JPH075808B2 - ポリ塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

ポリ塩化ビニル系樹脂組成物

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JPH075808B2
JPH075808B2 JP2078631A JP7863190A JPH075808B2 JP H075808 B2 JPH075808 B2 JP H075808B2 JP 2078631 A JP2078631 A JP 2078631A JP 7863190 A JP7863190 A JP 7863190A JP H075808 B2 JPH075808 B2 JP H075808B2
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
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NITSUSHIN KAGAKU KOGYO KK
Shin Etsu Polymer Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、新規なポリ塩化ビニル系樹脂組成物、さらに
詳しくは、例えば自動車のグラスランやガラスのはめご
ろし部支持材など、良好な摺動性、耐摩耗性が要求され
る成形品の材料として好適な、特定のアクリル変性ポリ
オルガノシロキサンを配合して成る摺動性、耐摩耗性に
優れたポリ塩化ビニル系樹脂組成物に関するものであ
る。
従来の技術 従来、ポリ塩化ビニル系樹脂は、汎用樹脂として多くの
分野において広く用いられているが、特に良好な摺動性
を必要とする分野、例えば自動車のグラスランやガラス
窓のはめごろし部支持材などの用途に用いる場合には、
摺動性、耐摩耗性の優れたものが要求される。
すなわち、例えば自動車は、走行中に連続的に車中に生
じる弾性変形と振動により相対する各部材が相互接触運
動による相対変位を起こし、その結果摩擦振動を経由し
てきしみ音を発生するという問題があるが、この問題
は、この現象のメカニズムが粘着と滑りの繰り返しであ
るスティック・スリップ作用によるものであって、各部
材接触部位における静摩擦と動摩擦が大きく異なるため
に発生すると思われることから、これらの摩擦係数を小
さくするか、あるいはこれら摩擦係数の差を小さくする
などして摺動性を向上させることによって解決される。
他方、窓ガラス板の上下時における摺動、走行中の摺動
に伴うズレ、洗車時におけるブラッシング等に対する耐
摩耗性が悪いと摩損して隙間が大きくなってシール性が
損なわれたり、外観を悪くするなどの機能の低下をきた
すというおそれがあった。
このポリ塩化ビニル系樹脂成形品に摺動性を付与する方
法としては、これまで例えばその表面を粗くし表面粘着
性を抑制するため部分架橋塩化ビニル系樹脂を用いてゲ
ル化度を異ならせて成形品表面に凹凸を生じさせる方法
や脂肪酸アミド系、高級アルコール系、脂肪酸エステル
系、シリコーンオイル系の滑剤などを該樹脂に配合して
成形品表面にブリードさせて滑性を増す方法、あるいは
成形品表面にナイロンを植毛したり、シリコーン系塗膜
を塗布硬化した二次加工による方法などが用いられてき
た。
しかしながら、第1の方法では光沢のある製品外観が得
られないし、また、第2の滑剤を配合する方法において
は、十分な摺動性を付与するためには滑剤を多量に添加
する必要があり、その結果、滑剤のブリードによる外観
不良や加工性不良、さらにはアッセンブリ工程における
他の部材との接着性不良などを起こし、さらには他部材
が汚染され、滑剤成分が離脱して摩擦抵抗が経時的に増
大するなど耐久性の面での欠点があった。一方、第3の
二次加工による方法は、新たな加工工程を必要とするた
め、操作が煩雑でコスト高になるのを免れないし、表面
硬度が高いものを用いた場合にはシール性(密着性)が
そこなわれやすく、他部材の塗膜を傷つけるおそれがあ
るので好ましくなかった。
発明が解決しようとする課題 本発明は、このような従来のポリ塩化ビニル系樹脂に摺
動性、耐摩耗性を付与する際に伴う欠点を克服し、得ら
れる成形品の表面光沢も自由に設定でき、添加剤のブリ
ードによるトラブルもなく、かつ二次加工も必要としな
い経済的に有利な優れた摺動性、耐摩耗性を有するポリ
塩化ビニル系樹脂材料を提供することを目的としてなさ
れたものである。
課題を解決するための手段 本発明者らは、前記した欠点を伴うことなく優れた摺動
性、耐摩耗性が付与されたポリ塩化ビニル系樹脂材料を
開発すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリ塩化ビニル系樹
脂に、可塑剤及び特定構造のアクリル変性ポリオルガノ
シロキサンを、それぞれ所定の割合で配合した組成物に
より、その目的を達成しうることを見い出し、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)ポリ塩化ビニル系樹脂100
重量部に対し、(B)可塑剤及び(C)(イ)一般式 〔式中のR1、R2及びR3は、それぞれ同一又は異なる炭素
数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、Yは
ラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機
基、Z1及びZ2は、それぞれ同一又は異なる水素原子、低
級アルキル基又は 基(R4及びR5は、それぞれ同一又は異なる炭素数1〜20
の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、R6は炭素数1
〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、ある
いはラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ
有機基である)、mは10,000以下の正の整数、nは1以
上の整数である〕 で表わされるポリオルガノシロキサンと、(ロ)一般式 (式中のR7は水素原子又はメチル基、R8はアルキル基、
アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基又はアリ
ール基である) で表わされる(メタ)アクリル酸エステル又はこの(メ
タ)アクリル酸エステル70重量%以上と共重合可能な単
量体30重量%以下との混合物とを、重量比5:95ないし9
5:5の割合で乳化グラフト共重合させて成るアクリル変
性ポリオルガノシロキサン5重量部以上、好ましくは5
〜200重量部、より好ましくは5〜100重量部を配合した
ことを特徴とするポリ塩化ビニル系樹脂組成物を提供す
るものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明組成物において、(A)成分として用いられるポ
リ塩化ビニル系樹脂については特に制限はなく、従来公
知のもの、例えば塩化ビニル単独重合体、後塩素化塩化
ビニル重合体、部分架橋化塩化ビニル重合体、あるいは
塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体などの中
から任意のものを選択して用いることができる。また、
塩化ビニル系樹脂が50重量部超含まれる限り他の樹脂、
例えばアクリル系樹脂、塩素化ポリエチレン等のオレフ
ィン系樹脂等のブレンド体、アロイであってもよい。
前記共重合体における共重合可能な単量体としては、例
えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリル酸ビニ
ルなどの脂肪酸ビニルエステル、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアクリ
ル酸アルキルエステル、メチルメタクリレート、エチル
メタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル、
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化
ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテ
ル、ビニルオクチルエーテルなどのアルキルビニルエー
テル、エチレン、プロピレン、スチレンなどのα−オレ
フィン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸な
どの不飽和カルボン酸又はその酸無水物、塩化ビニリデ
ン、臭化ビニル、各種ウレタンなどが挙げられ、これら
は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いて
もよい。このような共重合体の中で、特に好ましいもの
としては、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビ
ニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸共重合体及
び塩化ビニル−ウレタン共重合体が挙げられる。
これらのポリ塩化ビニル系樹脂は1種用いてもよいし、
2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その平均
重合度は300〜10,000の範囲にあることが好ましい。平
均重合度の相異なるものを適宜ブレンドして用いること
もできる。該平均重合度が300未満では十分な強度が得
られないし、10,000を超えると加工性が低下する傾向が
みられる。組成物が高流動性を必要とする場合には平均
重合度が低いものを選べばよいし、高弾性を必要とする
場合には平均重合度が高いものを選べばよい。
本発明組成物において、(B)成分として用いられる可
塑剤については特に制限はなく、従来ポリ塩化ビニル系
樹脂に慣用されているものの中から任意に選択して用い
ることができる。このような可塑剤としては、例えばジ
ブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシ
ルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジウンデシル
フタレート、トリオクチルトリメリテート、トリイソオ
クチルトリメリテート、ピロメットなどの芳香族多塩基
酸のアルキルエステル、ジブチルアジペート、ジオクチ
ルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジブチルアゼ
レート、ジオクチルアゼレート、ジイソノニルアゼレー
トなどの脂肪酸多塩基酸のアルキルエステル、トリクレ
ジルホスフェートなどのリン酸エステル、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸などの多価カルボ
ン酸とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコー
ル、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、1,4−ブチレングリコールなどの多価アルコールと
の分子量600〜8,000程度の重縮合体の末端を、一価アル
コール又は一価カルボン酸で封鎖したものなどのポリエ
ステル系可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ
油、エポキシ化トール油脂肪酸−2−エチルヘキシルな
どのエポキシ系可塑剤、塩素化パラフィンなどが挙げら
れる。
これらの可塑剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2
種以上を組み合わせて用いてもよく、これらのうちでは
ジオクチルフタレートやイソノニルフタレートなどのフ
タル酸系可塑剤が前記した(A)成分としてのポリ塩化
ビニル系樹脂が高重合度(平均重合度2000以上)である
場合にブリードが少ないので好ましい。
なお、この可塑剤の配合量については、可塑化効果が発
揮され、得られる成形品の弾性、伸びが充分であり、硬
度が高すぎない範囲の量である限り、特に制限はない
が、あまりにも多すぎると耐摩耗性などの機械的特性が
低下する傾向がみられるし、摺動性の向上も配合量を増
やした割には望めない傾向がみられるので、通常ポリ塩
化ビニル系樹脂100重量部に対し、5〜150重量部、好ま
しくは10〜100重量部、より好ましくは10〜80重量部と
される。
本発明組成物においては、(C)成分としてアクリル変
性ポリオルガノシロキサンが用いられる。このアクリル
変性ポリオルガノシロキサンは、(イ)一般式 (式中のR1、R2、R3、Y、Z1及びZ2は前記と同じ意味を
もつ) で表わされるポリオルガノシロキサンに、(ロ)一般式 (式中のR7、R8は前記と同じ意味をもつ) で表わされる(メタ)アクリル酸エステル及び所望に応
じて用いられる共重合可能な単量体を、乳化重合法によ
りグラフト重合させることにより製造される。
前記一般式(I)で表わされるポリオルガノシロキサン
においては、R1、R2及びR3は、それぞれメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基やフェニ
ル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのアリー
ル基などの炭素数1〜20の炭化水素基又はこれらの炭化
水素基の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1つ
をハロゲン原子で置換した炭素数1〜20のハロゲン化炭
化水素基であって、R1、R2及びR3は、それぞれ同一であ
ってもよいし、たがいに異なっていてもよい。
また、Yはビニル基、アリル基、γ−アクリロキシプロ
ピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−メルカプ
トピロピル基などのラジカル反応性基又はSH基もしくは
その両方をもつ有機基である。Z1及びZ2は水素原子、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの低級ア
ルキル基又は で示されるトリオルガノシリル基であり、このトリオル
ガノシリル基におけるR4及びR5は、それぞれ同一又は異
なる炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素
基、R6は炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化
炭化水素基、あるいはラジカル反応性基又はSH基もしく
はその両方をもつ有機基である。該トリオルガノシリル
基における炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化炭化
水素基及びラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方
をもつ有機基としては、前記に例示したものを挙げるこ
とができる。該Z1とZ2は、それぞれ同一であってもよい
し、たがいに異なるものであってもよい。
さらに、mは10,000以下の正の整数、好ましくは500〜
8,000の範囲の整数であり、nは1以上の整数、好まし
くは1〜500の範囲の整数である。
前記一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサン
は、原料として、例えば一般式 (式中のpは3〜6の整数である) で示される環状ポリオルガノシロキサン、一般式 (式中のqは正の整数である) で示される分子鎖両末端が水酸基で封鎖された液状ポリ
ジメチルシロキサン、一般式 (式中のrは正の整数である) で示される分子鎖両末端がアルコキシ基で封鎖された液
状ポリジメチルシロキサン、一般式 (式中のsは0又は1以上の整数である) で示される分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖さ
れたポリジメチルシロキサンなどを、また、ラジカル反
応性基又はSH基もしくはその両方を導入するための原料
として、例えば で示されるシラン類、一般式 (式中のtは3〜6の整数である) で示される前記シラン類の加水分解生成物などを、さら
に所望に応じ、本発明の目的をそこなわない程度の量の
三官能性のトリアルコキシシラン及びその加水分解生成
物などを用い、反応させることにより製造することがで
きる。
次に、一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサン
の製造方法の異なった例について説明すると、まず、第
1の方法は、原料として、例えば前記のオクタメチルシ
クロテトラシロキサンのような環状低分子シロキサンと
ラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつジア
ルコキシシラン化合物やその加水分解物を用い、強アル
カリ性又は強酸性触媒の存在下に重合させることにより
高分子量のポリオルガノシロキサンを得る方法である。
このようにして得られた高分子量のポリオルガノシロキ
サンは、次工程の乳化グラフト共重合に供するために、
適当な乳化剤の存在下に水性媒体中に乳化分散させる処
理が施される。
次に、第2の方法は、原料として、例えば前記の低分子
ポリオルガノシロキサンと、ラジカル反応性基又はSH基
もしくはその両方をもつジアルコキシシランやその加水
分解物とを用い、スルホン酸系界面活性剤や硫酸エステ
ル系界面活性剤の存在下に、水性媒体中において乳化重
合させる方法である。この乳化重合の場合、同様な原料
を用い、アルキルトリメチルアンモニウムクロリドやア
ルキルベンジルアンモニウムクロリドのどのカチオン性
界面活性剤により、水性媒体中に乳化分散させたのち、
適当量の水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの強ア
ルカリ性化合物を添加して重合させることもできる。
前記第1の方法において用いられる強アルカリ性重合触
媒としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化セシウム、テトラメチルアンモニウムヒドロ
キシド、テトラブチルスルホニウムヒドロキシドなど
が、強酸性重合触媒としては、例えば硫酸、トリフロロ
メタンスルホン酸などが挙げられる。これらの触媒は、
いずれも重合終了後に中和することにより、触媒活性が
消失する。また、第1の方法で得られた高分子量のポリ
オルガノシロキサンを乳化させるための乳化剤として
は、例えば各種ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
ショ糖脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、ラ
ウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシル硫
酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、アルキルト
リメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルアン
モニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムク
ロリドなどのカチオン性界面活性剤が挙げられる。
一方、第2の方法において、乳化重合によりポリオルガ
ノシロキサンのエマルジョンを製造する場合に用いられ
るスルホン酸系界面活性剤及び硫酸エステル系界面活性
剤は、乳化剤と重合触媒を兼ねるものであり、このよう
なものとしては、例えば C10H21(OC2H42OSO3H,ラウリル硫酸ナトリウム、ポリ
オキシエチレンドデシルフェニル硫酸ナトリウムなどが
挙げられる。これらのうち、硫酸エステル塩類は乳化終
了後に陽イオン交換樹脂と接触させることにより対応す
る酸に変わり、重合触媒として機能するようになる。乳
化重合終了後は酸型となっている界面活性剤を中和して
触媒活性を消失させればよい。また、カチオン系乳化剤
としては前記のような第四級アンモニウム塩系が主とし
て用いられ、乳化重合後は塩基型となっている界面活性
剤を中和して触媒活性を消失させればよい。
このようにして得られた前記一般式(I)で示されるポ
リオルガノシロキサンは、その分子量が小さいと、組成
物から得られる成形体に持続性のある摺動性、耐摩耗性
などを付与する効果が劣るようになるので、分子量がで
きるだけ大きい方が好ましい。このため、第1の方法に
おいては、重合においてポリオルガノシロキサンを高分
子量のものとしておき、これを乳化分散することが必要
であり、また第2の方法においては、乳化重合後に施さ
れる熟成処理の際に、温度を低くすればポリオルガノシ
ロキサンの分子量が大きくなるので、熟成温度は30℃以
下、好ましくは15℃以下とするのが有利である。
本発明において、前記一般式(I)で示されるポリオル
ガノシロキサンに、グラフト重合させる(ロ)成分の単
量体として用いられる前記一般式(II)で示される(メ
タ)アクリル酸エステルとしては、例えばメチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロ
ピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メ
タ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オ
クチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)
アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、
ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシ
アルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベ
ンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これら
の(メタ)アクリル酸エステルは1種のみを用いてもよ
いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、所望に応じ、これらの(メタ)アクリル酸エステ
ルと共に用いられる共重合可能な単量体としては、多官
能性単量体やエチレン性不飽和単量体が挙げられる。該
多官能性単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミ
ド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロ
ール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メ
タ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アク
リルアミドなどのエチレン性不飽和アミド及びエチレン
性不飽和アミドのアルキロール又はアルコキシアルキル
化物、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルア
リルエーテルなどのオキシラン基含有不飽和単量体、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル
基含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸、無水マレイ
ン酸、クロトン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含
有エチレン性不飽和単量体、N−ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレートなどのアミノ基含有不飽和単量体、
(メタ)アクリル酸のエチレンオキシドやプロピレンオ
キシド付加物などのポリアルキレンオキシド基含有不飽
和単量体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの
多価アルコールと(メタ)アクリル酸との完全エステ
ル、さらにはアリル(メタ)アクリレート、ジビニルベ
ンゼンなどが挙げられる。これらは1種用いてもよい
し、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの多官能性単量体は、アクリル変性ポリオルガノ
シロキサンにおけるポリマー間の架橋に関与することに
よって、成形体に弾性、耐久性、耐熱性などを付与する
効果を有している。
一方、エチレン性不飽和単量体としては、例えばスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニ
トリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどが挙げら
れる。これらの単量体は1種用いてもよいし、2種以上
を組み合わせて用いてもよく、また、これらの単量体1
種以上と前記官能性単量体1種以上とを組み合わせて用
いてもよい。
前記所望に応じて用いられる共重合可能な単量体の使用
量は、一般式(II)で示される(メタ)アクリル酸エス
テルと該共重合可能な単量体との合計重量に基づき、30
重量%以下の範囲で選ぶことが必要である。この量が30
重量%を超えると、得られるアクリル変性ポリオルガノ
シロキサンとポリ塩化ビニル系樹脂との混和性が低下す
るとともに、組成物の加工性や成形体の耐候・耐光性な
どが不十分となる傾向がみられる。
また、前記(ロ)成分のグラフト共重合用単量体、すな
わち前記一般式(II)で示される(メタ)アクリル酸エ
ステル、又はこれと共重合可能な単量体との混合物は、
成形体により優れた摺動性、耐摩耗性を付与するために
は、そのポリマー化物のガラス転移温度が20℃、好まし
くは30℃以上のものが望ましい。
本発明組成物における(C)成分のアクリル変性ポリオ
ルガノシロキサンは、前記(イ)成分のポリオルガノシ
ロキサンと(ロ)成分の単量体とを、重量比5:95にない
し95:5の割合で用いて、乳化重合法により、グラフト共
重合させることにより得られる。該(イ)成分のポリオ
ルガノシロキサンの使用割合が前記範囲より少ないと、
得られるアクリル変性ポリオルガノシロキサンはポリオ
ルガノシロキサン自体がもつ効果を十分に発揮すること
ができず、かつアクリル系ポリマーの欠点である粘着感
が生じるようになるし、前記範囲より多いと該アクリル
変性ポリオルガノシロキサンはポリ塩化ビニル系樹脂と
の混和性が低下し、成形体表面にブリードしやすくな
り、摺動性、耐摩耗性などが経時により低下しやすくな
る傾向がみられる。
前記(イ)成分と(ロ)成分との乳化グラフト共重合
は、該(イ)成分としてポリオルガノシロキサンの水性
エマルジョンを用い、通常のラジカル開始剤を使用し
て、公知の乳化重合法によって行うことができる。前記
ラジカル開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫
酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸化水素水、t−ブ
チルハイドロペルオキシド、アゾビスアミジノプロパン
の塩酸塩などの水溶性タイプ、ベンゾイルペルオキシ
ド、キュメンヒドロペルオキシド、ジブチルペルオキシ
ド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、クミル
ペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシオクト
エート、アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性タイ
プなどが挙げられる。さらに、必要に応じ、酸性亜硫酸
ナトリウム、ロンガリット、L−アスコルビン酸、糖
類、アミン類などの還元剤を併用したレドックス系も使
用することができる。
また、乳化剤としては、(イ)成分の水性エマルジョン
中に乳化剤が含有されているので、必ずしも新たに使用
しなくてもよいが、重合中の凝塊発生防止やエマルジョ
ンの安定性向上のため、乳化剤を適宜添加してもよい。
ここで、試用される乳化剤としては、例えばアルキル又
はアルキルアリル硫酸塩若しくはスルホン酸塩、ジアル
キルスルホコハク酸塩のなどのアニオン性乳化剤、アル
キルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジ
ルアンモニウムクロリドなどのカチオン性乳化剤、ポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカルボ
ン酸エステルなどのノニオン性乳化剤などを好ましく挙
げることができる。
このような乳化重合法により、前記(C)成分のアクリ
ル変性ポリオルガノシロキサンがエマルジョン状態で得
られるが、該アクリル変性ポリオルガノシロキサンを単
離するには、このエマルジョンに無機塩水溶液や水溶性
有機溶剤などを加えてエマルジョン粒子を凝集させたの
ち、ろ別し、水洗、乾燥して、粉末状とすればよい。
本発明組成物においては、前記(C)成分のアクリル変
性ポリオルガノシロキサンを、(A)成分のポリ塩化ビ
ニル系樹脂100重量部に対し、5重量部位上、好ましく
は5〜200重量部、より好ましくは5〜100重量部の割合
で配合することが必要である。この量が5重量部未満で
は組成物から得られる成形体は摺動性、耐摩耗性に劣
り、本発明の効果が十分に発揮されない。なお、200重
量部を超えるとその量の割りには効果の向上が認められ
がたい傾向があるので、目的に応じ適宜選択するのが好
ましい。
本発明組成物には、所望に応じ本発明の目的をそこなわ
ない範囲で、従来ポリ塩化ビニル系樹脂に慣用されてい
る各種添加成分、例えば安定剤、充てん剤、滑剤、着色
剤、改質剤などを添加することができる。
該安定剤としては、例えば三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜
リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛、鉛白(塩基性炭
酸鉛)などの鉛系安定剤、カリウム、マグネシウム、バ
リウム、亜鉛、カドミウム、鉛などの金属と、2−エチ
ルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステ
アリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベ
ヘン酸などの脂肪酸から誘導される金属セッケン系安定
剤、アルキル基、エステル基と脂肪酸塩、マレイン酸
塩、含硫化合物から誘導される有機スズ系安定剤、Ba−
Zn系、Ca−Zn系、Ba−Ca−Sn系、Ca−Mg−Sn系、Ca−Zn
−Sn系、Pb−Ba系、Pb−Ba−Ca系などの複合金属セッケ
ン系安定剤、バリウム、亜鉛などの金属基と、2−エチ
ルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸などの
分枝脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸な
どの不飽和脂肪酸、ナフテン酸などの脂環族酸、石炭
酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体などの
芳香族酸といった通常2種以上の有機酸から誘導される
金属塩系安定剤、これら安定剤を石油系炭化水素、アル
コール、グリセリン誘導体などの有機溶剤に溶解し、さ
らに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、
透明性改善剤、光安定剤、酸化防止剤、プレートアウト
防止剤、滑剤などの安定化助剤を配合して成る金属塩液
状安定剤などといった金属系安定剤の他、エポキシ樹
脂、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエス
テル、エポキシ化芳香族酸アルキルエステルなどのエポ
キシ化合物、リンがアルキル基、アリール基、シクロア
ルキル基、アルコキシル基などで置換され、かつプロピ
レングリコールなどの2価アルコール、ヒドロキノン、
ビスフェノールAなどの芳香族化合物を有する有機亜リ
ン酸エステル、BHTや硫黄やメチレン基などで二量体化
したビスフェノールなどのヒンダードフェノール、サリ
チル酸エステル、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール
などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン又はニッケル錯
塩の光安定剤、カーボンブラック、ルチル型酸化チタン
などの紫外線遮へい剤、トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどの
多価アルコール、β−アミノクロトン酸エステル、2−
フェニルインドール、ジフェニルチオ尿素、ジシアンジ
アミドなどの含窒素化合物、ジアルキルチオジプロピオ
ン酸エステルなどの含硫黄化合物、アセト酢酸エステ
ル、デヒドロ酢酸、β−ジケトンなどのケト化合物、有
機ケイ素化合物、ホウ酸エステルなどといった非金属系
安定剤が挙げられ、これらは1種用いてもよいし、2種
以上組合せて用いてもよい。
また、充てん剤としては、例えば重質炭酸カルシウム、
沈降性炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウムなどの炭酸
塩、酸化チタン、クレー、タルク、マイカ、シリカ、カ
ーボンブラック、グラファイト、中空または中実ガラス
ビーズ、ガラス短繊維、カーボン繊維、金属繊維のよう
な無機質系のもの、ポリアミドなどの耐熱性合成繊維、
シリコーンのような有機質系のものなどが挙げられる。
また、滑剤としては、例えば流動パラフィン、天然パラ
フィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量
ポリエチレンなどの純炭化水素系、塩素化炭化水素系、
フルオロカルボンなどのフッ素化炭化水素系、高級脂肪
酸、オキシ脂肪酸などの脂肪酸系、脂肪酸アミド、ビス
脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミド系、脂肪酸の低級アル
コールエステル、グリセリドなどの脂肪酸の多価アルコ
ールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪
酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)など
のエステル系のものの他、金属セッケン、脂肪アルコー
ル、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロー
ス、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸と
ポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステルなど
が挙げられる。
さらに、改質剤としては、通常塩化ビニル系樹脂に慣用
されているものであれば特に制限されず、例えばPMMAな
どのゲル化促進剤、MBS、ABS、AES、塩素化ポリエチレ
ンなどの衝撃強化剤、水酸化アルミニウム、三酸化アン
チモン、塩素化パラフィン、ハロゲン化合物などの難燃
化剤、NBR、アクリルゴム、ポリウレタンなどのゴム弾
性を有する弾性付与剤、その他発泡剤、抗菌剤、帯電防
止剤、界面活性剤、防曇剤、導電性付与剤などの中から
任意に選択することができる。
本発明組成物の調製方法については特に制限はなく、従
来公知の方法、例えば前記(A)成分、(B)成分、
(C)成分及び所望に応じて用いられる各種添加成分
を、それぞれ所定の割合で用い、配合成分をリボンプレ
ンダー、ヘンシェルミキサー、高速ミキサーなどの配合
機によって均一に分散し、さらにこの組成物を単軸又は
二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、コニ
ーダーなどの混練機を用いて均質に混練分散する方法な
どにより、該組成物を調製することができる。
このようにして得られた組成物は、常用の押出成形機、
射出成形機、カレンダー成形機などを用いて所望の形態
に適宜賦形することができる。成形条件は前記(C)成
分を配合することなく処方された組成物の場合と同様の
条件として特に問題はない。
本発明組成物の好適な調製方法を具体的に例示すると、
50mm単軸押出機(L/D=24〜27、CR2.5〜3.5)を用いた
場合で硬度90度(10秒後読み)のものを得ようとすれ
ば、成形条件は、シリンダー温度C1=140〜150℃、C2
150〜160℃、C3=150〜170℃、C4=160〜180℃で、ヘッ
ド温度H=160〜180℃、ダイス温度D=170〜190℃、ス
クリュー回転数=10〜50回/分の範囲で選ばれる。ま
た、射出成形の場合には、成形条件は、シリンダー温度
C1=170〜180℃、C2=180〜190℃、C3=180〜190℃、ノ
ズルヘッド=170〜190℃、射出圧力=40〜70kg/cm2の範
囲で選ばれる。
発明の効果 本発明の組成物から得られる成形体は静摩擦係数、動摩
擦係数がいずれも小さく、またその差も小さいので摺動
特性に優れ、かつブリードも極めて小さいので外観不良
や加工性不良、アッセンブリ工程における他の部材との
接着性不良などを起こすことがなく、他部材を汚染する
ことがなく、滑剤成分が離脱して摩擦抵抗が、経時的に
増大することがないので、摺動性、耐摩耗性が長期にわ
たって保持されるという優れた効果があり、その実用性
は極めて大きい。
実施例 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明はこれらの例によってなんら限定されるものでは
ない。
製造例1 ポリオルガノシロキサンエマルジョンの製造 オクタメチルシクロテトラシロキサン1500重量部、メル
カプトプロピルメチルシロキサン94.1重量部及び純粋15
00重量部を混合し、これにラウリル硫酸ナトリウム15重
量部、ドデシルベンゼンスルホン酸10重量部を添加して
からホモミキサーでかきまぜて乳化したのち、圧力3000
psiのホモジナイザーに2回通して安定なエマルジョン
を調製した。次いでこれを70℃で12時間加熱後、25℃ま
で冷却して24時間熟成したのち、炭酸ナトリウムを用い
てこのエマルジョンのpHを7に調整し、4時間窒素ガス
を吹き込んでから水蒸気蒸留して揮発性のシロキサンを
留去し、次に純水を加えて不揮発分を45重量%に調整す
ることにより、メルカプト基3.4モル%を含有するポリ
オルガノシロキサンのエマルジョンが得られた(以下、
これをE−1と略記する)。
また、第1表に示すように原料シロキサンの種類と量及
び熟成条件を変えた他はE−1の場合と同様の方法によ
りオルガノポリシロキサンのエマルジョンE−2〜E−
4を得た。
製造例2 アクリル変性ポリオルガノシロキサンの製造 かきまぜ機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口
を備えた反応容器に製造例1で得たポリオルガノシロキ
サンエマルジョンE−1 477重量部(ポリオルガノシロ
キサン分214.5重量部)と純水1400重量部を仕込み、窒
素ガス気流下に器内を10℃に調整したのち、t−ブチル
ヒドロペルオキシド0.4重量部、L−アスコルビン酸2.0
重量部、硫酸第一鉄7水和物0.008重量部を加え、次い
で器内温を10℃に保ちながら、エチルアクリレート147
重量部、メチルメタクリレート343重量部及び2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート10重量部の混合物(このも
ののポリマー化物のガラス転移温度は55℃)を3時間か
けて滴下し、滴下終了後さらに1時間かきまぜを続けて
反応を完結させた。得られたアクリル変性ポリオルガノ
シロキサンのエルマジョンは固形分濃度30重量%であっ
た。
次いで、このエマルジョン1000重量部をかきまぜ機付き
の容器に仕込み60℃に加熱し、ここに硫酸ナトリウム92
重量部を純水563重量部に溶解した溶液を加えてアクリ
ル変性ポリオルガノシロキサンを析出させ、ろ過・水洗
を繰り返してから60℃で乾燥して、アクリル変性ポリオ
ルガノシロキサン(以下これをP−1と略記)を得た。
さらに、ポリオルガノシロキサンエマルジョン及び(メ
タ)アクリル系単量体などの種類、量を第2表に示すも
のとした他は前記と同様にしてアクリル変性ポリオルガ
ノシロキサンP−2〜P−9を得た。
なお、グラフト共重合用単量体のポリマー化物のガラス
転移温度は次のようにして求めた。
かきまぜ機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口
を備えた反応容器に、純水1000重量部を仕込み、次いで
所定の種類の量のグラフト共重合用単量体、ラウリル硫
酸ナトリウム5重量部、ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテル10重量部、純水150重量部から成る混合液
(以下A液と略記)の全量の10%を添加後、窒素ガス気
流下に器内を10℃に調整し、さらにt−ブチルヒドロペ
ルオキシド0.4重量部、L−アスコルビン酸2重量部、
硫酸第一鉄7水和物0.008重量部を加え種重合を行っ
た。次いで器内温度10℃に保ちながら3時間かけて残り
のA液を滴下し、A液の滴下終了後さらに1時間かきま
ぜを続けて反応を完結させた。
次に、このエマルジョン1000重量部をかきまぜ機付きの
容器に仕込み60℃に加熱し、ここに硫酸ナトリウム92重
量部を純水563重量部に溶解した溶液を加えてポリマー
を析出させ、ろ過、水洗を繰り返してから60℃で乾燥し
てポリマーを得、示差走査熱量計DSC200(セイコー電子
工業製)を用いてガラス転移温度を求めた。
実施例1、比較例1 ポリ塩化ビニル(TK1300平均重合度1300信越化学社製)
100重量部に対し、可塑剤DINP35重量部、エポキシ大豆
油3重量部、重質炭酸カルシウム10重量部、Ba−Zn系安
定剤3重量部、紫外線吸収剤(チヌビンP:チバガイギー
社製)0.3重量部、PMMA(ゲル化促進剤)2重量部及び
第2表に示す各種のアクリル変性ポリオルガノシロキサ
ン50重量部を配合し、これを3.5インチテストロール
(2本)上で150℃で7分間混練し、ロールシート成形
物を作成し、次いで、これを鏡面板で挟持して170℃で
4分間予熱したのち、100kg/cm2の圧力で4分間加圧し
て120×120×1.5mmの試料を作成した。
このようにして得られた試料の静摩擦係数及び動摩擦係
数を求めた。その結果を第2表に示す。
第2表により、本発明組成物は優れた摺動性を有するこ
とが分かる。
次に、比較のため、比較例1として、アクリル変性ポリ
オルガノシロキサンを添加しないこと以外は、実施例と
同様にして試料を作成し、その各摩擦係数を求めたとこ
ろ、静・動摩擦係数はそれぞれ2.50及び0.76であった。
なお、静・動摩擦係数は次のようにして求めた。
摩擦試験機としてヘイドン14−D−ANL(新東科学社
製、商品名)を用い、10φ SUS鋼球、荷重50g、引張速
度100mm/分の条件で各摩擦係数を測定した。
実施例2〜9、比較例2〜3 実施例1のアクリル変性ポリオルガノシロキサンの各種
類のうち第2表に示す種類がP−1のものを用い、第3
表に示すように各成分を配合したこと以外は実施例1と
同様にして各実施例の試料を作成するとともに、比較の
ため、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを添加しな
いこと以外はこの実施例と同様にして比較試料を作成
し、その動摩擦係数を測定した。その結果を第3表に示
す。
第2表及び第3表に示すように、本発明組成物からなる
成形品の静摩擦係数、動摩擦係数はその数値及びその差
が対応する配合と比較して、いずれも小さくなってお
り、摺動性の優れたものであることがわかる。
なお、実施例9の試料について促進ブリード試験(70
℃、相対湿度90%、96時間)を行ったところ、何らブリ
ード現象は見られなかった。
実施例10〜12、比較例4 第3表に示す実施例3のP−1のアクリル変性オルガノ
シロキサンの代わりに第2表に示すP−2をそれぞれ1
0,20,30重量部を添加した他は実施例3と同様にして試
料(厚み1mm)を作成し、そのテーバー摩耗試験を行っ
たところそれぞれ0.11g、0.13g、0.19gの値を得た。ま
た、比較例4として上記P−2をまったく添加しないも
のについても同様にしてテーバー摩耗試験を行ったとこ
ろ0.26gであった。なお、テーバー摩耗試験はテーバー
式摩耗試験機(東洋精機製作所製)を用い、荷重1kg、
回転数1000回転/分、摩耗輪S−42の条件下で摩耗損失
重量を求めた。
以上の結果から本発明の組成物から得られる成形体は耐
摩耗性に優れていることがわかる。
フロントページの続き (72)発明者 遠藤 文郎 埼玉県大宮市吉野町1丁目406番地1 信 越ポリマー株式会社東京工場内 (56)参考文献 特開 昭56−151744(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に
    対し、(B)可塑剤及び(C)(イ)一般式 〔式中のR1、R2及びR3は、それぞれ同一又は異なる炭素
    数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、Yは
    ラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機
    基、Z1及びZ2は、それぞれ同一又は異なる水素原子、低
    級アルキル基又は 基(R4及びR5は、それぞれ同一又は異なる炭素数1〜20
    の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、R6は炭素数1
    〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、ある
    いはラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ
    有機基である)、mは10,000以下の正の整数、nは1以
    上の整数である〕 で表わされるポリオルガノシロキサンと、(ロ)一般式 (式中のR7は水素原子又はメチル基、R8はアルキル基、
    アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基又はアリ
    ール基である) で表わされる(メタ)アクリル酸エステル又はこの(メ
    タ)アクリル酸エステル70重量%以上と共重合可能な単
    量体30重量%以下との混合物とを、重量比5:95ないし9
    5:5の割合で乳化グラフト共重合させて成るアクリル変
    性ポリオルガノシロキサンを少なくとも5重量部配合し
    たことを特徴とするポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(ロ)成分として用いるグラフト共重合用
    単量体のポリマー化物のガラス転移温度が20℃以上であ
    る請求項1記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
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