤;バリウム、亜鉛などの金属と、2−エ
チルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸など
の分枝脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸
などの不飽和脂肪酸、ナフテン酸などの脂環族酸、石炭
酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体などの
芳香族酸といった有機酸の通常2種以上から誘導される
金属塩系安定剤;これら安定剤を石油系炭化水素、アル
コール、グリセリン誘導体などの有機溶剤に溶解し、さ
らに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、
透明性改善剤、光安定剤、酸化防止剤、プレートアウト
防止剤、滑剤などの安定化助剤を配合してなる金属塩液
状安定剤などといった金属系安定剤が挙げられる。更
に、エポキシ樹脂、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪
酸アルキルエステル、エポキシ化芳香族酸アルキルエス
テルなどのエポキシ化合物系安定剤;リンが、アルキル
基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基な
どで置換されたフェノキシ基、アルコキシル基、プロピ
レングリコールなどの2価アルコール残基、ヒドロキノ
ン、ビスフェノールAなどの芳香族化合物の残基と結合
した有機亜リン酸エステル系安定剤; BHTや硫黄やメチ
レン基などで二量体化したビスフェノールなどのヒンダ
ードフェノール、サリチル酸エステル、ベンゾフェノ
ン、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤;ヒンダー
ドアミン又はニッケル錯塩の光安定剤;カーボンブラッ
ク、ルチル型酸化チタンなどの紫外線遮へい剤;トリメ
チロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトー
ル、マンニトールなどの多価アルコール;β−アミノク
ロトン酸エステル、2−フェニルインドール、ジフェニ
ルチオ尿素、ジシアンジアミドなどの含窒素化合物;ジ
アルキルチオジプロピオン酸エステルなどの含硫黄化合
物;アセト酢酸エステル、デヒドロ酢酸、β−ジケトン
などのケト化合物;有機ケイ素化合物、ホウ酸エステル
などといった非金属系安定剤が挙げられる。これらは1
種用いてもよいし、2種以上組合せて用いてもよい。
【0031】また、充てん剤としては、例えば重質炭酸
カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウ
ムなどの炭酸塩;酸化チタン、クレー、タルク、マイ
カ、シリカ、カーボンブラック、グラファイト、中空ま
たは中実ガラスビーズ、ガラス短繊維、カーボン繊維、
金属繊維のような無機質系のもの;ポリアミドなどの耐
熱性合成繊維、シリコーンのような有機質系のものなど
が挙げられる。また、滑剤としては、例えば流動パラフ
ィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフ
ィン、低分子量ポリエチレンなどの純炭化水素系;塩素
化炭化水素系;フルオロカーボンなどのフッ素化炭化水
素系;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸などの脂肪酸系;脂肪
酸アミド、ビス脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミド系;脂
肪酸の低級アルコールエステル、グリセリドなどの脂肪
酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコール
エステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステル
ワックス)などのエステル系のものの他、金属セッケ
ン、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコー
ル、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分
エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロール
の部分エステルなどが挙げられる。さらに、改質剤とし
ては、通常塩化ビニル系樹脂に慣用されているものであ
れば特に制限されず、例えばPMMAなどのゲル化促進
剤;MBS、ABS、AES、塩素化ポリエチレンなど
の耐衝撃強化剤;水酸化アルミニウム、三酸化アンチモ
ン、塩素化パラフィン、ハロゲン化合物などの難燃化
剤;NBR、アクリルゴム、ポリウレタンなどのゴム弾
性を有する弾性付与剤;その他発泡剤、抗菌剤、帯電防
止剤、界面活性剤、防曇剤、導電性付与剤などの中から
任意に選択することができる。
【0032】本発明の組成物の調製方法については特に
制限はなく、従来公知の方法、例えば前記(A)成分、
(B)成分、(C)成分及び所望に応じて用いられる各
種添加成分を、それぞれ所定の割合で用い、配合成分を
リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、高速ミキサー
などの配合機によって均一に混合し、さらにこの組成物
を単軸又は二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニー
ダー、コニーダーなどの混練機を用いて均質に混練分散
させる方法などにより、目的の組成物を調製することが
できる。このようにして得られた組成物は、常用の押出
成形機、射出成形機、カレンダー成形機などを用いて所
望の形態に適宜賦形することができる。成形条件は前記
(C)成分を配合することなく処方された組成物の場合
と同様の条件として特に問題はない。
【0033】
【実施例】次に、例を挙げて本発明をより具体的に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。なお、例中の部数は重量部を、%は重量
%を表す。 製造例1 攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、イソプロピルアルコール 100部を仕込
み、窒素気流下でメチルメタクリレート35部、2−エチ
ルヘキシルアクリレート15部、一般式
【化10】 で表されるオルガノポリシロキサン50部及びアゾビスイ
ソブチロニトリル2部を添加し、85〜90℃で6時間重合
させ、続いてアゾビスイソブチロニトリル 0.5部を追加
し90℃で2時間熟成後、ポリシロキサングラフトアクリ
ル樹脂溶液[C−1]を得た。(不揮発分50%)
【0034】〈実施例1〜3〉ポリ塩化ビニル(TK−
1300、信越化学工業社製、商品名) 100部に対し、ジイ
ソノニルフタレート(可塑剤)35部、エポキシ化大豆油
3部、Ba−Zn系安定剤3部、ポリメチルメタクリレート
(ゲル化促進剤)2部及び上記[C−1]を表1に示す
量で配合し、これを 3.5インチテストロール(2本ロー
ル)上で 150℃で7分間混練し、ロールシート成形機で
シートを作製し、これを 170℃で4分間予熱した後、 1
00kgf/cm2 の圧力で4分間加圧して 120× 120×2mmの
シートを作製した。このシートの物性を測定して表1に
示した。
【0035】〈比較例1〉上記配合条件で[C−1]を
全く配合せずに実施例1と同様にしてシートを作製し、
その物性を測定して表1に示した。 〈比較例2〉実施例1において[C−1]の替りにジメ
チルシリコーンオイル(KF−96・1万cSt 、信越化学
工業社製、商品名)2部を用いた以外はすべて実施例1
と同様にしてシートを作製し、その物性を測定して表1
に示した。
【0036】
【表1】
【0037】試験片シートの長期保存後も、表1の結果
はほとんど変わらなかった。なお、表1中の物性1)〜
4)は下記の方法により測定した。 1)カレンチバーによる試験(JIS L−1096に準
拠)、45°の角度までたれさがったときの押し出した距
離(mm)で表す。数字が小さいほど柔軟なシートにな
る。 2)腐葉土30部、セメント5部、カーボンブラック1部、
及び鉱物油5部の混合物をボールミルで粉砕混練したも
の1g を洗浄乾燥砂 100g に均一に付着させた汚染材料
に、50×50mmのシート片を常温で60分間攪拌接触させ
た。その後、シート片表面の汚染度合を目視で観察す
る。 ◎…全く汚れなし、〇…ほとんど汚れなし、×…全面に
汚れ付着 3)協和界面科学社製の動摩擦係数測定装置で測定。 摩擦子:SUS ball、速度:24cm/min、荷重:20g 4)協和界面科学社製の Contact Angle meterで測定。
【0038】製造例2 攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた重合容器に、
トルエン 100部を仕込み、95℃に昇温後、メチルメタク
リレート25部、ブチルメタクリレート10部及び製造例1
で用いたのと同じオルガノポリシロキサン65部の混合
物、及びパーブチルO(日本油脂社製、商品名)2.7 部
とトルエン10部の混合物を、器内温度を95℃に保持しな
がらそれぞれ4時間かけて滴下して重合させ、さらにパ
ーブチルO0.3部、トルエン2部の混合物を添加して95
℃で2時間熟成後、ポリシロキサングラフトアクリル樹
脂溶液を得た。この溶液を多量のメタノール中へ添加し
て樹脂を析出させ、濾過、乾燥してポリシロキサングラ
フトアクリル樹脂[C−2]を得た。[C−2]のGP
Cによるポリスチレン換算重量平均分子量は34,000であ
った。
【0039】製造例3 攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水 200部を仕込み、ついで電
化ポバールB−17R 0.15 部及び同24W 0.05部(いず
れも電気化学社製、商品名)を仕込み、攪拌しながら溶
解し、窒素置換した後、器内温度を75℃に調整した。重
合開始剤アゾビスイソブチロニトリル 0.1部を添加した
後、メチルメタクリレート50部、n−ブチルメタクリレ
ート20部、ブチルアクリレート20部及び製造例1で用い
たのと同じオルガノポリシロキサン10部の混合物を、器
内温度を75℃に保持しながら3時間かけて滴下して重合
させ、さらに2時間の熟成を行って反応を完結させ、粒
径約1mmの球状ポリマー懸濁液を得た。この懸濁液を水
洗、脱水、乾燥してポリシロキサングラフトアクリル樹
脂[C−3]を得た。[C−3]のGPCによるポリス
チレン換算重量平均分子量は 450,000であった。
【0040】製造例4 攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水50部を仕込み、窒素置換し
てから60℃に昇温後、メチルメタクリレート70部、ブチ
ルアクリレート22部及び一般式
【化11】 で示されるオルガノポリシロキサン8部の混合物を、脱
イオン水50部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、ノイゲン
EA-170(第一工業製薬社製、商品名)2部の水溶液中
に添加し、ホモミキサーで乳化した単量体乳化液 154部
のうちから5部を仕込み、次に重合開始剤としてt−ブ
チルハイドロパーオキサイド(純度70%)0.3 部、ロン
ガリット0.17部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
の1%水溶液 0.3部、硫酸第一鉄の1%水溶液 0.1部を
添加して重合を開始させ、30分後から、残りの単量体乳
化液 149部を、器内温度を80℃に保持しながら3時間か
けて滴下して重合させ、さらに1時間の熟成を行って反
応を完結させた。得られた乳化液を等量の脱イオン水で
希釈し、80℃で20%硫酸ナトリウム水溶液を添加して乳
化液を凝析させ、水洗、脱水、乾燥してポリシロキサン
グラフトアクリル樹脂[C−4]を得た。[C−4]の
GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は 680,0
00であった。
【0041】製造例5 攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水50部を仕込み、窒素置換し
てから60℃に昇温後、スチレン20部、メチルメタクリレ
ート43部、ブチルアクリレート27部、製造例4で用いた
のと同じオルガノポリシロキサン10部、ラジカル反応性
界面活性剤アクアロンHS−10の1部、アクアロンRN
−20の3部(いずれも第一工業製薬社製、商品名)の混
合物を、脱イオン水50部に添加後ホモミキサーで乳化し
た単量体乳化液 154部のうちから5部を仕込み、次に重
合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド(純
度70%)0.3 部、ロンガリット0.17部、エチレンジアミ
ン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液 0.3部、硫酸第一鉄
の1%水溶液 0.1部を添加して重合を開始させ、30分後
から、残りの単量体乳化液 149部を、器内温度を80℃に
保持しながら3時間かけて滴下して重合させ、さらに1
時間の熟成を行って反応を完結させた。得られた乳化液
を等量の脱イオン水で希釈し、80℃で20%硫酸ナトリウ
ム水溶液を添加して乳化液を凝析させ、水洗、脱水、乾
燥してポリシロキサングラフトアクリル樹脂[C−5]
を得た。
【0042】〈実施例4〜7〉ポリ塩化ビニル(TK−
1300、信越化学工業社製、商品名) 100部に対し、ジイ
ソノニルフタレート(可塑剤)35部、エポキシ化大豆油
3部、Ba−Zn系安定剤3部、ポリメチルメタクリレート
(ゲル化促進剤)2部及び上記[C−2]〜[C−5]
を表2に示す量で配合し、これを 3.5インチテストロー
ル(2本ロール)上で 150℃で7分間混練し、ロールシ
ート成形機でシートを作製し、これを 170℃で4分間予
熱した後、 100kgf/cm2 の圧力で4分間加圧して 120×
120×2mmのシートを作製した。このシートの物性を測
定して表2に示した。
【0043】
【表2】 試験片シートの長期保存後も、表2の結果はほとんど変
わらなかった。なお、表2中の物性1)〜4)の測定方
法は表1中の物性の測定方法と同じである。
【0044】製造例6 攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水50部を仕込み、窒素置換し
てから60℃に昇温後、メチルメタクリレート60部、ブチ
ルアクリレート20部及び製造例1で用いたのと同じオル
ガノポリシロキサン20部の混合物を、脱イオン水50部、
ノイゲンEA-130T(第一工業製薬社製、商品名)4部
及びノイゲンEA-170(第一工業製薬社製、商品名)4
部の水溶液中に添加し、ホモミキサーで乳化した単量体
乳化液 158部のうちから5部を仕込み、次に重合開始剤
としてt−ブチルハイドロパーオキサイド(純度70%)
0.3 部、ロンガリット0.17部、エチレンジアミン四酢酸
二ナトリウムの1%水溶液0.3部、硫酸第一鉄の1%水
溶液 0.1部を添加して重合を開始させ、30分後から、残
りの単量体乳化液 153部を、器内温度を80℃に保持しな
がら3時間かけて滴下して重合させ、さらに1時間の熟
成を行って反応を完結させた。得られたポリマー乳化液
は凝塊量も少なく良好であった。この乳化液を等量の脱
イオン水で希釈し、80℃で20%硫酸ナトリウム水溶液を
添加して乳化液を凝析させ、水洗、脱水、乾燥してポリ
シロキサングラフトアクリル樹脂[C−6]を得た。
[C−6]のGPCによるポリスチレン換算重量平均分
子量は 530,000であった。
【0045】製造例7 製造例6の単量体組成、メチルメタクリレート60部、ブ
チルアクリレート20部、オルガノポリシロキサン20部
を、メチルメタクリレート50部、ブチルアクリレート20
部、オルガノポリシロキサン30部に替えた他は製造例6
と同様にして共重合を行い、凝塊の少ない良好な乳化液
を得た。この乳化液を製造例6と同様にして凝析させ、
さらに同様に処理してポリシロキサングラフトアクリル
樹脂[C−7]を得た。
【0046】製造例8 攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備
えた重合容器に、脱イオン水50部を仕込み、窒素置換し
てから80℃に昇温後、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド(純度70%)0.3 部、ロンガリット0.17部、エチレン
ジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液 0.3部、硫酸
第一鉄の1%水溶液 0.1部を添加した後、スチレン5
部、メチルメタクリレート25部、ブチルアクリレート20
部の混合物を、脱イオン水25部、ラジカル反応性界面活
性剤アクアロンRN−20(第一工業製薬社製、商品名)
4部の水溶液中に添加し、ホモミキサーで乳化した単量
体乳化液を、器内温度を80℃に保持しながら 1.5時間か
けて滴下して重合させ、さらに30分間反応後、メチルメ
タクリレート30部、ブチルアクリレート12部及び製造例
4で用いたのと同じオルガノポリシロキサン8部の混合
物を、脱イオン水25部、ノイゲンET-160(第一工業製
薬社製、商品名)3部の水溶液中に添加し、ホモミキサ
ーで乳化した単量体乳化液を2時間かけて滴下して重合
させ、さらに1時間の熟成を行ってコア/シェル重合反
応を完結させた。得られた乳化液は凝塊量も少なく良好
であった。この乳化液を製造例6と同様にして凝析さ
せ、さらに同様に処理してポリシロキサングラフトアク
リル樹脂[C−8]を得た。
【0047】〈実施例8〜12〉ポリ塩化ビニル(TK
−1300、信越化学工業社製、商品名) 100部に対し、ジ
イソノニルフタレート(可塑剤)35部、エポキシ化大豆
油3部、Ba−Zn系安定剤3部、ポリメチルメタクリレー
ト(ゲル化促進剤)2部及び上記[C−6]〜[C−
8]を表3に示す量で配合し、これを 3.5インチテスト
ロール(2本ロール)上で 150℃で7分間混練し、ロー
ルシート成形機でシートを作製し、これを 170℃で4分
間予熱した後、 100kgf/cm2 の圧力で4分間加圧して 1
20× 120×2mmのシートを作製した。このシートの物性
を測定して表3に示した。
【0048】
【表3】 試験片シートの長期保存後も、表3の結果はほとんど変
わらなかった。なお、表3中の物性1)〜4)の測定方
法は表1中の物性の測定方法と同じである。
【0049】〈比較例3〉製造例6の単量体組成、メチ
ルメタクリレート60部、ブチルアクリレート20部、オル
ガノポリシロキサン20部を、メチルメタクリレート10
部、ブチルアクリレート10部、オルガノポリシロキサン
80部に替えた他は製造例6と同様にして乳化共重合を行
ったが、未反応のオルガノポリシロキサンを多く含む粘
着性の凝塊物が多量に生成し、良好な乳化液が得られな
かった。従って、ポリシロキサングラフトアクリル樹脂
を分離することが不可能であった。
【0050】
【発明の効果】本発明の組成物から得られる成形体は、
動摩擦係数が小さく摺動特性に優れ、かつブリードもほ
とんどないので外観不良や加工性不良、アッセンブリ工
程における他の部材との接着性不良などを起こすことが
なく、他部材を汚染することがなく、滑剤成分が離脱し
て摩擦抵抗が経時的に増大することがないので、摺動
性、撥水性、耐汚染性が長期にわたって保持されるとい
う優れた効果があり、その実用性は極めて大きい。
フロントページの続き (72)発明者 嶋崎 由亘 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (72)発明者 服部 恭裕 東京都千代田区大手町二丁目6番1号 信越化学工業株式会社 本社内 (72)発明者 大畠 宏之 福井県武生市北府2丁目17番33号 日信 化学工業株式会社内 (72)発明者 嵯峨 博 福井県武生市北府2丁目17番33号 日信 化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−179788(JP,A) 特開 平4−31452(JP,A) 特開 昭57−12070(JP,A) 特開 平4−163519(JP,A) 特開 平4−190320(JP,A) 特開 昭62−290768(JP,A) 特開 平5−105727(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 27/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリ塩化ビニル系樹脂 100重量
    部、(B)可塑剤 5〜150 重量部、及び(C)一般式
    (I) 【化1】 (式中、Rは同一又は異なる炭素数1〜20の1価の炭化
    水素基又はハロゲン化炭化水素基を、Xは1価のラジカ
    ル重合性基を表し、nは5〜 200の整数を表す。)で示
    されるオルガノポリシロキサンと他のラジカル重合性単
    量体との共重合体0.5〜50重量部を配合したことを特徴
    とするポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記オルガノポリシロキサンが、一般式 【化2】 (式中、R1はヘテロ原子を含み得る炭素数3〜20の2価
    の有機基を、R2は水素原子又はメチル基を表す。R、n
    は請求項1に同じ。ただし、Rのうち50モル%以上がメ
    チル基である。)で示されるものである請求項1記載の
    ポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記オルガノポリシロキサンが、一般式 【化3】 (式中、R、nは請求項1に同じ。ただし、Rのうち50
    モル%以上がメチル基である。)で示されるものである
    請求項1記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
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