JP3520031B2 - ポリアミド酸含有微粒子分散組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリアミド酸含有微粒子分散組成物およびその製造方法

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JP3520031B2 JP2000174290A JP2000174290A JP3520031B2 JP 3520031 B2 JP3520031 B2 JP 3520031B2 JP 2000174290 A JP2000174290 A JP 2000174290A JP 2000174290 A JP2000174290 A JP 2000174290A JP 3520031 B2 JP3520031 B2 JP 3520031B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミド酸が存
在する場合においても微粒子の分散性の極めて良好なポ
リアミド酸含有微粒子分散組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は、耐熱性、機械特性、
耐薬品性、耐放射線性などに優れた樹脂であることか
ら、フィルム、シート等の各種成形材料、電線用エナメ
ル等の塗料、電子材料、フレキシブルプリント基板、耐
熱性基板、半導体封止材料、接着剤、有機質無機質複合
材などの用途に広範に用いられている。このポリイミド
樹脂に絶縁性微粒子を添加することで物性向上等の目的
を達成することが試みられている。耐熱性を向上させ熱
膨張率を低減させることは特開昭63−172741に
開示され、滑り性や走行耐久性を向上させることが特開
平3−170548や特開平6−145378に開示さ
れ、印刷性、耐熱性、耐湿密着性を付与することが特開
平1−121364に開示されている。
【0003】また、ポリイミド樹脂中にカーボンブラッ
クを分散させたものは、遮光性や導電性が得られるた
め、遮光性を利用して液晶表示装置のカラーフィルター
のブラックマトリクスとして、導電性を利用して導電性
塗料、面状発熱体、電磁波吸収シートとして用いられて
いる。ポリイミド樹脂の製造方法としては、まず溶媒可
溶性のポリアミド酸を合成し、これを300℃以上に加
熱してポリイミド化する方法が一般的である。したがっ
て、ポリイミド樹脂中に絶縁性微粒子を分散させるに
は、ポリアミド酸の溶液中に絶縁性微粒子を分散させる
ことが必要となる。この分散方法としては、ポリアミド
酸溶液に絶縁性微粒子を添加し、サンドミル、ボールミ
ルなどの分散機により分散させる方法や、半液体の状態
のポリアミド酸ワニスに絶縁性微粒子を添加し、三本ロ
ールにより混練分散する、直接分散方法が考えられる。
しかし、絶縁性微粒子とポリアミド酸の親和性が非常に
悪いため、両者を混合すると絶縁性微粒子の凝集が生
じ、均一な分散を行うことが困難であった。ポリアミド
酸溶液が極めて粘稠であることも、均一分散を困難とさ
せる。そこで、絶縁性微粒子分散液中でポリアミド酸を
合成する方法、すなわち、予め絶縁性微粒子を分散させ
た有機極性溶媒中でジアミン化合物と酸無水化合物を反
応させてポリアミド酸溶液を調製する方法が提案されて
いる(特開平6−145378)。しかし、この方法で
も、絶縁性微粒子同士の凝集力が強いため、絶縁性微粒
子の凝集が起きる。
【0004】このように凝集した絶縁性微粒子は、10
μm以上の粒径を有し、一種の異物となるため、例えば
フィルム状に成形したとき、フィルムの表面が粗くな
り、光沢がなくなる、フィルムの外観を損ね、引張り強
度等の機械的特性や電気絶縁性等の電気的特性に悪影響
を及ぼす。同様に、ポリアミド酸の溶液中にカーボンブ
ラックを分散させる主な方法としては、(1) ポリアミド
酸溶液にカーボンブラックを添加し、サンドミル、ボー
ルミルなどの分散機により分散させる方法、(2) 半液体
の状態のポリアミド酸ワニスにカーボンブラックを添加
し、三本ロールにより混練分散する方法、(3) カーボン
ブラック分散液中でポリアミド酸を合成する方法、が知
られている。しかしながら、これらのいずれの方法によ
った場合も、カーボンブラックとポリアミド酸の相性が
非常に悪いために、両者を混合するとカーボンブラック
の凝集が生じ、均一な分散を行うことは不可能であっ
た。その結果として、得られるポリイミドのフィルムや
被膜中でもカーボンブラックが凝集した状態となるた
め、フィルムの表面が粗くなる、光沢がなくなる、電気
抵抗値の制御が困難になる、等の問題が発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、絶縁性微粒子やカーボンブラックなどの微粒子とポ
リイミドの相性を改善し、ポリアミド酸溶液中に前記微
粒子が均一に分散したポリアミド酸含有微粒子分散組成
物およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明にかかるポリアミド酸含有微粒子分散組成物
は、有機ポリマーを分散剤として用いて、絶縁性微粒
子、半導電性微粒子および導電性微粒子からなる群より
選ばれる少なくとも1種の微粒子を極性溶媒溶液に分散
させてなり、さらにポリアミド酸を含むものであり、前
記有機ポリマーは、アミノ基を有する構造単位、(メ
タ)アクリルアミド類構造単位、アルキル(メタ)アク
リルアミド類構造単位およびN−ビニルアミド類構造単
位から選ばれる少なくとも一種の構造単位を有するもの
であることを特徴とする。上記本発明にかかるポリアミ
ド酸含有微粒子分散組成物を製造するための方法は、
1)有機ポリマーを極性溶媒に溶解させた後、これに絶
縁性微粒子、半導電性微粒子および導電性微粒子からな
る群より選ばれる少なくとも1種の微粒子を添加、分散
させて微粒子分散液を製造し、前記微粒子分散液と、ポ
リアミド酸溶液を混合するか、2)前記微粒子分散液中
でテトラカルボン酸二無水物とジアミンおよび/または
ジイソシアネートを原料として重合させることにより、
ポリアミド酸を製造するかする。
【0007】
【0008】
【発明の実施の形態】本発明にかかるポリアミド酸含有
微粒子分散組成物を製造するには、まず、以下に述べる
原材料を用いて、後に詳しく述べる、微粒子分散組成物
を中間体として作製しておき、この中間体を原料として
用いて、後述する手順で、ポリアミド酸を含有させるよ
うにすることが好ましい。しかし、本発明にかかるポリ
アミド酸含有微粒子分散組成物の作り方はこの原料中間
体を用いる方法に限られることはなく、要するに、分散
剤として以下の有機ポリマーを用いて微粒子を均一分散
させるようであれば良いのである。
【0009】〔本発明に用いる原材料〕−分散剤たる有
機ポリマー− 本発明では、微粒子とポリアミド酸との親和性を改善す
るために、分散剤として有機ポリマーを用いている。有
機ポリマーは、微粒子をポリアミド酸溶液中に分散させ
るための分散剤として非常に優れた効果を発揮する。有
機ポリマーに微粒子と反応可能な官能基を持たせた場
合、微粒子と該有機ポリマーとを反応させることで、微
粒子は有機ポリマーで変性されたポリマーグラフト微粒
子となり、このポリマーグラフト微粒子がポリアミド酸
溶液中での分散性に非常に優れるため、有機ポリマーを
微粒子から独立した分散剤の形で含む場合よりもポリイ
ミド樹脂の機械的特性や電気絶縁性の低下を抑制するこ
とができる。
【0010】本発明で用いられる有機ポリマー(以下、
特に断らない限り、「有機ポリマー」には「微粒子と反
応可能な官能基を有する有機ポリマー」を含める。)と
しては、アミノ基を有する構造単位、(メタ)アクリル
アミド類構造単位、アルキル(メタ)アクリルアミド類
構造単位およびN−ビニルアミド類構造単位から選ばれ
る少なくとも一種の構造単位を有するものが使用され
中でもアミド基を有するポリマーが好ましい。アミノ基
を有するポリマーとしては、アミノアルキル(メタ)ア
クリレート類、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド
類、アミノアルキルビニルエーテル類、ビニルピリジン
類、ビニルイミダゾール類、ビニルピペリジン類などの
構造単位を有するポリマーが好ましい。特に第3級アミ
ノ基を有するアミノアルキル(メタ)アクリレート類の
構造単位が好ましい。
【0011】アミド基を有するポリマーとは、(メタ)
アクリルアミド類構造単位、アルキル(メタ)アクリル
アミド類構造単位およびN−ビニルアミド類構造単位か
ら選ばれる少なくとも一種の構造単位を有するものであ
り、特にN−ビニルアミド類の構造単位が好ましい。N
−ビニルアミド類構造単位は、下記式(i)
【0012】
【化1】
【0013】(R1、R2、R3はそれぞれ独立に水素原
子またはアルキル基を表し、XおよびYはそれぞれ独立
に水素原子または有機残基を表す。但し、XとYが結合
して窒素原子を含めたヘテロ環構造を形成していてもよ
い。)で表される。R1、R2、R3の例であるアルキル
基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert
−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
上記アルキル基は、必要に応じ、ハロゲン基、水酸基、
エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を
有していてもよい。
【0014】XとYの例である有機残基の例としては、
メチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられる。上
記有機残基は、必要に応じ、ハロゲン基、水酸基、エス
テル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有し
ていてもよい。このようなN−ビニルアミド類構造単位
としては、単量体としてのN−ビニルホルムアミド、N
−ビニルアセトアミド、N−ビニルフタルアミド、N−
ビニルコハク酸アミド、N−ビニル尿素等に由来する構
造単位が挙げられる。XとYが結合して窒素原子を含め
たヘテロ環構造を形成している場合のN−ビニルアミド
類構造単位としては、単量体としてのN−ビニルピロリ
ドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタ
ム、N−ビニルオキサゾリドン等に由来する構造単位が
挙げられる。
【0015】これらのN−ビニルアミド類構造単位の中
でも、単量体としてのN−ビニルホルムアミド、N−ビ
ニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル
カプロラクタム、N−ビニルオキサゾリドンに由来する
構造単位が、原料の入手の容易さ、良好な共重合反応性
を有する点で好ましい。さらに微粒子との相性そしてポ
リアミド酸との相性を考慮すると、N−ビニルピロリド
ン構造単位が特に好ましい。有機ポリマーは、これらの
アミノ基および/またはアミド基を有する構造単位を2
種以上含むものであってもよい。
【0016】有機ポリマーの全構造単位のうち、アミノ
基および/またはアミド基を有する構造単位は50モル
%以上であることが好ましく、70モル%以上であるこ
とがより好ましい。有機ポリマーで微粒子を変性してポ
リマーグラフト微粒子とする場合、有機ポリマーは微粒
子と反応可能な官能基を有する構造単位を含む。微粒子
と反応可能な官能基としては、微粒子表面に存在する官
能基と反応するものであれば特に限定されるものではな
く、各種の官能基を利用できる。特に微粒子が水酸基を
表面官能基として有する場合(絶縁性微粒子など)は、
アルコキシシリル基、エポキシ基、チオエポキシ基、カ
ルボキシル基、水酸基、オキサゾリン基、アジリジン基
等が熱反応により高収率で付加する点で好ましく、なか
でもアルコキシシリル基、エポキシ基、チオエポキシ基
がより好ましく、アルコキシシリル基が特に好ましい。
【0017】アルコキシシリル基を有する構造単位とし
ては、下記式(ii)
【0018】
【化2】
【0019】(ここで、R1〜R3は水素原子またはメチ
ル基を示し;R4は、置換基を有していてもよい炭素数
1〜20の2価の有機基を示し;R5は、水素原子と、
炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基
とからなる群から選ばれた少なくとも1つの1価基を示
す)と、次の下記式(iii)
【0020】
【化3】
【0021】(ここで、R6〜R8は、水素原子またはメ
チル基を示し;R9は、炭素数1〜5のアルキル基と、
炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれた少な
くとも1つの1価基を示す)と、次の下記式(iv)
【0022】
【化4】
【0023】(ここで、R10〜R12は、水素原子または
メチル基を示し;R13は、置換基を有していてもよい炭
素数1〜20の2価の有機基を示し;R14は、水素原子
と、炭素数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシ
ル基とからなる群から選ばれた少なくとも1つの1価基
を示す)で表される構造単位が挙げられる。エポキシ基
を有する構造単位としては、下式で表される構造を有す
る単位
【0024】
【化5】
【0025】(但し、これらの式中のR1は水素または
メチル基を示し、nは0または1〜20の整数であ
る。)等、エポキシ基含有重合性単量体類に由来する種
々の構造単位が挙げられる。チオエポキシ基を有する構
造単位としては、下式で表される構造を有する単位
【0026】
【化6】
【0027】(但し、これらの式中のR1およびnはエ
ポキシ基含有重合性単量体の場合と同様である。)等、
チオエポキシ基含有重合性単量体類に由来する種々の構
造単位が挙げられる。また、微粒子がカルボキシル基を
表面官能基として有する場合(カーボンブラックなど)
は、カーボネート基、エポキシ基、チオエポキシ基、ア
ジリジン基、オキサゾリン基、N−ヒドロキシアルキル
アミド基等が、熱反応により高収率で付加する点で好ま
しい。有機ポリマーとしてN−ビニルアミド類構造単位
を有するポリマーを用いる場合、上記官能基の中でもN
−ビニルアミド類との共重合性が高い点でカーボネート
基が好ましく、特にシクロカーボネート基が好ましい。
【0028】シクロカーボネート基を有する構造単位と
しては、下記式(v)
【0029】
【化7】
【0030】(Ra、Rb、Rcはそれぞれ独立に水素原
子またはアルキル基を表す。)で表される構造単位が挙
げられる。Ra、Rb、Rcの例であるアルキル基として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル
基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。上記アル
キル基は、必要に応じ、ハロゲン基、水酸基、エステル
基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有してい
てもよい。シクロカーボネート基を有する構造単位とし
ては、単量体としてのビニルエチレンカーボネート、2
−メチル−ビニルエチレンカーボネート、3−メチル−
ビニルエチレンカーボネートに由来する構造単位が挙げ
られる。これらの中でも、ビニルエチレンカーボネート
に由来する構造単位が、原料の入手の容易さ、良好な共
重合反応性を有する点で好ましい。
【0031】エポキシ基を有する構造単位及びチオエポ
キシ基を有する構造単位としては、前述の構造単位が挙
げられる。アジリジン基を有する構造単位としては、
【0032】
【化8】
【0033】
【化9】
【0034】等の式で表されるアジリジン基含有重合性
単量体類に由来する構造単位が挙げられる。オキサゾリ
ン基を有する構造単位としては、2−ビニル−2−オキ
サゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリ
ン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−
ビニル−4−エチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−
5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−
2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−
2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−
2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−エチル−
2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−
2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4,5−ジメ
チル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有重合性
単量体類に由来する構造単位が挙げられる。
【0035】N−ヒドロキシアルキルアミド基を有する
構造単位としては、N−ヒドロキシメチルアクリルアミ
ド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロ
キシブチルアクリルアミド、N−ヒドロキシイソブチル
アクリルアミド、N−ヒドロキシ−2−エチルヘキシル
アクリルアミド、N−ヒドロキシシクロヘキシルアクリ
ルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N
−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシ
ブチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシイソブチルメ
タクリルアミド、N−ヒドロキシ−2−エチルヘキシル
メタクリルアミド、N−ヒドロキシシクロヘキシルメタ
クリルアミド等のN−ヒドロキシアルキルアミド基含有
重合性単量体類に由来する構造単位が挙げられる。
【0036】有機ポリマーは、これらの微粒子と反応可
能な官能基を有する構造単位を2種以上含むものであっ
てもよい。有機ポリマーが微粒子と反応可能な官能基を
有する構造単位を有する場合、有機ポリマーの全構造単
位のうち、微粒子と反応可能な官能基を有する構造単位
は0.1モル%以上であることが好ましく、1モル%以
上であることがより好ましい。本発明で用いられる有機
ポリマーは、上記以外のその他の構造単位を含んでいて
も良く、例えば、単量体としてのアクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カ
ルボン酸およびそのエステルもしくは塩;アクリル酸ア
ミド、メタクリル酸アミド等の不飽和カルボン酸アミド
類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボ
ン酸無水物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;メチル
ビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニ
ルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル
類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;塩化ビニ
ル等のハロゲン化オレフィン類;アクリル酸グリシジ
ル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテ
ル等の不飽和エポキシ類等に由来する構造単位が挙げら
れる。
【0037】有機ポリマーの全構造単位のうち、これら
のその他の構造単位は30モル%以下であることが好ま
しく、10モル%以下であることがより好ましい。本発
明で用いられる有機ポリマーの重量平均分子量として
は、5,000〜2,000,000の範囲が好まし
く、10,000〜1,500,000の範囲がより好
ましい。重量平均分子量が前記範囲を下回るとポリアミ
ド酸溶液中での微粒子の分散安定性が十分得られにく
い。重量平均分子量が前記範囲を上回ると微粒子分散液
の粘度が高くなり取り扱いが不便になる。本発明で用い
られる有機ポリマーの製造方法としては特に限定され
ず、上記した構造単位となりうる単量体成分を用いて、
公知の方法にしたがって重合させればよい。
【0038】重合方法としては、バルク重合、溶液重
合、懸濁重合、乳化重合のいずれも好適に採用できる。
重合反応の溶媒としては、特に限定されず、たとえば、
下記の(1)〜(15)の溶媒群の中から選ばれた単独
溶媒または混合溶媒を用いることができる。 (1)ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類 (2)シクロヘキサン等の脂環式飽和炭化水素類 (3)シクロヘキセン等の脂環式不飽和炭化水素類 (4)ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素類 (5)アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類 (6)酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチ
ロラクトン等のエステル類 (7)ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等の
ハロゲン化炭化水素類 (8)ジエチルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン等
のエーテル類 (9)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート等のアルキレングリコールのエーテル類 (10)メチルアルコール、エチルアルコール、ブチル
アルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコ
ール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のア
ルコール類 (11)ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン
等のアミド類 (12)ジメチルスルホキシド等のスルホン酸エステル
類 (13)ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート
等の炭酸エステル類 (14)エチレンカーボネート、プロピレンカーボネー
ト等の脂環式炭酸エステル類 (15)水 これらの溶媒の中でも、生成重合体の精製、回収の容易
さの点から、溶媒群(4)〜(6)、(8)〜(15)
から選ばれたものが好ましく、(5)、(6)、(9)
〜(15)の極性溶媒から選ばれたものがより好まし
く、(5)、(6)、(9)、(10)、(11)、
(14)、(15)から選ばれたものがさらに好まし
く、(10)、(15)から選ばれたものが特に好まし
い。但し、アルコキシシリル基含有重合性単量体を用い
る場合は、重合時のアルコキシシリル基の加水分解縮合
を防ぐために水を含まない溶剤が使用される。
【0039】−極性溶媒− 本発明に用いられる極性溶媒としては、ポリアミド酸の
溶媒として用いられる、N−メチル−2−ピロリドン、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プ
ロトン性極性溶媒が好ましい。 −微粒子− 本発明で用いられる微粒子は、絶縁性微粒子、半導電性
微粒子および導電性微粒子からなる群より選ばれる少な
くとも1種の微粒子である。前記絶縁性微粒子として
は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化マ
グネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸
カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウムなどが挙
げられるが、好ましくは、シリカ、アルミナ、ジルコニ
ア、チタニアであり、特に好ましくはシリカである。シ
リカは球状溶融シリカ、破砕シリカなどいずれも使用で
きる。
【0040】前記半導電性微粒子としては、鉄窒化物、
酸化クロム、酸化亜鉛、チタンブラック、チタンイエロ
ー、コバルトブルーなどの複合酸化物微粒子が挙げられ
る。前記導電性微粒子としては、カーボンブラック、黒
鉛などの炭素系微粒子;金、銀、銅、白金、アルミニウ
ム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、亜鉛、タングステン、ゲルマニウム、
パラジウムなどの金属微粒子;酸化鉄、酸化ルテニウ
ム、酸化モリブデンなどの金属酸化物微粒子;フタロシ
アニンブルー、フタロシアニングリーンなどの顔料が挙
げられる。本発明は、有機顔料、無機顔料、カーボンブ
ラック、金属粒子などの表面をシリカ、アルミナ、ジル
コニア、チタニア等で表面処理した各種微粒子の分散に
も有効である。
【0041】〔微粒子分散組成物〕 本発明で原料中間体として好ましく使用される微粒子分
散組成物は、上述の有機ポリマーを用いて上述の微粒子
が上述の極性溶媒中に均一分散してなる微粒子分散液
(上述の微粒子に上述の有機ポリマーをグラフトさせて
なる上述のポリマーグラフト微粒子が上述の極性溶媒中
に均一分散してなる微粒子グラフトポリマー分散液を含
む。)である。ポリアミド酸溶液に有機ポリマーを溶解
させ、これに微粒子を分散させようとしても、微粒子の
凝集が起こる。微粒子はポリアミド酸と直接接触すると
凝集を起こすが、予め有機ポリマーを用いて微粒子分散
液にしておくと、この凝集を抑えることができるのであ
る。
【0042】この微粒子分散液を製造するには、有機ポ
リマーを単独の形で分散剤として用いる場合も、有機ポ
リマーで微粒子を変性してポリマーグラフト微粒子とす
る場合も、いずれの場合も、有機ポリマーを極性溶媒に
溶解させた後、これに微粒子を添加、分散させて、微粒
子分散液を製造することが好ましい。このとき、微粒子
の分散を加熱状態で行うことが好ましい。微粒子の分散
の温度は室温以上、溶媒の沸点以下であることが好まし
く、より好ましくは40〜200℃である。有機ポリマ
ーが微粒子と反応可能な官能基を有する場合、この加熱
により微粒子と該官能基との反応が進行し、ポリマーグ
ラフト微粒子となる。これにより、微粒子の再凝集を防
止でき、粘度の経時変化が少なくなるため、得られる微
粒子分散液の保存安定性が向上する。また、有機ポリマ
ーが微粒子と反応可能な官能基を有しない場合も、その
機構は定かではないが、微粒子の再凝集を防止できる。
特に微粒子としてカーボンブラックを用いた場合、有機
ポリマーがカーボンブラックと反応可能な官能基を有し
ない場合も、その機構は定かではないが、カーボンブラ
ックの再凝集を防止でき、粘度の経時変化が少なくなる
ため、得られるカーボンブラック分散液の保存安定性が
向上するという、同様の効果が得られることを本発明者
らは見出した。
【0043】有機ポリマーを単独の形で分散剤として用
いる場合の微粒子分散液の好ましい組成としては、分散
液中、微粒子の含有量が1〜50重量%、有機ポリマー
の含有量が0.1〜30重量%であり、より好ましくは
微粒子の含有量が5〜30重量%、有機ポリマーの含有
量が1〜20重量%である。有機ポリマーにより微粒子
を変性してポリマーグラフト微粒子とする場合、有機ポ
リマーの使用量は微粒子に対して1〜200重量%であ
ることが好ましく、5〜100重量%であることがより
好ましい。分散液中の微粒子の含有量は1〜50重量%
であることが好ましく、より好ましくは5〜30重量%
である。
【0044】〔ポリアミド酸含有微粒子分散組成物の製
造方法〕 −製造方法− 本発明にかかるポリアミド酸含有微粒子分散組成物は、
上記のようにして得られた微粒子分散液(中間体)から
次のいずれかの方法により製造することが好ましい。し
かし、以下に述べる本発明の製造方法は、この微粒子分
散液(中間体)の製造工程は必須として含むのでなく、
別に準備された微粒子分散液を用いてポリアミド酸との
混合を行っても良いのである。ここに、ポリアミド酸の
混合は、予め作製されたポリアミド酸を混合すること
と、ポリアミド酸を製造しつつ混合することとを含む。
【0045】(1)微粒子分散液と、後述のポリアミド
酸溶液とを混合する。 (2)微粒子分散液中で、テトラカルボン酸二無水物と
ジアミンおよび/またはジイソシアネートを原料とし、
後述のようにして、これらを重合させることにより、ポ
リアミド酸を製造する。本発明にかかるポリアミド酸含
有微粒子分散組成物において、ポリアミド酸は1〜50
重量%の割合で含まれることが好ましく、5〜30重量
%の割合で含まれることがより好ましい。微粒子はポリ
アミド酸に対して0.1〜500重量%であることが好
ましく、1〜200重量%であることがより好ましい。
上記(1)、(2)の方法において、最終的に得られる
微粒子分散ポリアミド酸組成物中での組成が上記範囲と
なるように各成分の濃度、使用量を決定することが好ま
しい。
【0046】なお、本発明にかかるポリアミド酸含有微
粒子分散組成物には、上記の微粒子の他にも必要に応じ
て例えば、有機シラン、顔料、充填剤、磨滅剤、誘電
体、潤滑剤等の他公知添加物を本発明の効果を損なわな
い範囲で添加配合することができる。 −ポリアミド酸− ポリアミド酸は、下記一般式(1)で表される構造単位
を主成分とするポリマーであり、加熱あるいは適当な触
媒により、イミド環や、その他の環状構造を有するポリ
マー(ポリイミド、ポリアミドイミド)となり得るもの
である。
【0047】
【化10】
【0048】上記一般式(1)中、R1は少なくとも2
個の炭素原子を有する3価または4価の有機基である。
耐熱性の面から、R1は環状炭化水素、芳香族環または
芳香族複素環を含有し、かつ、炭素数6〜30の3価ま
たは4価の基であることが好ましい。R1の例として、
フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレ
ン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニル
スルホン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン
基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、シクロブチル
基、シクロペンチル基などが挙げられるが、これらに限
定されない。上記一般式(1)中、R2は少なくとも2
個の炭素原子を有する2価の有機基である。耐熱性の面
から、R2は環状炭化水素、芳香族環または芳香族複素
環を含有し、かつ、炭素数6〜30の2価の基であるこ
とが好ましい。R2の例として、フェニル基、ビフェニ
ル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジ
フェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニ
ルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフル
オロプロパン基、ジフェニルメタン基、ジシクロヘキシ
ルメタン基などが挙げられるが、これらに限定されな
い。
【0049】ポリアミド酸は、一般式(1)で表される
構造単位を主成分とするポリマーは、R1、R2がこれら
のうち各々1種から構成されていても良いし、各々2種
以上から構成される共重合体であってもよい。さらに、
ジアミン成分として、シロキサン構造を有するビス(3
−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどを共
重合してもよい。また、アミン末端の封止剤として無水
マレイン酸などの酸無水物をポリアミド酸を製造するた
めの重合終了後に末端濃度に応じて加え、反応させたも
のでも良い。上記一般式(1)中、nは1または2であ
る。
【0050】本発明で用いられるポリアミド酸として
は、加熱後にポリイミドとなるポリアミド酸(n=2)
については、ピロメリット酸二無水物と4,4′−ジア
ミノジフェニルエーテル、3,3′,4,4′−ベンゾ
フェノンテトラカルボン酸二無水物と4,4′−ジアミ
ノジフェニルエーテル、3,3′,4,4′−ビフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物と4,4′−ジアミノジフ
ェニルエーテル、3,3′,4,4′−ビフェニルトリ
フルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物と4,4′
−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,4,4′−
ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物と4,
4′−ジアミノジフェニルエーテル、ピロメリット酸二
無水物と3,3′(または4,4′)−ジアミノジフェ
ニルスルホン、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸二無水物と3,3′(または4,4′)
−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′,4,4′−
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と3,3′(また
は4,4′)−ジアミノジフェニルスルホン、ピロメリ
ット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルスルフ
ィド、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルスルフ
ィド、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルスルフィ
ド、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸二無水物とパラフェニレンジアミン、3,3′,
4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラ
フェニレンジアミン、3,3′,4,4′−ジフェニル
エーテルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジ
アミン、3,3′,4,4′−ビフェニルトリフルオロ
プロパンテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジ
アミン、2,3,5,−トリカルボキシシクロペンチル
酢酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエーテ
ル、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物および3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸二無水物と4,4′−ジアミノジシクロ
ヘキシルメタン、ピロメリット酸二無水物および3,
3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物と3,3′(または4,4′)−ジアミノジフェニ
ルエーテル、ピロメリット酸二無水物および3,3′,
4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラ
フェニレンジアミン、3,3′,4,4′−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物と4,4′−ジアミノジ
フェニルエーテルおよびビス(3−アミノプロピル)テ
トラメチルジシロキサン、ピロメリット酸二無水物と
4,4′−ジアミノジフェニルエーテルおよびビス(3
−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、3,
3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
と4,4′−ジアミノジフェニルメタン、および3,
3′(または4,4′)−ジアミノジフェニルスルホン
およびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロ
キサン、などから合成されたポリアミド酸が挙げられる
が、これらに限定されない。これらのポリアミド酸は公
知の方法すなわち、テトラカルボン酸二無水物とジアミ
ンを選択的に組み合わせ、溶媒中で反応させることによ
り合成される。
【0051】加熱後にポリアミドイミドとなるポリアミ
ド酸(n=1)については、上記のモノマーと類似の構
造をもつトリカルボン酸誘導体とジアミン、あるいは、
テトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸誘導体(例え
ばテレフタル酸クロリド)とジアミン、トリメリット酸
無水物とジイソシアネート(例えばジフェニルメタンジ
イソシアネート)とから得ることができる。加熱後にポ
リアミドイミドとなるポリアミド酸の合成は上記に限定
されるものではなく、本発明ではいずれも有効に用いる
ことができる。 〔ポリアミド酸含有微粒子分散組成物の用途〕本発明に
かかるポリアミド酸含有微粒子分散組成物は、加熱また
は適当な触媒によりイミド化してイミド環やその他の環
状構造を有するポリマー(ポリイミド、ポリアミドイミ
ド)となる。イミド化は通常は加熱により行われ、その
温度は180〜400℃が好ましく、より好ましくは1
80〜350℃で行われる。
【0052】本発明のポリアミド酸含有微粒子分散組成
物の用途としては、次のものが挙げられる。導電性用途
として、複写機やプリンター内の部材の帯電防止コーテ
ィング材、電荷保持体、トナー転写用部材、定着ベル
ト、中間転写ベルト、皮膜型抵抗体、導電ペースト、電
池用電極材料、帯電防止性樹脂、コンデンサ用導電性接
着層、導電性摺動部材、回路基板用基材、耐熱半導電性
材料、自己温度制御通電発熱体、サーマルヘッド用発熱
抵抗体、記録用通電発熱シート、電線ケーブルの被覆
体、面状発熱体など;電磁波吸収用途として、電磁波遮
蔽シート、フレキシブル配線シート、磁波吸収シート、
熱線吸収シート、紫外線吸収シートなど;遮光用途とし
て、紫外線遮光性材料、カラーフィルター用ブラックマ
トリクスなど;摺動用途として、低騒音歯車の表面処理
剤、摩擦材用成型体など;その他の用途として、太陽電
池用基板、光センサー用基板、光スイッチ用基板などの
光変換装置の基板、プリント配線用基板、サーマルヘッ
ド基板などの電子機器の基板、インクジェットインクな
ど。
【0053】
【実施例】以下に実施例と比較例によりさらに詳細に本
発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。 <微粒子として絶縁性微粒子を用いた例>以下では、微
粒子として絶縁性微粒子であるシリカを用いたので、ポ
リアミド酸含有微粒子分散組成物を製造するための中間
体たる微粒子分散組成物を「シリカ粒子分散液」と呼ぶ
ことにする。シリカ粒子分散液の分散状態の評価とシリ
カ粒子分散液を用いて作製したポリアミド酸含有微粒子
分散組成物の分散状態の評価は、以下のようにして行っ
た。
【0054】[シリカ粒子分散液の分散状態の評価]シ
リカ粒子分散液をN−メチル−2−ピロリドンで100
倍に希釈しておいて、シリカ粒子の粒度分布を動的光散
乱測定装置(大塚電子製DLS700)で測定する。 [シリカ粒子分散ポリアミド膜の分散状態の評価]下記
の合成例1−1で得られたポリアミド酸ワニス10重量
部にシリカ粒子分散液10重量部を加え、均一になるま
で良く攪拌してシリカ粒子含有ポリアミド酸ワニスを得
る。このポリアミド酸ワニス0.5重量部を一辺50m
m、厚さ2mmのガラス板上に滴下し、スピンコーター
(ミカサ株式会社製1H−D2)で2000rpmの速
度で1分間回転させてガラス板上に膜を形成させる。こ
の膜を150℃に設定したホットプレート上に10分間
放置して溶媒を蒸発させる。次に、オーブンで200
℃、30分間、さらに350℃、30分間熱処理してポ
リイミド化反応を進行させ、ポリイミド膜を得て、この
ポリイミド膜に含まれるシリカ粒子の分散状態を光学顕
微鏡で観察する。
【0055】−実施例・比較例− 以下の実施例、比較例に使用するポリアミド酸ワニス
は、以下のようにして合成した。 <合成例1−1−ポリアミド酸ワニスの合成>ピロメリ
ット酸二無水物21.81重量部と、4,4′−ジアミ
ノジフェニルメタン19.83重量部を、N−メチル−
2−ピロリドン166.56重量部中で常温で3時間重
縮合反応し、固形分20重量%のポリアミド酸ワニス2
08.20重量部を得た。
【0056】−比較例1−1− 温度センサー、攪拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブ
ルフラスコに、N−メチル−2−ピロリドン135重量
部、平均粒子径0.1μmのシリカ粒子15重量部、ジ
ルコニア製ビーズ800重量部を加え、回転数700r
pm、室温で5時間攪拌した後、ジルコニア製ビーズと
液体を濾過により分離し、シリカ粒子分散液(1−A
0)を得た。このシリカ粒子分散液(1−A0)におけ
るシリカ粒子の粒度分布を測定した結果は表1のとおり
である。
【0057】上記合成例1−1で得られたポリアミド酸
ワニス10重量部にシリカ粒子分散液(1−A0)10
重量部を加え、均一になるまで良く攪拌してシリカ粒子
含有ポリアミド酸ワニス(1−B0)を得た。このポリ
アミド酸ワニス(1−B0)を用いて、前記シリカ粒子
分散ポリアミド膜の分散状態の評価方法の手順に従い、
ポリイミド膜(1−D0)を得た。このポリイミド膜
(1−D0)に含まれるシリカ粒子の分散状態は表1に
示すとおりである。 −実施例1−1− 温度センサー、攪拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブ
ルフラスコに、ポリビニルピロリドンK−90(和光純
薬)6重量部とN−メチル−2−ピロリドン129重量
部を仕込み、室温で30分間攪拌し均一な溶液を得た。
さらに、平均粒子径0.1μmのシリカ粒子15重量部
とジルコニア製ビーズ800重量部を加え、回転数70
0rpm、室温で5時間攪拌した後、ジルコニア製ビー
ズと液体を濾過により分離し、シリカ粒子分散液(1−
A1)を得た。
【0058】このシリカ粒子分散液(1−A1)におけ
るシリカ粒子の粒度分布を測定した結果は表1のとおり
である。次に、このシリカ粒子分散液(1−A1)と上
記合成例1−1のポリアミド酸ワニスを用い、前記シリ
カ粒子分散ポリアミド膜の分散状態の評価方法の手順に
従い、ポリイミド膜(1−D1)を得た。このポリイミ
ド膜(1−D1)に含まれるシリカ粒子の分散状態は表
1に示すとおりである。 −実施例1−2− まず、以下のようにして、変性ポリビニルピロリドンを
製造した。
【0059】温度センサー、還流冷却管、滴下漏斗、窒
素ガス導入管および攪拌機を備え付けた反応器に、ビニ
ルトリエトキシシラン(以下「VES」と記す)10重
量部、N−ビニルピロリドン(以下「VP」と記す)9
0重量部と、エタノール100重量部を仕込んだ後、反
応器内を窒素ガス置換した。次ぎに反応器内の混合物を
攪拌しながら65℃に昇温した後、重合開始剤として、
2,2‘−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.
8重量部およびエタノール15重量部を3時間かけて反
応器に滴下した。これらを全て滴下し終えてから30分
後に、更に2,2‘−アゾビス(2−メチルブチロニト
リル)0.2重量部およびエタノール5重量部を反応器
に滴下した後、反応器を75℃まで昇温し、2時間反応
させた。その後、反応器を室温まで冷却し、VESとV
Pの共重合体(以下、「P(VES−VP)」と記す)
のエタノール溶液を得た。このP(VES−VP)エタ
ノール溶液を減圧下で乾燥させ固体の変性ポリビニルピ
ロリドン(1−RP1)を得た。重量平均分子量は約1
00,000であった。
【0060】次に、このようにして得た変性ポリビニル
ピロリドン(1−RP1)を用い、以下のようにして、
ポリマーグラフトシリカ粒子分散液を得た。温度センサ
ー、攪拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブルフラスコ
に、上で得た変性ポリマーすなわち変性ポリビニルピロ
リドン(1−RP1)6重量部とN−メチル−2−ピロ
リドン129重量部を仕込み、室温で30分間攪拌し均
一な溶液を得た。さらに平均粒子径0.1ミクロンのシ
リカ微粒子15重量部、ジルコニア製ビーズ800重量
部を加え、回転数700rpm、100℃で5時間攪拌
した後、ジルコニア製ビーズと液体を濾過により分離
し、ポリマーグラフトシリカ粒子分散液(1−A2)を
得た。
【0061】このポリマーグラフトシリカ粒子分散液
(1−A2)におけるシリカ粒子の粒度分布を測定した
結果は表1のとおりである。最後に、このポリマーグラ
フトシリカ粒子分散液(1−A2)と上記合成例1−1
のポリアミド酸ワニスを用い、前記シリカ粒子分散ポリ
アミド膜の分散状態の評価方法の手順に従い、ポリイミ
ド膜(1−D2)を得た。このポリイミド膜(1−D
2)に含まれるシリカ粒子の分散状態は表1に示すとお
りである。 −実施例1−3− まず、以下のようにして、変性アクリルポリマーを製造
した。
【0062】温度センサー、還流冷却管、滴下漏斗、窒
素ガス導入管および攪拌機を備え付けた反応器に、スチ
レン(以下「Sty」と記す)10重量部、メタクリル
酸メチル(以下「MMA」と記す)35重量部、イソプ
ロぺニルオキサゾリン(以下「IPO」と記す)5重量
部、酢酸エチル400重量部を仕込んだ後、反応器内を
窒素ガス置換した。次ぎに反応器内の混合物を攪拌しな
がら70℃に昇温した後、重合開始剤として、2,2’
−アゾビスイソブチロニトリル0.25重量部および酢
酸エチル50重量部を3時間かけて反応器に滴下した。
これらを全て滴下し終えてから70℃でさらに2時間共
重合反応させた。その後、反応器を室温まで冷却し、S
tyとMMAおよびIPOの共重合体(以下、「P(S
ty−MMA−IPO)」と記す)の溶液を得た。この
P(Sty−MMA−IPO)溶液を減圧下で乾燥させ
固体(1−RP2)を得た。重量平均分子量は約80,
000であった。
【0063】次に、このようにして得た変性アクリルポ
リマー(1−RP2)を用い、以下のようにして、ポリ
マーグラフトシリカ粒子分散液を得た。温度センサー、
攪拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブルフラスコに、
上で得られた変性ポリマー(1−RP2)6重量部とN
−メチル−2−ピロリドン129重量部を仕込み、室温
で30分間攪拌し均一な溶液を得た。さらに平均粒子径
0.1ミクロンのシリカ微粒子15重量部、ジルコニア
製ビーズ800重量部を加え、回転数700rpm、1
00℃で5時間攪拌した後、ジルコニア製ビーズと液体
を濾過により分離し、ポリマーグラフトシリカ粒子分散
液(1−A3)を得た。
【0064】このポリマーグラフトシリカ粒子分散液
(1−A3)におけるシリカ粒子の粒度分布を測定した
結果は表1のとおりである。最後に、このポリマーグラ
フトシリカ粒子分散液(1−A3)と上記合成例1−1
のポリアミド酸ワニスを用い、前記シリカ粒子分散ポリ
アミド膜の分散状態の評価方法の手順に従い、ポリイミ
ド膜(1−D3)を得た。このポリイミド膜(1−D
3)に含まれるシリカ粒子の分散状態は表1に示すとお
りである。
【0065】
【表1】
【0066】<微粒子としてカーボンブラックを用いた
例>以下では、微粒子として導電性微粒子であるカーボ
ンブラックを用いたので、ポリアミド酸含有微粒子分散
組成物を製造するための微粒子分散組成物を「カーボン
ブラック分散液」と呼ぶことにする。 −比較例2−1− [カーボンブラック分散液の作製]温度センサー、攪拌
羽根、冷却管を備え付けたセパラブルフラスコに、N−
メチル−2−ピロリドン135重量部、カーボンブラッ
クMA100R(三菱化学製)15重量部、ジルコニア
製ビーズ800重量部を加え、回転数700rpm、室
温で5時間攪拌した後、ジルコニア製ビーズと液体を濾
過により分離し、カーボンブラック分散液(2−A0)
を得た。
【0067】[カーボンブラック分散液の評価]カーボ
ンブラック分散液(2−A0)をN−メチル−2−ピロ
リドンで適度に希釈した後、カーボンブラックの分散状
態を光学顕微鏡(400倍)で観察した。結果を表6に
示す。また、カーボンブラック分散液(2−A0)の製
造直後、30日後、60日後の粘度をB型粘度計を用い
て測定し、粘度の経時変化を評価した。結果を表2に示
す。 [カーボンブラック分散ポリアミド酸組成物の作製・そ
の評価]次に、合成例1−1で得られたポリアミド酸ワ
ニス10重量部にカーボンブラック分散液(2−A0)
2重量部を加え、均一になるまで良く攪拌してカーボン
ブラック含有ポリアミド酸ワニス(2−B0)を得た。
このポリアミド酸ワニス(2−B0)をN−メチル−2
−ピロリドンで適度に希釈した後、カーボンブラックの
分散状態を光学顕微鏡(400倍)で観察した。結果を
表3に示す。なお、カーボンブラック分散液(2−A
0)の製造直後品、30日経過品、60日経過品を使用
した。
【0068】[ポリイミド膜の作製・その評価]カーボ
ンブラック含有ポリアミド酸ワニス(2−B0)約0.
5重量部を一辺50mm、厚さ2mmのガラス板上に滴
下し、スピンコーター(ミカサ株式会社製1H−D2)
で2000rpm1分回転させてガラス板上に膜(2−C
0)を形成させた。更に膜(2−C0)を150℃に設
定したホットプレート上に10分間放置し溶媒を蒸発さ
せた。次にオーブンで200℃30分間、さらに350
℃30分間熱処理してポリイミド化反応を進行させ、ポ
リイミド膜(2−D0)を得た。
【0069】ポリイミド膜(2−D0)に含まれるカー
ボンブラックの分散状態を光学顕微鏡(400倍)で観
察した。結果を表4に示す。また膜表面を目視により光
沢の有無を評価した。結果を表5に示す。なお、カーボ
ンブラック分散液(2−A0)の製造直後品、30日経
過品、60日経過品を使用した。 −実施例2−1− 温度センサー、攪拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブ
ルフラスコに、ポリビニルピロリドンK−90(和光純
薬)6重量部とN−メチル−2−ピロリドン129重量
部を仕込み、室温で30分間攪拌し均一な溶液を得た。
さらにカーボンブラックMA100R(三菱化学製)1
5重量部とジルコニア製ビーズ800重量部を加え、回
転数700rpm、室温で5時間攪拌した後、ジルコニ
ア製ビーズと液体を濾過により分離し、カーボンブラッ
ク分散液(2−A1)を得た。
【0070】比較例2−1と同様にして、カーボンブラ
ック分散液(2−A1)におけるカーボンブラックの分
散状態を観察した。結果を表6に示す。また、比較例2
−1と同様にして、カーボンブラック分散液(2−A
1)の粘度の経時変化を評価した。結果を表2に示す。
次に、比較例2−1と同様にして、カーボンブラック分
散液(2−A1)を用いてカーボンブラック含有ポリア
ミド酸ワニス(2−B1)を製造し、ポリアミド酸ワニ
ス(2−B1)におけるカーボンブラックの分散状態を
観察した。結果を表3に示す。
【0071】次に、比較例2−1と同様にして、カーボ
ンブラック含有ポリアミド酸ワニス(2−B1)からポ
リイミド膜(2−D1)を得て、ポリイミド膜(2−D
1)に含まれるカーボンブラックの分散状態を観察し
た。結果を表4に示す。また膜表面を目視により光沢の
有無を評価した。結果を表5に示す。 −実施例2−2− 実施例2−1において分散時の温度を50℃とする以外
は、実施例2−1と同様にして、カーボンブラック分散
液(2−A2)を得た。比較例2−1と同様にして、カ
ーボンブラック分散液(2−A2)におけるカーボンブ
ラックの分散状態を観察した。結果を表6に示す。ま
た、比較例2−1と同様にして、カーボンブラック分散
液(2−A2)の粘度の経時変化を評価した。結果を表
2に示す。
【0072】次に、比較例2−1と同様にして、カーボ
ンブラック分散液(2−A2)を用いてカーボンブラッ
ク含有ポリアミド酸ワニス(2−B2)を製造し、ポリ
アミド酸ワニス(2−B2)におけるカーボンブラック
の分散状態を観察した。結果を表3に示す。次に、比較
例2−1と同様にして、カーボンブラック含有ポリアミ
ド酸ワニス(2−B2)からポリイミド膜(2−D2)
を得て、ポリイミド膜(2−D2)に含まれるカーボン
ブラックの分散状態を観察した。結果を表4に示す。ま
た膜表面を目視により光沢の有無を評価した。結果を表
5に示す。
【0073】−実施例2−3− 実施例2−1において分散時の温度を120℃とする以
外は、実施例2−1と同様にして、カーボンブラック分
散液(2−A3)を得た。比較例2−1と同様にして、
カーボンブラック分散液(2−A3)におけるカーボン
ブラックの分散状態を観察した。結果を表6に示す。ま
た、比較例2−1と同様にして、カーボンブラック分散
液(2−A3)の粘度の経時変化を評価した。結果を表
2に示す。次に、比較例2−1と同様にして、カーボン
ブラック分散液(2−A3)を用いてカーボンブラック
含有ポリアミド酸ワニス(2−B3)を製造し、ポリア
ミド酸ワニス(2−B3)におけるカーボンブラックの
分散状態を観察した。結果を表3に示す。
【0074】次に、比較例2−1と同様にして、カーボ
ンブラック含有ポリアミド酸ワニス(2−B3)からポ
リイミド膜(2−D3)を得て、ポリイミド膜(2−D
3)に含まれるカーボンブラックの分散状態を観察し
た。結果を表4に示す。また膜表面を目視により光沢の
有無を評価した。結果を表5に示す。 −実施例2−4− まず、以下のようにして変性ポリビニルピロリドン(2
−RP1)を製造した。温度センサー、還流冷却管、滴
下漏斗、窒素ガス導入管および攪拌機を備え付けた反応
器に、ビニルエチレンカーボネート(以下「VEC」と
記す)2.8重量部、N−ビニルピロリドン(以下「V
P」と記す)25.2重量部、イオン交換水400重量
部およびピロリン酸四ナトリウム0.14重量部を仕込
んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に反応器内の
混合物を攪拌しながら65℃に昇温した後、重合開始剤
として2,2′−アゾビス(アミジノプロパン)二塩酸
塩0.07重量部およびイオン交換水1.0重量部を添
加して15分間共重合反応させた。その後、VEC1
1.2重量部、VP100.8重量部、2,2′−アゾ
ビス(アミジノプロパン)二塩酸塩0.63重量部およ
びイオン交換水9重量部を別々に3時間かけて反応器に
滴下した。これらをすべて滴下し終えてから30分後
に、さらに2,2′−アゾビス(アミジノプロパン)2
塩酸塩0.28重量部およびイオン交換水5重量部を反
応器に滴下した後、反応器を90℃まで昇温し、30分
間共重合反応させた。その後、反応器を室温まで冷却
し、VECとVPの共重合体(以下、「P(VEC−V
P)」と記す)の水溶液を得た。このP(VEC−V
P)水溶液を減圧下で乾燥させ固体(2−RP1)を得
た。重量平均分子量は500,000であった。
【0075】温度センサー、攪拌羽根、冷却管を備え付
けたセパラブルフラスコに、上で得られた変性ポリマー
(2−RP1)6重量部とN−メチル−2−ピロリドン
129重量部を仕込み、室温で30分間攪拌し均一な溶
液を得た。さらに臭化−n−テトラブチルアンモニウム
(和光特級)0.06重量部、カーボンブラックMA1
00R(三菱化学製)15重量部とジルコニア製ビーズ
800重量部を加え、回転数700rpm、120℃で
5時間攪拌した後、ジルコニア製ビーズと液体を濾過に
より分離し、カーボンブラックグラフトポリマー液(2
−GCB1)を得た。
【0076】比較例2−1と同様にして、カーボンブラ
ックグラフトポリマー液(2−GCB1)におけるカー
ボンブラックの分散状態を観察した。結果を表6に示
す。また、比較例2−1と同様にして、カーボンブラッ
クグラフトポリマー液(2−GCB1)の粘度の経時変
化を評価した。結果を表2に示す。次に、比較例2−1
と同様にして、カーボンブラックグラフトポリマー液
(2−GCB1)を用いてカーボンブラック含有ポリア
ミド酸ワニス(2−B4)を製造し、ポリアミド酸ワニ
ス(2−B4)におけるカーボンブラックの分散状態を
観察した。結果を表3に示す。
【0077】次に、比較例2−1と同様にして、カーボ
ンブラック含有ポリアミド酸ワニス(2−B4)からポ
リイミド膜(2−D4)を得て、ポリイミド膜(2−D
4)に含まれるカーボンブラックの分散状態を観察し
た。結果を表4に示す。また膜表面を目視により光沢の
有無を評価した。結果を表5に示す。 −実施例2−5− まず、以下のようにして変性アクリルポリマー(2−R
P2)を製造した。温度センサー、還流冷却管、滴下漏
斗、窒素ガス導入管および攪拌機を備え付けた反応器
に、スチレン(以下「Sty」と記す)10重量部、メ
タクリル酸メチル(以下「MMA」と記す)35重量
部、イソプロペニルオキサゾリン(以下「IPO」と記
す)5重量部、酢酸エチル400重量部を仕込んだ後、
反応器内を窒素ガス置換した。次に反応器内の混合物を
攪拌しながら70℃に昇温した後、重合開始剤として
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.25重量部
および酢酸エチル50重量部を3時間かけて反応器に滴
下した。これらをすべて滴下し終えてから70℃でさら
に2時間共重合反応させた。その後、反応器を室温まで
冷却し、Sty、MMAおよびIPOの共重合体(以下
「P(Sty−MMA−IPO」と記す)の溶液を得
た。このP(Sty−MMA−IPO)溶液を減圧下で
乾燥させ固体(2−RP2)を得た。重量平均分子量は
80,000であった。
【0078】温度センサー、攪拌羽根、冷却管を備え付
けたセパラブルフラスコに、上で得られた変性ポリマー
(2−RP2)6重量部とN−メチル−2−ピロリドン
129重量部を仕込み、室温で30分間攪拌し均一な溶
液を得た。さらにカーボンブラックMA100R(三菱
化学製)15重量部とジルコニア製ビーズ800重量部
を加え、回転数700rpm、120℃で5時間攪拌し
た後、ジルコニア製ビーズと液体を濾過により分離し、
カーボンブラックグラフトポリマー液(2−GCB2)
を得た。比較例2−1と同様にして、カーボンブラック
グラフトポリマー液(2−GCB2)におけるカーボン
ブラックの分散状態を観察した。結果を表6に示す。ま
た、比較例2−1と同様にして、カーボンブラックグラ
フトポリマー液(2−GCB2)の粘度の経時変化を評
価した。結果を表2に示す。
【0079】次に、比較例2−1と同様にして、カーボ
ンブラックグラフトポリマー液(2−GCB2)を用い
てカーボンブラック含有ポリアミド酸ワニス(2−B
5)を製造し、ポリアミド酸ワニス(2−B5)におけ
るカーボンブラックの分散状態を観察した。結果を表3
に示す。次に、比較例2−1と同様にして、カーボンブ
ラック含有ポリアミド酸ワニス(2−B5)からポリイ
ミド膜(2−D5)を得て、ポリイミド膜(2−D5)
に含まれるカーボンブラックの分散状態を観察した。結
果を表4に示す。また膜表面を目視により光沢の有無を
評価した。結果を表5に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】−比較例2−2− 温度センサー、攪拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブ
ルフラスコに、合成例1−1で得られたポリアミド酸ワ
ニス100重量部、ポリビニルピロリドンK−90(和
光純薬)4重量部とN−メチル−2−ピロリドン36重
量部を仕込み、室温で30分間攪拌し均一な溶液を得
た。さらにカーボンブラックMA100R(三菱化学
製)10重量部とジルコニア製ビーズ800重量部を加
え、回転数700rpm、室温で5時間攪拌した後、ジ
ルコニア製ビーズと液体を濾過により分離し、カーボン
ブラック含有ポリアミド酸ワニス(2−B6)を得た。
得られた液(2−B6)の分散状態を光学顕微鏡(40
0倍)で観察したところ、カーボンブラックの凝集物が
数多く見られた。
【0086】次にカーボンブラック含有ポリアミド酸溶
液(2−B6)約0.5重量部を一辺50mm、厚さ2
mmのガラス板上に滴下し、スピンコーター(ミカサ株
式会社製1H−D2)で2000rpm1分回転させてガ
ラス板上に膜(2−C6)を形成させた。更に膜(2−
C6)を150℃に設定したホットプレート上に10分
間放置し溶媒を蒸発させた。次にオーブンで200℃3
0分間、さらに350℃30分間熱処理してポリイミド
化反応を進行させ、ポリイミド膜(2−D6)を得た。
ポリイミド膜(2−D6)に含まれるカーボンブラック
の分散状態を光学顕微鏡(400倍)で観察したとこ
ろ、凝集物は再分散されることなく存在していた。また
膜表面を目視により観察すると光沢がなく表面が粗くな
っていた。
【0087】
【発明の効果】本発明によると、微粒子の分散性が極め
て安定した微粒子分散液を得ることができるので、微粒
子とポリアミド酸溶液の親和性を改善することができ
て、ポリアミド酸溶液中に微粒子が均一に分散したポリ
アミド酸含有微粒子分散組成物を提供することができ
る。そのため、ポリアミド酸組成物中での微粒子の凝集
が起こらないだけではなく、ポリイミド化しても微粒子
分散状態は変わらず良好である。したがって、ポリイミ
ドフィルムの機械的特性を損なわず、ポリイミドフィル
ムの表面状態が平滑であり良好である。また、微粒子と
してカーボンブラックを用いた場合は、その配合量(濃
度)を変えることで電気抵抗率を簡単に制御できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−212075(JP,A) 特開 平3−281536(JP,A) 特公 平6−27269(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 79/00 - 79/08 C08K 3/00 - 13/08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ポリマーを分散剤として用いて、絶
    縁性微粒子、半導電性微粒子および導電性微粒子からな
    る群より選ばれる少なくとも1種の微粒子を極性溶媒溶
    液に分散させてなり、さらにポリアミド酸を含む、ポリ
    アミド酸含有微粒子分散組成物において、 前記有機ポリマーは、アミノ基を有する構造単位、(メ
    タ)アクリルアミド類構造単位、アルキル(メタ)アク
    リルアミド類構造単位およびN−ビニルアミド類構造単
    位から選ばれる少なくとも一種の構造単位を有するもの
    であることを特徴とする、ポリアミド酸含有微粒子分散
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記微粒子がカーボンブラックであり、
    前記分散剤としての有機ポリマーが前記カーボンブラッ
    クと反応可能な官能基を有していて、前記カーボンブラ
    ックが前記有機ポリマーで変性されたカーボンブラック
    グラフトポリマーの形である、請求項1記載のポリアミ
    ド酸含有微粒子分散組成物。
  3. 【請求項3】 前記微粒子がシリカ粒子であり、前記分
    散剤としての有機ポリマーが前記シリカ粒子と反応可能
    な官能基を有していて、前記シリカ粒子が前記有機ポリ
    マーで変性されたポリマーグラフトシリカ粒子の形であ
    る、請求項1記載のポリアミド酸含有微粒子分散組成
    物。
  4. 【請求項4】 前記有機ポリマーがN−ビニルアミド類
    構造単位を有するものである、請求項1記載のポリアミ
    ド酸含有微粒子分散組成物。
  5. 【請求項5】 有機ポリマーを極性溶媒に溶解させた
    後、これに絶縁性微粒子、半導電性微粒子および導電性
    微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の微粒子
    を添加、分散させて微粒子分散液を製造し、前記微粒子
    分散液と、ポリアミド酸溶液とを混合する、ポリアミド
    酸含有微粒子分散組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記微粒子の分散を加熱状態で行う、請
    求項記載のポリアミド酸含有微粒子分散組成物の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 有機ポリマーを極性溶媒に溶解させた
    後、これに絶縁性微粒子、半導電性微粒子および導電性
    微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の微粒子
    を添加、分散させて微粒子分散液を製造し、前記微粒子
    分散液中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンおよび
    /またはジイソシアネートを原料として重合させること
    により、ポリアミド酸を製造する、ポリアミド酸含有微
    粒子分散組成物の製造方法。
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