JP3534943B2 - ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂の製造法 - Google Patents

ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【技術分野】本発明は、ポリシロキサン変性ポリエステ
ル樹脂の製造法に係り、特に、優れた耐磨耗性を有する
ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂を製造する方法に
関するものである。 【0002】 【背景技術】従来から、ポリエステル樹脂の改質の一つ
の手法として、ポリシロキサン化合物を用いた変性方法
が、よく知られており、例えば特開昭58−18055
5号公報、特開昭59−168027号公報、特開昭6
1−179227号公報、特開平2−208325号公
報、特開平2−272022号公報、特開平3−205
426号公報等に、その一例を見ることが出来る。そし
て、そのようなポリシロキサン化合物による変性によっ
て、ポリエステル樹脂には、潤滑性、離型性、透明性、
外観、滑り性、非粘着性、耐熱性、耐吸水性、耐加水分
解性、耐薬品性、或いは寸法安定性等の様々な優れた特
性が付与せしめられているのである。 【0003】ところで、そのような優れた特性を有する
ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂を製造するには、
一般に、(1)各種ポリシロキサン化合物とポリエステ
ル樹脂とを、直接、混練することによって、ポリシロキ
サン変性ポリエステル樹脂を製造する方法や、(2)ポ
リエステル樹脂を重縮合反応にて得る際に、反応性官能
基を有するポリシロキサン化合物を反応成分の一つとし
て用いて反応系に存在せしめ、生成するポリエステル樹
脂にポリシロキサン化合物を化学的に結合させることに
より、ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂を製造する
方法等が、採用されることとなる。 【0004】しかしながら、前記(1)の方法にあって
は、簡便な方法ではあるものの、得られるポリシロキサ
ン変性ポリエステル樹脂が、単にポリエステル樹脂とポ
リシロキサン化合物とのブレンド体であったり、ポリエ
ステル樹脂とポリシロキサン化合物とが化学的に反応し
たとしても、ほんの一部であったりするところから、得
られるポリシロキサン変性ポリエステル樹脂を各種の成
形体としたとき、ポリシロキサン化合物が成形体の表面
に滲み出す、所謂ブリードアウトと呼ばれる現象を惹起
するという問題を有している。また、前記(2)の方法
にあっても、ポリエステル樹脂の重縮合に際して反応性
に問題があり、目的とするポリシロキサン変性ポリエス
テル樹脂が得られ難い等の問題を有している。加えて、
ポリエステル樹脂にポリシロキサン化合物を反応せしめ
る方法にあっては、その用いられるポリシロキサン化合
物のポリエステル樹脂に対する反応性がそれ程高くない
ところから、ポリエステル樹脂に対する充分な改質効果
を得るためには、ポリシロキサン化合物の使用量を増加
させなければならず、その結果、得られるポリシロキサ
ン変性ポリエステル樹脂の重合度は低下することとな
り、以てポリエステル樹脂の特性が損なわれ易くなると
いう問題も有しているのである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ここにおいて、本発明
は、かかる事情を背景にして為されたものであって、そ
の課題とするところは、分子量の低下を伴うことなく、
ポリシロキサン構造にて与えられる優れた特性、特に、
優れた耐磨耗性を有するポリシロキサン変性ポリエステ
ル樹脂を、有利に製造する方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】そして、本発明者は、そ
のような課題を解決するために種々なる検討を重ねた結
果、直鎖状ポリエステル樹脂(繰り返し単位で計算)1
モルに対して所定のジアミン化合物の使用量を0.05
モル以下とすることによって、殆どポリエステル樹脂の
分子量を低下させることなく、それらポリエステル樹脂
とジアミン化合物とを有効に反応させることが出来ると
いうことを見出し、そして更に検討を進めた結果、前記
ジアミン化合物としてジアミノポリシロキサン化合物を
用い、溶融状態下において剪断作用を加えつつ、ポリエ
ステル樹脂の1モルに対して、ジアミノポリシロキサン
化合物を0.001〜0.05モル反応させた場合にお
いて、ポリエステル樹脂の特性を損ねることなく、ポリ
シロキサン構造にて与えられる数々の特性を付与するこ
とが出来ることを見出し、本発明を完成するに到ったの
である。 【0007】すなわち、本発明は、ジカルボン酸成分と
2価のOH成分とからなる直鎖状ポリエステル樹脂の1
モル(繰り返し単位で計算)に対して、下記化2: 【化2】 [但し、R1 、R2 は、同一若しくは異なって、ハロゲ
ン原子で全部或いは一部が置換されていてもよい、炭素
数18以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、
アラルキル基又はアルキルアリール基を表わし、R
3 は、2価の有機基を表わし、nは、10〜100の整
数を表わす]にて示されるジアミノポリシロキサン化合
物の0.001〜0.05モルを、溶融状態下において
剪断作用を加えつつ、反応せしめ、該直鎖状ポリエステ
ル樹脂中の前記2価のOH成分を該ジアミノポリシロキ
サン化合物にて置換せしめることを特徴とするポリシロ
キサン変性ポリエステル樹脂の製造法を、その要旨とす
るものである。 【0008】このような本発明に従うポリシロキサン変
性ポリエステル樹脂の製造法によれば、ポリシロキサン
化合物として、前記化2にて示される所定のジアミノポ
リシロキサン化合物を用い、これと直鎖状ポリエステル
樹脂とを、該直鎖状ポリエステル樹脂の1モルに対する
該ジアミノポリシロキサン化合物の割合が0.001〜
0.05モルという非常に少ない割合において、溶融剪
断下、反応せしめることによって、得られるポリシロキ
サン変性ポリエステル樹脂の分子量の低下が効果的に抑
制され得るのである。 【0009】また、この本発明において用いられるジア
ミノポリシロキサン化合物は、直鎖状ポリエステル樹脂
に効率的に反応、結合せしめられるところから、直鎖状
ポリエステル樹脂に対してジアミノポリシロキサン化合
物が少ない割合で反応せしめられていても、得られるポ
リシロキサン変性ポリエステル樹脂には、ポリシロキサ
ン化合物の構造にて与えられる様々な優れた特性が、有
利に付与せしめられ得ることとなる。 【0010】更に、本発明に従うポリシロキサン変性ポ
リエステル樹脂の製造法にあっては、直鎖状ポリエステ
ル樹脂に対してジアミノポリシロキサン化合物が反応せ
しめられて、該ポリエステル樹脂中の2価のOH成分と
置換した形態において、効率的に結合せしめられている
ところから、かかるジアミノポリシロキサン化合物がポ
リエステル樹脂中において、フリーの状態で存在するこ
とがなく、それ故に、得られるポリシロキサン変性ポリ
エステル樹脂からポリシロキサン化合物が滲み出すよう
なこともないのである。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て、更に詳細に説明することとする。 【0012】先ず、本発明で言うところの原料としての
直鎖状のポリエステル樹脂とは、一般には、有機ジカル
ボン酸またはその誘導体化合物からなるジカルボン酸成
分と2価アルコール化合物または2価フェノール化合物
からなる2価のOH成分とから重縮合反応によって得ら
れたものである。かかる有機ジカルボン酸またはその誘
導体化合物としては、例えばテレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジ
クロライド、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカ
ルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその誘導体や、シ
ュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン
酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体を
挙げることが出来る。また、2価アルコール化合物とし
ては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブタン−1、3−ジオール、ブタン−1、4−ジ
オール、テトラメチレングリコール等のアルキレングリ
コールや、シクロヘキサンジオール等が挙げられる。更
に、2価フェノール化合物としては、ビスフェノール等
が挙げられる。これらジカルボン酸成分や2価のOH成
分は、各々、上例のものの単独または2種以上の化合物
を含んでいても、何等差支えない。 【0013】そして、本発明で使用される好ましい直鎖
状ポリエステル樹脂の例には、ジカルボン酸として主と
してテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸を用い、また2価アルコールとして主としてエチレ
ングリコールやブタン−1、4−ジオール等のアルキレ
ングリコールを用い、更に2価フェノールとしてビスフ
ェノールAを用いて得られるポリアルキレンフタレート
樹脂、ポリアルキレンナフタレート樹脂、或いはポリア
リレート樹脂等が挙げられる。その中でも、好ましい例
は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレ
ート(PEN)、U−ポリマー(ユニチカ株式会社製)
等である。また、前記ポリアルキレンテレフタレート
と、脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステル等との共
重合体であるポリエステルエラストマーも好ましい樹脂
の例として挙げることが出来る。 【0014】ところで、本発明で用いられる直鎖状ポリ
エステル樹脂の極限粘度は、ヘキサフロロイソプロパノ
ールを溶媒として用いた、30℃の温度での測定にて、
一般に0.3dl/g以上、好ましくは0.5dl/g
以上とされる。けだし、0.3dl/g未満の極限粘度
では、本発明によって得られるポリシロキサン変性ポリ
エステル樹脂の強度が弱くなり易いからである。また、
本発明に用いられる直鎖状ポリエステル樹脂の含水率
は、一般に1000ppm以下、好ましくは500pp
m以下とされる。 【0015】また、本発明において言うところのジアミ
ノポリシロキサン化合物とは、下記化3: 【化3】 [但し、R1 、R2 は、同一若しくは異なって、ハロゲ
ン原子で全部或いは一部が置換されていてもよい、炭素
数18以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、
アラルキル基又はアルキルアリール基を表わし、R
3 は、2価の有機基を表わし、nは、10〜100の整
数を表わす]にて示される化合物である。 【0016】上記において、R1 またはR2 として表わ
される炭素数18以下のアルキル基、アルケニル基、ア
リール基、アラルキル基及びアルキルアリール基の例と
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル
基、t−ブチル基、ビニル基、フェニル基、及びナフチ
ル基等を挙げることが出来、また、これらの基は、全部
或いは一部においてハロゲン原子、例えばフッ素原子、
塩素原子又は臭素原子、好ましくはフッ素原子又は塩素
原子、より好ましくはフッ素原子にて置換されていても
良く、そのようなハロゲン原子にて置換された基の例と
しては、クロルメチル基、3,3,3−トリフルオロメ
チル基、パーフルオロブチル基、及びパーフルオロオク
チル基を挙げることが出来る。そして、その中でも、好
ましくは、メチル基、フェニル基である。なお、R1
びR2 は、上述の基から選ばれたものである限りにおい
て、同一の基であっても、異なる基であっても、何等差
支えない。 【0017】また、R3 として表わされる2価の有機基
の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン
基、又はブチレン基等のアルキレン基、フェニレン基、
アルキレンアリーレン基、−R−(NHCH2 CH2
a −基[但し、Rはアルキレン基、aは1〜5の整
数]、及び−(CH2 CH2 O)b −[但し、bは1〜
50の整数]或いは−〔CH2 C(CH3 )HO〕c −
[但し、cは1〜50の整数]等のオキシアルキレン基
やポリオキシアルキレン基等を挙げることが出来る。中
でも、好ましい例は、エチレン基、プロピレン基であ
る。 【0018】さらに、nが10〜100の整数に限定さ
れているが、それは、nが10より小さい場合には、ジ
アミノポリシロキサン化合物によるポリエステル樹脂の
変性効果が低くなるからであり、またnが100より大
きい場合には、ポリエステル樹脂にポリシロキサン化合
物を溶融混練することが困難となって、得られるポリシ
ロキサン変性ポリエステル樹脂の特性が低下するからで
ある。 【0019】そして、前記化3にて表わされるジアミノ
ポリシロキサン化合物の具体例としては、前記R1 、R
2 が共にメチル基であり、R3 がエチレン基であるジア
ミノエチルジメチルポリシロキサンを挙げることが出来
る。 【0020】また、本発明で使用されるジアミノポリシ
ロキサン化合物の量は、ポリエステル樹脂の繰り返し単
位の1モルに対して、0.001〜0.05モルである
必要があり、中でも好ましくは0.001〜0.03モ
ルであることが望ましい。けだし、ジアミノポリシロキ
サン化合物の使用量が、0.001モル未満では、ポリ
シロキサン化合物の構造にて与えられる特性の付与効果
が少なくなるからであり、また0.05モルを越えるよ
うになると、得られるポリシロキサン変性ポリエステル
樹脂の分子量が低下して、劣化が著しくなるからであ
る。 【0021】本発明で言うところの溶融剪断作用状態下
での反応は、所謂樹脂に対して、通常の溶融剪断作用状
態を形成し得る装置、具体的にはロール、押出機、ニー
ダ等の装置を用い、それに、直鎖状ポリエステル樹脂の
1モルに対して、前記化3にて示される所定のジアミノ
ポリシロキサン化合物が0.001〜0.05モルの割
合となるように、直鎖状ポリエステル及びジアミノポリ
シロキサン化合物を供給することにより、容易に達成さ
れる。特に、押出機としては、単軸、多軸でベント付き
のものを採用することが、原料の供給、副生成物の除
去、製品の取り出しが容易である点から好ましいのであ
る。 【0022】なお、溶融剪断作用温度は、原料のポリエ
ステル樹脂の溶融流動温度以上、好ましくは溶融流動温
度より20℃以上高く、分解温度以下の温度とされる。
また、その溶融剪断作用時間は、通常0.1分以上30
分以下、好ましくは0.5分以上10分以下である。け
だし、溶融剪断時間が0.1分より短い場合には、ポリ
エステル樹脂とジアミノポリシロキサン化合物との反応
が不充分となるからであり、また溶融剪断時間が30分
より長い場合には、得られるポリシロキサン変性ポリエ
ステル樹脂が分解し易くなるからである。 【0023】そして、そのように本発明手法に従って得
られるポリシロキサン変性ポリエステル樹脂は、前記直
鎖状ポリエステル樹脂中の前記2価のOH成分の一部
が、前記ジアミノポリシロキサン化合物にて置換せしめ
られている構造を有するものであるところから、一般
に、下記化4: 【化4】 [但し、R4 は、o−フェニレン基、m−フェニレン
基、p−フェニレン基、ビフェニルジイル基、若しくは
ナフチレン基等の二価芳香族、或いはその誘導体、又は
エチレン基、ブチレン基、オクチレン基、ビニレン基等
の2価の脂肪族基、或いはその誘導体を表わしており、
5 は、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のア
ルキレン基、又はビフェニルジイル基等の2価芳香族基
を表わす]にて示されるエステル結合を有する単位構造
と、下記化5: 【化5】 [但し、R1 、R2 、R3 及びnは、前記化3の場合と
同様であり、R4 は、上記化4の場合と同様である]に
て示されるアミド結合を有する単位構造とを、主要な構
成単位構造とするポリエステル共重合体である。 【0024】 【実施例】以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しな
い限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変
更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解さ
れるべきである。 【0025】実施例 1及び比較例 1〜4 先ず、ポリエステル樹脂としてのポリアリレート樹脂
(ユニチカ株式会社製、U−100)と、ジアミノポリ
シロキサン化合物(東レダウコーニングシリコーン社
製、BY16−853B、アミノ当量:2200)と
を、シリンダー温度が300℃に設定された二軸押出機
(株式会社池貝製、PCM30、L/D=30、1ベン
ト)に対し、ポリアリレート樹脂はホッパー口から、ま
たジアミノポリシロキサン化合物はベント口から、それ
ぞれ供給した。なお、この際、ポリアリレート樹脂の1
モル(繰り返し単位で計算)に対してジアミノポリシロ
キサン化合物が0.03モルとなる割合で、且つ1時間
当たりの供給量の合計が10kg/hとなるように、供
給した。そして、スクリューを250rpmで回転させ
て、ポリアリレート樹脂とジアミノポリシロキサン化合
物を、溶融剪断下において反応せしめた後、押出機のダ
イス口からストランド状に押出し、それを水中で冷却せ
しめた後、ペレット状に切断した。この得られたジアミ
ノポリシロキサン変性ポリアリレート樹脂を、150℃
で4時間乾燥してから、100tの射出成形機を用い
て、シリンダー温度:320℃、金型設定温度:130
℃の条件で成形することにより、厚さ1mmの、実施例
1に係るジアミノポリシロキサン変性ポリアリレート樹
脂の試験片(成形体)を得た。そして、以下に示す方法
で、得られた試験片(成形体)の極限粘度、磨耗量の測
定、及びブリード状況の観察を行なって、その性状を調
べた。そして、その結果を、下記表1に示した。 【0026】なお、極限粘度([η]dl/g)の測定
は、ヘキサフロロイソプロパノールを溶媒とし、30℃
の温度で行なった。また、磨耗量(mg)の測定は、テ
ーバー式磨耗試験機(テスター社製、AB−101)及
び磨耗輪(ノース・トナワンダ社製、H38)を用い
て、荷重:250g、回転数:1000回転、回転速
度:70rpmの条件にて行なった。更に、ブリード状
況は、試験片を70℃の熱風循環式オーブンに入れ、5
日間加熱した後、この試験片の表面を肉眼で観察し、ポ
リシロキサン化合物の、ポリシロキサン変性ポリエステ
ル樹脂の表面への滲み出し具合を、◎:表面への滲み出
しが全くないもの、○:表面への滲み出しが殆どないも
の、△:表面への滲み出しが僅かなもの、×:表面への
滲み出しが著しいものとして、4段階で評価した。 【0027】また、ポリシロキサン化合物として何も配
合せず、ポリアリレート樹脂のみを用いて、実施例1と
同様にして、比較例1に係るポリアリレート樹脂の成形
体(試験片)を得、極限粘度、磨耗量の測定、及びブリ
ード状況の観察を行ない、その結果を、下記表1に併せ
示した。 【0028】更に、ジアミノポリシロキサン化合物(B
Y16−853B)の代わりに、ジヒドロキシルポリシ
ロキサン化合物(東レダウコーニングシリコーン社製、
BX16−848B、ヒドロキシ当量:2200)、ジ
エポキサイドポリシロキサン化合物(東レダウコーニン
グシリコーン社製、BY16−855B、エポキシ当
量:2200)、或いは未変性ポリシロキサン化合物
(東レダウコーニングシリコーン社製、SH−200)
のそれぞれを、前記実施例1と同様に、ポリアリレート
樹脂:1モルに対して、0.03モルの割合となるよう
に添加して、以下、前記実施例1と同様にして、比較例
2〜4に係る各ポリシロキサン変性ポリアリレート樹脂
(ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂)の成形体(試
験片)を得、それらについても、極限粘度、磨耗量の測
定、及びブリード状況の観察を行なった。そして、その
結果を、下記表1に併せ示した。 【0029】 【表1】 A:ジアミノポリシロキサン化合物(BY16−853B) B:ジヒドロキシルポリシロキサン化合物(BX16−848B) C:ジエポキサイドポリシロキサン化合物(BY16−855B) D:未変性ポリシロキサン化合物(SH−200) 【0030】かかる表1の結果から明らかなように、ポ
リシロキサン化合物としてジアミノポリシロキサン化合
物を使用した実施例1の場合だけが良好な結果を与え
た。即ち、実施例1に係るポリシロキサン変性ポリエス
テル樹脂の成形体にあっては、磨耗量が少ないところか
ら、耐磨耗性が優れていることが分かり、また、この成
形体の表面にポリシロキサン化合物の滲み出しは認めら
れないことから、ブリードアウト現象が効果的に抑制さ
れていることが理解されるのである。 【0031】一方、ポリシロキサン化合物を用いない比
較例1に係る樹脂の成形体にあっては、耐磨耗性が劣っ
ており、また、ポリシロキサン化合物としてジアミノポ
リシロキサン化合物を用いない比較例2〜4に従うポリ
シロキサン変性ポリエステル樹脂の成形体にあっては、
磨耗量が多いことに加えて、ブリードアウト現象が惹起
されていた。これは、ポリシロキサン化合物として、ジ
アミノポリシロキサン化合物を使用した場合のみ、ポリ
シロキサン化合物がポリエステル樹脂の主鎖分子中の数
多く存在するエステル基に効率良く反応するのに対し
て、ポリシロキサン化合物として、ジヒドロキシルポリ
シロキサン化合物やジエポキサイドポリシロキサン化合
物を使用した場合には、ポリシロキサン化合物がポリエ
ステル樹脂の末端に存在する数少ないカルボン酸基とし
か反応性がなく、ポリエステル樹脂の主鎖への効率よい
組込みが行なわれなかったためである。そして、このよ
うな事実は、今回の実験で初めて明らかになったもので
ある。 【0032】従って、本発明手法によれば、ブリードア
ウト現象が何等惹起されることのない、優れた耐磨耗性
を有するポリシロキサン変性ポリエステル樹脂を有利に
製造し得るのである。 【0033】実施例 2〜3及び比較例 5〜6 次に、ポリアリレート樹脂(U−100):1モルに対
するジアミノポリシロキサン化合物(BY16−853
B)のモル数が、下記表2に示されるような値となるよ
うに変化せしめる以外は、前記実施例1と同様にして反
応させた後、各ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂
(ポリシロキサン変性ポリアリレート樹脂)の成形体
(試験片)を得て、それら各成形体について、極限粘
度、磨耗量の測定、及びブリード状況の観察を行なっ
た。そして、その結果を、下記表2に示した。 【0034】 【表2】 【0035】この表2の結果から明らかなように、ポリ
エステル樹脂の1モルに対するジアミノポリシロキサン
化合物の使用割合が、本発明に従う範囲内、即ち0.0
01〜0.05モルの範囲内の割合とされた実施例2及
び実施例3に係るポリシロキサン変性ポリエステル樹脂
の成形体にあっては、実施例1と同様に、耐磨耗性に優
れていると共に、ブリードアウト現象が惹起されないの
である。一方、比較例5に係るポリシロキサン変性ポリ
エステル樹脂の成形体にあっては、ポリエステル樹脂に
対して使用されるポリシロキサン化合物の使用割合が、
少ない割合とされているところから、ポリシロキサン化
合物による改質効果が充分に得られていないのであり、
また、比較例6に係るポリシロキサン変性ポリエステル
樹脂の成形体にあっては、ポリエステル樹脂に対して使
用されるポリシロキサン化合物の使用割合が、多い割合
とされているところから、ブリードアウト現象が惹起さ
れるだけでなく、極限粘度:[η]が低下する、即ち分
子量の低下も認められるのである。このように、本発明
手法によれば、優れた耐磨耗性を有するポリシロキサン
変性ポリエステル樹脂を、分子量の低下を伴うことな
く、有利に製造し得ることが理解されるのである。 【0036】実施例 4及び比較例 7 前記実施例1において、ポリアリレート樹脂(U−10
0)の代わりにポリエチレンテレフタレート樹脂(三井
ペット樹脂株式会社製、J120)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、反応せしめて、実施例4に係るポ
リシロキサン変性ポリエステル樹脂(ポリシロキサン変
性ポリエチレンテレフタレート樹脂)の成形体(試験
片)を得た。また、比較例1において、ポリアリレート
樹脂(U−100)の代わりにポリエチレンテレフタレ
ート樹脂(J120)を用いた以外は、比較例1と同様
にして、比較例7に係るポリエステル樹脂(ポリエチレ
ンテレフタレート樹脂)の成形体(試験片)を得た。な
お、この成形に際して、各ペレットには130℃で5時
間の予備乾燥が施された。また、成形条件としては、シ
リンダ温度:260℃、金型温度:120℃を採用し
た。そして、この得られた各成形体について、極限粘
度、磨耗量の測定、及びブリード状況の観察を行ない、
その結果を、下記表3に示した。 【0037】 【表3】 【0038】この表3の結果から明らかなように、本発
明手法に従って得られた実施例4に係るポリシロキサン
変性ポリエチレンテレフタレート樹脂の成形体にあって
は、実施例1に係るポリシロキサン変性ポリアリレート
樹脂の成形体と同様に、優れた耐磨耗性を有していると
共に、ブリードアウト現象の発生も認められなかった。
一方、比較例7に係るポリエチレンテレフタレート樹脂
の成形体にあっては、ジアミノポリシロキサン化合物が
添加されていないところから、耐磨耗性が劣っていた。
このように、本発明手法によれば、用いられるポリエス
テル樹脂の種類に拘らず、低分子化を伴うことなく、優
れた耐磨耗性を有するポリシロキサン変性ポリエステル
樹脂を得ることが出来るのである。 【0039】 【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
に従うポリシロキサン変性ポリエステル樹脂の製造法に
よれば、得られるポリシロキサン変性ポリエステル樹脂
の分子量を低下させることなく、ポリエステル樹脂にポ
リシロキサン化合物を反応、結合せしめることが出来、
それによって、ポリエステル樹脂の特性の損なわれてい
ない、ポリシロキサン化合物の構造にて与えられる各種
の優れた特性、特に優れた耐磨耗性が付与せしめられた
ポリシロキサン変性ポリエステル樹脂を、有利に得るこ
とが出来るのである。 【0040】また、本発明手法によれば、直鎖状ポリエ
ステル樹脂に対してジアミノポリシロキサン化合物が反
応せしめられて、該ポリエステル樹脂中の2価のOH成
分と置換した形態において、効率的に結合せしめられ得
るところから、ブリードアウト現象の発生が効果的に抑
制されたポリシロキサン変性ポリエステル樹脂を得るこ
とが出来るのである。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ジカルボン酸成分と2価のOH成分とか
    らなる直鎖状ポリエステル樹脂の1モル(繰り返し単位
    で計算)に対して、下記化1: 【化1】 [但し、R1 、R2 は、同一若しくは異なって、ハロゲ
    ン原子で全部或いは一部が置換されていてもよい、炭素
    数18以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、
    アラルキル基又はアルキルアリール基を表わし、R
    3 は、2価の有機基を表わし、nは、10〜100の整
    数を表わす]で表わされるジアミノポリシロキサン化合
    物の0.001〜0.05モルを、溶融状態下において
    剪断作用を加えつつ、反応せしめ、該直鎖状ポリエステ
    ル樹脂中の前記2価のOH成分を該ジアミノポリシロキ
    サン化合物にて置換せしめることを特徴とするポリシロ
    キサン変性ポリエステル樹脂の製造法。
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