JP3533118B2 - 紫外線吸収性樹脂部材 - Google Patents

紫外線吸収性樹脂部材

Info

Publication number
JP3533118B2
JP3533118B2 JP22800099A JP22800099A JP3533118B2 JP 3533118 B2 JP3533118 B2 JP 3533118B2 JP 22800099 A JP22800099 A JP 22800099A JP 22800099 A JP22800099 A JP 22800099A JP 3533118 B2 JP3533118 B2 JP 3533118B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
monomer
base material
hydrogen atom
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP22800099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001047574A (ja
Inventor
信久 野田
俊文 西田
孝浩 青山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP22800099A priority Critical patent/JP3533118B2/ja
Publication of JP2001047574A publication Critical patent/JP2001047574A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3533118B2 publication Critical patent/JP3533118B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線による着色
や劣化が抑制され、層間密着性が良好で且つ耐擦り傷性
および耐候性に優れた積層型の紫外線吸収性樹脂部材に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートを初めとする樹脂フィ
ルムや樹脂シート、樹脂板の如き樹脂部材は、透明性や
耐衝撃性、耐熱性、難燃性等に優れていることから、道
路建材や建築資材等に広く用いられており、今後もその
用途ますます拡大していくことが期待されている。しか
しながらそれらの樹脂は、金属やガラス等に比べると表
面硬度や耐擦り傷性、耐溶剤性等の各種表面特性に劣る
のでその用途が制限され、基材樹脂の表面特性の改良が
強く要望されている。該表面特性の改良法としては、基
材樹脂の表面を表面処理剤で被覆する方法が知られてい
る。例えば紫外線硬化型アクリル系化合物や熱硬化型メ
ラミン樹脂、熱硬化型オルガノポリシロキサン系樹脂で
表面に硬化層を形成する方法などである。
【0003】これら提案の中でも特に優れた表面硬度や
耐薬品性が得られるのは、熱硬化型オルガノポリシロキ
サン系樹脂で基材樹脂の表面に表面硬化層を形成する方
法であり、具体的には、オルガノトリアルコキシシラン
単独の部分加水分解縮合物、テトラアルコキシシランと
オルガノトリアルコキシシランの部分加水分解縮合物あ
るいはコロイド状シリカ充填オルガノトリアルコキシシ
ランの部分加水分解縮合物等を塗布し、硬化させること
により表面硬度の優れた積層型樹脂が得られる。これら
表面硬化層を形成する塗料は、基材樹脂がポリメチルメ
タクリレート樹脂である場合は良好な密着性を示すが、
ポリカーボネート樹脂に対しては密着性に問題があり、
表面硬化層が剥がれを起こすことがある。
【0004】そこで表面硬化層の密着性を改良する方法
として、例えば特公昭63−5155号公報や特公昭6
3−52668号公報等には、ポリカーボネート樹脂の
表面を前処理してプライマー層を形成する方法が提案さ
れており、この方法によれば表面硬化層の密着性は確か
に改良される。
【0005】一方、樹脂板は一般に耐候性が不十分であ
り、特に紫外線に曝されることにより表面が劣化したり
着色するといった別の問題がある。上記方法によって表
面硬化層の初期密着性は改良されるが、表面硬化層もプ
ライマー層も紫外線を遮断する機能は有していないた
め、透過する紫外線により基材樹脂の表面が劣化してし
まい、改良したはずの密着性が悪化したり、着色や強度
低下等の耐候性の問題を引き起こす。
【0006】そこで、基材樹脂を劣化させる紫外線を樹
脂部材表面に到達させないための方法として、例えば特
公昭60−53701号公報、特公平2−37938号
公報、特開平10−245521号公報、特開平11−
58654号公報などには、プライマー層や表面硬化層
等の表層に紫外線吸収剤を含有させ、表層で紫外線を吸
収する方法が提案されている。また含有させた紫外線吸
収剤によって表層の耐溶剤性等が劣化するのを防止し、
更に密着性を向上させるため表面硬化層やプライマー層
の組成を改良する方法も多数提案されている(例えば特
公平1−7582号公報、特公平1−32246号公
報、特公平1−18944号公報、特公平2−3793
8号公報など)。これらの方法により基材樹脂表面の紫
外線による劣化はある程度防止され、密着性も満足でき
るようになった。
【0007】しかしながら、表面硬化層やプライマー層
で紫外線を完全に遮断するためには、これらの層に紫外
線吸収剤を多量に添加する必要があり、そのため表面硬
化層やプライマー層が着色や濁りを生じ、樹脂部材全体
として見たときに樹脂の特徴である透明性が損なわれた
り、あるいは更に、紫外線吸収剤がブリードアウトして
外観劣化を起こしたり耐擦傷性を劣化させるといった問
題があった。また紫外線吸収剤のブリードアウトは、表
面硬化層とプライマー層あるいはプライマー層と基材樹
脂との層間密着性を悪化させるという問題も引き起こ
す。更に、紫外線吸収剤自体は硬度の高いものではない
ので、紫外線吸収剤を多量に添加することによって表面
硬化層のもつ優れた表面硬度が低下してしまうといった
問題も生じてくる。つまり、紫外線吸収剤を多量添加し
なければ樹脂部材表面が紫外線により劣化して表面硬化
層の密着性が悪くなり、逆に紫外線吸収剤を多量添加す
ると着色したりや表面硬度が低下するという相反する問
題が生じていた。
【0008】こうした問題を解決するため、例えば特開
平9−3135号公報や特開平10−34840号公報
には、反応性紫外線吸収剤を共重合したアクリル系樹脂
を表層に用いることが提案された。この提案によれば、
紫外線吸収成分を多量使用できるが、表面硬度や耐擦り
傷性などについては依然として満足し得るものとは言え
ない。
【0009】更に特開平4−106161号公報には、
紫外線吸収性基を有するモノマーを共重合して得られる
共重合体をプライマーとして基材表面に形成し、その上
にオルガノポリシロキサン系ハードコート層を形成し、
耐熱性や耐擦り傷性、表面硬度、表面光沢などを改善す
る方法が開示されている。そして該公報には、紫外線吸
収性モノマーと共に紫外線安定性モノマーを共重合させ
ることが好ましいことも記載されている。ところがこれ
らの技術では、紫外線吸収性共重合体が熱可塑性である
ため、その表面をハードコート層で被覆したとしてもプ
ライマー層自体の耐候性、耐擦り傷性が不十分であるた
め、ハードコート層の耐候性や耐擦り傷性も不十分であ
り、更にはプライマー層とハードコート層の密着性も良
好とは言えず、必ずしも満足のいく層間密着性は得られ
ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に鑑みてなされたものであり、その目的は、紫外線に
よる着色や劣化、表面硬度の低下、層間密着性の低下と
いった問題を招くことなく耐候性を改善し、かつ高い表
面硬度と優れた耐擦り傷性を備えた積層型の樹脂部材を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る樹脂部材は、樹脂基材の保護面側
に基材保護層が形成されると共に、該保護層上にハード
コート層が形成された積層型の樹脂部材であって、上記
基材保護層は、反応性シリル基を有するモノマーと、紫
外線吸収性基を有するモノマーをモノマー成分として含
む共重合体を含有せしめてなるところに要旨を有してい
る。
【0012】上記基材保護層を構成する共重合体は、他
のモノマー成分として紫外線安定性基を有するモノマー
を含むものであってもよい。また上記反応性シリル基を
有するモノマーとしては加水分解性シリル基を有するモ
ノマーが最も好ましい。
【0013】上記紫外線吸収性基を有するモノマーとし
ては、重合性二重結合と紫外線吸収性基を分子中に有す
るものであれば全て使用可能であるが、中でも特に好ま
しいのは、下記一般式(I)または(II)で示されるモノマ
ーであり、これらは単独で使用し得る他、必要により2
種以上を併用することができる。
【0014】
【化8】
【0015】(式中、R1は水素原子または炭素数1〜
8の炭化水素基を表わし、R2は低級アルキレン基を表
わし、R3は水素原子またはメチル基を表わし、Xは水
素原子、ハロゲン、炭素数1〜8の炭化水素基、低級ア
ルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表わす。)
【0016】
【化9】
【0017】(式中、R4は低級アルキレン基を表わ
し、R5は水素原子またはメチル基を表わす。)
【0018】また、上記紫外線安定性基を有するモノマ
ーとしては、重合性二重結合と紫外線安定性基を分子中
に有する全てのモノマーを使用できるが、中でも特に好
ましいのは、下記一般式(III)または(IV)で示されるモ
ノマーであり、これらも単独で使用し得る他、必要によ
り2種以上を併用できる。
【0019】
【化10】
【0020】(式中、R6は水素原子またはシアノ基を
表わし、R7、R8はそれぞれ独立して水素原子またはメ
チル基を表わし、R9は水素原子または炭化水素基を表
わし、Yは酸素原子またはイミノ基を表わす。)
【0021】
【化11】
【0022】(式中、R6は水素原子またはシアノ基を
表わし、R7、R8、R7'、R8'はそれぞれ独立して水素
原子またはメチル基を表わし、Yは酸素原子またはイミ
ノ基を表わす。)
【0023】また、反応性シリル基を有するモノマーと
しては加水分解性のシリル基を有するモノマーが好まし
く、具体的には下記一般式(V)〜(VII)で示されモノマー
が単独で、あるいは必要により2種以上を組合わせて使
用できる。
【0024】
【化12】
【0025】(式中、R10は水素原子またはメチル基を
表わし、R11は炭素数1〜6の炭化水素基を表わし、a
は1〜3の整数、bは0または1を表わす)
【0026】
【化13】
【0027】(式中、R12は前記R11と同じ意味を表わ
し、cは0または1を表わす)
【0028】
【化14】
【0029】(式中、R13はR11と同じ意味を表わし、
dは0または1を表わす)
【0030】更に、上記基材保護層上に形成されるハー
ドコート層は、シリコーン系硬化性樹脂および有機ポリ
マー複合無機微粒子を含有する硬化性樹脂から選ばれる
少なくとも1種の樹脂からなるものが好ましく、この様
な素材からなるハードコート層であれば、本発明で特徴
付けられる前記基材保護層を介して基材樹脂とハードコ
ート層を高密着性の下で強固に積層一体化することがで
きる。
【0031】また、上記基材保護層を構成する組成物に
硬化触媒を含有させれば、基材保護層自身の硬化を促進
できるのみならず、表面保護層の硬化促進にも寄与して
表面保護層の硬化時間を短縮することができ、更には耐
候性や耐擦り傷性向上の観点からも好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明者らは、樹脂が本来有して
いる優れた透明性や耐衝撃性等の特性を保ちながら、従
来問題とされていた表面硬度や耐候性を改善すべく鋭意
検討した結果、反応性シリル基を有するモノマーと、紫
外線吸収性基を有するモノマーをモノマー成分として含
有する硬化型の紫外線吸収性重合体を含む基材保護層を
樹脂基材の保護面側に形成すると共に、その上をハード
コート層で被覆すれば、得られる積層型の樹脂部材は、
優れた耐紫外線劣化性を有すると共に、層間密着性や表
面硬度、耐候性にも優れたものになるとの知見を得、本
発明をなすに至ったのである。
【0033】従って本発明の特徴は、モノマー成分とし
て反応性シリル基を有するモノマーと紫外線吸収性基を
有するモノマーを含む硬化性の共重合体を含有する基材
保護層を、樹脂基材の保護面側に形成すると共に、該保
護面の上に、好ましくはシリコーン系硬化性樹脂および
有機ポリマー複合無機微粒子を含有する硬化性樹脂から
選ばれる少なくとも1種の樹脂で構成されたハードコー
ト層を被覆したところにあり、この様に基材保護層の構
成素材を特定することによって、該基材保護層に高レベ
ルの紫外線遮蔽作用を与えると共に、基材樹脂およびハ
ードコート層との積層一体性を高めることに成功したも
のである。
【0034】本発明で使用する樹脂基材としては、例え
ばポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレ
ン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、A
BS樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂等を挙げ
ることができる。また樹脂基材の形状や製法はどのよう
なものでもよく特に限定はないが、汎用性の高いのは平
板状や曲板状、波板状などの板状あるいはフィルム状の
ものである。また、木目印刷などを施した意匠性のある
樹脂基材を使用することも可能である。
【0035】本発明において、基材保護層を構成する共
重合体のモノマー成分として用いられる反応性シリル基
を有するモノマーとして好ましいものは分子中に重合性
二重結合と加水分解性シリル基を有するものであり、よ
り具体的には、前記一般式(V)〜(VII)で示される少なく
とも1種のモノマーが単独で或いは2種以上を組合わせ
て使用される。ここで、加水分解性シリル基とは、加水
分解反応によってシラノール基を生成するものである。
【0036】前記一般式(V)で示されるモノマーは、ア
ルコキシシリル基を有するアクリル系モノマーであり、
該一般式(V)において、式中、R10は水素原子またはメ
チル基、R11は炭素数1〜6の炭化水素基(メチル基、
エチル基、プロピル基などのアルキル基;ビニル基、イ
ソプロペニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニ
ル基などのアリール基を含む)、aは1〜3の整数、b
は0または1を表わす。
【0037】該アルコキシシリル基を有するアクリル系
モノマーの具体例としては、3−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルト
リエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリブ
トキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリイソプ
ロペノキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシ
シラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メ
タクリロキシメチルトリブトキシシラン、3−アクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピル
トリブトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシ
シラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン、アク
リロキシメチルトリブトキシシラン、3−メタクリロキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキ
シプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキ
シプロピルメチルジブトキシシラン、メタクリロキシメ
チルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシメチルメ
チルジエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジ
ブトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエト
キシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジブトキ
シシラン、アクリロキシメチルメチルジメトキシシラ
ン、アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、アク
リロキシメチルメチルジブトキシシラン等が例示され
る。これらの中でも、取り扱い易さや反応性、架橋密度
などを考慮して特に好ましいのは、3−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルメチルジトキシシランである。
【0038】また前記一般式(VI)でしめされるモノマー
は、アルコキシシリル基を有するビニル官能性化合物、
前記一般式(VII)で示されるモノマーは、ビニル官能性
アルコキシシラン化合物であり、これら一般式(VI),(VI
I)において、式中、R12、R 13は前記R11と同じ意味も
しくはアルキルオキシアルキル基を意味し、c、dは0
または1を表わすビニル官能性モノマーである。
【0039】これらビニル官能性モノマーの具体例とし
ては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリアセト
キシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シ
ラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジ
エトキシシラン、ビニルメチルジブトキシシラン、ビニ
ルメチルビス(2−メトキシエトキシ)、3−ビニルオ
キシプロピルトリメトキシシラン、3−ビニルオキシプ
ロピルトリエトキシシラン、3−ビニルオキシプロピル
メチルジメトキシシラン、3−ビニルオキシプロピルメ
チルジエトキシシランなどが例示されるが、これらの中
でも取り扱い易さや反応性を考慮して特に好ましいの
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、3−ビニルオキシプロピルトリメトキシシランな
どである。
【0040】これら加水分解性シリル基を有するモノマ
ーを共重合成分として使用することで、基材保護層を構
成する共重合体に、加水分解反応によって生成したシラ
ノール基同士が縮合反応して架橋し、これにより熱硬化
性が付与され、基材保護層の表面硬度や耐候性が高めら
れる。さらに、該シラノール基の存在により、該基材保
護層の樹脂基材に対する密着性が高められると共に、該
基材保護層の上に被覆されるシリコーン系硬化性樹脂や
有機ポリマー複合無機微粒子を含有する硬化性樹脂など
から構成されるハードコート層との密着性も高められ、
積層型樹脂部材としての層間密着性を著しく向上させる
ことが可能となる。
【0041】加水分解性シリル基を有するモノマーと共
重合される紫外線吸収性基を有するモノマーとしては、
分子中に重合性二重結合と紫外線吸収性基を同時に有す
る全てのモノマーを使用できるが、本発明において特に
好ましく用いられるのは、前記一般式(I)または(II)で
表される紫外線吸収性基を有するモノマーであり、これ
らのモノマーを共重合成分とし使用することにより、得
られる共重合体には紫外線吸収機能が付与される。従っ
て、この共重合体を基材保護層の主たる構成成分として
使用することにより、基材保護層に紫外線遮蔽機能を与
えることができる。
【0042】従ってこの基材保護層を樹脂基材の表面上
に形成すると、紫外線が樹脂基材に達する前に当該基材
保護層で吸収され、紫外線による樹脂基材の劣化や変色
が抑えられる。しかも、従来の添加型紫外線吸収剤の様
に紫外線吸収成分がブリードアウトすることもないの
で、樹脂基材とハードコート層の層間密着性に悪影響を
及ぼすこともなく、また紫外線防止性能の持続性も高め
られる。
【0043】基材保護層を構成する上記共重合体は、更
に他のモノマー成分として紫外線安定性基を有するモノ
マーの1種以上を共重合させたものであってもよく、そ
れにより基材保護層の耐候性を一層高めることができる
ので好ましい。
【0044】ここで用いられる紫外線安定性基を有する
モノマーとしては、分子中に重合反応性二重結合と紫外
線安定性基を同時に有するものであればその種類は構わ
ないが、中でも特に好ましいのは、前記一般式(III)
や(IV)で示される紫外線安定性基を有するモノマーで
ある。
【0045】本発明において前記一般式(I)で表され
る紫外線吸収性基を有するモノマーは、式中、R1が水
素原子または炭素数1〜8の炭化水素基、R2が低級ア
ルキレン基、R3が水素原子またはメチル基、Xが水
素、ハロゲン、炭素数1〜8の炭化水素基、低級アルコ
キシ基、シアノ基またはニトロ基であるベンゾトリアゾ
ール類である。
【0046】上記式中、R1で表される置換基として
は、例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ter
t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基などの鎖式炭化水素基;シクロプロピル基、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル
基、シクロオクチル基などの脂環式炭化水素基;フェニ
ル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル
基などの芳香族炭化水素基であり、R2で表される置換
基は、具体的には炭素数1〜6のアルキレン基であっ
て、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラ
メチレン基などの直鎖状アルキレン基及びプロピレン
基、2−メチルトリメチレン基、2−メチルテトラメチ
レン基などの分枝鎖状アルキレン基であり、Xで表され
る置換基は、水素;フッ素、塩素、シュウ素、ヨウ素な
どのハロゲン;メチル基、エチル基、プロピル基、イソ
プロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基などの鎖状炭化水素基;シクロプロピル基、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シク
ロオクチル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基、ト
リル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などの
芳香族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキ
シ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘプトキシ基など炭
素数1〜6の低級アルコキシ基;シアノ基;ニトロ基な
どである。
【0047】前記一般式(I)で表されるモノマーのよ
り具体的な例としては、例えば2−[2'−ヒドロキシ
−5'−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−
2H−ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−
5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2
H−ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−5'
−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H
−ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−5'−
(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル]−2H−
ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3'−t
ert−ブチル−5'−(メタクリロイルオキシエチ
ル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−
[2'−ヒドロキシ−5'−tert−ブチル−3'−
(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベ
ンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−5'−(メ
タクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−
2H−ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−
5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5
−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2'−
ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フ
ェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2
−[2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエ
チル)フェニル]−5−tert−ブチル−2H−ベン
ゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−5'−(メタ
クリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2
H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、特にこれ
らに限定されるものではない。一般式(I)で表される
これらのモノマーは単独で使用してもよく、或いは2種
以上を適宜併用することも可能である。
【0048】また前記一般式(II)で表される紫外線吸
収性基を有するモノマーは、式中、R4で表される置換
基が低級アルキレン基、R5で表される置換基が水素原
子またはメチル基であるベンゾトリアゾール類である。
【0049】上記式中、R4で表される置換基は、具体
的には炭素数2または3のアルキレン基であって、エチ
レン基、トリメチレン基、プロピレン基などを挙げるこ
とができる。
【0050】該一般式(II)で表されるモノマーのより具
体的な例としては、例えば、2−〔2'−ヒドロキシ−
5'−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)−3'−t
ert−ブチルフェニル〕−4−tert−ブチル−2
H−ベンゾトリアゾールが挙げられるが、特にこれに限
定されるものではない。一般式(II)で表されるモノマ
ーも単独で使用し得る他、必要により2種以上を適宜組
合わせて使用しても構わない。
【0051】更に、本発明で必要により共重合すること
のできる前記一般式(III)、(IV)で示されるモノマー
において、式中、R6で示される置換基は水素原子また
はシアノ基、R7、R8、R7'、R8'で示される置換基は
それぞれ独立して水素原子またはメチル基、R9で示さ
れる置換基は水素原子または炭化水素基、Yで示される
置換基は酸素原子またはイミノ基であるピペリジン類で
ある。
【0052】上記R9で示される置換基としては、具体
的には水素原子、炭素数1〜18の炭化水素基であっ
て、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニ
ル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシ
ル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などの鎖状炭化水
素基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘ
キシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの
脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、キシリル
基、ベンジル基、フェネチル基などの芳香族炭化水素基
などが非限定的に例示される。
【0053】前記一般式(III)で表される紫外線安定
性基を有するモノマーのより具体的な例は、例えば4−
(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メ
タ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタ
メチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−
1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シ
アノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロ
トノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジンなどが非限定的に挙げられ、これらは単独で使用し
得る他、必要により2種以上を適宜組合わせて使用して
も構わない。
【0054】前記一般式(IV)で表されるモノマーのよ
り具体的な例としては、例えば1−(メタ)アクリロイ
ル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル
−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイ
ル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジンなどが非限定的に挙げられ、これらも
単独で使用し得る他、必要により2種以上を適宜組合わ
せて使用してもよい。
【0055】本発明において基材保護層の主成分となる
共重合体中に占める前記反応性シリル基を有するモノマ
ーの全モノマー中に占める比率は特に制限されないが、
該モノマーによる基材保護層としての硬度を高めると共
に、その上に形成されるハードコート層との層間密着性
を高める上では、共重合比率を2〜70重量%の範囲と
するのがよく、より好ましい下限は5重量%、より好ま
しい上限は50重量%である。
【0056】ちなみに、反応性シリル基を有するモノマ
ーの共重合比率が2重量%未満では、耐候性試験後や耐
熱水性試験後のハードコート層との密着性が低下する。
逆に共重合比率が70重量%を超えると、共重合体が硬
くなり過ぎて耐候性試験後のハードコート層との密着性
の低下や共重合体の貯蔵安定性が低下する。
【0057】また、該共重合体を得る際の前記一般式
(I)、(II)で表されるモノマー成分の使用量も特に
限定されないが、共重合体を構成する全モノマー成分中
に占める比率で好ましくは1重量%以上、90重量%以
下であり、より好ましくは、下限側が5重量%、更に好
ましくは10重量%である。他方、上限側として好まし
いのは70重量%、更に好ましくは50重量%である。
紫外線吸収性基を有するモノマーの使用量が1重量%未
満では、樹脂基材の紫外線による劣化を防ぐために基材
保護層の厚みを厚くする必要が生じ、その上にハードコ
ート層を硬化させたときに亀裂を生じ易くなり、また長
期間の使用によっても亀裂が発生する恐れが生じてく
る。逆に90重量%を超えて過多になると、基材保護層
の物性に悪影響を及ぼす恐れが出てくる。
【0058】また、前記一般式(III)、(IV)で表され
るモノマー成分の使用量も特に限定されないが、基材保
護層を構成する共重合体中に占める比率で0.1〜15
重量%とすることが望まれる。より好ましい範囲は、下
限側が好ましくは0.5重量%、更に好ましくは1重量
%、上限側が好ましくは5重量%、更に好ましくは3重
量%である。紫外線安定性基を有するモノマー成分の合
計使用量が0.1重量%未満では、基材保護層が劣化を
起こし易くなる傾向が生じ、他方15重量%を超える
と、基材保護層の物性低下を招く恐れが生じてくる。
【0059】本発明で基材保護層の主たる構成素材とな
る共重合体には、上記モノマー成分以外の他の共重合可
能な反応性モノマーも、基材保護層に求められる紫外線
吸収能や層間密着性向上効果などを阻害しない範囲であ
れば1種または2種以上を他のモノマー成分として併用
することができる。それら他のモノマー成分としては、
基材保護層の耐候性向上の観点から、下記一般式(VII
I)で表されるモノマー成分が好ましいものとして例示
される。
【0060】
【化15】
【0061】(式中、R14は水素原子またはメチル基を
表わし、Zは脂環式炭化水素基を表わす。)
【0062】上記式中、Zで表される置換基はシクロヘ
キシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロドデシル基
などの炭素数4以上の脂環式炭化水素基が好ましい。
【0063】上記一般式(VIII)で表されるモノマー成
分のより具体的な例としては、シクロヘキシル(メタ)
アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ
ート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、tert
−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが非
限定的に挙げられ、これらの1種または2種以上が使用
できる。
【0064】これら一般式(VIII)で表されるモノマー
成分の使用量は特に限定されないが、基材保護層を構成
する前記共重合体中に占める比率で3〜70重量%の範
囲が好ましく、より好ましくは5〜50重量%の範囲で
ある。当該使用量が3重量%未満では、耐候性向上効果
が有意に発揮されず、一方70重量%を超えると、ハー
ドコート層との層間密着性に悪影響を及ぼす恐れが生じ
てくる。
【0065】また、エポキシ基を有するモノマーや酢酸
ビニルをモノマー成分として使用すると、得られる共重
合体を含む基材保護層の基材樹脂およびハードコート層
に対する層間密着性がより効果的に高められると共に、
耐候性も一層優れたものとなるので好ましい。エポキシ
基を有する好ましいモノマーとしては、グリシジル(メ
タ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレー
ト、脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリレート(ダイセ
ル化学社製の「CYCLOMER M−100」、「C
YCLOMER A−200」)等が挙げられ、これら
の共重合体中に占める好ましい含有量は1〜10重量%
の範囲である。
【0066】共重合可能な更に他のモノマー成分として
は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無
水マレイン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;2
−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェ
ート等の酸性リン酸エステル系モノマー;ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アク
リレート(例えば、ダイセル化学工業株式会社製;商品
名「プラクセルFM」)等の活性水素を持った基を有す
るモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イ
ソプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル
酸低級アルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、
N,N'−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレー
ト、イミド(メタ)アクリレート、N−メチロール(メ
タ)アクリルアミド等の含窒素モノマー;エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート等の2個の重合性二重結
合を有するモノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の
ハロゲン含有モノマー;スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン等の芳香族系モノマー;ビニルエー
テル等が挙げられるが、特にこれらに限定されるもので
はない。これら他のモノマー成分も、単独で使用し得る
他、必要により2種以上を併用できる。
【0067】基材保護層を構成する前記共重合体を製造
する際の重合方法にも格別の制限はなく、従来公知の重
合法、例えば溶液重合法、分散重合法、懸濁重合法、乳
化重合法などを使用できる。溶液重合法を用いてモノマ
ー成分を重合する際に用いられる溶媒としては、トルエ
ン、キシレン、その他の芳香族系溶媒;iso−プロピ
ルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール系
溶媒;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピ
レングリコールメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブ
チルセロソルブ等のエーテル系溶媒;酢酸ブチル、酢酸
エチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒;ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶媒;ジメチル
ホルムアミドなどを使用できる。もちろん使用する溶媒
の種類はこれらに限定されるものではないが、樹脂基材
を侵食する溶剤は好ましくない。これらの溶媒は1種の
みを使用してもよいし、2種以上を混合溶媒として使用
してもよい。溶媒の使用量は、得られる共重合体の濃度
などを考慮し適宜定めればよい。
【0068】また前記モノマー成分を共重合させる際に
は、通常重合開始剤が使用されるが、重合開始剤として
は、たとえば2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロ
ニトリル)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート、2,2'−アゾビスイソブチロニトリ
ル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチル
パーオキサイド等の通常のラジカル重合開始剤が挙げら
れる。重合開始剤の使用量は、要求される共重合体の要
求特性などに応じて適宜決定すべきもので特に限定はな
いが、モノマー成分全量に対し0.01〜50重量%の
範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜20重量%
の範囲である。
【0069】また、必要に応じて例えばn−ドデシルメ
ルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメ
ルカプタン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、
3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、(C
3O)3Si−S−S−Si(OCH33、(CH
3O)3Si−S4−Si(OCH33などの連鎖移動剤
の1種以上を添加し、共重合体の分子量を調整すること
も有効である。加水分解性シリル基を分子中に有する連
鎖移動剤、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシ
シランなどをモノマー混合溶液に連続添加すれば、分子
量調節作用と同時にビニル系モノマーの末端に加水分解
性シリル基を導入することができるので好ましい。
【0070】反応温度も特に限定されないが、室温〜2
00℃の範囲が好ましく、40〜140℃がより好まし
い。なお反応時間は、用いるモノマー成分の組成や重合
開始剤の種類などに応じて、重合反応を効率よく完結し
得るように適宜設定すればよい。
【0071】基材保護層の主成分となる共重合体の重量
平均分子量(Mw)も特に限定されないが、2,000
〜500,000が好ましく、より好ましくは4,00
0〜300,000であり、更に好ましくは5,000
〜250,000の範囲である。ここでいう重量平均分
子量とは、ポリスチレン標準GPCで測定した値を意味
する。
【0072】次に基材保護層の形成について説明する。
前述の様にして得た共重合体を、必要により併用される
他の重合体と混合して基材保護層形成用組成物とし、こ
れを樹脂基材上に塗布する。このとき基材保護層は、樹
脂基材の表面に直接形成してもよいし、樹脂基材表面に
プライマー層を形成してからその上に形成してもよい。
当該組成物の樹脂基材への塗布は、浸漬、吹き付け、刷
毛塗り、カーテンフローコート、グラビアコート、ロー
ルコート、スピンコート、バーコート、静電塗装などの
方法により行うことができる。
【0073】基材保護層を構成する前記共重合体は、そ
の分子中に導入された反応性シリル基の存在によって硬
化反応性を示すが、更なる硬化促進のために硬化触媒を
使用することが有効であり、用いられる硬化触媒として
は、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジ
マレエート、ジオクチルスズジラウレート、オクチル酸
スズ等の有機スズ化合物;リン酸、モノメチルホスフェ
ート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェー
ト、モノオクチルホスフェート、モノデシルホスフェー
ト、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジ
ブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシ
ルホスフェートなどのリン酸またはリン酸エステル;ア
ルキルチタン酸塩;トリス(エチルアセトアセテート)
アルミニウムの様な有機アルミニウム化合物;テトラブ
チルジルコネート、テトラキス(アセチルアセトナー
ト)ジルコニウム、テトライソブチルジルコネート、ブ
トキシトリス(アセチルアセトナート)ジルコニウムの
様な有機ジルコニウム化合物;マレイン酸、アジピン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、イタコン酸、クエン
酸、コハク酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリッ
ト酸およびこれらの酸無水物、パラトルエンスルホン酸
等の酸性化合物;ヘキシルアミン、ジ−2−エチルヘキ
シルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、ドデシ
ルアミンなどのアミン類;これらアミンと酸性リン酸エ
ステルとの混合物または反応物;水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等のアルカリ性化合物などが非限定的に例
示される。
【0074】これら硬化触媒の中でも特に好ましいの
は、触媒活性の特に高い有機スズ化合物、酸性リン酸エ
ステル、酸性リン酸エステルとアミンの混合物または反
応物、飽和もしくは不飽和多価カルボン酸またはその酸
無水物、反応性シリコン化合物、有機チタネート化合
物、有機アルミニウム化合物またはこれらの混合物など
である。
【0075】これら硬化触媒の前記共重合体に対する好
ましい使用量は、共重合体中の反応性シリル基を有する
モノマー単位に対して0.01〜10重量%、より好ま
しくは0.05〜5重量%の範囲である。
【0076】また反応性シリル基の導入された本発明の
前記共重合体を含む基材保護層形成性組成物中には、保
存時の加水分解とそれによる貯蔵安定性の低下を抑える
ため、必要により脱水剤を含有させておくことも有効で
ある。かかる脱水剤としては、例えばオルト蟻酸メチ
ル、オルト蟻酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸
エチル、メチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、メチルシリケート、エチルシリケートなどの加水
分解性エステル化合物等が非限定的に挙げられ、これら
は1種または2種以上を使用できる。これらの加水分解
性エステル化合物は、反応性シリル基を有するビニル系
モノマーを共重合成分として含む場合は、共重合前、共
重合中あるいは共重合後の何れの段階で加えても構わな
い。
【0077】本発明で基材保護層の主成分となる共重合
体は上記の通りであるが、本発明においては、共重合反
応により少なくとも反応性シリル基と紫外線吸収性基が
導入された前記共重合体と共に、他の重合体を併用する
ことも可能である。かかる他の重合体としては、熱可塑
性重合体、もしくは単独あるいは架橋剤によって架橋硬
化する熱硬化性重合体が例示される。これら他の重合体
の種類や使用量は、本発明に係る樹脂部材の用途や要求
特性に応じて適宜決定すればよい。当該他の重合体とし
ては、例えば塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アク
リル樹脂、シリコン樹脂等の熱可塑性重合体;ウレタン
樹脂、アミノプラスト樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹
脂等の単独硬化する熱硬化性重合体;ポリエステル樹
脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の如き硬化剤によっ
て硬化する熱硬化性重合体を挙げることができる。
【0078】基材保護層を硬化させる場合、硬化温度は
架橋性官能基の種類、使用量、使用する硬化触媒の種類
によって異なるが、例えば室温〜250℃の温度で硬化
するのが好ましい。
【0079】基材保護層の厚さは、Lambert−B
eerの法則により共重合される紫外線吸収剤量に依存
するため、所望の樹脂基材の耐候性や基材保護層の性能
を満足する範囲であれば特に限定されないが、一般的に
は0.5〜200μmの範囲が好ましく、より好ましく
は1〜100μm、更に好ましくは2〜30μmであ
る。厚さが200μmを超えると塗工速度が遅くなり、
また樹脂基材本来の性能が損なわれることがある。逆に
厚さが0.5μm未満では、樹脂基材上への均一塗工が
困難となり、また紫外線吸収能も不十分になることがあ
る。
【0080】本発明の他の特徴は、前記基材保護層の表
面にハードコート層を設けた点にある。即ち本発明で
は、前述の如く基材保護層を構成する反応性シリル基を
有する紫外線吸収性共重合体を硬化型とすることによっ
て硬度、耐熱性、耐候性などを高めることができるが、
更にその上に表面硬度の高いハードコート層を形成する
ことにより、下地層の優れた硬度、耐熱性、耐候性とも
相俟って表面硬度や耐擦り傷性と耐候性を飛躍的に改善
できるのである。
【0081】ハードコート層を形成する樹脂は特に限定
されないが、表面硬度、耐擦り傷性や層間密着性等の観
点からシリコーン系硬化性樹脂あるいは有機ポリマー複
合無機微粒子含有硬化性樹脂が好ましい。
【0082】シリコーン系硬化性樹脂は、シロキサン結
合を持った樹脂であり、例えばトリアルコキシシラン及
びテトラアルコキシシラン又はそれらのアルキル化物の
部分加水分解物、メチルトリアルコキシシラン及びフェ
ニルトリアルコキシシランの混合物を加水分解したも
の、コロイド状シリカ充填オルガノトリアルコキシシラ
ンの部分加水分解縮合物等が挙げられる。市販品として
は、例えば「Siコート2」(大八化学社製);「トス
ガード510」、「UVHC8553」、「UVHC8
556」、「UVHC8558」(以上、東芝シリコー
ン社製);「KP−851」、「KP−854」、「X
−12−2206」、「X−12−2400」、「X−
12−2450」(以上、信越シリコーン社製);「ソ
ルガードNP720」、「ソルガードNP730」、
「ソルガードRF0831」(以上、日本ダクロシャム
ロック社製)などが挙げられる。これらには、縮合反応
時に発生するアルコール等が含まれているが、更に必要
に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物
に溶解ないし分散させてもよく、そのための有機溶剤と
しては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールやそ
のエーテル、エステル類等が挙げられる。
【0083】また有機ポリマー複合無機微粒子とは、無
機微粒子の表面に有機ポリマーが固定された複合無機微
粒子を意味し、当該微粒子を含む硬化性樹脂で表面保護
層を形成することにより表面硬度の向上等が図れる。当
該複合無機微粒子とその製法の詳細は、例えば特開平7
−178335号公報、特開平9−302257号公
報、特開平11−124467号公報などに記載されて
いる。
【0084】当該複合無機微粒子を含有させる硬化性樹
脂にも格別の制限はなく、例えばメラミン樹脂、ウレタ
ン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル
樹脂などが挙げられる。多官能アクリル樹脂としては、
ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、
ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどの樹
脂を挙げることができる。
【0085】上記複合無機微粒子を含有する硬化性樹脂
の市販品としては、例えば「ユーダブルC−330
0」、「ユーダブルC−3600」(以上、日本触媒社
製)等が挙げられる。
【0086】上記ハードコート層を形成する方法は、上
記ハードコート層形成用組成物を基材保護層の表面に塗
布し、加熱硬化させる熱硬化法や、紫外線や電子線、放
射線等の活性エネルギー線を照射して硬化させる活性エ
ネルギー線硬化法等が挙げられる。このうちシリコーン
系硬化性樹脂には主に熱硬化法が、また有機ポリマー複
合無機微粒子を含む硬化性樹脂には、熱硬化法、紫外線
や電子線を用いた活性エネルギー線硬化法が主に用いら
れる。
【0087】該ハードコート層を構成する上記層形成用
組成物を、樹脂部材上に形成した基材保護層上に塗布す
る方法としては、浸漬法、スプレーコート法、フローコ
ート法、ロールコート法、スピンコート法等が挙げられ
る。
【0088】ハードコート層の層厚は、0.1〜200
μm、好ましくは0.5〜100μm、更に好ましくは
1〜50μmの範囲である。該ハードコート層の層厚が
0.1μm未満では、表面硬度が低くハードコート層と
しての表面保護効果が不十分となり、他方層厚が200
μmを超えると、樹脂部材の物性、特に曲げ強さ等の機
械強度に悪影響を及ぼす恐れが生じてくる。
【0089】基材保護層及びハードコート層は、前述し
た構成成分以外にも他の種々の添加剤を含んでもよい。
添加剤としては、シラン、チタネート、アルミネート系
のカップリング剤が挙げられ、例えば、シランカップリ
ング剤としては、例えば日本ユニカー社製の「A−18
7」、「A−189」、「A−1100」、「A−11
20」等が挙げられる。また、塗料などの層形成用組成
物に一般に使用されるレベリング剤、抗酸化剤、耐光安
定剤、充填剤、防錆剤、蛍光性増白剤、酸化防止剤、帯
電防止剤、顔料、染料、増粘剤などを含むものであって
も構わない。
【0090】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
より詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるわ
けではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に
変更して実施することも可能であり、それらはいずれも
本発明の技術的範囲に包含される。なお下記実施例およ
び比較例において、「部」および「%」とあるのは、重
量部または重量%を示すものとする。
【0091】(紫外線吸収性重合体の合成) (合成例1)攪拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒
素ガス導入口を備えた500ミリリットルのフラスコ
に、2−[2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオ
キシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール1
0g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(「KBM503」信越化学工業社製)5g、メチルメ
タクリレート80g、ブチルアクリレート5g、ジプロ
ピレングリコールメチルエーテル120gを仕込み、窒
素ガスを導入し、撹拌しながら90℃に加熱した。開始
剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエ
ート0.5g及びジプロピレングリコールメチルエーテ
ル30部の混合物を2時間かけて仕込物に滴下し、滴下
後さらに2時間加熱した。次いで120℃に昇温して1
時間加熱してアクリル樹脂の40%溶液を得た。なお、
この共重合体の重量平均分子量は210,000であっ
た。
【0092】この反応性シリル基を有する紫外線吸収性
共重合体を共重合体1とする。表1にモノマーの種類と
配合量、及び得られた共重合体の特性値を示す。
【0093】(合成例2〜6)表1に示すモノマー組成
及び配合量で、合成例1と同様にして反応性シリル基を
有する紫外線吸収性共重合体を製造した。但し、合成例
5は紫外線吸収性能を有しておらず、合成例6は反応性
シリル基を有していない。製造した共重合体をそれぞれ
共重合体2〜6とする。
【0094】
【表1】
【0095】UVA1:2−[2'−ヒドロキシ−5'−
(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベ
ンゾトリアゾール UVA2:2−[2'−ヒドロキシ−5'−(β−メタク
リロイルオキシエトキシ)−3'−tert−ブチルフ
ェニル]−4−tert−ブチル−2H−ベンゾトリア
ゾール HALS1:4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,
6,6−ペンタメチルピペリジン HALS2:1−メタクリロイル−4−メタクリロイル
アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン KBM503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン(信越化学工業社製) CHMA:シクロヘキシルメタクリレート MMA:メチルメタクリレート BA:ブチルアクリレート VAc:酢酸ビニル GMA:グリシジルメタクリレート 開始剤:tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート 反応溶剤:ジプロピレングリコールメチルエーテル
【0096】実施例1 合成例1で得た反応性シリル基を有する紫外線吸収性共
重合体100部に、レベリング剤(ビッグケミー社製商
品名「BYK331」)0.04部を添加し、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテルで所定粘度に調整して
アクリル樹脂溶液を調製した。次に、厚さ3mmのポリ
カーボネート樹脂板の表面をエチルアルコールで洗浄し
た後、当該アクリル樹脂溶液を塗膜厚さが10μmとな
るようにポリカーボネート樹脂板表面に塗工し、室温で
10分間放置してから、60℃で10分間加熱硬化させ
た。次いで基材保護層を施した該ポリカーボネート樹脂
板表面に、シリコーン系ハードコート剤A(「トスガー
ド510」東芝シリコーン社製)を塗膜厚さが5μmと
なるように塗工し、室温で10分間放置した後、120
℃で1時間加熱硬化させた。得られたポリカーボネート
樹脂板を下記評価項目について評価した。
【0097】[耐候性試験]スガ試験機社製のサンシャ
インウエザーメーターでサンシャインスーパーロングラ
イフカーボンを使用し、温度63℃一定下で、降雨なし
2時間と降雨18分のサイクルを繰り返す条件で試験片
を2,000時間および8,000時間暴露した。耐候
性試験後の評価として、下記の層間密着性、表面硬さ、
黄変度を測定した。
【0098】[層間密着性]塗膜に100個のゴバン目
(1mm2)をつけ、ゴバン目部分にセロファンテープ
を密着させ、次いで密着したセロファンテープを直角に
かつ急激に剥離する。このとき剥離せずに残ったゴバン
目の目数を数え、全目数100に対し何個残ったかで下
記の判定を行った。 A(塗膜密着性良好):残り目数100個(全部残って
いる) B(密着力が弱い) :残り目数99〜70個(部分的
に剥離) C(密着していない):残り目数70個以下(ほとんど
剥離)
【0099】[黄色度(Y1)]JIS K−7103
に準拠し雰囲気温度23℃における試験片の着色(特に
黄色味)を示す黄色度(Y1)を測定した。
【0100】[黄変度(△Y1)]初期黄色度からの変
化を示すものであり、下記式から算出する。 黄変度(△Y1)=(試験後の黄色度)−(初期の黄色
度) 黄変度(△Y1)の値が大きいと初期値に比べて着色し
た(黄色味が濃くなった)ことを意味し、この黄変度
(△Y1)が4を超えると着色したことが目視で明らか
にわかる。
【0101】[表面硬さ]ASTM D 1044に準
拠し、テーバー摩耗試験機にて摩耗輪CS−10Fを用
いて試験片を摩耗する。このとき試験荷重は500g
f、試験回数は500回で行った。試験片の摩耗した部
分の試験前後のヘイズ(曇価)変化をJISK−710
5に準拠して測定し、下記判定に従って表面硬さを評価
した。 A(充分な表面硬度がある):ヘイズ変化 10%以下 B(やや傷がつきやすい) :ヘイズ変化 10〜20% C(傷がつく) :ヘイズ変化 20%以上
【0102】[耐熱水性]煮沸水中に2時間浸漬した
後、上記層間密着性と同様の試験を行った。評価基準は
層間密着性の場合と同じである。
【0103】実施例2〜4、比較例1〜2および参考例 実施例1と同様にして、表2に示す樹脂基材上に所定の
重合体を含有する基材保護層を形成し、さらにその上に
所定のハードコート層を形成することにより紫外線吸収
性積層樹脂板を作成し、各樹脂板について実施例1と同
様の評価試験を行った。結果を表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】PC:ポリカーボネート 添加型紫外線吸収剤:「MARK LA31」(アデカ
・アーガス化学社製) 硬化触媒A:ジブチルスズジラウレート シリコーン系ハードコート剤A:トスガード510(東
芝シリコーン社製) シリコーン系ハードコート剤B:ソルガードNP730
(日本ダクロシャムロック社製) 有機ハードコート剤C:NKオリゴ U4H(新中村化
学社製)/ライトエステル1.6HX−A(共栄社化学
社製)=7/3(重量比) ※1)ラジカル開始剤(「ダロキュアー1173」チバ
ガイギー社製)を1部添加して所定粘度に調整された有
機ハードコートCを塗工した後、80℃で30分間熱風
乾燥させ、5m/minの速度で移動するコンベアーに
載置し、高圧水銀灯ランプ(120W/cm)を用いて
20cmの高さから紫外線照射を2回行なった。 ※2)3500時間後に塗膜が白化し、クラックも生じ
たため試験を中止した。
【0106】表2からも明らかなように、反応性シリル
基を有する紫外線吸収性重合体を含有する基材保護層と
その表面にハードコート層が形成された実施例1〜5の
樹脂板では、耐候性の指標の一つである層間密着性は、
AまたはBランクと優れており、黄変度も1〜3の範囲
と良好な耐候性を示している。また実施例1〜5の樹脂
板の表面硬さは全てAランクであり、耐熱水性も全てA
ランクが得られている。
【0107】これらに対し、基材保護層に添加型紫外線
吸収剤を添加した比較例1では、表面硬さがCランクで
あり、層間密着性及び耐熱水性もCランク以下と実用に
耐えないものであり、黄変度も劣悪であった。また、反
応性シリル基を有するモノマーを用いていない共重合体
を利用した比較例2では、2000時間経過後の耐候性
は良好であるが、8000時間経過後の表面硬さ及び層
間密着性が不足した。また、有機系ハードコートを最表
層部に設けた参考例も、2000時間経過後の耐候性は
良好であるが、8000時間経過後の層間密着性および
黄変度がやや不足することがわかった。
【0108】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、樹
脂基材の保護面を、共重合成分として少なくとも反応性
シリル基を有するモノマーと紫外線吸収性基を有するモ
ノマーを含む共重合体を主成分とする基材保護層で保護
し、かつその表面をハードコート層で被覆することによ
り、紫外線による樹脂基材の着色や変色等を可及的に抑
制することができ、しかも積層型樹脂部材としての層間
密着性や表面硬度、耐擦り傷性、耐候性などの表面特性
を高めることができ、自動車、電車、航空機、船舶など
交通機関や建物などの窓や天窓、採光材、高速道路の遮
音壁などの如く、従来は金属やガラスなどが用いられて
いた部位、あるいは太陽電池、ポリマー電池用の表面保
護材などに広く有効に活用できる紫外線吸収性樹脂部材
を提供し得ることになった。また本樹脂材は、任意の他
の部材、例えば木目印刷の施された建材などに粘着剤や
接着剤を用いて貼り合わせることも可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−286013(JP,A) 特開 平10−219140(JP,A) 特開 平10−265241(JP,A) 特開 平10−202778(JP,A) 特開 平4−106161(JP,A) 特開 平9−3135(JP,A) 特開 平7−207106(JP,A) 特開 平10−34840(JP,A) 特開 平4−202388(JP,A) 特開 平3−6273(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂基材の保護面側に基材保護層が形成さ
    れると共に、その上にハードコート層が形成された樹脂
    部材であって、上記基材保護層は、反応性シリル基を有
    するモノマーと、紫外線吸収性基を有するモノマー、お
    よび下記一般式(VIII)で表されるモノマーをモノマー
    成分として含む共重合体を含有することを特徴とする紫
    外線吸収性樹脂部材。【化16】 (式中、R 14 は水素原子またはメチル基を表わし、Zは
    脂環式炭化水素基を表わす。)
  2. 【請求項2】 前記基材保護層を構成する共重合体が、
    他のモノマー成分として紫外線安定性基を有するモノマ
    ーを含むものである請求項1に記載の紫外線吸収性樹脂
    部材。
  3. 【請求項3】 前記反応性シリル基が加水分解性シリル
    基である請求項1または2に記載の紫外線吸収性樹脂部
    材。
  4. 【請求項4】 前記紫外線吸収性基を有するモノマー
    が、下記一般式(I)または(II)で示される少なくとも1
    種のモノマーである請求項1〜3のいずれかに記載の紫
    外線吸収性樹脂部材。 【化1】 (式中、R1は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素
    基を表わし、R2は低級アルキレン基を表わし、R3は水
    素原子またはメチル基を表わし、Xは水素原子、ハロゲ
    ン、炭素数1〜8の炭化水素基、低級アルコキシ基、シ
    アノ基またはニトロ基を表わす。) 【化2】 (式中、R4は低級アルキレン基を表わし、R5は水素原
    子またはメチル基を表わす。)
  5. 【請求項5】 前記紫外線安定性基を有するモノマー
    が、下記一般式(III)または(IV)で示される少なくとも
    1種のモノマーである請求項2〜4のいずれかに記載の
    紫外線吸収性樹脂部材。 【化3】 (式中、R6は水素原子またはシアノ基を表わし、R7
    8はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表わ
    し、R9は水素原子または炭化水素基を表わし、Yは酸
    素原子またはイミノ基を表わす。) 【化4】 (式中、R6は水素原子またはシアノ基を表わし、R7
    8、R7'、R8'はそれぞれ独立して水素原子またはメ
    チル基を表わし、Yは酸素原子またはイミノ基を表わ
    す。)
  6. 【請求項6】 前記反応性シリル基を有するモノマー
    が、下記一般式(V)〜(VII)で示される少なくとも1種の
    モノマーである請求項1〜5のいずれかに記載の紫外線
    吸収性樹脂部材。 【化5】 (式中、R10は水素原子またはメチル基を表わし、R11
    は炭素数1〜6の炭化水素基を表わし、aは1〜3の整
    数、bは0または1を表わす) 【化6】 (式中、R12は前記R11と同じ意味もしくはアルキルオ
    キシアルキル基を表わし、cは0または1を表わす) 【化7】 (式中、R13はR11と同じ意味、dは0または1を表わ
    す)
  7. 【請求項7】 前記基材保護層を形成するための組成物
    が硬化触媒を含むものである請求項1〜6のいずれかに
    記載の紫外線吸収性樹脂部材。
  8. 【請求項8】 前記ハードコート層が、シリコーン系硬
    化性樹脂および有機ポリマー複合無機微粒子を含有する
    硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種で構成されてい
    る請求項1〜7のいずれかに記載の紫外線吸収性樹脂部
    材。
JP22800099A 1999-08-11 1999-08-11 紫外線吸収性樹脂部材 Expired - Fee Related JP3533118B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22800099A JP3533118B2 (ja) 1999-08-11 1999-08-11 紫外線吸収性樹脂部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22800099A JP3533118B2 (ja) 1999-08-11 1999-08-11 紫外線吸収性樹脂部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001047574A JP2001047574A (ja) 2001-02-20
JP3533118B2 true JP3533118B2 (ja) 2004-05-31

Family

ID=16869617

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22800099A Expired - Fee Related JP3533118B2 (ja) 1999-08-11 1999-08-11 紫外線吸収性樹脂部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3533118B2 (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4820653B2 (ja) * 2005-02-01 2011-11-24 株式会社豊田自動織機 被覆部材
JP4883275B2 (ja) 2006-02-28 2012-02-22 信越化学工業株式会社 硬化性組成物及び被覆物品
JP2008120986A (ja) 2006-10-19 2008-05-29 Shin Etsu Chem Co Ltd プライマー組成物及び被覆物品
JP2008274177A (ja) 2007-05-07 2008-11-13 Shin Etsu Chem Co Ltd プライマー組成物及び被覆物品
JP5369556B2 (ja) 2008-09-08 2013-12-18 信越化学工業株式会社 プライマー組成物の製造方法及び被覆物品
JP2010188686A (ja) * 2009-02-20 2010-09-02 Mitsubishi Chemicals Corp 積層体
JP2010202731A (ja) 2009-03-02 2010-09-16 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 紫外線遮蔽性シリコーンコーティング組成物及び被覆物品
JP2010261012A (ja) 2009-04-09 2010-11-18 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 紫外線遮蔽性コーティング組成物及び被覆物品
JP5267488B2 (ja) 2010-03-11 2013-08-21 信越化学工業株式会社 ポリカーボネート樹脂積層体
JP5504988B2 (ja) * 2010-03-12 2014-05-28 東洋インキScホールディングス株式会社 活性エネルギー線硬化性化合物
JPWO2012099125A1 (ja) 2011-01-20 2014-06-30 旭硝子株式会社 ハードコート被膜付き樹脂基板およびその製造方法
JP5573760B2 (ja) 2011-04-07 2014-08-20 信越化学工業株式会社 耐候性ハードコート組成物及び被覆物品
WO2012141708A1 (en) 2011-04-14 2012-10-18 Exatec Llc Organic resin laminate
US8361607B2 (en) * 2011-04-14 2013-01-29 Exatec Llc Organic resin laminate
WO2013032421A1 (en) 2011-08-26 2013-03-07 Exatec Llc Organic resin laminate, methods of making and using the same, and articles comprising the same
EP2979862B1 (en) 2013-03-26 2018-07-04 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Polycarbonate resin laminate
JP6269439B2 (ja) 2013-11-01 2018-01-31 信越化学工業株式会社 酸化チタン含有コーティング組成物及び被覆物品
WO2017115819A1 (ja) 2015-12-28 2017-07-06 信越化学工業株式会社 積層体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001047574A (ja) 2001-02-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3533118B2 (ja) 紫外線吸収性樹脂部材
EP1418198B1 (en) Primer coating composition and coating method
EP1408082B1 (en) Primer composition, coating method, and coated article
EP1914259B1 (en) Primer composition and coated article
JP2001214122A (ja) 下塗り剤組成物及びコーティング方法
JP6524261B2 (ja) 積層体の製造方法
EP1826233B1 (en) Curable composition and coated article
KR100365967B1 (ko) 자외선 흡수성 적층형 수지재
EP1826239B1 (en) Curable composition and coated article
JP2002254560A (ja) 紫外線遮蔽性積層体および紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物
JP2001114841A (ja) 紫外線吸収性共重合体および該共重合体からなる薄膜、並びに該薄膜を含む多層積層体
JP4142306B2 (ja) 紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物および紫外線遮蔽性積層体
JP2003128730A (ja) 紫外線吸収性重合体、積層材及びガラス代替部材
JP4272692B2 (ja) 紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物に用いる変性ポリマーの製造方法、紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物および紫外線遮蔽性積層体
WO2011105382A1 (ja) ハードコート層を有する樹脂基板
WO2012046784A1 (ja) ハードコート被膜付き樹脂基板およびその製造方法
JP2003268048A (ja) 紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物および紫外線遮蔽性積層体
JP2000177070A (ja) 紫外線吸収性積層型樹脂材
JP4688277B2 (ja) 紫外線安定性樹脂積層体および紫外線遮蔽層形成用樹脂組成物
JP2002201407A (ja) 1液型硬化性被覆用樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040302

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040305

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090312

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100312

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100312

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110312

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120312

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120312

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140312

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees