JP3527883B2 - 自動車用サンルーフのスライドサンシェード - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のサンルー
フにスライド可能に設けられるサンシェードに関するも
のである。 【０００２】 【従来の技術】自動車のサンルーフ（天窓）に設けられ
るサンシェード（日よけ板）は、従来から天井パネルの
開口の両側縁上部に設けられた横断面コ字状のガイドレ
ールに両側縁部を摺動可能に遊嵌することにより、前後
方向にスライド可能に支持されたものである。 【０００３】ところで従来のサンシェードは、アルミニ
ウム等の金属板、またはそれに相当する剛性を備えた合
成樹脂製板，積層板等を基板とし、その室内側面にファ
ブリック等の表皮を貼付してなるものであったが、変形
し難いこと、高剛性であること等が必要であるので、軽
量化，低コスト化が困難であった。 【０００４】また、従来から天井パネルは、段ボール板
紙，発泡ウレタン板、或いは、発泡ウレタン層の両面に
ガラス繊維層を設けて補強された三層構造板等を基板と
し、その室内側面にファブリック等の表皮を貼付してな
るものであり、天窓を開口するためにその天井パネルの
一部が切り抜かれていたが、その切抜加工時にできる大
量の切抜パネルは端材とともに廃棄物として処理されて
いたので、材料の無駄が大きかった。 【０００５】また従来では上記のようにサンシェードの
基板と天井パネルの基板とが別材料からなるものであっ
たので、たとえ同色の表皮を貼付したとしても両基板の
色の違いが表面に現れ見難くなるおそれがあった。 【０００６】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上述に鑑みて
なされたもので、天窓を開口するために天井パネルの一
部を切り抜くことによって形成される切抜パネルを有効
利用し、サンシェードの軽量化，低コスト化、および高
品質を実現しようとするものである。 【０００７】 【課題を解決するための手段】そのために本発明に係る
自動車用サンルーフのスライドサンシェードは、発泡ウ
レタン層の両面にガラス繊維マットを設けて補強した三
層構造の基板の室内側面に表皮を貼付して天井パネルを
形成するとともに該天井パネルの一部を切り抜くことに
よって形成された切抜パネルと、該切抜パネルの前縁に
固着される前縁用剛性縁部材と、該切抜パネルの両側縁
および後縁に固着されるコ字枠状剛性縁部材とからなる
サンシェードであって、切抜パネルの前縁寄りに換気部
取付用角孔およびノブ取付用部を形成し、前縁用剛性縁
部材に換気口およびノブを形成するとともに前記換気部
取付用角孔の開口縁が差し込まれる差込溝を形成するた
めの樋溝形成部を一体に形成し、コ字枠状剛性縁部材の
内周縁に切抜パネルの両側縁および後縁が差し込まれる
差込溝を形成するための樋溝形成部を一連に成形し、該
コ字枠状剛性縁部材の後縁固着部に上方に突出するリブ
を形成し、該リブの前側に上面側が凹となるサポート部
を形成し、該コ字枠状剛性縁部材の両側縁固着部の先端
部が前記前縁用剛性縁部材の両端部上に重合し得るよう
に該両側縁固着部の長さを設定し、該コ字枠状剛性縁部
材の後縁固着部の両端部にスライドシューを固着してな
ることを特徴とする。 【０００８】 【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
従い説明する。図１は天井パネルの斜視図で、この天井
パネル１は、図２に断面を示したように、発泡ウレタン
層３の両面にガラス繊維マット４を設けて補強した三層
構造の基板２を成形型により挟着することで所要立体形
状に形成するとともに、その室内側面にファブリック
（布帛）からなる表皮５を貼付してなる。６は該天井パ
ネルの一部を切り抜くことによって形成された天窓とな
る開口、７はこの切り抜きによって形成された切抜パネ
ルである。 【０００９】切抜パネル７には、図３に拡大して示した
ように、前縁寄りに上記切り抜き時に同時に切り抜かれ
た換気部取付用角孔８が形成される。９は該切抜パネル
７の前縁寄り中央部に上方に突出し室内側（下面側）が
凹となるように加圧成形されたノブ取付用部、１０は同
じく同時に開設されたビス貫通用小孔である。 【００１０】本発明のサンシェードは、図３に示した上
記切抜パネル７と、図４に示した剛性縁部材１１と、図
５に示した剛性縁部材１２とからなる。切抜パネル７の
前縁に固着する剛性縁部材１１はＡＢＳ樹脂を所定の成
形型に射出する射出成形によって製作されるもので、上
方に突出し室内側が凹となる４つの換気用の凸部１３が
所定間隔をおいて形成され、該凸部１３の後側壁面に換
気口１４（図９に示される）が開設されている。また該
剛性縁部材１１の中央部には上方に突出し室内側が凹と
なるノブ１５が形成される。また、１６は各凸部１３の
後側に前記角孔８の開口縁が差し込まれる差込溝を形成
するために一体に形成された樋溝形成部、１７は剛性縁
部材１１の上面に突設されたビス螺合用のボスである。 【００１１】また、剛性縁部材１２は、剛性縁部材１１
と同様にＡＢＳ樹脂を所定の成形型に射出する射出成形
によって製作されるもので、切抜パネル７の両側縁に固
着する一対の側縁固着部１８と、切抜パネル７の後縁に
固着する後縁固着部１９とをコ字枠状に一体に成形し、
該側縁固着部１８および後縁固着部１９の内周縁に切抜
パネル７の両側縁および後縁が差し込まれる差込溝を形
成するための樋溝形成部２０を一連に成形している。ま
た、後縁固着部１９にはその長手方向に沿って上方に突
出し室内側が凹となるリブ２１が形成され、このリブ２
１によって該剛性縁部材１２の剛性をさらに増大させて
いる。また、２２はこのリブ２１の前側中央部にて下方
に突出し上面側が凹となるように形成されたサポート部
である。なお、側縁固着部１８の先端部１８ａは前記剛
性縁部材１１の両端部１１ａ上に重合し得るように両側
縁固着部１８の長さが設定されている。 【００１２】また、２３は耐摩耗性のポリアセタール樹
脂により成形されたスライドシューで、図６にその取付
部の断面を示したように、該スライドシュー２３の一部
に一体に形成された中空軸２４を後縁固着部１９の両端
部に形成された取付孔に下方から嵌合する一方、取付板
２５に形成された爪軸２６を該中空軸２４中に上方から
嵌着することにより、該スライドシュー２３は後縁固着
部１９の両端部に夫々固着される。そして該各スライド
シュー２３は、図７に示したように、弾性的に撓み得る
ように一体に形成された軸部２７の先端に一対のシュー
本体２８が形成され、該シュー本体２８を下方からさら
に板バネ２９により弾性的に支持してなる。３０は該ス
ライドシュー２３の外側面に突設された一対の髭状の弾
性片である。 【００１３】そして本発明のサンシェードは、図８にそ
の組立状態を示したように、切抜パネル７の両側縁およ
び後縁を剛性縁部材１２の樋溝形成部２０によって形成
される差込溝に差し込むとともに、図９〜図１２に示し
たように、該切抜パネル７の前縁にその下方より剛性縁
部材１１を重合し、樋溝形成部１６により形成された差
込溝に角孔８の開口縁を差し込み、ビス３１を前記ビス
貫通用小孔１０，ボス１７に挿入し固着することにより
組み立てられる。こうして本発明のサンシェードは、前
記天井パネル１の開口６の幅および開口長よりも広幅お
よび長寸となるように仕立てられる。 【００１４】図１３はこのように構成されたサンシェー
ドの使用状態を示したサンルーフの縦断面図で、３２は
自動車屋根、３３はその補強材、３４該屋根に開設され
た窓孔、３５は該窓孔３４に電動開閉機構（図示せず）
により開閉可能に装着された天窓ガラス、３６は該天窓
ガラスの周囲に設けられたパッキン、３７は該天窓ガラ
スのガーニッシュである。該屋根３２の下に所定の空間
を介して前記天井パネル１が配設される。３８は該天井
パネル１の前記開口６の内周縁に設けられたトリム材で
ある。なお、３９は開口６の後側で該天井パネル１の上
部に配設された折板鋼からなる支持梁である。 【００１５】開口６の両側縁上部には図１４に示したよ
うにガイドレール４０が設けられ、該ガイドレール中に
このサンシェードの側縁固着部１８が摺動自在に挿入さ
れる。その際、前記スライドシュー２３のシュー本体２
８が該ガイドレール４０の上部内面に弾性的に接触し、
弾性片３０は該ガイドレール４０の内側面に弾性的に接
触する。そして、ノブ１５に室内側から手を掛けてこの
サンシェードを前後方向に押し引きすることで、このサ
ンシェードは該ガイドレール４０にそってスムースにス
ライドせられる。なお、図示したようにこのサンシェー
ドを全閉させた状態では、サポート部２２が支持梁３９
上に乗る。 【００１６】このサンシェードでは、切抜パネル７が合
成樹脂射出成形製の剛性縁部材１１，１２に囲繞されて
補強されその剛性を高められるので、該切抜パネル７が
天井パネル１と同じ材料からなるものでありながらも、
使用中に撓んだり、長期間のうちに変形が生じて、スラ
イドに支障を与えるようなおそれはなく、長期にわたり
安定した形状が保持される。また、切抜パネル７と天井
パネル１とが同一材料からなるものであるので、表皮５
の色彩を容易に一致させられ見栄えをよくする利点があ
る。 【００１７】またこの実施形態に示したサンシェードで
は、天井パネル１から切り抜いた切抜パネル７を剛性縁
部材１１，１２の差込溝に差し込むだけで縁加工を要さ
ずに組み立てられるので生産性を向上させるとともに、
従来では廃棄されていた端材を製品構成部材として有効
利用でき製造コストを大幅に軽減させる。なおこの実施
形態では剛性縁部材１２に別体のスライドシュー２３を
設けたが、該剛性縁部材１２にスライドシューを一体に
成形してもよい。また、剛性縁部材１１の両端部にもス
ライドシューを設けてもよい。また、天井パネル１はこ
の実施形態に示した三層構造板の他、段ボール板紙等を
基板とすることも可能である。 【００１８】 【発明の効果】以上説明したように本発明に係る自動車
用サンルーフのスライドサンシェードは、天窓を開口す
るために天井パネルの一部を切り抜くことによって形成
された切抜パネルと、該切抜パネルを囲繞するように該
切抜パネルの前縁と両側縁と後縁に固着される合成樹脂
射出成形製の剛性縁部材とからなるので、従来は廃棄さ
れていたものを有効利用でき、材料を節減できて製造コ
ストが軽減させるとともに、従来の金属板等を基板とす
るものに比べて軽量化が可能であるなど種々の有益な効
果がある。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明に係る自動車用サンルーフを構成する天
井パネルと切抜パネルの斜視図。 【図２】図１の天井パネルの断面拡大図。 【図３】本発明の実施形態であるサンシェードの切抜パ
ネルの斜視図。 【図４】本発明の実施形態であるサンシェードの剛性縁
部材の斜視図。 【図５】本発明の実施形態であるサンシェードの剛性縁
部材の斜視図。 【図６】図５のＡ−Ａ線断面拡大図。 【図７】図５のＢ−Ｂ線断面拡大図。 【図８】本発明の実施形態であるサンシェードの組立状
態を示した斜視図。 【図９】図８のＣ−Ｃ線断面拡大図。 【図１０】図８のＤ−Ｄ線断面拡大図。 【図１１】図８のＥ−Ｅ線断面拡大図。 【図１２】図８のＦ−Ｆ線断面拡大図。 【図１３】本発明の実施形態を示したサンシェードの使
用状態を示したサンルーフの縦断面図。 【図１４】図１３のＧ−Ｇ線部分断面拡大図。 【符号の説明】 １ 天井パネル ２ 基板 ３ 発泡ウレタン層 ４ ガラス繊維マット ５ 表皮 ６ 開口 ７ 切抜パネル ８ 換気部取付用角孔 ９ ノブ取付用部 １０ ビス貫通用小孔 １１，１２ 剛性縁部材 １３ 凸部 １４ 換気口 １５ ノブ １６ 樋溝形成部 １７ ボス ２０ 樋溝形成部 ２１ リブ ２３ スライドシュー ３１ ビス ４０ ガイドレール

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 発泡ウレタン層の両面にガラス繊維マッ
   トを設けて補強した三層構造の基板の室内側面に表皮を
   貼付して天井パネルを形成するとともに該天井パネルの
   一部を切り抜くことによって形成された切抜パネルと、
   該切抜パネルの前縁に固着される前縁用剛性縁部材と、
   該切抜パネルの両側縁および後縁に固着されるコ字枠状
   剛性縁部材とからなるサンシェードであって、切抜パネ
   ルの前縁寄りに換気部取付用角孔およびノブ取付用部を
   形成し、前縁用剛性縁部材に換気口およびノブを形成す
   るとともに前記換気部取付用角孔の開口縁が差し込まれ
   る差込溝を形成するための樋溝形成部を一体に形成し、
   コ字枠状剛性縁部材の内周縁に切抜パネルの両側縁およ
   び後縁が差し込まれる差込溝を形成するための樋溝形成
   部を一連に成形し、該コ字枠状剛性縁部材の後縁固着部
   に上方に突出するリブを形成し、該リブの前側に上面側
   が凹となるサポート部を形成し、該コ字枠状剛性縁部材
   の両側縁固着部の先端部が前記前縁用剛性縁部材の両端
   部上に重合し得るように該両側縁固着部の長さを設定
   し、該コ字枠状剛性縁部材の後縁固着部の両端部にスラ
   イドシューを固着してなることを特徴とした自動車用サ
   ンルーフのスライドサンシェード。