JP3523908B2 - 投げ込みタイプの浸漬ヒーターチューブ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】この発明は、アルミ、亜鉛、鉛、
錫、銅等の非鉄金属やガラス等の溶融炉や保持炉（以下
単に炉という）および坩堝または、溶湯用なべ等容器に
使用する投げ込みタイプの浸漬ヒーターチューブに関す
るものである。 【０００２】 【従来の技術】従来から、浸漬炉、反射炉、電熱炉、ガ
ス炉等炉においては、熱源が固定され、また、浸漬炉に
おいては、熱効率の良さから、浸漬ヒーターチューブを
用い、溶湯内部から加熱する浸漬加熱方式が採用されて
いる。その場合にも浸漬ヒーターチューブは炉に固定さ
れている。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】従来、各種の炉におい
ては、熱源が炉に固定して使用されている。炉において
は、溶湯温度が上がりにくかったり、所定の温度を維持
することができない等の不具合が往々にして生ずる。特
に炉が老朽化して断熱機能が落ちたり、あるいは冬期に
温度が下がってくると、炉に装備された熱源では能力が
不足して来る場合がある。この場合あとわずかな熱量が
あれば温度は維持できるが、固定の熱源にそれ以上の能
力がないために、炉の吸出口あるいは炉内に簡易型のガ
スバーナーを持込み、溶湯表面から直接熱を供給してい
る。しかし、溶湯表面に直接火炎をあてることは、溶湯
に酸化物が増え、水素ガスが吸収され、温度分布が不均
一になり、その溶湯による鋳造品の品質にも大きく影響
する。 【０００４】従来の炉では、熱源を改造するには、大が
かりな工事を必要とし、温度コントロールのための制御
装置も改造が必要となり、相等コストが高くなる。 【０００５】この発明は、炉に固定することなく、簡単
に移動できて、炉のみでなく他の容器においても、必要
な時に、必要な場所で、必要な時間に浸漬・取り出しが
でき、保温容器を使用すれば急激な温度変化がないの
で、繰り返して使用でき、したがって既設の炉の追加熱
源として使用でき、溶湯の温度コントロールも既存の制
御装置が使用できる簡単な投げ込みタイプの浸漬ヒータ
ーチューブを提供することを目的とする。 【０００６】 【課題を解決するための手段】耐熱性チューブに設置兼
運搬用手段を設ける。その具体的な一つの構成として、
開口縁または上部外周にフランジを設け、発熱手段を内
蔵する耐熱性のチューブと、前記チューブを挿入しうる
孔を有し、その孔にチューブを挿入した際にチューブの
フランジの下面に当接する面を有し、かつ、炉または容
器に設けられた支持板の孔にチューブを挿入した際に、
その孔の周縁部上面に当接する面を有し、把手を設けて
なる設置兼運搬用手段とで構成し、前記チューブを前記
設置兼運搬用手段の孔に上方から挿入し、設置兼運搬用
手段で浸漬ヒーターチューブを支持する。 【０００７】 【作用】設置兼運搬用手段は、浸漬ヒーターチューブの
持ち運びおよび炉または容器への設置を可能とする。浸
漬ヒーターチューブの設置兼運搬用手段の孔は、チュー
ブを挿入させ、上記手段の、チューブフランジの下面に
当接する面は、チューブのフランジの下面に当接するこ
とにより、把手で上記手段を持ち上げたときに、その面
がフランジを持ち上げ、従って浸漬ヒーターチューブを
持ち上げ移動を可能とする。また、上記の状態で浸漬ヒ
ーターチューブを移動して、炉や容器に設けた支持板の
孔にチューブを挿入すると、その孔の周縁部の上面に上
記手段の面が当接し、浸漬ヒーターチューブがその孔の
周縁部で支持され、チューブはその内部に収納する加熱
手段で溶湯を内部から加熱する。把手は、浸漬ヒーター
チューブを持ち上げて炉等に設けられた支持板から取り
外し運搬可能とする。 【０００８】 【実施例】この発明の実施例を図面により説明する。チ
ューブ１は開口縁または上部外周にフランジ２を有す
る。チューブ１は、耐熱性材料により形成する。チュー
ブ１は特開平２−１８０７５５（特願平１−８１２６
５）により開示さた含炭素セラミックス複合体を用いる
のが好ましい。この含炭素セラミックス複合体は、骨材
１００重量部、リン状黒鉛５〜４５重量部および前記リ
ン状黒鉛重量の１０〜４０％の炭化硼素を含有すること
を特徴とするもので、溶融金属に対する化学的耐蝕性、
急激な熱応力に起因する機械的なスポーリングに対する
耐久性、熱伝導性、熱伝導性向上に伴う発生熱応力の低
減性等にすぐれている。 【０００９】上面に端子３を設け、下面に端子３に接続
する発熱体４を挿入したチューブ１の内径よりも大きい
径の支持板５を、チューブ１のフランジ２に載置し、支
持板５とフランジ２とを固定する。固定は公知の方法で
よく、着脱自在に固定するのが好ましい。 【００１０】端子３には端子線６を接続し、端子線６に
電線コード７に接続し、電源に接続する。電源には工業
用電源または家庭用電源を使用することができる。 【００１１】設置兼運搬用手段８（以下単に手段８とい
う）は、次のとおり構成する。チューブ１の直径よりも
大きく、チューブ１のフランジ２の先端縁直径よりも小
さい円筒９の上縁に、チューブ１のフランジ２よりも先
端縁の直径が大きいセット用フランジ１０を設け、フラ
ンジ１０の中間円周にフランジ２および支持板５を重ね
た厚みよりもやや広い高さの円筒１１を立設し、円筒１
１の上縁に水平の段部１２を設け、段部１２の内縁に円
筒１１の直径よりも径の小さい円筒１３を立設し、セッ
ト用フランジ１０の上面と段部１２の下面とでチューブ
１のフランジ２と支持体５の縁部とを挟み、フランジ２
と支持板５とを固定する。円筒１３の上方は蓋をし、電
線コード７を端子３に接続可能とする。円筒１１と１３
とはフランジ２、支持板５、端子３、端子線６をカバー
する。 【００１２】セット用フランジ１０には２本の脚１４を
有する把手１５を一対相対向して立設する。 【００１３】上記実施例の浸漬ヒーターチューブを使用
する場合には、把手１５で浸漬ヒーターチューブを持ち
上げ、炉や容器の開口上に設けられた、金属、耐熱煉瓦
等耐火材で８００℃以上の温度に耐えられる耐火材より
なる支持板１６の、円筒９の直径よりも大きく、セット
用フランジ１０の径よりも小さい直径の孔１７にチュー
ブ１および円筒９を挿入し、セット用フランジ１０を支
持板１６の孔１７の縁部に載置することにより、浸漬ヒ
ーターチューブを支持板１６により支え、チューブ１の
大部分または先端部を炉または容器内の溶湯Ｍ内に浸漬
させ、電線コードを電源に接続する。発熱体４に通電さ
れてチューブ１の周囲の溶湯Ｍを内部から加熱する。 【００１４】溶湯の温度コントロールは、炉等に既設の
制御装置を使用できるが、必要な場合には、電線コード
７と電源との間に変圧器を介在させて温度コントロール
をしてもよい。 【００１５】浸漬ヒーターチューブによる加熱が必要で
なくなったら、電線コード７を電源から外し、把手１５
を持って浸漬ヒーターチューブを持ち上げ、円筒９およ
びチューブ１を支持板１６の孔１７より引き抜いて浸漬
ヒーターチューブを所望の場所へ移し保管する。その保
管のためには、保温容器を用いて急激な温度低下を防止
するのが好ましい。その保温容器として後述の保温兼用
移動装置を用いるのが好ましい。 【００１６】図３は都市ガス、ＬＰＧ等ガス燃料用の浸
漬ヒーターチューブの断面を示す。チューブ１８は、内
管１９を内蔵し、内管１９はバーナー２０を内蔵する。
内管１９は上端においてチューブ１８の上部で、かつ、
後述のフランジ２３の上方に設けられた空気吸入口２１
に連なり、下端はチューブ１８内の下方で開口し、バー
ナー２０は、その上端においてチューブ１８の上部外
方、かつ、後述のフランジ２３の上方に設けられたガス
燃料用のパイプのためのジョイント２２に連なり、バー
ナートップ２０ａは内管１９内に位置する。チューブ１
８の上部外面にフランジ２３を設ける。チューブ１８の
上部外面でフランジ２３の上に排気孔２４を設ける。 【００１７】設置兼運搬用手段２５（以下単に手段２５
という）は、チューブ１８の径よりもやや大きく、フラ
ンジ２３の先端径よりも小さい直径の円筒２６の上端縁
にセット用フランジ２７を設け、そのフランジ２７に２
本の脚２８を有する把手２９の一対を、それぞれの脚２
８の下部をセット用フランジ２７に溶接またはナットに
よる螺着等により固定して設ける。 【００１８】この浸漬ヒーターチューブを使用する場合
には、手段２５の円筒２６内にチューブ１８を挿入し、
手段２５の把手２９で手段２５を持ち上げると、手段２
５の円筒２６のセット用フランジ２７の上面がチューブ
１８のフランジ２３の下面に当接し、浸漬ヒーターチュ
ーブ全体が持ち上がる。そこで，炉や容器の開口上に設
けられた支持板１６の孔１７にチューブ１８および円筒
２６を挿入して降ろすと、セット用フランジ２７の下面
が支持板１６の孔１７の縁部に当接して支持され、チュ
ーブ１８の大部分または先端部が炉や容器の中の溶湯Ｍ
内に浸漬される。 【００１９】ジョイント２２にガスパイプを結合し、点
火装置４１により点火すると、ガスはバーナートップ２
０ａの開口において、空気吸入口２１より吸入された新
鮮な空気と混合して燃焼し、チューブ１８内の温度が高
まり、チューブ１８の外周の溶湯Ｍを加熱する。排気ガ
スは排気孔２４より排出される。 【００２０】溶湯の加熱を取り止めるときは、バーナー
２０の燃焼を止め、ジョイント２２からガスパイプを外
し、把手２９で手段２５を介して浸漬ヒーターチューブ
を持ち上げ、支持板１６の孔１７から円筒２６およびチ
ューブ１８を抜き、浸漬ヒーターチューブを所望の場所
へ運び保管する。その保管のためには、保温容器を用い
て急激な温度低下を防止するのが好ましい。保温容器と
しては後述の保温兼用移動装置を用いるのが好ましい。 【００２１】浸漬ヒーターチューブのチューブ１８は、
耐久性のある耐火材であればそれらすべて使用できる。
例えば、窒化珪素結合炭化珪素質、酸窒珪結合炭化珪素
質、チタン酸アルミネイト質、窒化珪素質、炭化珪素
質、サイアロン質等従来使用されているもの、前記の特
開平２−１８０７５５により開示された含炭素セラミッ
クス複合体の黒鉛炭化珪素質、および、黒鉛アルミナ質
等を用いることができる。 【００２２】図４は、炉等に設けた支持板１６に設置し
た、この発明に係る浸漬ヒーターチューブの他の実施例
を示す。設置兼運搬用手段３８（以下単に手段３８とい
う）は、浸漬ヒーターチューブのチューブ１を挿入でき
る孔４０を有する支持板３９に二本の脚１４を有する把
手１５を一対立設する。支持板３９には、支持板５とチ
ューブ１のフランジ２とを固定するクランプ４２等係止
具を設ける。 【００２３】この手段３８の支持板３９の孔４０にチュ
ーブ１を挿入し、支持板３９の孔４０の周縁部上面をチ
ューブ１のフランジ２の下面に当接させ、支持板５とチ
ューブ１のフランジ２とを着脱自在に固定し、把手１５
で浸漬ヒーターチューブを持ち上げて移動し、炉等に設
けた支持板１６の孔１７にチューブ１を挿入して手段３
８の支持板３９を支持板１６の孔１７の周縁部に載置す
ると、支持板１６は浸漬ヒーターチューブを支持する。 【００２４】図４により、電熱式浸漬ヒーターチューブ
について説明したが、手段３８は、支持板３９の孔４０
を、ガス燃料用の浸漬ヒーターチューブのチューブ１８
を挿入できる直径とし、支持板３９でチューブ１８のフ
ランジ２３を支持するようにすれば、ガス燃料用の浸漬
ヒーターチューブの設置兼運搬用手段として用いること
ができる。 【００２５】支持板３９の平面形状は円または多角形の
いずれでもよい。 【００２６】図５は、投げ込みタイプの浸漬ヒーターチ
ューブを積載した保温兼用の移動装置３０を一部を断面
して示す。基台３１は、平面三角形であって、その三隅
付近の、下方に車３２を設け、上方に支柱３３を立設す
る。 【００２７】三本の支柱３３の上端部に、浸漬ヒーター
チューブの手段８の円筒９を挿入しうる孔３５を設けた
耐熱性の支持板３４を固定し支持する。支持板３４の裏
面には、孔３５と同心円で貫通しており、３本の支柱３
３の上端間に挿入しうる直径の、耐熱性の筒体３６を固
着する。 【００２８】筒体３６の外周には、浸漬ヒーターチュュ
ーブの保温のための断熱性の可撓性の袋３７の開口縁部
を取り付ける。袋３７の代わりに、断熱材の固形の容器
を用い、容器の開口縁を筒体３６または直接支持板３４
の下面に係止具を用いて係止してもよい。なお、この容
器には保温用の発熱体を設ければ、浸漬ヒーターチュー
ブの再使用を迅速に行うことができて好ましい。また、
この容器は断熱材で直接形成するか、または、内面を断
熱材で覆った金属等耐熱材製の容器を用いてもよい。 【００２９】支持板３４には浸漬ヒーターチューブの電
線コードのためのハンガー４３を設けるのが好ましい。
また、支持板３４にはクランプを設けて浸漬ヒーターチ
ューブを固定するのが好ましい。 【００３０】この移動装置を用いる場合には、手段８の
把手１５で浸漬ヒーターチューブを持ち上げ、チューブ
１および円筒９を支持板３４の孔３５に上方から挿入
し、フランジ２の下面を支持板３４の孔３５の周縁部上
面に当接させると、浸漬ヒーターチューブは移動装置３
０で支持される。この際チューブ１は袋３７の中に収納
され保温されている。 【００３１】上記の状態で炉または容器の近辺に移動装
置を移動させ、把手１５で浸漬ヒーターチューブを持ち
上げ、チューブ１および円筒９を孔３５より抜いて、炉
または容器に設けられた支持板で支持し、チューブ１を
溶湯Ｍ内に浸漬させて使用する。使用が終われば、上記
の手順を逆にして再び浸漬ヒーターチューブを移動装置
に移す。この際袋３７はチューブ１の急激な温度の低下
を防ぎ、再使用の際の立ち上がりをよくする。 【００３２】上記移動装置は、電熱式の浸漬ヒーターチ
ューブ用について説明したが、支持板３４の孔３５をガ
ス燃料用の浸漬ヒーターチューブのチューブ１８および
手段２５の円筒２６が挿入しうる直径とすればガス燃料
用の浸漬ヒーターチューブ用の移動装置として使用でき
る。 【００３３】基台３１および支持板３４の平面形状は、
円形、四角形、三角形またはその他の多角形のいずれで
もよい。支柱３３は三本に限らず、それ以上の数のもの
を設けてもよい。支持板３４の下面の筒体３６を省略し
て、袋３７の開口縁部を係止手段で直接支持板３４の孔
３５の周縁部下面に取付てもよい。支柱３３または支持
板３４に、移動装置を押すための把手を設けてもよい。 【００３４】 【効果】この発明に係る投げ込みタイプの浸漬ヒーター
チューブは、容易に移動できて、炉や容器において、溶
湯の品質を低下させることなく、追加熱源として使用で
き、炉や容器の溶湯の温度コントロールを容易にする。
容器の残存溶湯内に浸漬させておくと、残存溶湯を直ぐ
使用することを可能にする。また、炉や容器において、
支持板により支持した浸漬ヒーターチューブのチューブ
の周囲に被溶解材料を積み重ねてチューブを加熱するこ
とによって、被溶解材料を溶解させることにも使用でき
る。この発明に係る浸漬ヒーターチューブを使用するこ
とにより、炉を改造することなくヒートアップすること
ができる。 【００３５】この発明に係る浸漬ヒーターチューブは、
保温容器を用いて保管すれば、チューブの温度の急激な
低下を防ぎ、浸漬ヒーターチューブの熱スポール性を緩
和し、再使用における温度立ち上がりを速くする。

【図面の簡単な説明】 【図１】この発明に係る電熱式の浸漬ヒーターチューブ
を設置した状態の断面図である。 【図２】この発明に係る電熱式の浸漬ヒーターチューブ
の斜視図である。 【図３】この発明に係るガス燃料式の浸漬ヒーターチュ
ーブの断面図である。 【図４】この発明に係る電熱式の浸漬ヒーターチューブ
を設置した状態の要部断面図である。 【図５】この発明に係る浸漬ヒーターチューブの移動装
置の一部を断面した斜視図である。 【符号の説明】 Ｍ 溶湯 １ チューブ ２ フランジ ３ 端子 ４ 発熱体 ５ 支持板 ６ 端子線 ７ 電線コード ８ 設置兼運搬用手段 ９ 円筒 １０ セット用フランジ １１ 円筒 １２ 段部 １３ 円筒 １４ 脚 １５ 把手 １６ 支持板 １７ 孔 １８ チューブ １９ 内管 ２０ バーナー ２０ａ バーナートップ ２１ 空気吸入口 ２２ ジョイント ２３ フランジ ２４ 排気孔 ２５ 設置兼運搬用手段 ２６ 円筒 ２７ セット用フランジ ２８ 脚 ２９ 把手 ３０ 移動装置 ３１ 基台 ３２ 車 ３３ 支柱 ３４ 支持板 ３５ 孔 ３６ 筒体 ３７ 袋 ３８ 設置兼運搬用手段 ３９ 支持板 ４０ 孔 ４１ 点火装置 ４２ クランプ ４３ ハンガー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 忠男 兵庫県宝塚市末成町６−10 (72)発明者 西平 賀炯 大阪府大東市川中新町24−501 ニシヒ ラ アキラ (72)発明者 森重 勇次 大阪府東大阪市稲田新町３−13−17 (56)参考文献 実開 昭64−9394（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F27D 11/02 F27B 3/20 H05B 3/78

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】【請求項１】 開口縁または上部外周にフランジを設
   け、発熱手段を内蔵する耐熱性のチューブと、 前記チューブを挿入しうる孔を有し、その孔にチューブ
   を挿入した際にチューブのフランジの下面に当接する面
   を有し、かつ、炉または容器に設けられた支持板の孔に
   チューブを挿入した際に、その孔の周縁部上面に当接す
   る面を有し、把手を設けてなる設置兼運搬用手段とより
   なり、 前記チューブを前記設置兼運搬用手段の孔の上方から挿
   入してなる投げ込みタイプの浸漬ヒーターチューブ。