JP3529184B2 - 自動変速機搭載車のエンジン制御装置 - Google Patents

自動変速機搭載車のエンジン制御装置

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JP3529184B2
JP3529184B2 JP4772995A JP4772995A JP3529184B2 JP 3529184 B2 JP3529184 B2 JP 3529184B2 JP 4772995 A JP4772995 A JP 4772995A JP 4772995 A JP4772995 A JP 4772995A JP 3529184 B2 JP3529184 B2 JP 3529184B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動変速機搭載車のエ
ンジン制御装置に関する。特に、雪道等の低摩擦係数路
面における発進を確実にするためのエンジン制御に関す
る。
【0002】
【従来の技術】通常の変速モードにおける自動変速機の
発進時の変速段は1速であるため、自動変速機搭載車
は、ぬかるみ、凍結路面、雪道等の低摩擦係数路面にお
ける発進時にスリップやスタックを起こす可能性があ
る。ここで、スリップは、路面に対するタイヤの縦方向
および横方向の滑りであり、スタックは、タイヤが縦滑
りして路面上を空転するために自動車が発進できない状
態である。自動変速機の1速が持つ高い変速比は、この
ような低摩擦係数路面ではグリップできないレベルのト
ルクを、タイヤから路面へ伝達するからである。また、
高い変速比ではエンジン負荷が小さいため、アクセルペ
ダルの踏み込みがエンジン回転数を速やかに上昇させ
て、タイヤを空転させてしまう。
【0003】一方、マニュアル変速機搭載車では、運転
者が2速や3速を意図的に設定して発進操作を実行すれ
ば、アクセルペダルを踏み込んでもエンジン回転数がゆ
るやかにしか上昇しなくなり、発進時にタイヤから路面
に伝達されるトルクのレベルも下がって、このような低
摩擦係数路面でも円滑な発進が可能である。そこで、自
動変速機搭載車では、通常の変速モードに加えて、スノ
ーモードやウィンターモードやホールドモードと言った
特殊な変速モードを設けている。これらの特殊な変速モ
ードでは、発進時の変速段が2速または3速に設定され
る。
【0004】低摩擦係数路面に適合する特殊な変速モー
ドを設けた自動変速機搭載車は、例えば、特開昭63−
149453号公報に示される。ここでは、従来のスノ
ーモード設定における複雑なセットおよび解除操作を解
決しており、スノーモードで2速発進した後に走行速度
が一定値に達した時点で、スノーモードを解除して自動
的に通常モードへ復帰させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】自動変速機に入力され
るエンジンの回転数が高いと、スノーモードを設定して
2速や3速で発進を行っても、発進時に自動変速機が締
結された瞬間にタイヤがスリップを起こす可能性があ
る。スノーモードを設定するような状況では、運転者自
身が注意深く発進操作を行うから、手荒くアクセルペダ
ルを踏み込んでエンジンの回転数を急上昇させる可能性
は低い。しかし、アイドル回転数を増加させる制御で
は、エンジンの回転数および出力トルクがかなり高い状
態で自動変速機が締結される。アイドル回転数を増加さ
せる制御は、エンジン起動後の暖気やエアコン負荷によ
るエンスト防止を目的として、エンジンのアイドル回転
数を自動的に高める。回転数の増大は出力トルクの増大
を伴う。このとき、発進時にタイヤから路面に伝達され
るトルクのレベルが急激に高まり、タイヤが空転してス
リップを起こす可能性がある。
【0006】つまり、低摩擦係数路面で円滑な発進を行
うためには、自動変速機の変速比を低くしてエンジンの
負荷を高めるとともに、エンジンの出力トルクが低い状
態で自動変速機を締結してタイヤの駆動を開始させる必
要がある。しかし、従来のスノーモードは、自動変速機
の制御に影響を与えるのみであり、エンジンの入出力状
態には無関係である。
【0007】このような不都合はディーゼルエンジンの
場合により鮮明である。ディーゼルエンジンは、(1)
低速回転領域における出力トルクが高く、(2)安定し
た温度状態に到達するまでアイドル回転数を高めて暖機
を行う必要があり、(3)低公害の燃焼状態を保つため
に、アイドル回転数をあまり低く設定できないからであ
る。
【0008】本発明は、低摩擦係数路面での発進におけ
るエンジン出力に起因する不都合を排除して、低摩擦係
数路面に適合する変速モードでの発進を円滑に実行でき
る自動変速機搭載車のエンジン制御装置を提供すること
を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、エン
ジンの運転状態を変化させて、エンジン出力トルクを調
整可能な「自動変速機搭載車のエンジン制御装置」にお
いて、発進時に2速以上の変速段を使用する変速モード
を自動変速機に設定可能なモード設定手段と、発進時を
識別可能な信号を出力する発進検知手段と、走行速度を
識別可能な信号を出力する速度検知手段と、前記モード
設定手段が前記変速モードに設定された状況では、前記
発進検知手段および速度検知手段の出力に基づいて前記
エンジンの運転状態を変化させることにより発進時のエ
ンジン出力トルクを抑制し、発進後に所定時間が経過し
た時点で前記エンジン出力トルクの抑制を中止させる制
御手段とを有するものである。
【0010】請求項2の発明は、エンジンの運転状態を
変化させて、エンジン出力トルクを調整可能なエンジン
制御装置において、発進時に2速以上の変速段を使用す
る変速モードを自動変速機に設定可能なモード設定手段
と、発進時を識別可能な信号を出力する発進検知手段
と、走行速度を識別可能な信号を出力する速度検知手段
と、前記モード設定手段が前記変速モードに設定された
状況では、前記発進検知手段および速度検知手段の出力
に基づいて前記エンジンの運転状態を変化させることに
より発進時のエンジン出力トルクを抑制し、アクセルペ
ダルが所定範囲以上に踏み込まれた場合には、前記エン
ジン出力トルクの抑制を中止させる制御手段とを有する
ものである。
【0011】請求項3の発明は、エンジンのアイドル回
転数を通常レベルよりも自動的に上昇させる制御を実行
するエンジン制御装置において、発進時に2速以上の変
速段を使用する変速モードを自動変速機に設定可能なモ
ード設定手段と、発進時を識別可能な信号を出力する発
進検知手段と、走行速度を識別可能な信号を出力する
度検知手段と、前記モード設定手段が前記変速モードに
設定された状況では、前記発進検知手段および速度検知
手段の出力に基づいて前記制御を中断させることによ
り、発進時のアイドル回転数の上昇を抑制し、発進後に
所定時間が経過した時点で前記アイドル回転数の上昇の
抑制を中止させる制御手段とを有するものである。
【0012】
【作用】 請求項1の自動変速機搭載車のエンジン制御装
置は、スノーモードやウィンターモードと言った低摩擦
係数路面で発進するための変速モードでは、自動変速機
のみならず、エンジンにまで溯って発進を確実にするた
めの制御を実行する。具体的には、エンジンの点火位相
角度、燃料供給量、出力気筒数、およびシリンダー内へ
の排気ガス還流割合等のうち少なくとも1つを変化させ
て、エンジンの運転状態を通常の制御範囲から逸脱させ
る。これにより、発進時に自動変速機が締結される際の
エンジンの出力トルクを意図的に抑制して、自動変速機
が締結された際にタイヤから路面に伝達されるトルクを
低下させ、エンジン負荷が小さくても急激なエンジン回
転数の上昇を起こさないようにしている。 エンジンの出
力トルクを抑制する上述の手法は、従来、エンジンの回
転数や出力トルクや走行状態に適合させてエンジンの能
力や効率を最大限に発揮させる目的で採用されていた。
ここでは、逆に、エンジンの運転状態を「エンジンの能
力や効率を最大限に発揮できる状態」からずらせて、意
図的に出力や効率を低下させることにより、「低摩擦係
数路面での発進に都合の良い状態」とする。
【0013】低摩擦係数路面に適合させた変速モードに
おけるエンジンの出力トルクを抑制する制御は、発進後
に所定時間が経過した時点で中止され、通常のエンジン
制御へと自動的に復帰する。発進を完了して自動車がひ
とまず前進を始めれば、タイヤから路面に伝達されるト
ルクの大きな変動が無くなり、通常の制御でもスリップ
やスタックを発生しない。 自動変速機が締結されてタイ
ヤが路面をグリップして回転を正常に始めた以降は、な
るべく早い時点でエンジンを通常の制御に戻して、エン
ジン回転の安定性 や自動車の加速性能等への悪影響を回
避する。
【0014】請求項2の自動変速機搭載車のエンジン制
御装置では、運転者が自ら選択して強い加速を求めてい
る場合には、エンジン出力トルクを抑制する制御を強制
的に中止させる。低摩擦係数路面に適合させた変速モー
ドにおけるアクセルペダルの大きな踏み込みは、道路の
凍結範囲を通過完了する等して、運転者がもはやスリッ
プの心配が無いと判断して強い加速を求める意思表示で
ある。
【0015】請求項3の自動変速機搭載車のエンジン制
御装置では、エンジンのアイドル回転数を通常レベルよ
りも自動的に上昇させる制御が実行されている状態の発
進では、この制御を中断してエンジンのアイドル回転数
を通常レベルに戻すことにより、スリップやスタックを
回避している。 しかし、発進開始から所定時間が経過し
た時点で、エンジンのアイドル回転数を通常レベルより
も自動的に上昇させる元の制御に復帰させている。
【0016】
【実施例】実施例の自動変速機搭載車におけるエンジン
制御を図1、図2を参照して説明する。実施例の自動変
速機搭載車は、低摩擦係数路面で発進を行うためのホー
ルドモードを設けており、ホールドモードでは、発進時
の自動変速機が3速に設定されるとともに、エンジンの
出力トルクが抑制されて、アイドル回転数を増加させる
制御も中断される。図1は実施例のシステム構成図、図
2は制御のフローチャートである。
【0017】図1において、縦置き型のエンジン11に
自動変速機12が連結される。自動変速機12の出力
は、ディファレンシャル機構13を介して自動車の後輪
20を駆動する。エンジン11のスロットルバルブ11
Aは、アクセルワイヤー14Aによってアクセルペダル
14に接続される。エンジン11の出力は、アクセルペ
ダル14の踏み込み量に応じて変化する。エンジン11
の燃料供給系11Bはエンジンコントロールユニット1
7によって制御される。エンジンコントロールユニット
17は、また、FICD(Fast IdleCont
rol Device)を用いて、暖機またはエンスト
防止を目的としてエンジンのアイドル回転数を通常レベ
ルよりも自動的に上昇させる制御(以下の説明では簡単
に「アイドル回転数を増加させる制御」と呼ぶ)を実行
して、エンジン起動後の所定時間、およびエアコン作動
時には、アイドル回転数を自動的に通常レベルよりも高
める。
【0018】自動変速機12は、内部の変速機構を切り
替えて前進5段階、後退1段階に変速比を変更可能であ
る。変速機構の切り替えは、コントロールバルブユニッ
ト12Cの油路を電磁弁で切り替えて実行される。コン
トロールバルブユニット12Cの電磁弁は、自動変速機
コントロールユニット18によって制御される。スロッ
トルバルブ11Aに設けたスロットルセンサーの出力が
自動変速機コントロールユニット18に入力されて、刻
々のスロットル開度が求められる。自動変速機12の出
力軸の回転速度を検知する回転センサー12Aの出力が
自動変速機コントロールユニット18に入力されて、走
行速度が求められる。自動変速機コントロールユニット
18は、そのときのスロットル開度と走行速度の組み合
わせに応じて自動変速機12の変速段を切り替える。
【0019】ブレーキペダル15の踏み込みを検知する
ブレーキスイッチ15Aの出力が自動変速機コントロー
ルユニット18に入力されて、ブレーキペダル15の踏
み込み/解放が識別される。自動変速機コントロールユ
ニット18は、ブレーキペダル15が解放された時点で
走行速度が0の場合を発進時と判断する。
【0020】自動変速機12の変速モードは、モード設
定手段としての変速モードスイッチ16を通じて運転者
により設定される。変速モードスイッチ16は、車室内
のフロントパネルの一隅に配置され、中央のモメンタル
なシーソースイッチ16Bの上下にインジケーターラン
プ16A、16Bを配置する。通常状態では、シーソー
スイッチ16Bが発光して、自動変速機12にエコノミ
ーモードが設定されていることを表示している。
【0021】運転者がシーソースイッチ16Bの上部を
押すと、シーソースイッチ16Bの発光が消えて、イン
ジケーターランプ16Aが点灯し、自動変速機12のパ
ワーモード設定が表示される。この状態で、シーソース
イッチ16Bの下部を押すと、インジケーターランプ1
6Aが消灯してシーソースイッチ16Bが発光し、自動
変速機12のエコノミーモード復帰が表示される。
【0022】一方、運転者がシーソースイッチ16Bの
下部を押すと、シーソースイッチ16Bの発光が消え
て、インジケーターランプ16Cが点灯し、自動変速機
12のホールドモード設定が表示される。この状態で、
シーソースイッチ16Bの上部を押すと、インジケータ
ーランプ16Cが消灯してシーソースイッチ16Bが発
光し、自動変速機12のエコノミーモード復帰が表示さ
れる。自動変速機コントロールユニット18は、変速モ
ードスイッチ16の設定状態に応じて、自動変速機12
の変速モードをエコノミーモード、パワーモード、ホー
ルドモードの3モードに切り替える。
【0023】エコノミーモードは、通常の走行環境、走
行状態で選択される。パワーモードは、車載重量が大き
い場合や大きな加速を望む場合や登坂時に選択される。
エコノミーモードおよびパワーモードでは、エンジン1
1に溯る制御は行われない。そして、発進時の自動変速
機の変速段が1速であり、発進後に走行速度の上昇に伴
って、2速、3速、4速と切り替わる。
【0024】ただし、エコノミーモードでは、スロット
ル開度が比較的に小さな段階で変速が実行され、4速の
後には、オーバードライブ変速段の5速へと変速が実行
される。これにより、走行速度の全領域でエンジン負荷
を大きめに保って、エンジン回転数をあまり高めないか
ら、燃費が良好である。これに対して、パワーモードで
は、スロットル開度がかなり大きくなってから変速が実
行されるから、エコノミーモードよりも高い走行速度ま
で同じ変速段が使用される。オーバードライブ変速段の
5速は使用されない。これにより、燃費はやや劣るが強
い加速性能を発揮できる。
【0025】残りのホールドモードは、ぬかるみ、凍結
路面、雪道等の低摩擦係数路面で運転者が選択するモー
ドである。ホールドモードでは、1速が使用されず、自
動変速機12を最初から2速として発進が実行される。
また、自動変速機12にとどまらず、エンジン11に溯
って発進を円滑にするための以下の2つの制御が実行さ
れる。ホールドモードでは、エンジンコントロールユニ
ット17は、(1)アイドル回転数を増加させる制御を
中断して暖機運転中のアイドル回転数を低下させるとと
もに、(2)一部の気筒に対する燃料供給を遮断してエ
ンジン11の出力トルクを減少させる。これにより、ア
クセルペダル14を踏み込んでもエンジン11の回転数
がゆっくりとしか上昇しなくなり、自動変速機12が締
結された際に車輪20のタイヤから路面21に伝達され
るトルクが小さくなって、低摩擦係数路面でも円滑な発
進が実行される。
【0026】エンジンコントロールユニット17は、図
2のフローチャートに従ってホールドモードの制御を実
行する。ステップ101では、変速モードスイッチ16
がホールドモードに設定されているか否かを識別する。
ステップ102とステップ103では、自動車が発進時
であるか否かを識別する。ブレーキスイッチ15AがO
NからOFFに変化した時点で走行速度が0km/時の
場合だけを発進時と判断してエンジン11に溯った制御
を開始する。つまり、変速モードスイッチ16がホール
ドモードに設定されると、自動変速機12の最低変速段
は2速となるが、これだけでは、エンジン11に溯った
制御は開始されない。自動車が停止状態で運転者がブレ
ーキペダル15を解放した瞬間からエンジン11に関す
るホールドモード特有の制御が開始される。ステップ1
08では、フラグFを1にする。発進後は、ステップ1
02、103でnoと判断されるが、フラグFが1であ
る限り、ステップ107でステップ104に戻されて、
後述するステップ111〜113の制御を継続する。
【0027】ステップ104では、走行速度が予め設定
された限界値Akm/時未満か否かを識別する。走行速
度がAkm/時に達した時点でエンジン11に関する制
御は終了する。Akm/時は、例えば、10km/時等
の値に設定し、走行状態や運転条件に応じて変更可能で
ある。ステップ105では、アクセルペダル14の踏み
込み量が予め設定された限界値B未満か否かを識別す
る。アクセルペダル14がB以上に踏み込まれた場合、
運転者がエンジン出力トルクの抑制の必要無しと判断し
たものと見做して、エンジン11に関する制御を終了さ
せ、エンジン11の出力トルクおよびアイドル回転数を
元に戻す。
【0028】ステップ106では、制御タイマー値ta
が予め設定された限界値T未満か否かを識別する。自動
車が停止状態から発進して一度動き出せば、車輪20の
タイヤから路面21に伝達されるトルクはそれほど大き
く変動しない。従って、渋滞等で走行速度がAkm/時
に達しない場合にいつまでもエンジン12に関する制御
を継続する利益が無い。そして、エンジン12のアイド
ル回転数を増加させる制御を中断している期間は、エン
ジン11の運転状態が不安定であるし、そもそも出力ト
ルクを抑制する制御は、「エンジンの能力を最大限に発
揮できない運転状態」をエンジン12に意図的に設定す
ることであるから、できるだけ短時間で通常状態に復帰
させることが望ましい。さらに、車速センサー12Aが
故障して速度Aに到達したことを検出できない場合もあ
る。そこで、T秒という限界値を設けている。T秒は、
例えば60秒等の値に設定し、走行状態や運転条件に応
じて変更可能である。
【0029】ステップ111では、制御タイマーtaの
カウントをインクリメントする。後にステップ106で
制御タイマーtaのカウント値が識別され、制御タイマ
ーtaがタイムアップすると制御が終了される。ステッ
プ112では、FICDを用いてアイドル回転数を増加
させる制御が停止される。アイドル回転数を増加させる
制御は、エンジン11の起動後に5分間程度、バイパス
の給気路を開くとともに、燃料供給も若干増加させて、
アイドル回転数を数10%増加させる。これにより、エ
ンジン11各部の温度が定常状態となるまでの回転を安
定させ、暖機を早めている。ホールドモードでは、一時
的にアイドル回転数を増加させる制御を停止させ、アイ
ドル回転数が低い状態で発進操作を実行させる。ステッ
プ113では、エンジン出力トルクを減少させる制御が
実行される。具体的には、複数系統の燃料噴射ラインの
うちの1系統を停止させて、一部のシリンダーを圧縮負
荷として使用する。
【0030】ステップ101、102、103のいずれ
かで「no」の判断がなされた場合には、エンジン11
に関してホールドモード特有の制御を開始しない。ま
た、ステップ104、105、106のいずれかで「n
o」の判断がなされた場合には、エンジン11を通常の
制御に戻してホールドモード特有の制御を終了させる。
ステップ114では、制御タイマーtaをリセットして
次の発進時の制御に備える。ステップ115では、FI
CDを用いてアイドル回転数を増加させる制御の停止が
解除される。暖機期間中やエアコンの作動中であれば、
アイドル回転数がただちに増加される。ステップ116
では、エンジン11を通常の制御として「エンジンの能
力を最大限に発揮できる運転状態」に復帰させる。ステ
ップ109では、フラグFを0に戻して、その後に再び
発進が検知されるまで、ホールドモード特有の制御を実
行させない。
【0031】以上に説明した実施例の自動変速機搭載車
では、ぬかるみ、凍結路面、雪道等の低摩擦係数路面で
も、ホールドモードをセットすることで、安全確実な発
進を実行できる。このような悪条件の発進でも、特殊な
状況判断や操作技術は必要とされず、スリップ(または
スタック)を引き起こす心配が無い。
【0032】また、エンジン11に関する制御は、変速
モードスイッチ16を用いた自動変速機12側の設定に
付随して実行されるから、運転者自身が変速モードスイ
ッチ16以外の特別なスイッチ操作や設定を行う必要が
無い。また、エンジン11に関する制御の終了に関して
も、時間、アクセルペダル踏み込み量、走行速度の3項
目を識別して自動的に実行するから、制御の解除を忘れ
て、不都合な運転状態で走行し続ける心配が無い。つま
り、エンジン11を発進に都合のよい状態に自動的に調
整し、発進が完了すれば、すみやかにエンジン11を走
行に都合のよい状態に自動的に戻すが、その間、運転者
はエンジン11に関して特別な制御が行われていること
を自覚しないで済む。
【0033】また、エンジン11に関する制御の追加
は、エンジンコントロールユニット17に変速モードス
イッチ16の信号を入力するラインを除けば、既存のエ
ンジンシステムをそのまま転用して、エンジンコントロ
ールユニット17の制御プログラムのわずかな変更のみ
で実現される。従って、実施のための設計変更や部品追
加が少なく、必要なコストもわずかで済む。
【0034】なお、実施例では、一部の気筒に対する燃
料供給を遮断して出力気筒数を減らすことでエンジン1
1の出力を低下させたが、この他にもエンジンコントロ
ールユニット17によって制御される以下の制御項目を
利用可能である。これらの制御項目を組み合わせて利用
してもよい。 (1)点火位相角度の制御(リタード)は、元来、回転
速度が高まるとともに点火位相(ガソリンエンジンでは
着火時期、ディーゼルエンジンでは燃料噴射時期)を早
めて、高回転数領域での爆発膨張とピストン動作のタイ
ミングを最適化している。そこで、例えば、意図的に点
火位相を遅くすることで、爆発膨張からピストンに取り
出される出力を低下させる。 (2)複数のシリンダーに対する燃料供給を平均的に減
少させる等して、全体の燃料供給量を少なくすればエン
ジン出力は低下する。 (3)シリンダー内へ排気ガスを還流する目的は、排気
ガス中の未燃焼ガスを完全燃焼させて排気ガスを浄化す
ることであるが、排気ガス還流の割合を高めれば、実質
的に燃料供給を削減することとなり、エンジン出力を低
下させることができる。
【0035】また、実施例ではモード設定手段として変
速モードスイッチを用いたが、これに限定されるもので
はなく、例えば、セレクトレバー自体で変速モードを選
択するものや、路面状態が滑りやすい状態にあることを
検知して自動的に2速発進モードを選択するものでもよ
い。
【0036】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、発進時にエン
ジンの出力トルクを抑制するから、低摩擦係数路面でも
円滑な発進が可能である。自動変速機の変速モードの設
定によってエンジン側の制御が設定され、制御の終了が
発進完了後に自動的に実行されるから、エンジン側で独
立に設定と解除を行う手間がかからない。発進と同時に
エンジン側の制御を開始し、所定時間経過後はすみやか
にエンジン側の制御を終了させるから、エンジンの運転
状態を通常の制御範囲から逸脱させる期間が短くて済
み、エンジンの調子や燃費、自動車の加速性能等に悪影
響を及ぼさない。つまり、エンジンに関する制御を運転
者に自覚させることなく、自動変速機搭載車の発進操作
を理想的に実行できる。
【0037】請求項2の発明によれば、運転者の操作を
優先してエンジン側の制御を中止するから、自動変速機
搭載車の加速性能が確保され、運転者にパワー不足を感
じさせない。
【0038】請求項3の発明によれば、発進完了後のア
イドル回転数の上昇の抑制を所定時間に限界付けている
から、滑りやすい路面状態でも確実な発進ができる一
方、アイドル回転数の上昇の抑制を際限無く続けてエン
ジンの調子や自動車の加速性能等に悪影響を及ぼす心配
が無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の自動変速機搭載車のシステム構成図で
ある。
【図2】ホールドモードにおけるエンジン制御のフロー
チャートである。
【符号の説明】
11 エンジン 12 自動変速機 13 ディファレンシャル機構 14 アクセルペダル 15 ブレーキペダル 16 変速モードスイッチ 17 エンジンコントロールユニット 18 自動変速機コントロールユニット 20 車輪 21 路面 11A スロットルバルブ 11B 燃料供給系 12A 車速センサー 12C コントロールバルブユニット 14A アクセルワイヤー 15A ブレーキスイッチ 16A パワーモード 16B エコノミーモード 16C ホールドモード 101、102、103、104、105、106、1
11、112、113、115、116 ステップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F16H 61/18 F16H 61/18 // F16H 59:18 59:18 59:44 59:44 (56)参考文献 特開 平4−71936(JP,A) 特開 昭63−149453(JP,A) 特開 昭63−201337(JP,A) 特開 平7−77078(JP,A) 特開 平3−202644(JP,A) 特開 平5−263923(JP,A) 特開 平7−315081(JP,A) 特開 昭62−195425(JP,A) 特開 平7−309159(JP,A) 実開 昭62−54029(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 29/00 - 29/06 F02D 41/00 - 45/00 B60K 41/00 - 41/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの運転状態を変化させて、エン
    ジン出力トルクを調整可能なエンジン制御装置におい
    て、 発進時に2速以上の変速段を使用する変速モードを自動
    変速機に設定可能なモード設定手段と、 発進時を識別可能な信号を出力する発進検知手段と、 走行速度を識別可能な信号を出力する速度検知手段と、 前記モード設定手段が前記変速モードに設定された状況
    では、前記発進検知手段および速度検知手段の出力に基
    づいて前記エンジンの運転状態を変化させることにより
    発進時のエンジン出力トルクを抑制し、発進後に所定時
    間が経過した時点で前記エンジン出力トルクの抑制を中
    止させる制御手段と、を有することを特徴とする自動変
    速機搭載車のエンジン制御装置。
  2. 【請求項2】 エンジンの運転状態を変化させて、エン
    ジン出力トルクを調整可能なエンジン制御装置におい
    て、 発進時に2速以上の変速段を使用する変速モードを自動
    変速機に設定可能なモード設定手段と、 発進時を識別可能な信号を出力する発進検知手段と、 走行速度を識別可能な信号を出力する速度検知手段と、 前記モード設定手段が前記変速モードに設定された状況
    では、前記発進検知手段および速度検知手段の出力に基
    づいて前記エンジンの運転状態を変化させることにより
    発進時のエンジン出力トルクを抑制し、アクセルペダル
    が所定範囲以上に踏み込まれた場合には、前記エンジン
    出力トルクの抑制を中止させる制御手段と、を有するこ
    とを特徴とする 自動変速機搭載車のエンジン制御装置。
  3. 【請求項3】 エンジンのアイドル回転数を通常レベル
    よりも自動的に上昇させる制御を実行するエンジン制御
    装置において、 発進時に2速以上の変速段を使用する変速モードを自動
    変速機に設定可能なモード設定手段と、 発進時を識別可能な信号を出力する発進検知手段と、 走行速度を識別可能な信号を出力する速度検知手段と、 前記モード設定手段が前記変速モードに設定された状況
    では、前記発進検知手段および速度検知手段の出力に基
    づいて前記制御を中断させることにより、発進時のアイ
    ドル回転数の上昇を抑制し、発進後に所定時間が経過し
    た時点で前記アイドル回転数の上昇の抑制を中止させる
    制御手段と、を有することを特徴とする 自動変速機搭載
    車のエンジン制御装置。
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