JP3531951B2 - ポリボロシラザン及びその製法 - Google Patents

ポリボロシラザン及びその製法

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JP3531951B2
JP3531951B2 JP23050393A JP23050393A JP3531951B2 JP 3531951 B2 JP3531951 B2 JP 3531951B2 JP 23050393 A JP23050393 A JP 23050393A JP 23050393 A JP23050393 A JP 23050393A JP 3531951 B2 JP3531951 B2 JP 3531951B2
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polyborosilazane
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倫子 青木
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泰雄 清水
浩彦 中原
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クラリアント ジャパン 株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なポリボロシラザン
及びその製造方法に係る。ポリボロシラザンを前駆体と
する炭化珪素基セラミックスは、耐熱性、高硬度を有
し、高温用複合材料の強化材として有用であり、化学、
金属、航空、宇宙、機械、精密、自動車等の各産業での
広範な利用が期待できる。
【0002】
【従来の技術】HSiXとR2−nSiX
(式中、Xはハロゲン原子、Rはアルキル基であり、
nは1又は2である。)の共アンモノリシス反応により
無機シラザンと有機シラザンの共重合シラザンを得る技
術は公知である。本発明者らはHSiXとRHSi
をルイス塩基と反応させて得た錯体混合物をアンモ
ニアと反応させることにより共重合シラザンを得る方法
を開示している(特開平3−31326号公報)。この
技術で得られた共重合シラザンを焼成すると、結晶質の
窒化ケイ素および炭化ケイ素を含む多結晶質セラミック
スが得られ、通常のポリシラザンを焼成する場合と比較
して焼結体の炭素含有率、電気的性質や遠赤外効果をよ
り広範囲に選択および制御できる。
【0003】一方、本発明者らは、ポリシラザンにホウ
素化合物を反応させて製造したポリボロシラザンについ
ても開示している(特開平2−84437号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の如く、上記共重
合シラザンにより、窒化珪素および炭化ケイ素を含む多
結晶質セラミックスが得られ、その炭素含有率、電気的
性質、遠赤外効果をより広範囲に選択、制御する可能性
が提供されたが、さらに耐熱性、機械的性質を向上さ
せ、また電気的性質についても調整の幅を広げることが
望まれる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、主として一般式(I)と(II)で表され
る単位からなり、かつこれらの単位のランダム共重合体
である、数平均分子量が約100から5万の有機ポリシ
ラザン(A)に、下記一般式(i)及び/又は(ii)で
表される架橋結合を有し、B/Si原子数比(以下、
「原子数比」を「原子比」ともいう。)が0.01〜3
の範囲内かつC/Si原子数比が0.05〜2の範囲内
かつ数平均分子量が約200〜500000の新規なポ
リボロシラザンを提供する。
【0006】
【化5】
【0007】(式中、R,R,Rは、それぞれ独
立に水素原子、アルキル基、アリール基を表す。ただ
し、R,R,Rのすべてが水素原子である場合を
除く。)
【0008】
【化6】
【0009】(式中、Rは同一でも異なっていてもよ
く、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20個を
有するアルキル基、アルコキシ基または水酸基を表
す。)同様に、本発明によれば、主として一般式(I)
と(II)で表される単位からなり、かつこれらの単位の
ランダム共重合体である、数平均分子量が約100から
5万の有機ポリシラザン(A)に、一般式(III) で表さ
れる硼素化合物を反応させて、B/Si原子数比が0.
01〜3の範囲内かつC/Si原子数比が0.05〜2
の範囲内かつ数平均分子量が約200〜500000の
新規ポリボロシラザンを得ることを特徴とするポリボロ
シラザンの製造方法が提供される。
【0010】
【化7】
【0011】(式中、R,R,Rは、それぞれ独
立に水素原子、アルキル基、アリール基を表す。ただ
し、R,R,Rのすべてが水素原子である場合を
除く。)
【0012】
【化8】
【0013】(式中、Rは同一でも異なっていてもよ
く、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20個を
有するアルキル基、アルコキシ基または水酸基を表
す。)本発明によって提供される新規なポリボロシラザ
ンは、一般式(I)の共重合シラザンにホウ素化合物を
反応させて、ホウ素を含む高分子量のボロシラザン構造
を有することを特徴とする化合物である。すなわち、本
発明は、ポリボロシラザンを生成する原料として用いる
共重合シラザンに第1の特徴を有する。
【0014】このような共重合シラザンとホウ素化合物
との反応及びその反応によって得られるポリマー化合物
の構造は、ホウ素化合物の種類に依存する。なお、以下
の説明において、簡単のために、共重合シラザンを構成
する一般式(I)で表わされる単位も一般式(II)で表
わされる単位も両方とも一般式(II)で表わし、一般式
(I)の単位については一般式(II)中のR,R
の全部が水素であると考えることとする。また、一
般式(II)のR,R,Rの全部が水素以外の場合
には以下の説明は一般式(I)の単位だけに関すること
になる。
【0015】例えば、ホウ素化合物としてホウ素アルコ
キシドを用いる場合、得られるポリボロシラザンは、共
重合シラザンの主骨格中の少なくとも一部のケイ素原子
に結合した水素原子および/または窒素原子に結合した
水素原子とホウ素アルコキシドとが反応して、そのケイ
素原子および/または窒素原子がホウ素アルコキシドと
縮合した側鎖基あるいは、環状、架橋構造を有すること
を特徴とする化合物である。
【0016】共重合シラザンのSi−H結合とホウ素ア
ルコキシドとの反応では、ホウ素アルコキシド〔B(O
〕の有機基(R)が、Si−H結合の水素原
子を引き抜いてRHを生じて脱離することにより、S
i−O−B結合が形成される。
【0017】
【化9】
【0018】一方、共重合シラザンのN−H結合と、ホ
ウ素アルコキシドとの反応ではホウ素アルコキシドによ
り、N−H結合の水素原子が引き抜かれ、下記のように
N−O−B結合又はN−B結合(以下、これらをN−Y
−B結合として表わす)が形成される。
【0019】
【化10】
【0020】ホウ素アルコキシドは最大3官能性である
ことができるので、出発ホウ素アルコキシドの種類ある
いは反応条件に応じて、生成するポリボロシラザンはホ
ウ素に関して1〜3官能性の重合体であることができ
る。1官能性重合体はポリシラザンの主鎖のSiおよび
/またはNにペンダント基が導入された下記構造を有す
る。
【0021】
【化11】
【0022】2〜3官能性重合体では共重合シラザン骨
格にB原子を介して環状、架橋構造が形成される。環状
構造はホウ素アルコキシド1分子内の2個の官能基が、
共重合シラザンの隣り合うケイ素原子及び窒素原子と縮
合した構造が含まれる。架橋構造はホウ素アルコキシド
の2個以上の官能基が、2分子以上の共重合シラザンと
縮合した場合に生じる。
【0023】
【化12】
【0024】また、3官能性重合体の中には上記の環状
構造と架橋構造を同時に有するものもある。通常、ポリ
シラザンとホウ素アルコキシドとの反応により、(VII)
又は(VIII)で示した重合体が得られる。以上の様に共重
合シラザンからポリボロシラザンへの構造上の変化は、
共重合シラザンの骨格を基本に新たにペンダント基、あ
るいは環状、架橋構造が形成されることである。
【0025】共重合シラザンのSi−H結合とホウ素化
合物B(Rのうち、ハロゲン原子を有する物質と
の反応では、ホウ素化合物BX(R3−m(Xは
ハロゲン原子、m=1,2,3)のハロゲン原子が、S
i−H結合の水素原子を引き抜いてHXを生じて脱離す
ることにより、Si−B結合が形成される。
【0026】
【化13】
【0027】一方、共重合シラザンのN−H結合と、ハ
ロゲン原子を有するホウ素化合物との反応では、N−H
結合の水素原子が引き抜かれ、下記のようにN−B結合
が形成される。
【0028】
【化14】
【0029】ホウ素化合物B(RのうちRの少
なくとも一部がハロゲン原子であるBX(R
3−mはハロゲン原子の数により、最大3官能性である
ことができるので、生成するポリボロシラザンはホウ素
に関して1〜3官能性の重合体であることができる。1
官能性重合体はポリシラザンの主鎖のSiおよび/また
はNにペンダント基が導入された下記構造を有する。
【0030】
【化15】
【0031】2〜3官能性重合体では共重合シラザン骨
格にB原子を介して環状、架橋構造が形成される。環状
構造をホウ素化合物1分子内の2個の官能基が、ポリシ
ラザンの隣り合うケイ素原子及び窒素原子と縮合した構
造が含まれる。架橋構造はホウ素化合物の2個以上の官
能基が、2分子以上の共重合シラザンと縮合した場合に
生じる。
【0032】
【化16】
【0033】また、3官能性重合体の中には上記の環状
構造と架橋構造を同時に有するものもある。共重合シラ
ザンのSi−H結合とホウ素化合物B(Rのうち
水素原子を有する物質との反応では、ホウ素化合物BH
(R3−mの水素原子が、Si−H結合の水素原
子を引き抜いてHを生じて脱離することにより、Si
−B結合を形成される。
【0034】
【化17】
【0035】一方、共重合シラザンのN−H結合と水素
原子を有するホウ素化合物との反応では、N−H結合の
水素原子が引き抜かれ、下記のようにN−B結合が形成
される。
【0036】
【化18】
【0037】ホウ素化合物B(RにおいてR
少なくとも一部が水素であるBH(R3−mは水
素原子の数により、最大3官能性であることができるの
で、ホウ素原子化合物BX(R3−mについて説
明したと同様の構造を有するポリボロシラザンを生成す
ることができる。共重合シラザンのSi−H結合とホウ
素化合物B(Rのうち、アルキル基を有する物質
との反応では、ホウ素化合物B(Rの有機基が、
Si−H結合の水素原子を引き抜いて を生じて脱
離することにより、Si−B結合が形成される。
【0038】
【化19】
【0039】
【0040】
【0041】一方、共重合シラザンのN−H結合と、ア
ルキル基を有するホウ素化合物との反応では、N−H結
合の水素原子が引き抜かれ、下記のようにN−B結合が
形成される。
【0042】
【化21】
【0043】ホウ素化合物B(Rは最大3官能性
であることができるので、出発ホウ素化合物の種類ある
いは反応条件に応じて、生成するポリボロシラザンは前
記のホウ素化合物BX(R3−mやBH
(R3−mを用いた場合と同様の構造を有する。
共重合シラザンのSi−H結合とホウ素化合物B
(Rのうち、水酸基を有する物質との反応では、
ホウ素化合物BZ(R3−m(Zは水酸基)のZ
中の水素原子が、Si−H結合の水素原子を引き抜いて
を生じて脱離することにより、Si−O−B結合が
形成される。
【0044】
【化22】
【0045】一方、共重合シラザンのN−H結合と、水
酸基を有するホウ素化合物との反応では、N−H結合の
水素原子が引き抜かれ、下記のようにN−O−B結合が
形成される。
【0046】
【化23】
【0047】ホウ素化合物B(RのうちRの少
なくとも一部が水酸基であるBZ(R3−mは水
酸基の数により、最大3官能性であることができるの
で、生成するポリボロシラザンはホウ素に関して1〜3
官能性の重合体であることができる。1官能性重合体は
共重合シラザンの主鎖のSiおよび/またはNにペンダ
ント基が導入された下記構造を有する。
【0048】
【化24】
【0049】2〜3官能性重合体では共重合シラザン骨
格にB原子を介して環状、架橋構造が形成される。環状
構造はホウ素化合物1分子内の2個の官能基が、共重合
シラザンの隣り合うケイ素原子及び窒素原子と縮合した
構造が含まれる。架橋構造はホウ素化合物の2個以上の
官能基が、2分子以上の共重合シラザンと縮合した場合
に生じる。
【0050】
【化25】
【0051】
【0052】また、3官能性重合体の中には上記の環状
構造と架橋構造を同時に有するものもある。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】本発明で用いる共重合シラザンは、SiH
(無機ハロシランという)を出発物質として、好
ましくはルイス塩基と反応させて錯体を経た後、アンモ
ニアと反応させて合成されることによって一般式(I)
で表わされる単位を持ち、またRSiX(有機
ハロシランという)を出発物質として、好ましくはルイ
ス塩基と反応させて錯体を経た後、RNH(R
,Rは前に定義した通りで、R,R,R
すべてが水素原子というはない)と反応させて合成され
ることによって一般式(II)で表わされる単位を持つ、
ブロックまたはランダム共重合体である。
【0078】ランダム共重合体の場合には、出発物質と
して無機ハロシランSiHと有機ハロシランR
SiXとの混合物を用い、上記の如くアンモニア
(この場合にはRは水素原子である)を反応させるこ
とによってランダム共重合シラザンが得られる。
【0079】従って、出発物質であるSiHに起
因する−SiH−, SiX に起因する−S
iR−,NHに起因する−NH−又は>N−,
NHに起因する−RN−又は>N−(Rが水
素原子の場合は前記NHに同じ)を構成部分として含
み、原則的には、−SiH−又は−SiR−と
−NH−又は−RN−とが交互に結合した線状又は環
状構造を基本とし、−NH−又は−RN−に代って>
N−が存在して、そこで分岐した複合構造をなしうるも
のである。一般に線状構造の末端は環状構造が存在する
と考えられる。
【0080】限定する意図なく、このような構造として
ランダム共重合の場合を例示すると、下記の如くであ
る。
【0081】
【化40】
【0082】
【0083】
【0084】全体としての組成は(SiHNH)
(RSiNR〔(SiH1.5N〕
1−x〔(RSi)1.5N〕1−y(式中、
0.01≦y/x≦0.99,0.4<x<1,0.4
<y<1)として表わされる。一般的には、一般式(I
I)のR,R及びRは水素、炭素原子数1〜5個
のアルキル基、炭素原子数6個のアリール基からなる群
から選ばれることが立体障害が小さいので好ましく、よ
り好ましくは水素原子、メチル基、エチル基から選ばれ
る。
【0085】本発明で用いるポリシラザンは、約100
〜50,000の数平均分子量を有するもので、環状ポ
リシラザン、鎖状ポリシラザンあるいはそれらの混合物
から構成される。本発明において好ましく用いられる原
料ポリシラザンは、数平均分子量約250〜20,00
0、より好ましくは約500〜10,000である。分
子量が小さすぎると、ホウ素化合物との反応生成物も低
分子量となり、性状が粘性液体のため、応用面で制限を
うけるばかりでなく、焼成工程中の飛散量が大きく、セ
ラミックス収率が低くいので好ましくない。分子量が大
きすぎると、ホウ素化合物との反応生成物が溶媒不溶ま
たはゲルになりやすいため、好ましくない。
【0086】本発明で用いるホウ素化合物はB(
…(III)
【0087】
【0088】で表わされる化合物である。
【0089】B(RのうちRとしてハロゲン原
子を有するものとして、フルオロボラン、トリブロモボ
ラン、トリフルオロボラン、トリクロロボラン、ジフル
オロボラン、ジイオドボラン、イオドボラン、ジブロモ
メチルボラン、ジクロロメチルボラン、ジフルオロメチ
ルボラン、ジフルオロメトキシボラン、ジイオドメチル
ボラン、ジブロモエチルボラン、ジクロロエチルボラ
ン、ジクロロエトキシボラン、エチルジフルオロボラ
ン、エチルジイオドボラン、ブロモジメチルボラン、ク
ロロジメチルボラン、クロロジメトキシボラン、フルオ
ロジメチルボラン、フルオロジメトキシボラン、ジクロ
ロイソプロピルボラン、ジクロロプロピルボラン、ジフ
ルオロプロポキシボラン、ジブロモブチルボラン、ブチ
ルジクロロボラン、ブチルジフルオロボラン、ブトキシ
ジフルオロボラン、ブロモジエチルボラン、クロロジエ
チルボラン、クロロジエトキシボラン、ジブロモヘキシ
ルボラン、ジブロモ(2−メチルペンチル)ボラン、ク
ロロジプロピルボラン、クロロ(1,1,2−トリメチ
ルプロピル)ボラン、ジクロロオクチルボラン、ブロモ
ビス(1−メチルプロピル)ボラン、ブロモジブチルボ
ラン、クロロビス(2−メチルプロピル)ボラン、ジブ
チルクロロボラン、ジブチルフルオロボラン、ブロモジ
ペンチルボラン、クロロオクチル(1,1,2−トリメ
チルプロピル)ボラン、などがある。
【0090】Rとしてアルコキシ基を有するものとし
て、ジハイドロオキシメトキシボラン、ジメトキシボラ
ン、メトキシジメチルボラン、メチルジメトキシボラ
ン、トリメトキシボラン、エチルジメトキシボラン、ジ
エチルメトキシボラン、ジメトキシプロピルボラン、エ
トキシジエチルボラン、ブチルジメトキシボラン、ジエ
トキシエチルボラン、トリエトキシボラン、メトキシジ
プロピルボラン、ブトキシジエチルボラン、エトキシジ
プロピルボラン、ヘキシルジメトキシボラン、ジブチル
メトキシボラン、メトキシビス(1−メチルプロピル)
ボラン、メトキシビス(2−メチルプロピル)ボラン、
プロポキシジプロピルボラン、トリイソプロポキシボラ
ン、トリプロポキシボラン、ブトキシジプロピルボラ
ン、ジブチルエトキシボラン、ジエチル(ヘキシルオキ
シ)ボラン、ジブトキシエチルボラン、ジ−tert−
ブトキシエチルボラン、ジブチルプロポキシボラン、エ
トキシジペンチルボラン、(ヘキシルオキシ)ジプロピ
ルボラン、トリブトキシボラン、トリ−tert−ブト
キシボラン、トリス(2−ブトキシ)ボラン、トリス
(2−メチルプロポキシ)ボラン、ジブトキシペンチル
ボラン、ブトキシジペンチルボラン、ジブチル(ヘキシ
ルオキシ)ボラン、ジブトキシヘキシルボラン、ジヘキ
シルオキシプロピルボラン、トリペンチルオキシボラ
ン、トリオクチルオキシボラン、トリノニルオキシボラ
ン、トリオクタデシルオキシボランなどがある。
【0091】
【0092】
【0093】Rとして水酸基を有するものとして、ホ
ウ酸、ハイドロオキシボラン、ジハイドロオキシ(メチ
ル)ボラン、ハイドロオキシジメチルボラン、エチルジ
ハイドロオキシボラン、ジハイドロオキシプロピルボラ
ン、ジエチルハイドロオキシボラン、ブチルジハイドロ
オキシボラン、ペンチルジハイドロオキシボラン、ヘプ
チルジハイドロオキシボラン、などが挙げられる。
【0094】Rとしてアルキル基を有するものとし
て、メチルボラン、ジメチルボラン、エチルボラン、ト
リメチルボラン、ジエチルボラン、エチルジメチルボラ
ン、ジエチルメチルボラン、3−メチル−2−ブチルボ
ラン、トリエチルボラン、(1,1,2−トリメチルプ
ロピル)ボラン、ジブチルボラン、トリイソプロピルボ
ラン、トリプロピルボラン、ビス(3−メチル−2−ブ
チル)ボラン、ビス(1,1,2−トリメチルプロピ
ル)ボラン、トリ−tert−ブチルボラン、トリブチ
ルボラン、トリス(1−メチルプロピル)ボラン、トリ
ス(2−メチルプロピル)ボラン、トリペンチルボラ
ン、トリス(1,2−ジメチルプロピル)ボラン、トリ
ヘキシルボラン、トリオクチルボラン、などが挙げられ
る。
【0095】
【0096】Rとして水素原子を有するものとして、
ボランを挙げることができる。
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】これらのホウ素化合物はほとんど上市され
ているが、上市されていないものでも上市のものと同様
の方法で製造可能である。本発明の新規ポリボロシラザ
ンの数平均分子量は200〜50万、好ましくは800
〜20万の範囲内である。また、本発明は、上記の新規
ポリボロシラザンの製造方法にも係り、この方法は、主
として一般式(I)及び一般式(II)
【0101】
【化44】
【0102】(式中、R,R,Rはそれぞれ独立
に水素原子、アルキル基、アリール基を表わす。但し、
,R,Rのすべてが水素原子ではない。)で表
わされる単位からなる主骨格を有する数平均分子量が約
100〜5万のポリシラザンと、一般式(III):
【0103】
【化45】
【0104】(これらの式中、Rは同一でも異なって
いてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜
20個を有するアルキル基、アルコキシ基又は水酸基を
表す。)で表わされるホウ素化合物を反応させて、ホウ
素/ケイ素原子比が0.01〜3の範囲内かつ数平均分
子量が約200〜500,000の新規ポリボロシラザ
ン、を得ることを特徴とする。
【0105】本発明に用いる共重合シラザンは特に制約
はなく、前記構造の入手可能なものを用いることができ
るが、ホウ素化合物との反応性の点で、式(II)におけ
るR,R、及びRは立体障害の小さい基が好まし
い。即ち、R,R、及びRとしては水素原子及び
1−5のアルキル基が好ましく、水素原子及びC
1−2のアルキル基がさらに好ましい。
【0106】本発明で用いるホウ素化合物は、特に制約
はないが、反応性の点で、式(III)におけるR6は水素
原子及びハロゲン原子及びC1−20のアルキル基及び
アルコキシ基が好ましく、水素原子及びハロゲン原子及
びC1−10のアルキル基及びアルコキシ基がさらに好
ましく、水素原子及びハロゲン原子及びC1−4のアル
キル基及びアルコキシ基が最も好ましい。一般的には、
式(III)のRは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数
1〜10個のアルキル基、炭素原子数1〜10個のアル
コキシ基から選ばれることが好ましく、メチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル
基、i−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキ
シ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブト
キシ基、i−ブトキシ基、及びt−ブトキシ基から選ば
れることがより好ましい。ポリシラザンとホウ素化合物
との混合比は、B/Si原子比が0.001から60に
なるように、好ましくは0.01から5になるように、
さらに好ましくは0.05から2.5になる様に加え
る。ホウ素化合物の添加量をこれより増やすとポリシラ
ザンとの反応性を高めることなく、単にホウ素化合物が
未反応のまま回収され、また、少ないと顕著な高分子量
化が起こらない。
【0107】反応は、無溶媒で行なうこともできるが、
有機溶媒を使用する時に比べて反応制御が難しく、ゲル
状物質が生成する場合もあるので、一般に有機溶媒を用
いた方が良い。溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族
炭化水素、脂環式炭化水素の炭化水素溶媒、ハロゲン化
炭化水素、脂肪族エーテル、脂環式エーテル類が使用で
きる。好ましい溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、
四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エチレン、塩化エチル
デン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等のハロ
ゲン化炭化水素、エチルエーテル、イソプロピルエーテ
ル、エチルブチルエーテル、ブチルエーテル、1,2−
ジオキシエタン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、テ
トラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル
類、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、メチルペンタ
ン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタ
ン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、
キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素等である。
【0108】高分子量ポリボロシラザンを得るために
は、塩基性条件下で共重合シラザンとホウ素化合物との
反応を行なうのが好ましい。この場合、塩基性条件と
は、反応系に塩基性化合物、例えば、第3級アミン類や
立体障害性の基を有する第2級アミン類、フォスフィン
等を共存させることを意味する。このような塩基性条件
は、反応溶媒中に塩基性化合物を添加することによって
形成し得る他、反応溶媒として塩基性溶媒または塩基性
溶媒と前記非塩基性溶媒との混合物を用いることによっ
て形成することができる。塩基性化合物の添加量は、反
応溶媒100重量部に対し少なくとも5重量部、好まし
くは20重量部以上である。塩基性化合物の添加量がこ
れより少なくなると、著しい高分子量化の効果がなくな
る。
【0109】塩基性溶媒としては、出発原料である共重
合シラザンおよびホウ素化合物を分解しないものであれ
ば任意のものが使用できる。このようなものとしては、
例えば、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジ
エチルメチルアミン及びトリエチルアミン等のトリアル
キルアミン、ピリジン、ピコリン、ジメチルアニリン、
ピラジン、ピリミジン、ピリダジン及びこれらの誘導体
等の第3級アミン類の他、ピロール、3−ピロリン、ピ
ラゾール、2−ピラゾリル、及びそれらの混合物等を挙
げることができる。
【0110】反応温度は反応系が液体系である範囲にす
るのが好ましい。ポリボロシラザンの高分子量化をさら
に進めるには溶媒の沸点以上で反応させることもできる
が、ポリボロシラザンの熱分解によるゲル化を防ぐた
め、一般に400℃以下、好ましくは−78℃〜300
℃にするのが好ましい。圧力は常圧が好ましい。加圧に
することには特に制約はないが、減圧下では、低沸点成
分が留去され、収率が低下するので好ましくない。反応
時間は、一般に30分間から1日程度であるが、ポリボ
ロシラザンの高分子量化をさらに進めるには、反応時間
を延長することが好ましい。
【0111】また、反応雰囲気としては原料のホウ素化
合物及び共重合シラザンあるいは生成物のポリボロシラ
ザンの酸化や加水分解を防ぐため、乾燥させた不活性雰
囲気、例えば乾燥窒素、乾燥アルゴン等が好ましい。本
発明の反応は貴金属等の高価な触媒を必要としない点で
有利である。生成物のポリボロシラザンと出発原料のホ
ウ素化合物とは、ホウ素化合物の減圧留去あるいはゲル
パーミエーションクロマトグラフィー、高速液体クロマ
トグラフィーによって分離することができる。
【0112】本発明の方法で得られる新規ポリボロシラ
ザンは、共重合シラザンの一部のケイ素−水素結合がホ
ウ素化合物の水素原子またはハロゲン原子または有機基
と縮合し、新たにケイ素−(酸素)−ホウ素結合または
ケイ素−窒素−ホウ素結合を形成し、かつ/または、共
重合シラザンの一部の窒素−水素結合もホウ素化合物と
縮合した構造を有する重合体である。本発明の新規ポリ
ボロシラザンは、前記のように数平均分子量100〜5
0,000の共重合シラザンを原料として用い、ホウ素
化合物残基、
【0113】
【化46】
【0114】結合によって架橋高分子化、またはペンダ
ント基導入による高分子化することによって形成される
ことから、その分子量は、当然のことながら、原料共重
合シラザンよりも増加されたものとなる。一般的には、
本発明の目的とする新規ポリボロシラザンは、数平均分
子量200〜500,000、好ましくは、800〜2
00,000を有する。本発明によるポリボロシラザン
の場合、ポリボロシラザン中のホウ素原子とケイ素原子
との比は0.01以上3以下の範囲内にあり、かつ有機
溶媒に可溶である。
【0115】得られたポリボロシラザンは、原料共重合
シラザンよりも架橋構造や分子量が増加するので、凝固
性が向上し、常温ですみやかな賦形化が可能である。ま
た、高分子量であることによって、高温焼成時の蒸発損
失が小さくでき、セラミックス収率が向上する。例え
ば、本発明のポリボロシラザンによれば70%以上、さ
らには80%以上のセラミック収率が得られる。本発明
のポリボロシラザンは、雰囲気ガス下、あるいは真空中
で焼成することにより、簡単にセラミックスに変換され
る。雰囲気ガスとしては窒素が好都合であるが、アルゴ
ン、アンモニアを用いることもできる。また、窒素、ア
ンモニア、アルゴン、水素等の混合ガスを利用すること
もできる。
【0116】焼成温度は、一般には、700〜1900
℃の範囲内とする。焼成温度が低すぎると焼成に長時間
を要し、またあまり高くしてもエネルギーコスト的に不
利である。昇温速度は、一般には、0.1℃/分〜30
0℃/分の範囲内とする。昇温速度がおそすぎると焼成
に長時間を要し、またはやすぎると熱分解、収縮が一時
に起こるためセラミックス中のクラック発生原因とな
る。ポリボロシラザンの熱分解が主としておこる600
℃以下の温度範囲において昇温速度を0.5℃/分〜5
0℃/分に制御することで良好な結果が得られる。
【0117】本発明によって提供されるポリボロシラザ
ンを焼成して得られるセラミックスは耐熱性に優れ、1
500℃以上で、好ましいものは1700℃以上で加熱
してもまだ非晶質を保つという著しい性質を示す。一般
的に多結晶物質は粒界が破壊源となるため、非晶質物質
に比べ機械的強度が劣る。本発明によって提供されるポ
リボロシラザンを焼成して得られるセラミックスは、1
700℃においても非晶質を保つため、優れた高温機械
的強度を有する。1700℃で非晶質ということはSi
−N系では理論的にほぼ最高値と考えられるものであ
り、また結晶質のSi−N系でも1700℃はその耐熱
性の上限に近いことを考えると、この効果は極めて優れ
たものであることがわかる。
【0118】
【発明の効果】本発明によれば下記の効果がある。 i) 共重合シラザンを焼成すると、結晶質の窒化珪素お
よび炭化珪素を含む多結晶質セラミックスが生成する
が、共重合シラザンと硼素化合物とを反応させて得られ
るポリボロシラザンは、熱分解により窒化珪素/炭化珪
素の混合相が生成する前駆体ポリマーへホウ素を導入す
ることにより、窒化珪素の結晶化を抑制し、非晶質ある
いは微結晶状態の炭化珪素の単相が得られる。
【0119】ii) ポリボロシラザンを焼成して得られ
るセラミックス中にホウ素が共存するため、セラミック
スの硬度の向上が図れる。 iii) 共重合シラザン合成時のHSiXとR
2−nSiXの共アンモノリシス比、R(アルキル)
基、の種類、添加する硼素の量、種類等を変化させるこ
とにより、導電率を広い範囲から選択できる。
【0120】
【実施例】参考例1〔原料共重合シラザンの合成1〕 合成装置を図1に示す。図1中、1は無機ハロシラン貯
槽、2は有機ハロシラン貯槽、3は溶媒貯槽、4は反応
器、5は窒素ガス管、6はアンモニアガス管、7は恒温
槽、8はモーター、9は温度計10と連動したヒータ
ー、11は排ガス管である。
【0121】この装置を用いて、以下の合成反応を実施
した。温度が0℃の恒温槽内に設置した反応器内を乾燥
窒素で置換した後、乾燥ピリジン900mlを入れ温度が
一定となるまで保持した後、攪拌しながらメチルジクロ
ロシラン(CHSiHCl)92.0g、ジクロロ
シラン(SiHCl)20.2gをそれぞれ加え、
錯体混合物を形成させ、白色固体状のアダクトを得た。
反応混合物を0℃に冷却し、攪拌しながら、乾燥アンモ
ニア72gを吹き込んだ。
【0122】反応終了後、乾燥窒素を吹き込み、未反応
のアンモニアを除去した後、窒素雰囲気下で加圧濾過
し、濾液850mlを得た。この濾液に乾燥o−キシレン
1000mlを加え減圧下で溶媒を除去したところ、4
1.2gの無色の粘性液体が得られた。この粘性液体の
数平均分子量は、GPCにより測定したところ540で
あった。また、そのIRスペクトル(溶媒:o−キシレ
ン)の分析の結果、波数(cm−1)3350及び117
5のN−Hに基づく吸収;2170のSi−Hに基づく
吸収;1020〜820のSi−HおよびSi−N−S
iに基づく吸収;2980,2950,1270のC−
Hに基づく吸収を示すことが確認された。さらに、前記
重合体の1H−NMR(プロトン核磁気共鳴)スペクト
ル(60MHz 、溶媒:CDC13/基準物質TMS)を
分析したところ、δ4.8(br,SiH2orSi
H),δ4.4(br,SiH),δ1.4(br,
NH),δ0.3(br,SiCH)の吸収が観測さ
れた。これらの吸収スペクトルから、SiCH/(S
iH+SiH)=2.1であることが読み取られた。
【0123】また、前記重合体の元素組成(重量%)
は、Si:52.8、N:22.4、O:1.9、C:
16.2であった。
【0124】参考例2〔原料共重合シラザンの合成2〕 参考例1と同一の装置を用いて反応を行った。即ち温度
が0℃の恒温槽内に設置した反応器内を乾燥窒素で置換
した後、乾燥ピリジン900mlを入れ温度が一定となる
まで保持した後、攪拌しながらメチルジクロロシラン
(CHSiHCl)57.5g、ジクロロシラン
(SiHCl)50.5gをそれぞれ加え、錯体混
合物を形成させ、白色固体状のアダクトを得た。反応混
合物を0℃に冷却し、攪拌しながら、乾燥アンモニア7
2gを吹き込んだ。
【0125】反応終了後、乾燥窒素を吹き込み、未反応
のアンモニアを除去した後、窒素雰囲気下で加圧濾過
し、濾液850mlを得た。この濾液に乾燥o−キシレン
1000mlを加え減圧下で溶媒を除去したところ、3
9.2gの無色の粘性液体が得られた。この粘性液体の
数平均分子量は、GPCにより測定したところ630で
あった。また、前記重合体を参考例1と同様に1H−N
MR分析を行ったところ、SiCH/(SiH+S
iH)=1.1であることが読み取られた。
【0126】また、前記重合体の元素組成(重量%)
は、Si:54.4、N:23.8、O:3.0、C:
12.9であった。
【0127】参考例3〔原料共重合シラザンの合成3〕 参考例1と同一の装置を用いて反応を行った。即ち温度
が0℃の恒温槽内に設置した反応器内を乾燥窒素で置換
した後、乾燥γ−ピコリン900mlを入れ温度が一定と
なるまで保持した後、攪拌しながらフェニルジクロロシ
ラン(CSiHCl )35.8g、ジクロロシ
ラン(SiH Cl )80.3gをそれぞれ加え、錯
体混合物を形成させ、白色固体状のアダクトを得た。反
応混合物を0℃に冷却し、攪拌しながら、乾燥アンモニ
ア72gを吹き込んだ。
【0128】反応終了後、乾燥窒素を吹き込み、未反応
のアンモニアを除去した後、窒素雰囲気下で加圧濾過
し、濾液820mlを得た。この濾液に乾燥o−キシレン
1000mlを加え減圧下で溶媒を除去したところ、4
5.5gの無色の粘性液体が得られた。この粘性液体の
数平均分子量は、GPCにより測定したところ680で
あった。
【0129】実施例1 内容積1Lの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラム
キャップ、温度計およびマグネティックスターラーを装
着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した
後、四つ口フラスコに参考例1で得られた共重合シラザ
ン1の溶液(溶媒:o−キシレン−ピリジン混合溶媒、
ピリジン60重量%、共重合シラザン1濃度:7.39
重量%)500gを入れ、攪拌しながらトリメチルボレ
ート(B(OMe))22.72g(219mmol) を
o−キシレン5mlに溶解させたものを注射器を用いて加
えた。これを160℃で反応させると反応溶液は無色か
ら淡黄色へと変化した。反応終了後、溶媒を減圧除去す
ると淡黄色の粘性液体が得られた。収率は92重量%で
あった。
【0130】生成したポリマーの数平均分子量は、GP
Cにより測定したところ、630であった。またそのI
Rスペクトル(溶媒:o−キシレン)の分析の結果、波
数(cm−1)3350及び1175のNHに基づく吸
収、2170のSiHに基づく吸収、1260のSiC
に基づく吸収、2960のCH、2850のOC
に基づく吸収、1090のSiOに基づく吸収、1
300〜1540のBOおよびBNに基づく吸収を示す
ことが確認された。さらにその1H−NMRスペクトル
(CDCl,TMS)を分析した結果、δ−4.8
(br,SiH),δ−4.7(br,OSi
),δ−4.4(br,SiH),δ−3.6
(br,CHO),δ−1.4(br,N−H),δ
−0.2(br,Si−CH)の吸収が観測された。
また、前記重合体の元素分析結果は、重量基準で、S
i:38.2、N:21.9、O:11.2、C:2
0.4、B:3.4、H:5.1であった。
【0131】実施例2 内容積1Lの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラム
キャップ、温度計およびマグネティックスターラーを装
着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した
後、四つ口フラスコに参考例1で得られた共重合シラザ
ン1の溶液(溶媒:o−キシレン−ピリジン混合溶媒、
ピリジン60重量%、共重合シラザン1濃度:7.39
重量%)400gを入れ、攪拌しながらトリメチルボレ
ート(B(OMe))18.17g(175mmol) を
o−キシレン5mlに溶解させたものを注射器を用いて加
えた。次にヘキサメチルジシラザン〔((CH
i)NH〕84.66g(525mmol)を注射器を用
いて加えた。これを160℃で反応させると反応溶液は
無色から淡黄色へと変化した。反応終了後、溶媒を減圧
除去すると淡黄色の粘性液体が得られた。収率は90重
量%であった。
【0132】生成したポリマーの数平均分子量は、GP
Cにより測定したところ、610であった。前記重合体
の元素分析結果は、重量基準で、Si:34.1、N:
23.3、O:4.8、C:23.8、B:6.1、
H:7.2であった。
【0133】実施例3 内容積1Lの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラム
キャップ、温度計およびマグネティックスターラーを装
着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した
後、四つ口フラスコに参考例1で得られた共重合シラザ
ン1の溶液(溶媒:o−キシレン−ピリジン混合溶媒、
ピリジン60重量%、共重合シラザン1濃度:7.39
重量%)500gを入れ、攪拌しながらトリメチルボレ
ート(B(OMe))17.07g(164mmol) を
o−キシレン5mlに溶解させたものを注射器を用いて加
えた。次にテトラメチルジシラザン〔((CH
Si)NH〕87.36g(655mmol)を注射器を
用いて加えた。これを160℃で反応させると反応溶液
は無色から淡黄色へと変化した。反応終了後、溶媒を減
圧除去すると淡黄色の粘性液体が得られた。収率は89
重量%であった。
【0134】生成したポリマーの数平均分子量は、GP
Cにより測定したところ、530であった。前記重合体
の元素分析結果は、重量基準で、Si:39.2、N:
23.1、O:2.7、C:22.9、B:4.8、
H:7.8であった。
【0135】実施例4 内容積1Lの四つ口フラスコにコンデンサー、シーラム
キャップ、温度計およびマグネティックスターラーを装
着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した
後、四つ口フラスコに参考例1で得られた共重合シラザ
ン1の溶液(溶媒:o−キシレン−ピリジン混合溶媒、
ピリジン60重量%、共重合シラザン1濃度:7.39
重量%)500gを入れ、攪拌しながらトリ−tert
−ブチルボレート(B(O−t−Bu))52.77
g(229mmol) をo−キシレン5mlに溶解させたもの
を注射器を用いて加えた。これを160℃で反応させる
と反応溶液は無色から淡黄色へと変化した。反応終了
後、溶媒を減圧除去すると淡黄色の粘性液体が得られ
た。収率は93重量%であった。
【0136】生成したポリマーの数平均分子量は、GP
Cにより測定したところ、570であった。
【0137】実施例5 参考例2で得られた共重合シラザン2の溶液(溶媒:o
−キシレン、共重合シラザン2濃度:9.98重量%)
100gを、内容積300mlの耐圧反応容器に入れ、三
塩化ホウ素(BCl)23.8g(203mmol) を加
え、密閉系で20℃で3時間攪拌しながら反応を行っ
た。白色沈殿を濾別し、濾液の溶媒を減圧除去すると無
色透明の粘性液体が得られた。収率は86%であった。
生成したポリマーの数平均分子量は、GPCにより測定
したところ、590であった。
【0138】実施例6 参考例3で得られた共重合シラザン3の溶液(溶媒:ピ
リジン、共重合シラザン2濃度:3.96重量%)80
gを、内容積300mlの耐圧反応容器に入れ、ほう酸
1.93g(31.2mmol) を加え、密閉系で80℃で
1時間攪拌しながら反応を行った。反応前後で圧力は
0.6kg/cm上昇した。室温に冷却後、溶媒を減圧除
去すると無色透明の粘性液体が得られた。収率は86%
であった。生成したポリマーの数平均分子量は、GPC
により測定したところ、1020であった。
【0139】実施例7 実施例1で得られたポリボロシラザンを窒素中で800
℃まで昇温速度5℃/分で加熱し、熱分解することで黒
色固体を89.6%の収率で得た。得られたセラミック
スの粉末X線回折測定を行ったところ、非晶質である事
が確認された。 次に、固体をさらに窒素中で1500
℃まで、昇温速度10℃/分で加熱焼成して黒色固体を
得た。この物質の粉末X線回折測定を行ったところ、図
2に示すごとく、非晶質を保っていることが確認され
た。特に、Siの結晶を示すピーク(2万〜4
万)が存在しないことが注目される。
【0140】実施例8 実施例3で得られたポリボロシラザンを窒素中で800
℃まで昇温速度5℃/分で加熱し、熱分解することで黒
色固体を82.0%の収率で得た。得られたセラミック
スの粉末X線回折測定を行ったところ、非晶質である事
が確認された。 次に、固体をさらに窒素中で1500
℃まで、昇温速度10℃/分で加熱焼成して黒色固体を
得た。この物質の粉末X線回折測定を行ったところ、図
3に示すごとく、非晶質を保っていることが確認され
た。特に、Siの結晶を示すピークが存在しない
ことが注目される。
【0141】比較例1 参考例1で得た共重合シラザンを窒素中で800℃まで
昇温速度5℃/分で加熱し、熱分解することで黒色固体
を65.7%の収率で得た。得られたセラミックスの粉
末X線回折測定を行ったところ、非晶質である事が確認
された。次に、固体をさらに窒素中で1500℃まで、
昇温速度10℃/分で加熱焼成して黒色固体を得た。こ
の物質の粉末X線回折測定を行ったところ、図4に示す
ごとく、全体として非晶質を保っているが、2θ=2
0.5°にα−Siの(101)回折線、2θ=
22.9°にα−Siの(110)回折線、2θ
=26.4°にα−Siの(200)回折線、2
θ=30.9°にα−Siの(201)回折線、
2θ=34.5°にα−Siの(102)回折
線、2θ=35.2°にα−Siの(210)回
折線、2θ=38.8°にα−Siの(211)
回折線、2θ=43.4°にα−Siの(30
1)回折線が認められ、結晶質の窒化珪素の生成が確認
された。
【0142】比較例2 内容積500mlの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メ
カニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着し
た。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四
つ口フラスコにメチルジクロロシラン(CHSiHC
)24.3gと乾燥ジクロロメタン300mlを入れ
た。反応混合物を氷冷し、攪拌しながら乾燥アンモニア
20.5gを窒素ガスと共に吹き込んでアンモニア分解
を行った。
【0143】反応終了後、反応混合物を遠心分離した
後、濾過した。濾液から溶媒を減圧除去し、ポリメチル
(ヒドロ)シラザンを無色の液体として8.79g得
た。生成物の数平均分子量を凝固点降下法で(溶媒:乾
燥ベンゼン)により測定したところ、310であった。
内容積100mlの四つ口フラスコにガス導入管、温度
計、コンデンサーおよび滴下ロートを装着し、反応系内
をアルゴンガスで置換した。四つ口フラスコにテトラヒ
ドロフラン12mlおよび水酸化カリウム0.189g
(4.71mol )を入れ、磁気攪拌を開始した。滴下ロ
ートに上述のポリメチル(ヒドロ)シラザン5.00g
および乾燥テトラヒドロフラン50mlを入れ、これを水
酸化カリウムに滴下した、室温で1時間反応させた後、
滴下ロートにヨウ化メタン1.60g(11.3mmo
l)、および乾燥テトラヒドロフラン1mlを入れ、これ
を反応溶液に滴下した。室温で3時間反応させた後、反
応混合物の溶媒を減圧除去し、乾燥n−ヘキサン40ml
を加えて遠心分離し、濾過した。濾液の溶媒を減圧除去
すると、ポリメチル(ヒドロ)シラザンが白色粉末とし
て4.85g得られた。生成物の数平均分子量は112
0であった。IR(赤外吸収)スペクトル(溶媒:乾燥
o−キシレン;ポリメチル(ヒドロ)シラザンの濃度:
43.2g/l)は、波数(cm−1)3380、および
1160のN−Hに基づく吸収:2120のSi−Hに
基づく吸収:1255のSi−CHに基づく吸収を示
している。参考例1と同様に 1H−NMR分析を行っ
たところ、δ4.7(Si−H,0.56H);δ2.
4(N−CH,0.15H);δ0.7(N−H,
0.51H);δ0.2(Si−CH,3H)の吸収
が観測されたことから生成物は(CHSiHNH)
0.51(CHSiN)0.44(CHSiHNC
0.05なる組成を有することが確認された。
【0144】次に、ここで得たポリメチル(ヒドロ)シ
ラザンを窒素中で800℃まで昇温速度5℃/分で加熱
し、熱分解することで黒色固体を64.0%の収率で得
た。得られたセラミックスの粉末X線回折測定を行った
ところ、非晶質である事が確認された。次に、固体をさ
らに窒素中で1500℃まで、昇温速度10℃/分で加
熱焼成して黒色固体を得た。この物質の粉末X線回折測
定を行ったところ、図5に示すごとく、全体として非晶
質を保っているが、2θ=20.5°にα−Si
の(101)回折線、2θ=22.9°にα−Si
の(110)回折線、2θ=26.4°にα−Si
の(200)回折線、2θ=30.9°にα−Si
の(201)回折線、2θ=34.5°にα−S
の(102)回折線、2θ=35.2°にα−
Siの(210)回折線、2θ=38.8°にα
−Siの(211)回折線、2θ=43.4°に
α−Siの(301)回折線、さらに、2θ=2
6.9°にβ−Siの(200)回折線が認めら
れ、結晶質の窒化珪素の生成が確認された。
【0145】比較例3 コンデンサー、シーラムキャップ、温度計およびマグネ
ティックスターラーを装着した内容積1Lの四つ口フラ
スコの内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、比較例
と同様の方法で得られたポリメチル(ヒドロ)シラザ
ン溶液(溶媒:o−キシレン−ピリジン混合溶媒、ピリ
ジン60重量%、ポリメチル(ヒドロ)シラザン濃度:
9.98重量%)220gを入れ、攪拌しながらトリメ
チルボレート(B(OMe)3)12.86g(123m
mol)をo−キシレン5mlに溶解させたものを注射器を
用いて加えた、これを160℃で反応させると反応溶液
は無色から淡黄色へと変化した。反応終了後、溶媒を減
圧除去すると淡黄色の粘性液体が得られた。収率は79
重量%であった。
【0146】生成したポリマーの数平均分子量は、GP
Cにより測定したところ、890であった。またそのI
Rスペクトル(溶媒:o−キシレン)の分析の結果、波
数(cm−1)3350及び1175のNHに基づく吸
収、2170のSiHに基づく吸収、1260のSiC
に基づく吸収、2960のCH,2850のOC
に基づく吸収、1090のSiOに基づく吸収、1
300〜1540のBOおよびBNに基づく吸収を示す
ことが確認された。さらにその 1H−NMRスペクト
ル(CDCl,TMS)を分析した結果、δ−4.8
(br,SiH),δ−3.6(br,CHO),δ
−1.2(br,N−H),δ−0.3(br,Si−
CH)の吸収が観測された。また、このようにして得
られた重合体の元素分析結果は、重量基準で、Si:3
6.7,N:19.2,O:7.9,C:27.6,
B:2.6,H:6.9であった。
【0147】次に、このようにして得られたポリボロシ
ラザンを窒素中で800℃まで昇温速度5℃/分で加熱
し、熱分解することで黒色固体を72.3%の収率で得
た。得られたセラミックスの粉末X線回折測定を行った
ところ、非晶質である事が確認された。次に、固体をさ
らに窒素中で1500℃まで、昇温速度10℃/分で加
熱焼成して黒色固体を得た。この物質の粉末X線回折測
定を行ったところ、図6に示すごとく、全体として非晶
質を保っているが、2θ=20.5°にα−Si
の(101)回折線、2θ=30.9°にα−Si
の(201)回折線、2θ=34.5°にα−Si
の(102)回折線、2θ=35.2°にα−Si
の(210)回折線が認められ、結晶質の窒素珪
素の生成が確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例で共重合シラザンを製造するために用い
た装置の模式図である。
【図2】実施例7で作成したセラミックスの粉末X線回
折図である。
【図3】実施例8で作成したセラミックスの粉末X線回
折図である。
【図4】比較例1で作成したセラミックスの粉末X線回
折図である。
【図5】比較例2で作成したセラミックスの粉末X線回
折図である。
【図6】比較例3で作成したセラミックスの粉末X線回
折図である。
【符号の説明】
1…無機ハロシラン貯槽 2…有機ハロシラン貯槽 3…溶媒貯槽 4…反応器 6…アンモニアガス管 7…恒温槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 泰雄 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡1丁目3番 1号 東燃株式会社 総合研究所内 (72)発明者 中原 浩彦 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡1丁目3番 1号 東燃株式会社 総合研究所内 (72)発明者 礒田 武志 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡1丁目3番 1号 東燃株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平2−84437(JP,A) 特開 平3−31326(JP,A) 特開 平5−86200(JP,A) 特開 平3−221531(JP,A) 特開 平6−322133(JP,A) 特開 平2−293306(JP,A) 特開 平6−293833(JP,A) 特開 平7−126393(JP,A) 特開 平5−331293(JP,A) 特開 平6−116389(JP,A) 特開 平5−239219(JP,A) 特開 平2−175726(JP,A) 特開 平1−252638(JP,A) 特開 平2−77427(JP,A) 特開 平3−119077(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 77/00 - 77/62 C08G 79/00 - 79/14 C04B 35/58 - 35/599 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)と(II)で表される単位か
    らなり、かつこれらの単位のランダム共重合体である、
    数平均分子量が100から5万の有機ポリシラザン
    (A)に、下記一般式(i)及び/又は (ii)で表される架
    橋結合を有し(当該架橋結合の結合手は、前記単位
    (I)及び( II )におけるケイ素原子上又は窒素原子上
    の水素原子が脱離してケイ素原子又は窒素原子と結合し
    ている。)、B/Si原子数比が0.01〜3の範囲内
    かつC/Si原子数比が0.05〜2の範囲内かつ数平
    均分子量が200〜500000の新規なポリボロシラ
    ザン。 【化1】 (式中、R,R,Rは、それぞれ独立に水素原
    子、アルキル基、アリール基を表す。ただし、R,R
    ,Rのすべてが水素原子である場合を除く。) 【化2】 (式中、R4は同一でも異なっていてもよく、水素原
    子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20個を有するアル
    キル基、アルコキシ基または水酸基である。)
  2. 【請求項2】 一般式(I)と(II)で表される単位か
    らなり、かつこれらの単位のランダム共重合体である、
    数平均分子量が100から5万の有機ポリシラザン
    (A)に、下記一般式(III)で表される硼素化合物を反
    応させることを特徴とする請求項1に記載のポリボロシ
    ラザンの製造方法。 【化3】 (式中、R,R,Rは、それぞれ独立に水素原
    子、アルキル基、アリール基を表す。ただし、R,R
    ,Rのすべてが水素原子である場合を除く。) 【化4】 (式中、R6は同一でも異なっていてもよく、水素原
    子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20個を有するアル
    キル基、アルコキシ基または水酸基を表す。)
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