JP3524571B2 - α−オレフィンの気相重合方法 - Google Patents

α−オレフィンの気相重合方法

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JP3524571B2 JP35005193A JP35005193A JP3524571B2 JP 3524571 B2 JP3524571 B2 JP 3524571B2 JP 35005193 A JP35005193 A JP 35005193A JP 35005193 A JP35005193 A JP 35005193A JP 3524571 B2 JP3524571 B2 JP 3524571B2
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    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J2208/00Processes carried out in the presence of solid particles; Reactors therefor
    • B01J2208/00008Controlling the process
    • B01J2208/00734Controlling static charge

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  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気相法によりα−オレ
フィンを重合する際の運転方法に関する。さらに詳しく
は、気相流動床を用いてα−オレフィンを重合または共
重合する際に、反応器内壁近傍におけるシート状ポリマ
ーの生成を減少させ、不安定な重合反応を防止するため
の運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】反応器内壁近傍におけるシート状ポリマ
ーの生成を防止するために、重合反応中における静電電
位の絶対値を零、すなわち電圧の極性を中性に保つ必要
があることが、例えば特公表昭63−500176号公
報に提案されている。気相流動床を用いてαーオレフィ
ンの重合を行う場合には、特に重合初期において反応器
内壁近傍においてシート状のポリマーが生成し、ポリマ
ー抜き出し口やその下流の配管等を閉塞し、実質上重合
反応を継続することが不可能になる場合がある。シート
状ポリマーの生成は、実質的に重合反応が起こっていな
い状態で反応器内へ固体触媒成分や有機アルミニウム化
合物を供給し重合を開始してから、流動床の反応部体積
の約20倍のポリマーを生成するまでに観察されること
が多い。その後、定常状態に移行した後には、シート状
ポリマーの生成は比較的少ない。反応器内のポリオレフ
ィン粒子が帯電すれば、帯電粒子は他の物体に静電気力
で付着することが知られているから、反応器内の帯電ポ
リオレフィン粒子と反応器内壁近傍におけるシート状ポ
リマーの生成との間には何等かの関係があると考えられ
る。そこで初めに気相流動床内における帯電ポリオレフ
ィン粒子の挙動とシート状ポリマーの生成について詳し
く説明する。
【0003】気相流動床反応器内では、ポリマー粒子間
およびポリマー粒子と反応器内壁との接触・摩擦により
電荷が発生し、粒子が帯電する。この粒子の帯電量が多
くなり、帯電している粒子の数が増えてくるとクーロン
力により粒子が反応器内壁に付着するようになる。気相
流動床反応器の内壁近傍ではガス流の速度も遅くなり、
なおさら付着が容易となる。しかし、帯電ポリマー粒子
の反応器内壁への付着が、シート状ポリマーの生成に直
接つながるわけではない。たとえポリマー粒子が反応器
内壁に付着しても、その領域での触媒濃度が低く、従っ
て反応量が少なく、そのため重合熱を除去することがで
きるような場合には、付着したポリマー粒子層内の温度
はポリマーの融点を越えることはなく、シート状ポリマ
ーが生成することはない。一方、帯電したポリマー粒子
がクーロン力で反応器内壁に付着し、かつ付着したポリ
マー粒子層中の触媒濃度が高い場合には、その領域での
反応量が多く、その結果重合熱の除去が困難となり、付
着したポリマー粒子層中の温度が上昇する。そして最終
的にはポリマーの融点を越える温度に達し、ポリオレフ
ィン粒子が融着してシート状ポリマーを生成するに至
る。実際には、触媒が反応器内に供給されると速やかに
触媒が重合を開始してポリマー粒子となり、この粒子上
でさらに重合が進行する。すなわち、反応器内壁近傍で
供給した触媒の濃度が低い場合でも、重合活性のあるポ
リオレフィン粒子の濃度が高ければ、やはりシート状ポ
リマーの生成を促進する。このため、触媒濃度というよ
り、むしろ重合活性点濃度、あるいは単位体積あたりの
反応量と表現する方がより正確である。すなわち、反応
器内へ供給した固体触媒成分の濃度および重合活性のあ
るポリオレフィン粒子の濃度の両方を意味する。従っ
て、本明細書では、以降、触媒濃度という場合には、単
に触媒のみではなく重合活性のあるポリオレフィン粒子
も含めた濃度とする。
【0004】なお、シート状ポリマーが生成するために
は、たとえそこから重合が進行するとはいえ重合熱が蓄
積する必要があるから、ポリオレフィン粒子がある程度
以上の厚みで反応器内壁に付着することが必要である。
付着するポリオレフィン粒子層が一層程度の厚みでは到
底シート状ポリマーの生成には至らない。ここで、ある
程度の厚みを持った粒子の付着が起こるためには、反応
器内の帯電ポリマー粒子群中に正に帯電した粒子と負に
帯電した粒子が混在することが必須の要件である。この
点を説明するために、正負いずれか一方のみに帯電した
ポリオレフィン粒子を仮定する。これらの粒子の第1層
は、反応器の内壁にクーロン力で付着することができ
る。しかし、付着した粒子にさらに他の粒子が接近して
も、電荷の極性が同じためにクーロン力が斥力として作
用するので新たな付着は起こらない。従って、同一極性
のみに帯電した粒子群では、単層を構成する厚みしか付
着し得ない。このことから、反応器内壁にポリマー粒子
がある程度の厚みで付着するためには、ポリマー粒子群
中に正と負に帯電した粒子が混在していなければならな
いことが理解される。なお、ポリマーは絶縁体であるた
めに、ポリマーの内部および表面で電荷の移動が起こり
難いので(ただし、後述の電極などの導電体と接触する
場合は、接触した部位の電荷の少なくとも一部は速やか
に電極に移行する。)、一つのポリマー粒子中に複数の
電荷が存在することも有り得る。また、この複数の電荷
はその符号(極性)が異なっていることもある。すなわ
ち、同一粒子中に正と負の電荷が混在している場合もあ
り得る。従って、実際のα−オレフィンの気相重合にお
いてシート状ポリマーの生成が認められるところから、
気相重合内のポリオレフィン粒子の帯電状態もこのよう
に正負の電荷が存在するような複雑な帯電であると考え
られる。このように、シート状ポリマーの生成原因とな
り得るポリマー粒子の反応器内壁への付着に対応するた
めには、ポリマー粒子の帯電状態を把握することが重要
である。
【0005】従来、粉体の帯電状態の測定は、いずれも
静電電位を測定する方法で行われており、これには測定
対象となる粉体粒子に接触しないで測定する方法(非接
触型)および接触して測定する方法(接触型)がある。
ここでいう静電電位とは、帯電した粉体の静電電位であ
り、接地電位を基準にとり、これを零としている。これ
はまた静電電圧と呼ばれることもある。以後、単に電位
という。粉体静電気が放電することによる災害の防止を
図る場合には、粉体の電位がきわめて重要である。これ
は、帯電した粉体の電位が絶縁破壊電圧を超えると、す
なわち電界強度が絶縁破壊電界強度を超えると、放電が
起こり災害の原因となるからである。このような場合に
は、粉体の帯電状態を測定する方法として従来の電位を
測定する方法は最適である。しかし、複雑な帯電をして
いるポリマー粒子の帯電状態を測定する方法としては、
従来の電位を測定する方法は適していない。このことに
ついて次に従来の測定法を例示しながら説明する。
【0006】非接触型の測定法としては、例えば、帯電
している測定対象の電荷による電界の強度を電界強度計
を用いて測定し、この電界の強度と、電界強度計および
測定対象の間の距離とから測定対象の電位を求める方法
が挙げられる。図1は従来の非接触型の電位測定法の例
である。図中で+qは帯電粒子1が有する帯電量を示
す。通常、電界強度計2はアース3に接続されているの
で、電界の強度をE[V/m]、帯電粒子1との間の距
離をD[m]とすれば、帯電粒子1とアース3との間の
電位差すなわち電位V[V]は、 V=E×D として求めることができる。しかし、非接触型の電位測
定法によりポリマー粒子(群)の帯電状態を測定する場
合には、測定対象となるポリマー粒子が電界強度計の測
定部に万一接触することがあると、測定値が大きく狂う
という問題がある。これはポリマー粒子が電界強度計の
測定部に接触することにより、電荷が移動しあるいは発
生することによるものである。このため、通常は運動し
ている粉体の電位測定には使用されない。
【0007】一方、従来の接触型の測定法は、例えば、
前記特公表昭63−500176号公報に記載されてい
るように、測定対象のポリマー粒子に接触する電極に電
位計を接続して電位を測定する方法である。このような
接触型の測定法は、ポリマー粒子から電荷が移動した電
極の電位を測定するものである。接触型の電位測定法を
図2に例示する。反応器4の内部に挿入された電極5に
電位計6が接続され、電位計はアース3に接続される。
反応器の内部で流動する帯電粒子(図示せず)は電極5
に接触する。この方法においては、ポリマー粒子から電
極に移動した電荷が、電極5、電位計6、電極と電圧計
との間の配線等により構成される測定系とアース3との
間に形成されるコンデンサーに蓄積され、測定系の電位
が変化する。電極の電位が変化すると、同じ帯電量のポ
リマー粒子が電極に接触した場合でもポリマー粒子から
電極に移動する電荷量が変化する。またポリマー粒子が
電極に接触する頻度もクーロン力の影響を受けて変化す
る。また、測定系から漏れ出る電荷量も測定系の電位が
変化するのに伴い変化する。最終的に、ポリマー粒子か
ら電極に移動する電荷量と測定系から漏れ出る電荷量が
平衡に達したときの電極の電位が測定値として得られ
る。このようにして得られた電位の測定値は、あくまで
もポリマー粒子から電極に移動する電荷量と測定系から
漏れ出る電荷量が平衡に達したときの電極の電位であ
り、電極近傍のポリマー粒子(群)の電位ではない点に
注意する必要がある。
【0008】上記において、ポリマー粒子(群)の電位
の測定値は、ポリマー粒子(群)とアースとの間の静電
容量の影響を受ける。すなわち、ポリマー粒子(群)が
同じ帯電量を有していても、アースとの間の静電容量
(反応器の形状、容積および相対的な位置関係により変
化する。)が変化すれば、それに応じてポリマー粒子
(群)の電位の測定値も変化する。ここで、この方法に
おける測定値の意味について図3に示す回路図で説明す
る。測定系とアースとの間に形成されるコンデンサーの
静電容量をC[F]とし、絶縁抵抗をR[Ω]とすれ
ば、図3に示す回路図は図2の電位測定装置と電気的に
等価である。なお、各ポリマー粒子は一定量の正電荷を
もっており、最初の電極の電位V[V]は零であるとす
る。ポリマー粒子から電極に電荷が移動して測定系とア
ースとの間に形成されたコンデンサーに蓄積されるに従
い、電極の電位は上昇する。上記コンデンサーに蓄積さ
れた電荷量をq[C]とすると、電極の電位V[V]
は、V=q/Cとなる。電極の電位が上昇するに従い、
電極とポリマー粒子の間に作用する斥力が大きくなり、
ポリマー粒子が電極に接触し難くなる。また、ポリマー
粒子が電極に接触する際に移動する電荷量も少なくな
る。このため、単位時間当たりに電極へ移動する電荷量
すなわち電極から入ってくる電流Iin は電極の電位V
によって変化する。これを関数f(V)で表わせば、Iin
=f(V)となる。測定系からの漏れ電流Iout もやはり
電極の電位の関数であり、これはオームの法則から、I
out=V/Rとなる。最終的に Iin−Iout=0、すな
わち f(V)=V/R :式1 となるような電極の電位Vが電位の測定値となる。
【0009】上記において、ポリマー粒子から電位Vの
電極への電荷の移動を表わす関数f(V)は、測定に用い
る電極やポリマーの種類、ポリマー粒子の帯電状態によ
り定まる。式1が関数f(V)とVの他に変数を含まない
形であれば、電極とポリマーの種類を定めておけば、測
定値Vはポリマー粒子の帯電状態に対して一義的に定ま
る。しかし、式1は関数f(V)およびVの他に測定系の
絶縁抵抗Rを含んでいる。このことは、測定値すなわち
式1を満足する電極の電位Vが測定系の絶縁抵抗の影響
を受けることを示している。つまり、電極とポリマーの
種類を定めても、測定系の絶縁抵抗が一定でなければ測
定値Vはポリマー粒子の帯電状態に対して一義的に定ま
らないことを示している。すなわち、ここに挙げたよう
に接触型で電位を測定する方法では、測定系を特定し、
かつその状態を一定に保たなければ、測定値を直接比較
することはできない。従って、前記特公表昭63−50
0176号公報に記載されている接触型の電位測定法で
は、得られた測定値を直接に比較することは理論的にき
わめて難しい。
【0010】以上述べた接触型、非接触型のいずれの測
定法においても、電位あるいは電圧の形で測定値が得ら
れる。しかし、電位の測定値はポリマー粒子群としての
正負の電荷の差によるものである。従って、正負の電荷
が混在しており、更に付着に関しては正負の電荷のバラ
ンスが重要であるポリマー粒子群の複雑な帯電状態を測
定する方法としては適当でない。例えば、正および負に
それぞれ帯電しているポリマー粒子群が電気的に当量で
混在している粒子群を考える。この粒子群について電位
測定の方法で測定を行うと、前記接触型であるか、非接
触型であるかにかかわらず、正と負の電荷の差は零であ
るところから、理論的に電位の測定値は零となる。前記
特公表昭63−500176号公報によれば、シート状
ポリマーの生成を防止するには、静電電位を中性に保て
ばよいとしていることから、上記のように正負の帯電が
当量で混在するポリマー粒子群である場合には、静電電
位は中性となりシート状ポリマーは生成しないことにな
る。しかし、正と負に帯電した粒子が混在しているので
あるから、このような場合には前述のようにむしろポリ
マー粒子の厚い付着が起こる可能性が高い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、電位の
測定によってα−オレフィン気相重合時のシート状ポリ
マーの生成防止を図ることは、不確実性と共に困難を伴
うものである。しかも、静電気の発生機構は一般にまだ
十分解明されていない。α−オレフィンの気相重合にお
いても同様である。このように、根本的な静電気の発生
機構の解明およびそれに基づく発生防止の対策が不十分
ないし不完全である以上、ポリマー粒子が帯電すること
を前提として、これに対処し解決する方法を検討せざる
をえない。一方、静電現象に関する分野では、電荷量の
測定のため電極に流れる微小な電流の測定を行うことが
ある。電流は移動した電荷量の時間微分と考えられるか
ら、微小な電流を測定して時間で積分することにより移
動した微小な電荷量を算出することができるのである。
電荷量を測定するような場合には、通常は電流の流れる
方向、すなわち電荷の移動する方向や電流の測定値は短
時間に変化することはない。しかし、短時間に電荷の移
動する方向や電流自体の値が大きく変化するような場合
には、求めた電流値を時間で積分しても電荷量として有
効な値を得ることが難しい。従って、電流を測定する方
法が用いられるのは、従来、電荷の移動する方向や短時
間における電流の測定値の変化が少ない場合に限られて
いる。
【0012】我々は微小な電荷の移動を測定することが
できる上記の測定法に着目し、この方法をポリマー粒子
の帯電状態の測定に応用することを検討した。日常的に
利用されている電気機器の場合は、典型的な電圧計が電
流計と大きな抵抗値を有する抵抗器から構成されている
ように、電流と電圧は相互の変換が容易である。これ
は、電圧と電流の関係が抵抗(インピーダンス)を仲介
として定式化されているからである。しかし、一般には
本発明で用いる測定法による電流の測定値と、従来の電
位や静電電圧の測定値との間では相互の変換が不可能で
ある。これは、それぞれの測定法がポリマーの帯電状態
を電流または電圧という異なる形で表現しており、両者
の測定原理が全く異なるためである。本発明は、上記の
ような気相流動床反応器を用いるα−オレフィンの重合
を行う場合に、特に反応の初期におけるシート状ポリマ
ーの生成の問題を解決して安定した運転方法を提供する
ことを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的に沿って鋭意検討した結果、反応器内の特定の位置に
設置した電極において、帯電ポリマー粒子から移動する
電荷による電流の平均値を一定のレベル以上に調整する
ことにより、シート状ポリマーの生成を抑制し得ること
を見出して本発明に到達した。すなわち本発明の第1
は、少なくともチタンおよび/またはバナジウムならび
にマグネシウムを含有する固体触媒成分と有機アルミニ
ウム化合物とからなる触媒を反応器へ供給し、α−オレ
フィンを気相状態で重合または共重合させる方法におい
て、反応器内のシート状ポリマーが生成し得る位置に設
置した電極に反応器内の帯電ポリマー粒子が接触し、粒
子から電極に移動する電荷による電流を求め、電流の平
均値が零または正の値である状態下で重合することを特
徴とするα−オレフィンの気相重合方法に関する。本発
明の第2は、前記有機アルミニウム化合物がアルキルア
ルミニウムである上記のα−オレフィンの気相重合方法
に関する。本発明の第3は、4価のチタン化合物および
ハロゲン化マグネシウムを含有する固体触媒成分とアル
キルアルミニウムとからなる触媒を用いる前記第1の発
明であるα−オレフィンの気相重合方法に関する。以
下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0014】本発明において、α−オレフィンを気相状
態で重合または共重合するために使用する反応器は、実
質的に気−固系で運転される流動床系または攪拌床系を
すべて包含し、攪拌機を有するものまたは有しないもの
のいずれでもよい。
【0015】本発明で用いるα−オレフィンとしては、
通常炭素数2〜8、好ましくは2〜6のオレフィン、例
えばエチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−
1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げら
れる。これらは単独(ホモ)重合または2種以上の適宜
の混合割合による共重合を行うことができる。共重合の
組み合わせとしては、例えばエチレン/プロピレン、エ
チレン/ブテン−1、エチレン/ヘキセン−1、エチレ
ン/4−メチルペンテン−1等のエチレンと炭素数3〜
12のα−オレフィンとの共重合、プロピレンとブテン
−1との共重合、およびエチレンと他の2種以上のα−
オレフィンとの共重合等が挙げられる。また、ポリオレ
フィンの改質を目的としてジエンとの共重合も可能であ
る。このようなジエンとしては、 ブタジエン、1,4−
ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペン
タジエン等が例示される。反応系へのオレフィンの供給
は、好ましくは適宜の不活性キャリアーガス、例えば窒
素と共に供給することができる。
【0016】上記α−オレフィンの重合に使用する触媒
としては、少なくともチタンおよび/またはバナジウム
ならびにマグネシウムを含有する固体触媒成分と有機ア
ルミニウム化合物とからなるものを用いる。少なくとも
チタンおよび/またはバナジウムならびにマグネシウム
を含有する固体触媒成分としては、オレフィン重合用触
媒として従来公知のチーグラー系触媒に用いられるチタ
ンおよびマグネシウムを含有する固体触媒成分、バナジ
ウムおよびマグネシウムを含有する固体触媒成分または
チタン、バナジウムおよびマグネシウムを含有する固体
触媒成分等を使用することができる。
【0017】上記固体触媒成分としては、例えば金属マ
グネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、
酸化マグネシウム、塩化マグネシウム等、またケイ素、
アルミニウム、カルシウムから選ばれる元素とマグネシ
ウム原子とを含有する複塩、複酸化物、炭酸塩、塩化物
あるいは水酸化物等、更にこれらの無機固体化合物を含
酸素化合物、含硫黄化合物、芳香族炭化水素、ハロゲン
含有物質で処理しまたは反応させたもの等のマグネシウ
ムを含む無機固体化合物に、チタン化合物および/また
はバナジウム化合物を公知の方法により担持させたもの
が挙げられる。
【0018】上記含酸素化合物としては、例えば水;ポ
リシロキサン;アルコール、フェノール、ケトン、アル
デヒド、カルボン酸、エステル、酸アミドなどの有機含
酸素化合物;金属アルコキシド;金属のオキシ塩化物な
どの無機含酸素化合物を例示することができる。含硫黄
化合物としては、チオール、チオエーテル等の有機硫黄
化合物あるいは二酸化硫黄、三酸化硫黄、硫酸等の無機
硫黄化合物が挙げられる。また芳香族炭化水素として
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、アントラセン、フ
ェナントレン等の各種単環または多環芳香族炭化水素を
例示することができる。ハロゲン含有物質としては、塩
素、塩化水素、金属塩化物、有機ハロゲン化物等が挙げ
られる。
【0019】前記のチタン化合物としては、チタンのハ
ロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、
ハロゲン化酸化物等を挙げることができる。これらのう
ち、4価のチタン化合物と3価のチタン化合物が好適で
あり、4価のチタン化合物としては、具体的には一般式
Ti(OR)n4-n(ここで、Rは炭素数1〜20のアル
キル基、アリール基またはアラルキル基等の炭化水素基
を示し、Xはハロゲン原子を示す。nは0≦n≦4の範
囲の数である。)で示されるものが好ましく、具体的に
は四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、モノ
メトキシトリクロロチタン、ジメトキシジクロロチタ
ン、トリメトキシモノクロロチタン、テトラメトキシチ
タン、モノエトキシトリクロロチタン、ジエトキシジク
ロロチタン、トリエトキシモノクロロチタン、テトラエ
トキシチタン、モノイソプロポキシトリクロロチタン、
ジイソプロポキシジクロロチタン、トリイソプロポキシ
モノクロロチタン、テトライソプロポキシチタン、モノ
ブトキシトリクロロチタン、ジブトキシジクロロチタ
ン、トリブトキシモノクロロチタン、テトラブトキシチ
タン、モノペントキシトリクロロチタン、モノフェノキ
シトリクロロチタン、ジフェノキシジクロロチタン、ト
リフェノキシモノクロロチタン、テトラフェノキシチタ
ン等を挙げることができる。3価のチタン化合物として
は、一般式 Ti(OR)m4-m(ここで、Rは炭素数1〜
20のアルキル基、アリール基またはアラルキル基等の
炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示す。mは0<
m<4の範囲の数である。)で示される4価のアルコキ
シハロゲン化チタンを、水素、アルミニウム、チタンあ
るいは周期律表第 I から III 族金属の有機金属化合物
により還元して得られる3価のチタン化合物が挙げられ
る。
【0020】上記のチタン化合物のうち、4価のチタン
化合物が特に好ましい。これらの触媒の具体的なものと
しては、例えばMgO−RX−TiCl4系(特公昭51−
3514号公報)、Mg−SiCl4−ROH−TiCl4
(特公昭50−23864号公報)、MgCl2−Al(O
R)3−TiCl4系(特公昭51−152号公報、特公昭
52−15111号公報)、MgCl2−SiCl4−ROH
−TiCl4系(特開昭49−106581号公報)、Mg
(OOCR)2−Al(OR)3−TiCl4系(特公昭52−1
1710号公報)、Mg−POCl3−TiCl4系(特公昭
51−153号公報)、MgCl2−AlOCl−TiCl4
(特公昭54−15316号公報)、MgCl2−Al(O
R)n3-n−Si(OR')m4-m−TiCl4系(特開昭56
−95909号公報)等の固体触媒成分(前記式中にお
いて、RおよびR'は有機残基、Xはハロゲン原子を示
す。)に有機アルミニウム化合物を組み合わせたものが
好ましい例として挙げられる。
【0021】前記バナジウム化合物としては、四塩化バ
ナジウム、四臭化バナジウム、四ヨウ化バナジウム等の
4価のバナジウム化合物、オキシ三塩化バナジウム、オ
ルソアルキルバナデート等の5価のバナジウム化合物、
三塩化バナジウム、バナジウムトリエトキシド等の3価
のバナジウム化合物などが挙げられる。バナジウム化合
物は、単独であるいはチタン化合物と併用して用いられ
る。
【0022】他の触媒系の例としては、固体触媒成分と
していわゆるグリニャール化合物などの有機マグネシウ
ム化合物とチタン化合物および/またはバナジウム化合
物との反応生成物を用い、これに有機アルミニウム化合
物を組み合わせた触媒系を例示することができる。有機
マグネシウム化合物としては、例えば一般式RMgX、
2Mg、RMg(OR)等で示されるマグネシウム化合物
(ここで、Rは炭素数1〜20の有機残基、Xはハロゲ
ン原子を示す。)およびこれらのエーテル錯体、または
これらの有機マグネシウム化合物に、更にに他の有機金
属化合物、例えば有機ナトリウム、有機リチウム、有機
カリウム、有機ホウ素、有機カルシウム、有機亜鉛等を
加えて変性したものを用いることができる。上記触媒系
の具体的な例としては、例えば、RMgX−TiCl4
(特公昭50−39470号公報)、RMgX−フェノ
ール−TiCl4系(特公昭54−12953号公報)、
RMgX−ハロゲン化フェノール−TiCl4系(特公昭5
4−12954号公報)、RMgX−CO2−TiCl4
(特開昭57−73009号公報)等の固体触媒成分に
有機アルミニウム化合物を組み合わせたものを挙げるこ
とができる。
【0023】また他の触媒系の例としては、固体触媒成
分としてSiO2、Al23およびSiO2・Al23等の無
機酸化物と前記のチタンおよび/またはバナジウムなら
びにマグネシウムを含有する固体触媒成分とを接触させ
て得られる固体物質を用い、これに有機アルミニウム化
合物を組み合わせたものを例示することができる。無機
酸化物としては上記SiO2、Al23およびSiO2・Al
23等のほかにCaO、B23、SnO2等を挙げること
ができ、またこれらの酸化物の複酸化物も使用すること
ができる。これら各種の無機酸化物とチタンおよび/ま
たはバナジウムならびにマグネシウムを含有する固体触
媒成分とを接触させる方法としては、公知の方法を採用
することができる。すなわち、不活性炭化水素、アルコ
ール類、フェノール類、エーテル類、ケトン類、エステ
ル類、アミン類、ニトリル類またはこれらの混合物等の
有機溶媒の存在下または不存在下で、温度20〜400
℃、好ましくは50〜300℃において通常5分〜20
時間反応させる方法が用いられるが、共粉砕処理による
方法、あるいはこれらを適宜に組み合わせる方法により
反応させてもよい。上記触媒系の具体的な例としては、
例えばSiO2−ROH−MgCl2−TiCl4(特開昭56
−47407号公報)、SiO2−ROR'−MgO−AlC
l3−TiCl4(特開昭57−187305号公報)、Si
2−MgCl2−Al(OR)3−TiCl4−Si(OR')4
(特開昭58−21405号公報)、 SiO2−TiCl4
−RnAlCl3-n−MgCl2−Al(OR')nCl3-n(特開平
3−35004号公報)、SiO2−TiCl4−RnAlX
3-n−MgCl2−Al(OR')nCl3-n−Si(OR'')nCl
4-n(特開平3−64306号公報)、 SiO2−MgCl
2−Al(OR')nCl3-n−Ti(OR'')4−RnAlCl
3-n(特開平3−153707号公報)、SiO2−MgC
l2−Al(OR')nCl3-n−Ti(OR'')nCl4-n−RnAl
Cl3-n(特開平3−185004号公報)、SiO2−Ti
Cl4−RnAlCl3-n−MgCl2−Al(OR')nCl3-n
R''mSi(OR''')n4-(m+n)(特願平2−41526
5号公報)、SiO2−RnMgX2ーn−Al(OR')nCl3-n
−Ti(OR'')nCl4-n−R'''OH−RnAlX3-n(特願
平3−94983号公報)、 SiO2−MgCl2−Al(O
R')nCl3-n−Ti(OR'')nCl4-n−R'''OH−RnAl
Cl3-n−Al(OR')nCl3-n (特願平3−48643号
公報)(前記式中においてR、R'、R''およびR'''は
炭化水素残基を示す。)等に有機アルミニウム化合物を
組み合わせたものを挙げることができる。
【0024】これらの触媒系において、チタン化合物お
よび/またはバナジウム化合物を有機カルボン酸エステ
ルとの付加物として使用することもでき、また前記のマ
グネシウムを含む無機固体化合物を有機カルボン酸エス
テルと接触処理した後使用することもできる。更に、有
機アルミニウム化合物を有機カルボン酸エステルとの付
加物として使用することもできる。また、あらゆる場合
において、有機カルボン酸エステルの存在下に調製され
た触媒系を使用することができる。ここで使用する有機
カルボン酸エステルとしては、脂肪族、脂環族、芳香族
カルボン酸の各種エステルが挙げられ、好ましくは炭素
数7〜12の芳香族カルボン酸エステルが用いられる。
具体的な例としては安息香酸、アニス酸、トルイル酸の
メチル、エチル等のアルキルエステルを挙げることがで
きる。
【0025】本発明において上記固体触媒成分と共に用
いる有機アルミニウム化合物とは、分子内に少なくとも
一個のアルミニウム−炭素原子の結合を有する有機アル
ミニウム化合物をいう。例えば、(i)一般式RmAl(O
R')npq(ここで、RおよびR'は炭素原子を通常1
〜15個、好ましくは1〜4個を含む炭化水素基、例え
ばアルキル基、アリール基、アルケニル基、シクロアル
キル基等であり、アルキル基の場合にはメチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチ
ル、 tert−ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられ
る。 RおよびR'は同一であっても異なってもよい。X
はハロゲン原子を示し、m、n、pおよびqはそれぞれ
0<m≦3、0≦n<3、0≦p<3および0≦q<3
の範囲にあり、かつm+n+p+q=3を満足する数で
ある。)で表される有機アルミニウム化合物、(ii)一
般式MAlR4(ここで、MはLi、Na またはKから選
ばれる金属であり、 Rは前記と同じ炭化水素基であ
る。)で表される、 周期律表第 I 族金属とアルミニウ
ムとの錯アルキル化物などを挙げることができる。
【0026】前記(i)に属する有機アルミニウム化合
物としては、例えば 一般式 RmAl(OR')3ーm (ここで、RおよびR'は前記と同じ炭化水素基であ
る。mは好ましくは1.5≦m≦3の範囲の数であ
る。)、 一般式 RmAlX3ーm (ここで、Rは前記と同じ炭化水素基である。Xはハロ
ゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3の範囲の数
である。)、 一般式 RmAlH3ーm (ここで、Rは前記と同じ炭化水素基である。mは好ま
しくは2≦m<3の範囲の数である。)および 一般式 RmAl(OR')nq (ここで、RおよびR'は前記と同じ炭化水素基であ
る。 Xはハロゲン原子を示し、m、nおよびqは好ま
しくはそれぞれm0<m≦3、0≦n<3、0≦q<3
の範囲にあり、かつm+n+q=3を満足する数であ
る。)で表されるものなどを例示することができる。
(i)に属する有機アルミニウム化合物として、具体的に
は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、トリ−sec−ブチルアルミニウム、 トリ−
tert−ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウ
ム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミ
ニウム;トリアルケニルアルミニウム;ジエチルアルミ
ニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等
のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミ
ニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブ
トキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド
のほかに、 R2.5Al(OR)0.5などで表される平均組成
を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニ
ウム;ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミ
ニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジ
アルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセ
スキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エ
チルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニ
ウムセスキハライドのような部分的にハロゲン化された
アルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリ
ド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアル
ミニウムヒドリドおよびエチルアルミニウムジヒドリ
ド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアル
ミニウムジヒドリドなど、部分的に水素化されたアルキ
ルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリ
ド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアル
ミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化お
よびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを例示
することができる。前記(ii)に属する有機アルミニウ
ム化合物としては、LiAl(C25)4、LiAl(C715)
4等が挙げられる。また、(i)に類似する有機アルミニ
ウム化合物として、 酸素原子や窒素原子を介して2個
以上のアルミニウム原子が結合した有機アルミニウム化
合物を用いることもできる。これらの化合物として、例
えば(C25)2AlOAl(C25)2、(C49)2AlOAl
(C49)2、(C25)2AlN(C25)Al(C25)2等を
例示することができる。これらの中でも、トリアルキル
アルミニウムが好ましい。
【0027】定常運転中における有機アルミニウム化合
物の使用量は特に制限されないが、通常、 チタン化合
物1モルに対して0.05〜1000モルを使用するこ
とができる。
【0028】重合反応は、通常のチーグラー型触媒によ
るオレフィンの重合反応と同様にして行われる。すなわ
ち、反応は実質的に気相で行われる。α−オレフィンの
重合条件として、温度は10〜200℃、好ましくは4
0〜150℃であり、圧力は常圧〜70kgf/cm2・G、好
ましくは2〜60kgf/cm2・Gである。分子量の調節は、
重合温度、触媒のモル比等の重合条件を変えることによ
ってもある程度行うことができるが、重合系中に水素を
添加することにより効果的に行われる。定常運転中は、
α−オレフィン、固体触媒成分、有機アルミニウム化合
物が定常的に反応系に導入され、一方、生成したポリマ
ー粒子が抜き出される。
【0029】α−オレフィンの気相流動床による重合反
応においては、流動床反応器にあらかじめ種ポリマーと
呼ばれる樹脂の粉末を充填して流動を開始し、そこへ原
料混合ガス、固体触媒成分および助触媒としての有機ア
ルミニウム化合物を連続的に供給して重合反応を行う。
上記の種ポリマーを使用しないと、供給した触媒が分散
し難いため粒状の樹脂が生成せず、従って流動床も形成
されないので、流動床系の重合反応器においては、運転
開始時に必ず種ポリマーが使用される。なお、本発明に
おいて反応開始前にあらかじめ反応器に充填する種ポリ
マーは、流動床あるいは撹拌床を形成し得る粒子であれ
ば特に限定されない。しかしながら、通常はポリオレフ
ィン粒子、特に定常運転において目標とする製品と同じ
性状を有するポリオレフィン粒子が好ましい。本発明で
使用する種ポリマーとしては、平均粒径が500〜15
00μmの範囲にあり、 かつ蒿密度が 0.25〜0.5
g/cm3 のものが好ましい。平均粒径が500μm未満の
微粒子は少ない方がよい。種ポリマーの充填量は、流動
床または撹拌床を形成し得る量であればよく、特に限定
されない。
【0030】種ポリマーを充填した後に、同伴した酸素
などを取り除くために窒素パージを行い、昇温および昇
圧を行って重合条件の温度、ガス組成まで到達させる。
その後、定常運転として別途規定される量および速度
で、オレフィンガスの供給、固体触媒成分および有機ア
ルミニウム化合物を供給を行えば重合が開始する。種ポ
リマーの投入後においては、固定触媒成分、有機アルミ
ニウム化合物およびオレフィンの供給順序は適宜に行う
ことができる。例えば、固定触媒成分、有機アルミニウ
ム化合物および適宜に不活性ガスで希釈されたオレフィ
ンガスを同時に供給する方法、初めに有機アルミニウム
化合物の供給を開始し、その後固定触媒成分などの供給
を開始する方法あるいは初めに固定触媒成分の供給を開
始して、その後有機アルミニウム化合物などの供給を開
始する方法などいずれの方法も採用することができる。
【0031】ポリオレフィン製造用の気相流動床型の反
応器にステンレス製の電極を挿入し、ポリマー粒子から
電極へ移動する電荷による電流を測定すると、電流の測
定値は頻繁に正負に変動する。シート状ポリマーの発生
が見られるような場合はもちろん、安定な連続運転がな
されている場合においても、中性(零)を挟んで正負に
振動または変動する。電流の測定値を時間に対してプロ
ットすると、測定値は0を挟んで正負に分布する。これ
はポリマー粒子群中に正と負に帯電しているポリマー粒
子が混在していることを示唆するものである。電流値を
測定した結果、振動する電流の測定値の振幅と反応器内
壁でのポリマー粒子の付着量との間に相関があることが
判明した。すなわち、振動する電流の測定値の振幅が大
きい場合には付着量が多く、反対に振幅が小さい場合に
は付着量が少ないことが見出された。なお、反応器内壁
へのポリマー粒子の付着量は、後述するように流動層上
下の差圧を測定して求めることができる。振動する電流
の振幅が大きいことは、正負に帯電した粒子が混在して
いる対象粒子群中における粒子の帯電量が大きいことを
意味するものであるから、前記のように、このような場
合には、反応器内壁へのポリマー粒子の厚い付着が生じ
易いと考えられる。実際に差圧を求めて反応器内壁への
付着量を測定すると、電流の振幅値が大きいときには粒
子の付着量が大きく、従って前記の説明は正しいと考え
られる。
【0032】シート状ポリマーの生成を防止する従来の
方法は、前記特公表昭63−500176号公報を初め
としていずれの場合も、基本的な考え方として、単にポ
リマー粒子の内壁への付着を減少させようとするもので
ある。このような考え方によれば、単に電流の振幅を小
さくすれば十分であることになる。なぜなら、付着には
前記のように正負の両方に帯電した粒子の存在が必要で
あって、帯電量の大小は振動する電流の振幅で求めるこ
とができるからである。しかるに、驚くべきことに、た
とえ重合中であっても反応器内壁へのポリマー粒子の付
着が必ずしもシート状ポリマーの生成原因となるわけで
はないことが見出された。すなわち、電流の測定値の振
幅が大きい場合には、流動層上下の差圧の減少から、粒
子の反応器内壁への付着量が大きいことが確認される。
しかしながら、振動する電流の平均値が零または正の値
を示している場合には、反応器内壁近傍の温度計の指示
値は反応器内部の流動化しているポリマー粒子層中の温
度より低い値を示し、これは後述するようにシート状ポ
リマーが生成していないことを示唆するものである。実
際にこのような場合には、重合中に系外に抜き出したポ
リマーや運転を停止した際に反応器内に残存するポリマ
ー粒子にシート状ポリマーは見出されない。また反応器
内にもシート状ポリマーは存在しない。上記の場合と反
対に、電流の平均値が負の値を示して振動している場合
には、反応器内壁近傍の温度計の指示値は反応器内部の
流動化しているポリマー粒子層中の温度より高い値を示
し、シート状ポリマーの生成を示唆する。実際にこのよ
うな場合には、重合中に系外に抜き出したポリマーや運
転を停止した際に反応器内に残存するポリマー粒子にシ
ート状ポリマーを見出すことができる。以上のように、
振動する電流の測定値の平均値は測定箇所近傍の触媒濃
度と相関があることが新たに見出されたのである。ただ
し厳密にいえば、振動する電流の平均値は、触媒濃度に
直接関連があるのではなく、触媒(重合活性を有するポ
リオレフィン粒子を含む。)の反応器内壁への付着しや
すさを示すものと考えられる。いずれにしろ、この知見
は、シート状ポリマーの生成の原因としては、単なる粒
子の付着よりも、触媒の局在化の方が重要であるという
本発明者らの認識を裏付けるものである。
【0033】従って、触媒などを供給して重合を開始す
る前に、反応器内のシート状ポリマーが生成し得る位置
に設置した電極に、帯電ポリマー粒子(重合開始前にお
いては、あらかじめ投入した種ポリマー)から移動する
電荷による電流の平均値が零または正の値にある状態で
触媒を供給して重合を開始する、あるいは上記電流の平
均値が零または正の値にある状態で重合を行えば、シー
ト状ポリマーの生成が少なく、安定した重合反応が開始
し、あるいは安定した重合が継続することとなる。電流
の平均値を零または正の値とするためには、任意に適宜
の手段を採用することができる。例えば、反応器内の前
処理や重合開始条件の調整を行うことにより達成でき
る。あるいは、触媒などの供給を一時停止して反応を中
断し、適宜の方法により振動する電流の平均値が零また
は正の値であることを確認した後、触媒などの供給を再
開する方法を採用することもできる。
【0034】重合開始前における反応器内のシート状ポ
リマーが生成し得る位置に設置した電極にポリマー粒子
から移動する電荷による電流の平均値を零または正の値
に調整するため、任意の方法を採用することができる。
例えば、種ポリマーの導入方法、その乾燥条件、反応器
へ供給するオレフィンガスの濃度、コノモマー濃度など
を変更したり、運転温度、運転圧力、ガス流速等の条件
を変更することによっても、反応器内のシート状ポリマ
ーが生成し得る位置に設置した電極にポリマー粒子から
移動する電荷による電流の平均値を調整することができ
る。
【0035】前記の通り、真の静電気の発生機構は、α
−オレフィンの気相重合においてのみならず、一般の場
合においてもまだ完全には解明されてはいない。しかし
ながら、本発明においては、反応器内のシート状ポリマ
ーの生成し得る位置に設置した電極へポリマー粒子から
移動する電荷による電流の平均値を零または正の値に保
持した状態で重合開始操作または重合操作自体を行うこ
とが肝要であり、かかる状態において操作を行うことに
よりシート状ポリマーの生成を防止することができる。
振動する電流の平均値は、正である限りその上限値は特
に限定されないが、通常は+500nA以下である。ま
た、振動または変動する電流の振幅は、最大で2000
nAに達することもあるが、シート状ポリマーの生成が
見られない安定な状態では比較的狭く、50nA以下の
状態を示すこともある。通常、安定な状態においても電
流値の一定の振動は認められる。
【0036】ポリマー粒子から移動する電荷による電流
を測定するための電極の設置位置は、気相重合において
シート状ポリマーの生成し得る位置とするが、通常は流
動床で使用するガス分散板の上側の同分散板に近い位置
である。この位置はあらかじめ経験に基づいて決定され
る。電極は、直径23mm、高さ10mmの金属製円盤
状電極である。材質は、通常ステンレス鋼製とする。こ
の電極を、先端が反応器内壁より30mm内側に位置す
るように設置する。また、電流を測定する装置として
は、従来公知の任意の電流計を利用することができる。
ただし、電流の測定値は前記のようにある分布を示すた
め、本発明においては電流の平均値を用いることとす
る。電流の測定値は平均値を中心にほぼ対称に分布する
ので、平均値は、例えば電流の測定値の中央値とするこ
ともできる。具体的には2.5回/秒の割合で10分間
にわたって電流値を求め、その間に得られた1500の
電流値を単純に平均して電流の平均値を求める。なお、
電極に接触した帯電ポリオレフィン粒子は、接触した部
位における電荷の少なくとも一部は速やかに電極に移動
する。そして、このような電荷による電流を測定するこ
とにより本発明の目的を十分に達成することができる。
【0037】本発明で用いる帯電ポリマー粒子から電極
へ移動する電荷による電流を測定する方法は、正と負の
電荷が混在する複雑な帯電状態にあるポリマー粒子群に
対する測定法として、従来の電位測定法より著しく優れ
ている。次に、この理由について説明する。まず一つの
特徴は、電極の電位が常に一定であるという点である。
本発明で用いる測定方法では、従来の電位測定法と異な
り、測定系に電荷を蓄積することがないので、電極の電
位は常に一定である。本発明においては、通常、電極と
アースとの間に流れる電流を測定するので、電極の電位
は常にアースと等しい、すなわち零である。従って、厳
密には、電流が流れる経路の抵抗と電流値の積の分だけ
電位差が生ずる。しかし、電流を測定することから分か
るように、電流の流れる経路の抵抗は十分に小さく、本
発明におけるポリマー粒子の帯電量も極めて小さいの
で、電流値もまた同様に小さい。つまり電流が流れるこ
とによる電位差は非常に小さいのでこれを無視すること
ができ、その結果電極の電位は実質的に常にアースと等
しいと見なすことができる。このように電極の電位が常
にアースと等しいので、ある帯電状態にあるポリマー粒
子が電極に接触した場合に電極に移動する電荷量は、電
荷量に対応して常に一定である。すなわち、ポリマー粒
子の帯電状態が測定値である電流値に直接反映する。ま
た、電極の電位が常にアースと等しいので、ポリマー粒
子の電極への接触頻度が、測定系自体が帯電することに
よるクーロン力の影響を受けることがないのである。他
の一つの特徴は、粉体の帯電量の分布についての情報が
得られることである。電位を測定する前記の接触型およ
び非接触型の測定法では、ポリマー粒子の粒子ごとの帯
電量の分布についてはその情報を得ることは不可能であ
る。これは測定に関与する粒子数が多数であることに起
因する。これに反し、本発明で用いる方法では測定に関
与する粒子が少ないために、各粒子の帯電量の分布につ
いての情報を得ることができる。
【0038】この粒子ごとの帯電量の分布について更に
説明を加える。先に説明した通り、粒子(より正確には
粒子表面)の帯電状態が一様でない場合があるが、粒子
の帯電量を個々の粒子について測定することが可能であ
れば、ポリマー粒子の帯電量の分布を得ることができ
る。しかし、これは実際には非常に困難である。そこ
で、ある帯電量の分布を持った粒子群を例に取って説明
する。簡単な例として、帯電量が0、1および2である
粒子各1個ずつからなる計3個の粒子群を想定する。こ
こで、個々の粒子の帯電量が測定できる場合には、粒子
の測定値として0、1および2の各値が等しい確率で現
れ、粒子群の正しい帯電量の分布が得られる。同時に粒
子2個が測定に関与する測定法の場合には、(0,
1)、(0,2)および(1,2)の3つの組合せが考え
られるので、帯電量測定値としてはその平均値である
0.5、1および1.5が等しい確率で得られる。また測
定に関与する粒子が3個である場合には(0,1,2)の
場合しかないので、帯電量測定値としては常に1が得ら
れる。測定に関与する粒子が1個の場合には正しい帯電
量の分布が得られ、測定に関与する粒子が2個の場合に
は完全ではないが粒子の帯電量の分布についての情報が
得られ、測定に関与する粒子が3個の場合には粒子の帯
電量の分布についての情報が何も得られないことが分か
る。上記の例は極端な場合であるが、実際においても測
定に関与する粒子の数が増大するに従い、粒子の帯電量
の分布が測定値に与える影響がより小さくなり、測定値
から得られる帯電量の分布についての情報が少なくな
る。
【0039】従来の接触型の測定法で電位を測定する方
法では、電極から流入する電荷量と測定計から漏れ出る
電荷量が平衡に達したときの電極の電位が測定値とな
る。このため一つの測定値を得るために必要な時間は、
本発明の方法と比較して非常に長い。測定時間が長いだ
け、一つの測定値に多数の粒子が関与することになる。
すなわち、従来の接触型または非接触型の測定法で電位
を測定する場合には、一つの測定値に関与する粒子の数
が非常に多いために、先の例に挙げた測定に関与する粒
子が3個の場合が示すように、必然的にポリマー粒子の
帯電量の分布についての情報は得られない。本発明のポ
リマー粒子から電極に移動する電荷による電流を測定す
る方法においては、測定系に電荷を蓄積することがな
く、電極に移動した電荷は速やかにアースに流れる。電
流は移動した電荷量の時間微分であるため、ある測定値
を得るのに必要な時間はごく短い。この短時間に電極に
接触したごく小数の粒子のみが測定値に関与することに
なる。すなわち、本発明で用いるポリマー粒子から電極
に移動する電荷による電流を測定する方法は、一つの測
定値に関与する粒子の数が従来の接触型および非接触型
の測定法で電位を測定する方法と比較して非常に少ない
という特徴を有しているため、さきに挙げた測定に関与
する粒子が2個の場合のように、完全ではないものの、
ポリマー粒子の帯電量の分布についての一定の情報を与
えることができる。このように、本発明の方法では測定
に関与する粒子の数が従来の電位を測定する接触型およ
び非接触型の測定法と比較して非常に少ないために、従
来の測定法では得られなかった帯電状態に関する情報が
得られるのである。
【0040】なお、流動床型の反応器を持つ重合装置で
は、反応器内で流動化状態にあるポリマー粒子層の上下
の圧力差すなわち差圧を検出することにより反応器内の
ポリマー粒子の重量を測定することができる。これは流
動化状態にあるポリマー粒子の重量は流動化しているガ
ス流が支持しているため、ポリマー粒子の重量に相当す
る圧力だけポリマー粒子層の下の圧力がポリマー粒子層
の上の圧力より高くなるからである。反応器内のポリマ
ー粒子層の層高を実質的に一定になるように制御する
と、ポリマー粒子層上下の差圧はポリマー粒子群の流動
化嵩密度に応じた値を示す。しかるに、反応器内壁にポ
リマー粒子の付着が発生すると、付着したポリマー粒子
の重量はクーロン力を介して反応器内壁が支持すること
になる。このため、流動化しているポリマー粒子層上下
の差圧が通常より小さい値を示すようになる。反応器内
のポリマー粒子層の層高が一定の場合、この差圧の減少
分が付着したポリマー粒子の重量に相当する。従って、
流動床上下の差圧を測定することによりポリマー粒子の
付着量を求めることが可能である。なお、反応器の内径
が大きくなると反応部容積はその3乗に比例して大きく
なる。また、反応部の反応器壁の面積は反応器内径の2
乗に比例する。反応器内壁への付着厚さは反応器内径の
影響をほとんど受けないので、反応器内径に反比例して
付着しているポリマー粒子量の全ポリマー量に対する割
合が小さくなる。このため、反応器内で流動化している
ポリマー粒子層上下における差圧変化から反応器内壁へ
の付着量を求める方法は、反応器のスケールが小さい場
合には測定可能であるが、反応器が大きくなると実質的
に測定不可能である。
【0041】また、反応器内壁近傍に設置した温度計に
より温度を測定することにより、その場所における反応
量の大小、すなわち触媒濃度の大小を推定することがで
きる。すなわち、反応器内壁近傍において触媒濃度が高
い場合、すなわち反応量が多い場合には、反応器内壁近
傍に設置した温度計は流動化しているポリマー粒子層中
の温度より高い温度を示すことが容易に理解される。実
際、反応器内壁近傍に設置した温度計の指示値がポリマ
ー粒子層中の温度より高い温度を示した場合には、シー
ト状ポリマーの生成が観察される。
【0042】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例により
さらに具体的に説明する。 <固体触媒成分の調製例>撹拌機および還流冷却器を付
けた500mlの三つ口フラスコに600℃で焼成した
SiO2 50gを入れて、脱水ヘキサン160ml、四
塩化チタン2.2mlを加え、ヘキサンの還流下で3時
間反応させた。冷却後、ジエチルアルミニウムクロライ
ドのヘキサン溶液(1mmol/cc)を30ml加え、再び
ヘキサンの還流下で2時間反応させた後、120℃で減
圧乾燥を行いヘキサンを除去した。得られた反応生成物
を成分(I)とする。別に、直径1/2インチのステン
レススチール製ボール25個を入れた内容積400ml
のステンレススチール製ポットに、市販の無水塩化マグ
ネシウム10gおよびアルミニウムトリエトキシド4.
2gを入れ、窒素雰囲気下の室温において、16時間ボ
ールミリングを行い反応生成物を得た。これを成分(I
I)とする。上記成分(II)の5.4gを脱水エタノール
160mlに溶解し、その溶液全量を成分(I)を収容
する三つ口フラスコに加え、エタノールの還流下で3時
間反応させた後、150℃で6時間減圧乾燥を行い、固
体触媒成分を得た。得られた固体触媒成分1g中のチタ
ンの含有量は15mgであった。
【0043】<α−オレフィン重合装置例>以下の実施
例および比較例で使用した気相流動床形式の反応装置お
よびその重合条件は以下の通りである。図4に示すよう
に、反応部内径Dが25cmの円筒形縦型の気相流動床
型エチレン重合反応装置4を使用した。この流動床7内
でシート状ポリマーが生成すると考えられるガス分散板
8から上方へ30cm(h)の位置にステンレススチー
ル製の円盤状電極9を設置し、市販の電流計を接続し
て、ポリエチレン粒子から電極に移動する電荷による電
流を測定した。図5に上記の電流測定装置を示す。図5
において、4は金属製の反応器、7はポリエチレン粒子
の流動床である。10はプローブであり、鍔部12を有
する金属管(ステンレス鋼製)13の先端に絶縁体14
を介して円盤型金属電極(ステンレス鋼製)9が固定さ
れている。プローブ10は容器4の側壁に設けられた取
り付け部15の開口から流動床内に挿入され、取り付け
部15の鍔部16をプローブ10の鍔部12と当接させ
ることにより、金属電極9の位置決めとプローブ取り付
け用開口の密閉が行われる。金属電極9にはリード用の
金属棒17が接続され、この金属棒17は、金属管13
の中空部を通って容器4の外部に引き出され、リード線
18を介して電流計11の正極に接続される。電流計1
1の負極はプローブ10の金属管13に接続され、容器
4を介してアース3に接続されている。電流計は株式会
社アドバンテスト製の振動容量型デジタルエレクトロメ
ーター TR8411を使用した。
【0044】反応器内には最初に種ポリマーとして15
kgのポリエチレン粒子(平均粒径780μmの直鎖低
密度ポリエチレン)を充填した。窒素ガスを循環して流
動床を形成し、続いて原料ガスを供給した。エチレン、
ブテン−1および水素からなる原料ガスを、生産する直
鎖低密度ポリエチレンの密度0.919g/cm3、MFR
(メルトフローレート)0.8dg/minとなるように供給
した。装置の運転は、温度85℃、圧力20kgf/cm2Gの
条件で行った。ただし、以下の実施例および比較例の実
験は、いずれも独立に行ったものである。すなわち、各
実験はいずれも数日から数週間の間隔で行っており、具
体的には、各実験の後、所定の手順に従い反応器内の原
料ガスを窒素パージし、反応器を大気に開放した。ま
た、所定の手順に従って重合を開始した。触媒の調製方
法はいずれも同一であるが、実験に必要な量をそれぞれ
各実験の前に別個に調製して使用した。
【0045】<比較例1>前記α−オレフィン重合装置
例に示した重合装置および条件で直鎖状低密度ポリエチ
レンの重合を行った。原料ガスの供給を行った時点で
は、反応器に設置した電極に種ポリマーとしてのポリエ
チレン粒子から移動する電荷による電流の測定値は−2
20〜+200nA、平均値−10nAであった。な
お、電流計に代えて静電電圧計を接続し、接触型の測定
法で電極の電位を測定した結果、−0.5〜0kVの測
定値を得た。また、反応器内の直鎖状低密度ポリエチレ
ン粒子層の上下の差圧から計算される反応器内の直鎖状
低密度ポリエチレン粒子の重量は、反応器内に最初に投
入した種ポリマーの重量より約3kg小さい値であっ
た。従って、差圧から推算される付着量は、約3kgで
ある。続いて、前記固体触媒成分の調製例で得たTiと
Mgを含有する固体触媒成分およびトリエチルアルミニ
ウムの供給を開始して、直鎖状低密度ポリエチレンの重
合反応を行った。しかし、間もなく反応器内壁近傍に設
置した温度計の指示値が、流動化した直鎖状低密度ポリ
エチレン粒子層中の温度を超えるようになった。同時に
生成した直鎖状低密度ポリエチレン粒子の抜き出し口や
その下流の配管が閉塞して、重合反応の停止を余儀なく
された。運転停止後、装置内の点検を行った結果、抜き
出し系統の閉塞の原因はシート状ポリマーであった。反
応器内にもシート状ポリマーが観察され、また、反応器
から排出された直鎖状低密度ポリエチレンパウダー中に
も小さなシート状ポリマーが見られた。
【0046】<比較例2>前記α−オレフィン重合装置
例に示した重合装置および条件で直鎖状低密度ポリエチ
レンの重合を継続していたところ、反応器内に設置した
電極へ直鎖状低密度ポリエチレン粒子から移動する電荷
による電流の測定値が、−40〜+50nA、平均値+
5nAから徐々に変化し、最終的に−250〜+150
nA、平均値−50nAになった。この間、反応器内の
直鎖状低密度ポリエチレン粒子層の上下の差圧は、直鎖
状低密度ポリエチレン粒子層の高さを実質的に一定に保
っているにもかかわらず徐々に減少した。反応器から抜
き出される直鎖状低密度ポリエチレンパウダーの嵩密度
は変化しなかったので、この直鎖状低密度ポリエチレン
粒子層の上下の差圧の減少は、反応器内壁に直鎖状低密
度ポリエチレン粒子が付着しているためと推定される。
直鎖状低密度ポリエチレン粒子層の上下の差圧の減少量
から推算して、反応器内壁への直鎖状低密度ポリエチレ
ン粒子の付着量は約4kgである。直鎖状低密度ポリエ
チレン粒子から電極へ移動する電荷による電流の測定値
に変化が始まってから、反応器内壁近傍に設置した温度
計の指示値が流動化した直鎖状低密度ポリエチレン粒子
層中の温度を超えるようになり、シート状ポリマーの生
成が予想される状態を示すようになった。この後、反応
器から生成した直鎖状低密度ポリエチレン粒子を抜き出
すことが困難になり、重合反応を停止した。運転停止
後、反応器の内部を点検した結果、シート状ポリマーが
観察され、また、反応器から排出した直鎖状低密度ポリ
エチレンパウダー中にも小さなシート状ポリマーが見ら
れた。
【0047】<比較例3>前記α−オレフィン重合装置
例に示した重合装置および条件で直鎖状低密度ポリエチ
レンの重合を継続していたところ、反応器内に設置した
電極へ直鎖状低密度ポリエチレン粒子から移動する電荷
による電流の測定値が、−40〜+50nA、平均値+
5nAから徐々に変化し、最終的に−100〜+20n
A、平均値−40nAになった。反応器内の直鎖状低密
度ポリエチレン粒子層の上下の差圧の減少量から推算し
て、付着ポリマー量は1kg以下と少量であった。直鎖
状低密度ポリエチレン粒子から電極へ移動する電荷によ
る電流の測定値に変化が始まってから、反応器内壁近傍
に設置した温度計の指示値が流動化した直鎖状低密度ポ
リエチレン粒子層中の温度を超えるようになり、シート
状ポリマーの生成が予想される状態を示すようになっ
た。この後、反応器から生成した直鎖状低密度ポリエチ
レン粒子を抜き出すことが困難になり、重合反応の停止
を余儀なくされた。運転停止後、装置内を点検した結
果、シート状ポリマーが観察され、また、反応器から排
出した直鎖状低密度ポリエチレンパウダー中にも小さな
シート状ポリマーが見られた。
【0048】<実施例1>前記α−オレフィン重合装置
例に示した重合装置および条件で直鎖状低密度ポリエチ
レンの重合を安定に継続していた。反応器内に設置した
電極へ直鎖状低密度ポリエチレン粒子から移動する電荷
による電流の測定値が−40〜+50nA、平均値+5
nAを示した。反応器内の直鎖状低密度ポリエチレン粒
子層の上下の差圧の減少量から推算して、ポリマー粒子
の付着量は1kg以下と少量であった。反応器から抜き
出される直鎖状低密度ポリエチレンパウダーの嵩密度は
変化しなかったので、反応器内壁への直鎖状低密度ポリ
エチレン粒子の付着はほとんどないことが分かる。運転
を停止した後、装置内の点検を行ったが、シート状ポリ
マーは見られなかった。また、反応器から抜き出された
直鎖状低密度ポリエチレンパウダー中にもシート状ポリ
マーは見られなかった。なお、電流計に代えて静電電圧
計を接続し、接触型の測定法で電極の電位を測定した結
果、0〜+0.5kVの測定値を得た。この値は、比較
例1において測定された静電電圧の値とほぼ近い値であ
る。しかしながら、比較例1では振動する電流の振幅は
大きく、それに対応して差圧から推算されるポリマー粒
子の付着量が大である。一方、本実施例では、振動する
電流の振幅は比較的小さく、それに対応してポリマー粒
子の付着量も少ないものであった。また、振動する電流
の平均値も比較例1ではマイナスを示し、従って、シー
ト状ポリマーの生成が観察され、一方、本実施例では振
動する電流の平均値はプラスを示しているので、シート
状ポリマーの生成が抑制されていることがわかる。
【0049】<実施例2>前記α−オレフィン重合装置
例に示した重合装置および条件で直鎖状低密度ポリエチ
レンの重合を継続していたところ、反応器内に設置した
電極へ直鎖状低密度ポリエチレン粒子から移動する電荷
による電流の測定値が、−40〜+50nA、平均値+
5nAから徐々に変化し、最終的に−180〜+260
nA、平均値+40nAになった。この間、反応器内の
直鎖状低密度ポリエチレン粒子層の上下の差圧は、直鎖
状低密度ポリエチレン粒子層の高さを実質的に一定に保
っているにもかかわらず徐々に減少した。反応器から抜
き出される直鎖状低密度ポリエチレンパウダーの嵩密度
は変化しなかったので、この直鎖状低密度ポリエチレン
粒子層の上下の差圧の減少は、反応器内壁に直鎖状低密
度ポリエチレン粒子が付着しているためと推定される。
直鎖状低密度ポリエチレン粒子層の上下の差圧の減少量
からの推算によれば、反応器内壁への直鎖状低密度ポリ
エチレン粒子の付着量は約2kgである。この状態で重
合を継続した後、触媒および原料の供給を停止し、運転
を停止して反応器内部の点検を行った。その結果、シー
ト状ポリマーは見られなかった。また、反応器から抜き
出された直鎖状低密度ポリエチレンパウダー中にもシー
ト状ポリマーは見られなかった。
【0050】<実施例3>前記α−オレフィン重合装置
例に示した重合装置および条件で直鎖状低密度ポリエチ
レンの重合を継続していたところ、反応器内に設置した
電極へ直鎖状低密度ポリエチレン粒子から移動する電荷
による電流の測定値が、−40〜+50nA、平均値+
5nAから徐々に変化し、最終的に−180〜+150
nA、平均値−15nAになった。この間、反応器内の
直鎖状低密度ポリエチレン粒子層の上下の差圧は、直鎖
状低密度ポリエチレン粒子層の高さを実質的に一定に保
っているにもかかわらず徐々に減少した。反応器から抜
き出される直鎖状低密度ポリエチレンパウダーの嵩密度
は変化しなかったので、この直鎖状低密度ポリエチレン
粒子層の上下の差圧の減少は、反応器内壁に直鎖状低密
度ポリエチレン粒子が付着しているためと推定される。
直鎖状低密度ポリエチレン粒子層の上下の差圧の減少量
からの推算によれば、反応器内壁への直鎖状低密度ポリ
エチレン粒子の付着量は約3kgである。直鎖状低密度
ポリエチレン粒子から電極へ移動する電荷による電流の
測定値に変化が始まってから、反応器内壁近傍に設置し
た温度計の指示値が流動化した直鎖状低密度ポリエチレ
ン粒子層中の温度を超えるようになり、シート状ポリマ
ーの生成が予想される状態を示すようになった。この
後、反応器から抜き出した直鎖状低密度ポリエチレンパ
ウダー中にシート状ポリマーが見られるようになったた
め、触媒の供給を一時停止した。ここで、重合ガス中の
コモノマー濃度をエチレン1モルに対して0.38モル
から0.43モルへ増加したところ、直鎖状低密度ポリ
エチレン粒子から電極へ移動する電荷による電流の測定
値が変化し、最終的に−120〜+150nA、平均値
+15nAに達した。その後、触媒の供給を再開したと
ころ、シート状ポリマーの生成はなく、定常運転を行う
ことができた。運転中における流動床の上下の差圧の減
少量から、ポリマー粒子の内壁への付着量は約2kgと
推算される。運転停止後、反応器の内部を点検した結
果、シート状ポリマーは観察されなかった。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、流動床反応器によるα
−オレフィンの気相重合において、ポリオレフィン粒子
から電極へ移動する電荷による電流の平均値を零または
正の値に調整することにより、シート状ポリマーの生成
を防止し、重合反応を安定に継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来法の非接触型電位測定法を示す説明図であ
る。
【図2】従来法の接触型電位測定法を示す説明図であ
る。
【図3】図2の電位測定装置と電気的に等価な回路図で
ある。
【図4】本発明で使用する気相流動床型反応器の縦断面
図である。
【図5】本発明の電流測定装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 帯電粒子 2 電界強度計 3 アース 4 反応器 5 電位測定用電極 6 電位計 7 流動床 8 ガス分散板 9 電流測定用電極 10 プローブ 11 電流計 12 プローブ鍔部 13 金属管 14 絶縁体 15 プローブ取付け部 16 プローブ取付け部鍔部 17 金属棒 18 リード線 A 電流 C コンデンサーの静電容量 D 距離 d 反応器の内径 E 電界の強度 h ガス分散板から電極までの高さ Iin 流入電流 Iout 漏れ電流 q 電荷量 R 絶縁抵抗 V 電位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともチタンおよび/またはバナジ
    ウムならびにマグネシウムを含有する固体触媒成分と有
    機アルミニウム化合物とからなる触媒を反応器へ供給
    し、α−オレフィンを気相状態で重合または共重合させ
    る方法において、反応器内のシート状ポリマーが生成し
    得る位置に設置した電極に反応器内の帯電ポリマー粒子
    が接触し、該粒子から該電極に移動する電荷による電流
    を求め、2 . 5回/秒の割合で10分間測定した150
    0の電流値の平均値が零または正の値である状態下で重
    合することを特徴とするα−オレフィンの気相重合方
    法。
  2. 【請求項2】 前記有機アルミニウム化合物がアルキル
    アルミニウムである請求項1に記載のα−オレフィンの
    気相重合方法。
  3. 【請求項3】 4価のチタン化合物およびハロゲン化マ
    グネシウムを含有する固体触媒成分とアルキルアルミニ
    ウムとからなる触媒を用いる請求項1記載のα−オレフ
    ィンの気相重合方法。
  4. 【請求項4】 前記α−オレフィンが、炭素数2〜8の
    範囲にあることを特徴とする請求項1記載のα−オレフ
    ィンの気相重合方法。
  5. 【請求項5】 重合ガス中のコモノマー濃度を増加させ
    ることにより、前記電流の平均値を零または正の値であ
    る状態下とし、重合することを特徴とする請求項1から
    4のいずれかに記載のα−オレフィンの気相重合方法。
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